2009年9月30日水曜日

ステロイドを塗る日々


 ちょっと前になりますが、文春新書の「アトピービジネス」という本を興味深く読んだことがあります。

 著者は大学病院に勤務する皮膚科の医師ですが、彼が医師になりたてだった昭和40年代、アトピー性皮膚炎はポピュラーな病気で、皮膚を清潔にしてステロイド剤を正しく使えば良くなる(正しくは、病気はなかなか「完治」するものではないらしいので、悪化しない状態でうまくコントロールできている状態、医学的には寛解(かんかい)という表現が正しいようですが)するものだったそうです。
 皮膚科医師の間では、アトピーを特別な病気だとする意識は全くなかったそうです。

 それが、昭和50年代になると、おもに小児科医師の間で、アトピー性皮膚炎とアレルギーの関係を重視する考え方が提唱されるようになりました。従来の皮膚科による治療法はステロイド剤に過度に頼りすぎるもので、患者のアレルギー体質を直さない限り、アトピーは根本的に完治しないという考え方が急速に広がってきました。

 著者によると、ステロイド剤は使用法さえ間違わなければ安全な薬ですが、一部に副作用が起こることもあり、薬剤である以上それは仕方がない(あくまでリスクの問題)面がある。また、そもそもアトピーが完治することなどない。という、ある意味で現実的な見解が示されるのですが、実際に苦しんでいる患者にとっては、ステロイドなどいくら塗ってもムダで、体質を変えることでしか完治しないと言われれば、ステロイド剤は拒否し、健康食品、健康水、温浴療法など様々な体質改善療法をしたほうがいいと考えるようになるのは自然なことでしょう。

 昭和60年代に入り、アトピーの問題がマスコミに喧伝され、国民にも広く知られてくるようになると、患者によるステロイドの誤用や一部の知識の少ない医師による間違った処方などもあって、ステロイド剤でかえってアトピーの症状が悪化した、という「ステロイド剤 イコール悪」「ステロイドを勧める医師 イコール儲け主義で製薬会社の手先」のようなキャンペーンが定着していきます。

 著者によるとこれは逆で、ステロイドを拒否して怪しげな民間療法に頼ったことで、かえって症状の悪化を招く患者が続発していたとのことです。
 世界中で日本だけ、アトピーが難病扱いされ、(著者の見解によれば)医学的根拠のない、迷信に近い療法や薬、健康食品のビジネスが闊歩し、大きな利益を収めている状況を、「アトピービジネス」と皮肉って、いい加減な記事を書き散らすマスコミの責任も含めて指弾しているこの本は、個人的に大変勉強になりました。

 さて、いま、右手にステロイド剤を塗る毎日です。
 数日前から手がかぶれてきて、痛くもかゆくもないのだけれど肌が乾燥気味で白っぽくカサついてくるので、近所の皮膚科に行ったら、医師はほんの一瞬、手を見ただけで「あー、これは湿疹ですね。薬出しときます。」と、5秒で診察終了。処方してもらったのがダイアコート軟膏です。
 劇的には良くなりませんが、見た目は少し落ち着いてきました。
 軟膏を手にヌリヌリしながら、アトピービジネスの本のことを思い出したのでした。


2009年9月29日火曜日

ちょっとうらやましい話

 九州大学が、グラミン銀行の創始者であるムハマド・ユヌス氏が代表を務めるユヌス・センターと、27日に提携研究機関設立のための覚書の締結を行った、とのニュースが伝えられました。

 ゆかしメディアから転載すると

 九州大学によると、ムハマド・ユヌス氏を招き、27日に福岡市内で「福岡アジア文化賞20周年記念 ムハマド・ユヌス氏講演会」を開催。ユヌス氏は貧困 のシステムや、その解消について講演。講演会の最後にユヌス・センターと九州大学との間で「グラミン・クリエイティブ・ラボ(GCL)@九州大学」、ユヌ ス・センターと九州大学、NTTとの間で「グラミン・テクノロジー・ラボ(GTL)」の設立検討に向けた覚書の締結が行われた。

 GCLは、グラミン銀行のソーシャル・ビジネスのネットワークと大学の連携により、ソーシャル・ビジネスにおける新たなビジネスモデル構築を行うためのインキュベーター組織。同行と提携する各国大学内にあり、日本では立教大学に続いて2例目となる。

 とのことです。
 グラミン銀行とは、世界最貧国といわれるバングラディシュで1976年に創設された銀行です。小額の貸し付けを、貧困者(特に女性)に対して行い、その資金を元手に商売したりすることで生計を立てさせ、貧困からの脱出を図ろうとする目的で活動しており、創設者であるユヌス氏は2006年にノーベル平和賞を受賞しています。

 コミュニティビジネスについては何度かこのブログでも書いていますが、グラミン銀行はCBのような地域課題の解決というより、貧困の撲滅といったグローバルな課題解決を目指す、いわゆる「ソーシャルビジネス」(社会的企業)の典型です。

 民主党政権の誕生によって、変革という言葉が日本でも実感できるようになってきました。
 日本の経済も、製造業中心、輸出型産業中心の20世紀型産業構造から、サービス業、観光業、健康福祉産業などの内需型産業が中心となり、コミュニティビジネスやソーシャルビジネスの手法によって、住民みずからが持続的に地域課題や社会課題を解決に取り組むという21世紀型産業構造への変革が、歴史的な必然とは言え、実現するスピードがより加速されるのかもしれません。

 さまざまな「地域おこし」的な活動も、無償ボランティアとしてはともかく、自立的に継続していくためには収益を上げなくてはならず、それにはビジネス手法が必要ですし、ビジネスである以上、ビジネスの「血液」である金融も不可欠になります。
 住民啓発的な「地域の資源探し」とか「まずやってみよう」的な起業促進も、今では確かな流れになっており、次のステップとして、スモールビジネスに運転資金や設備投資資金を融資してくれる「市民バンク」の必要性は、まもなく全国的にも強く認識されてくることでしょう。

 九州では、それを先取りした動きが早くも現れているのです。うらやましい限りです。

2009年9月27日日曜日

伊勢まつりと伊勢大祭の違いは・・・

 9月26日と27日は、伊勢市のJR伊勢市駅一帯で伊勢まつりが開催されていました。
 秋のこの時期に行う祭りは、確か「伊勢大祭(おおまつり)」と言っていたはずなのですが、今年はどういうわけか(少なくともはんわしはその理由をネットで探したけどわかりませんでした)、伊勢まつりという名称になっていました。
 大祭のほうは、もともと神嘗祭がイベント化したもののようですので、今年は9月開催になったために名称変更したのかな、とも考えるのですが、本当はどうなのでしょうか?


 普段はほとんど人通りのない、駅前道路(県道鳥羽松阪線)もこの日は歩行者天国で、多くの賑わいが見られました。伊勢にもこんなにたくさん人がいたのか、という感じです。


 皇學館大学のよさこいソーラン(?)のチームが楽しそうに踊っていました。若いっていいなあ。
 よさこいソーランって、男性が巻き舌でガナるBGMの曲に品性がないし、しかも全国どこへ行っても金太郎アメのように同じ踊りなので、一種の文化破壊だと思うのですが、このチームのBGMはところどころ「やまとひめのみこと(倭姫命)」とか、多分、伊勢の人だけにわかるキーワードが入っていたので、ご当地ソングなのかもしれません。


 クラシックカーパレードなんてのもありました。
 ちょうど、いすゞベレッタが走ってきて、涙モノです。
 子供の頃、お隣のうちのおじさんが緑色のベレッタに乗っていました。
 ほかにも、マツダコスモとか、フェアレディZなどなどオーナーの方にとってご自慢の愛車であろうクルマが続々と続いていました。(でも、昭和40年代のクルマは排気ガスがくさいです。この点、今のクルマはクリーンだ。)


 最後は伊勢らしく、伊勢うどんで〆ます。
 このうどんを食べたのは、憲政の神様と呼ばれた郷土の偉人、尾崎行雄を顕彰するNPO法人が出店していたテントです。何と、横のテントでは尾崎行雄翁の肉声の録音が聞けるブースもあって、周囲のほとんどが露店、模擬店で埋め尽くされている伊勢まつりの中で、唯一ほんのちょっと文化的な香りがしました。

「不要」の効用

 ときどき、県内各地の商工会議所や商工会などで開催されている、創業塾とか経営革新塾に顔を出させてもらっています。
 事業計画の作成演習などは、はんわしのようなオブザーバーが受講するのは荷が重いので、もっぱら座学の聴講が多いのですが、これからビジネスを始めようという人に向けた、日本経済のトレンドの講義とか、ビジネスチャンスの発見方法や発想法についての講義などは、日々の仕事でも大変参考になるものが多いと感じます。

 先日聞いたのは、「不要の効用」というものです。
 はんわしも中年にさしかかり、自分でも気づかないうちに日常生活はルーチン化しています。変化がなくなっています。

 平日は、毎朝同じような時間に起き、同じ道を通って駅に行き、同じ電車に乗る。

 職場では同じ顔ぶれで毎日同じような仕事をする。

 帰りはギリギリまで職場にいて、寄り道もせずさっと帰る。たまに行くとしても同じ本屋とか飲み屋。

 これでは新しい発想はなかなか生まれてこないので、たまには、自分が全然関心のない分野の音楽も聴いてみる、映画も見てみる。若者しか行かないようなテーマパークにも行って見る。
 決して無理をする必要はないが、普段行かない場所で普段は受けない刺激を感じると、ひょっとして独創的なアイデアも生まれるかもしれない。
 そんな話でした。

