2017年6月25日日曜日

法に触れなければ問題はない

 ホームページに掲載すべき産業廃棄物の認定施設リストから特定業者を抜かしていたり、県の物品等調達優遇制度において、企業が障がい者を就労させていることを確認すべきなのを怠っていたり、原則として県外在住者の子弟は県立高校に越境入学できないところ、スポーツ強豪校などで違反事例が見つかったりと、ここ数カ月で「不適切な事務処理」が次々と明らかになっている三重県庁。わしのような一事務職員にとっては、正直なところ、明日は我が身ではないかと身につまされる気がします。
 行政事務には膨大な実施要領やマニュアル、手順書があり、無数の事務手続きが定められています。これらすべてを熟知し、まったくミスを犯さずに遂行するのはそれなりに難しさがあり、それゆえに稟議とか相互チェックが重要で、もちろん県庁でもそうした手続きは決まっているのだけれど、多くの業務を抱え、時間に追われていると、事の大小にかかわらず、いつ、どこにミスや過失や錯誤が潜んでいるかはわからないものです。
 伊勢新聞のコラム「大観小観」が、一連の不適切事例の謝罪会見時に、事務処理にミスはあったが法令には違反していない、と弁明する県職員について書いています。


 「法に触れなければいいという県職員が増えていったのはカラ出張事件(はんわし注:平成8年度の)からだ。」とあり、県政ウオッチャーにはそう見えるのでしょうし、事実そうした面があるのでしょうが、わしが思うのは、平成8年以降と、今ではその状況が変わっているのではないかということです。

 カラ出張とは、出張してもいない用務先に出張したことにして復命書を作り、その旅費の請求は課員に代わって庶務係長が行って、旅費は裏金としてプールし、国への陳情の際の手土産代とか接待費用、課員の残業時のタクシー代などに使っていたというものです。多くの職員はこれはよくないことと知りながら関与し、いわゆる北川改革によって「県庁総ざんげ」が行われたのでした。(ただし、わしのようなヒラ職員は裏金のことなど知る由がありませんでしたが)
 この時に対外的な弁明に使われたのが ~伊勢新聞によると~ 「裏金は法に触れていない」ということだったそうです。わしにはこの理屈がよくわかりませんが、推測するに、
・旅費を土産代につるのは、正規の予算の流用手続きを行えば可能であり、手続き上はともかく使途に法令違反はなかった。
・土産は中央官僚に三重県への心証を良くしてもらうためで他の県もやっており、動機は三重県のためという純粋なものだった。
 というようなことになるのでしょうか。

 このカラ出張事件の前後から、地方行政の現場では「政策法務」が広まり、リーガルマインドとか法的思考などもかなり一般的になってきました。一部の職域では日ごろからあまり法的根拠とか法解釈について考えずに業務が行われていたことも見られ、法令に根拠があるか、その解釈は正しいのか、といった注意が職員にも共有されてきた時期でもありました。

 一方で、最近になっての伊勢新聞の指摘のような傾向は、わしが見るところ、ごく近年、この5~6年くらいのことのような気がします。
・法律上、問題はない
・よそも6割くらいはやっている
・道義面からは色々な異論はあろうが、法令には違反していない
 などというコメントが組織の上のほうから頻繁に聞かれるようになったころからではなかったでしょうか。
 よく言われるように「組織は戦略に従う」ので、道義的、倫理的にはともかく、法令に反しなければ何をやってもよい、何を言われてもよい、という哲学やマネジメントが日常的に行われていれば、多くの職員が「法令違反の有無」を最後のセーフティーネットだと考えても無理はないような気がするのです。

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