2017年5月11日木曜日

ブロックチェーンを活用した電子地域通貨

 岐阜県高山市の飛驒信用組合がスマホアプリを活用した電子地域通貨のプラットフォームを導入するとのことです。「さるぼぼ倶楽部コイン(仮称)」と命名されたこの電子地域通貨はICT企業(株式会社アイリッジ)と連携し、ブロックチェーン技術を活用してセキュリティを確保しつつ、システム投資コストの低減を可能とするものであり、金融機関による地域通貨の電子化は業界初とのことです。
 地域通貨とはエコマネーとも呼ばれ、お札や硬貨といった普通のお金ではなく、市町村とか商店街など特定のエリア内だけで通用する通貨のことです。アイデア自体は古くからあるもので、わしが知る限り三重県でも15年近く前に四日市市の中心商店街でJマネーという地域通貨が発行されていたことがあります。(今でもあるのかな?)
 なぜわざわざ地域通貨を作るのかですが、地域通貨で支払えばボランティア活動で返してもらえるとか、コミュニティ活動の対価に使えるといったように、一般のお金以外の価値を地域で流通できるようにするためです。広い意味で「コミュニティの活性化」を目指すもので、四日市をはじめ過去の全国の導入例も目的は地域活性化のためでした。


 しかしこの時代、当然ながらまだスマホはなかったので、地域通貨はコインや紙幣といった物理的なお金でした。今回の飛騨信金の「さるぼぼ倶楽部コイン」はこれを電子通貨(仮想通貨)にした点が新しく、地域住民のほかに外国人観光客などにも使いやすくなる仕組みではあるでしょうが、その本質は紙・金属時代と変わりはなく、このコインを加盟店で使うとお得なサービスや特典が受けられ、ひいてはそれを地域活性化 ~地域内での資金循環~ につなげていくことを目指しているようです。

 飛騨信金のような信用金庫は、地方銀行以上に、地域に密着した業務、すなわち地域内で圧倒的多数を占める家族経営や個人事業主による小規模な商店・事業所に対する融資を業務の中心とする金融機関です。
 商店街の衰退に代表されるように、全国どこでもこうした小規模な商店・事業所はどんどん数が減少しており、さらに人口そのものも減少や高齢化が進み、地域の金融機関は貸出先も集める資金も先細りとなっています。
 こうした状況に一石を投じる取り組みには間違いないでしょう。

 ただ、問題なのは、こうした状況の中で、地域通貨を支払いに使うユーザーも減少は免れないので、果たして実際にどれほど地域で流通するのか、そして地域内での便利な決済手段として認知されるのか、ということです。
 実際、四日市Jマネーの頃も全国的に地域通貨がブームになっており、北海道栗山町の地域通貨「クリン」などは地域で広く流通しているとされ、地域活性化の成功例と言われていました。
 地域通貨全国リストというウエブサイトによると、今も全国各地に677の通貨があるそうです。(今年4月19日時点)

 しかし、これはおおかたの人々の共通認識だと思いますが、地域通貨はメジャーになっているとは言えません。地域活性化に永続的に成功しているとも思えません。それゆえに、いまだに「地方創生」といった地域活性策が国主導で行われているのです。

 ただ、だから地域通貨に意味がないともわしは思いません。
 このブログではたびたび指摘していますが、地方創生だの活性化だの言うのは簡単ですが、では具体的にどういう状態になったら地方が「創生」され「活性化」されたことになるのかのアジェンダは不明なことがほとんどです。
 仮に、スマホを使うことで手軽にフィンテックに触れる住民(観光客も)が増えること、それによって域内消費が若干でも増え、今までより少しでも地域内でお金が循環すること、をアジェンダ設定するのなら、「さるぼぼ倶楽部コイン」も成功する可能性はあるからです。
 最終的にはプラットフォーム導入のコストやランニングコストと、域内消費の増加量の比較衡量が必要ですが、フィンテックによりコストを下げることに眼目があるのなら、この点でも導入に見合った成果が得られる可能性は高くなると思います。
 
 それにしても、こうした最先端のICTで地域通貨に取り組む飛騨信金とは面白い金融機関です。なぜ三重県の金融機関には、こうした「やってみよう精神」が乏しいのでしょうか?

■飛騨信用組合  https://www.hidashin.co.jp/

0 件のコメント: