2017年5月9日火曜日

熊野古道伊勢路の来訪者が7%減

 東紀州地域振興公社がユネスコの世界遺産である熊野古道の三重県側、つまり熊野古道伊勢路の平成28年の来訪者数を公表しました。この調査は同公社が、馬越峠や松本峠など区間内に17カ所ある観光スポットに来訪した客数を、地元のガイドによる案内者数などから推計して算出しているものです。これによると来訪者は平成27年から約7%の減となる32万7500人であり、2年連続で減少する事態となっています。
 熊野古道伊勢路の来訪者は、かつては年間10万人程度だったところ、平成16年に世界遺産に登録されると一大ブームとなって来訪者は順調に伸び、平成21年には20万人に倍増し、世界遺産登録十周年となった平成26年には42万9千人と過去最高となりました。
 しかしこれ以降は減少傾向となっており、同公社は「熊野古道ブームが一段落した」とみて新たなPR戦略を模索しているとのことです。(中日新聞 5月7日付け)


 わしも熊野古道伊勢路、ひいては東紀州地域(三重県南部の尾鷲市、熊野市、紀北町、御浜町及び紀宝町の2市3町からなる地域)の観光振興には高い関心を持っており、この数字は大変残念ではあります。しかし、三重県内の他地域の観光スポット、例えば伊勢志摩や長島スパーランド、鈴鹿サーキットなどと熊野古道は決定的に性質が違っています。すなわち、伊勢志摩が伊勢神宮を中心に、おはらい町や鳥羽水族館など核になる集客拠点が地域内に集積しており、かつ観光客がそこで宿泊や食事、土産物の購入など消費行動を起こす仕掛けがハード、ソフト両面で整っています。
 一方で、熊野古道は峠や神社、名勝などが広範囲に分散しており、しかも峠歩きなどのように汗を流して体感しないと良さが理解しにくいという、一般の物見遊山客にはある種「敷居が高い」地域になっています。また、観光客が東紀州内で消費する仕掛けもまだまだ弱い印象もあります。

 ちなみに、同じく世界遺産熊野古道を有している和歌山県側の来訪者数はどう推移しているのでしょうか。
 和歌山県は毎年「和歌山県観光客動態調査報告書」というものを公表していますが、ネットで見る限り、三重県と同じ条件で算出したものかどうかは不明でした。和歌山県内の観光拠点を17地区に分け、それぞれの宿泊客数、日帰り客を算出しています。特に宿泊者数については外国人の数も明らかにしていることが大きな特徴です。
 17地区の中には「熊野古道」のカテゴリーがないので、最も近いと思われる「田辺・中辺路・百間山・南部」の観光客総数を使って両県を比較したのが下の表です。


 まあ、あくまで便宜的に作ってみたのであまり深読みしても的外れな結論になるかもしれませんが、平成22年から平成23年にかけて客数が落ちていて、その後増加傾向に転じ、世界遺産10周年の平成26年にはピークとなって、次年度から再び緩やかに減少する、というほとんど同じ傾向を示しています。母数が全く違うので一概に決めつけるわけにいきませんが、非常に興味深く思われます。

 確実なことは、こと熊野古道観光に関しては県境など関係なく、紀伊半島最南部を地元住民もすべて「熊野」と呼んでいるように、大きなエリアとして成り立っているという実態です。
 このため、三重県は三重県エリア(伊勢路)だけ、和歌山県は和歌山エリア(中辺路や大辺路)だけ、奈良県は大峰奥駆道だけ、を観光プロモーションしてもあまり意味はなく、PRはもちろん、観光キャンペーンや観光客向けのサービスなども連携して、共同で行わないと目的は十分果たせないということです。

 このことは関係者はとっくにわかっていることなのですが、実際に「大熊野」で三県と各市町村が連携して事に当たろうとすると、いろいろ不都合な点や不協和音が出て、結局はバラバラな施策にスケールダウンしてしまうことも過去から多々見られました。

 つまるところ、これをどうするのか、という点に尽きるでしょう。

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