2010年9月30日木曜日

東紀州長期インターンシップ事業がNHKで!



 今日はアナウンスです。

 このブログでも何度か東紀州長期インターンシップ事業のことを取り上げています。(詳しい内容はこちらを)
 この事業は、平成20年度から、三重県と東紀州観光まちづくり公社が連携して行っているもので、今年度までの3ヵ年で約10名の大学生をインターンとして受け入れています。
 この「長期インターンシップ事業」の模様が、このたびNHK総合テレビで放映されることになりました。
取材先は昨年・今年とインターンシップ生を受入れている紀北町の民宿 四季活魚の宿 紀伊の松島と、事業実施側である三重県庁です。

 平成21年度にインターンシップ生として紀伊の松島で長期滞在研修をし、それがきっかけで今年紀北町に就職した立花さんと、同じく紀伊の松島で、現在インターンシップ生として頑張っている大学生の鎌田さんの活動風景も交え、当事業を通じて東紀州地域の活性化に取り組む様子を番組にするとのことです。

 放映日は
 10月4日(月)午後6:30~7:00 ほっとイブニングみえ 
 10月5日(火)午前7:45~8:00 おはよう東海 
 となっています。ぜひご覧ください。
(ただ、ほっとイブニングみえは三重県内のみの放映、おはよう東海は東海3県内のみの放映のようですので、その他の地域の方は残念ですがおそらくご覧になれません。)

 
   

2010年9月29日水曜日

auはどこへ行く・・・



 iPhone4は何だかんだ言って、けっこう売れているようです。今年8月に携帯電話各社が発表したところによると、ソフトバンクモバイルは5カ月連続で首位を維持し、累計契約数のシェアは初めて20%を超えたとのことです。

 NTTドコモとauは、これに影響されてシェアを下げているようですが、悲惨なのはスマートフォン競争から取り残され、完全に蚊帳の外にいるauです。
 はんわしはIDOのころからauのユーザーで、契約は通算15年目くらいになりますが、IDOは東海地方と関東しか使えなかった(そのころはサービス圏外では別の携帯会社の回線を使う、ローミングという仕組みがありました。)けれど料金が圧倒的に安く、auになってからは着メロ、着うたなどのアプリケーションサービスで他をリードしていました。デザインも凝ったものが多かったように思います。
 
 しかし、それは同時にauは女性や学生が使うケータイというイメージを定着させてしまいました。三重県内でも東紀州とか志摩に行くと、圧倒的につながりやすいのはドコモで、ユーザーも多くいます。
 デザインも原色のチャラチャラしたものが多くなり、40がらみのオッサンが持つにふさわしい重厚なデザインは少なくなり、機能的にもビジネスユースに耐えられないものが多くなってきました。

 iPhoneの登場により、劣勢は決定的になりました。今年6月にauもようやっとスマートフォンをリリースしましたが、なんだかパッとしない外観で、機能も今ひとつ。当然ながら大コケしました。

 そして、ようやく今年、auは旧経営陣が退陣して新しい経営者に入れ替わり、早速12月にはアンドロイド携帯が発表されるようです。長い道のりでした。

 携帯電話は、機能的にはほとんど大差がなく、数年前は割引料金の競争を繰り広げていました。(コースやオプションが無数にあって非常にわかりにくく、かえって携帯料金設定の不透明さを消費者に知らせてしまいました。)
 今もCMや、イメージ戦略が大きなカギになっています。コモデティ化した商品の競争は、ビールにしろ薄型テレビしにしろ、どうしてもそうなってしまいます。auは着うたのような若者向けサービスで成功した、その成功体験から抜けきることができず、環境がすっかり変化しているのに気づかず、出遅れてしまいました。
 その意味で、ビジネスマンに対して、新しく生まれ変わったauが、目指している姿をどのようにして示すのかに注目したいと思います。

 

2010年9月28日火曜日

消費者金融というビジネスモデルの終わり



 津のような地方都市でも、数年前までは駅前で消費者金融のティッシュを配る姿をよく見かけました。地下の自由通路を渡ろうとすると近鉄側でもティッシュを配っており、JR側へ出るとそこでも配っていて、100m歩く間にティッシュが2つも3つもゲットできました。
 その時、しみじみ消費者金融って儲かるのだなあ、と実感したものです。ティッシュの原価はわずか十円ほどであるにしろです。

 その代表格であった武富士が会社更生法の適用を申請して事実上倒産しました。負債は4300億円。これだけでも大型倒産と言えると思いますが、消費者金融各社はいわゆる過払い利息の返還請求を、借り入れの返済をするに当たって利息を多く払いすぎていたと称する人々から多数起こされており、武富士の場合はその請求額が何と合計1兆円以上にもなる可能性があるとのことです。

 考えてみれば、消費者金融は「サラ金」と呼ばれ、ダーティーな高利貸しの雰囲気を長らく引きずっていました。実際に夜逃げ、自殺、自己破産など借金にまつわる悲劇が多くありましたし、その意味で何らかの法的規制や社会的制裁を望む声が多かったのももっともな面があります。

 しかし、一般の銀行はなかなか普通の市民に、小額のお金など貸してはくれません。マイホームやマイカーのように、モノ自体が高額で「担保」価値がある場合に限って、しかも何年にもわたる長期のローンを組んだら(組めたら)初めてお金を貸してくれます。
 これに比べて消費者金融はずっと敷居が低く、簡単な審査で小額でも貸してくれます。現実問題として給料日前で現金がないときに、何万円かを借りて翌月返した、という程度の利用者は相当な数にのぼったと思います。ギャンブルがらみの破滅的な借金もあったとは思いますが、大部分は健全な利用者だったはずだし、そうでなければ会社として長らく継続できたはずがありません。

 もちろん利息は高率で、年利が40%近くありました。これは暴利といえば暴利ですが、法律上は明確な規定がなかった ~有名な話ですが、利息制限法という法律では元本(元々の借りた額)に応じて15%から20%と規定されているにもかかわらず、出資法という法律では
つい最近まで40%までは認められることになっていた~ ため、利息制限法を越える高率の利息についても、借りた側が納得しているなら契約としては有効で、利息を払う義務がある、という判例が示されていたことにも一因があります。

 いずれにしろ、高利という危険性と裏腹に、簡易に資金を融資していた消費者金融というビジネスモデルは終焉に近づいたのかもしれません。今年公布された改正貸金業法がこれを決定的にしています。
 
 しかし、世の中の、お金を借りたい人は減りません。貸したい人も減りません。
 いかに規制が厳しくなっても、ニーズがある限り消費者金融は形を変えて生き残ることでしょう。
 場合によっては地下に潜るかもしれませんし、日本でも金融のイノベーションが起こって、まったく新しい消費者向けの金融商品が生まれるのかもわかりません。

 

2010年9月27日月曜日

これは絶対に参加だ!「東紀州ビジネススクール」



 三重県では、各商工会が県内5つの地域ブロックで緩やかな連合体を作り、広域的な事業に取り組んでいます。つまり、県連(県商工会連合会)と単会の間に「商工会広域連合」があるという三層式の組織になっており、これは全国を見てもあまり例がないと思います。

 その広域連合の一つ、東紀州商工会広域連合(紀北町商工会、御浜町商工会、紀宝町商工会)では毎年「ビジネススクール」と題した、2週間に1回程度、個別に講師を招いた連続セミナーを開催していますが、今年も10月4日を皮切りに、このスクールが始まります。

 はんわしが注目したいのは、三重県のお隣、和歌山県で「WEBで日本一みかんを売る男」として超有名な、BUNZAの上野真歳氏のセミナーです。
 百貨店やスーパー、コンビニなど小売店の販売額が減少傾向の中、通信販売は一貫して売り上げを上げています。中でもインターネットによる売買は、もはや完全に消費者に定着しており、高額な商品や、身近なお店では売っていないような地域限定の商品を探すツールとして活用されています。

 また、売り手側、特に東紀州のように過疎化高齢化が進み、地元の商圏が縮小している地域では、大都市など他の地域に打って出ていくほか商売を拡大する方法はありません。これにはネットが有効なツールとなります。つまり、地域経済にとってネットは売り手、買い手の双方にメリットを生むものになるのです。

 そこにチャレンジしたい経営者にとって、上野さんの話は必ず有益なヒントをくれる機会だと思います。

 ■経営者から学ぶインターネット・マーケティング戦略
 
  「都会に負けない地方発信型ビジネスモデルの作り方」

  10月4日(月)19時~21時 於 紀北町商工会
  10月5日(火)19時~21時 於 御浜町商工会

  問い合わせ先  東紀州商工会広域連合(リンクはこちら

 参加は無料です。これは、このビジネススクールが今年度から経済産業省が行っている「中小企業応援センター事業」の一環として商工会に実施が委託されている事業のためです。
 また、商工会地区以外の商工会議所地区(例えば、尾鷲市とか熊野市)の経営者であっても参加することができます。

 中小企業応援センター事業は、昨年度の事業仕分けで事業廃止となった「地域力連携拠点」に代わって始まったもので、はんわし的には屋上屋を架す事業であるという印象も持ちますが、このような有効な事業に活用されるのであればそれなりの効果は生んでいるかもしれません。
 東紀州商工会広域連合には、せっかくの上野さんのセミナーを単発のままで終わらせず、受講生をネットワーク化して定期的に集合研修会をやるとか、さらに経営者の能力をアップさせるフォローアップをお願いしたいと思います。

