2010年5月31日月曜日

創業塾・経営革新塾への補助が廃止に



 経済産業省が、いわば自主的な「事業仕分け」として行った、行政事業レビューなるものの結果が公表されています。
 経産省が行っているいくつかの事業が有識者により仕分けされていますが、国から日本商工会議所や全国商工会連合会を通じて全国の商工会議所、商工会に補助金を流し、実施している「創業塾」「経営革新塾」の両事業については、これを廃止して中小企業者の創業や経営革新のため真に効果ある支援策を検討する、という取りまとめ結果が出ています。

 一部の業界紙では、創業塾、経営革新塾は平成13年ごろから実施され、多くの修了生が輩出しており、実際の創業・起業や、新分野進出・新事業展開などの経営革新に結びついているとして、経済産業省が補助金を廃止するのは、今までの国是であった起業促進の政策にも反する、などと主張する記事が散見されます。

 創業塾、経営革新塾が大きな役割を果たしているのはその通りだと思います。
 日商は、創業塾受講者の追跡アンケートを行い、受講が役立ったとか、実際の創業・起業に結びついたという声が少なからずあることの実証データを公開しています。

 特に、民間コンサルタントが少ない三重県のような地域では、準公的機関である商工会議所や商工会が各地で実施してくれるのはありがたいですし、同じ志を持つ受講生同士、あるいは受講生と会議所・商工会とのつながりが生まれる数少ない機会でもあります。
 その意味で、確かに有意義な事業であることは、はんわしも同感です。

 しかし、それを国が補助事業として半永久的に続けていくことがベストだとも必ずしも思えません。
 レビューの取りまとめ結果では、

●創業意欲のある企業個人に対しては、教育や経営指導に対して使用した経費に対して、税制面でのメリットを与えれば充分。
●事業の効率性について、より定量的観点から見直すべき。広報費の削減の必要あり。
●コストの大幅な効率化をはかるとともに、自己負担を増大すべき。
●定額補助ではなく、効率化、有効性等を審査して、すぐれた取組みに補助を出すことが必要。
●創業・経営革新に意欲ある人を集めた塾で、創業者の率が30%では全国平均で5%に比べて高いとはいえない。特に、銀行融資がキーである以上、補助の意義は不明確である。
●意欲ある起業家、経営者は、民間の情報を活用する。一般的な講習では、あまり役に立たない。商工会でやる範囲はもっと限定すべき。また、フォローアップを充実させるべき。

●すでに商工会、商工会議所に会費を払った上でのセミナー参加である。商工会、商工会議所の本来業務であり、国費を用いての補助金は必要ない。山間地での情報受信の難しさを考えるのであれば、自治体との連携などで解決を図ってほしい。


 などと、それなりに説得力のある理由が並んでおり、つまりは、国が補助している現在のスキームをやめるといっているだけで、会議所、商工会が民間コンサルに互して独自の事業として続けることに何ら異議を唱えてはいませんし、むしろそれが本来の業務だと指摘しているのです。

 この不景気により、商工会議所、商工会とも会員事業者数の減少が顕著であると聞きます。既存の事業者を守るだけでなく、創業・起業を増やして新しい血を地域産業に注入し、結果的に会員数を増やしていく努力が何よりも求められています。
 それは同時に、「日商や全国連が決めているから受講料は全国一律5000円」という紋切り型でなく、実際のニーズと、提供する塾のコンテンツにより適正な受講料を求めるという創意工夫も求められていると考えるべきなのではないでしょうか?



 

2010年5月30日日曜日

2010年5月28日は・・・




 今日は色々なテレビ番組でiPadを取り上げていました。2010年5月28日は日本でiPadが発売開始された日として記憶されることになるのでしょう。
 はんわしもあわよくば実物を見て、触れてみたいと思っていました。価格も5万円近くするそうだし、ますはよく見てから購入するかどうか考えたいなあ、なんて考えていたのですが。

 しかし、行きつけの電器店であるケーズデンキ伊勢御園店では「当店ではi-Padを発売いたしません。今後の予定もありません。」という張り紙がしてあったので、他の電器店もおして知るべしと言う感じで、伊勢市内で体験するのはあきらめました。

 実際に、取り扱っている店舗はアップルの直営店ぐらいしかないと聞きます。

 代わりといってはなんですが、メルマガを取っている経済雑誌をレビューしてみました。



日経ビジネスオンライン 「大きなiPhone」がやってきた
 iPadを、米国で4月に発売されるなり買ってしまった。それはiPadが、メディアのパラダイムシフトを加速させる新しい端末だと感じたからだ。
 グーテンベルクが活版印刷を実用化してから500年以上、本とは「紙の書籍」を指してきた。その出版の定義が覆っていくという大変革の発火点がまさにiPadの登場ではないか。
 操作性はiPhone譲りで、動作スピードも速く極めて快適。大きな画面に表示されるキーボードも打ちやすい。
 電子書籍は米タイム社の週刊誌「TIME」のアプリを試してみた。驚いたのは、ふんだんに動画を盛り込んでいること。コンテンツ制作には相当に手間をかけているに違いない。求められるスキルも異なってくるだろう。
 続いて「Alice for the iPad(不思議の国のアリス)」と「Toy Story Read-Along(トイストーリー)」を2冊の絵本を試した。正直に言って、絵本が動くだけでこれだけ楽しくなるのかと驚いた。将来の絵本はすべてこうなってしまうのかもしれない…とすら思った。出版業界において「5歳児マーケット」は確実に広がっていくに違いない。


ダイヤモンドオンライン 「iPad Wi-Fi + 3G」日本モデルを先行体験!
 iPadを初めて触ったとき、何よりも感動するのはその操作感だろう。マウスやキーボード越しにではなく、デジタルな情報に直接さわって動かしているような印象を受ける。直感的にインターネットやコンテンツが使える「手応え」はiPhone以上であり、iPadが単なる電子書籍端末ではなく、新しいコンピューターであり、高い商品性と大きな可能性を秘めている理由はそこにある。
 アップルは、MacやiPod、iPhoneなど魅力的なハードウェアだけでなく、自社製品を中核にしたコンテンツや周辺機器の市場が広がる「エコシステム (経済的な生態系)」の創出と拡大に腐心している。iPadでは、iPhone / iPod Touchと同じOSを搭載しており、アプリの開発環境に互換性がある。
 誤解を恐れずにいえば、電子書籍はコンテンツ分野におけるiPadの可能性のほんの一部に過ぎない。映像コンテンツや家庭用ゲームの市場を変えるポテンシャルがあるのだ。

 かつて日本は、ソニーのLIBRIe(リブリエ)に代表されるような電子書籍端末の先進国でした。しかしこれらは軒並み不振で、ビジネスとして成功した事例は生まれていません。

 よく知られるように、iPadは、技術的には革新的な要素はほとんどなく、今までの部品や技術で作られた製品であり、プラットフォームを共通化することで誰もが自由にアプリケーションソフトを開発できる仕組みと、それらをインターネットで活用できる仕組みを融合させた、
「組み合わせ型」のイノベーションです
 このようなビジネスモデルがなかなか生まれてこないことこそが、日本の産業界における大きな問題であることは間違いなさそうです。
(もっとも、これは日本だけに問題があるのでなく、世界的にもアップルやグーグルなどごく一部の先進的な企業以外からはなかなか生まれてこないのですが。)


2010年5月29日土曜日

消費者のくだもの離れが深刻だそうな



 またまた新聞ネタです。
 今日の日経新聞朝刊に 天候不順で入荷量減でも・・・果物、卸値上昇は小幅 という記事が載っていました。

 今年は春先からの天候不順により、野菜、果物の供給が減り、価格が大幅上昇したことは記憶に新しいですが、この記事によると、野菜に比べて果物の値上がりは小幅にとどまっているそうです。
 これは、消費者の果物離れが背景にあるとのこと。

 市場関係者によると
 野菜は栄養をとるために食べなければならない必需品だが、果物は嗜好品と考える消費者が増えた
 ということらしく、結果的に洋菓子など、他の「甘いもの」に流れているそうです。

 記事には総務省の家計調査のグラフも載っていて、これによると1世帯当たりの年間支出額自体が減少傾向にある中、野菜と果物に対する支出割合を比較すると、果物の落ち込みが激しいことがわかります。(グラフは日経新聞からの転載です)

 確かに、消費者の食に対する嗜好は大きく変わってきていて(と言うか、退化してきていて、というほうが正しいかも)、魚に小骨があると苦情を言ってくるとか、リンゴや梨はナイフで皮をむくのが面倒くさいので、簡単にむけるバナナやみかんの需要が高いとかを聞いたことがあります。

 そのくせ、農薬使うなとか、添加物入れるなとかには、病的なほど神経を尖らせているチグハグさは不可解ではありますが。

 とは言え、一つ思い当たるのは、高齢になってきたはんわしの母親が、好物だった果物を昨年暮れからぷっつり断ったことです。

 血糖値が高いため、果物には果糖が多く含まれるからなるべく食べるなと医者から言われたのが直接の原因ですが、ミカンやキウイの酸味が舌に沁みて食べるのがつらくなった、とも言っていました。

