2017年4月11日火曜日

検証作業推進が必要、地方創生で日本学術会議

 先日、地方大学が地方創生に関与する方法は、研究成果を実践の現場に活かす、といったことよりも、数え切れないほど横展開され死屍累々の状況になっている、国や自治体による地方創生策とか地域活性化策の成果を検証し、反省点を含めた評価をすることだ、と書きました。(はんわしの評論家気取り 知りたいのはそこではなくて 2017年4月8日
 そしたら、ある方から、政策の評価の必要性について日本学術会議が同じような提言を行っていると教えていただきました。ありがとうございました。
 日本学術会議って名前は時々聞くけど、実はどんな団体だかよく知りませんでした。で、ホームページを見てみたら、「日本学術会議は、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的に昭和24年に設立された機関」であり、「科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ることと、科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させることを目的に政府に対する提言などを行っている」団体だそうです。知らなかった・・・。
 実際にホームページには「軍事的安全保障研究に関する声明」とか「わが国の獣医学教育の現状と国際的通用性」を提言したとかがいっぱいトピックスに挙げられています。


 で、今回の地方創生に関するものは「人口減少時代を迎えた日本における持続可能で体系的な地方創生のために」という提言で、日本学術会議 地域研究委員会 人文・経済地理学分科会 地域情報分科会なるクレジットがあります。発行は今年3月。
 読んでみるといかにも学者先生が書いたような硬い文章なので小難しいのですが、平成26年9月から始まった「まち・ひと・しごと創生」や「地方創生政策」も2年余が経過し、この間の施策の全体像を振り返り、政策全般を再点検して改善すべき点を洗い出すべき時期に来ているとして、地方創生施策全般の検討や、将来人口推計、国内人口移動、地方におけるしごと、地方創生関係交付金、情報利用、自治体の連携についての現状と課題を整理しています。


 そのうえで、
(1) 魅力あるしごとの地方での創出
(2) 地方創生関係交付金の検証作業の推進 
(3) 政策立案のための情報化の活用
(4) 柔軟な広域連携の実現
 の4つを提言する内容となっています。
 
 このうち(2)ですが
・地方創生関係交付金は、補正予算を活用したことや、毎年のように新たな名称および内容の交付金が創設され、継ぎ足されてきたために、交付金活用の全体像が把握しにくい状況にある。
・持続可能な地方創生には、この交付金の設計上の課題を検討するとともに、データベース化や可視化することを通じて、交付金がどのような施策に使われており、いかなる地域差を生んでいるかなど、交付金の全体像を明らかにし、改善していく必要がある。
・地方創生では重要業績評価指標(KPI)を設定し、PDCA サイクルで施策の持続性を求めているが、こうした政策の効果を検証していくために、外部審査を行う機関を設けて検証作業を行い、今後の政策評価につなげていくべきである。
・顕著な成功事例は公表・周知を行うとともに、事業の進捗状況に問題のあるもの、効果が不十分なものについては、指導・勧告を行うことも重要である。  
 という内容で、まあ、それはそうでしょうなという感じです。

 問題は、このような交付金の見える化や成果検証を「誰が」行うかです。
 往々にしてこうした提言は、提言している本人からして、まさか実際に自分がやるとは思っていないケースが多いので、言いっぱなし聞きっぱなしでいつの間にかフェードアウトしていくのが世の常です。
 この提言も内容は至極もっともだと思うので、「誰がやるか」まで言い切るべきだったのではないかと思います。

 わしが見るところ、国はそれを地方自治体にやらそうとしている ~KPIの本質はそれで、要するに説明責任を地方に転嫁しているに過ぎません~ し、一方で地方自治体はそんな余力も能力も、カネも時間もないので、おそらく99%、地方創生策の本質的な検証は行われないはずです。
 このように当事者があてにならないので、その任を負うべきなのは地方の大学、あるいは日本学術会議のように内閣から独立した組織だと思うのですが。

■人口減少時代を迎えた日本における持続可能で体系的な地方創生のために(PDF)
 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-t242-1.pdf

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