 ■上野真歳さんのHP http://www.bunza1.com/

  

2010年9月26日日曜日

「よそ者、若者、ばか者」を考え直す



 地域経済の疲弊が続いています。
 その原因は、20年ほど前には「バブルがはじけた後遺症」とか、「過疎化や高齢化の進展」だと言われましたし、5年ほど前は、「行き過ぎた市場経済による地域格差拡大」こそが原因だと言われました。
 しかし、原因は変わっている(というか、複合的になってきている)のに、その対策は国の景気対策(公共工事)であったり、工場誘致であったり、「一村一品運動」に端を発した地域特産品開発や観光開発であったりとさほど変化しておらず、したがって一部の例外的な地域を除いて、全国どこでもほとんど地域経済活性化の成果はあがっていません。
 ある意味で、全国の市町村で勝ち負けがはっきりし、序列が固定化してきているのが「地域経済活性化」と呼ばれる活動の現状だと思います

 さて、しかしながらですが、地域活性化にはマンパワーが大事であって、なかんずく、優秀なキーパーソンの存在が決定的に重要だという原理は変わりません。昔から「よそ者、若者、ばか者」と言われるように、地域の暗黙の前提とかルールを突き破って新しい地平を開くのは、往々にして昔からの一般住民ではなく、地域外から来た人、若い人、狂おしいほどの情熱と信念を持っている人、のどれか(または、この3つがミックスされている人)が多いことが経験則上よく知られています。

(もっとも、コミュニティビジネスの第一人者で、NPO法人コミュニティビジネスサポートセンターの永沢映さんからは、「ばか者では地域に受け入れられない」というお話を聞いたことがあります。
 昔と違って今は住民の学歴も高く、社会経験も多様で豊富です。これらの住民を巻き込むには、情熱とともに、論理と教養によって相手を納得させることが必要で、「よそ者、若者、ばか者」は、「よそ者、若者、人格者」に直すべきだとのことでした。
 確かに、人徳がないので協賛者が周りにまったくいないという、声が大きいだけの「本当の馬鹿」もこの業界には実在するので、永沢さんの話には説得力を感じます。これは余談。)

 先日、日本政策金融公庫が発行している日本政策金融公庫論集 第8号(2010年8月)を見ていたら「イノベーションを促す『ストレンジャー』の視点 -多様性がもたらす革新を実現するための諸条件-」という論文が載っていました。
 企業とか地域産業に新たな視点をもたらす人材のことを「ストレンジャー」と定義し、ストレンジャーの視点を契機とするイノベーションのプロセスを検討した、非常に興味深い内容でした。

 この中にもあるように、ストレンジャーによるイノベーションとは、単に「異なった視点から新たな発想が生まれ、それがイノベーションのきっかけとなる」というものではありません。
 ストレンジャーから見ると、ある特定の集団(企業とか、地域とか)の構成員の日常的なものの見方、価値観、行動様式などを決めている「暗黙のルール」は、なんら普遍的なものではありません。
 そのストレンジャーの視点が、構成員が共有していた世界観(暗黙のルール)を揺るがすことで意識の変化が起こり、地域の中で培われていた多様な経験・知識が新たな文脈の中で解放されることが、企業や地域の再生の可能性を開くことにつながるのです。

 そして、イノベーションのためには
 1.ストレンジャーに対する権限の付与
 2.地域とストレンジャーを仲立ちする「調停者」の存在
 3.活発なコミュニケーションを促す場の存在
 の3つがポイントだと指摘します。

 事例として取り上げられている佐賀県の有田焼業界と、長野県の小布施堂のケーススタディも興味深いものなので、地域経済活性化に関心がある方、特に長期インターンシップに取り組んでいたり、このテーマで論文でも書こうと思っている大学生の方にはぜひご一読をおすすめします。(ありがたいことに、日本政策金融公庫論集は無料でWEB公開されていますし、文末の参考文献リストも役に立ちます。)

2010年9月25日土曜日

伊勢高柳商店街のB級グルメ屋台村に行ってみた



 収穫を神に感謝する神嘗祭(かんなめさい)を起源に持つ、伊勢の秋の恒例行事である伊勢まつりが開催されています。伊勢市駅前などを中心にさまざまなイベントが行われていて目移りしますが、はんわしは市内の高柳商店街で開催されているB級グルメ屋台村というイベントに行ってきました。
 けっこう楽しかったです。

 B級グルメという言葉は、数年前まではほとんど一般には知られていませんでしたが、富士宮やきそばをきっかけに始まったB-1グランプリが全国区で急速な盛り上がりを見せ、さらに一部の行政や商工会議所などの商工団体が、地元産の食材や、郷土食を生かしたメニュー開発に力を入れてきたことなどもあって、日本各地でB級グルメが氾濫する状況になっています。

 B-1グランプリの場合は、地元産の食材を使っているとか、地元住民に広く認知され愛されている郷土食をベースにしているなど、B級グルメについていくつかの定義を設けているようですが、今日のこの高柳商店街のイベントは、そのようなものもありつつ、しかし単なるジャンクフード的なものもありの、という両方狙いのようでした。

 富士宮やきそばの業者も出展していましたが、はんわしが行った時間にはすでに完売しており、夜の部の再開を待つ人々が十数人行列しているような状態でした。ほかにも、浜松餃子とか、名古屋大須のとんむすとかには行列ができていました。

 一方で、B1的でないB級グルメのほうは、(少なくともはんわしが徘徊していた時点では)伊勢名物のぱんじゅうの店などもありましたが、鳥の唐揚げとか、エスニック料理、たこ焼き、寿司、お菓子などほとんど差別化要因のないB級グルメ(つまり、B1的でない)も多く、特にここがすごく流行っている、というのはなかったような気がします。

 B-1グランプリが目指しているようなB級グルメは、そのメニューを地域の看板にしてひとつの産業集積を形成し、地元客だけでなく地域外からもお客を呼び込もうという「まちおこし」の戦略性が明確です。

 富士宮やきそば学会は、市民へのPRとともに、マスコミを最大限に活用して情報発信するため話題づくりや駄洒落を多用したネーミング(B-1グランプリ主催団体の「愛Bリーグ」なんかはその典型例です)など、B級グルメを徹底的に「地域産業化」しようと志向しています。
 そのために業者間の切磋琢磨も激しく、富士宮やきそばの認定要件(「調理方法12の特徴」)を定め、この要件に合致しない事業者は脱落していくことも辞さない姿勢です。

 一方、行政主導に多く見られるB級グルメは、単なる特産品開発とか、思いついて地域資源を使っただけのプロダクトアウト型のメニューが多いので、地域外はおろか、地域内の住民にもろくに浸透していないという「無理やり」な自称B級グルメが続出しており、ほとんどの事例が事業化に失敗しているという惨憺たる状況になっています。

 数百円で気軽に買え、食べられるB級グルメでも、これを地域産業と呼びうるまで育成するには、戦略性と戦術、そして現状をブレークスルーする実行力が必要だということを再認識したのでした。

2010年9月24日金曜日

中国人船長を拘束し続けていたら円安になったのでは?



 沖縄県尖閣諸島での、日本の海上保安庁の巡視艇と中国漁船の衝突事件で、那覇地検は本日、身柄を拘束されていた中国漁船の船長を釈放すると発表しました。
 中国は、いろいろな会議や行事をキャンセルしたり、日本のハイテク製造業にとって生命線ともいえるレアアースの輸出停止などで外交圧力をかけてきており、その果ての釈放なので、民主党政権による、この政治的判断の是非については今後も国内外で議論があることでしょう。

 日本も、中国の抗議に対していたずらに沈黙するのでなく、もし中国漁船からの挑発行為や体当たりが明白なら、そのビデオを公開し全世界に流して相手側の非を宣伝すればよかったのです。いくら事件が捜査中なので証拠となるビデオは公開できないのは法理だとしても、もともと事態は超法規的な国際紛争なので、それくらいは反撃しても良かったのではないでしょうか?

