2009年10月31日土曜日

珍説:地方空港は現代の「神社仏閣」である

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 秋の観光シーズン、毎年京都の景勝地や神社仏閣は大変な人出です。京都は「鳴くよウグイス平安京」の西暦794年、つまり1200年以上も前から政治や宗教の中心地であり続けました。そのせいで、市街地にも郊外にもたくさんの有名な神社仏閣があります。(数だけなら全国で一番お寺が多いのは浄土宗が盛んな愛知県らしいのですが。)
 今でこそ京都は「近代都市」になってしまい、市内からの眺望はビルでさえぎられてしまっていますが、戦前までは高い建物といえば大丸デパートぐらいだったそうで、街中からも東山の山なみや大寺院の甍(いらか)とか塔がよく眺められたそうです。

 ここで話が変わります。
 JAL、日本航空が政府主導の再生スキームで経営再建に乗り出すことになりました。国策会社として設立された経緯を持ち、政治に翻弄された数奇な運命をたどってきた会社です。
 赤字縮減のために不採算の地方路線から撤退することが決まりつつありますが、田舎の知事だの市町村長がこぞって「オラたちの空港からJALが撤退するなどとんでもねえ!」と怒り狂っています。かつての国鉄と同様、ここでも「JALは半官半民の公的な会社なのだから、赤字だというだけで撤退するのは責任放棄だ」といった論理が横行しているのです。

 もともと採算など取れるはずもない地方空港を全国各地にさんざん作りまくり、政治的な背景で無理やりJALに路線を作らせた。しかし、地方には飛行機を利用するお客も少なく、こんな路線は赤字になるに決まっているので、搭乗率が一定を下回ると、JALの赤字額を税金で補填する制度も県や市が作った。ここまでやっているのに撤退するのはケシカラン、というわけです。
 
 しかし、そもそも空港の運営は、税金と空港特別会計という飛行機の利用者から徴収する法外な利用料金を使って成り立っているので、JALの撤退を認めないということは空港の赤字の垂れ流しと、税金による補填を半永久的に続けろ、と言っているに等しいことになります。つまり、問題はJALの経営体質ばかりでなく、採算が取れないと(ほぼ)わかりきっていたにもかかわらず、なぜ全国各地にどんどんどんどん地方空港が建設され続けたかという点にあります。

 京都の神社仏閣を見て思うのは、狭いエリアにもかかわらず、たくさんの大寺院が伽藍を並べているのはなぜだろう、ということです。
 例えば洛東地区なら、数キロメートル四方に、三十三間堂があり、清水寺があり、建仁時、八坂神社、知恩寺、青蓮院、平安神宮、南禅寺などなどたくさんの神社仏閣が建っています。
 それぞれ建てられた時代は隔たってはいますが、創建当時は人力しか動力源がなかったことを考えると、工事期間は少なくとも数年から数十年かかっているはずですし、その間、のべ数万人から数十万人の人夫や大工、職人が従事したことでしょう。工事の期間中は労働者の飯場ができ、ひとつの町のように賑わっていたはずです。材料費、労賃などの建築資金は今の想像を絶するほどの超巨額に上ったことでしょう。現代風の見方をすれば、空港やダムのような巨大公共工事に匹敵するのかもしれません。

 昔の日本人はみんなのんびりした生活だったでしょうが、飢えや病気、天災に対して人があがらうことはできません。神様だのみ、仏様だのみでした。神社仏閣を建設するのは時の権力者の、信仰心もあったでしょうが、おもに自らの権勢を天下に示すことが目的であり、庶民がその意に反することなど到底できなかったでしょう。だからこの種の巨大公共工事は進みやすかったのかもしれません。
「このあたりには大きなお寺も神社もたくさんあるのだから、もうこれ以上作らなくてもいいのじゃないか」とは庶民は言い出せなかったでしょうし、発注する権力者も考えなかったのでしょう。その結果、巨大な神社やお寺があちこちにどんどんと建った。

 これって地方空港と同じではないでしょうか。
 とすると、「長いものには巻かれる」という無気力な庶民と、「将来だれかが何とかしてくれるだろう」と考える無責任な権力者というのは、日本の伝統そのものなのかもしれません。

2009年10月30日金曜日

石本果樹園のミカンも来た!


 最近、通販生活が続いています。
 昨日は尾鷲まるごとヤーヤ便が届き、さらに妻の実家からもフルーツが送られてきました。
 今日は、紀宝町で三代続くみかん農家 石本果樹園から、10月頒布会のみかんが到着しました。

 この頒布会については以前もこのブログで書いています。東紀州観光まちづくり公社が、東紀州の若手経営者と都会の大学生をつなぐインターンシップ事業に取り組んでいた中、名古屋大学の女子大学生が約3ヶ月、石本果樹園で職場研修を行い、そのミッションとして石本さんやその仲間たちと作り上げたのが「一年中みかん頒布会」のビジネスモデルです。

 今回はみかんと、生ジュース2本のセットでした。しばらく新鮮なミカンが楽しめそうです。

 同封されていた手紙には、10月8日に来襲した台風で石本果樹園にもかなりの被害が出ていることが書かれていました。自然を相手の農業はこのようなケースがあるので本当に大変だと思います。
 その一方で、石本果樹園の代名詞にもなっている森のアイスクリーム「アテモヤ」について、テレビ東京の取材を受けたことも書かれていました。11月6日午後9時からの「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」で放映されるようです。
 みなさん、ご覧ください!


 

2009年10月29日木曜日

尾鷲まるごとヤーヤ便 第2弾が来た

 尾鷲観光物産協会と尾鷲市が、年4回行っている尾鷲の特産品頒布会「尾鷲まるごとヤーヤ便」の10月便が今夜到着しました。前回は夏ごろだったのですが、それに続く第2弾です。

 今回の中身は
 ・三和水産「めでたい屋」鯛めしの素
 ・セルフ舎 紀州麺
 ・魚鉄商店 生サザエ2個
 ・田岡商店 ソマガツオの焼き
 ・浜千商店 サバのみりん干し
 ・ごしま かえりイワシ佃煮
 ・向井の棚田米
 ・天満浦百人会 竹ようかん
 ・可成屋 塩ミルクジャム
 ・向井フレンズ さんま甘露煮
 ・えむてぃ 紀州備長炭
 ・田原屋 ひのきたわし

 の各品です。尾鷲のネイティブや、ゆかりのある方々なら泣いて喜ぶアイテムばかりです。


 箱を開けるとこんな感じでした。冷蔵品が多かったためか、事前に観光物産協会から配達予告のはがきも届いていて、そのへんは気が利いていたと感じました。


 めでたい屋ついたち鯛のチラシも入っていました。これを見ると一年たつのが早いなあ、とつくづく感じます。もう10月も終わりですから、そろそろ予約してもいいのかもしれません。

 気のついた点を・・・
その1 やはり顔が見えない!
 岩田市長とか、生産者の方々は箱に同封された「尾鷲がんばんりょる新聞」なんかでステキな笑顔を見せてくれるのですが、残念ながら、事業主である尾鷲市役所新産業創造課と、尾鷲観光物産協会は担当者の顔写真どころか担当者の名前も書かれておらず、妙にビジネスライクな感じがします。

その2 本当に尾鷲を売りたいのか?
 マスコミでかなり大きく取り上げられましたが、尾鷲市内のハマチ養殖場において(もちろん海の中です)いわゆる環境ホルモンであるTBTが防虫用に使用されていたことがわかりました。これは違法行為です。
 その後、尾鷲市では関係水域の水質検査などを行い、漁業協同組合が設置した専門委員会でも安全性が確認されているとのことです。そのことはご同慶の至りですし、丁寧な説明の文書がヤーヤ便にも同封されているのですが・・・
 そのわりに、尾鷲市のホームページには「安全性」の記事がないのです。それどころか、この事件についての記述は一切ないのです。(どこかにあるなら、ぜひコメントください。)
 もちろん、ヤーヤ便を今日発送したとか、そんな記事も全然ないのです。
 尾鷲にとって漁業は重要産業だったのでは? 本気で漁業者のプライドを守り、消費者の食の安全も守る意思はあるのでしょうか?

2009年10月28日水曜日

負けない経営を考える(つづき)

 承前

 実は、「負けない経営」という表現にはヒントがあります。正確には「敗けない経営」というのですが、福島県庁が「地方の中小企業におけるMOT」というサブタイトルをつけてインターネットで公表している、地方の中小企業経営者や、これから地方で起業しようとする人に向けた経営テキストです。
 ちなみに、MOTというのはマネジメント・オブ・テクノロジーの略語で、日本では「技術経営」などと訳されます。説明すると長くなるので今回は、そんなコトバがある、程度の理解でいいかと思います。

 この「敗けない経営」のテキスト、ざっと読んでみても、いたるところにヒントがちりばめられている、大変面白いテキストです。都会でなく、これから確実に人口が減り、急速に高齢化・少子化していく「地方」で、どのように経営をしていくかだけに焦点が絞られています。

 例えば、地方は(もちろん規模の大小にもよりますが、一般的に)コミュニティが小さく、お互いの顔が見える関係です。仕入先も、顧客も、皆よく知っている人か、間接的にしろ知っている人にすぐにたどり着くような関係です。そのような地方では、絶対に経営を失敗すること(敗けること)はできません。コミュニティの信頼関係が深ければ深いほど、日常では助け合いの関係が成り立ちますが、いったん傷が付くと、そこで再チャレンジすることは不可能に近いからです。

 では、敗けない経営のためにはどうしたらいいのか。著者は言います。(以下引用)
・自らの地域市場( あまり規模的に大きくもなく、かつ急拡大の可能性は少ないが、反面、新規事業等への当初の競争相手はあまり多くは無い。仮に競争相手が居たとしてもそう強力ではない。) において、事業として成立することが可能な事業形態を創り上げる。
・事業として成立ということは、最終損益が黒字でありながら、少しづつでも良いので、事業が拡大してい
くことが前提となる。
・同時に、自らの技術や商品を昇華させる努力を怠ることなく、中央の大きい市場に出て行くワンチャンスを掴む努力を怠らない必要がある。ここが単なる「地方ビジネス」とは異なるゆえん。すなわち基本的には防御をメインとするが、専守防衛ではなく、機動防御を行うことを基本戦略とする。

 そして、この敗けない経営を実現するには人材教育が重要であるとか、いくつかのビジネスの定理を理解する必要がある、と続きます。
 ぜひ、経営者、起業者、そして産業振興担当者にお読みいただきたいので、リンクをはっておきます。

