2017年5月29日月曜日

「棚獲得」競争に敗れたカール

 今は亡き三橋美智也さんの甲高い歌声と、口の周りがヒゲで真っ黒なカールおじさんのコマーシャルであまりにも有名な、明治製菓の定番商品であった「カール」が今年8月いっぱいで生産拠点が集約され、東日本での販売を終了することが大きな衝撃を与えています。
 わしの子供のころからあるお菓子で、小学生くらいまでは本当によく食べていましたが、思い返してみると大人になってから、少なくともここ20年近く自分でカネを出してカールを買った記憶がありません。食べたのは、セミナー後の懇親会なんかで、大皿に盛られたスナック菓子の一つとしてつまんだ程度で、販売終了となると大騒ぎするけれども、普段は見向きもしなかったわしにも販売終了の責任はあるのでしょう。
 明治製菓がこの決断を下した理由について、マスコミやネットでは情報がいろいろ飛び交っていますが、今日の日経MJに、「カール退場の真の原因はコンビニの商品棚の獲得競争に敗けたからだ」みたいな考察があって面白かったのでメモしておきます。


 日経新聞などによると、確かにカールの売り上げは最盛期に比べて大きく落ち込んでいます。1990年代には小売りベースで190億円ほどもあった売り上げが、現在は3分の1以下の約60億円にまで激減しています。
 しかし、東洋経済オンラインの記事によれば、全国の地域別に見たカールの売り上げは、東低西高という単純な図式にはなっておらず、九州や近畿では高い売り上げがあるものの関東でもかなり健闘しており、むしろ地域ごとのばらつきが大きい特徴があるそうです。

 だとすると生産縮小となる理由は何かなのですが、MJはスナック菓子の主戦場はもはやスーパーマーケットでなく、コンビニであること。そして、毎週毎週数十種類もの新商品が投入され、売り上げが少しでも低下すると棚から撤去されてしまうほどに競争が厳しいコンビニ市場において、50年来変わらなかったカールは時代遅れになってしまったと分析します。

1)コンビニは商品棚を有効活用するために、商品の小型化、パッケージのコンパクト化が進んでいます。スナック菓子もかさばる袋入りでなく、主流はカップに入った商品で、これらをぎっしりと棚に並べて商品のボリューム感をアピールすることが販促の主流となっています。この意味で、トウモロコシのさっくりした食感がウリのカールはコンパクト化競争に遅れました。

2)カールと対照的に売り上げが堅調なのがポテトチップです。消費者のナチュラル志向もさりながら、ポテチはさまざまな味や風味の加工が簡単で、商品バリエーションが豊富です。(以前、カルビーが47都道府県のご当地味のポテチをリリースすることをこのブログにも書きました。リンクはこちら。ただし、その後のジャガイモの不作と高騰によりこの路線は見直されることとなったようです。)
 カールは、うすあじ、チーズ味、カレー味など数種類の定番ラインナップであり、消費者の嗜好の多様化にも出遅れてしまったのでした。

 このMJの分析は、わしにはたいへん説得力があると感じられます。
 消費市場の成熟化に従って、お菓子をはじめ、さまざまな商品はますますコンパクト化していくのでしょう。このトレンドは、商品開発を行っている企業にとっても見過ごしてはならないことのように思えます。

 そうそう。
 いつも中部か近畿かで揉める三重県ですが、明治製菓の分類では「東日本」に属するらしいです。残念ながらスーパー、コンビニの店頭からはこの夏で姿を消してしまうようです。

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