2017年3月25日土曜日

南北格差、一層の拡大

 国土交通省が3月21日に公示地価を発表しました。平成29年1月1日現在の1平方メートル当りの土地の標準価格を示したもので、三重県では住宅地293地点、商業地110地点などの432地点が調査対象になっています。
 これによると、県内の公示地価は平均で前年より1.6%減となり、25年連続で下落しています。県北部では下落幅が縮小傾向であり、地価が上昇した地点も多くあるのに対して県南部は地価の下げ止まりが見えず、三重県の宿痾ともいうべき南北格差が、資産の面でも拡大していることが浮き彫りになっています。
 中日新聞によると、住宅地で継続調査した284地点のうち、地価が上昇したのは四日市市の15地点、桑名市の7地点、津市の4地点の計26地点のみ。上昇率が1.9%とトップだったは、三年連続で津市大谷町の地点(1平米あたり10万5千円)でした。(3月22日付け「南北格差、さらに拡大 県内地価、25年連続下落」)



 これに対し下落した住宅地は241地点にものぼり、市町別では鳥羽市、紀北町、南伊勢町が5%を超えるマイナス、熊野市と御浜町が4%台のマイナスでした。

 商業地では継続調査した107地点のうち、上昇したのは四日市市11地点、津市と伊勢市が各2地点、桑名市1地点でした。上昇率がトップ(1.9%)だったのは四日市市諏訪栄町の地点で1平米あたり36万8千円。近鉄四日市駅周辺ではマンション建設などが活発で、割高な取引が続いていること等の影響のようです。
 一方でこの5年間上昇率が連続で首位だった伊勢神宮・内宮近くの伊勢市宇治今在家町の地点は2位に後退(27万2千円)しました。参拝者数が式年遷宮のピーク時から減少していることが影響したと考えられるそうです。
 
 資産価値の下落傾向が強い県南部、特に伊勢志摩地域では、昨年に開かれたG7主要国首脳会議のレガシーで地価下落が持ち直すことへの期待もありましたが、会議の会場となった志摩市では商業地が対前年比マイナス5.2とむしろ前年より下げ幅が大きくなり、価格の判定をした不動産鑑定士によると「期待感はあったが、土地の価格、取引量に変化はなかった」と影響を明確に否定しています。

 南北問題以上に深刻なのは東日本大震災で注目度が高まった大津波への不安から、県南部を中心に沿海部の土地の値下がりが止まらないことです。
 ながらく漁業が生業であり、志摩や東紀州地域は地形上の問題もあって、既存集落の多くは海沿いの低地に集中しています。海岸沿いの土地が敬遠されるのは中勢部でも見られ、中日新聞は松阪市曽原町の事例を取り上げています。

 漁港がありアサリやアオサが豊富で、津市や松阪市中心部にも車で20分ほどと交通至便ですが、海抜は1.6mで地形は真っ平。市のハザードマップでは、南海トラフ地震の際、最大で2~4m浸水すると予測されており、住宅地では値下がり率が3番目に大きく、震災直前の平成23年と比較すると地価は28%も下がりました。
 一方、津波の心配がない高台にある桑名市汐見町の住宅地は上昇率が県内で2番目の高さでした。桑名駅に近く以前から需要はありましたが、特に震災後に人気が高まり、地価は4年連続で上昇しています。

 三重県の南北格差、なかんずく北高南低の傾向は、人口や高齢化率にも顕著に見られ、桑名市のように地価が高いところには仕事も多く、人口も増え、子供も多い。松阪市以南の市町はその逆、という状況が深刻化しているのです。

 こうした傾向は一朝一夕に解決するものではありませんが、土地も家屋も限りなく価値がゼロに近づき、その中で人口減少や高齢化の課題と向き合わなければならない地域には、今以上に機動的な対策を講じる必要がありそうです。  

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

東紀州などは、集客力に比べてまだまだ地価が高過ぎて、土地を買ったり借りたりして商売を始めても元が取れない状況だと思いますよ。
下がる方がむしろ健全なのでは?
固定資産税収入が減るのは問題ですが。