2017年3月13日月曜日

次に地方自治体が迎えるブームは

 地方公務員向けの業界情報サイトである「官庁速報」によれば、山形県が平成29年度の組織改正で、新たに「観光文化スポーツ部」を設置します。山形県は、外国人観光客数を平成31年に26万人に増やす目標を掲げるほか、東京オリンピック・パラリンピックに向けて10カ国・地域からの事前合宿誘致を目指しているそうで、その実施体制を整えることが目的とのことです。(2017年3月9日付け)
 スポーツに関する部は、岩手県が平成29年度から「文化スポーツ部」の新設を明らかにしているほか、石川県も同様の部の新設を公表しており、山形県は3例目となります。
 またすでに、秋田県は「観光文化スポーツ部」、群馬県には「生活文化スポーツ部」、京都府では「文化スポーツ部」、山口県には「観光スポーツ・文化部」という組織があり、北海道や福島県、三重県、大分県、沖縄県などにもスポーツを冠した局(部と課の中間くらいの位置づけ)があります。


 世間ではいまだに「地方自治体は、良くも悪くも変わらない、保守的、お堅い」というイメージがあるようですが、このブログでよく書いているように実はそうではなく、自治体も時代の大きな流れに即して役割や考え方は大きく変わっているし、特に近年は財政難であるため国からの助成金や補助金を獲得する目的で、国が示す方向性に沿って姿勢や立ち位置を大きく変化させることがよく見られるます。これは薄っぺらく節操がないことの現れですが、一方では自治体生き残りのためにやむを得ない面もあるのです。
 議会や住民、マスコミからも、オリンピックのような国際的イベントは千載一遇のチャンスなのだから、わが県、わが市も手を拱いているのではなく、これにあわせて観光客を誘致したり、特産品を東京で売り出したり、公共工事を行うべし、といった強い要請が起こるのも、今や全国で普遍的な現象です。
 ブームに乗り遅れるなとばかりに、自ら進んでブームの渦に身を投じる。その結果、実際に地域経済の活性化が実現するのはほんの一部の自治体に過ぎませんが、それはそれでよし、とにかくブームに便乗せよという世相になっています。

 その意味で、東京オリンピック・パラリンピックは非常にわかりやすい事例です。実際にたくさんの日本選手が活躍しそうな気配ですから、今このタイミングでブームに乗っかっておかないと、あとでどんな批判を受けるかわかりません。
 山形や岩手などに続いて、29年度以降、県庁や市役所、町村役場にも続々と「スポーツ部」とか「スポーツ局」、「スポーツ課」が設立されるでしょう。ブームなのですから合理的な理由はなくても止めようがないのです。
 文部科学省の「地域スポーツに関する基礎データ集(平成27年4月)」によると、都道府県におけるスポーツ政策の主管部局は、知事部局が40%、教育委員会約60%となっています。今後自治体で新設されるスポーツ部局も、多くは地域経済活性化が期待されているので、文科省が観光客(合宿客)向けの割引クーポンに使えたり地域農産品のメニュー化などに使える自治体向け交付金制度でも作らない限り、商工業や観光業を所管する知事部局の傘下に入るケースが多いのもまた確実かと思います。

 このブログは市町村職員や地方企業の方もご覧になっているようなので、新しい政策作りや補助金の獲得、委託業務の受注を目指す際には、このようにスポーツブームが自治体を席巻しつつあることも頭の片隅に入れておいてもらうと何かの役に立つかもしれません。(し、役に立たないかもしれません。)

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