 よく考えると、くだものは一貫して「甘さ」が追求されて栽培が進化してきたのではないでしょうか。ミカンにしろ、イチゴにしろ、リンゴ、ナシにしろ。

 昔は(昭和30年代の高度成長期までは)品種にもよるのでしょうが、リンゴもミカンももっと酸っぱかったし、スイカやウリ(メロンではない)も今ほど甘くなかったという話はよく聞きます。
 甘さこそが「旨さ」であり、甘い果物を作ることが良い果物を作ることだ、と誰もが信じすぎていたのではないでしょうか。

 これから高齢者が増える時代。
 糖分が少なく、酸味が少ない。
 そんな、お年寄りにも優しい果物へのニーズが生まれてきているのかもしれません。

2010年5月28日金曜日

尾鷲市天満浦に和風カフェがオープン

 尾鷲市の北部、天満浦(てんまうら)地区で活動するNPOが、新たにカフェをオープンさせたというニュースが各紙に載りました。(例えば、中日新聞の記事参照)

 カフェに利用しているのは、天満荘と呼ばれている、元々は中部電力の保養所として建設された古い木造の建物です。尾鷲では珍しい入母屋で、尾鷲ヒノキの産地にふさわしい贅を尽くした造り。尾鷲湾、そして熊野の山々が連なる景色が見下ろせる、天満浦の風光明媚な高台に建っています。
 実は数年前、中部電力が尾鷲市の三田火力発電所を縮小することに伴う合理化策の一環としてこの保養所は閉鎖され、時々、地元の住民がイベントなどの時にのみ、中電の協力を得て使用していたものです。
 この、天満浦のランドマークともいえる建物を活用して何か地域おこしができないかと、地元NPOや尾鷲市役所のスタッフが大変な努力を重ねていたのをはんわしも側聞していたため、今回のカフェオープンの記事は、たいへん感慨深いものがあります。

 地元のみなさんのやる気と意欲には頭が下がりますし、ぜひともビジネス的に成功し、取り組んでよかったと思われるような活動を持続していただきたいと思います。

 同時に、このニュースに触れても思うのですが、いわゆる「地域おこし」と呼ばれる活動は、すでに次なるステップに進化していると強く感じます。
 つまり、最も問題なのは従事者の高齢化、そして後継者の確保に移っているということです。

 過疎化が進む地域などでは、住民が主体となり、行政も応援して、さまざまな地域おこし活動が行われてきました。この活動の成果は、今回の天満浦のように各地で実を結びつつあります。
 しかし、多くの過疎地や中山間地では、この間も少子化、高齢化は進行し続けました。地域おこし活動の主役は、高齢者(具体的には仕事をリタイアした60歳代から70歳代)の人々が中心になっています。
 これらの方々が大変な努力により、コミュニティビジネスを起業、創業しても、残念ながら後継者の問題がすぐに立ちふさがります。
 健康なうちに、そして活動が順調なうちに、いかに次に世代にバトンパスしていくかということです。

 この問題について、松阪市の宇気郷(うきさと)地区の取り組みが参考になります。うきさと村というNPOの活動は、三重県ではもちろん、全国的にも非常に先進的なもので、活動実績はすでに20年近くになっています。
 しかし、ここでもスタッフの高齢化が進み、何とか若い人を活動に参加させられないかとさまざまな工夫と努力が重ねられました。
 そこで到達した結論は2つ。
 1つは、恒例のスタッフはボランティア精神旺盛なため給料が低くてもいいが、若い人はそうはいかない。なので、決して高額は無理でも、それなりの金額の給料を出せるようにしよう、ということ。
 2つは、交通不便なうきさと地区にとどまっているばかりでなく、若い人が働きたくなるように、町の中にも店舗を作ろう、ということ。
 そのため、うきさと村は松阪インターの近くにある農業公園ベルファームに初めて地域外出店し、ここでモロヘイヤうどんなどのメニューを提供するレストランを始めました。
 その結果、うきさと地区出身者を3名、スタッフとして新規確保することができ、活動そのものを後継してくれる人材に育成するべく取り組んでいる、というお話を聞きました。

 人の問題は非常に困難が付きまといます。
 発起スタッフは、草創期の志や苦労を知っていますが、次世代は必ずしもそうではありません。
 地域活動や、コミュニティビジネスの理念、経営ノウハウを、いかに世代後継させていけるか。
 このことに焦点が移ってきているのです。

2010年5月27日木曜日

空気輸送はやめよう



 今日(5月27日付け)の日本経済新聞に、「近鉄、特急料金を柔軟に変更 予約システム刷新」という記事が載っていました。これによると、

 近鉄は時間帯や季節、路線に応じて特急料金を柔軟に変えられるシステムを約20億円を投じ3年程度をかけて投入する。現行システムは乗車距離に応じた一律の料金体系であり、沿線人口の減少や景気低迷で特急列車の利用者が減る中、需要動向に合わせた料金設定で運輸収入の底上げを目指す。

 とのことです。

 はんわしは近鉄電車で通勤しているのですが、確かに20年前に比べて三重県内の急行や普通列車の乗客は減ってきている感じがしますし、ラッシュ時を除いて、身動きが難しいほどの超満員状態は目にしなくなった気がします。
 特に特急は空席が目立っており、夜間の伊勢志摩方面行きでは乗車率10%以下ではないかと思われるガラガラの特急が恒常的です。

 関西系の私鉄は特急でも特別料金が不要な私鉄が多い(阪急、京阪、阪神など)のに比べ、近鉄は全席座席指定で特急料金が必要です。このため、客がほとんどおらず空気を輸送しているよりは、100円でも200円でも料金を取って人を乗せたほうが近鉄にとってはメリットになるはずです。
 旅客全体のパイが減っているなかでは、夜間などは特急に低料金で乗せる代わりに、快速急行を廃止する、などという合理化も想定しているのかもしれません。

 よく、バスや鉄道などの公共交通機関は、自家用車に比べて環境負荷が少ない「エコ」な乗り物であると言われます。
 しかし、これはあくまで理論値、すなわち、公共交通機関は満員なのが当たり前で採算ラインに乗っている都市部で当てはまる現象に過ぎないのではないでしょうか。
 三重県に限らず、はんわしが良く行く京都府下、奈良県下でも鉄道やバスはラッシュ時を除いてほとんどガラガラに空いています。
 空気しか輸送していない状態でも、やっぱりエコなのでしょうか?

2010年5月23日日曜日

Google TVの凄さが実はピンと来ない




 ソ ニーがグーグルと提携して、グーグルのクラウド コンピューティング技術を活用したインターネットテレビを2010年秋に米国で発売する予定であることが先日報道されました。

 ソニーは経営の不振が伝えられており、サムスンなどとの国際競争が厳しくなっている中、グーグルの「アンドロイド」(OS)や、ウェブ閲覧ソフトである「クロー ム」を使った「Google TV」と呼ばれるプラットフォームをベースにしたインターネットテレビの開発により、デジタル家電市場での勝ち残りをめざすとのことです。


 テレビ番組は今、地上波もあればケーブルテレビもCS放送もあって色んな番組がたくさんありすぎ、自分が見たいものがなかなか探せない状況です。
 一方で、You tubeのように、ネット上で動画を見ている人もたくさんいます。しかもネットでは見たいコンテンツ検索が容易だし、フラッシュ動画の場合はオンデマンドなので見たいときに見られるなどの利便性があります。
 そこで、Google TVは両者を融合し、画面にテレビチャンネルの一覧と、グーグルのウェブ検索サイトなどを並べて表示。視聴したいコンテンツを簡単に選べるほか、ネット経由でいつでも 新しいコンテンツを追加できるようにするとのことです。(Gigazineに詳しい記事が出ています。)

 サービス内容のイメージはグーグルによってYou tube動画で紹介されているのですが、こういうサービスって(つまり、ネットが使えるテレビって)すでにあるのではないでしょうか?

 そうすると、何が新しくて、何が凄いのだろう・・・・

 この動画にも書き込みがあったのですが、例えば今でもYou tubeにはテレビ番組の、おそらく違法コピーと思われるアニメとかがアップされているのを見かけることがあります。
 そうして、それって速攻削除なので、かえって一時期に集中して多くの人が見ているという現象があります。つまり、それだけ視聴者ニーズがあるのは確かなのでしょうが、日本に関しては著作権の問題など、ビジネス環境が改善されないと結局は楽しめないものになってしまわないのでしょうか。

 コンテンツが弱いといわれる日本の家電ですが、テレビ局の利害も絡む問題の本質的な解決が待たれるということなのでしょうか?