 冗談半分で思っていたのですが、このまま釈放せずに起訴し、裁判にかけ、そこで船長が有罪判決を受けていたらどうなっていたでしょうか。
 中国と日本の対立は決定的となって東シナ海に軍事的な緊張が走り、基地移転問題で揺れている沖縄は、日本防衛の戦略的拠点としての決定的な重要性を持つことが日本国民にあらためて得心されていたことでしょう。(沖縄県民には気の毒ですが、これで基地問題の進展は大きく変わっていたと思います。)

 また、日中双方とも経済的には深く依存しあっているのが現状なので、いかに中国政府がプロパガンダをしかけても、多くの産品を輸出入してビジネスし、日本の国債を買ったり、日本に資金を投資している少なくない中国の富裕層は、愛国心と排日感情に燃える中国の中流~下流の人民を困った奴らだとは思いながらも、どこかで落としどころを探っていたことかと思います。
 しかし、そこに至るまでには現実に軍事紛争になったら大変だと、日本の円を持っている外国人投資家の多くが円を売ってドルを買い戻したことでしょう。これで円高も解決です。

 このような「高等戦術」を菅首相が考えて、問題をここまで引っ張っていたのだとしたら、それはそれですごい政治的センスだと思うのですが。

2010年9月23日木曜日

伊勢神宮の風日祈宮橋を渡ってみた

 伊勢神宮と一口に言いますが、内宮(皇大神宮)と外宮(豊受大神宮)のほかにも、別宮とか、たくさんの神々を祭った摂社とか末社などといわれる数多くの神社があり、それらすべてを総称して「伊勢神宮」と呼ばれることは意外に一般には知られていないかもしれません。(もっと言えば伊勢神宮という名前も単なる通称に過ぎないのであって、正式にはただ単に「神宮」と言います。なので、伊勢神宮のお守りやお札には「神宮」としか書かれていません。)

 さてその、内宮の別宮である風日祈宮(かぜひのみのみや)の参道に架かる風日祈宮橋がこのたび架け替えられたというニュースを聞いたので、遅ればせながら見物がてら参拝に行ってきました。



 伊勢神宮は20年に一度、すべての神殿や拝殿、鳥居、橋、宝物などを新品に造り替える遷宮(せんぐう)という行事があります。古いものをそのまま残すのでなく、一定期間が来たらまったく同じコピーを作って、この作業を20年ごとに繰り返すことで、1000年近くも昔の建築物や宝物が当時のままの形で未来に伝えられ続ける、という考え方は、生物の遺伝子の原理とよく似た発想です。世界でも日本だけ、いや、伊勢神宮だけのしきたりであるようで、特異な日本文化の象徴として外国人の研究者も多いと聞きます。

 次回の遷宮は平成25年に行われる予定であり、それに先立って昨年11月には内宮の参道に架かる宇治橋が架け替えられたことは、全国ニュースでも伝えられました。



 風日祈宮橋は、内宮の敷地の中に建ってはいますが、正宮から見ると格下の神社なので、宇治橋に比べるとややミニチュアな感じはします。しかし、延長25mほどの総ヒノキ造りで、欄干には巨大な栗まんじゅうのような擬宝珠(ぎぼし)があつらえられ、堂々たる外観です。橋面は白木なので渡るとヒノキの芳香が鼻をくすぐります。

 なんせ20年に一度のことです。はんわしなど次々回の遷宮の時には(生きていれば)70歳近くになっているはずので、その時にはどんな日本になっているか、いや、我が身が一体どうなっているか、ということに思いを馳せざるを得ません。


 風日祈宮の祭神は、級長津彦命(しなつひこのみこと)と、級長戸辺命(しなとべのみこと)で、内宮の祭神である天照大神が太陽神なのに対して、風雨をつかさどる神々です。  

 しかし、この宮が内宮の別宮に「出世」したのは、13世紀、元が日本に攻めてきた、いわゆる蒙古襲来がきっかけです。

 蒙古軍団の強大な武力に危機感を抱いた朝廷は、全国の有名寺社に対し敵国降伏の祈祷を行うよう命令します。風日祈宮でも祈祷が行われた結果、神意により博多湾に神風が吹き、侵略者どもは撃退され、神国日本は防衛されたのです。この御神徳をたたえ、別宮に昇格したといういわれがあります。

 興味深いのは、ここ風日祈宮は神仏習合の一大拠点でもあったことで、記録によると京都醍醐寺の通海なる僧がここで行った敵国降伏の祈祷は、蒙古撃退に大いに霊験を発揮したとのことです。

 内宮へご参拝の際は、風日祈宮にもお参りいただいてはどうでしょうか。(恐れ多いので、社殿の写真はブログに掲載しておりません。)

■参考文献  お伊勢さん125社めぐり 伊勢文化舎 平成20年

       別冊宝島EX 神道を知る本 宝島社 平成7年



(マニア向け)「高校生にこそ起業支援を」への補足



*マニアックな内容なので、産業支援関係者以外は読み飛ばしてください*

 先日のブログ「高校生にこそ起業支援を」について、文章の中の「サービス産業と知識集約型産業の関係がわかりにくい」というご指摘をいただきました。(本人がコメントの公開を希望しておられないので趣旨の公開だけにとどめますが。)
 また、ほぼ同じ時期に「全人格的な陶冶(とうや=鍛える、育てるといったの意味)」という表現がよくわからないという指摘もいただきました。
 なので、これについて補足させていただきます。

 人材を「理系」と「文系」に二分類した場合、「理系の人材こそが世の中に必要にされている」という論調は意外に多いようです。これは、世の中を便利にするための具体的な手段が、科学技術の革新よってもたらされてきたという高度成長期の原体験があります。
 クルマ、クーラー、カラーテレビなど、生活の豊かさが実感できる身の回りの製品は、みな「理系的な発明・発見」の賜物です。すばらしいアイデアや発明があり、それを実用化するための技術と、大量生産する技術が重なり合った成果がこれらの工業製品です。これは間違いない事実と思います。

 しかし、それでは、世の中全部の人材が理系になってしまえばいいかというとそうではありません。
 貧しかった時代はモノが豊かになることが、イコール生活が豊かになることでした。
 徒歩しか移動手段がなかった時代に比べ、自転車の登場は生活が豊かになることそのものでした。それが自動車に進化すれば、これはもう、まさに生活の革命です。
 それを支えたのが科学技術でした。
 ところが、社会全体が豊かになるとモノの地位は相対的に低下しています。モノでなく「モノガタリ」を求める時代になってくるからです。このことでモノや科学技術が無視されるわけでは決してありませんが、それは縁の下の力持ち的な脇役に後退し、主役はモノガタリの「内容」になり、モノガタリが語れる「人」の魅力に移ってきています。

 科学技術は技術者のアタマの中で成り立つものので、技術者の見栄えは関係ありません。しかし、モノガタリは人に伝えるというコミュニケーションが大前提になります。これは、アタマの知識とは全く別世界、異次元のものと捉える必要があります。

 美人(ハンサム)に語ってもらいたいでしょうか?
 不美人(ノンハンサム)に語ってもらいたいでしょうか?

 ユーモアのある明るい人に語ってもらいたいでしょうか?
 冗談も言わない暗い人に語ってもらいたいでしょうか?

 話題が広くて何にでも話を合わせてくれる人から語ってもらいたいでしょうか?
 買わせたいという下心丸見えで決して脱線しない人から語ってもらいたいでしょうか?

 答えは明白でしょう。学校の勉強や科学技術を軽視するわけではありませんが、そのような知識とは別の、語る人(提供する人)の全人格的な魅力やスキルが「モノガタリ」を大きく左右することがおわかりになると思います。
 このスキルや能力こそが、科学技術などと並んで「知識集約型産業」と呼ばれる産業の大きな部分を占めているものです。
 ・見た目をよくするためのファッションセンスやメイク技術
 ・プレゼンテーション能力や知識量の豊富さ
 ・他人の心を先読みする心理学、マーケティングの知識
 これらが大変重要な世の中になってきます。

 なので、「知識集約型産業への構造転換」は確かに非常に重要なのですが、某県の唱えるような知識集約型産業とは研究開発型の製造業(第2次産業)のことであって、知識集約型への産業構造転換とは、法律や金融といった専門知識産業とか、心理学やマーケティングをベースにした全人格が発揮できる高度なサービス業のことでなく、現在の第2次産業を、国際競争に勝ち抜けるような「第2.5次産業にバージョンアップ」することに矮小化されてしまっています。これでは全く意味がありません。
 この理屈だと、高校の時に「理系」から外れた大多数の人間は、知識集約型産業にどうコミットすべきなのでしょうか。一部の理系エリートだけが担い手であって、その他の人間は知識集約型製造業からのトリクルダウンを期待する従来の労働集約型、資本集約型の産業にとどまるか、失業するしかないのです。このようなパースペクティブしか示せないものを産業政策とは呼び得ません。

 大多数の国民・住民は、理系ではありません。この人々を製造業分野以外の知識集約型産業にどのように導き、活躍してもらうかを考えたとき、やはり答えはサービス業分野の振興しかないのではないでしょうか。
 これは現在の高校教育システムが大学の進学や、よき工員、労働者を育てることを主眼としているもののため、この改造も含めて長い時間と膨大な変革エネルギーが必要となるでしょう。しかし、今すでにある企業や工場を前提に、就職というコミットだけでは雇用の確保は困難です。
 ではどうしたら良いかと言えば、理系以外の人でも(つまり、大多数の人でも)努力と創意工夫の余地が十分にあり、チャンスが豊富なサービス業での起業が現実的な選択肢だと言っているのです。


 

2010年9月21日火曜日

日経MJ紙に東紀州長期インターンシップの記事が!