 これは、人口が少なく(したがって、どうしても顔見知りの割合が多くなる)、移動手段はクルマだけ、行くのはショッピングセンターだけという田舎に住む人間こそ、おおいに心がけなくてはならないことのように思います。
 昨日は、いつもは近鉄の急行で行く経営革新塾の会場に、あえて普通列車で行ってみました。ガラガラで空いているのはありがたいのですが、何しろ止まる駅、止まる駅、誰も乗ってこないし、近鉄は人口減少社会で経営を続けていけるのかと心配になってしまいました。これも新しい発見といえばそうなのでしょう。
 しかし、移動時間が急行の2倍くらい余分にかかってしまうし、何より数駅ごとに特急だの急行だのに追い抜かれてフラストレーションもたまるし、こんなささやかな「創造のための不要」も、果たして今後続けられるか不安になったりしたのですが。

 よく、これからは物質の豊かさでなく、心の豊かさこそが大事だ、と言われ、そのことはよくわかるのですが、急行が頻繁に走っているという「物質的な豊かさ」がないと、目的地にスイスイ着くという「心の豊かさ」も感じられないのではないでしょうか。心の豊かさ「だけ」がある社会って、実際は成り立たないのではないでしょうか?
 一方で低炭素社会とやらを目指す中で、クルマの利用ができなくなる(例えばガソリンや自動車に対して炭素税や環境税が課税されて、誰もが車を使える時代でなくなる)と、生活スタイルは、いやおうなくこんな感じに変わっていくのかなあ、と思ったりもしました。

2009年9月25日金曜日

子犬の激安販売っておかしくないか?


 県庁1階のロビーで、動物愛護の絵・ポスターの展示が行われています。
 入選作だけあって、皆さんお若いのに才能があるのですねえ。感心します。今後、県内各地を巡回展示するようですからお近くの庁舎に行った節は、ぜひご覧になってみてください。

 と同時に、この話を前々から、いつか書こうと思っていたのですが、何年か前に津市と鈴鹿市の境界あたりの国道23号線沿いに、「子犬激安! 5~7割引販売」という赤い巨大看板が建って、すごく驚いた記憶があります。
 ちなみに、この看板を出している店はまだあって、原色の巨大看板も健在?です。ご存知の方も多いでしょう。きっと商売繁盛なのでしょう。
 それ以来、子犬の激安販売という看板はけっこう各地で見かけるようになりました。

 正直、このセンスはどうしてもわかりません。

 日本は資本主義社会なので、公序良俗と法令に違反しない限り、あらゆるものが商品になります
 ペットショップというビジネスは、どうやら先進国の中では日本特有の商売らしいのですが、良い悪いは別にして、資本主義社会の中でビジネスとして定着もしているし、ここから犬を買うのはごく普通の商行為ですから、これをとやかくは言えません。
 犬という商品には価格があるのも、これまた、とやかくは言えません。

 しかし、いやしくも命のあるものを売っているわけだから、堂々と「定価いくら」とか、「割引販売」とか言うのには、もう少し逡巡というのか、躊躇というのかがあってもいいのではないかと思います。勝手な感情かもしれませんが、生理的にそう思ってしまいます。
 犬に勝手に値段をつけて、さらにそれを勝手に「値引き」して販売するのには、そのような後ろめたさが微塵も感じられず、アッケラカンとした乾いた心象風景があります。
 これは、はんわしの理解を超えています。
 子犬激安販売の看板は決して法律には違反していないのでしょう。
 しかし、良識の問題として、これが放置できるほどに「表現の自由」が保障されている日本は少しおかしくないでしょうか。

 愛犬ポスターを見ていると、このような絵を描く、温かい心を持つ子供たちもたくさんいることが救いではあると強く感じます。

2009年9月24日木曜日

商店街に魅力なし、と言いますが

 内閣府がこのたび公表した「歩いて暮らせるまちづくりに関する世論調査」の結果が数日前の新聞各紙に取り上げられていました。(内閣府HPはこちら

 たとえば、代表的な報道の例として時事通信社の記事をあげてみます。

「商店街に魅力なし」が4割=内閣府調査
 内閣府は19日、「歩いて暮らせる街づくりに関する世論調査」を発表した。それぞれが暮らす地域の中心市街地の課題を聞いたところ、40.6%が「商店に 魅力がない」と回答。「にぎわいが感じられない」(32.1%)、「鉄道やバスなど公共交通機関の利用が不便」(29.4%)が続いた。
 内閣府は各地で進 む市街地の空洞化が裏付けられたとみており、「車を持たない高齢者らに配慮したコンパクトな街づくりが必要」としている。調査は7月16日から8月2日にかけて、全国の成人男女5000人を対象に個別面接方式で実施。有効回答率は63.1%だった。
 街を歩きやすくするために必要な取り組みとしては、60.4%が歩道の拡張と回答。バリアフリー化や電柱撤去を求めたのは54.0%、照明など防犯のための施設整備が51.9%だった。(2009/09/19) 


 これは、全国の大都市、中都市、小都市を網羅した調査結果ですが、ほぼ一般の生活者の実感を代表しているもののように感じます。どう考えてもクルマの時代は「終わりのはじまり」を迎えており、コミュニティ内での人間関係の重視や、等身大の生活感覚を反映した、コンパクトなまちづくりが渇望されていることは、大都市部に限らず三重県のような地方においても日々実感するところです。

 しかし、おそらく、今のままでは現状は何も変わりません。
 つまり、我々住民自身が、生活者自身が意識を変え、行動を変えなければ、基本的にまちはますますスプロール化して郊外に拡散し、中心市街地は空洞化してスラム化し、結局は点在する公共施設や商業施設をクルマで結ぶという、高齢者にとっても障害者にとっても、子供にとっても住みにくい、落ち着かない町のままであるということです。
 
 なぜバスや列車のダイヤが不便なのか? ほとんどの住民が乗らないからです。
 なぜ魅力のある商店がないのか? 住民自身が利用しないからです。商店主を育てないからです。

 かつてのダイエーに代表される「流通革命」は、それまでの生産者の都合を優先した供給の論理から、需要の論理への大転換でした。
 しかし、この需要の論理なるものをよく見ると、価格決定権を持つのはあくまでスーパーなどの流通業者であって、消費者はその受益を一方的に受けているだけでした。文字通り、いわば完全な「お客様」となってしまい、本来の住民が持つ消費者と供給者(生産者)の2面性が削ぎ落とされてしまう過程でした。
 消費者は、安価、利便性だけをひたすら求めるようになり、商店主や、まちそのものを育てる意識を失ってしまったのです。これはまちづくりにとって不幸なことでした。

 当たり前のことですが、住民が率先して協力しなければ商店街も含めたまちの再生はありえません。その意識付けや条件整備が地方自治体の急務ではないでしょうか。

2009年9月23日水曜日

ネットショップ起業塾は熱かった

 松阪商工会広域連合が主催する「ネットショップ起業塾」に参加してきました。

 9月22日から10月4日にかけて行なわれる連続講座で、今回参加したのは、2年間に東紀州観光まちづくり公社で行なったくろしおEC塾でも講師をお願いしたアイリンク・コンサルタント(静岡市)の加藤忠宏先生によるWebマーケティングの基礎、SEO.、キーワードなどネットショップの企画運営の講座部分でした。

 起業塾なので初心者対象かと思ったのですが、主催者の松阪商工会広域連合の方のお話では、定員40名のところ参加申し込みが殺到し、会場定員ギリギリの50名の受講を認めたとのこと。顔ぶれを見ると、すでに松阪地域では有名なネットショップオーナーも参加していたりして、この日のセミナー内容もかなり高度なものだったように思いました。

 加藤先生は、SEOの重要性は強調しつつも、まずSEOの前提として、集客に耐えうる充実したショップを作ることが大事だとして、ショップのイメージを決定するカラーコーディネートや、商品を魅力的に見せる写真、キャプションの重要性についてもかなりの時間を割いていました。
 SEOと、その核心となるロングテールキーワードの選定方法については、レジュメのデータを駆使してじっくり解説していただきました。ただしこの部分は加藤先生のノウハウの核心部分だと思いますのでブログへの記述は控えさせていただき、キーワードの講義の中で出た「商人に必要なセンス」の話題について書くことにします。

 バレンタインデーとホワイトデー、母の日と父の日、お中元とお歳暮、結婚祝いと出産祝い、など小売業にとって節目となるイベントにおける、検索されたキーワードの比較をしていた中で、結婚祝いでは花やキッチン用品などある程度検索対象アイテムが限られるのに対して、出産祝いでは、アルバムや食器といった親が使うようなアイテムに加え、ベビー服とか木のおもちゃのような、子どもが使うアイテムも加わってぐっと関連キーワードが広がります。また、手型、足型、ネームなどのキーワードも多く、子どもの誕生を祝福するようなサービスにニーズが高いことが分かります。

 ここで加藤先生から、出産祝いにターゲットを絞って、あるお米屋さんがネットショップで大いに売り上げを上げた。それはどんな商品だったか、という質問がありました。
 出産祝いとお米屋の関係・・・? 一同沈黙。