2010年5月22日土曜日

伊勢湾フェリー継続祈願「伊良湖宿泊プラン」



 先日、鳥羽市にある伊勢湾ファリーのターミナルに行ったとき、9月末で航路廃止を発表した伊勢湾フェリーの存続を求める、田原市観光協会の署名コーナーがあったことをブログに書きました

 今日は、自宅で取っている中日新聞の折り込みに、伊良湖地域の13の宿泊施設がタイアップし、田原市観光協会が協賛しているという 三重県民の方限定「伊良湖」宿泊プラン なるチラシが入っていました。

 サブタイトルは、鳥羽・伊良湖フェリー航路継続祈願プラン とあり、5月23日から7月16日までの間に、このキャンペーンに参加している13の宿泊施設に宿泊する三重県民は、

 ・伊勢湾フェリーの往復運賃が一人750円割引
 ・自動車航送運賃が30%割引
 ・伊勢湾フェリーと場駐車場が50%割引
 の3大特典が受けられるそうです。
 ちなみに宿泊料金は宿のグレードによって、7千円から1万5千円までの4コースがあるようです。

 三重県は中部か関西か、というのは三重県民以外の人にとっては理解しにくい問題のようですし、実際にたいへん奥深いテーマですが、三重県でも伊勢志摩など伊勢湾沿岸の地域に関しては、海運によって対岸の知多半島、渥美半島、三河地域との行き来は頻繁にあり、通常の生活圏として物資の交易と人の往来が日常的にあったことは歴史的な事実です。
 この意識が変わってきたのは、明治時代になって名古屋からの鉄道が開通した以降のことで、気候風土とか住民の感性は、伊勢志摩地域に関しては、尾張地方よりむしろ三河地方に近い、というのがはんわしの実感です。

 それはさておき、伊勢湾フェリー廃止の件について、自称国際観光都市である鳥羽市の観光協会よりも、田原市観光協会のほうがフットワークが軽く、積極的に対策を取っているように思えるのは(失礼ながら)少々意外でもあります。
 懸命にやっている、という本気度のようなものがこちらに伝わってきます。

 伊勢志摩の観光産業は、巨大な産業集積であり、知名度も高く、一見磐石に見えますが、実は「驕り」に似た制度疲労が起こっているのではないか・・・と気になります。よくはわかりませんが。

 ■田原市観光協会 http://www.taharakankou.gr.jp/

2010年5月20日木曜日

日本の公務員数は多くない(ふたたび)



 ギリシャが経済破綻した元凶が、かの国の公務員制度にある、という論調があるようです。
 観光以外に大きな産業がなく、全労働人口の25%を公務労働者が占めており、高い給与水準や手厚い福利厚生が、財政赤字を招く原因になったという話です。

 公務員数の国際比較については、たしか以前にもこのブログで書いた記憶があります。

 社会実情データ図録 という非常に優れたデータベースがありますが、この問題に関してはここが大変参考になります。(リンクはこちら
 人口千人当たりの公務員数(厳密には、行政、国防、強制社会保障分野の)の主要国間比較です。

 これを見れば一目瞭然。
 アメリカ合衆国は22%
 スウェーデンは26%
 (この表によると)ギリシャは30%
 イギリスは33%
 ドイツは35%
 フランスにいたっては38%です。

 そして日本は18%。
 もちろん、公務労働者の定義や、公務員の範囲に各国とも若干のばらつきはあるのでしょうが、国際的に見て、ギリシャが突出して公務員数が多いわけではありません。
 また、世間一般の俗説に反して、日本は国際的に見て公務員数が少ない「小さな政府」であることがお分かりいただけると思います。
 
 したがって、本質的に問題なのは公務員の数や給与ではなく、彼ら公務員が、どのような事業に従事しているかということです。
 おそらく、日本は公共工事や農業などの業務に占める割合が多いはずです。これは国民性によるところも大きいでしょう。

 図録の解説は非常に示唆に富んでいます。

 世界各国の公務員数は国ごとにかなり異なっているが、男性公務員だけ取り出すとそれほどの違いがない。むしろ、女性公務員の数の違いで各国の差が生じてい ることが分かる。
 一般的な女性の社会進出度が影響している側面もあるが、むしろ、女性公務員が担うことが多い保健福祉など社会保障分野に公務員を投入して いる程度の差が大きく影響していると考えられる。


 これからは各国の労働生産性競争が激化すると思われるので、女性の社会進出と能力活用は不可欠です。公務員に限りませんが、いまだにワークライフバランスを軽視した長時間労働が幅を利かせ、労働者の権利保護に関心が低い状態では、日本が勝ち残るのは難しいのではないでしょうか。

 同時に、限られた公務労働者の人的資源が、本当に必要な行政分野に振り分けられているかどうかも問題です。時代遅れの分野、付加価値を生まない「規則のための規則」「予算消化のための事業」に振り向けられているとすれば、それこそ、その損失は犯罪的です。

 公務員問題の本質は、まさにこれらの点にあります。

2010年5月19日水曜日

ミエワン創業塾が開講されます




 今日は暑くはなかったものの、梅雨のようにシトシトした雨が降っていました。
 ちょっと仕事が立て込んできたので、昼休み気分転換に傘をさして歩いていたら、カタツムリと出会いました。千里の道も一歩から。
 
 あ、さて。

 三重県のご当地ブログポータルサイト ミエワンを運営している、株式会社アイエリアが、ミエワン創業塾と銘打った、起業・創業志望者向けの連続支援セミナーを開講するそうです。

 講師は、三重県内をはじめ、全国で起業支援や、大学でのアントレプレナーシップ講座を行っている武田秀一さんです。

 ■ミエワン創業塾ホームページ http://incubation.ai-area.com/event/100522/

 これ、実は、三重県の委託事業として実施されます。
 デフレとか、ギリシャの財政危機とか、将来の見通しはたいへんに不透明ですが、しかし、歴史を振り返ると、閉塞した局面は必ず起業家精神(アントレプレナーシップ)によって切り開かれてきました
 必ずしも政治が、ましてや行政の働きが、世の中を突き動かしてきたわけではありません。

 起業に関心がある方。
 ビジネスで世の中を、社会を少しでも良い方向に動かしていきたいと思われる方。

 ぜひ、参加をご検討ください。


2010年5月18日火曜日

CoCo壱番屋が「シカ肉カレー 」!



 毎日新聞によると、

 カレーハウスCoCo壱番屋の滋賀県内2店舗が、滋賀県日野町の猟友会が町内で駆除するために捕獲、解体したシカの肉を使ったカレーメニュー(1食880円)の提供を始めた。
 シカは稲穂や野菜の新芽などを食い荒らし、2008年度は県内で約4000万円の被害が出ており、同県によると、今年度は昨年度の倍となる8500頭を駆除する方針。しかし、シカ肉は大半が廃棄処分されており、関係者らは有効活用の第一歩として期待している。

 という記事が出ています。

 県内でCoCo壱番屋のフランチャイズ10店経営するオーナーが、鉄分を多く含み、高たんぱくで低脂肪のシカ肉に着目し、同町に新メニューを提供したいと持ちかけた。
 オーナーは「利益はほとんどないが、地域貢献のつもり」と話し、店を訪れた藤沢直広日野町長(54)は「地元農家とカレー店、食べる人のみんなが喜ぶ三方良しの取り組み。これを機に消費を拡大させたい」と期待した。

 とのこと。(Yahooニュースにも載っています。)

 三重県内でも、獣害をもたらすシカやイノシシの肉を使って、ご当地メニューを開発する取り組みが各地で行われています。
 たとえば、大紀町の野原地区ではイノシシ肉を使った「ぼたん丼(300円)」とシカ肉を使った「鹿ちゃんコロッケ(3個100円)」を販売しており、販売日の土曜日には、各100個が数時間で売り切れる人気ぶりとのこと。(日本農業新聞の記事はこちら

 非常に良い着眼点だと思いますし、地元の人も頑張っているとは思いますが、ビジネスモデルとしては滋賀県のほうが可能性は大きいと感じます。(もちろん、どちらが良い悪いの話では全然ありません。さまざまなスタイルがあって良いわけですが。)

 ポイントの一つは、CoCo壱番屋という大手チェーンとタイアップしたことです。最近、このように地域特産品の普及のため、地方自治体がコンビニとタイアップすることが全国でブームになっていますが、最大の問題はコンビニの巨大な流通網に乗るには、地域産品の生産量が少なすぎることです。
 また、地元で加工しようとしても、衛生管理や品質管理のハードルが高く、小規模な事業者では事実上、対応できないということもあります。

 ここで、2番目のポイント、すなわち、このCoCo壱番屋のオーナーのような、「地元でフランチャイズ店を展開している人」というポジションに着目すべきでしょう。
 コンビにでもそうですが、全国一律のナショナルミニマムと同時に、各個店の特長を強く出すことで差別化を図る模索がさまざまな全国チェーン店で始まっています。
 この例も、CoCo壱番屋という全国的なプラットフォームを持ち、かつ、地元の食材や地域振興に思い入れがある、というオーナーさんの発案がきっかけになっています。
 これは、大いに参考にすべきことと思います。

 余談ですが。
 CoCo壱番屋の創業者 宗次徳二さんのセミナーが、5月26日(水)三重県総合文化センターで開催されます。参加無料ですので、関心がある方はこちらのHPを。

