2017年1月5日木曜日

三重銀行と第三銀行が経営統合協議へ

 三重県の産業にとって近年になかった大きなニュースが飛び込んできました。三重銀行(四日市市)と第三銀行(松阪市)が経営統合を視野に交渉していることが報じられたのです。(読売新聞だけが今日の朝刊に掲載していたので、同紙のスクープなのかもしれません。)
 地方銀行は全国的に再編が進んでいます。地方では人口の減少や高齢化による市場の成熟化が進んでおり、企業活動も低迷しているところが多くみられます。銀行の主要事業である企業への融資や住宅ローンなどでは収益があがりにくくなっており、統合や合併によって経営規模を大きくし、生き残りを図ろうとする動きが顕著になっているのです。
 三重銀行は昨年9月末時点の預金残高が1兆7256億円、貸出金残高は1兆3678億円。第三銀行は昨年3月末時点の預金残高が1兆7884億円、貸出金残高は1兆2493億円となっており、ほぼ同じ規模ではありますが、三重銀行が製造業が多く集積する県北勢地域に多く店舗展開しているのに対して、第三銀行は建設業や観光業、農林水産業が盛んな県中南勢地域が地盤で、かなり以前から両行の経営統合については可能性が取り沙汰されていました。


 両行とも現時点では経営統合について明確に認めていませんが、仮に実現すれば、三重県で最大の地銀である百五銀行に次ぐ規模となり、東海地方でも第4位の預金量を誇る有力地銀となる見込みです。


 ただ、懸念される点もあります。
 第三銀行はリーマン・ショック直後に経営不振が表面化し、平成21年に国から300億円の公的資金の注入を受けており、現在も返済途上です。一方の三重銀行も、平成26年度決算の経常利益が48億円、27年度が51億円と、収益が大きいとは必ずしも言えません。
 国のマイナス金利政策の影響もあって、経営統合のメリットを最大限活用したとしても現行事業内容の一定の見直しは避けられないと思われます。両行で近接している店舗の整理統合や、不採算店舗の閉鎖は不可避でしょう。
 これは前向きに考えれば、ネットバンキングの活用推進など、特に県南部で進む過疎化に応じた、高い水準の金融サービス提供を実現していくきっかけになるかもしれません。

 もう一つは、両行に限らず全国的に地方の金融機関に共通する問題です。すなわち、融資先となる企業の成長性を見極める目利き力の向上と、預金者も含めた顧客に対する新しい金融サービス・金融商品の開発です。
 銀行など金融機関が、金融庁による厳しい不良債権対策もあってリスクのある新規貸し出しに消極的になり、企業が素晴らしい商品や高い技術力を持っていてもそれによるビジネスの有望性ではなく、土地や保証人といった担保のみを重視し、不十分な融資しか行わないことに対しては、特に中小企業経営者から強い不満の声が聞かれます。

 財務諸表から経営状態を判断することができる銀行員はもちろん今も多数いらっしゃると思いますが、製造業企業の技術の目利きなどは、工学の知識も必要になります。
 公設試験研究機関や大学、高専などと連携して、銀行員向けに技術講座を行うことなども有用ではないかと思います。

 本来は、金融機関は単なる金貸しではなく、コンサルタントであり、経営者の相談相手でもあるはずです。現在は前述のようにやや機能不全気味なこともあって、県のような行政機関やその外郭団体(財団法人)などが中小企業のコンサル役を果たす ~低利融資や補助金などの制度も含めて~ 局面が散見されます。しかし行政職員にはそもそもそんな能力はないし、何より税金に依存した業務なので非常に非効率であるうえに国のその時々の産業政策にも左右されすぎます。
 中小企業の支援は銀行が主力となって、腰を据えて行うのが一番合理的で、今回の経営統合を「新しい地方銀行ビジネスモデル」として、新銀行の目利き力の向上を行政や大学などが支援する。そして貸し出しなどのリスクは銀行がきちんと負う(もちろんリターンも得る)ような仕組みの構築を目指すチャンスに活用すべきです。

2 件のコメント:

イセオ さんのコメント...

第三と三重がくっついても預金量は百五銀行にはるかにかなわないんですね。今までかなりの過当競争だったのでは。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 百五との間で三重と第三にとっての喫緊の課題だったのは優秀な人材確保と言う点だったのではなかったかと想像するのです。統合によって新銀行内で人材の流動化と登用が進めば、ガリバー相手でも善戦できるのではと思います。