 日経MJに、東紀州長期インターンシップ事業の記事が掲載されました。
 長期インターンシップ事業とは、通常の職場体験的なインターンシップとは少し違って、インターン先である若手経営者のもとに、いわば「弟子入り」するような形で、学生が最低でも1ヶ月以上(長い場合は3ヶ月とか半年間以上にわたって)インターンシップを行うものです。なので、職場体験というよりも、インターン生の自分磨きに近いものだと思います。

 この長期インターンシップには、受け入れ側の企業(経営者)、インターン生(学生)の双方にメリットがあります。
経営者にとっては
・経営者が今までやろうと思っていてもできなかった新しい事業とか商品開発、販路開拓などを、インターン生を使ってチャレンジすることができます。
・多くの場合、地域の中小企業はマンパワーが不足しており、経営者の片腕となるような意欲の高い若手従業員がなかなかいないのが現状です。
・インターン生は、社会経験はほとんどないものの、その分「ピュア」なパワーを持っており、自分の関心や能力にマッチしたミッションが与えられれば大きなパワーとなり得ます。

インターン生にとっては
・実際に働くこととはどういうことか、経営者はどんな仕事をしているのか、どんな視線でものを見て、どんな決断をしているのか、などを実地に体感することができます。仕事の厳しさも、やりがいも実感できます。
・しかも多くの場合、熱心な若者を受け入れる企業の側も温かく見守ってくれたりサポートしてくれたりするので、人のネットワークが急激に広がっていきます。年齢、属性、経歴がさまざまな人々との出合いは普通の学生生活では絶対に得られないものです。
・同時に、これが重要なことですが、学生は実際のシビアなビジネスの場に身を置きながらも失敗が許されます。インターン生なのでチャレンジすることこそが本分です。なので、ビジネス的には単なる試行錯誤に終わっても、それこそが貴重な体験になります。

 と、こんなところですが、東紀州長期インターンシップ事業の場合は、経営者、インターン生に加えて「地域」にもメリットがあるという、一石二鳥ならぬ一石三鳥を目指しています。

東紀州にとってPresent dangerは過疎化・高齢化の進展です。高齢者が多くなると経済活動をはじめ、地域社会全体のパフォーマンスが低下するので、若い人々の人口を増やすことが地域振興の基礎、土台、入り口になります。
 それには、長期インターンシップ事業を媒介にして、全国の若者に三重県東紀州の名前を知ってもらい、地域おこしやビジネスに関して何かチャレンジしたいときに東紀州にはその場が提供されている、という「若者チャレンジの聖地」にしておく必要があります。

 それがすぐに定住や就労、起業には結びつかないかもしれませんが、一つのきっかけとなり、横展開していく可能性は確実に生まれます。地味ですが、そこからスタートすることも必要です。

 日経MJの記事は、インターン生の活躍する様子や、経営者と学生を結びつけるコーディネーター役(チャレンジプロデューサー)の役割の重要性はよく取材されていたと思います。他地域の類似の取り組みの多くが失敗するのは、そもそもこのコーディネーターの役割を軽視しているか、素人の行政職員が担当していることが最大の原因です。

 ただ残念だったのは、このインターンシップ事業と行政の関わりについてもう少し掘り下げて欲しかったということです。
 東紀州長期インターンシップ事業は平成20年度に東紀州観光まちづくり公社の事業としてスタートし、現在も運営に公社が深く関わっています。その原資は税金であって、公社として、また三重県や地元市町がこの事業をどう評価しており、将来的にどう進展させていくのか、についての記述が見当たらなかったのは少し物足りなく思いました。

 ■関連ブログ まこがれいのつぶやき その2(東紀州長期インターンシップ生のブログ。今回の日経MJ記事の主人公でもあります。)

2010年9月20日月曜日

伊賀もん町家「西膳」に行ってみた



 9月も後半、お彼岸近くになるというのに、まだ酷暑の名残が続いています。
 伊賀は盆地なので特に暑いのかもしれません。

 伊賀上野は戦災に遭わなかったせいもあって、今でも中心市街地は江戸時代の家並みの雰囲気をたたえており、町家(古い民家)を活用したまちおこし活動やビジネスも数多く見られます。

 その一つが、今年1月にオープンした伊賀もん町家西膳です。

 西膳は本町通りという、江戸時代から続く商店街の中にあって、大きな町家の中にレストラン、特産・名産品ショップ、伊賀焼のギャラリーなどが入っている複合商業施設です。
 しかし、施設といってもそんなに大層なものではなく、一軒の家の中にこじんまり同居しているので、ここを見て回ると、伊賀の料理も味わえ、地酒も呑め、伊賀忍者の携帯食だったという「堅焼(かたやき)」とか、特産品である味噌、醤油などの醸造品、お菓子類、伊賀忍者グッズなどが購入でき、ついでに店員さんと伊賀上野の話で盛り上がれるという趣向になっています。

 たまたま連休を利用してクルマで帰省する途中、お昼時に上野市街にさしかかったので、そう言えば開店したというニュースは聞いていたものの、実はまだ行っていなかった西膳で昼ごはんでも食べていこうということになりました。

 お昼のメニューは、肉系、魚系、その両方系の3つから選べるのですが、やはり伊賀といえば松阪牛より旨いという評判の「伊賀牛」が名物ですので、伊賀牛のプルコギ風がメイン料理の「山の膳」という肉系を頼んでみました。これで1500円です。

 レストランは落ち着いた雰囲気で、なまこ壁の庭園が見られます。使われている食器は、この地が日本を代表する焼き物(陶器)である「伊賀焼」の産地でもあるため、土の風合いが特徴的な伊賀焼の皿や茶碗が使われていました。
 肉や野菜などの材料も地のものを精選しており、味もなかなかのものだったと思います。

 西膳は伊賀鉄道(かつての近鉄伊賀線)の上野市駅から徒歩10分ぐらいのところにあります。
 上野城や伊賀忍者屋敷といった観光スポットからも徒歩圏内なので、観光がてら寄って行くにも良い所だと思います。

 はんわしにとっては、名阪国道上野東インターから、上野市駅や伊賀市役所、そして上野城を結ぶ「上野銀座通り商店街」も思い出深い地です。
 10年ほど前に商店街担当をしていたとき、上野銀座通りが道路拡幅されるのに伴って、商店街近代化事業により西側の店舗を一斉にセットバックし、店舗をすべて建て替えるという大事業があり、ほんの少しかかわらせていただいたことがあります。

 その時は百五銀行上野支店が和風建築の店舗を新築したばかりでしたが、それから南側の店舗は近代化計画を作っている最中で、商店街や上野市役所の方々とあれやこれや議論したことが思い起こされます。

 ほぼ同じ時期に、滋賀県彦根市の彦根城近くの商店街が、喩えて言うと伊勢神宮内宮のおかげ横丁のような、純和風建築がずらっと並んだ商店街近代化事業を行っていました。
 それに比べて上野銀座通りのほうは、店主さんたちの意向もあって必ずしも純和風な店舗だけでなく、さまざまなデザインの店ができたため、一部の市民からは「城下町らしくない」とか「かえって景観がごちゃごちゃした感じになった」などの意見もかなり出たようです。

 しかし、ひいき目かもしれませんが、今はそれなりに落ち着いてきて、上野の町の景観としてなじんできたような気がします。個人的には、いかにも作り物のテーマパークであるおかげ横丁よりも、和・洋の色々な店舗が建ち並び(洋風建築でも、和的な景観に配慮することになっています)、実際にそこで生活する人のにおいがする商店街のほうが、ずっといいと思うのですが。

 ■西膳ホームページ http://nishizen.com/

2010年9月18日土曜日

高校生にこそ起業支援を



 9月17日に厚生労働省が公表した「平成22年度高校・中学新卒者の求人・求職状況(平成22年7月末現在)について」によれば、高校新卒者に対する求人状況は
(1) 求人数は12万5千人で、前年同期に比べ7.6%減少。
(2) 求職者数は18万7千人で、前年同期に比べ2.3%減少。
(3) 求人倍率は0.67倍となり、前年同期を0.04ポイント下回る。
 とのことで、求人倍率については調査開始(昭和60年3月卒)以来6番目に低い水準となっています。

 都道府県別では、三重県は求人数が2,810人。これに対して求職者数は4,244人で、求人倍率は0.66倍となり、47都道府県のちょうど中間地点くらいに位置しています。
 詳しくは厚生労働省のホームページでご覧いただきたいのですが、東京都は2.23倍と突出して高く、次いで大阪府、愛知県、京都府、広島県が1倍を上回っています。しかし、北海道、東北、四国、九州・沖縄は低迷しており、高卒者の就職先がほとんどないという厳しい状況です。

 ごくおおざっぱに現状分析すると、デフレによる消費や設備投資の冷え込み(=物価はどんどん下がっていくのだから、モノを買うのは今よりも将来のほうが有利になるという心理)、国や地方自治体の財政赤字などによる将来への漠然とした不安、そして円高やグローバル競争の激化などで、今まで高卒者を積極的に雇用していた製造業、建設業、小売業などの企業が軒並み新規採用に慎重になっているということだと思います。

 製造業に関しては、発注元となる大企業が生産設備を海外に移転させる傾向が続いているので、ごく一部の、自社で研究開発機能を持っている企業のほかは、コストとか品質で差別化を図っていた大量生産型の工場(つまり、大多数の普通の製造業企業)が生き残るのは、客観的に見てたいへんに厳しい情勢になっています。
 一方、大幅な人手不足が続く介護・福祉産業の分野は重労働のわりに賃金が低く、この改善が必要ですが、介護保険など国の政策に依存しているため、すぐに状況が変わるとも考えられません。

