2017年7月6日木曜日

秋元さんに聞くNPO経営と企業経営(下)

(承前) 秋元さんに聞くNPO経営と企業経営(上)

 ソーシャルビジネス(社会や地域の課題をビジネスの手法によって解決する事業)の事業者にとっての売り上げアップ手法は、秋元祥治さんによれば、例えば次のようなものです。
1)お客さんから費用が回収できないか。
 SB事業者の商品(製品やサービス、ノウハウなど)の受益者から費用が回収できないか、もう一度よく考えてみましょう。そもそもあなたの事業から利益を受けているのは誰でしょうか。そして、その受益者から得ている利益は本当に適正なものでしょうか?
2)お客さんを細分化してみる。
 うな丼には松(特上)、竹(上)、梅(並)があります。梅はたくさん売れますが利幅が薄いので店はあまり儲かっておらず、実際には利益の大半は利幅が厚い松のお客からである、とはよく聞く話です。顧客(受益者)の特性や属性によって価格を変えてみることはできないでしょうか?


3)間接的な受益者はいないか。
 LGBT(性的マイノリティの人々)についての正しい知識を啓蒙するセミナー事業を考えている経営者がオカビズにやってきました。固いイメージが先行してしまい、なかなか新規顧客が開拓できないことが悩みだったのですが、よく話を聞くと、LGBTに優しい企業(働きやすい環境を整えている企業)には、女性からの求人が増加するという予期せぬ効果が顕著であることがわかりました。そこでオカビズはその経営者に対して、LGBTの啓蒙ではなく、人手不足が深刻なおり、どうすれば求人が多く集まる企業になれるのか、それにはLGBTを知ることがキーになる、そのためのセミナー事業、というPR方法を提案しました。
 その結果、実は多くの企業がこうした問題に関心を持っており、人手不足をきっかけにLGBTへの理解を従業員にも深めたいというオーダーが多く寄せられるようになりました。この場合、SBの対象はLGBTの人々ですが、マネタイズは一般企業からということになります。つまり企業が間接的な受益者なのです。(LGBT研修 オンザグラウンドプロジェクト の事例)

4)運営ノウハウを販売できないか。
 商品がなかなか売れないものだとしても、それを生み出すに至った経緯や、製造、運営などのノウハウが販売できるケースがあります。本や教科書の出版、セミナーの開催など、ノウハウを必要な人に伝えることで利益が確保できるかもしれません。
 ある食品メーカーは非常食用のパンの缶詰(乾パンではない)を製造していましたが、市場に限りがある非常食ではなく、賞味期限が長いことを逆手にとって土産物用のパンの缶詰を発売し、ヒット商品になりました。さらに、そのノウハウを生かし、地域の食材を原料に使った「ご当地非常食」も行政とタイアップして開発し、市場を拡大しています。(缶入りパン アルディ の事例)

5)寄付や会費がもっと集められないか。
 オカビズにはお寺の住職からの経営相談もあるそうです。檀家の高齢化や減少が課題になっているお寺は多く、お寺の経営のための雑誌も多数発刊されている現状があります。お寺を「経営」に見立てるとすると、檀家はお寺にとっての「会員」であって、コミュニケーションの改善や、檀家が持つニーズにきめ細かく応えていくなどの工夫によって、檀家がいっそう寄付をしてくれることも不可能ではないでしょう。
 お寺はあくまで一つの例ですが、顧客を会員制にしてより高度なサービスを提供することはSBにとっても一考に値します。

 SBにとって、このような1から5までの方法をまず考えたうえで、どうしても必要な時に初めて凝視絵の補助金や助成金の獲得を考えるべきだ、というのが秋元さんのお話でした。
 また、オカビズの支援事例として、
・樹脂の精密加工技術を生かし、近寄らないと字が読めない子供用の防犯名札「お名前かくれんぼ」を商品化した(株)飯田樹脂の事例
・若者世代の顧客開拓のため、店主が熱心に取り組んでいたペットの遺棄防止活動からヒントを得て「肉球羽二重餅」を開発し、売上げの一部を寄付している和菓子店 小野玉川堂の事例
 など、非常に示唆に富むケースも紹介していただきました。

 秋元さんの講演は予定時間いっぱいまで行われたため質疑応答の余裕がなかったのが残念でしたが、この内容に啓発され、ソーシャルビジネス、コミュニティビジネスがますます三重県内で発展し、多くの志ある人たちが起業することを期待したいと思います。
 今回のセミナーを企画された、三重ソーシャルビジネス支援ネットワークの関係者に感謝申し上げます。

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