 その時、ある参加者が、「そのお米屋さんは、生まれた赤ちゃんの体重と同じ重さのお米をお祝い用に販売したのではないですか。」と答えました。
 大正解。
 まさにそうだったそうで、そのお米屋さんは「だっこ米(まい)」という商品名で、赤ちゃんと同じ重さのお米をパックにし、お祝い返し用に販売し大ヒットしたとのこと。ネーミングも素晴らしいと思います。

 「これからネットで商売をしようという人は、検索キーワードの羅列から、だっこ米のような優れたアイデアをひらめかせ、商品化し、販売しなくてはいけない」というのがこの時の加藤先生のコメントです。
 日常生活で目の前を流れている風景を、ただ単に見ているだけでなく、そこからビジネスのアイデアを生み、仮設を立てて検証し、ビジネスになるなら誰より早く実行する、これがまさに「商人道」というか「あきんど魂」ではないかと思います。
 この、身の回りのあらゆることに敏感になってニーズを捉え、ビジネスチャンスを考える、ということは、はんわしのような稼業にとっても重要な心がけなのではないかと思います。たいへん良いお話を聞かせていただいた体験でした。

2009年9月22日火曜日

コミュニティビジネスの情報が続々

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 コミュニティビジネスにはいろいろな定義がありますが、はんわしは以下の4条件をすべてそなえる事業活動を「コミュニティビジネス」と呼びたいと思います。

・地域の課題解決を目的にしている(地域課題とは、高齢化対策、過疎化対策、外国人との共生など、地域が持つ社会的な問題です。)
・地域の住民が主体となっている(事業主体として、あるいは顧客としての意識を住民が明確に持っていることです。)
・地域資源を活用している(地域資源とは、その土地の特産物や観光資源などのほか、住民の中で外国語が使えるとか、何かの資格を持っている人材なども含みます。)
・ビジネスの手法を使っている(無報酬のボランティア活動とは異なります。)

 三重県では平成18年度から本格的なコミュニティビジネスの支援施策を始めましたが、これ以前から県内各地でコミュニティビジネスは自発的に始まっており、むしろ全国的に見ても、ワンデイシェフシステムによるコミュニティレストランとか、行政の補助金に依存しない自立的なコミュニティバスの運営事業など、三重県はコミュニティビジネス先進県であったと言えると思います。

 行政の支援はないよりはあったほうがいいのでしょうが、所詮は一過性のものだし、効果も側面的です。
 ざっとネットを見ていても、住民自身の手になるコミュニティビジネスの動きが活発化しているニュースが次々とキャッチできるのは本当にうれしいことです。いくつかご紹介します。

■過疎化が進む熊野市飛鳥町で、地域住民が5年ぶりに食料や日用雑貨などを取りそろえるミニスーパーを併設した簡易郵便局を復活させた事例
 → 紀南新聞HP(9月20日付け)

■三重大生が10月24日の「社会起業家フェスタ」開催に向けて奮闘中
 → ミエワンブログ「社会起業家フェスタ2009in三重」

■津市の就労支援の事業所を利用する障害のある人と職員が運営する手作りパン「さとのパン」が人気
 → 東海けいざい(2月11日付け)
 → クローバーハウスブログ
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2009年9月21日月曜日

世界遺産 宇治上神社に行きました

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 昨日からクルマで京都に行ってきていました。連休の中日ということで道路の渋滞も心配したのですが、名阪国道は昨日の下りも、今日の上りも案外空いていて、伊賀地域に関しては渋滞はまったくなく、拍子抜けするほど快適にドライブできました。

 ETC搭載車は、名神か新名神を走り続けるほうが、なまじ途中に無料区間の名阪国道を入れてしまうより効果的に割引が活用できるということで、例年の観光シーズンより名阪国道は空いていたのではないかと推理するのですが。(そのせいかどうか、伊勢関ICから名古屋方面にかけては10km以上の渋滞が頻発していたようです。)


 さて、今回、実は初めて京都府宇治市にある宇治上神社(うじがみじんじゃ)に参拝してきました。ここは現存する最古の神社建築ということで本殿や拝殿は国宝であり、世界遺産にも指定されています。今まで、すぐ近くにある平等院へは何回か行ったことがあるのですが、平等院から徒歩15分程度とごく近くにある宇治上神社には行く機会がありませんでした。

 今日の宇治市は晴天で、それはありがたいのですが日差しがきつく、相当な暑さでした。
 宇治上神社は、宇治川を挟んで平等院の対岸に位置し、河岸から数分歩いた山手に宇治神社があり、そこから5分ほどさらに山奥に歩いたところに建っています。

 思いのほか小じんまりした(失礼)、質素な神社で、桧皮葺の流造りの様式が神々しさを醸し出しています。下鴨神社など京都市内にある他の世界遺産と比べても、世界遺産であることを前面に出しているわけでなく、看板も地味なものが入り口の鳥居に立てかけてあるだけで、これもなんだか我が道を行く、みたいで好感が持てました

 ただ、11世紀(平安時代後期)に建設されたという本殿は、覆屋(おおいや)という建物にすっぽり包まれる構造になっているらしく、はっきりとは確認できませんでした。

 たぶん、何百年以上も昔から、本殿と覆屋を外敵から警護してきたのであろう一対の狛犬が、今日もいかめしい表情で虚空を睨みつけていました。

 左側にちらっと軒先部分だけ写っているのが、これも国宝である拝殿です。こちらは13世紀の建築らしく、鎌倉時代の寝殿造の建物で、唯一現存するものだということです。

■世界遺産info→http://www.sekaiisan.info/ujigamijinja/

 せっかくなので平等院にも行って来ました。
 こちらは超有名スポットなので、無慮数千人の善男善女でごった返しており、京阪電鉄やJRの宇治駅方面につながる、土産物屋や茶舗、飲食店が立ち並ぶ商店街もたいへんな賑わいでした。

 阿弥陀如来のお姿が拝見できる鳳凰堂の正面には多くの人々が集まってシャッターを押していました。平等院は「さすが世界遺産」と思わせる観光地の王道を歩んでいるように拝察しました。

 余談ですが、宇治上神社が建立している土地の名前が「宇治市宇治山田」という地区らしく、近鉄宇治山田駅が最寄り駅のはんわしは、三重県伊勢市と京都府宇治市の不思議なご縁を感じたのでした。
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2009年9月19日土曜日

シルバーウィーク


 この9月の5連休はゴールデンウィークならぬシルバーウィークと呼ぶそうな。ハッピーマンデーで9月の第3月曜となった敬老の日(9月21日)と、秋分の日(9月23日)が1日間隔で並ぶような場合、その間の一日(つまり9月22日)も休日になる、という法改正がなされていたのだそうで、その改正自体は何年か前に実施済みだったものが、今年初めてそのような飛び石状態になったので初適用された、ということのようです。これは知っている人はとっくに知っていたのでしょうが、はんわしは恥ずかしながらさっき初めて知りました。まあ、休みもらえるならどんな名目でもいい、っていう感じです。

 しかし、民主党政権になって、国民の消費を拡大することで景気回復するという手法に転換を目指している中、晴天にも恵まれたシルバーウィークが良い循環を生み出すきっかけになるといいと思います。

 はんわしも菰野町のパラミタミュージアムに行きました。現在、アンコールワット展をやっており、この方面にはあまり詳しくもないのですけれど、ヒンズー教と仏教が融合した独特の仏像、神像を見てきました。クメール文化というようなのですけれど、石造ながら大変に繊細な彫刻があって、大変水準の高いものであったことはよく理解できました。
 ところでこのパラミタミュージアムは、イオン(ジャスコ)の創始者が設立した岡田文化財団の運営による美術館で、今回のアンコールワット展もそうですが、いつもいろいろと魅力的な企画を行っています。こういうのって三重県にとってありがたいことですねえ。たまたまジャスコの前身の岡田呉服店が四日市にあったからこういう施設も作ってくれたわけで。
 
 一方で、台風の影響か、海は荒れていました。夕方にいつもの二見海水浴場付近を散歩しようとしたのですが、風が強く、水位も高く、高波が堤防まで打ち寄せていてかなりの迫力でした。サーファーが二人ばかり水中にいましたが、たしかにサーフィン向きの良い波は来るのだろうけれど、怖くないのかしらん?


 

2009年9月18日金曜日

中小企業による「感動のものづくり」を支援

業務連絡です。

 中小企業の、特に下請企業と呼ばれる製造業者は、元請けからの受注激減により大変ご苦労されていると聞きます。その対策として、自社ブランドの製品、特に最終消費者に向けた生活雑器やインテリア、エクステリア製品の開発、製造に取り組もうと考えている中小企業向けに、三重県では新たな支援策を実施します。
 それが消費者モニター活用型開発支援事業です。

 消費者との接点がなかった製造業者に、試作品を実際に消費者モニターに試用してもらう機会を設け、モニターからの意見を集約して、今後の商品化に向けたブラッシュアップにフィードバックしていくものです。

 利用は無料ですが、試作品の提供や交通費などの実費は事業者負担となります。
 また、対象となるのは、新たに新分野進出として最終製品の製造に乗り出す中小企業であり、従来から最終製品を作っていた企業が新商品を開発する場合は原則として対象外です。
 なお、食品も対象外です。

 活用を希望する中小企業を、10月16日(金)まで募集し、その中から最終的に5者を選定し、モニタリングを実施します。
 くわしくは、三重県のホームページをご覧ください
 → http://www.pref.mie.jp/TOPICS/2009090048.htm

 感動のものづくりを目指す、チャレンジスピリット溢れる三重県内の中小製造業者のご応募をお待ちしています!