 合理的に考えて、社会が成熟した日本において、今後は「人対機械(設備)」のような第2次産業でなく、「人対人」のきめ細かい産業である第3次産業以外に雇用吸収の可能性は少ないと思います。
 しかし、人対人の産業は、従事者にホスピタリティが求められます。マニュアルでなく臨機応変な対応も求められるので、必要となる能力も「全人格的な陶冶」に近いものになってくることでしょう。おそらく、高校のカリキュラム自体を大幅に変更し、マーケティングや心理学なども含めた教科に再編する必要も出てくることと思います。
 産業政策も、産業構造を付加価値の高いサービス業に変えていくことが急務になるでしょう。この転換は、グローバル競争下での国内間競争になるため、取り組みが早ければ早いほど有利ですし、サービス業への転換から取り残されれば地域からますます人口が流出していくだけです。

 ただ、これは長期的なスパンの話で、卒業を控えた高校生にとっては何の解決にもなりません。しかし、自分が雇われることを前提に、就職口を探すという発想でなく、働くところがないのなら自分で創業し、自らが経営者となる、という選択肢も考える必要はあると思います。

 現在、はんわしも色々な地域での創業塾や、コミュニティビジネスの創業支援などに関わっていますが、かつてのように成長志向のベンチャービジネスだけでなく、成長性は低いが地域に密着した事業の起業も重要性が再認識されているように感じます。
 起業や創業への支援施策も商工会議所や商工会による創業塾とか、日本政策金融公庫の融資制度のようにさまざまなものがすでにありますが、多くが想定しているのは一定の社会経験がある人が脱サラするとか、スピンオフするようなケースです。
 これを、18歳の若い人々が活用できるような支援システムに改善していくことは、行政や商工団体が、かなり真面目に考えなくてはいけないことだと思います。

2010年9月16日木曜日

北勢商工会広域連合「女性創業塾」は満席らしい



 三重県の北勢商工会広域連合と、松阪商工会広域連合が創業塾の募集を始めていました。

 特に、北勢商工会広域連合のほうは受講者を女性に限定した、その名も「女性創業塾」という名称で、平成20年度にも同様の講座を行ったところ大好評であり、今回がそれに続く第2弾とのこと。
 不景気が続く今、どれくらい受講者が集まっているのかと思って問い合わせてみたところ、何と40名定員のところに70名を超える応募があり、現在は受け付けを停止している状態とのことでした。
 「本当に申し訳ないのですが、あまりPRされてもお断りしないといけないので・・・」とは広域連合の担当者のお話でした。

 松阪商工会広域連合「ネットショップ起業塾」もEC(電子商取引)に特化した特色のある創業塾で、はんわしも昨年オブザーバー参加したので、その熱気は身をもって体験しています。
 SEO界のカリスマである静岡のアイ・リンク・コンサルタントの加藤忠宏先生をメイン講師にしたもので、その時も定員の3倍くらい申し込みがあってキャンセル待ちだったはずです。

 松阪商工会広域連合の担当者の話では、今年もすでに多くの申し込みがあり、もし参加するなら早めに申し込んでほしいとのことでした。(電話で所定の申込書を送ってもらう必要があります。)

 これらの盛況ぶりは、この2つの商工会だけの状況なのでしょうか?
 今日の日経新聞には、大学発のベンチャーは平成20年度は90社で、調査を始めて以来最低だったとの記事が載っていました。(9月16日付け
 確かに国によるベンチャー振興も、「ドリームゲート」などのプロジェクトが隆盛だった頃に比べて見る陰もありません。株式会社設立の最低資本金制度の撤廃など、起業しやすい環境は整ってきているので、あえて後ろ支えしなくても良い時代にはなったのかもしれませんが、IPO数の低調も報じられており、日本のベンチャー界の先行きは決して明るくない気がします。

 しかし、これは、いわゆるハイリスク・ハイリターン型の、典型的な「ベンチャー起業」についての話だけなのかもしれません。
 既存の業態、~例えば、小売業であったり飲食業であったり、美容・理容業であったり~のローリスク・ローリターン型の起業を支援する創業塾は、(今回の北勢、松阪に限らず)どこもそこそこ受講者が多いと聞いているからです。

 経済学者の池田信夫氏によると、日本に比べてベンチャーが盛んで、起業数も多く、ハイテク型・技術オリエンテッド型のビジネスが多いと思われがちなアメリカでも、実は大多数は既存のローテク・ビジネスの起業で、5年以内にその45%は淘汰されるそうです。ちなみに、OECD諸国の中で最も開業率が高いのはトルコ(30%)とのことです。(「イノベーションの経済学」

 これは大事なポイントで、現在の日本の経済低迷は現状を打破し、リスクを取る起業家が少ない(はっきり言えば「いない」)ことが原因です。日本人のものの考え方が大きな変革を望まない安定志向だということも要因でしょうが、社会が成熟したことで、進んでリスクをとることの価値・魅力が相対的に低下していることも大きな原因だと思います。
 その意味で、創業塾を経て起業する人々を、役人は「ローテク」だとか「労働集約型」産業の経営者だと思いがちですが、これはまことに愚かしい勘違いというべきでしょう。リスクをとる人を尊敬すべきです。

2010年9月15日水曜日

ベトナム商工会議所来日交流イベント



 ベトナム、ホーチミンでコンサルタントをしている猪谷太栄さんは、財団法人三重県産業支援センターが定期開催しているベンチャー総合相談の担当専門家でもあります。
 はんわしも数年前から仕事の関係で面識があったものの、ここ2~3年ほどは尾鷲に行っていた関係もあって交流がなくなっているような状態でした。

 それが、またまたメールをいただけるようになったのは、以前このブログでも紹介した、大学生・高専生を対象にしたものづくり中小企業を訪問するバスツアー事業の参加者に、ベトナムからの留学生が参加しており、話を聞いてみたら彼女の志望が、帰国後に母国でビジネスを起業したい、ということだったので、たまたま三重県産業支援センターに来ていた猪谷さんに紹介したことがきっかけでした。
 世の中、どこでどう人とつながるか、本当にわからないものです。

 で、その猪谷さんから、このたびベトナムの経営者40人ほどを日本に招いて交流会を行う、という告知をいただきました。

 9月21日(火)東京商工会議所
 9月24日(金)堺商工会議所

 での開催です。いずれも有料。事前申し込み制ですが、これほど大人数の、しかも業種的にも多様なベトナムの経営者と交流できる機会は日本ではほとんどないとのことです。
 ご関心がある方は、猪谷さんのブログをご覧ください。

 ■ベトナムでビジネスを http://vitjp.vietnhat.tv/e3725.html

 東京と堺のほかに、横浜でも開催予定があるようです。
 はんわしはベトナムに行ったこともないし、あまり知識もないのですが、これから経済成長が期待できる若々しい国であるとの印象があります。ちょっと気にかけていたいと思います。

2010年9月14日火曜日

話題作「悪人」はなかなか良かった



 李相日(リ・ソンイル)監督は、名作「フラガール」で一躍名を馳せました。それから実に4年ぶりとなる長編映画が、妻夫木聡と深津絵里が主演する「悪人」です。
 土曜日から公開が始まったので早速見に行ってきました。

 結論から言うと、大傑作というほどではないと思いましたが、たいへん良質な作品(ただしPG12指定なので、子どもは親の同伴が必要です。)だったと思います。
 もし時間に余裕があって、感動的な体験を望まれる方は、ぜひご覧になってはいかがかと思います。

 大まかなストーリーは映画の公式サイトを見ていただくとして、ごくごく簡単に説明すると、
 主人公(妻夫木)は事情があって祖父母と同居する青年。ひょんなことからOLの殺人事件に巻き込まれます。被害者のOLは、上昇志向が強くてちょっとクセのある女性。妻夫木とこのOLは出会い系サイトで関係を結んだことがあり、ある男性を巡って三角関係のようになった果ての事件でした。
 一方、もう一人の主人公(あえてそう書きます)の深津は量販店に勤めているしがない店員。家と職場を往復するだけの毎日で、今までの人生の中で、浮ついた話などひとつもなかったであろう地味な女性です。彼女も寂しさのあまり携帯で出会いを求めており、まだ事件が発覚する前の妻夫木と出会い、結ばれます。
 警察に追われていることに気づいた妻夫木は自首しようと悩みますが、それを遮ったのは深津でした。妻夫木という愛する相手がいることで、今の自分は一番輝いていると実感していたからです。そして共に果てしない逃避行を重ねていくことになります。

 サイドストーリーも複雑で、OLの両親~田舎で床屋を営む善良な夫婦~は被害者であるはずなのに、娘が「出会い系」にかかわっていたことでマスコミに中傷される不条理にさらされます。
 また、妻夫木の親代わりの祖母も、ワイドショーの取材攻勢にさらされる日々。さらに、老人をだますインチキ健康商法にひっかかったりという話も出て来て、ストーリーに幅と深みがあって非常に丁寧に作りこまれている気がしました。

 しかし、はんわしが最も注目したいのは、映画の舞台になった長崎県と佐賀県という場所についてです。
 妻夫木が祖父母と住むのは海に面した漁村。狭い谷あいに人家がひしめき合い、住んでいるのは高齢者ばかり。彼の仕事は建設業(解体業)の作業員です。
 深津が暮らすのは、佐賀の国道のロードサイド。ファミレスや量販店やガソリンスタンドなどが建ち並ぶ、まさにファスト風土化した荒涼たる光景です。田んぼの中を(クルマでなく)自転車で通勤する彼女の姿は、彼女が決して裕福ではないことを連想させます。

 深読みしすぎかもしれませんが、長崎の漁村、そして九州の中でも顔がなく、ノッペラボーのような印象しかない佐賀という地(三重県も同じようなものですが・・・)は、今の日本の平均的な姿として物語の背景に選ばれたのではないかという気がしてなりません

 家族関係から切断され、やりがいのある労働からも阻害され、生まれた土地でずっと育ち、都会に出たことがなく、出る意欲もなく、鬱々と満たされずにやり場のない感情を抱え込んでいる若者の姿。しかし、何とか這い出せないかと夢見ている姿。
 「悪人」の根底は、疲れきった日本の「地方」の今の姿と重なります。
 このような視点で見ると、実に興味深く、そしてやりきれない物語です。

(ちなみに、この映画に出てくる一番の悪人が、九州では勝ち組として有名な温泉地の御曹司であるというのも、はんわしのこの推理を確信付けるサイドストーリーになっています。柄本明がこの時に吐くセリフも胸を打ちます。)

 

2010年9月13日月曜日

ベストチャレンジコミュニティ賞が決定!