 ■福島県庁 地域経済領域のホームページ
   http://www.pref.fukushima.jp/industry/biz/mot/index.html

 このテキストから大いに啓発を受けたはんわしですが、「負けない経営」にあらためて関心が向いてきたのは、10月23日に政府の緊急雇用対策本部が発表した「緊急雇用対策」をざっと読んだためです。
 あらためて言うまでもなく、年末を控えて、雇用の創造は喫緊の課題です。緊急雇用対策には今すぐ政府が取り組むべき短期的な対策と共に、

 内需主導の経済成長を目指す観点から、未来の成長分野として期待される「介護」、「農林」等の分野やNPO、社会的企業が参加した「地域社会雇用」の創造に取り組む。
 これらの分野での新たな就業や雇用情勢が悪化した他の産業分野からの転職・転業を支援するため、職業訓練、とくに「働きながら職業能力を高めること」を重視した「積極的労働政策」を本格的に展開するとともに、「産業政策」や「文教政策」と連動した取組を推進する。

 という長期的な展望が明記されています。

 ここで雇用の受け皿と期待されている、介護、農林、そしてコミュニティビジネスのような社会的企業は、いずれも地域に密着し、お互いの顔が見える関係で成り立つビジネスです。
 政府が提唱する成長分野というのは、スーパーコンピュータにしろ燃料電池にしろ成功した例は少ないので、いたずらに右往左往する必要もないのですが、それにしても、これらの地域ビジネスに大きな可能性があるのは客観的な事実であり、日本社会はその方向へ動き出そうとしています。
 まさに今が潮目なのです。

 地域が舞台になるビジネスに、負けは許されません。
 地域経済を支え、地域雇用を担う中小企業経営者の、それは神聖な義務なのです。
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2009年10月26日月曜日

経済成長から「負けない経営」に

 昨日夜9時からのNHK総合テレビ、NHKスペシャル 自動車革命はかなり刺激的な内容でした。出勤の電車の中でも、職場でも、その話をしている人を何人か見かけましたから、視聴者誰もが一定のインパクトを感じたようです。

 自動車産業に代表される日本の製造業は、大量生産によるすりあわせ型に強みがあると言われています。パソコンのようにCPU、HD、メモリなどモジュール化した各パーツをパチンパチンと組み立てるのではなく、ネジのような何万点もの部品を、最適な強度とバランスを保ちつつ組み立てていく、特に自動車のように直接中で油を燃やしている
ガソリンエンジンや、走行を支えるミッション部品など全然性質の違う部品を組み上げていくものは、最高の難度を持つすりあわせ型製品といえます。

 これが大きく変わりそうなのは、これからはガソリン自動車に代わって、電気自動車が世界市場を席巻することがほぼ確実な情勢になってきたからです。昨日のNHKスペシャルも、今や世界最大の自動車生産国になりつつある中国で、電気自動車を作るベンチャー企業が続々と生まれている様子を伝えていました。電気自動車は「パソコン型」とも言うべきモジュール化したクルマなので、難しいすりあわせ技術を必要とせず、電池やモーターは汎用品を安く調達すれば誰にでも組み立てできてしまう製品で、自動車業界以外の業種からも新規参入がしやすいという事情があります。

 ある中国のベンチャーが走行距離300kmという信じがたい高性能をうたう電気自動車を開発し、それに日本の自動車メーカーの幹部が試乗する様子も放映されていました。最初は半信半疑だったものが、自らハンドルを握ることで、実は相当高い性能を持っていることを体感し、技術的に日本メーカーに近づいているばかりでなく、今後の開発スピードや研究開発の資金力は日本を完全に凌駕していることを知って驚いている様子だったのが、見ていて何とも衝撃的でした。

 よく、中国の企業は分極化しているといわれます。生産性が低く収益力も低い多数の国営企業と、高収益を稼ぐ多数のベンチャー企業。成功しているのは、多くが外国で教育を受けた経営者が起業したり買収したベンチャー企業であり、アメリカのシリコンバレーと同様にベンチャーが多産多死で新陳代謝が激しいのが経済成長の一つの大きな理由であると言われます。

 それに対して、日本はやはり安定志向が強く、リスクをとらない気質もあって、ベンチャーはなかなか成功しません。そうこうしている間に、アジア経済の主役は日本から中国に交代しつつあります。実感として、日本が今までのような経済成長を続けていくのは、色々な意味で難しいのではないかという疑念は、かなりの日本人が今やうすうす感じていることではないでしょうか。

 もちろん、これからの日本にとっても、経済成長を支えるような外需型の製造業は大切な産業です。しかし、ますます技術が高度化し、ますますニッチな分野に定向進化していくとすると、日本経済も成長から安定へと割り切らないと仕方がないのではないか、とも思えます。
 特に中小企業にとっては、拡大・成長よりも、市場から退場しないように、つまり「負けない」ように経営戦略をシフトしていく必要があるのではないでしょうか。

 長くなったので今日はこの辺にして、次回は「負けない経営」について書きたいと思います。



2009年10月25日日曜日

サークルKの津ぎょうざ弁当

 現在、サークルKサンクスでは三重県とタイアップし、美し国伊勢志摩 食彩キャンペーンとして、三重の食材やご当地メニューを使った弁当、おにぎりを愛知・岐阜・三重県内のサークルKで販売しています。

 今日そのうちの、伊勢茶メロンパンと、津ぎょうざ弁当を購入してみました。

 三重県は、静岡、鹿児島と並ぶお茶の一大産地なのですが、宇治茶や静岡茶などの有名ブランドに比べ知名度は今ひとつで、産地農家では「三重のお茶」としての伊勢茶ブランドを確立する努力を続けてきました。メロンパンも伊勢茶ブランドを広めるための関連商品化の一つということでしょう。

パンの中は大内山乳業のホイップクリームと小豆がはさまれており、パンのグリーンと白いクリームがコントラストとなって見た目がきれいです。

でも、味のほうはメロンとお茶とクリームと小豆のミックスなので、メロンパン本来のファンからすると好き嫌いの好みは分かれるかもしれません。


 津ぎょうざは、最近になって、津市のB級グルメに育てていこうと関係者が力を入れているメニューと聞いています。
 もともと津とぎょうざの間には歴史的な由来などなかったと思うのですが、聞くところでは、津市内の公立学校の給食で提供されていた餃子が、なぜかいつも普通の餃子の2倍くらいあるジャンボサイズだったそうで、それからヒントを得て、大きさで圧倒する焼餃子を津の新しい定番メニューにしようというプロジェクトが発足したとのことです。

 サークルKのぎょうざ弁当は、ジャンボサイズの津ぎょうざが2つ入っており、一つは普通の肉ぎょうざ、もう一つはカレー味のぎょうざでした。大変ボリュームがありましたし、意外と(?)おいしかったです。
 メロンパン、津ぎょうざ弁当など、11月2日までの限定販売ですので、もしご関心のある方はお早めにご購入ください。

 地域振興の手段として、ご当地メニュー、B級グルメの開発が全国各地で盛んです。富士宮やきそば、宇都宮ぎょうざ、各務原キムチなど、ごく一部の例外を除いて、メニューが全国的に大ブレークし、その地域の新しい名物になっているような成功例はほとんど生まれていないのが厳しい現実です。

 これは、そもそも地域おこしという目的が先行し、上っ面ばかりで、地元住民がそのメニューを必ずしも受け入れていない例も多いことや、「地域の新しい特産品に!」という掛け声は威勢がいいのですが、市場調査や顧客ニーズなどのマーケティングがないまま商品化してしまって結果的に売り物にならなかったり、商品化できたとしても販売戦略がなかったり、流通ルートの確保や量産化が難しかったりと、本気で特産品に育てようとする熱意があるのかが疑われるような、お粗末なビジネスが多いことも大きな原因です。

 今回の、美し国伊勢志摩 食彩フェアのように県が仲介して、産地と大手流通業者(この場合はコンビニ)をつなぐような試みは大変重要だと思います。しかし、プロモーションの仕掛けだけでなく、本気で商品化を目指す、本気で地域の産業にする、という産地の生産者や行政関係者の本気度・真剣度が大前提になることは言うまでもありません。
 その意味で、ごく少数の成功例しか生み出せないほどに「ご当地グルメ」「B級グルメ」の競争は激烈なのです。

2009年10月24日土曜日

社会企業家フェスタ2009

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 三重大学で開催された「社会起業家フェスタ」に参加してきました。主催したのは、起業やアントレプレナーシップに関心を持つ三重大学生のサークルである、三重大学ベンチャーサークルです。
 内容は、主に三重県内で活躍するコミュニティビジネスの経営者や仕掛け人の立場の方々による活動紹介や、起業に至った経緯などのパネルディスカッションと、三重大学ベンチャーサークルの学生などで起業した方や、地域おこしの活動に従事している方々の活動報告などでした。


 メインは、やはりコミュニティビジネス起業家によるパネルディスカッションだったと思います。参加した方々は以下の通りです。
・NPO法人 愛伝舎 坂本さん(鈴鹿市) http://npoaiden.hp.infoseek.co.jp/
・NPO法人 津市NPOサポートセンター 高垣さん http://kazut9.mie1.net/
・株式会社 アイエリア 鈴木さん(愛知県蒲郡市) http://www.mie1.net/
・NPO法人 Mブリッジ 米山さん(松阪市) http://www.m-bridge.jp/
・コミュニティ・ユース・バンクmomo 西井さん(名古屋市) http://www.momobank.net/

 皆さん、活動を始められたきっかけはさまざまなのですが、例えば愛伝舎の坂本さんなら、夫のブラジル勤務からの転勤により鈴鹿市に帰国したとき、多数のブラジル人が働きに来ており、その子供たちの教育サポートに携わったのがきっかけだったり、身の回りの出来事(「地域課題」ですね)を何とか解決できないかと模索し、動いているうちに、いわゆるコミュニティビジネスとか、ソーシャルビジネスと呼ばれる活動スタイルに進化して行ったことが共通しているように感じられました。
 つまり、始めからソーシャルビジネスをするんだ、と大上段に構えていたわけでなく、課題解決のための活動と、それを持続するための収益性の確保の両方の接点が、現在のスタイルになったというわけです。

