2017年8月8日火曜日

マイナビが農業求人市場に参入へ

日本農業新聞ウェブサイトより
 先日、各紙に6月の有効求人倍率が1.51倍となり、バブル期を大きく上回り、昭和49年以来43年ぶりの高水準となったことが報じられていました。これは、求職者は必ず何らかの仕事に就けるという「完全雇用」状態であって、企業からすれば求める人材が非常に獲得しにくい、厳しい売り手市場となっていることを示します。
 特に人手不足が深刻なのは農業で、日本農業新聞によると平成28年度の全業種の有効求人倍率は1.39でしたが、農業に限定すると1.63と突出します。これは、農業の規模拡大や農業法人数の増加で求人は増えているのに対し、肉体労働であるうえに、農繁期の短期雇用であったり、作業時間が天候に左右される農業は稼ぎにくいとして敬遠されているためで、このまま深刻な人手不足が続けば農家の経営維持・拡大にも支障が生じかねない状況だとしています。(7月30日付け)
 こうした中、求人大手のマイナビが農業分野の求人サービスに参入したことが大きなニュースになっています。マイナビに勝算はあるのでしょうか?


 農業という産業は、行政から非常に手厚い保護を受けています。農水省や都道府県、JAなどが主催する新規就農や農業転職希望者の求人マッチングイベントなどが、今までも全国各地で多数開催されてきました。また、あぐりなび.com や第一次産業ネット、農家のお仕事ナビなどの民間による求人サービスもあります。
 いわば過当競争のレッドオーシャンなのですが、ナイマビによると新しいサービスである「マイナビ農業」は、「農業に関するさまざまな情報を網羅した総合情報サイト」であり、農家、流通業者などの関係者をはじめ、新規就農希望者や消費者など全方位に向けた情報が集まる多彩なコンテンツが特長だとのことです。

 こうしたサービスを始める理由についてマイナビは、
・農業従事者の高齢化や減少、流通経路の多様化、アグリテックやAI活用など農業の環境は変容を遂げている。
・しかし、そのノウハウや情報を包括的に得る機会が限られているのが現状。また、「農」は消費者にとって身近であると同時に、どこか遠い存在なことも実情。
・そこで農業者はもちろん、興味・関心がある人、一般消費者まで幅広く「農」に関わる情報を提供し、農業の魅力を伝えるメディアが必要と考えた。
 と説明しています。

 わしが興味深く思うのは、アグリテック、すわなち農業(アクリカルチャー)と技術(テクノロジー)をかけ合わせた造語を主要なテーマに持ち出していることです。アグリテックの典型例が植物工場であり、ICTを使った栽培制御や効率的な物流、メカトロ技術を使った農作業の効率化などですが、こうした分野は農業者サイドより、むしろ技術サイドにいるICT企業、ロボットや機械のメーカーなどの関心が非常に高く、彼らは農業市場に大きな参入チャンスを見出しているのです。マイナビもこれに乗っかったのではないかと思います。
 また、農業体験やグリーンツーリズムなど農業を核にした観光業とのコラボや、新商品・特産品の開発と商流の開拓にもまだまだ成長の余地ありと見ているようにも思います。要するに、求人サイトであるマイナビの農業版にはとどまっていないように感じるのです。

 逆説的な見方ですが、これは農業という産業にとってはチャンスだとも言えます。工業や技術、観光業、食育といったさまざまなビジネスチャンスが多くあることをマイナビが認めていることになるからです。
 楽天をはじめ、多くの大企業が農業に参入することで、小規模零細な農家の退場と同時に、従来の農業支援の枠にとどまらないさまざまなニューカマーの参入が進むことで、失敗の連続だった農政、農業支援は、あたらな一歩に大きく踏み出すことになるのかもしれません。
 

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