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2009年9月17日木曜日

国営マンガ喫茶を鈴鹿山麓リサーチパークに!


 国営マンガ喫茶などと揶揄され、117億円という莫大な建設費に対して効果があまりにも疑問視されていた文化庁による「国立メディア芸術総合センター」について、川端達夫文部科学大臣が建設の白紙撤回を明言したそうです。

 マンガに代表される日本のコンテンツ産業が、世界のサブカルチャー文化をリードしているのは事実ですが、経済危機対策に便乗して計画が急浮上してきた不透明さといい(巨額の税金をドブに捨てていることで有名な厚生労働省の「私のしごと館」も、当初の予算になかったものが経済対策として年度途中で新たに組まれた補正予算の中で、ろくな審議も経ないままドサクサで建設のゴーサインが出た経緯があります。)、そもそものセンター建設目的といい、予測される波及効果といい、はてなの連続???の計画だったように見受けられるので、大臣のこの判断は妥当なものと言えると思います。

 しかし、一方でコンテンツは有望な産業です。日本のソフトパワーが世界を凌駕することは、未来型の新産業の創造にもつながります。
 ならば、三重県の負の遺産である、鈴鹿山麓学園都市にこれを誘致してはどうでしょうか。
 ご存知の方は案外少ないと思いますが、かつて三重県は、四日市市の山間部、桜地区に「三重ハイテクプラネット21」という構想の下、環境保護技術、バイオ、新素材などの研究開発機能の集積を図る目的で、鈴鹿山麓研究学園都市という、共同研究施設、展示施設、研修施設などの巨大施設からなる都市を建設しました。
 現在でも、環境保全技術の海外移転を図る財団法人(ICETT)の施設や、 研究者の交流拠点となる(はずだった)鈴鹿山麓研究学園都市センターなどが建っています。
 近未来を感じさせる非常に斬新なデザインの壮麗かつ大規模な建物群が忽然と山の中に姿を現すのは非常にSF的な光景です。

 しかし、交通が不便なこともあって、また、この構想が計画された約20年前から経済状況は厳しさを増しているせいもあって、事業は構想途中で頓挫しており、都市センターなどはほとんど利用もされていないまま、いわば塩漬けの状態となっています。

 ここに、「国立メディア芸術総合センター」を誘致するのです。
 どうせ都市センターは空き家に近い状態なのですから、少々改装費用がかかっても新築に比べて格段に安い予算ですむはずで、それは国民の理解も得られるのではないでしょうか。
 これは決して冗談ではありません。このくらい本気で皆が変わらなければ、三重県でのコンテンツ産業の浸透も、鈴鹿山麓リサーチパークの再生も、決してありえないと思うのです。
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2009年9月16日水曜日

フラガールの信託会社が免許取り消し


 素人が手っ取り早く経済を勉強したい場合、NHKドラマの「ハゲタカ」、広末涼子主演の映画「バブルへGo」を見るのがいい、というのが定説ですが、経済のサービス化を理解するには、蒼井優主演の映画「フラガール」(2006年 李相日監督 シネカノン)が一番良い教材になることは間違いないと思います。もちろん、勉強とかの目的でなく、娯楽作品として十分に楽しめるわけですが。
 
 時代は昭和40年。舞台は東北地方の炭鉱町。
 高度成長に伴って、石炭から石油やガスへのエネルギー革命の中で、かつての花形産業であった炭鉱も経営が厳しくなってきます。閉山を決定した炭鉱会社は、坑道から湧き出る豊富な温泉を使って「ハワイアンセンター」を建設し、温水プールやフラダンスを目玉にしたリゾート施設への業態転換を目指します。
 閉山で仕事を失う、ヤマに誇りを持っていた何千人もの炭鉱労働者の嘆きや苦しみ。そしてそれが、地味な炭鉱業とは180度異なる、ちゃらちゃらした南国リゾート施設への転換であることへの強い抵抗感。(当時の若い女性にとって、人前でヘソを出して踊るフラダンスなどまるでクレイジーに思えたことでしょう。)
 登場人物それぞれが過去を背負い、未来に向けて葛藤し、奮闘する姿は、近年の日本映画を代表する傑作だと思います。

 最初の経済のお勉強の話に戻ると、これがまさに経済のサービス化の実例だったということです。高度経済成長で豊かになった日本人ですが、まだハワイ旅行など高嶺の花でした。そこに、ハワイそっくりのリゾートを作り、サービスを提供することで生き残りをはかることが、苦渋の決断だったとはいえ大成功した貴重な事例が、映画の舞台になった常磐ハワイアンセンター(現在は、スパリゾートハワイアンズ)です。

 もちろん、常磐は比較的東京に近く、多数の集客が可能だったという地理的条件も貢献はしていますが、鉱工業(第2次産業)から、サービス業(第3次産業)への移行は、スピードの遅い早いはあっても歴史の力学的必然です。あらゆる経済問題は、この前提に立つことが必要だと思います。サービス化の中で、農業も、水産業も、製造業も、捉え直し、ビジネスモデルを考えていくことが重要です。

 フラガールのことを思い出したのは、この映画の製作資金を投資していた信託会社(ジャパンデジタルコンテンツ)が金融庁から信託免許の取り消し処分を受けたという記事を見たためです。
 直接の原因は、内部統制の不備に由来するものだったようですが、投資家から資金を集め、ゲームや映画などに投資するスタイルが、フラガール以降はヒット作に恵まれなかったせいもあって行き詰っていたことも理由のようです。投資には投機性が付き物なので、当たり外れは仕方がないと思うのですが、最近の日本映画のほとんどは民放テレビ局と広告代理店が主導する製作委員会方式で作られており、テレビ放映を前提にした薬にも毒にもならない刺激のない映画がほとんどなので、投資ファンドによる自由な表現文化の可能性が一つ消え去ってしまったようで、その意味でも残念な気がします。
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2009年9月15日火曜日

事業承継セミナー

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 日本経済に活力がないのは、事業所の大部分を占める小規模な会社や個人営業主が減り続けているためといわれます。いわゆる廃業率が開業率を上回っているという問題です。この解決には、創業や起業を支援して新規参入者を増やすという方法と、事業を継続させて廃業しないようにする方法がありますが、特に重要性を増しているのは、後者の「事業継続」の部分です。
 実際、廃業した中小企業にその理由をたずねると、経営状態が良くないなどの理由のほか、後継者がいないという回答が1/4を占めます。従来であれば、親の事業を子が引き継ぐことは良く見られましたが、少子高齢化によるマーケットの縮小やグローバル競争の激化などで、後継者は容易には見つからないのが現状です。

 では、どうすればよいのか。
 そんな興味深いテーマで開催されたのが三重北勢地域力連携拠点と亀山商工会議所が主催した「事業承継セミナー」です。何年ぶりかで亀山商工会議所に行って、セミナーを聞いてきました。
 講師の財団法人日本事業承継センター理事の紅本亘先生は、中小企業の事業承継について多数の支援実績があり、豊富な事例と経験をもとにわかりやすくポイントをお話いただきました。結論としては、経営者の不慮の死など必要に差し迫ってから準備をするのでは遅すぎる。あらかじめ後継者となる人材を育てておくことが経営者にとって最大の使命である。(先生が言われた、「経営者」と「商売人」の違いのたとえは大変わかりやすかったです。)

 大事なのは、後継者個人の力量に過度に依存しすぎるのではなく、極端に言えば誰であっても承継できるような健全な経営を実現しておくことである、という結論は、いわば当たり前のことに聞こえますが、こと、財産相続トラブルや、引き継いだ従業員と新経営者(承継者)との軋轢などが頻発する事業承継の現場においては非常な重みのある真実に思えました。

 このような有意義なセミナーを主催していただいた関係者に感謝いたします。
 同時に、現在の三重県の中小企業支援はあまりにも製造業への技術開発偏重であり、税金を納め、地域住民を雇用し、財やサービスを提供して社会に貢献する小規模事業者に対し、もう少し血が通ったというか、事業承継のような観点からも支援を考えていく必要があるのではないかと痛感しました。

 セミナーの終了は午後8時半。歩いてJR亀山駅に向かいましたが、真っ暗で人影はほとんどありません。ここも不景気なのですね。
 

2009年9月14日月曜日

世界新体操選手権ボランティア

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 三重県(庁)が関わる大きなイベントには、必ずといっていいほど一般職員の動員があるのですが、先日は、伊勢市のサンアリーナで開催されている世界新体操選手権のボランティア動員(この表現は矛盾していますが)に参加してきました。
 はんわしは正直言って、新体操にはあまり関心がありません。造詣もありません。ただ、世界規模の一大イベントということで、何年も前から準備事務局が立ち上げられて活動していましたし、庁内でもPRされていたので、このような大会がある、ということは知っていましたが、それ以上特別な知識はありませんでした。

 動員されたボランティアは、スタッフ専用出入り口に集合します。事前にスタッフユニフォームがわりのTシャツが支給されており、当日はセキリティ対策のための顔写真入の名札が配られます。人数は、職員が50名くらい、ほかに高校性ボランティアも50名くらい来ていました。

 仕事は、場内整理の担当になりました。アリーナの座席は有料指定席、無料自由席、マスコミ席などに区分されていますのでそれへの誘導が主な仕事でした。あと、場内は撮影禁止なので、カメラはご遠慮いただく、という仕事もあります。

