2017年4月10日月曜日

どうやって人を集めるのか?

 シャープが、三重県にある亀山工場の人員を現在の倍の4000人に増強することを明らかにしました。亀山工場は現在、スマートフォンやタブレット向けの液晶パネルなどを生産していますが、今年7月からはアップルのiPhone向けカメラ部品の生産も始めることとしています。
 これから近い将来、家電や自動車、社会インフラなど産業や社会に関わるあらゆるモノ(機械、装置、ロボットなど)をインターネットでつなぐ「IoT」が世界中で急速に普及すると見込まれますが、こうしたカメラ関連の部品はIoTでモノに実装する重要なセンサーの役割も果たすことから需要が拡大すると予想されています。シャープでは海外での生産に加えて、将来の需要増を考慮して国内にも生産拠点を置く方針とのことです。 
 亀山工場はシャープの国内基幹工場であるとともに、三重県にとっても2000名以上の従業員を持つ一大雇用先でもあります。経営不振により亀山工場の縮小は常に噂されてきただけに地元にとっては明るいニュースですが、わしが真っ先に思ったのは、本当に2000人も人が集められるのだろうかということです。


 安倍内閣による経済財政政策である、いわゆるアベノミクスは毀誉褒貶がありますが、まちがいなく雇用の増加をもたらしており、もちろん全国では地域差がありますが、地方にとって、特に地方自治体にとっては有用な経過をたどっていると言うことができると思います。
三重労働局労働市場月報29年2月
三重県も自動車や電子電気といった輸出型の製造業が多く立地している北部(北勢地域)を中心に景況は上向きとなっており、厚生労働省三重労働局が4月に公表した有効求人倍率は1.44倍で、求人が求職者の数に比べて大幅に超過している状態です。
 これは理屈の上では求職者が仕事を選ぶ自由度が増えていいことなのですが、人を集めなくてはいけない企業の側は大変です。他の企業との獲得競争になるので賃金の上昇は避けられません。
 こうした競争のとばっちりは、経営再建中とはいえ大企業であるシャープよりも、亀山市やその周辺地域にある既存企業、特に小規模・零細な企業を直撃するでしょう。

 時々新聞紙上に、地方自治体が大企業を誘致したというニュースが載っています。これによって地域に雇用が生まれるし、その大企業が製造業である場合には、広大な工場が建てられ、多くの生産設備が導入されるので自治体は固定資産税も多く得ることができます。まさに福の神といった扱いになるのです。
 しかし、地元の多くの中小企業経営者は内心穏やかではありません。下請けや納品など新しいビジネスチャンスの可能性は生まれるとしても、従業員が圧倒的に労働条件が良いそちらの大企業、大工場に転職してしまうケースは少なくないからです。また、自社が事業拡大に取り組み人員増が必要な中小企業にとっても、新規雇用の確保は困難となってしまいます。

 さらに三重県は、隣接している愛知県や岐阜県、滋賀県も有効求人倍率は高く、人手不足が深刻なので、シャープの増員は地域全体の労働需給バランスに影響を与えることになります。
 シャープ亀山工場の競争力が強まるのは喜ばしいことですが、その副作用も地元の中小企業にとって決して小さくないであろうことは気にかかります。
 

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