2017年3月6日月曜日

神戸市が職員の副業推進へ

 日本経済新聞などによると、神戸市が4月から市職員の副業に関する独自の許可基準を策定するそうです。地方公務員は、農業や不動産賃貸など一定の分野においては、承認を得たうえで副業が認められています。しかし神戸市のように、NPO法人などで報酬を得て事業活動に従事することを公然と認めるのは、極めて画期的なことです。
 今回の措置の狙いは、
1)職員の働き方の多様化
2)公務で培った知見を地域貢献活動に生かす
3)外部での経験を市民サービスの向上につなげる
4)中高年の職員が退職後に備えて、在職中から地域貢献活動などに参加しやすくする
 などにあるようですが、実際にどのような形で副業が進むのか、そしてその結果、市が想定したとおりの目的が達成されるのかが注目されそうです。


 神戸市が設ける基準は
1)社会性、公益性が高い事業者であること
2)市が補助金を出すなど特定団体の利益供与に当たらないこと
3)勤務時間外であること
4)常識的な報酬額であること
 などが骨子となるとのこと。
 適用例としては職員が休日にNPOで活動したり、自らソーシャルビジネス(コミュニティビジネス)を起業するなどが想定されています。

 NPOについては現在も無給であれば職員(地方公務員)が理事に就任することは可能ですが、NPOは地域が抱える課題を地域の人的資源等を活用して解決するビジネスであるコミュニティビジネスの中核的な担い手であり、事業を自立的に継続するためには利益を上げることは必須であって、実際の事業活動(ビジネス)そのものへの参画は市職員にとってはかなりハードなものとなるでしょう。

 わしはつい穿った見方をしてしまうのですが、これは次のようなことへの布石ではないかと勘ぐります。
 すなわち、神戸市のように財政が裕福な政令指定都市であっても、今後、職員の高齢化 ~役所は年功序列社会なので必然的に総人件費の増加をもたらす~ や賃金の引き下げは避けられません。また、従来であれば一定の役職者などには関連団体や企業への再就職が比較的容易に斡旋されましたが、受け入れる側も飽和状態で、天下りは限界になっています。
 このため、副業で小遣い銭程度にしろ稼ぐことを黙認し、来るべき大量勧奨退職のスムーズ化につなげるのです。また、退職手当も総計では巨額になるので、在職中にコミュニティビジネスを通じて生活の糧を得る方法を学ばせ、来るべき退職金引き下げに備えるのです。つまり、冒頭に掲げたこの制度の目的のうちもっぱら4の部分が主目的ではないかと思います。

 しかし、忘れてはいけないのは、こういった市役所とNPOの協力関係は、やはり神戸市という土地柄ならではの発想だということでしょう。阪神大震災を契機に、神戸市をはじめとした兵庫県や県内の市町村は、被災者の救護活動や復興事業の過程でNPOや市民団体、企業と良好な関係を築いているところが他の都道府県に比べて数多くあります。
 こうした歴史や過程、実績を背景としているからこそ出てきたアイデアであり、かつ実行可能なのではないかと思うのです。
 官民連携とか協働、協創などはスローガンとしては掲げる地方自治体は多いのですが、なかなか官民が血が通う信頼関係を構築している実例は少ないと思います。わしの見方は穿っていますが客観的な地方自治体の環境を見ると避けられないことなので、多くの自治体は副業解禁を視野に入れた官民関係の再構築が急務なのではないかと思います。(公務員など役に立たないからいらない、という民間セクターは実際にはかなり多いでしょう。)

 

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