 ただ、やはり日本のファン、それもスポーツ関係者が多かったからなのでしょうが、マナーは非常によく、さほど苦労はありませんでした。この日は最終日だったので団体競技の決勝が行われており、館内はほぼ満員でしたが、競技が始まってしまうと特に難しいこともなく、高校性ボランティアたちと競技を見たりしていました。(伊賀市の高校から来ていた生徒たちで、みんな真面目でした。)

 どうでもいいことですが、海外からの応援団(これも選手の家族とか、関係者と思われる)は異常なハイテンションで声援を送っていました。特にイタリアはものすごかったです。スパゲティばっかり食べているとあんなになってしまうのでしょうか。ただ、日本の選手たちにも応援してくれたので、会場全体の反応はすこぶる良かったのですが。

 夜6時、選手権終了。次回はモスクワでの開催とのことで、引き継ぎセレモニーだの閉会式だのが全部終わったのは6時半ころでした。それでも選手たちは名残惜しいのか、いつまでも握手したり記念撮影したりして和やかな様子でした。はんわしはタテマエ上、競技や閉会式の写真がとれなかったのが残念です。

 たくさんの市民もボランティアスタッフも参加されていたのを見て思ったのですが、このようなスポーツ分野をはじめ、教育とか、子育てとか、地産地消とかの分野ではボランティアの活用がかなり進んでいます。善意に頼りすぎるのは危険ですが、それにしても市民が支えてくれる、盛り上げてくれることは大変ありがたいことだと思うし、地方行政の施策は基本的にこのように協働を進めていくべきなのだろうと思います。
 この点で、実は一番遅れているのは商工振興分野です。営利企業の手伝いはボランティアになじまないのは仕方がないのですが、人材育成や技能伝承などの分野では、仕掛け方によって県民との協働はもっと進むのではないかと思いました。
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2009年9月13日日曜日

活性化の「起爆剤」という表現にこだわる


 地域活性化のための地道な取り組みをけなしているわけでは決してありませんが、三重県も含めて全国各地で無数に行われている特産品開発や販路開拓がほとんど成功しないのはなぜなのか、近頃よく考えます。

 ポイントは2つあって、商品開発なりの方法論が正しいか、間違っているかということがまず1つ。
 次に、取り組みの最終目標をどこに置くかということがあります。
 2つ目のポイントは、地域活性化の射程距離をどこに置くかという問題です。あくまでも地域の住民自身が楽しんで、盛り上がればよいのなら、どのようなイベントであっても(物産展やよさこいソーランイベントといった類の)、そこそこは成功するでしょうし、達成感も得られることでしょう。これはこれでけっこうなことですし、必要なことです。

 問題は、1つ目のポイント、つまり「方法論」の問題です。例えば、国(中小企業庁)では数年前から、全国の商工会議所や商工会を対象にした、地域資源∞全国展開支援事業という補助事業を行っています。
 これは、やる気のある商工会議所などの申請を受けて、全国市場をターゲットに行う新たな特産品や観光資源開発を総合的に支援する事業(feel NIPPON ホームページより)とのことであり、三重県内の会議所や商工会もかなりの数の取り組み実績が生まれています。
 この事業のミッションは明確です。
 まず、そもそも事業に申請してこない会議所などはハナから問題外であること。次に、商品開発等は全国への流通を目標にしていること。
 それでは実態はどうでしょうか。

 ホームページでは全国の取り組み状況はわかりますが、実際の成果はどれほど生まれているのかは書かれていません。個別のトピックスはあるのですが、事業全体の総括が見当たらないのです。しかも、このホームページに取り上げられているのはあくまで商工会議所の事業であって、より田舎である商工会地区での取り組みは書かれていません。(きっと商工会のホームページが別にあるのでしょうが。)
 個人的に感想を言えば、これらが成功した事例はほとんどないと思います。三重県の事例を見ても、正直あまりパッとしません。北海道、東北から九州まで、全部の事例をざっと飛ばし読みしても、強烈にインパクトを感じるものはありません。

 はんわしが知っている限りにおいて、その原因を考えてみると、やはりプロダクトアウト型の、せっかく地域資源があるのだからこれで何か商品開発しないとメンツが立たない、みたいな動機からの取り組みがどう考えても多そうなことが考えられます。
 手を変え、品を変え、毎年補助金を取って商品開発するのですが、開発そのものが目的になっているので、基本的に同じテーマと発想の焼き直しで進歩がなく、年度末になって補助事業期間が終了すると、その後事業をフォローすることもしない。次年度以降の事業に戦略的につなげていくこともしない。ほったらかし。このようなパターンがまず一つ。
 もう一つは、全国展開はあくまでタテマエで、真剣に全国に商品を売ったり、全国から集客しようなどとは実は考えてはいない、ということです。この言い方が厳しければ、自分の製品が大きなビジネスになって全国に売られていく姿や、自分の地域に全国から観光客が来る姿が具体的にイメージできていないまま全国展開事業に取り組んでいる、と言い換えてもいいでしょう。

 よく新聞で、愚にもつかない地域イベントやアイデア商品みたいなものを「地域活性化の起爆剤と期待される」などと持ち上げている記事を目にします。しかし、まわりにぎっしりと爆薬が詰まっていて、ポッと小さな爆発が起これば、それが誘爆して大爆発につながるものが「起爆剤」なのであって、そもそもまわりがカラッポなら、それは線香花火と呼ぶのです。マスコミは地域の方に、客観的な視点(記者は各地を転勤していて健全なよそ者の視点を持っているはずですから)を提供していただければ、それだけでも死屍累々の地域資源∞全国展開事業も成仏できると思うのですが・・・
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2009年9月12日土曜日

女将インターンシップ報告会

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 今朝の中日新聞伊勢志摩版に、先日このブログでもご紹介した、大学生たちが鳥羽市の旅館で行った「女将さん体験」インターンシップの記事が載っていました。このインターンは3泊4日の日程で、前半の3日は旅館での実習、最後の1日で鳥羽の観光活性化のためのビジネスプランを作成することになっており、9月10日の午後、鳥羽商工会議所においてビジネスプランの報告会がありました。

 ビジネスプランと言っても、アイデア出しレベルのもので、すぐに商売になるような内容ではまったくありませんが、ほとんど鳥羽に土地勘がなく、旅館スタッフとしての経験もなかった学生が、不眠不休でプラン作りに取り組んで、一応は人前で発表できる水準までには磨き上げた、その柔軟な思考と、集中力(体力?)に関しては賞賛すべきものがあります。

 一方で特に強く感じたのは、報告会を聞きに会場に来ていた鳥羽市内の観光関係者、経営者の方々が、おそらくこの方々にとっては青臭いであろう学生のプランを熱心にメモっていたことです。真剣にプランを聞いたうえで、学生にエールを送ったり、時には厳しい質問を浴びせていました。これには正直、びっくりしました。

 確かに、目の前で若い人が頑張っている姿はこちらもエネルギーがもらえるものですが、やはり観光が一大産業であり、特に最近は不景気の影響を受けて生き残りを模索している関係者の方々が、若者の視点やアイデアを学ぼうとしている前向きな姿が良く現れていたように思います。

 イノベーションという言葉が単なる技術開発を意味するのでなく、新しい「ビジネスの仕組み」を生み出すことを広く意味するのは次第に認知されてきましたが、イノベーションのプロセスには、コツコツと研究を積み重ねる、いわゆる研究開発タイプのほかに、アイデアやひらめきをビジネスに転化し、実用化するタイプがあります。これはどちらが優れている、劣っているの問題ではなく、イノベーションにはさまざまな方法があるということです。小さなことにも注意を払って、学び、情報を得る。この姿勢は、その本当に基本的な第一歩なのだということをはんわしも実感できた機会でした。
 学生の皆さん、スタッフの皆さん、観光関係者の方々に感謝します。
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大門、無残!

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 大門(だいもん)と言っても西部警察の大門部長刑事のことではありません。お約束で一人ボケさせていただきました。どうか終わりまでお読みください。

 大門というのは、三重県の県庁所在地、津市の中心市街地であり、県下最大の商店街、繁華街だったところです。だった、という過去形の表現に留意してください。
 現地に行った方はよくご存知でしょうが、昼間でもほとんど人通りがありません。商店街は広々としたカラー舗装ですが、何百メートルかにわたって巨大アーケードが覆いかぶさっているせいで薄暗く、大音量で流されているFM放送の異常なテンションの高さと好対照をなしています。いったい誰が聞いているのでしょうか。

 先日、職場の飲み会があり、何年ぶりかで夕方の大門商店街に行ったのですが、はんわしが商店街振興の担当者だった10年前に比べても閉店した店が多く、うら寂しい雰囲気が漂っていました。表現は悪いのですが、ゴーストタウンのようで、たとえ国が地域商店街活性化法を作って商店街を支援するにしても、もはや回復可能な水準点は通り越してしまっているように感じました。

 もちろん、これは自省も込めてですが、「商店街」という形というかスキームにこだわっている限り、つまり面的な再生を考えている限り、大門のように商圏が狭く、周辺人口も少なく、顧客の多くが高齢者である、つまりは典型的な中小地方都市の商店街の再生は、区画整理事業のような大規模な事業でもない限りは仕掛けようがなく、いつまでたっても先に進まないことは明らかです。また、商店主も高齢化が進み、自分の代で店を終おうと考えている方は非常に多いので、個店の支援を面的に展開する手法には限界があります。実際には環境整備やイベントなど、一部の商店主は大変な努力を重ね、頑張っておられる姿はよく承知していますが、残念ながら、従来の手法で成果が上がっているケースはまれなのが現実です。

 言い古されていることですが、新陳代謝を活発化して、商売をしない人は商店街から出て行く、商売をしたい人が安いコストで新規参入できる、という仕組みの構築が必要になると思います。新規参入の支援はチャレンジショップのようにすでに制度化されているので、今まであまり手をつけられなかった「商店街から出て行く」ための支援(追い出すようなイメージでなく、前向きに捉えていくことが大事だと思うのですが)が重要性を増しており、本気で再生を考える商店街に対しては、行政はこの部分を、法制度や税制面で支援すべきなのではないでしょうか。

 よく、コミュニティの再生が急務だといわれますが、現在のように職場と住居が離れており、通勤に何十分もかかるライフスタイルでは、仕事や通勤で疲れきってしまい、地域に関心も持てないし、関わっている時間もありません。小手先の対策をちょこちょこと積み重ねるのでなく、「職住接近のライフスタイル」を今後のコミュニティ政策の柱に据えるべきです。そのためにも商店街の再生は必要です。
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2009年9月10日木曜日

自民党を笑えるか?

