2017年2月14日火曜日

昨日のように思い出す

 それが何月何日のことだったか全く覚えていないし、時間も夜だった以外に覚えがないのですが、その瞬間のことだけは今もはっきり記憶しています。
 学生だったわしはテレビを見ていました。テレビ東京はまだ東京12チャンネルという名前で、他局に比べて明らかに低予算、低俗もしくはマニアックな番組ばかりやっていたのですが、そのかなりマニアな音楽番組の一つに「ポップス倶楽部」というものがありました。
 高島忠夫サンが司会をしており、彼はもともとジャズの歌手かミュージシャンの出身だったとかで、NHK以外ではほとんど放送されていなかったジャズのナンバーをよく取り上げていました。
 前後の脈絡は忘れましたが、視聴者からの葉書を読んだあと、「あなたのリクエストは、アル・ジャロウのレパートリーにはきっとあるじゃろうと思います」と言って紹介したのが Al Jarreau の Your Sweet Love という曲だったのです。


 高島サンは売れっ子でクイズ・ドレミファドンの司会とかもやっていて、そこでもダジャレ ~その当時まだ「親父ギャグ」という言葉はありませんでした~ を連発していましたが、ポップス倶楽部でのこのダジャレこそが、わしが天才ボーカリスト アル・ジャロウ を知るきっかけだったのです。
 いろんな意味で、言葉の力って大きいなとしみじみ思います。

 番組ではサーカスか、マリーンかが歌っていたと思う Your Sweet Love が大変気に入ったわし。早速、生協のレコードショップに行き、それが収録されたLPレコードを購入しました。
 そのアルバムThis Time は長らくわしの愛聴盤だったし、就職してからもよく聞いていました。
 その後、レコードプレーヤーが故障してしまい、時代はすでにCDに変わっていたので針を落とす機会がないまま処分してしまいましたが、今も頭の中で自動再生できるくらい脳みそにメロディーが刻み込まれています。

 そのアル・ジャロウさんが亡くなりました。
 76歳という早すぎる死ですが、直前まで現役歌手としてステージに立ち、家族や友人に見守られながらの最期だったとのことで、幸せな生涯だったと思います。
 わしはもちろん本人に会ったこともなければ、たびたび日本でも公演していたようですがステージを見ることもとうとう叶いませんでした。

 しかし、このモノクロのジャケットを見ていると、若かりしわしの、まだ将来が全然見えなくて、不安と期待が入り混じっていたような月日をありありと思い出します。
 合掌。

0 件のコメント: