2017年7月5日水曜日

秋元さんに聞くNPO経営と企業経営(上)

 先日、津市で、岡崎ビジネスサポートセンター(OKa-Biz オカビズ)の秋元祥治センター長によるセミナーが開催されたので行ってきました。
 地域や社会の課題をビジネスの手法によって解決する、ソーシャルビジネス(コミュニティビジネス)をテーマに、「事業⾃⽴したNPOへ、いかに成⻑するか。NPO経営経験とオカビズから語る、事業のポイント」と題された2時間ほどの講演でしたが、非常に有意義なものだったのでメモしておきます。
 秋元さんは平成13年、まだ大学生だった21歳の時に、岐阜市の商店街のイベント運営やタウン情報誌を事業とするNPO法人、G-netを起業。その後、大学生を中小企業経営者に弟子入りさせ、ビジネスを共に考えて行動する「ホンキ系インターンシップ」事業や、中小企業向けの大学生の就職マッチング支援事業に業態を転換し、事業規模(年商)1億円、常勤雇用者12名にまで成長させました。これは全国的に見ても大変な成功で、経済産業省の「ソーシャルビジネス55選」など多数の表彰を受けています。
 現在はG-netの代表理事は退き、オカビズのセンター長として中小企業の売り上げアップのためのコンサル業務に従事されていますが、ここも年間で2000件以上もの相談が殺到する、行列のできる経営相談所として全国的に有名になっています。

 さて、この日のセミナーの聴衆は、これからソーシャルビジネス(SB)を起業しようとしている人、実際にSB事業をしている人だったわけですが、秋元さんから聞きたい関心事項は、どうすれば自分たちのSBが継続・発展できるか、言い換えれば「どうすれば売り上げが上がり、適正な利益を得ることができるのか」についてが多いようでした。

 言うまでもないことですが、SBとはビジネスのスタイルのことであって、事業主体がNPOか、企業か、は重要な違いではありません。
 そして秋元さんによれば、NPOの起業と経営を経験し、同時に中小企業からの相談に応じることで経営の実態を熟知してる自分の意見としては、つまり、非営利事業と営利事業の両方を知り尽くしている立場から見れば、NPO経営も企業経営も実はあまり変わらない、ほとんど同じと言ってよいものだそうです。
 数少ない両者の違いは、NPOは企業に比べて無償ボランティアによる協力や、寄付金・募金などが得られやすいことです。
 実際に、岐阜駅前にあるG-netのオフィスが数年前にリノベーションした際、数百万円かかった費用はクラウドファンディングによる寄付と工務店の協力とによって、実質自己負担ゼロで賄えてしまったそうです。

 NPOの経営と聞くと、「事業型NPO」のようにしっかりした収益事業やビジネスモデルを持ち、おおよその年間売り上げそ3000万円以上を目指すべきだという議論になりがちです。しかしこれは必ずしも正しくなく、売り上げはあまりなくとも、有志が無償で集まって社会的に意義ある活動を行う「ボランティア型NPO」も立派なあり方であって、どちらが良くてどちらが悪いという問題では全くないと言います。
 要は社会的に有用な ~社会にインパクトがある~ 活動かどうか、そしてそれが持続できるかどうかが本質的な問題なのです。

 その前提に立った上でNPO経営を見直してみると、実はマネジメントが難しいのは「事業型」と「ボランティア型」の中間にある、事業規模が300万円~3000万円くらいのNPOです。このような中間型のNPOは、売上げの確保に苦しみ、ついつい運営を補助金や助成金に頼ってしまいがちです。
 しかし補助金や助成金は、あくまでもロケットの補助エンジンであって、新しい事業展開や商品開発の際の打ち上げ(加速)に使うべき資金です。上昇した時点で切り離して、本体のエンジン(本業)に点火して進まなくてはいけません。そのはずが、つい運転資金にまで補助金を充当するようになってしまうと、次の補助金をもらうために事業をするという自転車操業に陥ってしまいます。

 そうならないためには、ボランティア型でのNPO運営を目指すのでなければ、やはり売り上げの確保は大切です。この原則にNPOも企業も違いはなく、顧客にとって魅力ある製品やサービスを提供することでしっかりと対価をもらうのが重要であることにもNPOと企業の違いはありません。

 それでは、どうすればSB事業者は売上げをアップすることができるのでしょうか。
 実際にオカビズでアドバイスした中小企業の成功例を通じて、SBならではの売り上げ戦略についてセミナーは進んでいきました。
(つづく)

■岡崎ビジネスサポートセンター OKa-Biz   http://www.oka-biz.net/

■NPO法人 G-net   http://gifist.net/

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