2017年2月7日火曜日

徳島県が東京に「アンテナ・ホテル」を

 毎日新聞などによると、徳島県は今年度内に、徳島の食や文化の魅力を発信する宿泊施設を東京・渋谷に開設するとのことです。
 その名もTurnTable(ターンテーブル)。徳島へのU・Iターンのきっかけになってほしいとの願いから命名されたそうです。
 現在、ほとんどの道府県が東京にアンテナショップを開設していますが、物産店やレストランが中心で、その多くは東京駅周辺や銀座、日本橋など繁華街に立地しています。
 一方、TurnTableは渋谷駅から徒歩で10分ほどの「奥渋谷」と呼ばれる、飲食店が多いエリアのビルを改装して設置されます。徳島県産の食材を使うレストランや、その食材を販売するマルシェ(市場)、数十人が宿泊可能な相部屋形式のドミトリー、イベントスペースなどの複合施設で、地方自治体のいわゆるアンテナショップが宿泊施設も併設するのは極めて珍しいと思われます。

 施設のロゴマークは徳島特産の藍色の背景に木の年輪を描いたシンプルなもので、県名や県のマスコットなどは使われません。インテリアにも特産のスギを使うことで徳島らしさをアピールし、従来のアンテナショップでは接点が作れなかったような層の顧客の獲得を目指していくようです。


 現在、徳島県のアンテナショップは5カ所あるそうですが、県の担当者は「物産販売だけでは経営が難しく、宿泊機能は新たな収益源。旅行者に徳島まで足を延ばしてもらうきっかけとなり、周辺飲食店に徳島の食材を売り込む拠点にしたい」と期待しているとのこと。確かに東京周辺は外国人観光客の増加やオリンピック景気で宿泊施設はフル稼働状態となっており、この意味では宿泊施設をアンテナショップの核とするのは戦略としてはユニークだと思います。

 しかし、問題もあります。かねてからこのブログに書いているように、アンテナショップとはマーケティングが目的で、新商品の開発などにあたって消費者の意見を聞くために設けられるものです。小規模な生産者にとってマーケティングは不可欠なプロセスではあるものの先行投資であってリスクが伴うものです。これを役所が肩代わりするのがアンテナショップで、そのそもこれ自体は赤字になるに決まっています。
 販売やレストランで収益が上がるのなら役所が税金でショップをやる必要はありません。民間がやればいいのです。
 このあたりの目的やスタンスが多くのアンテナショップでは不明確で、赤字になってはいけない、収支をトントンにしないといけない、という圧力がかかることが多く、その結果どうなるかというと、もうすでに知名度が十分にある定番の土産物やお酒が売られたり ~デパートの物産展と同じだ~、補助金が劇注されて赤字が穴埋めされたりします。

 わしが徳島県のことを心配する必要などないし向こうも迷惑でしょうが、せっかくマーケティング機能や観光客の誘因機能としてユニークな宿泊施設が、「収益源」と捉えられているのだとすれば、方向性がずれてしまいそうな気がするのですが・・・。

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