2010年5月17日月曜日

中小企業憲章案を読む



 中小企業憲章の原案に対してのパブリックコメントの公募が、中小企業庁のホームページで行われています。

 この「中小企業憲章」とは、企業数の9割以上を占め、雇用者数についても7割を占めている、全国の中小企業をいっそう活性化していくために、「活性化とは何か?」、つまり、どのような方向性で活性化を進めていくべきかを大まかに示し、そのためにやるべきことを、ざっくりと書き込んだものです。

 要するに、あくまでも「憲章」であって、つまり、宣言文とか理念明示のようなものであって、「法律」ではありません。

 では、なぜ今、法律でもない「憲章」を制定する必要があるのでしょうか。

 理由の一つは、民主党が先の衆院選で、中小企業憲章を制定することをマニュフェストで公約していたためです。
 中小企業の振興方策については、現在すでに「中小企業基本法」という法律があります。
 これに屋上屋を架す形で憲章制定を公約したのは、(正確には覚えていませんが)国が産業政策を行ううえで現在は中小企業者の意見を聞き入れる公式な制度がないため、中小企業の声を聞く制度を作る必要がある、ということや、現在の中小企業政策は経済産業省のほか、雇用関係は厚労省、融資関係なら金融庁、IT関係は総務省、などと縦割りになっており、これを総合行政に改めるために、共通の理念となる新しい憲章が必要だ、というようなことだったと記憶します。

 現に、中小企業経営者の全国団体である中小企業家同友会全国協議会では、何年も前から、中小企業憲章や、中小企業を中心とした地域産業の振興条例を制定するように働きかける運動を(特に市町村などの自治体レベルで)行ってきていました。
 今回は、そのような動きも見据えて国が全国レベルでの憲章制定を目指したものとも考えられます。

 で、その内容ですが。
 中小企業庁ホームページにPDFで案文が掲載されているので是非直接ご覧いただきたいのですが、これはこれでわかりにくい文章なので、はんわしが我流でダイジェストしてみました。

1 制定の目的
 政府が中核となって、中小企業の個性や可能性を存分に伸ばし、中小企業を励まし、支え、そして、どんな問題も中小企業の立場で考えていく。これにより、安定的で活力ある経済と豊かな国民生活が実現されるよう、中小企業憲章を定める。

2 基本理念
 中小企業は、経済やくらしを支え、牽引する力であり、社会の主役である。
 しかし、経営資源に乏しいこともあって、社会には大企業に重きを置く風潮や価値観が形成されてきた。
 国内では、少子高齢化、経済社会の停滞などにより、将来への不安が増しており、このような時こそ、これまで以上に意欲を持って努力と創意工夫を重ねることに高い価値を置かなければならない。

 中小企業は、その大いなる担い手である。

3 基本原則
 中小企業政策に取り組むに当たっては、基本理念を踏まえ、以下の原則に依る。
一.経済活力の源泉である中小企業が、その力を思う存分に発揮できるよう支援する
二.起業を増やす
三.創意工夫で、新しい市場を切り拓く中小企業の挑戦を促す
四.公正な市場環境を整える 五.セーフティネットを整備し、中小企業の安心を確保する

4 行動指針
 政府は、以下の柱に沿って具体的な取組を進める。
一.中小企業の立場から経営支援を充実・徹底する

二.人材の育成・確保を支援する

三.起業・新事業展開のしやすい環境を整える

四.海外展開を支援する

五.公正な市場環境を整える

六.中小企業向けの金融を円滑化する

七.地域社会の抱える課題解決に向けた体制を整備する

八.政策は、総合的に進める。中小企業の声を反映する政策評価を行う


5 結び

 経済成長の中心はアジアに移っている。一方、日本は少子高齢化が進んでおり、起業、挑戦意欲、創意工夫の積み重ねが一層活発となるような社会への変革なくしては、この国の将来は危うい。
 変革の担い手としての中小企業への大いなる期待、そして、中小企業が果敢に挑戦できるような経済社会の実現に向けての決意を宣言する。

 以上のように、中小企業憲章はあくまで理念の明文化なので、ある種の美辞麗句が並んでいます。
 すぐに頭に浮かぶのは、平成11年に改正されるまで旧中小企業基本法の冒頭にあった「前文」との比較でしょう。
 しかし、二重格差論に立って、中小企業を弱者と捉え、高度化や協同化を勧めていた旧法の前文とは明らかに違って、憲章案は中小企業の機動性や創意工夫などを肯定的に評価していますし、基本法改正後に大幅交代が顕著だった「公正な市場環境の整備」とか「セーフティネットの整備」などもリーマンショック後の経済情勢を踏まえて、基本原則で強調される形になっています。
 また、行動指針七のように、地域課題解決のために中小企業が果たす役割にも言及している点は興味深く思います。

 しかしながら、(上記のダイジェストでは書けませんでしたが)行動指針の中に個別に書かれている具体的な施策の例示は、あいかわらずの陳腐なものですので、この部分は国主導の発想の限界を示しているともいえます。
 中小企業問題は、公正競争の確保やセーフティネットのように国が一律に行うべきものはもちろんありますが、具体的な振興方策はきわめて地域性が高いので、権限と財源を地方自治体に移すことも明記すべきでしょう。

2010年5月16日日曜日

熊野市で始まる「過疎地有償運送」って何だ



 熊野市五郷(いさと)町は、熊野市の中心地からクルマで30分ほどかかる山間地の集落です。
 ここで「過疎地有償運送」が始まるという記事が各紙に掲載されていました。(たとえば紀南新聞の5月15日付け

 これらによると、
・「過疎地有償運送事業」とは、過疎地に在住する高齢者などが地域の中を移動する手段として、地域の別の住民が運転する自家用車を利用する制度。

・道路運送法では、過疎地有償運送として、「タクシーなどの公共交通機関が不十分な地域で、住民の意見を反映するNPOなどの法人が、輸送サービスを行う 制度」と定義される。

・熊野市では、市、有識者、地元代表者、バス会社などによる協議会を開き、運賃や運行エリアについて合意をはかった。国土交通省三重運輸支局の認可が下りれば、6月にもサービスを開始する。

・五郷町には千人ほどの住民がいるが、高齢化が進んでおり、車を持たない人も多い。市では住民向けのアンケー を行い、高齢者の移動に地域内での需要が多いことが分かり、制度の導入を図ることになった。

・運送区域は、五郷町内と近隣の山間部のみで、市中心部などへは使えない。また、利用には会員登録が必要で、当面は五郷町の住民のみが対象となる。
 とのことです。

 ちなみに、もし運行が実現すれば三重県で初の取り組みになるとのこと.。合意形成に努力された関係者に敬意を表すると共に、事業運営のために地元有志が設立したというNPO法人「のってこらい」の安全運行と事業の成功を祈りたいと思います。

 この事業は、地域の課題(高齢者の移動手段確保)解決のために、地域住民が主体となり、地域の資源(この場合は自家用車でしょうか)を活用し、ビジネスの手法で行う事業、すなわち「コミュニティ・ビジネス」と呼ぶべきものです。
 NPO法人の代表の方は、「多くの住民に乗ってもらわなければ、運営は長続きしない。利用方法などを丁寧に説明し、PRに努めたい」中日新聞の記事より)とおっしゃっており、まさしく、ビジネスとして成立するかどうかが重要なポイントとなります。

 注目すべきなのは、道路運送法では過疎地有償運送が運営できるのは、NPO法人、公益法人、農協などの、いわゆる「非営利法人」に限定していることです。
 これは、この事業で利益を追求すべきでないという国の姿勢の現れでしょうが、かといって全く収益を上げない、完全なボランティアベースでは、いずれ補助金頼み、行政頼りとなり、非効率・形式的な事業になってしまうことでしょう。

 行政が必要最低限度の支援をすることは必要だし、やむを得ないとしても、利用者も適正な対価を負担し、事業者もビジネスとしての創意工夫や経営努力が生かせるようなスキームでなくてはなりません。
 その意味で、NPO法人といえども最低限の収益は上げるべきだし、未だに一部にある「NPOがやることだからビジネスではない」という理解は間違っています。

 ■熊野市オフィシャルサイトに、この事業に関する資料集が掲載されています。

2010年5月15日土曜日

伊勢市津村町にお花畑が




 伊勢から度会町へ向かうために県道を走っていると、普段ならほとんど渋滞もない津村町付近で、十台以上もの車が道路脇に駐車し、人々が歩いているのが目に入りました。
 何だろうと思って周りをよく見てみると、あたり一面が色とりどりのお花畑になっていました。

 通常はこのあたりは全部農地なので、季節の間だけ花畑にして、農業や環境をPRする目的の取り組みなのでしょう。わりと各地で見かけますが。



 津村町は、遠くに度会、南伊勢の山々を臨み、一面が田畑だという典型的な農村風景が広がります。
 2枚目の写真は、なだらかに広がる鷲嶺(しゅうれい。袴腰山とも言う。)をバックにした花畑です。この鷲嶺は、かつてここで宮本武蔵が修行したという伝説があるそうです。



 花畑は相当の広さがあって、記念写真を撮る人や散策する人が大勢いましたが、圧巻だったのは、このキャラクターの地上絵(というのか、花で描かれたもの)です。
 わざわざ仮設の展望台が作られていて、ここに登って見下ろすと巨大な顔であることがわかります。
 

 この花畑を育て、管理しているのは地元津村町の方々のボランティア精神でしょうから本当にご苦労が偲ばれます。
 脇にはテントがあって、野菜や花の苗が売られていましたが、ちょうど両方とも間に合っていたので、せっかく景色を楽しませてもらったのに、地元に金銭的な貢献ができなかったのが残念ではあります。

2010年5月13日木曜日

コンビナート夜景は四日市の観光名所になるか?