 昨日、東京の丸ビルでチャレンジ・コミュニティ2010~地域若者チャレンジ大賞~が開催されていました。はんわしは法事で行けなかったのですが。

 このイベントは、全国で長期インターンシップに取り組んだ若者が、自分のインターン経験を聴衆の前でプレゼンテーションし、地域活性化やチャレンジについての情報発信をするもので、今回(2010年)が三回目になるそうです。

 ここには全国8ブロックでの予選を勝ち抜いた発表者が登場するのですが、東海地区(ブロック)の代表が、三重県は東紀州 紀北町の民宿 四季活魚の宿 紀伊の松島で約半年間住み込みのインターンをしていた立花圭くんでした。

 立花君はインターン終了後も東紀州にかかわり続けており、現在は紀北町観光協会のインストラクターとして紀北町にIターン就職しているほどです。
 これは、もちろん本人の意欲や適性、それに周りの環境条件のすべてがいい方向に整った結果だとは思いますが、なかなか誰もができることではありません。

 その立花君が何と最高の賞である「ベストチャレンジコミュニティ賞」に輝いた!とのことです。
 残念ながらこのニュースをマスコミも報道しておらず、ネットの情報もまだ少ないようですが、おいおい広まっていくと思います。東紀州のホープ、いや、東海地方のホープです。

 紀伊半島南部にあり、過疎化と少子高齢化が進む典型的な日本の田舎である三重県東紀州地域は、これ以上の人口減と地域活力低下を食い止めるためにも産業の活性化が急務となっています。
 今までにも三重県をはじめ多くの行政機関により地域振興策が実施されてきましたが、衰退傾向を食い止めることはできませんでした。
 現在は高速道路(紀勢自動車道)の建設が急ピッチで進みますが、全国の高速道路整備地域がそうであったように、夢の高速道路は都会へのストロー効果と、目的地へ向かう通過点化を促進するだけで、かえって地域の疲弊を招く危険性もはらんでいます。

 高速道路建設という千載一遇のチャンスを生かすには、今までの地域振興策の盲点であった人材の自前主義を排し、優秀で意欲のある若い人材を他の地域から呼び込み、最も望ましくは若者の定住と就業の実現を、少なくともその若者に地域のファンになって帰ってもらうような交流型・滞在型の人材づくりを進める必要があります。

 東紀州では、東紀州観光まちづくり公社が、若者と地域をつなぐプロデューサー役にNPO法人G-netを迎え、3年前から長期実践型インターンシップに取り組んでいます。
 今回の立花君の受賞は、関係者はもちろん、東紀州地域にとっても明るいニュースだと思います。
 今後の問題は、これをきっかけに、さらに多くの若者を東紀州に呼び込み、さまざまなチャレンジの場を提供することと、より具体的に、定住、就業、あるいは起業に結び付けていくことです。これは非常に大きな課題であって、関係者によるいっそうの知恵と努力の結集が求められます。

 しかし、ひとまず、おめでとう、立花君!

●関連リンク
  東紀州インターンシップ同窓会(2010年8月13日)

  東紀州をチャレンジの聖地に(2009年8月4日)

2010年9月12日日曜日

法事で親戚集合。そしてよもやまばなしが・・・



 まだ残暑が非常に(異常に?)厳しい日々が続いています。
 今日は、6月に亡くなった叔母の百ケ日法要がありました。
 親戚も高齢化し、なかなか一同に集まる機会もないので、祖母の17回忌法要も合わせて一度に執り行うこととなり、お寺に行ってきました。
















 法要の後は家での会食となりました。故人にあやかった昔話に花が咲いていました。

 親の兄弟たちは、みな年をとっているので、やはり健康や病気の話題、医者の評判、老人福祉の介護保険サービスのヘルパーさんなど従事者がいかに献身的に努力しているか、などの話題に移っていきます。

 マクロ経済的に考えると、民主党政権が言うような「強い社会保障」では、つまり、医療・福祉・介護産業の拡大では、なかなかGDPを押し上げることはできないことが指摘されています。
 製造業や建設業のように製品や建築物が、さらに新たな価値を作る生産活動につながるという循環が、福祉や介護では生まれにくいためですが、それにしても、高齢者と話をしていると、その議論が彼らの生活感覚といかにかけ離れているかが実感できます。

 地方都市や中山間地域においては、基幹産業は一昔前まで建設業でした。建設業者は数も多く、地域の貴重な就労先として優秀な人材が集まっていました。しかし、公共工事は激減し、今や地域の基幹産業は「介護福祉」産業に主役が移っています
 建設業と違って女性が多く従事しており、地域づくり活動や地域おこし活動とも密接に関連しているため、地域産業において大きなプレゼンスを発揮しています。

 県庁など、現場から遠い場所にいると、つい業界の声が大きい輸出型製造業こそが重要な産業であって、これらの企業を誘致して工場を建てさせたり、技術開発支援などを行うことが産業政策の王道だと思いがちです。
 しかし、多くの地域では、その認識は一般住民の生活感覚と異なっています。国の福祉政策(介護保険制度も含め)に従属している産業であるとはいえ、住民に密着し、家庭生活を支えている、これらの産業の活性化や生産性の向上を考えることは、地域政策にとっての大きな課題だと再認識しました。

 ところで、今日は、東京でチャレンジ・コミュニティ大賞のプレゼン大会が開催されています。東海北陸地域の代表として、三重県東紀州でインターンしていた立花さんが発表しますので、それに参加できなかったことは残念でした。


 

2010年9月11日土曜日

ソーシャルビジネスプランコンペに行ってみた



 9月7日のブログにも書いた、ソーシャルビジネストライアル(東海・北陸リーグ)のビジネスプランコンペに行ってきました。

 仕組みがやや複雑なので、以下に整理してみます。

・ソーシャルビジネストライアル(東海・北陸リーグ)とは、内閣府の交付金を受けて、社会的企業家の育成支援を行っている「ソーシャルビジネスネットワーク大学推進コンソーシアム」の主催により、東海北陸地区で行われる「企業支援プログラム」のこと。
 全国には東海北陸を含め、北海道から沖縄までの9地区に支部がある。

・ソーシャルビジネスネットワーク大学とは、社会的企業家を目指す人や、社会的企業を支えたいと願う人材が学び、つながり、実践していくための場として設立された組織のこと。(大学という名称だけであって、実際の学校教育法に基づく大学ではない。)

・今日のビジネスプランコンペは、全国で同時期に開催されており、このコンペを選考通過した提案者には、起業に至るまでのスタートアッププログラムが提供される。

 はんわしが思うに、ソーシャルビジネスとかコミュニティビジネスというだけでもネームバリューが低いのに、ソーシャルビジネストライアルだのネットワーク大学だの、横文字が多く(しかも長い)、仕組みも重層的で複雑なのは、一般市民にとって非常にわかりにくく、あまり良いネーミングではなかったと思います。

 ■ソーシャルビジネストライアル(東海・北陸リーグ) http://www.npo-kigyo.net/sb-league/index.html

 それはともかく。

 今日は2部構成でした。

 第1部は「三重の百人対談 宮原良雄さん×西井勢津子さん」

 中部地域でソーシャルビジネスの支援活動を行っている西井さんと、紀北町在住の建築家で、まちおこし活動に従事している宮原さんの、親子ほど?の年の差がある二人による、それぞれの活動に基づいた意見交換でした。
 宮原さんの、「まちづくり活動を成功させようと思ったら、身も心も地域に飛び込むこと。地域住民の信頼はその姿勢によって生まれてくる。」という主旨のお話が印象的でした。


 第2部がプランコンペです。

 ・高齢者など「移動制約者」の足になる、福祉タクシーサービスの創業プラン
 ・三重県産間伐材を使ったベンチによる街、森、人が元気になるプラン
 ・学生によるネットを活用した農業支援プラン
 ・製材所を核にした「木と人が出会う場」づくりプロジェクト

