2017年7月17日月曜日

中小企業の潮目が変わりつつある

 桑名商工会議所が開催告知していた「桑名後継者塾」の受講申し込みが定員を越えたことを、この塾で主任講師を務める武田経営研究所 所長の武田秀一さんがブログに書いていました。定員越えは昨年と同様とのことですが、事業承継にここまで関心が高くなってきたことに、わしはある種の感慨を覚えます。
 数年前、中小企業の現場からは「人手不足」の声が聞かれるようになっていました。しかし、マスコミの論調は、まだまだ仕事を得られない人は巷に溢れており、企業はもっとたくさん雇用すべきだというものでしたし、行政による雇用施策も、求職者や学生がいかにすれば企業に就職できるかの「ノウハウ」伝授や、働くことの意義・モチベーション向上対策などが主流で、労働市場はとっくに「売り手市場」に変化してしまっており、従業員が確保できないため事業が行き詰まる「人手不足倒産」の危機さえ中小企業には迫っているということが広く認知されるようになったのは、つい1~2年前です。
 このように、マスコミや政府、労働組合からの広報はしばしば中小企業や労働市場の現場と乖離します。上からの情報だけでなく、現場の声を聞き、冒頭の武田先生の情報を重ね合わせると、中小企業経営の主要テーマの潮目は「後継者対策」「事業承継(事業廃止)対策」に大きく変わりつつあることがわかります。


 もちろん、事業承継の重要性がまったく社会的に軽視されていたわけではありません。政府や日本商工会議所などの商工団体も、戦後まもなく創業した中小企業の経営者や個人事業主の多くが70歳となり、第一線を離れると予想された平成20年ごろにも、各都道府県に事業承継支援センターが設け、また、相続税法などの関連法令も改正されて、株式の譲渡や相続への課税があまりに過酷で、納税には資産を処分せねばならず、事業の継続が危ぶまれるといった事態はかなり改善されるようになりました。(ちょうどそのころ、亀山商工会議所で開かれた事業承継セミナーに参加した時の内容を、以前このブログでも書きました。リンクはこちら

 それ以来、事業承継支援は細々ながら連綿と行われては来たのですが、ここへきて、戦後第一世代の経営者の引退が本格化したことや、長引く地方経済の低迷、そして地方企業といえども外国との競争から逃れられなくなっているグローバル化など、が企業の新陳代謝を強く促すタイミングになったのかもしれません。

 事業承継は、株式や事業資産の譲渡といった法的、税務的な課題、会社組織の改革など経営的な課題があるのはもちろんですが、事業承継の肝は、すなわち「後継者を決めること」にほかなりません。そして譲渡する時期を見据え、それに向かって戦略的に後継者を育成し、ステークホルダーにも世代交代のための地ならしを進めていくことが重要になります。
 桑名後継者塾は、中小企業の戦略立案を支援して四半世紀になるという武田先生が、企業の後継者は旧態依然の価値観に囚われず、戦略的にマネジメントしなければならないというテーゼを立て、その戦略的思考を養うプログラムになっているとのことで、受講生には非常に有益なものだと思います。
 地方における雇用確保の場として中小企業の役割や重要性が再認識されている今、行政機関や商工団体は、このような後継者育成のための支援を、求職者・学生への就職支援と同様かそれ以上に強く取り組んでいくべき時に来ているようです。

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