 また、津市NPOサポートセンター 高垣さんからは、地域には素晴らしい産品や特産物があるのに、それがなかなか売れない。この方策として、単品でなく、地域の魅力や地域ブランドを付加価値として、それらの情報やストーリーと共に、ネットを活用して販売していく「地域商社」を目指している、という話があり、コミュニティビジネスもたとえ社会的な使命を帯びているとしてビジネスである以上、厳しいビジネスシーンで勝ち抜いていく強さと覚悟が求められる、というお話もありました。
 はんわし的には非常に勉強になるイベントでしたし、参加したいた約100名ほどの皆さんも得るところが多かったのではないかと思います。

 ただ、率直に言って、主催や進行が学生の手になるものであることは考慮しても、いくつか反省すべき点もあったと思います。例えば、そもそも社会起業家とは何か、なぜ現代は社会起業が求められるのか、といった基調講演はあっても良かったと思います。(もっとも、何が社会的起業か、コミュニティビジネスかという言葉の定義に拘泥する必要がないのは以前のブログにも書いたとおりです。)
 また、学生の活動報告は玉石混交で、どこが「社会的起業」なのか理解しにくいものも含まれていたような気はしました。
 しかし、何度も言うように、イベント自体は非常に有意義でした。学生が、特に三重県内で重要な役割を果たす三重大学の学生が、明白に21世紀の日本社会に最も重要である社会的起業をテーマに、主体的にイベントをやったことは本当に画期的なことです。イベント終了後の交流会も、パネラーのほかに起業に携わっている経営者や支援者、行政関係者、学生などが意見交換でき、大変に有意義だったと思います。

 貴重な機会を作っていただいた三重大学ベンチャーサークルには深く感謝したいと思います。

  

2009年10月23日金曜日

老人天国・若者地獄

                   
 いつかこの本、「孫は祖父より1億円損をする」(朝日新書)のことを書こうと思っていたのですが、機会がありませんでした。
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 要は、「世代会計」、つまり、政府を支える負担をし、政府から受益を受ける国民と政府の関係において、どの世代が得をし、どの世代が損をするかを金銭的に評価する仕組みで読み解くと、この本が出版された平成21年1月時点の自民党政権下での財政政策によれば、65歳以上の高齢者は実際に支払った税金や保険料などを充分にペイするサービスを政府から受け取っており、逆に20歳代の若者はこれから一生涯負担する金額に比べ、公的なサービスはほとんど受け取れない計算になる、という内容です。

 これは、社会制度を設計する政治システムに若者が無関心であったり、選挙制度により事実上参画からスポイルされている、という要因もあるにしろ、基本的には国民自身も税収以上の、つまり現在自分が負担している以上の、身の丈を越えたサービスを政府から受け取ることが当然と思っており、それを将来の世代にツケまわしする「国債」という借金でまかなっていることが大きな原因です。

 もちろん、著者は決して世代間対立を煽っていたずらに混乱させることを望んでいるわけではありません。世代会計の手法によって、財政規律を回復しなければ、今のツケを将来の国民(つまり、今の子供たち、若者たち)が返せなくなり、国家は破綻するほかない、という強い警告を与え、今こそ冷静に議論しようと呼びかけているものです。

 この本のことを思い出したのは、今朝の新聞各紙に「岐阜県(庁)が、行財政改革の一環として、平成23年度から2~3年の間、県職員の新規採用を凍結する方針を明らかにした。」というニュースが報じられたためです。
 岐阜県は過去からの負債や、将来の社会保障費の増加などで、来年度から年間300億円以上の財源が不足する見通しであり、知事以下の県職員の給与カットと、新規採用の抑制で職員定数を抑える方針とのことです。

 ちなみに三重県もそうですが、全国ほとんどの県庁の行政職員には昇進試験がありません。給与は年功序列によりほぼ自動的に上がっていき、ポストも上がっていきます。本人の適性や能力を客観的に測る仕組みがないのですから、何だかよくわからない基準で人事が行われているのが現実です。(県職員には警察官のように昇任試験がある職種もありますが。)
 つまり、能力があるのかないのか、仕事しているのかしていないのか、県民にはよくわからない職員が、勤続年数が長いというだけで一定の地位に付き、一定の収入を得ています。岐阜県知事は、本当にありがたいことに、これらの職員はしっかり守ってくれるのです。

 逆に、将来おそらく県庁を背負って立つ人材になるかもしれない新卒者は、就職のチャンスが奪われます。公務員目指して勉強している学生はショックでしょう。
 若者に希望を決して与えない社会。高齢者ばかりが保護され、若者はスタート地点にさえ立てない我が祖国。
 このような愚かな政策を実行して本当に大丈夫なのでしょうか? 他人事ながら心配になります。

2009年10月22日木曜日

NPOバンクを潰してはいけない

 今朝の中日新聞(10月22日付け)に、「貸金業法改正で波紋 借金情報 丸裸に」という興味深い特集記事がありました。
 来年6月に予定される貸金業法の改正では、過剰融資を防ぐための総量規制、すなわち借り手は年収の1/3までしか借りることができないようになり、同時に、貸金業者の間で借り手の借り入れ情報などの情報が共有されることが(具体的には、銀行などを除く貸金業者(いわゆるサラ金など)は統一された指定信用情報機関への登録と利用)が義務付けられるということです。
 
 キャッシングについては借りすぎ、貸しすぎにまつわるトラブルも多く、借り手を保護するため金利の規制などの法改正が進められてきました。今回もその延長線上にあって、消費者の一人としてはメリットが多いようにも思いますが、今後、金融機関側に重要な個人情報が握られることになるので、プライバシーが厳正に守られるのかという問題や、すでに多額の借り入れをしている場合、新しくよそから借り入れることが難しくなる、などの心配な点がありそうです。

 記事によると、深刻なのはNPOバンクなど、市民の有志が原資を出資し、それをコミュニティビジネスなどに低利で貸し付ける形態の金融機関への影響のようです。もともと、限りなく善意で成り立っているビジネスモデルのため、仮に、新規融資のつど指定信用情報機関に情報を問い合わせることが必要になった場合、その手数料などの負担が大きくなり、今のような低金利、長期間、小規模な融資がコスト的に引き合わなくなるおそれが出てくるとのことです。

 以前にこのブログでも書いていますが、今後の市民社会(それは、地域の問題は第一義的には地域住民自身が解決していく社会です)にとって、市民バンク・NPOバンクは必須不可欠なソーシャルキャピタルになることは間違いありません
 今までは、行政というシステムが、強制的に住民から税を取り立て、それを財源として、地域に一律・公平なサービスを提供する、という仕組みでした。
 これは社会が貧しい時代にはうまく機能しますが、次第に生活が豊かになり、価値観の多様化や個人の権利意識が強まると、公平は悪平等になり、役所は非効率の代名詞になります。
 住民自身が、自立的、持続的に課題を解決していく。その手法がコミュニティビジネスであり、それを資金面でサポートするのが市民バンクです。

 貸金業法の改正の是非はしばらく置くとしても、市民を守るタテマエが、かえって市民の自立の芽をつんでしまっては本末転倒です。
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2009年10月21日水曜日

あまりにも縁のなさそうな「ミシュラン京都・大阪」

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 先日、大阪に行ったのですが、書店に噂の「ミシュランガイド 京都・大阪2010」がどーんと平積みされていました。
 数年前に「東京版」が出たときは異常なフィーバーぶりでしたが、京都・大阪編は関西という土地柄もあるのか、つまり日本文化の真髄の地、関西の良さが必ずしもミシュラン側に伝わっているのか、という疑問も相当に蔓延しているようで、地元は比較的冷静に受け止めているようにも思えます。

 先週、ある関西発のテレビ番組を見ていたら、コメンテーターらしき人が、関西ではミシュランへの掲載を拒否した店が東京よりはるかに多かった、みたいなことを自慢げに話していました。もっとも、全国紙でも掲載店を詳細に報告していたりして(例えばAsahiコムの記事)、ミシュラン的な画一モノサシへの拒否感と、そうは言ってもやっぱり掲載されて単純にウレシイ、みたいな価値観がない交ぜになってはいるようですが。

 実際にミシュランガイド京都・大阪を手にとって見ると、ガイドブックと言っても日本の一般的なそれとは全然違うことに気がつきます。装丁はペーパーバックですが、紙はコート紙でズッシリした重量感があります。店の紹介記事も非常に簡潔、シンプルで、抽象的な表現です。るるぶ、とかの懇切丁寧なゴテゴテしたメニュー紹介では全然ありません。
 むしろ、
 ミシュランで紹介するのだから、説明は不要だ。信頼して店に行きなさい。
 みたいな尊大ささえ感じます。
 しかも、紹介されている店、みんな、高い。信じられないくらい、高い。
 昼食は最低でも5000円~6000円。もちろん一人前。
 夕食になると2、3万はザラ。
 自腹切って行く人がいるのでしょうか?

 All about 食べ歩き(関西)にあるように、ミシュランは100年に一度のチャンスと前向きに捉える人もいるのでしょうが、なんかはんわしには遠い世界に思えました。あまりにも縁がない。
 縁もないし、円もない。
 お粗末さま。

2009年10月20日火曜日

伊勢市産業支援センター活動日記

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 伊勢市産業支援センターは、伊勢市が設立した企業支援施設で、平成20年4月に設立されました。確かそれまでは「伊勢市工芸指導所」という名称で場所も違うところにあったと記憶します。伊勢市は昔から造船業が盛んであり、FRP(ガラス繊維強化プラスチック。船のボディーに使われる素材。)の技術指導を行っていました。また、伊勢の伝統的工芸品である伊勢春慶の技術指導もやっていました。このような工業系の支援施設を市町村レベルで持っているのは、三重県では珍しい例だったと思います。

 一般的に、市町村の産業振興機関は商工会議所や商工会が連想されます。これらの機関は、特別法によって設立される一種の必置機関であり、主に小規模な商工業者の経営改善を指導することが役割です。例えば、納税のための記帳とか、運転資金の貸付とか、共済事業とかのような。
 これら商工会議所、商工会は、中小企業の経営の向上に大変役立ってきました。特に、高度成長期までは、大企業に比べ中小企業は経営基盤も脆弱で、これらの機関が懇切丁寧に個別指導することが経営の近代化に直結しました。

 しかし、こと、製造業に関しては、零細な下請け企業といえどもグローバル競争の影響を強く受けるようになり、技術の進歩も早くなってきたため、従来の支援機関では充分な指導もできなくなってきている例も散見されます。
 そこで、伊勢市では工芸指導所をリニューアルし、新たに産業支援センターを設立したとお聞きしています。