 5月13日付けの読売新聞など県内各紙に、四日市観光協会が11日夜に開催した「海上から景観を楽しむクルージング」と「四日市港ポートビル14階の展望室からライトアップされた工場群を観賞する」体験ツアーの記事が載っています。

 このように、産業の現場を観光資源として活用するが「産業観光」と呼ばれる分野です。
 産業観光は、製造業が盛んな名古屋などで、10年ほど前から官民で積極的に展開してきた観光ジャンルです。
 世界でも先端的な日本のものづくり現場を公開し、匠の技やものづくりの真髄を観光してもらうというものですが、これは裏返すと、東京や横浜、京都や神戸といった観光資源が豊富な都市に比べるとどうしても見劣りする名古屋の、新たな観光資源の発掘手法だったとも言えると思います。

 名古屋から遅れること5年、三重県でも産業観光の取り組みは徐々に浸透してきており、特に四日市商工会議所は「四日市の産業観光」というブックレットを発行するなど、最も意欲的な取り組みを行ってきていました。

 今回のコンビナートツアーも、それらの取り組みの一つの大成なのかもしれません。

 このことは、地域産業の活性化にとっても大きな示唆を与えてくれます。すなわち、活性化に活かせる地域資源は ~この例だと、単に無機的なタンクやパイプの集合体であるコンビナートですら~ 視点を変えると産業観光資源となるということです。
 ヒントはあちこちに転がっているはずです。



 

2010年5月12日水曜日

「激安」は真に消費者のためになっているか?



 最近の天候不順で野菜の値段が高騰していたのは記憶に新しいところです。
 しかし・・・、です。
 農作業の重労働を考えたとき、あるいは日本で農業をやるうえでの高コスト(燃料費にしろ、肥料代にしろ、人件費にしろ)を考えたとき、何年に一度かの荒天のせいで値段が5割ほど上がったくらいで、それが果たして大騒ぎするほどの問題なのか、という疑問も浮かばざるを得ません。

 つまり、今でも農産物は ---それが安全と安心という代償を払う対価として--- むしろ異常に安すぎるのではないでしょうか。

 流通ジャーナリストの金子哲雄氏は、「商業界」のような業界紙でおなじみですが、このたび出版された中公新書ラクレ「激安」のからくりは、もはや日常の風景と化した激安、価格破壊の裏側を解説する本としてなかなか興味深いものでした。

 たとえば、なぜユニクロは990円でジーンズが販売できるのか。
 なぜイオンは、それに直ちに追随して880円でジーンズが売れるのか。
 そして西友は850円、さらにドン・キホーテは690円。
 常識的に考えて、やはりこれだけ安いジーンズの氾濫は異常な光景です。

 安売りジーンズのからくりは、金子さんが垂直統合型と呼ぶ、大手GMSがメーカーとタイアップし、コストを極限まで切り詰めた大量生産で激安を実現するものと、寄せ集め型と呼ぶ、世界中から最も安い生地を調達し、最も安い工賃で縫製できる工場に生産委託して作るものの2種類からなる、などの話は、案外知らないことも多いですし、整理されて記述されているのでわかりやすく理解できます。
 
 このほか、百円バーガー、激安スーツ、2万9800円パソコン、などなど、従来の常識を覆す激安商品の内幕が語られます。
 今や、激安商品は安かろう悪かろうの粗悪品ではなく、機能的には何ら遜色ないものであることの理由は、まさに経済がグローバル化しているからです。
 良いものを作ればきっと消費者に理解されるはずだ、という「ものづくり信仰」や、激安こそがデフレの元凶であるかのような論は、愚かしい神話であることもまた、本書で明白にされます。

 同時にまた、激安を生んでいる背景に、大企業による下請け企業イジメ(言うまでもなく、下請けの多くは中小・零細な企業です)があることも指摘しています。
 大手衣料品店チェーンが、取引先のメーカーにコートを1万着発注したとします。しかし、意外に早く寒さが去り、春物が売れ筋になってきた途端、一方的に注文をキャンセルしてきました。
 両者が対等の関係なら、あくまで買取り請求や違約金を求めるところでしょうが、下請け企業は発注先の機嫌をそこねることを恐れ、多くは泣き寝入りとなります。
 そして、1万着のコートは現金化するために泣く泣く二束三文の安値で引き取られ、まわりまわってこれらがディスカウントショップに激安商品として並ぶ。このような「悪い激安」も大変に多いのが現実です。

 著者も言うように、結局は消費者が賢くなり、良い激安と悪い激安を見分ける目を持つことが必要なのでしょう。激安が持続可能な経済の循環を不自然に断ち切り、消耗戦のチキンレースに陥っては、結局、消費者でもあり同時に生産者でもある、普通の「生活者」は、暮らしていくことができなくなるからです。

 流通問題に関心のある方は、ぜひご一読をおすすめします。


2010年5月11日火曜日

ゴールデンウィークは好天が明暗を分けた





 三重県が発表した、ゴールデンウィーク期間中の三重県内の主要観光施設(12施設)の入れ込み客数は、906,315人となり、前年比20.2%(約15万2千人)の増となったそうです。

 個別に見ると、入れ込み客が増加した施設は、鈴鹿サーキット、御殿場海岸、松阪農業公園ベルファーム、伊勢神宮、志摩スペイン村、モクモク手づくりファームの6施設。
 反対に、減少した施設は御在所ロープウェイ、鳥羽水族館、ミキモト真珠島、伊賀上野城、伊賀流忍者博物館、県立熊野古道センターの6施設となり、昨年に比べて連休の日並びが良かったことや天候に恵まれたことなどがプラスに作用したものの、屋内型施設については好天がマイナスに作用したと分析しています。(HPはこちら

 はんわしも連休後半は鳥羽の実家に帰っていましたが、鳥羽駅周辺から鳥羽水族館にかけてはそれなりにクルマも渋滞しており、かなりの人出だったように感じました。
 確かに、この2~3年はゴールデンウィークは雨や曇りの年が多く、これだけ連続して晴天だった年は近年なかったように思います。
 観光業は、基本的に景気に左右される不安定な面がありますが、天候も大きな要素となることを改めて実感しました。

 また、毎日新聞の記事によると、9月で航路の廃止が決まっている、愛知県伊良湖岬と鳥羽市を結ぶ伊勢湾フェリーは、乗客が同22・3%増の1万3900人、車両台数は同14・9%増の3100台と大幅に伸びたそうです。

 記事にはありませんが、廃止が大きく報道されたことで、このさい記念に乗船しておこうと考えた方もかなりの数に登ったと思われます。

 しかしながら、この客数増も、一昨年に比べると乗客は4・0%増となったものの、台数は7・7%減だったとのこと。

 伊勢自動車道の津IC以南の区間の無料化が6月に迫っている中、伊勢湾フェリーがどこまで客足を回復することができるか注目されます。
(写真は鳥羽フェリーターミナルにあった、航路廃止反対の署名コーナーです。鳥羽市主催のものと、田原市主催のものが別々にあり、なぜか田原市のほうはひと気のない裏口のほうに置かれていました。)

 はんわしもぜひ近いうちにぶらっと伊良湖まで往復してこようと考えています。

 

2010年5月10日月曜日

AMステレオ放送が風前の灯



 大阪のMBS(毎日放送)ラジオがAMステレオ放送を2月一杯で終了し、従来のモノラル放送に戻したとのこと。はんわしはインターネットで聞くことが多いので気づきませんでしたが・・・

 
 AMステレオは導入が本格化してから十数年ほど。
 全国的に放送設備は老朽化が進み更新時期を迎えているものの、設備の一部はすでに生産が中止されており、メンテナンスにも師匠が出ており、更新時期を迎えたのを機にステレオ放送自体を止めてしまう放送局もいくつか現れているようです。

 思い起こせば、AMステレオ放送が始まった頃はJリーグのサッカー中継もよくラジオでやっていました。野球と違って、サッカーの場合はモノラルではさっぱり状況がわからないので、なんだか新鮮に思えた記憶が鮮明です。

 しかし、音質が特に優れてもいないAMラジオは、音楽よりトーク番組やスポーツ中継が中心なので、この技術革新もイノベーティブなラジオ革命にはつながらなかった、というのが総括ではないでしょうか。

