2017年1月6日金曜日

尾鷲物産が「プレミアムDHAぶり」を出荷


 中日新聞によると、三重県尾鷲市の水産会社、尾鷲物産が、ドコサヘキサエン酸(DHA)を通常の1.5倍含むという「プレミアムDHAぶり」なる養殖ブリを開発しました。
 昨年12月から、同社が直営する観光物産施設 おわせお魚いちば おとと や、名古屋市の高級スーパーで刺し身や切り身として発売されており、今後は津市や関東、関西方面にも進出を目指すとのことです。(1月5日付け「DHA1・5倍の養殖ブリ誕生」)
 DHAには血液中の中性脂肪を低下させるなどの効果があり、魚に多く含まれることが知られています。
 尾鷲物産では近年の消費者に健康志向が高まっていることから、高知大学と共同で、海藻やマグロ、カツオなどを混ぜたDHA含有量の多い飼料を調合し、ブリの養殖期間の終盤にその餌を給餌することで、通常の養殖ブリでは可食部100グラム当たり2グラムであるDHAを、1.5倍の3グラムに増やすことに成功しました。
 この「プレミアムDHAぶり」の刺し身二切れで、厚生労働省が推奨している一日1グラム以上のDHAが摂取することができるそうです。


 このように健康面の効果を高めた食品は、鮮魚においては他に例がなく、尾鷲物産ではDHAの多い飼料開発で特許取得も目指すとのこと。
 同社の担当者は「養殖ならではの技術でできた、値段や鮮度以外の新しい価値付け。ぜひ試してもらいたい」と自信を見せているそうです。

 水産会社と大学が共同して研究を行い、新しい価値を生み出す。これはいわゆる「産学連携」の絵にかいたような成功例ではないかと思います。ここに至るまでに現場では様々な苦労があったことでしょう。
 DHAによる健康面への寄与ももちろん、このブリは価格も通常のものよりも二割高く販売できるようなので、漁業の高付加価値化(=高収益化)にも貢献しているようです。
 とかく厳しい話題が多い漁業ですが、こうして研究開発を通じてイノベーションを起こしていく事業者にとっては、漁業はまだまだ可能性が大きな産業なのでしょう。大いに期待したいと思います。

 その一方で、これも最近報じられたことですが、愛知県のある市では、市役所を中心に作られた産学官連携組織が取り組む高級魚介の養殖実験がうまくいかず、費用を負担してきた市が予算をで打ち切る方針を固めたことから、養殖実験が中止に追い込まれそうな事態となっている事例もあるようです。
 今回の尾鷲の例は、官(行政機関)が関与したのかしなかったのかは不明ですが、成果についての不確定要素が高い新技術の開発事業については、行政機関というそもそもリスクを負うことに不適な(リスクを負うことは制度的に想定されていない)組織が関与してうまくいくかどうかはなかなか結論が出ない問題です。

■尾鷲物産株式会社   http://www.owasebussan.co.jp/

■おわせお魚いちば おとと   http://e-ototo.jp/

■高知大学 革新的技術開発・緊急展開事業「ドコサヘキサエン酸(DHA)を高濃度で含むブリの開発」
 https://www.naro.affrc.go.jp/brain/h27kakushin/files/subject7_20.pdf

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