2017年5月14日日曜日

市町村はカネ余り?(マニアック)

経済財政諮問会議資料 より
 政府の経済財政諮問会議が5月11日に開催され、その席上、伊藤元重学習院大教授など民間委員4名が、市町村が積み立てている財政調整基金などの基金残高は21兆円もの巨額にのぼっており、残高の大きい市町村についてはその要因を国(総務省)が把握するとともに、地方財政計画の改善によって財政資金配分を見直すよう提案したことが各紙に報じられていました。
 わしは何となく ~三重県を筆頭にして~ 程度の差はあれ道府県や市町村など地方自治体はどこも財政難で金策に窮していると思っていたので、このニュースを意外な気持ちで読んだのでした。
 内閣府のホームページに、その民間委員が提出した資料が掲載されていて、なかなか面白かったのでメモしておきます。


 資料を一読してわかるのは、民間委員の提言は「地方自治体による行政サービスにはかなりの地域差がある」ことを指摘し、歳出の効率化と地方財政の構造改革を進めるべきと提言しているということです。自治体の基金残高が著しく増加しているというのも、自治体が民間企業や一般国民と同じように、将来が不安なため何かの時に備えて基金の積み増すという発想になっているおそれがあるとして、総務省と関係府省が各行政分野の見通しや自治体への影響をあらかじめ示すべきだと主張したというニュアンスです。
 これはもっともなことで、基金の残高が多額に上っている自治体は、行うべき行政サービスや今やっておくべき公共投資を行っていないのかもしれませんし、国からの助成金や補助金をもらいすぎているのかもしれません。こうした自治体には説明責任があるというのはその通りではないかと思います。

 そう思って、そんなにカネがある市町村ってどこなんだろう?と民間委員の資料(資料3-2 地方自らの行財政改革に向けて)を見ると・・・
 驚くべきことに、基金の残高が基準財政需要額の2倍以上にものぼる「超裕福」な自治体のナンバーワンは三重県川越町だったのです。
 平成27年度のデータとはなりますが、川越町は財調基金などの残高が226億円。これを基準財政需要額で割ると7.46倍ともなって、極端に言えば最低ラインの行政サービスに必要な財源の7年間分もの貯金を持っていることになります。
 三重県民でも川越町のことをよく知らない方はいると思いますが、桑名市と四日市市に挟まれた伊勢湾沿いにある面積わずか8.7平方キロメートル(つまり3km四方だ!)、人口約1万4千人の小さな町です。
 しかし町のほとんどが平地のため中部電力の火力発電所など工場が多く立地しており、経済規模を示す一人当たり市町民所得は約370万円と三重県の平均を上回ります。地方交付税の交付を受けない、いわゆる不交付団体で、財政力指数は1.22(!)です。
 わしが思うに、川越町は高齢化率が低く、働く場所も多く、小さな町なので町立病院も必要なく、災害も少ないので、本当にカネの使い道がないのかもしれません。

 民間委員資料では川越町に次ぐ第2位の愛知県飛島村も似たようなものです。つまり小さな村ながら三菱重工などの工場が林立しているので財政が極めて豊かなのです。
 しかしその他は、東京都の伊豆諸島とか、全国の中山間地にある町村です。こうしたところは国から地方創生の助成金や農林業振興の補助金などが多く、やはり金を使う必要がないのかもしれません。わかりませんけど。

 よく、一般の方や学生と地方自治について話していると、わりと地方制度は画一的で、財源の再分配機能により行政サービスも全国で平準化していると思っている人が多いように思うのですが、実はそうではなく、地方自治体、特に全国に1700もある市町村レベルになると、規模も、地理条件も、産業も、気候も、多種多様であって、財政に関しても実態はさまざまです。
 今回の民間委員の指摘は、そのことを再認識させてくれました。
 そしてその対策として提案しているのは、マイナンバーカードを活用した行政サービスの効率化や、効率業院など地方公営企業の抜本改革といった至極まっとうなものです。

 近年はアベノミクスの好影響を全国に波及させるという名目で、地方創生 ~ローカルアベノミクス~ による人口増加対策、地方経済活性化対策といった「攻め」の施策に注目が集まりがちでした。
 しかしこれだけでは不十分で、いかに住民には不人気であろうとも、行財政改革には不断に取り組まなくてはいけません。今年はまさにそのへんの潮目が変わりそうな年です。事業効率化やコスト削減に取り組まない自治体はいっそう窮地に追い込まれていくことになるでしょう。

■内閣府 経済財政諮問会議 平成29年会議情報一覧
 http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/index.html

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