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 自民党が迷走しています。総理大臣の指名を誰にするか、総裁を誰にするのか。壊滅した支持基盤をどう修復し、党勢を立て直すのか。世代交代をどうやって進めるのか。

 かつては権勢並ぶものもない威勢を誇った政権党が、いったん野党に転落すると決まったら、これほど簡単に零落してしまうのか、という感慨を持つ方は多いことでしょう。マスコミ報道も政権の座を明け渡したことにまつわるドタバタを面白おかしく伝えるばかりで、これからは自民党が健全な野党となって政権運営を監視することが、成熟した政党政治に不可欠であることを指摘している記事や番組はほんのわずかだったような気がします。

 忘れてはならないのは、自民党の政治は良くも悪くも日本人の伝統的なメンタリティに合致しており、じっくりと根回しして擬似家族である組織構成員すべての合意を図り、白だ黒だと決着をつけるのでなく、足して2で割るという手法は日本人の思考パターンそのものであったということです。
 行政も含めて、あらゆる会社、あらゆる組織、あらゆる組合、学校、サークル、団体、寄合などの運営は、ことごとく「自民党的」な合意形成がいまだに本流であって、小泉首相的なトップダウンは独裁だと非難され、忌避されることは何も変わっていません。これは会社にしろ何にしろ組織の一員として働いたり、関わったりしたことがある人は全員が実感し、体感していることです。

 民主党が勝利した原因は、マニュフェスト選択ではなく、政治に不満を持ち、とにかく自民党政権を終わらせたいと思っていた国民が自民党に据えた「お灸」だった、と言われます。しかし、国民は確実に政権交代を選んだのです。これから少々の揺り戻しはあるでしょうが、政策によって、あるいは時々の政治的な不平不満によって、政権を選択するというメンタリティが今後は定着していくことでしょう。

 根回しを重んじ、地縁や血縁を大事にする。トップは組織内の和を大切にし、リーダーシップはなるべく発揮しない。年功序列で、目上の人の言うことややることは批判しない。身内はかばいあい、お互いの切磋琢磨は無用の摩擦を生むのでなるべく避ける。

 今回は、このように自民党的な、すなわち「日本的な」組織のあり方そのものが敗北したとは考えられないでしょうか。
 自民党を笑う資格がある日本の経営者や組織のリーダーは、実はたいへんに、たいへんに少ないのではないでしょうか?
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2009年9月8日火曜日

交通インフラは作り過ぎ

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 高速道路がタダになるようです。三重県にはすでに「無料のほぼ高速道路」である、国道25号自動車専用道路、いわゆる名阪国道がありますから、あれが無料高速のイメージに近いのかもわかりません。
 
 不思議なのは、高速道路は高度成長時代、東名高速、名神高速を作ったときから、建設費を償還するまでは便宜的に通行料金を取るけれど、あくまでも将来は無料化する(つまり、名阪国道と同様の自動車専用国道になる)予定で作られているはずなのに、いつのまにか料金プール制度というシステムができて、償還が終わっても料金は取り続けられ、その料金は他の高速道路の建設に充てられる、という利権システムが既成事実になって定着してしまっていることです。これってやはり理屈から考えておかしいのではないでしょうか?

 紀勢自動車道でもそう感じますが、確かに高速の通行量は事前予測より多いらしいのですが、その分、並走している国道42号の通行量は明らかに横這いか、時間帯によっては減っています。紀勢道もめちゃめちゃ渋滞しているとは聞かないし、逆に国道は渋滞もなくなり、走行がスムーズになり、ドライバーのイライラも、CO2も削減されているであろうと考えられます。
 別に、自動車専用道路でいいじゃないですか。

 それよりも、一番問題だと思うのは、高速道路が1000円になっただけで東海道新幹線も旅客が減り、フェリーボートなどに至ってはお客が半減、激減していることです。これは、高速道路は未来永劫有料であり、通行台数は一定量以上は決して増えないという前提で、いわば道路と鉄道、船が、実際の交通需要よりもはるかに多いキャパシティで別々に建設され、運行されている、ということの証左になります。地域のよっては飛行機がさらにこれに加わります。つまり、そもそも日本に道路は作り過ぎだったのです。

 これも東紀州の例になりますが、JR紀勢本線は単線で非電化の路線ですが、それでも現在の2時間に1本というダイヤは潜在的な輸送能力の半分くらいしかないと思われます。実際に昭和47年の時刻表を見ると、普通列車と急行列車が1時間おきに交代で走っており、一日15往復くらいのダイヤ編成になっています。これは旅客列車だけで、このほかに貨物列車も走っていました。
 今となっては仮説にしかなりませんが、もしJR紀勢本線を関西本線並みに30分間隔のダイヤにし、ついでに特急を無料化して快速列車にし、貨物列車もモーダルシフトを進めてコンテナ化すれば、そもそも道路を増強する必要があったのか、ずっとうんとコストは安かったのではないか、という疑問もわきます。

 日本は縦割り社会なのは間違いないのですが、地域にあるインフラを組み合わせて活用する発想すらなかったのは、やはり「成長神話」とか、「物質信仰」みたいなものが我々の潜在意識に強く働いていたせいなのかもしれません。後世の人にはきっと理解しがたいことでしょう。
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2009年9月7日月曜日

伊勢・鳥羽・志摩ネタ2題

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 まず一つ目。伊勢志摩を舞台にユニークなツアーを催行しているいとしの旅舎が、ウェルネスの旅2009秋を開催することが決定し、現在ツアー参加者を募集しています。

 伊勢志摩は年間1千万人近くの入れ込み客数を有する日本を代表する観光地ですが、近年は、景勝地を巡ったり、大型の観光施設を訪れたりする、いわば従来型の観光スタイルは行き詰まりを見せており、体験型、あるいは高付加価値型の新しい観光商品の開発が盛んに取り組まれています。

 いとしの旅舎(ちなみにこの「いとし」は伊勢、鳥羽、志摩の頭文字を組み合わせたものです。)は、早くから健康ツーリズムに着目し、観光商品として提供してきていますが、ここの特徴は三重大学医学部と協力し、医学的なエビデンスが確立している栄養指導や健康指導をメインに据え、実際に医師や栄養士がツアーに参加してわかりやすい指導を行っていることです。

 これが直ちに健康回復につながるものではないにしても、鳥羽の離島の風光明媚な自然環境を体験しながら健康について楽しく学べるツアーは、参加者にとって大変有益なものではないかと思います。
 ◆いとしの旅舎 http://www.ebird.co.jp/itoshi/


 二つ目。
 今日から、鳥羽市において大学生による女将インターンが始まっています。大学生などの若者と地域産業の現場を結びつける活動を続けている、経営コンサルタントであり各地の大学でアントレプレナー論などの講師もつとめる武田秀一さんが仕掛けているもので、今回は10名の女子大生が参加しているとのこと。
 ◆ミエワンブログ TALES OF THE TOKAI CAMP http://camp.mie1.net/e162309.html
 三重県南部の主力産業はなんと言っても観光業であり、ウェルネスの旅もそうですが、サービスの向上や高付加価値な観光商品の開発のためには、優秀な人材が業界に入ってくることが絶対に必要です。従来、ともすればイノベーションが軽視されていた観光業界ですが、若い価値観を持った大学生が短期間ながらも現場を体験し、業界に関心を持ってくれれば、そして、受け入れる観光業界の側も若い優秀な人材の確保や育成に関心を高めてくれれば、win-winの関係が築けるのではないでしょうか。
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2009年9月6日日曜日

日経ビジネス臨時増刊「徹底予測 民主党」

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 テレビではほとんどの報道番組が、来るべき民主党政権の政策を取り上げ、その内容や実現性を問うています。書店でもその手の本がチラホラ並ぶようになってきたようで、この日経ビジネス臨時増刊もその一冊です。民主党のマニュフェストや政策集には不明な点もあって、是非を軽々には言えない部分が多いのですが、こと地域産業対策、特に中小企業対策に関しては自民党政権とは大きく方向性や手法が異なることになりそうです。