 その伊勢市産業支援センターのスタッフが、支援の事例や活動の報告をブログで行っています。きめ細かく更新されており、担当職員のやる気がしのばれます。商工会議所、商工会、県の産業支援センターも、これくらいの情報発信はできないものでしょうか。ぜひお手本にしていただきたいと思います。

■伊勢市産業支援センター(伊勢市役所のホームページ)
  http://www.city.ise.mie.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1216779932104&SiteID=0

■伊勢市産業支援センターブログ(伊勢の企業と伊勢市産業支援センター)
 http://isenokigyou.mie1.net/
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2009年10月19日月曜日

加藤和彦さんの死


 はんわしも思春期にはギターを覚えようなんぞとしていました。ギターに詳しい友達がいて楽器屋であれこれとウンチクを聞かされ、強く薦められた、3万円くらいしたヤマハのフォークギターを買いました。
 教則本も買わなくてはならないということで、一緒に買わされたのが、「5つのコードで覚えるフォーク全集」とかいうたぐいのちゃちな本で、最初に覚えたのが「あの素晴らしい愛をもう一度」でした。もう弾けませんけど。
 
 先日亡くなった加藤和彦さんとの出会いはそのときです。帰ってきたヨッパライのころの加藤さんをリアルでは知らず、教則本に出てくる曲を作った人として頭にインプットされました。

 高校の頃は、高中正義さんのインストゥルメンタルのギターが大流行しました。ブルーラグーンとか。
 彼(高中)が所属していたバンドが、サディスティックミカ・バンド。リーダーは加藤和彦さんです。加藤さんは常に自分の音楽スタイルを進化させ、フォーク歌手としてデビューした後も、決して同じ場所にとどまらず、「サイケ」なロックバンドで海外進出を果たしていました。サディスティックミカ・バンドは、ネーミングの点も、ヨメさんがボーカリストの夫婦バンドである点も、オノ・ヨーコとプラスティック・オノ・バンドを結成していたジョン・レノンの洒落なのでしょうけれど。

 すごい日本人だと思いました。日本人の自称「ロック・アーティスト」が、ネイティブが聞いたら間違いなく意味不明な英語もどきの歌詞を巻き舌で猿真似して歌っていた頃、彼は「日本のロック」として世界にデビューしていたのですから。(坂本龍一さんがいたYMOもワールドツアーをしていましたが、それよりずっと早い時期だったのです。)

 決定的な印象は、当時はアイドル歌手扱いだった竹内まりやさんの「不思議なピーチパイ」の作曲者と知ったときです。この曲、名曲ですよね。天才やなあ。

 常に先頭を走ってきた加藤さん。
 お疲れになったのでしょうか。安らかに。合掌。
 
 

 
 

2009年10月18日日曜日

ギャル農業

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 著者は、19歳で起業したマーケティングリサーチ会社を年商3億円までに成長させた経験を持つ有名なギャル社長で、新しいビジネスとして農業に参入したという、いわゆる「ノギャル」プロジェクトの中心人物です。

 農業にはさまざまな課題がありますが、その大きな一つが、新規参入が極めて難しいために後継者が圧倒的に不足しているほか、産業全体の発展に必要な新商品や新農法の開発、新市場の開拓などの、いわゆるイノベーションが起こりにくくなっているということがあると思います。
 しかし、依然として農林水産業に対する期待や同情の声は大きく、たとえば「東紀州地域の主力産業は農林水産業です」などといまだに言われたりします。
 統計上、これは事実ではなく、東紀州ですら地域産業全体に占める農業の割合は、生産額、従業者数ともに10%程度に過ぎません。むしろ本当の主力産業は建設業やサービス業なのですが、これらは(本当に不思議なことに)農業ほどは行政やマスコミに庇護されません。また、現在のように製造業などが不振になると、新たな雇用の受け皿として注目されるのも決まって農業です。このように、応援団は多いのにプレーヤーがぱっとしないことが農業問題の本質である気がします。

 さて、本書に話を戻すと、実はこの本、それほど出来は良くありません。
 まず、藤田志保さんが「ギャルでもできる、でなく、ギャルだからこそできることがあるはず。」という熱い思いで起業し、努力の末に成功を収めるまでが書かれています。これ自体は「ギャルに対する社会の偏見」の厳しさと戦った、藤田さん自体の頑張りと、着眼点や発想の豊かさがよくわかるエピソードですし、なかなか面白く読めます。
 次に、ビジネスの新たなステップとして、祖父が新潟の米農家で、幼い頃に時々農作業の手伝いをした経験もあることから、後継者不足に悩み、食料自給率も低い農業の現状をなんとかしようという発想に結びつき、秋田県大潟村の農業関係者とタイアップしてギャルたちが米作りをする「ノギャル・プロジェクト」を実行するまでの経緯が書かれています。
 しかし、このプロジェクトは現在進行形であり、「シブヤ米」と名づけられたお米も、ようやっとこの秋に収穫され、楽天などで販売が始まったに過ぎません。なので、この本では、まだ著に付いたばかりのノギャルの経過報告があるのみで、具体的な成果や、その反省、来年への課題、などの検討は全く行われていません。その意味では、出版社(中央公論新社)がこの時期にこの本を刊行したのは、不景気の中の農業ブームや、まだ目新しいノギャルにあやかった商法だと邪推できなくもありません。

 もちろん、藤田さんの掲げるノギャルのコンセプト「若い人たちが食や農業に興味を持つキッカケを作る」は、全くもって正しいと思います。テレビ、ネット、ケータイといった情報化社会は、若者から実社会のリアルな体験や、生々しい人間関係、時には足かせにも思える地域コミュニティの存在感を完全に奪い去ってしまいました。これが不健全な社会であることは間違いないので、まず農や食に関心を持つきっかけを作ること、そして実際に農の現場に行って体験したり、農業者と交流すること、は最初の、そして大切な第一歩だからです。

 ギャルが農業をするのがマスコミ受けするとか、万策尽きた感がある官製の農業振興策にうまく取り込まれてしまうとかの「誘惑」や「落とし穴」に負けることなく、ギャル道をまっとうしてほしいと切に思います。
 若者が関心を持ち、就職・就業したくなるような産業でなくては、いかなる手段をとっても次代に残ることはできないからです。がんばれ、農ギャル!

 藤田志保さんのブログ → http://ameblo.jp/fujitashiho/

勢田川のカワセミが死んでいた

 縁起の悪い話で恐縮なのですが。

 今朝は秋晴れ。窓を開けるとキンモクセイの香りもしてきたりして、ちょっと近所を散歩してみることにしました。
 外宮勾玉池から勢田川(せたがわ)沿いの、いつものコースをブラブラ歩きます。
 勢田川といえば、おそらく三重県内でも有数の「水質の悪い川」として有名(それは伊勢市の下水道普及率が極めて低いこととも関連しているのでしょう)ですが、近年は水質の改善が進んで、ごくたまにカワセミも見かけたりして、地元のケーブルテレビでニュースになっていたほどでした。

 自宅までショートカットして行こうと、三重県伊勢合同庁舎の駐車場を横切っていた時のこと。色鮮やかなものが落ちているので、何だろうと見てみると、カワセミの死骸でした。
 時々、勢田川の川原でみかけたあいつかもしれません。変わり果てた姿でした。


 外傷はないようだったので、食べ物の加減か、インフルエンザのような病気のせいでしょうか。キレイになった勢田川の象徴だっただけに残念だし、かわいそうな気がしました。

(補足)カワセミについては、知人の話によると、餌が取れそうなところならどこでも飛んでくるので、川のきれい・汚いとはあまり関係ないそうです。むしろ、市街地周辺の里山が宅地開発され、今までの住処を追われたから勢田川にも出てくるようになったのではないか、とのことでした。

2009年10月17日土曜日

宇治橋ものがたり


 お伊勢さんの大橋 宇治橋ものがたりが伊勢文化舎から刊行されました。
 伊勢神宮の式年遷宮(次回は平成25年に実施予定)にあわせ、内宮(ないくう)では、五十鈴川に架かる宇治橋の架け替え工事が行なわれていました。工事は先日完了し、来月3日には渡り初めが行なわれますが、それにあやかって出版されたご当地ガイド本です。カラー写真、宇治橋の歴史や文化、それに雑学。ほかにもエッセイやグルメ案内など盛りだくさんです。

 さて、ここで問題

1.伊勢神宮の式年遷宮は平成25年。つまり4年後です。しかし宇治橋は今年完成。このように、神宮の遷宮(作り直し)と宇治橋の架け替えが4年ずれているのはなぜでしょうか?
 → 答えは本書14ページ


2.宇治橋には、神社建築に従事する宮大工のほかに、船大工もその技術をかわれて参加するのが慣わしです。木造船の技術は宇治橋のどこに使われるのでしょうか?
 → 答えは本書38ページ以下

3.大正9年の(旧)道路法の規定では、国道1号線の基点は、東京日本橋でした。では、終点はどこだったでしょうか?(この当時の終点は、昭和27年の(新)道路法によってすでに変更されています。)
 → 答えは本書74ページ

2009年10月16日金曜日

ダイソンの「羽根のない扇風機」


 サイクロン掃除機で有名なイギリスの家電メーカーダイソンが、「エアマルチプライアー」なる羽根のない扇風機を発売するそうです。

 MSNニュースはこちら

 独自のエアマルチプライアー技術により、吸気口から吸い込んだ空気で最大毎秒 27リットルの気流を生み出すことができるそうです。また、背面からも空気を取り込み、15倍の風量にすることも可能だとか。

 一番の特徴は、写真のように単なる輪っかの形で、従来の扇風機のような羽根がないため、安全で、かつムラのないスムーズな風を生み出すことが可能ということです。
 値段はべらぼうに高価ですし、この時期、扇風機は時期外れですが、おそらく結構売れるような気がします。

 iPodが典型的なのですが、必ずしも技術は優れていなくても(エアマルチプライアーは最新の独自術なのでしょうが)、デザインや機能性が優れており、これを購入することで新しいライフスタイルが楽しめそうな魅力がある商品であれば、不況であっても消費者には受け入れられます。
 独創的な商品が色々なジャンルで次々と発売されたのが日本の家電メーカーの魅力でしたが、アメトークで家電芸人のマニアックな議論が繰り広げられているように、最近は、小難しいわりに変わり映えのしない機能がゴテゴテと増えるだけで、あっ、これ!と思わせるようなワクワク感が圧倒的に少ないように思えるのは、メーカーが成熟(老成)し、遊びゴゴロがなくなったせいでしょうか?
 