 技術開発がイノベーションを牽引するのは確かですが、それよりも重要な本質は、技術の革新によって、新しいコンテンツが誕生したり、他の要素との結合による新しいサービスの地平が広がることです。
 既存の放送内容はそのままで音質が良くなり、臨場感が増えても、それは持続的なイノベーションに過ぎず、インターネットラジオのような目新しい後発技術に、いとも簡単に取って代わられてしまいます。

 このことは、ビジネスでも、さまざまな日常の活動でも、非常に示唆に富む教訓になるのではないでしょうか。

2010年5月9日日曜日

お伊勢参りが大ブームらしい



 昨日の読売新聞に、伊勢神宮への参拝者が急増しており、昨年は800万人の、今年も4月末時点で424万人の参拝者があり、統計が残る明治29年以降で最多のペースとなっており、今まで最も多かった昭和48年の859万人を上回りそうだとのことです。

 ご存知の方も多いでしょうが、伊勢神宮は原則として20年に一度、本殿の位置を隣接地に移して社殿も建て替える「遷宮(せんぐう)」という行事があります。
 古い資料になりますが伊勢市役所の統計によると、参拝客数は遷宮が近づくとじわじわと増えだし、遷宮の年とその後の数年間に一気に増加します。その後まただんだん減っていくサイクルを繰り返しています。


(グラフを見ると、鉄道路線が整備された昭和初期に大規模な参拝者数の増加が見られることや、戦前には一貫して外宮のほうが内宮より参拝者が多かったものが、戦後になると逆転する現象など、興味深い発見があります。これはマニア向けでしょうが。)

 今年、参拝者数が急増している理由は、上述のとおり遷宮が近づいているということ(神宮司庁もこの見解に近い)が有力だと思いますが、このほかに、若い女性などの間で「パワースポット」ブームになっていることが挙げられます。(たとえばBIGLOBEニュースの記事参照。昨日の読売の記事もこの説を書いていました。)

 確かに伊勢神宮は全体的に気の強いエリアであることは多くの人が指摘しています。はんわしも、よくそれを実感します。
 日本で最も尊いとされる神様をお祀りするのですから、当然、そのような地を選んだことでしょう。伝説上は天照大神自身がご託宣をもってこの伊勢の地を示したとあります。

 ただ、伊勢神宮マニアの間でまことしやかに言われているのは、今年、平成22年が「おかげ年」にあたるということです。
 おかげ参りというのは、江戸時代に顕著に見られた社会現象で、約60年に一度、爆発的に参拝者数が増加したという現象です。当初は偶然に発生したものなのでしょうが、江戸中期になると「今年はおかげ年だ」という流言飛語が起こるようになります。身分関係や秩序が厳しい当時の社会において、名もない民百姓が耕作地や奉公、仕事を放棄し、集団で、個人で、一斉に伊勢に向かう現象が全国で同時多発的に発生します。
 文政3年(1830年)のおかげ年には半年で450万人(!)が伊勢にやってきたという、にわかに信じがたい記録も残っています。

三重大学の浮世絵コレクションから画像を拝借しました。)

 関所も山田奉行所も、押し寄せる群衆を事実上取り締まることができず、公然とフリーパス。街道や宿場には人があふれ、地元住民のボランティアで食事やわらじなどが大量に振舞われたといいます。
 しかし、よく考えると、これは完全な「社会不安」、「集団ヒステリー現象」と読み解くほかありません。地元が食事を提供したのも、そうしなければ一気に暴徒と化す危険性を感じたからと思います。

 不安な時代、先が読めない時代に「ガス抜き」としておかげ参りが発生する。
 いつしか、それが伝説となり、社会に不満を持つ民百姓はその年を待ち望むようになる。既存の束縛を捨てて、自らが解放される「カルチェ・ラタン」の実現を夢見て。
 
 このことが平成の今もよみがえっているのか?
 それともやはり、自分探しの延長にあるパワースポットめぐりという、極めて私小説的な原因なのでしょうか?


2010年5月8日土曜日

三重県立美術館「浅田政志写真展」がおもしろい



 お恥ずかしい話ですが、浅田政志さんという写真家の名前をよく知りませんでした。
 以前、テレビか何かで、家族(両親と兄弟の4名)で「なりきり写真」を撮っているおもしろい人がいて、しかもその家族は津市に住んでいる、くらいのことは見たことがあるような気がしましたが。



 なりきり写真、という表現も正しいのかどうかわかりません。

 要するに、家族が学生服や消防士などのコスプレで扮装し、劇画の一場面のような決定的な瞬間を、学生や消防士になりきって撮影するという作品です。(この説明ではわけがわからないと思いますが。)

 浅田政志オフィシャルサイトによると
 1979年三重県生まれ
 高校卒業後、写真専門学校で学び、東京のスタジオで勤務
 2007年写真家として独立
 というプロフィールをお持ちで、活動内容は、
「家族総出演のシュチエーションセルフポートレートを制作。
 父親がヤクザの親分、母親が姐さんをそして、彼の兄と自分は舎弟を演 じている作品から、新作の消防士一家や海の家の家族経営、一家で競艇狂いなど、家族が家族として同じ職業、同じ趣味を共有しているポートレートを制作。こ らえてもこらえても笑いがこみ上げてくる家族の姿かそこに有ります。」 とあります。

 ちょうど今、三重県立美術館で Tsu Family Land 浅田政志写真展 が開催されているので行って来たのですが、これはちょっとした発見でした。

 非常におもしろい作品ばかりで、「ラーメン屋」「運動会」「選挙」「唐人踊り」などと題された数々のなりきり家族写真を見ていると、浅田さんが意図したシチュエーションや演出は何なのだろうとか、実際にこの写真はどうやって撮ったのか(作品の中にはバスの車内で運転手に扮した作品や、近鉄電車内で車掌に扮した写真もある)と考えながら見られて、あっというまに時間が過ぎてしまいます。


 圧巻なのは、浅田さんが全国へ出張撮影に出かけているという、一般家庭による「なりきり家族写真」の数々です。
 アニバーサリーに記念として趣向を凝らした写真を残したいと考えた家族とか、結婚したカップルなどからのオーダーが多いと思うのですが、それぞれの家族が、楽団とかロックバンド、解体工事の職人、アフロヘアー、チャップリンなど奇想天外なコスプレとシュチュエーションで「なりきって」います。
 配役を演じることで他人に仮託しながら、しかし意図せぬうちに自分らしさ(家族らしさ)がにじみ出ているという、何とも不思議で魅力的な家族写真です。きっと撮影の現場もワイワイと楽しいことと思います。撮影自体が家族で共有できる大切な思い出になるのでしょう。

 百聞は一見にしかず。
 ぜひ美術館で写真をご覧ください。おもしろいこと請け合いです。
(写真展は5月30日まで。ちなみに写真展は「写真のまち」に来館者が訪問するというコンセプトのため、展示の撮影は自由であるという、これまたユニークなものです。)


2010年5月7日金曜日

あまりパッとしないJ-SaaSですが




 経済産業省が昨年からスタートした、中小企業向けのクラウドコンピューティングサービスであるJ-SaaSですが、今年5月末をもって経産省による「中小企業向けSaaS活用基盤整備事業」は終了し、運営主体も株式会社新社会システム総合研究所から富士通株式会社に代わるというニュースがリリースされています。(J-SaaSポータルサイト
 サービスそのものは、今後も継続されるとのことです。


 中小企業、特に小規模・零細な企業ではICT導入が遅れており、また、導入するための費用や、活用できる人材も不足しているなど、生産性向上のための大きな障害となっています。
 そこで国が主体となり、顧客管理や会計処理など汎用的なソフトウエアサービスをポータルサイト上で安価に提供するというアイデアが実用化されたものがJ-SaaSです。
 導入された直後は中小企業のICT化に大きな貢献が期待できる画期的な事業として話題になりましたし、各地の商工会議所などで導入セミナーが開催されていたことも記憶に新しいところです。

 しかし、あれから1年。
 正直言って、あまりパッとしない感じです。
 はんわしの身近にも、J-SaaSを活用している経営者はあまりいない(こういう話題で話をしないだけかもしれませんが)ような気がします。

 そう思って、ざっとネットを検索してみると

・認知度が低い

・中小企業にとってのメリットが見出せない

 などといった理由や、

・価格面でJ-SaaSは決して安くなく、例えばTKCの財務会計サービスでは年間10万円ほどの費用が必要になる。これでは弥生会計や勘定奉行などを購入したほうが得になる、という指摘(相模原市の税理士事務所 高木会計事務所のブログ

・J-SaaS上のアプリが従前のソフトウエアの操作性に対抗できない、という指摘(アイデアボックス

 などが普及しない原因としてヒットします。
 やはり、導入のメリットや操作方法が「わかりやすく」、「安価である」ことが重要なようです。国の中小企業に対するICT化施策も見えにくいところがありますし。

