2017年3月20日月曜日

三重県が庁舎を民間貸し出しへ

 三重県が志摩市にある出先庁舎「志摩庁舎」内の空きスペースを、有料で民間など一般に貸し出す方針を決め、4月から相手先の公募に入る見込みであることを建通新聞が報じていました(15日付け)が、伊勢新聞がより詳細に報じているのでメモしておきます。 
 18日付けの「空き室で財源確保 志摩庁舎 賃貸へ 来月にも公募、県初の試み」という記事で、これによると
・県は志摩庁舎の4階の一部(約550㎡)を民間に貸し出す。公序良俗などに反する利用をさせない基準を策定し、4月にも貸付先を公募する。
・県では官舎や校舎跡地など未利用施設の売却を進めてきたが、売却に適した施設が少なくなる中で、部分的な未利用スペースについても活用の手段を検討していた。
・相手方から利用方法や賃料などを提示させる「プロポーザル方式」で審査を行い、5月の契約締結を目指す。
 とのことです。


 志摩庁舎が竣工したのは今から30数年前のことだと思います。昭和末期のいわゆるバブル景気の頃だったので、県財政も豊かで建設費も潤沢だったろうことや、リゾート法(総合保養地域整備法)が制定されるか、制定された直後ぐらいの時期で、「国際リゾート」になる志摩地域を整備するための県行政の拠点と位置付けられたためでしょう、従来の県の出先機関に多かった、いかにも役所役所した建物ではなく、比較的しゃれたデザインの庁舎です。
 わしの記憶でも、志摩保健所、志摩土木事務所、伊勢農林事務所の水産部門なんかの事務所が入っていてそこそこの数の職員がいた気はしますが、すでにその当時からスペースは余っていて、バブルがはじけ出先機関の統合が進むと多くは伊勢庁舎に吸収されてしまい、現在は県の機関としては志摩建設事務所と伊勢保健所の一部が入居しているだけです。確かに庁舎の玄関に入ると、ひと気がない、ガランとした印象を受けます。

 この庁舎の(空きスペース)貸し出し、三重県としては初の試みだそうですが、実は全国的には多くの例があります。伊勢新聞によると平成18年に地方自治法が改正されて貸し出しの範囲が拡大し、それ以降、徳島県や大分県、富山県などで出先庁舎の貸し出し例があるそうです。
 空きスペースは平成の大合併で庁舎の統合が進んだ市町村ではいっそう顕著、かつ深刻な問題であり、遊休資産にしているくらいなら、法律でもやっていいと認めているのだからどんどん貸し出したらいいではないかと思いがちですが、実際には執務をしているすぐ近くに民間企業の事務所や店舗があると、行政にとっては秘密事項が漏れたり、癒着を勘繰られたりするリスクがあるので、なかなか踏み出せないのが実情かと思います。

 10年ほど前に、三重県が「新しい公」という政策を行ってた頃、県など公共セクターと企業や市民団体などが、どうおのおのの社会での役割を分担するかが真摯に議論されていました。その頃は、よくNPO関係者から市民活動の拠点を庁舎の空きスペースに置いてはどうかとか、産業関係者からはベンチャー企業のインキュベーションやシェアオフィスにしてはどうか、みたいな話も出ていました。

 しかし今回の庁舎貸し出しは、目的が財源確保であることが明確です。三重県は様々な理由によって財政がひっ迫しており、あらゆる手段で収入を増加することが至上命題になっているのです。
 なので、市民活動やベンチャーを「支援」する側面でなく、通常の商行為としての不動産賃貸となるのです。
 この意味では、わしもぜひいい店子が見つかればいいと思います。志摩市役所に隣接し、近鉄鵜方駅にもわりに近く、志摩市の中心地にあるのでロケーションは優良です。

 気を付けなくてはいけないのは、今回の貸し出しは家主(県)は改修などをしない、有姿賃貸になることです。庁舎内には災害時の通信や電源設備があるので、店子による自主改修の制約は賃貸用のオフィスビルに比べて厳しいかもしれません。(わしの推測です)
 また、三重県の庁舎は基本的に何びとも立ち入り自由で、セキュリティチェックはもちろん、入館者名簿も来客バッジもありません。個人情報を扱う店子は、別途、物理的なセキュリティ対策が必須になるでしょう。

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