 

2009年10月15日木曜日

今こそ原点に! 「買い物難民」で考える

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 昨日書き忘れたのですが、文春新書の「無印ニッポン」の中に、このような一節があります。

 中谷巌氏が、長らく信奉していたアメリカ流の自由主義的な資本主義から転向したという内容の著書を発表し、「経済学者は(経済学のことは考えるが)社会のことは考えない」と自己批判したことが世間の大きな話題になったことに関連して・・・

三浦展氏:経済学者がすべてああではないでしょうけれども、こんなに社会や人間について考えていない人だったのかと、びっくりさせられました。
堤清二氏:そういう点では、竹中さんと似ている。
三浦氏:似ていますね。竹中平蔵さんがテレビなどに出て来て朗々としゃべると、なかなか反論できない。彼の言う通りにやれば景気はよくなるんだろう、とか、日本の経済は強くなるんだろう、とは思わされるけれども、それがどういう社会なのか、そこでどういう暮らしが営まれるのか、まったく見えない。<略>郵政民営化するとどんないいことがあるのかと聞かれると、「郵便局の中にコンビニが作れる」としか言わなかった(笑)。生活全体がどうなるか考えていない。
堤氏:なんでそんなことを考えなければならないんだ、ということなんだろうと思いますね。

 はんわしが思うに、この論点は地域産業振興に従事する人間にとって、非常に重要な問いかけではないかと思います。

 地域産業振興の手段は、長らく、大都市から工場を誘致してくることでした。安定した製造業によって設備投資が増え、地元の税収は伸び、地域雇用も確保されます。
 そして、もう一つの手段は、製造業の技術開発を支援して新商品や新技術を作り、付加価値を高め、輸出を増やしていくことでした。

 90年代からの失われた10年の間、工場の海外移転が進み、製造業の「空洞化」が進むことが、まるで日本の破滅のように喧伝され、今でも「技術力を世界一に保たないと、中国やインドに抜かれて日本は三等国に落ちてしまう」といった議論が絶えません。

 確かに製造業は重要な産業です。ものづくりの心や技が絶えることはありえないし、人間の持つ科学知識や技術開発への欲求が衰えることもないでしょう。
 しかし、どんどんどんどん税金をぶち込んで、マンパワーを投入し、技術力が世界一になり、低炭素社会の中で日本が世界の環境産業をリードすることになったとする。そしてその結果、住民は、つまり我々一人ひとりはどんな生活になるのか、どんな営みになるかが全く見えない。
 
おそらく、製造業振興などやってもやらなくても、技術力が世界一になってもならなくても、生活は何も変わらない、と大多数の人は思っているはずです。その意識と、現在の産業振興策は乖離していないでしょうか。もっと言えば、竹中流のパターナリズムに陥っていないでしょうか?

 今朝の中日新聞に「過疎高齢化、地元商店街の衰退 地方に“買い物難民”」という記事が載っています。(10月15日付け)
 商店街の商店主側にも問題があるにしろ、消費者である住民にも地元の商店を育てる意識が重要なのは、すでにこのブログでも指摘したとおりです。
 しかし、まさにこのような、住民の生活と、産業(この場合は地域商業)とが密着している課題を解決するために、地方自治体は産業振興に従事しているのではないでしょうか。このことを深く反省してみるべきです。

 

2009年10月14日水曜日

20世紀消費社会の終焉

 
 毎日、満員電車で通勤していると、人の流れの具合で、自分の座っている座席のまん前に、数人の女子高生グループが陣取ることがあります。今朝もそんな感じなったのですが、いつもと違ったのは、いかにも偏差値の低そうな女子高生集団の一人が、カレシとの別れ話がもつれて難儀していることを、隣の友達と大きな声で機関銃のように話し続けており、男から暴力を振るわれたり、脅迫めいた言動やメールを送りつけられている、というエピソードを赤裸々に一つ一つ披露した後、いちいち もうキモ過ぎ! と連発していたことです。

 自分も確かに高校生の年頃は他者を意識することがほとんどありませんでした。彼女もきっとそうなのでしょうが、それにしても、プライベートなかなりキワドい話を(おじさんはこんな色っぽい話が嫌いではありませんが・・・)、どこの誰が聞いているかもわからない満員の車内でしゃべり続ける女子高生たちには、表現は悪いですが、現代日本の「下流社会化」の鮮やかな切り口を見せつけられた気持ちでした。
 今の社会に、彼女の居場所はなかなか見つからないことでしょう。幸多かれと祈らずにはおれません。


 さて、その「下流社会」という衝撃的なタイトルで日本社会の変質を読み解いた三浦展さんと、かつてセゾングループを率いて消費社会をリードし、「無印良品」の発案者でもある堤清二さんが、現代社会の消費をテーマに対談した本が、この「無印ニッポン 20世紀消費社会の終焉」(中公新書)です。

 非常に示唆に富み、しかも会話調の文章で読みやすいので、ぜひみなさまにもご一読をおすすめしたいのですが、興味深く感じた点を1つだけご紹介します。
 20世紀型の消費スタイルは終わりを告げており、来るべき新しい消費のスタイルは「共費」である、という部分です。
・私有物を増やすというアメリカ型の大衆消費社会が限界に達すると、私有には関心がなくなってきて「共有」が始まる。
・モノを買うより、人とのつながりを重視する価値観が「共費」である。
・ルームシェア、カーシェアリングなども急速に増えている。これはメーカーにとっては大変な脅威。
 などの対談が続くのですが、同時に「しかし、消費社会は大衆を100パーセント巻き込めたが、共費社会はせいぜい3割くらい」なのですが、「それでもやはり、消費社会に対するオルタナティブ(もう一つの選択肢)はあるべき」というコメントも付け加わります。

 実感として、田舎ほど、住民は「ユニクロ」や「スターバックス」などの全国チェーンを渇望しています。それで地元の洋服店や喫茶店が潰れてしまっても、全国チェーン店があるほうが文化的で都会的な地域に「出世」するように感じるからです。また、画一的なマニュアル対応でも、田舎の常連客向けの接客に比べればよほどマシなのも事実だからです。この気持ちもよくわかります。
 消費スタイルの変化は、トレンドとしては脱画一化、脱大衆化していくのは確実なのでしょうが、地域性や地域コンプレックス、世代間の感覚の違いなど多様な価値観を巻き込み、せめぎあって形作られていくようなイメージなのではないでしょうか。

2009年10月13日火曜日

業務連絡 三重県IT経営セミナーのご案内


 昨日は経営品質について書きました。今日はIT経営なのですが、経営品質にしろITにしろ、今に始まったことではなく、経営に取り入れている人はとっくの昔から取り組んでいるわけです。
 しかし、もしあなたが経営者だとしたら、あるいは経営を支援する立場の人だったら、このブログが目に留まったこと自体が何かのご縁、一つのきっかけかもしれません。

 ITを中小企業に取り入れるとどのようなメリットがあるのか、デメリットがあるのか、何が変わるのか、変わらないのか。どうすればいいのか。だれに相談したらいいのか。
 そのような素朴で単純な疑問に答えるためにセミナーはあります。それが行政機関や、公益法人によるものなら、なおさら気軽に参加していただけると思います。

■ IT経営セミナー
 日時 平成21年10月22日(木) 13:30~16:30
 場所 メッセウィングみえ(津市北河路町19-1 津ICすぐ)
 内容の詳しくは、中部IT経営応援隊のHPをご覧ください こちらです
 参加は無料ですが、事前申し込みが必要です。
 
 ITで、あなたの経営を向上させませんか?

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2009年10月12日月曜日

「経営品質」と出会う秋


 これは、誰でもきっとそうだと思います。

 将来、自分が進むべき道、あるいは自分が導くべき方向性が明確にわかっている人など、ほとんどいません。

 特に現代のような混沌とした社会状況です。価値観がさまざまに多様化し、自分にとっての常識が身近な人には全く通じないとか、職場でも意見がなかなか共有できないという事態に、実に多くの人が直面しています。
 組織の上に立つ経営者はもっとたいへんです。自分のことだけでなく、従業員の雇用にも責任を持たなくてはいけません。まさに荒海の真っ只中を海図も持たずに航海しているような心持ではないかと思います。
 百歩譲って、仮に自分の進むべき道が見えていたとしましょう。しかし、そのためにどのような戦略を立て、戦術を用いて達成すべきなのでしょうか。これも非常に困難なことです。

 その一つの解決策は、経営者に自分の「理念」や「哲学」を明確に自覚してもらい、その理念・哲学にのっとって、顧客、従業員、そして地域というステークホルダー3者の満足度を向上させることを目標とし、そのための戦略や戦術を経営陣と従業員が共に同じ目線で考えていく。そして「素晴らしい経営」を実現していくことです。

 この考え方が「経営品質」と呼ばれるものです。

 ここで、このブログの冒頭に戻ります。
 経営者の皆さん、自分が進むべき道、あるいは自分が導くべき方向性が明確ですか? と。

 経営品質を高める、と言うのはたやすいことですが、自分の目指すべき方向性と、自分なりの経営理念、経営哲学を自分なりに定義し、ハッキリと自覚するという第一歩からかなり難しい作業になることでしょう。
 サラリーマンに、「ただ何となく、この会社に入った」という人が多いように、経営者も「親の跡を継いだだけ」とか「独立して一国一城の主になりたかった」という程度の人が意外に多いからです。
 そして何より、経営者は多忙です。目先の仕事に追われるうちに、自分の夢や本懐を見失ってしまうことも少なくないと聞きます。
 ビジネスを通じて、会社という組織を使って「何を実現し、何で社会に貢献するのか」を潜在意識の中から研ぎだすにはコツが必要です。それを顧客に理解させ、従業員に共有させ、地域に理解させるのも努力と時間が必要です。

 しかし、あなたが経営者なら、それから逃げ出すことはできません。
 いずれ向かい合う問題なら、なるべく良いタイミングで、いい出会いをすべきではないでしょうか。
経営品質にまつわるセミナーが来月11月、三重県内で開催されます。経営品質との出会いとしては最良の機会になることでしょう。経営者に皆さん、経営陣の皆さん、そして営利・非営利を問わず、マネジメントに関心がある皆さん、ぜひ参加してみてください。