 しかしながら、ICT導入は避けて通れない問題であることも明らかです。
 地方(三重県の南部とか)に住んでいると、かゆいところに手が届くような、生の情報に接する機会もほとんどありません。
 いつも同じような結論になってしまうのですが、この分野でも商工会議所、商工会など中小企業に身近な振興機関の奮起と丁寧な対応に期待したいところです。
 国が何かをぶち上げても、ほとぼりが醒めると急にしぼんでしまい、そのままになってしまう、ということが特に中小企業施策には散見されるからです。 
 

2010年5月6日木曜日

結局、原子力かよ



 今日は何人のアナウンサーが「こうそくぞうしょくろ もんじゅ」と読むのを噛んだことでしょうか。

 福井県にある高速増殖炉もんじゅは、以前、ナトリウム漏洩という致命的な大事故を起こし、事実上廃炉となっていたのですが、近年になって中国など発展途上国のエネルギー対策として原子力発電所の建設が世界的に相次いでおり、発電用の燃料となるウランが逼迫してきたという事情もあり、高速増殖炉(核燃料であるプルトニウムを核融合させることにより、さらにプルトニウムを作り出すという仕組み)が再び復活することになったとのことです。

 最近では、低炭素社会を目指すうえでCO2を出さない「クリーンな」エネルギーとして、原子力に注目が集まっています。
 つい先日も、日本の原子力発電技術は非常に高度だとして、外国への発電所プラントの輸出を大臣がトップセールスしたことも報じられていました。

 結局、原子力か。

 いくらCO2は出さないかもしれないけど、いったん事故が起こったら、壊滅的で回復不可能な大被害が出ることは明らかなのに。
 しかも、放射線廃棄物はいまだに処分方法も確立されておらず、今後何百年、何千年も地中で安全に管理しなくてはならず、結局そのコストは膨大になるのに。

 そう考えると、低炭素社会とか、その土台となっている人為的な原因による地球温暖化とかが、なんだか一種の胡散臭い話のように思えてきます。
 これは、石油や石炭のような化石燃料から主導権を奪い返したい原子力マフィアが仕掛けた謀略ではないのか・・・などと。
 ついでに太陽光や風力のような自然エネルギー、水素エネルギーなども申し訳程度はエネルギーを補完するのでしょうが、それが原子力を上回るパワーを得られるのはまだ当分先のことでしょう。
 その間、原子力は独壇場です。

 そういえば、昨年末のコペンハーゲン会議(COP15)は、温暖化対策において自国が不利にならないような駆け引きに終始した先進国と、そもそも温暖化対策に消極的な途上国の対立が激しく、十分な成果が得られないまま終わった、というような理解が一般的かと思っていたのですが(たとえばWWFのホームページ参照)、アメリカや西欧では「クライメイト・ゲート事件」なる、地球温暖化を深刻に捉えて炭素社会を目指せと強く主張する科学者一派のスキャンダルが持ち上がり、そもそもCO2が地球温暖化の原因なのかとについてのマスコミや科学者、政治家を交えた論争が巻き起こっていたそうです。

 これは、日本のテレビや新聞ではほとんど取り上げられていませんでした。はんわしも記憶にありません。
 日本のマスコミが頭から地球温暖化危機説を信じきっているためか、クライメイト・ゲート事件の本質が、科学的な論争とはかけ離れているためなのかはよくわかりませんが。

 例によってYou tubeには「クライメイト・ゲート事件/地球温暖化詐欺」というビデオがアップされています。
(ここでヒステリックに地球温暖化危機論者を罵倒する、グレン・ベックなる司会者は、アメリカの保守派・右翼で、オバマ大統領が主張していた公的な医療保険制度の創設に対しても「政府による国民への干渉だ」と猛反対していたという、ちょっと日本人には理解しがたいタイプの人のようなのですが。)



 ビデオクリップは6つあり、通して見ると30分くらいかかりますが、「案外、地球温暖化って、詐欺じゃないの?ホントは・・・」みたいな気分にはなってくる映像です。

 

2010年5月5日水曜日

(G.W.放言その2)研究開発補助金は廃止してはどうか



 行政による産業(商工業)支援策のうち、最もポピュラーなものの一つが、中小企業が行う新商品や新技術の研究開発に対する補助金の交付です。

 この必要性について、一般的には、中小企業は財務基盤が脆弱であり、独自の研究開発についても資金が不足がちであることや、研究開発そのものが持つ性格が不確定性、不確実性の高いものであり成否についてリスクを伴うため、それを軽減する意味でも行政が一定の金銭的な支援をするのだ、と説明されます。

 実際に三重県でも、数百万円のロットの研究開発補助金が(少なくとも)20年ほど前から存在しています。
 一応は全ての中小企業の業種を対象にしていますが、現実には商業やサービス業では研究開発に多額の費用がかからないためもあって、どうしても製造業、それもいわゆる「試作開発型企業」と呼ばれる、先駆的に新技術開発に取り組む企業に対して支給するケースが多くなっています。
(注:ただし、補助金の支給には、研究内容の妥当性や会社の財務状況などの審査があるため、希望すれば全て交付されるわけではありません。)

 研究開発型の製造業企業にとって新技術の開発は生命線であって、行政が補助する妥当性は、それにより技術開発が成功すれば、その企業にとって事業の拡大につながるだけでなく、研究開発の成果は、新技術を備えた製品や、新技術によって生産性が高まった設備機器、生産方法などを通じて多様な産業に移転され、産業全体の力が強まることにも貢献するというストーリーで説明されます。

 しかし、問題は、このように明確なサクセスストーリーは現実にはなかなか生まれてこないということです。
 これは、補助金というシステムの成果がないという短絡的な話でなく、行政の単年度会計主義によって長期間の継続的な助成ができないこと、会計の法令規則によって柔軟な対応ができないことなど制度的な限界によることが大きいと感じます。

 また、中小企業といえども、短期的な技術開発や商品開発がビジネス全体を押し上げるような単純なビジネスモデルではなくなってきていることも一員です。その研究開発が、その企業の経営戦略上、どのように位置づけられており、事業化のプロセスがどのように見通せているのかが決定的に重要になってきています。
 以前なら、職人肌の社長が「良いものを作っていればお客が勝手に求めてくる。だから当社には営業部門は存在しない。」と語る場面によく出くわしました。
 しかし、営業がないということは川下の顧客の声をリサーチし、フィードバックする、マーケティングの仕組みが存在しないと言っているに等しいので、いくら研究開発しても的外れで自己満足的な成果しか生まれないことになってしまいます。

 このように、限界が見えている「研究開発補助金」をどう改善すればいいのか。

 ひとつハッキリしているのは、金融機関による融資や投資をもっと活用すべきということです。
 行政機関はしょせん、金の切れ目が縁の切れ目。中小企業の戦略全般に深く関わり、コンサルティングを継続することはできませんし、その能力もありません。
 ならば、中小企業に身近な金融機関が、企業が取り組もうとしている研究開発の内容を目利きし、必要ならアドバイスも行いつつ、事業の将来性に融資することが最も求められるのではないでしょうか。

 現実に、金融機関は金余りと言われている中、中小企業に対する融資の総額は90年代から一貫して減少傾向にあることを、中小企業白書も指摘しています。


 日本の金融機関は、(欧米諸国と異なり)不動産などの物的担保や人的な担保を重視し過ぎているとは、中小製造業企業の経営者からよく聞く言葉です。
 日本政策投資銀行が、中小企業が持つ特許などの知的財産を担保とした融資制度を行っているようですが、地方銀行や信用金庫などは技術の目利き能力が不足しているとも言われています。
 
 行政、特に県レベルの地方自治体は、研究開発補助金について歴史的使命を総括したうえでいったん廃止し、金融機関による自立的な金融システムが機能するよう、金融機関の技術審査能力の向上も含めて、融資環境の整備にエネルギーを注いでいくべきではないでしょうか。

2010年5月4日火曜日

(G.W.放言その1)建設業の新分野進出に重点支援を



 百五経済研究所の刊行になる三重県経済のあらまし2010は、三重県内の経済活動に関する各種データがコンパクトに盛り込まれており、なかなか重宝する一冊です。

 この中にある、県民経済計算によると、平成19年の三重県内総生産額は名目で8兆2071億円です。この構成比を産業の業種別で見ると、最も多いのは製造業(3兆1677億円)で38.6%ですが、建設業(3940億円)も4.8%を占めており、決して少なくない割合と言えると思います。

 次に、産業別の就業者数を見ると、建設業に従事する就業者は77,711人、県内産業に占める就業者数割合は8.4%で、これも一つの業種としては決して少なくありません。

 しかしながら、建設業は全国的に長期低迷傾向にあります。公共工事の削減や、新築着工戸数の減少などによるためで、三重県でも総生産額は18年と19年を比較すると13.4%減少しており、事業者数や就業者数も減少しています。

 三重県でこのことが深刻な問題なのは、製造業や商売・サービス業が盛んな北勢地域に比べ産業基盤が弱い伊勢志摩、東紀州地域などでは、建設業が地場の基幹産業になっており、建設業の衰退が地域経済の沈滞化に直結していることです。