 この本の中でも、「下請け」をテーマに、井上理さん(日経ビジネスオンライン記者)の論評が書かれているのですが、さわりの部分を簡単に要約すると以下の通りです。
・小沢一郎氏は、麻生政権の経済政策を「競争力のある企業が強くなればみんなも良くなると、小泉・竹中路線と同じことを言っている。その結果格差は広がっていった」と斬って捨てた。
・民主党の目は、大企業中心から、経済活動を川下で支える中小企業を軸とした経済成長へ向いている。
・税制優遇などの金融支援策のほか、「中小企業いじめ防止法」を目玉に据えている。
・現在の下請法はもともと製造業を対象とした法律で、いまだに多くの中小企業が保護の対象外となっている。この対象範囲をほぼすべての業種に拡大し、下請けいじめへの監視の目を厳格化するのがいじめ防止法である。
・長年の商習慣だからとタカをくくっていたらある日突然「優越的地位の濫用」とレッテルを貼られる。大企業にとってはそんなリスクが飛躍的に高まるだろう。

 また、「家計」のテーマでは、内藤眞弓さん(ファイナンシャルプランナー)が、
・民主党の政策は、トリクルダウン理論(豊かな者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透するという経済理論)からの脱却だ。
・自民党時代、大企業や高所得者には税の引き下げなど大盤振る舞いが行なわれていたが、トリクルダウンは起こらなかった。
・民主党はこれから方向転換し、富める者には応分の負担を課し、生活者の暮らしを直接支えるところに再配分しようということのようだ。
 といった論評を書かれています。

 どちらも非常に参考になりますので皆様にもぜひご一読をお勧めするのですが、はんわしが感じたのは次の2点です。

1.自分が地域産業振興の仕事をしていて、大企業優先という意識を持っていたわけでは決してないが、三重県は製造業が優位であるという前提で、大企業を誘致したり、研究開発型の製造業を支援して新商品や新技術の実用化が進めば、これを起点に良い経済効果が他の中小企業にも広がっていく(はずだ)という認識は何となく持っていた。民主党の経済政策はこれの否定ないし大幅な軌道修正を図るものであり、地方自治体の政策もこの価値判断を免れる事はできない、ということ。

2.子ども手当の支給、後期高齢者医療制度の廃止、高速道路料金の引き下げなどは「バラマキ」というイメージが拭い去れなかったが、ひょっとすると家計を直接支援し、消費を刺激することで経済が活発化し、ひいては経済成長に繋がっていくという全く新しい理念に裏打ちされているものなのではないか、ということ。

 もちろん、すべてはこれから始まるのでまだ海のものとも山のものともつかないのが正直なところでしょうが、地方自治体の「従来型の産業政策」も、実は総選挙によって国民の厳しい審判を受け、自己批判が迫られているという認識は強く持つべきだと感じました。
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2009年9月5日土曜日

プチ地域留学東紀州雑感

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 昨日、熊野市の三重県熊野庁舎において、プチ地域留学 東紀州 Aコースのプラン発表会が行われました。

 今年のプチ地域留学 東紀州は、三重県南部の集客アップに向けた観光モデルツアーの企画立案と試行がミッションです。

 三重県内外の大学生8名が参加し、3泊4日の日程で熊野市において合宿を行い、世界遺産熊野古道伊勢路の松本峠、通り峠や、日本の棚田百選にも選ばれている丸山千枚田などを見学し、ボランティアガイド(熊野古道語り部)などで地域おこしに関わっている人々へのヒアリングも行って、観光モデルツアーのプランを作ってもらったとのことです。

 発表会の詳細は、主催者である南三重地域活性化事業推進協議会(会長 河上敢二熊野市長)のホームページ、あるいはコーディネーター役をつとめた岐阜市のNPO法人G-netのホームページ等にも掲載されると思いますが、地域留学の4日間、ほぼ不眠不休で学生たちが作り上げたプランは、若者らしい新鮮な視点での組み立てが多く、プレゼンを聞いていてもおおいに参考になるものでした。

 たとえば、熊野の観光は、熊野古道や熊野三山など歴史や文化を体験するテーマで主催されるツアーが多いが、若者にとってはあまり関心がなく、とっつきにくい。モデルツアーのテーマとして、若者のカップルが楽しめるツアーを考えたらどうか、か、とか、家族の再生をテーマに、初任給をもらった新卒サラリーマンが、両親を招待して初めての親孝行をするツアーをしたらどうか、のように、実際に熊野で地域おこしに関わっているような方々ではなかなか(ある意味常識にとらわれすぎて)浮かび得ないようなアイデアが出てきたのは興味深く思いました。

 この種の大学生の提案は、往々にして言いっぱなし、提案しっぱなしで、実現には至らない例がほとんどです。
 しかし、今年のプチ地域留学がユニークなのは、この日に選ばれた最優秀プランを、これから3ヶ月間、学生全員でブラッシュアップし、実際のモデルツアーを12月5日と6日の二日間で実施する、ということです。はんわしが知る限り、東紀州の行政や住民団体があまた行ってきた類似の「地域おこしプラン作り」の中で、実際にテスト実施してみる、というの取り組みは非常に珍しい(というか、ほとんど初めての)ことではないかと思います。

 東紀州は地域活力が低下していると叫ばれながら、住民自身の本気度が疑われる場面も多く、同時に地域おこしにある種の「純血主義」傾向が見られ、よそから来た大学生のような素人の意見はほとんど尊重されないきらいが見られます。
 豊富な地域資源を持つ東紀州の、観光振興面でのブレークを目指すには、東紀州という地を一つのプラットフォームと捉え、そこでさまざまなテーマでツアーやイベントを行いたいという人やアイデアをなるべく排除せず、宗教的、文化的、学術的なテーマのほかに、健康ツーリズムであったり、スポーツ合宿であったり、この日の報告会にあったような「ラブラブカップルが永遠の愛を誓う」とか、「子どもが始めて親孝行する」とか、「酒の好きな人がホンモノの肴をこだわって作る」とか、いろいろなテーマのオプションツアーが派生し、実行され、相乗効果を上げていくというほかに方法はないと思います。これはユーチューブのビジネスモデルと同じです。東紀州が好きな人が(勝手に)集まってきて、(自由に)いろいろなツアーやイベントを仕掛けるにはどうしたらいいか、という発想に転換すべきだと思います。
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2009年9月4日金曜日

里創人 熊野倶楽部の昼食

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 今年7月、熊野市にオープンした里創人 熊野倶楽部の評判がいいようです。この施設は三重県紀南地域の中核的交流施設として三重県などが30億円をか け、宿泊施設、レストラン、体験施設などを建設、整備して、運営は入札で決めた民間企業に委任するというスタイルで営業されています。

 今日はオフで、南三重地域活性化事業推進協議会が今年も行っているプチ地域留学東紀州のプレゼンテーションがあったので、それを見に行きがてら、お昼を食べようということで熊野倶楽部に初めて行ってきました。
 熊野市中心街からクルマで約10分ほどの山の中腹一帯が熊野倶楽部のリゾート地帯になっています。リゾートと言っても、志摩スペイン村のような遊園地とか、合歓の郷のようなスポーツ施設があるとかではなく、「何もないこと」を楽しむリゾートとでも表現したらいいのか、つまりは熊野という地域でゆったりと時間を過ごすことに主眼が置かれている、どちらかというとシニア向け、長期滞在型の施設です。


 この、馳走庵なる建物がレストランです。入り口には、お客が好みのおばんざいをトレーにとる方式のセルフサービスであること、地元のおばちゃんたちが地元の食材にこだわって作っている料理であることなどがボードで紹介されています。


 店内はこんな感じです。お昼時だったので、女性を中心に数十人のお客でおおいに賑わっており、めいめいに食材を選んでいました。メニューは南紀特産のマグロお造りとかクジラベーコン、熊野牛のミンチカツ、熊野地鶏の南蛮漬、地元産野菜の炊き合わせや漬物、冷奴などなど10種類くらいから選べます。デザートも何種類かあり、見せ方にも工夫があってなかなかいい感じです。
 

 はんわしはこんな感じでチョイスしました。お造り、アジの南蛮漬け、ジャコおろし、ごはん、味噌汁。これで1200円でしたので、値段は決して安くはありません。
 店内は清潔で広々していますが、天気が良かったので屋外のテーブル席で食べることにしました。目の前は幾重にも重なる熊野の山々。眼下にミカン畑が広がっており、開放感があります。ついつい食も進んでしまいます。



 オープンしたばかりで食器や施設も新しく、値段は少々高めですが、一度くらい行ってみても良いような場所です。皆様にもおすすめします。

 ただ、いくつか気になることもあります。熊野の観光施設は全体的にそうなのですが、店員さんやスタッフは愛想の良い人と悪い人が極端に分かれます。はんわしがどれにしようかメニューを選んでいるときも、例えば尾鷲市の夢古道おわせ天満浦百人会のスタッフなら、「この魚はなになにと言って尾鷲特産ですよ」とか「このにんじんは今朝畑で採ったもので甘くておいしいですよ」とかの声かけをしてくれるでしょう。しかし、熊野倶楽部はただただ忙しそうにしているばかりで声かけは一切ありませんでした。(これは別棟にある、特産品や野菜などを売っている売店の店員も同じ。)