■経営品質セミナー
 「なぜ、あの会社の社員はみんな生きいきしているのか?」
 講師 万協製薬(株) 代表取締役 松浦信男氏
 日時 2009年11月6日(金) 10:30~12:00
 場所 四日市ドーム
 詳しくは、こちら(チラシPDFファイル)

■三重大学地域イノベーション学研究科講演会
 「地域振興における中小企業の役割」
 講師 伊那食品工業(株) 会長 塚越 寛氏
 日時 2009年11月7日(土) 10:15~12:00
 場所 県庁講堂
 詳しくは、こちら(三重大学ホームページ)

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2009年10月11日日曜日

「コミュニティビジネス」と「ソーシャルビジネス」と「地域ビジネス」

 4年前に三重県でみえコミュニティビジネス振興研究会を立ち上げ、県内のCB事業者や有識者で県内でのコミュニティビジネス振興について議論していた時も、コミュニティビジネスという言葉の定義の「あいまいさ」が話題になったことがあります。

 結論から言うと、教条的な定義はしばらく置き、ポイントさえ抑えておけば、広くCBと解釈することでよい、ということで収まったような記憶があります。

 わが国におけるコミュニティビジネスの提唱者である細内信孝さんの「地域を元気にするコミュニティ・ビジネス」(ぎょうせい・2001年)によると、「例えば寝たきりのおじいちゃん、おばあちゃんに毎週土曜日、お弁当を届ける配食サービスをボランティアで始めるなど、コミュニティ・ビジネスは、そうした善意の心から地域の困った問題への対応として、それを継続性、信頼性のあるビジネスにより解決していこうというのが、(中略)基本的な考えなのである。」とあります。そして、CBの4つの特徴として
1.住民主体の地域密着のビジネス
2.必ずしも利益追求を第一としない適正規模、適正利益のビジネス
3.営利を第一とするビジネスとボランティア活動の中間領域的なビジネス
4.グローバルな視野のもとに、行動はローカル開放型のビジネス
が挙げられています。
 後述しますが、4番目についてはソーシャルビジネス(SB)とも共通する特徴のような気がします。

 次に、これもCB関係者ではバイブルとなっている、片岡勝さんの「儲けはあとからついてくる(片岡勝のコミュニティビジネス入門)」(日本経済新聞社・2002年)を読んでみると、「コミュニティビジネス(とは)、すなわち地域における課題を解決する事業である。」とあって、定義はたいへん明快です。
 細内、片岡のお二人に共通するのは「地域課題の解決」こそがCBの要諦だということです。経済のグローバル化や地域経済の疲弊など、社会の矛盾を解決するためには行政頼みではうまくいかず、かといって通常の企業活動でも解決しない。市民自身による行動が必要であり、その行動を継続するためにはビジネスの手法を取り入れる必要がある、という奥深い思想が根底にあるからです。

 では、最近、耳にすることが増えてきたソーシャルビジネスとはどんなものでしょうか。これも入門書で定義を紐解いてみると・・・
 神座保彦さんの「概説 ソーシャル・ベンチャー」(ファーストプレス・2006年)によると、ソーシャル・ベンチャーとは「社会に貢献することを目的に、社会起業家がビジネス・スキルを用いてマネジメントする組織」とあります。(この場合のソーシャル・ベンチャーとは、SBを行なう事業者のような理解でひとまずは良いと思います。)
 また、町田洋次さんの「社会起業家」(PHP新書・2000年)によると、社会起業家とは「医療、福祉、教育、環境、文化などの社会サービスを事業として行なう人たち」のことです。
 つまり、SBも社会問題をビジネス手法で解決する活動という趣旨はCBと共通します。ただ、CBはコミュニティ、つまり地域性を強く意識しており、サービスの担い手と受け手の顔が見える関係でのビジネスが基本にあるのに対し、SBは、よりグローバルな視点でビジネスモデルを構築し、アントレプレナーシップ(起業家精神)やイノベーション(創新性)を強く意識している点がCBとの違いと言えるのかもしれません。

 ただ、冒頭にも書いたように、定義の議論はさほど重要ではありません。まずは行動してみる、それは自らが起業するということではなくても、身近なCBやSBを知ってみる、利用してみる、参加してみる、という形での参画でも十分です。探してみると三重県内にも案外、そのようなビジネス活動をしている組織や経営者はありますし、たとえば松阪市のNPO法人が「コミュニティビジネスマイスター認定講座」を開講しているとか、10月24日に三重大学の学生サークルが「社会起業家フェスタin三重」を開催するとかのように、拡大の取り組みは着実に進んでいます。

 困るのは、CBを、地元産の農産物や水産物を原料にした特産品の開発とか、地域の観光資源を使った観光ビジネス、のような単なる「地域ビジネス」と同義に扱ってしまうことです。実は、このような誤解は、ほかならぬ行政関係者の間で広まっています。
 農村地域であれば青空市を立ち上げて、そこで余り野菜を売ることで地域の高齢者は生きがいを感じている、とか、商店もなくなってしまった過疎地域で移動スーパーを始めて交通弱者に感謝されている、とか、これ自体はたいへん有意義だと思いますし立派なビジネスです。しかし、これらが地域課題の解決を十分に意識し、細内、片岡両氏の提言するような、住民の自立性や社会的な視点を持っている事業でなければ、それは単なる「普通の地域ビジネス」でしかありません。
 またぞろ新しいもの好きな行政が、CB支援だなどと青空市に補助金をバラまくようになると、結果的に住民から自発的に起こった「地域課題解決ビジネス」の芽を摘み取ってしまう愚行につながりかねません。注意が必要です。
  

2009年10月10日土曜日

鳥羽市B級グルメ「とばーがー」に新たなラインナップが!

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 鳥羽市のB級グルメとして、官民挙げてメニュー開発とPRが行われているご当地バーガー「とばーがー」ですが、10月から新たなメニューが加わりました。
 鳥羽市駅近くの海鮮料理店の老舗 長門館による「めかぶ入りみそカツバーガー」です。
 早速食べてみました。


 基本的にはトンカツバーガーなのですが、豚肉は地元伊勢志摩で飼育されるパールポーク。それに味噌だれがかかっている、つまりは味噌カツバーガー。
 その味噌だれには、これまた地元鳥羽産のめかぶ(ワカメの根元の部分。ネバネバしており、アルギン酸などを多く含む。)を刻んだものが入っており、粘り気がある特製の味噌だれです。
 さらにトンカツにはオニオンフライが乗っかっており、このシャキシャキした食感と相まって独特の風味になっています。

 はっきり言って、これは美味しいです。皆様にもぜひオススメします。

 1個500円(税込み)と高価ですが、これ1個で充分、満腹になります。
 ただし、一日限定数量であることと、注文してから出来上がるまでに20分かかるそうなので、あらかじめ電話で長門館に注文しておくほうがいいでしょう。
 新しい鳥羽の名物としてさらなるブレークを願わずにはおられません。

■とばーがー公式ホームページ  http://www.city.toba.mie.jp/kanko/tobarger/home.htm

なぜ小売業はダメなのか

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 日経ビジネスオンライン「なぜ日本の小売業はだめなのか?」という記事は面白いです。高級食品スーパーである成城石井の社長である大久保恒夫氏の寄稿ですが、はんわしが日ごろ考えているようなもやもやしたことを、明確に整理してくれるような内容でした。
 
 これによると
・アメリカの雑誌フォーチュンが毎年調査している「アメリカで最も働きたい企業100」にはベスト20に小売業が3社も入っている。小売業は金融機関にもヒケをとらない人気である。
・一方で日本の小売業は就職人気が低い。「給与が安い」とか「土日に休めない」とか理由は考えられるが、私(大久保氏)は「社会的評価が低い」ことが一番の問題だと思っている。
・小売業は、売り場の面積の大小以外の価値がない。価値を生んでいない、だから社会的評価が低い。やっていることはメーカー、卸におんぶに抱っこ、人マネばかりで、差異化はディスカウントでしかできない。
・しかし、現実には日本の小売業の売り場管理レベルと接客レベルは、世界一。それなのに日本の小売業は就職人気は低いし、利益も上がっていない。
・高度成長期には消費意欲が旺盛で、モノさえあれば売れた。また、メーカーや卸による流通コントロールも強く、結果的に小売業が独自で棚割りや仕入れをしている例はあまりなかった。
・そのため、商品についての知識は必要なく、人材の質も求めてこなかった。教育も十分に行ってこなかった。これでは良い人材はやってこない。
・小売業は本来楽しいもの。何が売れるか、どうしたら売れるかを考え、売れた時の感動は得がたい喜び。創造性が生かせる。お客様の反応もダイレクトに伝わってくる。小売業は全体 のチームワークも大切であり、みんなで協力して1つのことを成し遂げる楽しさもある。

 以上が概要ですが、非常に重要な示唆を含んでいると思います。

 製造業の生産技術がますます高度化していく中で、理系の教育を受けていない(はんわしのような)人材は、就職の段階からスポイルされるケースはますます増えてくることでしょう。簡単な組立作業はコストの安い海外ですればよいからです。したがって普通に考えて、工場誘致などの製造業振興策に取り組んでも、それが無意味とは言いませんが、地元雇用への効果は今までに比べて限定的なものにならざるを得ません。

 したがって、国内、特に郡部など地方にいる圧倒的多数の「文系人材」にとって、自らの創意工夫や機動性が発揮されやすい仕事は、どうしても小売業やサービス業になります。長谷川氏が言うように、まだまだこの分野は改善、高度化する余地があり、サービス水準の向上や、新しいビジネスモデルの創造などが地域経済の活性化そのものにつながっていると言っても過言ではないでしょう。

 

2009年10月9日金曜日

貸し渋り防止法は平成の徳政令か

 それにしても元気な高齢者のお手本のような亀井静香金融大臣です。今日もテレビに出まくっていました。

 焦点なのはもちろん、「貸し渋り貸しはがし防止法」なる仮称の、返済猶予制度(モラトリアム)を目玉にした法案の問題です。
 モラトリアムの内容は、新聞などの報道によると
・法律は1年間の時限立法で、対象は銀行や信用金庫などでノンバンクは対象外。返済猶予を認めるかどうかは金融機関自身の判断で国の強制ではない。
・中小企業の借り入れに政府保証を付け、元利の返済を一定期間猶予することも含めた支援の仕組みを提示。
・返済猶予は最長3年間。
 などのようです。
 中小企業のほか、失業などで住宅ローンの返済が難しくなった個人への支援措置もあるようです。