 客観的に見て、公共事業が再び増加することは将来的にも考えにくく、住宅着工の増加も当分の間は景況から判断すると可能性は低いと思われます。

 現在の雇用を維持し、かつ、地方の生活には必要不可欠な土木建築の技術を有する事業者をなくさないためにも、コスト削減による競争力の強化に加え、就業者の技能向上、技術承継などの人材育成、さらには建設業以外の新規事業への進出などの対策が重要です。

 建設業者の新分野進出については(財)建設業振興基金によるヨイケンセツドットコムに「新分野・新市場進出事例」が掲載されており、同基金による支援策などもあるようです。また、中小企業新分野進出促進法による経営革新制度の活用なども多くあるようです。
 しかし、同時に、これら新分野進出には相当の困難が伴うのも事実で、実際にビジネス的に成功し、収益の柱として確立されている事例は意外に少ないとも聞きます。

 やはり如何なる場合でも、遠回りではあったとしても人材育成が一番の基本であることは間違いないと思います。環境・リサイクル分野や、農林業など土木事業での能力がある程度活用できる場合はともかく、介護福祉業やIT業、サービス業などに業態転換する場合、従業員の再教育は最も重要で、しかも困難なことになると思われます。

 しかし、地方では、そのような再教育を施す施設が不足しています。民間の施設はもちろん、ポリテクセンターのような公的施設も遠方にしかありません。

 そこで一計ですが、少子化により生徒数が減少し廃校に追い込まれている学校施設を活用し、再教育の場とすることは考えられないでしょうか。特にパソコンを多数揃えたIT教室がある高校の校舎は大いに利用できるのではないかと思います。
 近年でも、県内では長島高校(尾鷲高校長島分校)、宮川高校などが廃校に至っています。建設業の業態転換を重点的に支援する期間を数年間定め、この間に予算も集中的に投入して、高校の校舎を使ってITや介護などの職業訓練を行うのです。
 場合によっては、本業の土木や建設に関するスキルアップの講座でもかまわないでしょう。可能なら、経営者向けに経営手法やビジネスモデルを学ぶビジネススクールを開講してもいいかもしれません。

 今まで、県による産業政策(商工政策)は製造業の技術開発や下請取引斡旋、ベンチャーや商店街などの分野が支援の中心で、建設業に対しては経営革新や融資くらいしか支援制度がありませんでした。しかし、重要な産業である建設業を強化するためには、競争の促進と同時に、地力をつけるための支援も必要な時期に来ているのではないでしょうか?



 

2010年5月3日月曜日

平城遷都1300年祭は、ただひたすら暑い・・・




 今年のゴールデンウイークは全国的に天候に恵まれているようです。

 はんわしも、今話題の(というか、近鉄で通勤していると、各駅、各電車内に洪水のように広告が出ているため、知らず知らずのうちに脳内に刷り込まれてしまう)「平城遷都1300年祭」に行ってきました。

 ■公式ホームページはこちら  http://www.1300.jp/

 会場は、近鉄 西大寺駅から徒歩で15分ほどの平城宮跡歴史公園という、広大な原っぱが広がる緑豊かな場所です。
  はんわしが会場に到着したのが午前10時半過ぎ。

 入場料は不要なので、すでに数千人の観客がきており、まったく樹木のない会場敷地の中を目的地目指してぞろぞろぞろと歩いたり、敷地の中にほんのわずかにある木陰の中で日差しを避けて座り込んでいたりしています。
 目当てとしては遣唐使船が復元展示されているという「平城京歴史館」だったのですが、この時点ですでに午後1時までの入館整理券は配布が終了しており、こんな時間にのこのこやってくる観客は事実上、入館することができません。

 少しがっかりして、第二の目当てだった、「大極殿」(たいごくでん:天皇が行事や儀式を行った、平城京の中で最も重要な建物)を見学することにしました。これも、このイベントのために復元されたものです。

 これも無料で見られるのはありがたいのですが、入館の行列の最後尾で約1時間待ち。

 先ほども書いたように、会場内には日よけがほとんどないので、炎天下、長時間、観客は待たされることになります。
 警備員や、おそらく市民のボランティアと思われる案内スタッフの対応が愛想よく丁寧なので救われますが、小さな子供やお年寄りは要注意です。

 実際には約40分待ちで内部に入ることができました。建物中央には高御倉(たかみくら)という、行事に臨んで天皇が着席するための台座が復元されています。このころは明らかに中国の文化、文物、制度は日本より数段優れており、平城宮や大極殿といった都市計画や建造物、服装、文化などことごとく中華風であることがあらためて実感できます。
 進んだ外国文化を取り入れながら、それを日本風にアレンジし、独自の和風文化を生み出し、花開かせるには、あと二百年ほど後、平安時代の中期ころまで待たなくてはなりませんでした。


 大極殿からは会場が一望に見渡せます。
 ビルが建ち、電車が走り、おそらく8世紀から景観は激変しているのでしょうが、遠くに連なる山々は古代の官人たち、庶民たちが見たのとほぼ同じなのでしょう。

 しばし、いにしえに思いを馳せるのも一興です。


 大極殿を後にすると、ちょうど奈良時代のコスチュームを着た1300人の市民によるパレードが行われていました。

 素人丸出しでメリハリのないパレードでしたが、10人以上ものせんとくんが猛暑にもかかわらず愛想を振りまきながら歩いていくのはけなげに思えました。

 この1300年祭、はんわし的には悪くないイベントだと思いますが、全体的に案内とか進行とかが、まだこなれていない感じがしました。




 

2010年5月1日土曜日

ICTはコストでなく、イノベーションの基盤である



 前から読みたかった「原口ビジョンⅡ」ですが、実際に総務省のホームページを見たらパワーポイント資料が6枚だけなので拍子抜けしました。
 もっと詳しく書いたものはないのかしらん。(PDFファイルはこちら

 策定の主旨としては
 経済・社会のあらゆる分野におけるICTの徹底利活用の促進、地域の自給力と創富力(はんわし注:富を生み出すチカラという意味らしい。)を高める地域主権型社会の構築、そして、埋もれている資産の有効活用に つながる政策を総動員することにより、2020年以降、毎年3%を上回る持続的な経済成長を実現しようとするもの
 だそうです。

 大きく3つのポイントがあるのですが、その中のいくつかの施策を抜き出すと、


1 ICT維新ビジョン
・全国4900万のすべての世帯でブロードバンドサービスの利用を実現する「光の道」100%の実現
・協働型教育改革の実現
・50兆円規模の市場を創出する新たな電波の有効活用
・10兆円の経済波及効果を実現するデジタルコンテンツ創富力の強化による3%成長の実現

2 緑の分権改革
・2020年までに、緑の分権改革に取り組む地方公共団体を251団体から1,400団体に拡大
・2020年における総人口に対する地方圏の人口割合について2010年並み(49%)を確保

3 埋もれている資産の活用
・年金の運用方針や運用体制について、成長分野への投資も念頭において見直しを検討
・社会保障・税に関わる新たな番号を導入

 のようなになります。
 ちなみに2番目の緑の分権改革とは、「それぞれの地域資源(豊かな自然環境、再生可能なクリーンエネルギー、安全で豊富な食料、歴史文化資産、志のある資金)を最大限活用する仕組を地方公共団 体と市民、NPO等の協働・連携により創り上げ、地域の活性化、絆の再生を図ることで、中央集権型の社会構造を分散自立・地産地消・低炭素型に転換しようとするもの」だそうです。
 まあ、主旨自体は10年前の自治省だった頃からよく言われていたコンセプトなのですが。低炭素とかを入れるところが民主党の?なところかなあ。はんわし的には。

 原口大臣は、このビジョンを発表した定例会見の席上で

・今後は、「原口ビジョンII」を実現するための施策を、省を挙げて推進していくとともに、ビジョンで掲げている施策について、政府で検討中の「新成長戦略」にも盛り込んでいくようにしていきたい

・実際にICT関連の投資ということで2.64%、毎年3%の持続的成長といったことを目指して いく。


ICTはコストではなくて、イノベーションの基盤であるということを申し上げておきたい。農林水産業、製造業、あるいは卸・小売業などの成長に対して、ICTの活用で各産業での新規市場創出ということをやっていきたい。

 などと語り、さらに

・国民の皆さんに是非お願いをしたいのは、今まで、あれもできない、これもできない、これをやったら失敗するということで、シュリンクをしてい る、そういったものを変えたい。多くの先進国について、失敗は、それは終わりではない。失敗するからこそ、そのキャリアが次には失敗 しないのだということを、多くのキャリアのプラスにする。そういう社会ができつつある。何も無謀なことをして失敗しろということを言っているの ではない。私たちは幾度もチャレンジできる、そういう社会を目指していきたいと思っている
 と力説しています。

 特に後段の2つ、ICTはイノベーションの基盤である、何回もチャレンジできる社会を目指すは、そうなのでしょうね。
 ICTで新たな需要を掘り起こしていく視点は重要だと思います。

 ただ、具体的にどうするのかが6枚の資料だけではよくわからないので、これはこれでどうしたものかと・・・