 の4テーマであり、それぞれ創業希望者(中には実際に事業を始めたばかりの人もいました)がプレゼンテーションを行い、審査員との質疑応答を行いました。

 正直言って、市場性、ビジネスモデルの優位性、採算性のすべてが完璧なプランはなかったように思いましたが、各人とも熱意があり、熟度の高い計画については今後のブラッシュアップによって事業化は進んでいくものと思います。

 実ははんわし、所要でコンペの審査結果が出る前に退席したので残念でしたが、こらぼ屋の海山さん、NPO法人起業支援ネットの久野さんと関戸さん、NPO法人愛伝舎の坂本さん、武田経営研究所の武田さんなどなど、以前お世話になっていながら最近はご無沙汰していた皆さんにお目にかかることができ、いろいろな刺激をいただけたことはラッキーでした。

 知らず知らずのうちに自分の周りに垣根を作ってしまっていた、それをブチ壊す意味でも、いろいろな現場で実践している人に会い、視点を重ねてみることはとても重要なことだと再認識できました。

★ソーシャルビジネスとコミュニティビジネスの定義については、こちらを参照してください。


2010年9月10日金曜日

日本振興銀行の破綻



 監督官庁による検査への妨害を指示していたとして幹部が逮捕され、経営不振が表面化していた日本振興銀行が破綻しました。
 銀行で初の民事再生申請、そしてこれまた初のペイオフ適用となります。
 マスコミは預金保護限度額以上の1千万円以上の残高があった預金者などを取り上げて、「銀行を信用していたのに裏切られた」だの、うらみつらみを報道していますが、銀行選びは自己責任なので、そんな人はほおっておけばよろしい。

 問題なのは、新銀行東京にしろ日本振興銀行にしろ、中小企業への融資を旗印に掲げ、無担保・高金利というビジネスモデルを展開していた金融機関が次々窮地に陥っていることです。

 銀行を始め、日本の多くの金融機関は自分で企業の潜在成長性や可能性を見極めるという審査能力や、リスクテイクの考え方が欠如しているとよく言われます。
長年、超低金利が続いているのになかなか中小企業への貸し出しが伸びない理由の一つが、担保(それも不動産担保)優先主義の銀行の姿勢です。

 いったい、どうすれば中小企業への「健全な」金融制度が確立するのでしょうか。
 ちょっとむずかしいけど、isologueでも読んで勉強しましょう。

2010年9月9日木曜日

珍しく、朝日新聞の社説は正論



 日頃は「上から目線」や権威主義、左翼チックな論調で良識ある読者をしばしば唖然とさせる朝日新聞ですが、今日(9月9日付け)の 円高ドル安―もう「恐怖症」を超えよう という社説は珍しく?はんわしも共感できるものでした。
 まずはこちらをご一読ください。(Asahiコムへ)

 確かに急激な円高は輸出産業に大きな打撃を与えます。輸出にかかわる中小企業経営者のご苦労、ご心労は大変なものがあるとお察しします。
 しかしながら、経済グローバル化の進展や、少子・高齢化による国内市場の縮小(成熟というべきでしょうが)によって、いやおうなく日本の製造業は選別が迫られています。

 先端技術を使うハイテク型の製造業は今後も存続することでしょう。日本の技術は優秀だし研究開発能力も世界的に優れているのは事実です。
 しかし、大多数を占める大量生産型の製造業は、人件費や生産コストの高騰によって国際的な競争力を維持することは困難になると考えざるを得ません。
 デフレや円高傾向を所与の前提として、その中で生き残れる産業構造に変化する以外、地域が経済的に生き残ることはできません。もっと言えば国全体も生き残ることはできません。「強いものが生き残るのでなく、環境に適応して変化したものが生き残る」という言葉を今こそ思い出し、実践すべきです。

 ついでに言えば、まさに国難とも言える製造業の危機的状況には、国ぐるみで対策を取らなくてはいけません。現在のわが国では、道府県や市町村の産業政策のメインストリームは「企業誘致」です。
 わが町に製造業企業を誘致し、山や農地をつぶして工場を建てれば、固定資産税や住民税が増え、地域雇用も確保される。
 そんな良き時代がありましたし、それを支える税制や雇用制度でもありました。

 ところが企業誘致は、外国から企業を誘致してくるケース以外は、A県に新しく工場ができるということは、その工場に逃げられたB県の損失になるという、国内でのゼロサムゲームに過ぎず、GDPの増加にはまったく寄与しません。地方自治体がこのような誘致合戦に血道をあげているのは、愚かしい経済的損失でしかないのです。

 現在、民主党の代表選挙で一括交付金が話題になっていますが、仮にこれから地方への交付金が一括方式になるなら、それと同時に、道府県や市町村による、このような国内での無駄な過当競争は禁止し、製造業を守るために真にオールジャパンとして公平に競争できる仕組みや基盤整備を行う必要があるのではないでしょうか。

2010年9月8日水曜日

ちょっと気の毒な「さくらんぼ小学校」



 GIGAZINEによると、さくらんぼの生産量日本一を誇る山形県東根市が、来年4月に新設する予定の小学校を「さくらんぼ小学校」と命名したところ、すでに同名のアダルトサイトが存在することが判明したという記事が読売新聞で報じられたそうです。(GIGAZINEのリンクはこちら

 なんだかとってもお気の毒な感じです。
 保護者からは校名再考などを求める声が寄せられているそうで、東根市は10月分の市報で選考経緯を改めて説明する方針ですが、土田正剛市長は「校名を変えれば、かえってアダルトの世界を正当化することになる」などとして、校名変更の考えはないとしているそうです。
 これはもちろん正論だとは思います。しかし、もし反省する点があったとすれば、やはり事前に十分にリサーチしておく必要があったのではないかということです。

 以前もこのブログに書きましたが、今から20年ほど前、竹下内閣の頃の「ふるさと創生1億円事業」で全国3300の地方自治体に1億円ずつがばらまかれた時、多くの市町村が温泉施設を建設しました。
 そのネーミングに「湯ーとぴあ」のような名称を用いるところも多かったのですが、実はこの名称はすでに商標が登録されており、事前調査をせずに施設を建設し、命名してしまった市町村に対して、その権利者から多数の警告書が送付された、ということを聞いたことがあります。

 噂の真偽は定かではありませんが、ありそうなことではあります。
 その意味で、新商品や新サービスの命名には十分注意し、少なくとも電子特許図書館の簡易検索ぐらいはやっておいたほうが安心です。これは、民間企業でなく、知的財産に鈍感な行政機関はいっそうの注意が必要です。

 問題なのは、アダルトサイトのように商標登録もされておらず、一般的な(小学校とか、さくらんぼとか)名称を使ったエロサイトが存在しており、検索エンジンでは上位に来てしまっているという事実です。
 ホームページを作っている方は、自ページで紹介している他のサイトへのリンクが切れていたりすると検索エンジンの順位が下がることはご存知でしょう。しかし、気をつけなくてはいけないのは、リンクは切れていなくても、リンク先のドメインが勝手に別の事業者に渡ってしまい、アドレスは同じなのに、中身がアダルトサイトやギャンブルサイトなどに変わってしまっている場合です。
 このようなサイトにリンクを張っていると、ますます検索エンジンはリンク元のホームページを不適格として順位を下げていくので、SEOの盲点になっている事例が散見されます。

 さくらんぼ小学校も似たような話かと思います。先に商標登録してしまえば、さしあたり名称が独占的に使えるようにはなるはずですが・・・


<追記>
 本日(9月9日)、東根市は「さくらんぼ小学校」という校名を白紙に戻すと発表しました。
 なんだか解せない気がしますが、市が総合的に判断した結果なので仕方がないのでしょう。

2010年9月7日火曜日

ソーシャルビジネス・トライアル「ビジネスプランコンペ」



 ソーシャルビジネストライアル東海・北陸リーグ(事務局:NPO法人 起業支援ネット)が、9月11日(土)、三重県でソーシャルビジネスを起業しようとする人々のビジネスプランコンペを開催します。

 ソーシャルビジネストライアルは、2010年から2年間をかけ、これから新たに社会的企業(ソーシャルビジネス)を立ち上げたいと考える東海・北陸地域の起業家に対し、個別支援や資金面でのサポートを行いながら、持続可能な未来をつくりビジネスの立ち上げを応援していくものです。

 はんわしも大学生などと接していて、若い人々の間で、地域課題解決や社会貢献に関する関心が非常に高いこと ~少なくともはんわしが学生だった頃に比べ、知識も意欲も数段高いレベルであること~ を実感します。

 価値観が多様化して、経済的な成功のみが豊かな生活ではないことが常識となっていたり、バブル崩壊の時期以降に出生し、いわゆる「景気が良い」時を知らずに育ち実感もないという世代にとっては、仕事の生き甲斐ややり甲斐が、職業を選ぶ選択肢の中で大きなウエイトを占めているのだと思います。

 円高基調が進み、市場の縮小やデフレの定着などによって、日本の産業構造はいやおうなく内需型=サービス産業中心に転換していかざるを得ません。それは、人と人との触れ合いがベースであるビジネス、そしてハード的な「技術」以外に、産業に従事する人が全人格的な知識、知恵、見た目などを総動員しなくては成り立たないビジネスです。全く新しい産業構造が生まれることでしょう。