 中小企業の資金繰りが大変厳しく、これから年末にかけて資金ショートの多発が見込まれることから、この法律の年内施行を求める声は、経営者を中心によく聞かれます。
 一方で、市場経済である以上、生産性の低い企業が退場することはやむを得ないことであり、国による過度の市場経済への介入は、健全な市場原理をゆがめてしまうという批判や危惧も多いようです。確かに非常に難しい問題だと思います。

 むかし、日本史で「徳政令」を学びました。鎌倉時代末期、貨幣経済が浸透して、米などモノの経済に頼っていた武士階級は、苦しい生活を借金でまかなうようになっていきます。その担保として差し出した田畑が、借金が返済できず他人にわかってしまうケースが続出しました。
 「一所懸命」という言葉の由来になったほど、領地の確保と維持に絶対的な価値観を持っていた武士階級の没落は、鎌倉幕府に危機感をもたらし、幕府はついにそれまでの借金をチャラにする徳政令を公布しました。
 その結果、どうなったか。
 確かに借金は帳消しになったのですが、経済構造も、自分たちの生活スタイルも、今までどおり変更がないままでは、やはり武士の生活は借金に頼らざるを得ないことは変わりがありません。しかし徳政令に懲りた金貸しは、新規融資に今まで以上の利息や担保提供を要求し、それに応えられない武士たちは破産し、完全に没落することになりました。

 鎌倉時代の徳政令は非常に原始的なスタイルで、貸し渋り貸しはがし防止法がこれと同じになるとはもちろん思えません。しかし、数年前の金利規制によりノンバンクの貸出残高が大幅に減少したことと、昨今の中小企業の苦しい資金繰りには強い相関関係があるという指摘もあったりして、防止法が施行されれば貸し出しリスクが強まり、結果的に大多数の中小企業者の新規融資がかえってスムーズに行かなくなるおそれが出てくるのではないか、と月並みではありますが、少々心配になってしまいます。

2009年10月8日木曜日

台風18号!


 皆様は台風の被害はなかったでしょうか。

 はんわしの知り合いにも、広大な耕地を持ち収穫を控えた農家の方がいます。工場や設備を持つ社長さんがいます。よそからお客様を迎えるサービス業の方もいます。
 それぞれご苦労のあった台風来襲だったことでしょう。もし何か被害を受けた方には心からお見舞い申し上げます。
 
 昨日は伊勢も夜半から猛烈に雨が強くなり、未明には風も強く大変でした。しかし、はんわしはなんとか無事にやり過ごすことができました。今日は朝8時ごろには風は強かったものの雨は止み、雲間から青空ものぞいていましたが、満潮と高潮が重なりそうだということで、海の近くの低地にある実家のほうがむしろ心配でした。けっきょくこちらも無事だったのですが。

 少し遅れて宇治山田駅に向かうと電車は相変わらず運転見合わせ中。手持ち無沙汰そうにたくさんの人が駅の構内をぶらぶらしていました。

 昼前に津に着くと、市内を流れる安濃川の水位がすごく上がっていて、泥水が奔流になって流れ下っていました。
 青空は妙に透き通って新鮮に見え、遠く青山高原まで見渡せるほどでした。
 台風一過とはよく言ったものです。

 それにしても今朝、豪雨の中でも朝刊はきちんと届いていました。
 電車も午前中には復旧しました。
 道路も、小さな枝がへしおれて路面に落ちていたりしましたが、国道はほとんど通行に支障なく復旧していました。

 これらを支えてくれた方々に感謝です。日本人の勤勉さを再認識し、本当にありがたく思えた一日でもありました。

2009年10月7日水曜日

三重県「1万人アンケート」と研究利権

 三重県が毎年実施している県民意識調査「1万人アンケート」の結果が公表され、一部の地方紙にも記事が載っています。
 三重県が「住みやすい」と回答している県民が71.6%と高率であるものの、過去の調査に比べて最低の数値になっているとのこと。不景気で職がないなどの影響もあるのかもしれませんが、はんわし的に関心があるのは、県民が不満足と感じている調査項目の第1位(つまりワーストワン)が「地域商工業」であるということです。

 これは、ほぼ県民の実感であることは認めざるを得ません。
 生活に最も身近である商店街はどこでもほぼ壊滅状態であり、地域の商業機能は郊外に集中しているため、交通弱者は日常の買い物にも難儀しているという状況があります。
 また、昔は良く見られた、町並みに溶け込んだ鍛冶屋とか、職人の作業所のような小工場もどんどん潰れ、あるいは郊外に脱出してしまっています。
 大規模な工業団地が山を切り開いて作られていますが、ここは決して街ではなく、生産機能に特化された味気ないゾーンで、一般の住民が気軽にやって来ることなど絶対にありません。
 同様に、大規模な郊外型ショッピングセンターも、急激に地域をファスト風土化させ、それまでの伝統的な生活様式を奪い去ってしまっています。
 かくして、サブプライム問題に端を発した世界恐慌が起こる前は絶好調であった三重県経済も、1万人アンケートの回答者にはほとんど実感されず、むしろ眼前に広がる荒涼とした地域コミュニティの現状への嫌悪感、懐疑のようなものが素直に回答された結果と受け止めるべきと思います。

 興味深いのは、「地域商工業」への不満足度は高いのに、それと一体を成す「産業振興」とか「技術開発」についての不満足度は低いことです。これはなぜでしょうか。
 実はカラクリがあります。くわしくはぜひ三重県のHPで公表されている1万人アンケートの結果分析をご覧ください。(もちろん、県のページには以下のようなことは絶対に書かれていませんが。)

 産業振興や技術開発には県民は不満足を感じてはいませんが、しかし、満足を感じているわけでもありません。一番多い回答は「どちらでもない」という回答です。つまり、満足とも不満足とも判定できないというのが本音なのです。
 これは、産業振興が非常にテクニカルで専門的な分野であることと、技術開発も理系の極めてテクニカルな問題で、科学技術など難しくてわからない、と考えている方が多いことが理由なのは間違いないでしょう。

 しかし、ここに落とし穴があることは指摘せざるを得ません。
 ムダな公共工事は止めるべきだという「総論」には皆賛成しますが、それでは、どこの、どんな公共工事がムダか、という議論になると利害が衝突し、価値判断が非常に難しくなります。素人や部外者は意見を言いにくくなります。
 結果的に、ムダな工事は止まることなく着々と進行していきます。公共工事の専門性や地域性が議論の隠れ蓑になってしまっているのです。

 その意味で、昨日発表された、民主党政権による「文部科学省所管の独立行政法人による、産官学の共同研究拠点整備を目指す総額695億円の補助金を半減以下に削減する」という英断には拍手を送らざるを得ません。科学技術、研究開発、産官学連携、などの物々しいキーワードの裏には、公共工事と同様の猛烈な「研究利権」があることが、広く認識されるきっかけになるかもしれないからです。県民1万人アンケートも、このタームで読み解くと、実に興味深い一面が見えてくる気がします。

(余談ですが、伊勢新聞Webニュースの1万人アンケートの記事は「地域商工業」と書くべきところが「地域間工業」になっています。タイプミス?)

2009年10月6日火曜日

伊勢市役所の「い~菜食堂」に行きました

 10月2日の伊勢志摩経済新聞に、伊勢市役所の「いー菜(いーな)食堂」人気に-低価格・安全安心で一般客も利用 という記事が載っています。

 いー菜食堂を経営しているのは、有限会社キャリオンという会社です。同社のホームページにもあるように、高橋社長を中心とした主婦グループが、お弁当を共同で作る作業をビジネス化したのが創業のきっかけです。伊勢商工会議所の創業塾に参加してビジネスプランの立て方などの指導を受け、その後、みなさんの努力によって順調に業務を拡大されてきました。経営者の先見性、従業員の努力、そして公的支援機関のサポートがうまく組み合わされた非常に良い実例である気がします。間違いなく、伊勢市で今最も元気がある企業の一つでしょう。

 地域経済活性化のツールとして描かれる典型的な一つのパターンが、このような「主婦グループ」によるコミュニティビジネスの起業です。しかし、現実には仲間内で強力なリーダーシップを発揮したり、ビジネスとしての割りきりが難しいこともあって、ビジネスとして発展し続けることは非常に難しいのが一般的です。

 関心がある皆様には、ぜびベンチマークしていただきたい企業です。

 写真は、たまたま先日伊勢市内での仕事があり、その時伊勢市役所地下のいー菜食堂に立ち寄ってで食べたお昼です。煮魚定食でしたが非常に美味しく、しかも値段は確か500円!で、さらに、ごはんは自分で好きな分量が盛れるという夢のようなシステムでした。
 ここは、タテマエ上は伊勢市役所の職員食堂なのですが、一般の来庁者も利用することができます。ぜひ一度どうぞ。

 

2009年10月5日月曜日

ローカル路線バス乗り継ぎ 人情ふれあい旅


 自分も典型的な日本のオジサンになってきたと自覚するのは、テレビ東京系の いい旅・夢気分 とか、土曜スペシャルなんかの旅番組を心底楽しみながら見れるようにあったことです。

 スタジオでの前フリも何もなく、いきなり出発地点の新宿駅とかからロケが始まり、出てくるのは旬を過ぎたと思われる芸能人夫婦(しかも、夫婦の片一方は素人)、オールロケ。

 しかし、この徹底したお手軽さのほうが、わけのわからない芸能人がやたらたくさんヒナ段に座って、放送作家の書いた台本どおりのアホなコメントを連発しているフジやTBSの番組よりもシンプルで上質なように思えてくるから不思議です。

 特に、先週末、三重テレビで再放送していた 土曜スペシャル ローカル路線バス乗り継ぎ 人情ふれあい旅 みちのく奥州街道 日光~松島には完全にハマりました。

 
元アイドル歌手の太川陽介さん(この人は本当にキャリアが長い!)、マンガ家の蛭子能収さん、女優の藤田朋子さんの3人が、日光駅前から路線バスだけに乗って、松島までを3泊4日の行程で走破するもの。
 この、路線バスだけを使う、というのがミソで、だいたいが地元民しか乗らない生活路線なので、短い路線が多く、長距離を乗り継いでいくことも想定されていないため、ダイヤもまったく連絡がなく、そもそも先につながるバス路線があるのかないのかわからないまま、行き当たりばったりで進んでいきます。(もっとも、ロケの事前調査はしてあるでしょうから、ある程度はシナリオがあると思うのですが)
 鉄道を乗り継げば日光と松島など数時間でたどり着いてしまうし、せめて高速バスを使えば1日あれば付いてしまう距離を、結局30回近くバスを乗り換え、2万円近くの運賃をかけて、地域の人やバスの運転手さんに励まされながら、ほぼ4日間かけてたどり着く様子に、ついつい自分も同化して見入ってしまいました。
 特に今回の日光~松島編は、民営バスの路線を、市や町が運営するコミュニティバスが補完しているというわが国の地方都市や郡部の交通事情が図らずもよく現れていました。