 また、これは趣味の問題ですが、里創人と書いてリゾートと読ませるような、ベタというか、ネーミングセンスのなさが、施設全体のグレードを安っぽくさせてしまっています。レストランの馳走庵というのも、まるでショッピングセンターのフードコートかなにかを連想してしまいます。お風呂も湯浴みぼっこという奇妙なネーミングで、立ち寄る気がなくなりました。(ここも日帰り温泉は評判いいようなのですが・・・)
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2009年9月3日木曜日

スタイルシート入門コース

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 昨日は、三重EC実践塾におじゃましていました。5年近く前の立ち上げのときにほんの少し関わって以来、時々は顔を出していたいのですが、尾鷲に転勤していたせいもあって次第に疎遠になり、あるいは塾のメンバーも変わっていたりして、しかもたまたま昨日の議題はこれからの塾の運営方式についてという部外者にはほぼとっつけない内容だったせいもあり、ちょっとよそよそしい雰囲気でした。
 しかし、行政(この場合は三重県産業支援センター)が実践塾という形でECオーナー向けの連続セミナーを行ったことがきっかけとなって、自主勉強会の輪が広がり、それが数年間も継続しているというのはECオーナーさんたちの熱い商人魂のためではないかと思います。

 実際問題、三重県は10年ほど前にCATVが県内のほぼ全域をカバーし、全国的に見ても比較的早い段階からインターネットのブロードバンド環境が整っていました。その当時は県や産業支援センターもEC支援を積極的に行い、県内で多数のネットショップが立ち上がりました。
 しかし、SEOスキルなどは日進月歩で、対応していくにはオーナーに不断の努力が求められます。それ以前の問題として、ネットショップを誰でもできる「副業」のように軽く考え、コンテンツの充実や更新すら怠るようなオーナーはどんどんECから落伍していきました。また、行政支援の常として、スタートアップの2~3年は強力に支援するものの、事業が終わり、予算がなくなって担当者も人事異動してしまうと、今まで築き上げてきた人間関係やスキルがいっぺんにリセットされ、結局あとに残らない傾向も見られました。

 その意味でも三重EC実践塾は稀有な例だと思います。ここに集うオーナーさんたちのますますの商売繁盛を願わずにはいられません。

 それに関連して事務連絡。
 このたび三重県産業支援センターでは、スタイルシート入門コースを開催します。従来のHTMLのWebサイトは、「文章の構造を定義する部分」と「見栄え(スタイル)を定義する部分」を混在させて記述しており、SEO上も限界があると言われていました。スタイルシートとは、この「見栄え」を定義するための新しい技術で、現在は多くのホームページで使われています。売れるネットショップ、検索されるネットショップのためには必須の技術です。
 津市での開催にはなりますが、参加は無料です。
 ぜひ多くのネットショップオーナーに参加をおすすめします。詳細は下記のリンクから

 ◆三重県産業支援センター  http://www.miesc.or.jp/index.asp

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2009年9月2日水曜日

「民都」大阪 対 「帝都」東京


 原武史著 講談社選書メチエ 「民都」大阪 対 「帝都」東京
 ずっと読む機会がなかったのですが、先日やっと読了しました。 
 言われると確かにそうなのですが、大阪の私鉄は、ターミナル駅がJR(国鉄)に結節しておらず、全然別の駅だというパターンが東京に比べて多いような気がします。
 たとえばJR大阪駅と阪急梅田駅は100mほどの距離で隣接していますが、あくまで別々の異空間を作っており、両者をつなぐ歩道橋には動く歩道はおろか、屋根さえつけられていません。(今もそうですよね?)

 これには鉄道省時代からの官の交通機関としての国鉄と、民都大阪を代表する交通機関である阪急との因縁が隠されている、という大変に興味深い話からこの本は始まります。

 皇居がある帝都東京に向かう列車を「上り列車」と呼ぶことが象徴的なのですが、国鉄(官営の鉄道)は、中央集権的な政府の威光を全国津々浦々に伝える装置として建設されました。駅は役所であり、鉄道運輸は旅客や貨物の輸送以上に軍事目的が優先されており、したがって私鉄との乗り入れの互換性が確保される1067mmの線路幅での建設が優先されました。東京を中心とした私鉄の線路幅が一部を除いて国鉄と同じなのはその思想が貫かれているからです。また、現在、私鉄とJRの共同駅や相互乗り入れ運転が多いのもその名残です。

 一方の大阪は、逆に一部を除いて大部分の私鉄は1435mmの標準軌で建設され、そもそも国鉄との相互乗り入れは不可能でした。各鉄道会社がランドマークとなる巨大ターミナル駅を擁するなど、列車の速度、頻度、サービスなどすべての点で国鉄をはるかに凌駕していました。また、阪急の小林一三に代表されるように、沿線の住宅開発、温泉や運動施設の建設、(宝塚歌劇団も彼の発案!)、ターミナルデパートの建設など、鉄道は運輸業という枠を超えて、ハイカラな都市生活を提供する総合サービス業に発展していきます。そして、事実、大正時代から昭和初期にかけて御堂筋の建設など都市整備も進んだ大阪市は、旧東京市より人口が多い、名実共に日本最大の都市に成長します。

 その大阪の凋落が始まったのは、時代が大正から昭和に移るのとほぼ同じ時期に重なります。病弱だった大正天皇が崩御し、皇太子であった昭和天皇が即位すると、英明な若き天皇は不景気や戦争で閉塞していた世の中に一種のカリスマ的な人気を伴って国民に支持されます。大阪は政治の影響を受けず、民の力で発展する民都であるという東京への対抗意識は薄れ、古代の難波宮の時代から皇室と大阪はゆかりが深く、天皇を中心に置く中央集権的な(東京的な)価値観を受け入れることが大阪の発展にとって必要であり、それこそが大阪の本来の姿である、という考え方が次第に市民に広まってゆきます。
 
 本の最後の章には昭和初期に大阪の私鉄が取り持った、伊勢神宮の重要なシンボル性の検証もあったりして、非常にエキサイティングな内容です。鉄道マニアはもちろんですが、民力が主役となって発展していた大阪が、戦時体制という究極の中央集権の浸透によって、いかに東京の後塵を拝することになったかを知ることは、内需拡大の必要性が叫ばれている現代の日本において、やはり分権が進まない中で各所に社会の行き詰まりが見える今の状況を考える上でもたいへん示唆に富むと思います。
 
 

2009年9月1日火曜日

農商工連携のために! 人材育成研修

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 先日このブログに、日本は輸出が好調だったことに目くらましされ、規制緩和の促進などによる内需の拡大がおろそかだった、というようなことを書きました。工業製品を輸出して外貨を稼ぐだけでなく、国内の資源を有効に使い、付加価値を高め、主に国内のマーケットに販売していく内需の有用性が今になって再認識されています。

 その中で、特に有望だと言われているのは農商工連携です。農商工連携という表現ではないものの、民主党のマニュフェストにも農産漁村の6次産業化は明記されており、いずれにしろ農・林・水と商・工・サービス業をクロスオーバーさせ新しい産業を生み出す施策は今後も推進されていくことでしょう。

 問題は、農林水産業者と商工業者は同じ地域内で生活しながら、実はあまりビジネス上の接点がないということです。もちろん、生産物は仲卸を経由して小売業に出荷され、あるいは製造業の原料として加工されますので、その意味では農林水と商工は関係があるのですが、これはごくあたりまえの取引関係に過ぎず、このレベルの連携では、あまり高い付加価値を生み出すことはできません。

 やはり、農林水を使った新しいサービスの開発、たとえばグリーンツーリズムによる農林と観光・宿泊サービス業の連携とか、水産物を使った機能性食品の開発と販売といった水と工の連携などのように、高度なサービスや技術を応用した新しいビジネスモデルや商品の開発こそが高い付加価値を生むと考えられます。

 しかし、農林水と商工は普段お互いの行き来がないし、ビジネスの着眼点や、消費者ニーズの把握などに相当の隔たりがあります。両者を連携させて、新しい、付加価値の高いビジネスを生み出すためには、コーディネート役がいるかいないか、もしいるなら、そのコーディネーターは優秀でバイタリティがあるか、が決定的なポイントになります。

 そこで、このたび三重県中小企業団体中央会では、農商工連携等人材育成事業に取り組むことになりました。
 三重県内の農林漁業者と中小商工業者が連携組織を形成する機会となる場を確保し、今後の戦略的に農商工連携等を展開する人材を発掘・育成することを目的とした連続研修で、平成21年10月7日~12月21日の間の計14日間、津市で開催されます。

 実際に農林水産業や商工サービス業に従事されており、新事業の展開に関心がある方はもちろんですが、両者をコーディネートする立場を目指す方も参加できるとのことです。
 研修内容について、くわしくは中央会のホームページをご覧ください。
 → http://cniss.chuokai-mie.or.jp/topix/h21/noushoukou.html

 意欲のある方はぜひご参加いただいてはどうでしょうか。

 これは蛇足なので読み飛ばしてほしいのですが、「地方経済は疲弊している」「このままでは田舎は消えてしまう」などの悲鳴を、官民の立場を問わずよく耳にします。しかし、アンテナを高く上げて情報を探していれば、参加料無料というこのようなおトクな研修が行われ、コーディネーター育成のチャンスは確実に用意されていることが理解できることと思います。
 泣き言を言っている市役所とか町役場とか、商工団体や農林水産団体の職員で、あるいは経営者や町おこしに取り組んでいる住民で、実際にこのような研修に参加し、14日間死にもの狂いで勉強しようという人はいったい何人いるのでしょうか。