2017年5月28日日曜日

指導力と「思いつき」の間

 先週、政府の教育再生実行会議に出席した安倍首相が「キッズウイーク」なる制度の導入に意欲を示したそうです。小中学校の夏休みなど長期休暇の一部を、別の時期に移して一週間程度の長期休暇とし、休日を分散取得するという仕組みです。
 読売新聞の記事によると、今年の夏休み、8月の最終週(8月27日(月)~31日(金))を、たとえば11月の第2週(11月5日(月)~9日(金))にブロックで移す、というイメージになるようです。(5月12日付け リンクはこちら
 このようにすると、つまり夏休みは5日間短くなり、その代わりに11月に平日5日間プラス土・日の1週間の連休「キッズウイーク」が新しく生まれることになります。(ただし、実際に「キッズウイーク」をいつの時期に設定するかは国が決めるのでなく、地方自治体や学校に任せるということのようです。)
 この目的は、政府が進めている働き方改革の一環として、親子で過ごす時間を増やすために、保護者の有給休暇取得を促すのが狙いとされます。しかしそれと同時に、いやそれ以上に、政府の本音は観光需要の分散化や消費需要の喚起にあることは明白でしょう。


 早くもネット上では
・普通の企業ならおいそれと1週間も休めるはずがない
・中途半端な時期に連休をもらっても家でゴロゴロするだけ
・プレミアムフライデーに続く、政府による机上の空論
 などの辛辣な批判が上がっており、それは確かにもっともなのですが、しかし難しいのは休暇取得促進といったような、労働者にとってプラスとなる政策は、やはりなかなか企業サイドからはなかなか上がってこないのが実態であって、政府が主導したほうが企業や労働組合が話に乗ってきやすい ~世間に申し開きが立つ~ というパターンが多いのは事実ではないでしょうか。
 また、日本では観光需要が年末年始とゴールデンウイーク、お盆休みに集中しており、観光産業の健全な発展を阻害しているのも事実だと思います。
 
 しかし、かつて政府が主導してこのような休日分散化の社会実験が行われたことがあったことは、ここで思い出しておいてもいいかもしれません。わしにとってこの「キッズウイーク」など、昔どこかで聞いた話なのです。

 それは今から7年前、平成22年度に国(国土交通省観光庁)によって取り組まれた「家族の時間づくりプロジェクト」というものです。
 このプロジェクトは、「地域において、企業の有給休暇取得促進と学校休業日の柔軟な設定により、大人と子供の休みのマッチングを行い、家族の過ごし方の変化等をアンケート調査して、家庭・学校・地域等にもたらす教育・社会的効果などを検証する。」という内容。
 全国からいくつかのモデル地域が選定され、三重県では亀山市が選ばれて、市内の全小中学校で4月30日を休日にし、ゴールデンウイークを7連休にするという社会実験が行われました。
 小中学校は亀山市の一存で(正確には亀山市教育委員会の一存で)休日を設定することは可能でしょうが、保護者も休めなければ意味がないので、市では企業に対しても協力を求めたとのことです。

 この結果が観光庁のHPで公開されているのですが、これが何というか、何ともわかりにくい結果になっています。
・親に「効果があったか」と尋ねた質問では、「効果があった」「どちらともいえない」との回答が約4割ずつ。
・学校への質問では「子供と保護者が一緒に話す機会が増えたようだ」とどこか自信なさげな回答が多数。
・企業への質問では、学校が休みとなった4月30日も「通常と同じように営業した」との回答が75%。

 このアンケートだけ見ていると、本当に効果があったのか、なかったのかがよくわかりません。詳しい結果を確かめたい方はこちらをご覧ください。

 結論から言えば、この「家族の時間づくりプロジェクト」は平成22年度以降もぼちぼちと全国でモデル事業が行われたようですが、結局大きな社会的ムーブメントにはなっていません。このブログを見ている方でも、そんな事業があったことを知らなかった人も多いと思います。
 今回は働き方改革、休み方改革という新しい味付けが追加されてはいますが、何だかこう、やる前から「これはちょっとなー・・・」という感じが強く、強くするのは、わしが心配性なのではなくて、合理的な思考をすれば当然導かれる推論だと思います。

■はんわしの評論家気取り 「休暇分散化」は内需拡大策としてはアリではないか?(2010年4月4日)

■観光庁 家族の時間づくりプロジェクト(パンフレット)
 https://www.mlit.go.jp/common/000230382.pdf

 

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