 このシリーズ、案外人気のようで、ブログで検索すると数十件出てきます。日光~松島編はすでに第5弾。前回の東海道編(東京~京都)とか、北海道編もなかなか面白かったので、そろそろネタ切れかもしれませんが、テレビ東京と太川陽介さんにはぜひ頑張ってほしいものです。



2009年10月4日日曜日

内宮前の宇治橋はほぼ完成

 夕方に散歩がてら伊勢神宮内宮とおはらい町に行ってきました。
 式年遷宮に先立って、今年架け替えをしていた宇治橋はほぼ完成していました。


 渡り初め式が11月に行なわれ、現在の仮橋も撤去されて、いよいよ遷宮に向けた準備も急ピッチを迎えることになります。


■ 伊勢神宮式年遷宮ホームページ http://www.sengu.info/index.html



 

県の産業政策についての禅問答

***マニアックな内容なのでご関心がある方以外は読み飛ばしてください***

 先日の伊勢新聞に県議会一般質問の概要が載っていました。その中の「県の産業政策について」の質疑は、同紙のサイトから引用すると以下の通りです。

議員 産業構造は大きな転換点を迎えつつあると思う。県の産業政策について知事の見解を聞かせてほしい。

知事  県では県内産業の強みを生かし、知識集約型産業構造への転換を進めている。特に環境・エネルギー関連産業など産業構造の大きな転換のきっかけになり、市場 の大幅な拡大が予想される分野には高度部材産業などの強みを生かした取り組みが重要。それら先端的・競争的な産業振興を図る一方で、地域の活性化と雇用を 支える「地域密着型」の産業振興も必要。地域発の新たな産業創出につながるよう、地域密着型産業の育成を図っていきたい。

 この内容を大多数の県民が理解できるとは到底思えません。産業に関わっている人も同様だと思います。禅問答に喩えたら言いすぎでしょうか。
 はんわしにも意味不明な箇所が少なくとも3つあります。

その1 県の産業政策という場合、普通に考えて商工業だけでなく農林水産業や鉱業、建設業なども幅広く含めた産業全般を指すと思います。知事の回答では知識集約型産業構造なるものを目指すそうですが、科学技術や特許などが応用しやすい製造業はともかく、他の産業もすべて知識集約型産業構造を目指すのでしょうか?
 そもそも知識集約型なる産業がどんなものか明確な定義がないのですが、例えば「知識集約型」の林業とか、建設業とか、小売業とは、いったいどんなビジネスでしょうか。そして、それへの転換を目指すというのは具体的にどういうアクションをしていくのでしょうか。

その2 仮に知識や知恵を重視する産業構造に転換するとして、県内の事業者の大多数を占める小規模・零細な企業や事業者の現状は、旧態のままの労働集約型、あるいは設備集約型です。これらの事業者全体を県は構造転換していくのでしょうか。それとも転換プロセスの中で、ある程度の淘汰は織り込み済みということでしょうか?

その3 地域の活性化と雇用を支える「地域密着型」の産業振興とは具体的に何を指すのでしょうか。企業にとって、設備投資や技術革新のメリットの大きなものは省力化(省人化)です。知識集約を図る一方で、それと両立する地域密着型産業なるものがあり得るのでしょうか。むしろ失業率が高まっている現在、何を差し置いても雇用が大きい産業を作り出すことが、当面は最大の目標にするべきなのではないでしょうか?

 もちろん、新聞記事はダイジェストなので正確な再現にはなっていないのでしょうが、知識集約型なる産業構造転換を県民に押し付けるには、内容の議論も、その意義や転換方法の周知も、あまりにも不足している気がしてなりません。


 

2009年10月3日土曜日

南伊勢町の南海展望台

 何日ぶりかで朝から青空、そしてこれまた久しぶりに予定がなかった土曜日。
 お昼とドライブを兼ねて、クルマで伊勢市から約1時間の南伊勢町に行ってきました。はんわしは平成元年ごろから3年間、旧南勢町の職場に勤めていたので土地勘もあり、今でもたまにふらっと遊びに行きます。

 南伊勢町は熊野灘に面したリアス式海岸の、入り組んだ五ヶ所湾の入り江に沿って集落が点在している地形をしており、中心地である五ヶ所浦(ごかしょうら)地区には現在も南伊勢町役場があるほか、したスーパーやちょっとした商店街、病院、高校なんかもありますが、それ以外は小さな漁村ばかりです。

 観光地としてオススメなのは、南海展望台でしょうか。
 国道260号線から相賀浦(おうかうら)方面に曲がり、集落を抜けて礫浦(さざらうら)に向かう峠道の途中にあります。道路は幅員も狭く、曲がりくねっているので運転に自信がある人でないとちょっと厳しいかもしれません。(ガードレールもほとんどありません。)
 詳しくは、南伊勢町のHPを。

 展望台からは熊野灘、太平洋が一望でき、振り返ると五ヶ所湾内に点在する集落がパノラマのように見渡せます。360度の絶景ですので、運転は大変ですが、一度はぜひ行ってみてほしい場所です。


 面白いのは、展望台から相賀浦の集落を見下ろすと、まるで日本三景の一つ「天橋立」のように、入り江の中央部分に、細長い砂浜が堤防のようにつながっているのが見えることです。
 写真をご覧ください。ほんとに天橋立そっくりです。
 「砂州」という、この地形は、何万年、何億年と繰り返し打ち寄せられた海の波が運んできた砂や土砂が、偶然に何かのバランスで堆積してできたものであり、非常に珍しいものです。

 静かな南海展望台でしばし景色と波の音を楽しんだ後は、五ヶ所浦にもどって珈琲塔FIVEで、名物のエビフライランチを食べました。


 南伊勢町と東紀州は、地形的にも、天候も、非常に似通っている感じがします。ミカンが特産品だというのも共通しますし、農業や水産業が不振で、新産業として、観光を融合させた6次産業の育成に力を入れているのも同じです。
 また、危機感が叫ばれている割に、そして現実に過疎化や高齢化は進展している割に、地元住民自身がのんびりしていて、金儲けや地域振興にあまりガツガツしていない、良い意味でのおおらかさをもっていることも共通しています。
 10月というのに真夏のような太陽の日差しと、真っ青な海。
 これらは、「豊かな土地」には共通しているもののようです。

2009年10月2日金曜日

官僚の講演が続々中止の本質

 昨日(10月1日付け)の中日新聞に、鳩山内閣の官僚による記者会見禁止の方針を受け、講演会などへの出席も取りやめるケースが相次いでいる中、津市のNPO法人が企画した「福祉有償運送制度」のシンポジウムでの講演を予定していた国土交通省の官僚が、突然出席をキャンセルしてきたことが伝えられています。

 また、本日(10月2日付け)中日新聞は、三重大学が主催する地域活性化講座に、講師として出席を依頼していた経済産業省など中央官庁の官僚が、「急に出席できなくなるかもしれない」という意向を伝えてきたことが記事に取り上げられています。

 1日付けの記事では、三重大学の児玉克哉教授による、「知る権利を奪うな」と題されたコメントも併せて掲載されています。
 先生のコメントの趣旨は
1.鳩山内閣が官僚による会見禁止の規定を明確にしないのが問題
2.官僚は何をオープンにしていいのか判断がつかず混乱している
3.政策に通じている官僚の講演会は、当然、開催されるべき
 という3つになるのですが、官僚と同じ「公務員」の業界にいる立場の人間からすると、2は半分は正しい解釈ですが、半分は間違っています。
 「判断が付かない」のはおそらくその通りでしょう。役人は自己保身意識が高いので、今は動かないのが得策だと考えているのは、彼らのモノサシから見て合理的です。
 しかし、残り半分の原因は、「サボタージュ」だということです。この思考パターンは、もしあなたが公務員なら当然に理解できることでしょうし、民間の方でも役人の事情に通じているなら納得していただけるはずです。

 疑わしい場は、わざと過剰反応して、すべてキャンセルする。
 悪いのは、アウトとセーフの基準を示さない鳩山内閣であると責任転嫁する。
 自分だって本当は国民の前で施策の講演をしたいが、鳩山内閣がそれを許さないのだ。国民も被害者だが、我々官僚も被害者だ。
 官僚をいじめていると、国民にとっても不利益になりますよ。それでもいいんですか?

 そういう論理が透けて見えます。サボタージュ、もっと言えば開き直りです。
 児玉先生が、結果的に官僚を「擁護」するコメントをしているのは、彼らを大変勇気付けていることでしょう。(たぶん、先生は、この点の本質も見抜かれていると思いますが。)

 官僚は、したたかです。「政治主導」は、これら一連のキャンセル騒ぎを見ても、一筋縄では行かないことが皆様にもご理解いただけるのではないでしょうか。

2009年10月1日木曜日

中部経済新聞に東紀州インターンの記事が!


 本日(10月1日付け)の中部経済新聞に、「地域活性化インターン 若者と交流 行動力生かす」という記事が載っていました。
 東紀州観光まちづくり公社が平成20年度から取り組んでいる事業であり、記事になっていたのは紀北町の古里温泉の近く、四季活魚の宿 紀伊の松島 に長期インターンしている、ネブラスカ州立大学に在学する埼玉県出身の大学生の活躍ぶりです。

 紀北町の豊かな自然美を楽しむ写生旅行の集客を、関東や関西の絵画教室に営業して回ってきたとのこと。記事には、実際にその営業でどれくらいのツアー客が誘致できたのかの成果は残念ながら書かれていませんでしたが、民宿の経営者のコメントにあるように、「アイデアはありながら、日常の業務に忙しく、なかなか実行に着手できなかった」プランに対し、企画を肉付けし、実際に営業に回る行動力によって実現に近づけていく姿は、まさにこの東紀州長期インターンシップ制度が目指していたものです。

 今後、このような取り組みをいかに東紀州地域に定着させていくか、東紀州観光まちづくり公社のさらなる努力を期待したいと思います

■インターン生のブログ 古里にて http://ameblo.jp/furusatointern/