2017年3月26日日曜日

おやつカンパニー28年ぶりに社長交代

 おそらく三重県内に本社がある企業の中で、最も知名度が高いと思われる 株式会社おやつカンパニー(本社:津市) が3月1日付けで社長を交代したことを日本経済新聞が報じています。(3月25日付け)
 ひげそりメーカーであるシック・ジャパン出身の手島文雄氏が新社長に就任し、社長だった松田好旦氏は代表権のない会長に就いたとのこと。
 松田氏は父親が創業し、ベビースターラーメンなどの有力商品を持つ同社の経営を平成元年から引き継ぎ、売上高200億円規模の菓子メーカーにまで育て上げました。新社長の手島氏は、同社としては初の創業家以外のトップとなります。
 ところで、おやつカンパニーは平成26年にアメリカの投資会社であるカーライル・グループと資本・業務提携を結びました。このニュースは三重県の経済界に大きな衝撃を与えたのです。

 一つには、昭和23年創業の有力企業であるおやつカンパニーに何か経営上の問題があるのではないかと疑われたこと。
 もう一つは、海外の投資ファンドが全国的に見れば中堅規模であるメーカーにまで資本提供をする積極的な姿勢への驚きがあったことです。

 実際に、資本提携の直後、留任した松田前社長などを除き取締役の過半数が退任する事態となったことが大きく報じられました。
 しかし、その後の報道などでカーライルの出資は経営不振の救済が理由ではなく、過去から香港、台湾、タイ、インドネシアなどアジア市場でのベビースターラーメンの販売実績を重ねているおやつカンパニーに、さらに海外市場での飛躍のチャンスがあると見たためであったと説明され、いかに「グローバル・スナックカンパニー」に変貌させるのか、カーライル流の経営手法に関心が集まっていました。

 その結果、今年1月には台湾・桃園市に数十億円を投資して新工場を建設し、アジアでの売上高を現状の2倍の年間20億円に引き上げると共に、海外売上比率を10%強に倍増する計画も明らかになっていました。今回の社長交代も「若返りが狙い」とのことで、この路線は継続されるようです。

 日本には国際競争力が高い製品や技術を持っているものの、海外市場に進出しない、あるいは海外での展開が伸び悩んでいる中堅・中小企業が多いと言われています。一つの仮説として、こうした中小企業を海外にどんどん進出させれば、成熟化して大きな成長が見込めない国内市場への依存度が下がってその企業は成長し、結果的に日本の経済成長率も高まる、というものがあります。

 しかし、こうしたローカル企業は往々にして地域での安定成長を経営理念に据えており、すべてが事業拡大を目指しているわけでは決してありません。海外進出に至ってはなおさらで、経営者や経営幹部が海外にかかりきりになってしまい本業がおろそかになったり、事業ポートフォリオ拡大のはずが、海外市場の動向や為替、政変などの影響をまともに受け、不安定要因を抱えるようになってしまった例も多くあります。その企業が立地している自治体や住民も、「おらが街の企業」という認識だったものがグローバル化で妙によそよそしい関係になってしまうのを危惧する心理があります。
 
 今回新社長に就任された手島氏は多くの企業を渡り歩いた経営のプロであり、中堅規模とはいえ三重ローカルな企業であるおやつカンパニーをどうマネジメントしていくのか、注目していきたいと思います。

0 件のコメント: