2017年6月28日水曜日

商品が普通に流通すること

写真は本文と関係ありません
 わしは食品スーパーやデパ地下めぐりがほとんど趣味といってよく、時間があるとイオンの食品売り場をうろうろしているのですが、ふと、名前を知っている東紀州(三重県南部の、尾鷲市、熊野市、紀北町、御浜町、紀宝町の2市3町からなる地域)の生産者や企業の商品が並んでいると、つい嬉しくなってしまいます。
 東紀州の産品といえば、価格以外にあまり差別要因がない干物のような日配品であったり、生産量(収穫量)が少なく、そもそも地域外に流通することが少ない茎漬けのような商品であったり、というイメージがかつては強いものでした。
 しかし、関係者の努力によって、今はイオンをはじめ、ぎゅーとらのような地域スーパーの店頭でもよく見かけるようになりました。おかげ横丁にある食品店では、かなりレアな季節限定商品なども置かれていて、東紀州の商品はかなり消費者に定着してきた感があります。

 それだけに、わしが店頭で見かけるような、まっとうな商売というか、普通の流通ルートで、正々堂々と販売競争を闘い、勝ち残ってほしいと願う気持ちもまた、とどめることができません。
 その思いを強くするのは、ふるさと納税の返礼品競争のゆがみを、ふるさと納税の納税者(と言う名のタックスイーター)だけではなく、地域の生産者や企業からも聞くことがあったからです。
 本来は住居地の自治体に納めるべき税金を、縁もゆかりもない、そして応援する気もないどこかの自治体に納付し、いわば「お買い物感覚」で割安な返礼品を受け取ることが、住民サービスの負担原則を逸脱するものとして問題視されてからかなりの時間が経ちます。
 国(総務省)はようやっと今春、納税額に対する返礼比率の制限や、換金性が高い返礼品の禁止などを自治体に行政指導しましたが、まだまだ矛盾は残っています。

 その一つが、生産者、企業も、返礼品用として自治体が地元産品を買い上げることを「特需」などと呼び、地場産業の振興とか、地域の小規模零細な事業者の支援とみなし、歓迎する声すらあることです。これは大きな誤解です。自分の首を自分で絞めていることにほかなりません。

 木下斉氏が言うように、自治体による買い取りには次のような問題があります。

1)自治体による地元産品の買い取りは、地方産品の市場取引が拡大しているわけではない。生産者に売り上げは立つが、ふるさと納税者はほぼタダで手に入るから喜んでいるだけ。
2)消費者が直接対価を支払っているわけではないため、既存の顧客に対してはブランド価値を棄損することにつながる。
3)地方産品を通じて地域活性化を図るのなら、妥当な価格で営業し、販売を積み上げなくてはいけない。ふるさと納税ではなく、真っ当な市場取引を通じて商品流通を行わなければならない。
4)自治体が多額の商品を買い取るふるさと納税“市場”は、中小零細企業・生産者にとって小さくなく、魅力的に映る。市場競争よりもてっとり早く今期売上を上げられるこの仕組みが横行すれば、市場で苦労して営業する真っ当な生産者ほど馬鹿をみる

■WEDGE Infinity   木下斉「地方をダメにするふるさと納税の不都合な真実」

 このように「商品が普通に流通すること」が大きくゆがめられる可能性があるのです。
 本来なら、事業者はマーケティングを行い、商品を改良したり、生産工程を改善したり、新商品を開発する努力が必要です。
 わしの考えすぎかもしれず、あるいは失礼な物言いになったかもしれませんが、ブームに陰りの見える「ふるさと納税特需」には過度に依存してはいけません。消費者から選ばれる商品づくりに徹してほしいのです。

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