2017年3月16日木曜日

三重県はこの話題に弱い・・・

 朝日新聞が昨日、シャープが平成30年にも液晶テレビの国内生産から撤退する方針であるとのスクープを報じましたが、今日(3月16日)にはシャープがこれを全面否定しており今後も区内生産は継続されるというニュースを各紙が掲載しています。
 この「シャープ亀山問題」は、三重県民にとって、なかんずく地元亀山市の宿泊業者、タクシー業者など、さらには三重県庁をはじめ企業誘致に携わってきた行政関係者には非常にナーバスな問題で、三重県内の報道のされ方はおそらく全国でも突出して大ニュース扱いになっているはずです。
 朝日新聞の記事は、戴正呉社長のインタビュー記事で、テレビ生産は台湾の鴻海精密工業が担い、国内では開発や試作、アフターサービスなどを行っていくと語ったと報じていました。亀山工場製の液晶テレビ「アクオス」を表す、一世を風靡した「世界の亀山モデル」も消滅してしまうと思われたのです。

 ところが本日の各紙によれば、シャープがこれから進めるのは国内生産中止でなく生産工場の再編です。亀山工場では輸入に適さない大型(45型)のテレビを全自動生産する設備を導入し、栃木県の工場はテレビ生産そのものを縮小するとのこと。
 しかし亀山以外でも自動化や低コスト化を進め、人件費が多くかかる手作業の工程については鴻海など海外に移すそうです。

 亀山工場は平成16年に稼働を開始し、三洋や東芝といったライバルの家電メーカーがテレビ生産を海外移管する中で、あえて「国内回帰」の戦略を選択し、組立工場の海外移転を「産業空洞化」とみなして危機感を抱いていた三重県も、亀山工場の誘致に90億円もの補助金を交付 ~亀山市も45億円を補助~ するなど、企業誘致による地域活性化の成功例として大きなニュースになりました。
 しかし韓国や台湾、中国の家電メーカーの液晶技術も急速にキャッチップし、迅速な巨額投資で生産効率も急上昇させていく中で、亀山ブランドの国際競争力は失速し、シャープはこの後の堺工場の失敗が引き金となって、事実上の経営破たんを迎えてしまうのでした。

 もっとも、亀山工場は現在も2千人もの従業員が働いており、テレビが斜陽化した後は、アップルのiPhoneなどスマートフォンやタブレット向けの高機能小型液晶の拠点工場となっています。
 本日の各紙の報道では亀山はカメラ部品などの生産設備も増強する方針としており、平成30年度中にフル稼働する予定としているとのことです。

 これは日本の製造業のあり方を先取っているとわしは思います。
1)行政主導の企業誘致は、行政が世界経済の動向や次世代の成長産業を先読みすることができない以上、非常にリスクが高く、取るべき戦略ではない。
2)国内生産はコストが高いうえに、今後ますます労働力の確保が難しくなることから、今がIoTなど全自動化の投資を決断するかどうかの境目である。
3)改良型イノベーションによる中途半端な最終製品メーカーにこだわるよりも、超高付加価値の部品やノウハウを供給するサプライヤーとして発展するほうがいい場合もある。
 という教訓が導けないでしょうか。

(平成29年3月19日補足)  特定の個人名や組織名、具体的な事例や事象をあげてのコメントにはお答えできかねます。  コメントいただいてもすべて削除いたしますのでご了承ください。  

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