 その中で、消費者(顧客)のニーズに応え、ひいてはそれが地域の課題解決や、社会問題の解決につながる産業は、一つのジャンルとして十分に成り立つと考えられます。

 一昔前なら、このような課題解決型ビジネス、いわゆるコミュニティビジネスやソーシャルビジネスと呼ばれるものに対しては無理解が付きまとっていました。
 ・慈善事業は産業にならない。
 ・コミュニティビジネスはNPOビジネスであって、コミュニティビジネスの支援など行政の産業部局がする仕事ではない。
 ・コミュニティビジネスなどワーキングプアを増やすだけだ。
 はんわしもさんざん、そのような無知と誤解の言葉を浴びせられました。

 しかし、世の中は変わって来ています。トレンドが大きく変わり、ビジネスや地域を支える人々も若返って意識が大きく変わってきました。コミュニティビジネス、ソーシャルビジネスを三重県でも本格的に根付かせることはすべての県民にとって有用ですし、行政にとっても急務です。

 21世紀にふさわしい、社会貢献を基調とした新しい産業社会の創造に関心がある方は、ぜひビジネスプランコンペにご参加いただいてはどうでしょうか。

 ■ビジネスプランコンペの詳細はこちら
  http://www.npo-kigyo.net/sb-league/businessplan_comp.html

2010年9月6日月曜日

テレビ東京「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」にくぎづけ!



 土曜日の深夜からはんわしの評論家気取りのアクセス数が急増しました。

 なぜだろう、と思っていたら、テレビ東京系で土曜スペシャル「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」が放映され、それを見た方が検索エンジンで調べているうちに立ち寄ってくれたようです。

 テレビ愛知でも土曜夜7時から9時まで放送しており、はんわしも観ていたのでした。

 今回は田川陽介さん、蛭子能収さんのレギュラーコンビに加え、女性ゲストは中山エミリさんで、この三人が青森駅を出発し、路線バスだけを乗り継いで(ただし、高速バスは乗ることができないルール)で3泊4日、目的地の新潟を目指すものでした。


 はんわしはこの番組の大ファンで、以前このブログでも昨年の10月に放映された日光~松島の放送を取り上げたことがあります。

 weblio辞書を参考にして、今までの放送リストを作ってみると以下の通りです。

第1回 2007年10月20日 横浜駅西口~富山湾
 http://www.tv-tokyo.co.jp/sat/backnumber/071020.html

第2回 2008年3月22日 東京日本橋~京都三条大橋
 http://www.tv-tokyo.co.jp/sat/backnumber/080322.html

第3回 2008年10月4日 函館~宗谷岬
 http://www.tv-tokyo.co.jp/sat/backnumber/081004.html

第4回 2009年3月28日 京都三条大橋~宮島
 http://www.tv-tokyo.co.jp/sat/backnumber/090328.html

第5回 2009年9月5日 日光~松島
 http://www.tv-tokyo.co.jp/sat/backnumber/090905.html

第6回 2010年2月27日 松島~竜飛岬
 http://www.tv-tokyo.co.jp/sat/backnumber/100227.html

 足かけ4年目、もう7回も回を重ねているのは驚きですが、関東地区ではコンスタントに10%の視聴率を獲得している人気番組のようなので、あとしばらくは取り上げられそうな路線バスを探しつつ、シリーズは続いていくのかもしれません。
 第5回目に出演された藤田朋子さんのブログによると、オンエアされていた内容は百分の一くらいで、実際はもっともっと大変なこと、可笑しかったこと、一般のお客さんとのふれあいがたくさんあったみたいです。

 つくづく思いますが、新幹線や飛行機を使って行く旅は、お金もかかりますが快適過ぎて、時間もあっという間で、何と言うのか「旅情」みたいなものがありません。
 路線バスは極端だと思いますが、各駅停車のローカル列車でのんびりと急がず行く旅が、実は本当に贅沢な旅行のような気がします。

2010年9月5日日曜日

地方公務員の仕事は国から補助金を取ってくることか?



 今日は野暮用で多気町・松阪市飯高町方面に行きました。高速道路ができてからはもっぱらそちらを使うことが多いため、多気町方面の国道42号線は最近めったに通る機会が減ってしまいました。昼ごはんに立ち寄った柑里も、伊勢芋専門レストランとしてリニューアルオープンしており、隣にあったオレンジフレーバーは建物ごとなくなっていました。本当に何年か立ち寄らなかった間にすっかり変わってしまっていたのでした。

 伊勢芋をふんだんに使った柑里定食(1200円)を食べました。伊勢芋は山芋の一種なのでしょうが、地元多気町役場のホームページによると
 外見はごついが味は最高。コクがあり、粘りも強い。中でも伊勢芋は最も山芋に近く、栄養価の高いことで珍重していただいております。
 とのことで、戦前には皇室に献上したこともあったという名産品です。


 とろろも美味しかったのですが、写真の真ん中やや左にある「伊勢芋豆腐」という、お豆腐に1割ほど伊勢芋を混ぜ込んだというメニューが最高に旨かったです。皆さまもぜひお試しを。
 ■柑里ホームページ  http://www.0598-39-8778.com/

 さて、朝、出がけにテレビを見ていたら、北陸地方のある市が、高齢化・過疎化が進んでいる限界集落に農産物の直売所を建設したり、空き家活用によるUターン居住者のあっせんなどに取り組んでおり、大きな成果をあげている、という内容の番組をやっていました。
 主人公は市役所の職員で、先例主義や事なかれ主義に陥りがちな市役所内部や市議会を説得し、国の各省庁の使える補助金を片っ端から取りまくって、次々と地域おこし、地域産業活性化を実現していく姿にスポットライトが当たっていました。

 これ自体は素晴らしい話ですし、誰でも真似できることではありません。なので、決して批判しているわけではないのですが、正直、このテレビ局の取り上げ方にはいささか疑問を感じました。

 役所が閉鎖的だというのはその通りで、何か新しいことをやろうとするとかならず足を引っ張る人が出てくるし、「我々には説明責任がある」とか言って重箱の隅をつつくような議論を延々と仕掛けてくるような後ろ向きな人がたくさんいます。この人たちを論破して納得させるのが一仕事だというのはよくわかります。
 しかし問題なのは、この番組が、「現場(市役所)が出したアイデアに国も補助金を出してバックアップした」みたいな、国からカネをとってくる市は優れている、頑張っている、みたいな基調に貫かれていたことです。

 これは、10年くらい前までは地方自治体(県、市町村)の常識でした。霞ヶ関官僚はアタマも良いし財源も握っている。しかし、地方の実情は知らない。なので、地方公務員は中央省庁に足しげく通って官僚と仲良くなり、地方の実情を情報提供して、向こう受けする施策を何かつくらなくてはならない、とあせっている官僚に、施策のヒントを与える。
 あわよくば、そのアイデアが事業化され、予算が付くと、そのお返しに、補助金や交付金を情報やアイデアをくれた地方自治体に付ける(交付する)、というものです。

 このこと自体は悪いことではありませんが、度を越すと官官接待のような腐敗につながります。なので、10年ほど前、全国に地方分権を唱える改革派の知事や市町村長が輩出した時代に、いったんこのような馴れ合いは克服されたかに見えました。

 しかし、その後も地方分権は進まず、国は財源を握ったままです。相変わらず地方自治体にはカネがなく、何か新しいことをやろうとすると国の補助金や交付金を申請して、バカほど分厚い申請書と資料を作り、東京へ日参し、官僚に交付を「お願い」してくる必要があります。
 そのお願いには「うまい・へた」があって、官僚との関係作りが上手な人はカネが付きやすく、下手な人(正論を通そうとする人、駆け引きが下手な人など)はカネをもらうことができません。

 このような実情を軽視して(あるいは取材すらせず、実態を知らないまま)、国から補助金をもらう市は良くて、もらえない市はあまり仕事をしていないような誤解を与えるのは国民をミスリードするものです。視聴者はこの点に十分注意する必要があります。

2010年9月4日土曜日

Do the HUSTLE! の記憶



 あ、これ知ってる。コスマッチョの歌だ。と子供が得意そうに教えてくれます。

 ラジオから流れてきていたのはヴァン・マッコイの「ハッスル」という曲でした。
 1975年。当時、日本はアメリカから伝播してきたディスコブームの真っ只中で、ヒットチャートにも洋楽のディスコサウンドが多数チャートインしていました。

 はんわし世代には子供のころ聞いた懐かしい曲ですが、そんな昔のことを知らない若い世代は、半裸の男性たちが奇妙なダンスを踊りまくる「ヘンな化粧品CMのBGM」として記憶されていくのかもしれません。

 そうやってあらためて眺めると、最近のテレビCMは、過去のヒット曲のリバイバルのオンパレードです。ハッスルと同じく70年代に流行ったビリー・ジョエルの「素顔のままで」であったり、カーペンターズの「シング」(のカバー)であったり、これは比較的最近の曲ですが、マイ・リトル・ラバーの「ハロー、アゲイン」(の、これもカバー)であったり。

 CMとタイアップして曲をヒットさせる手法は80年代のバブル期にテレビ業界で一般的になったものですが、最近では若者のテレビ離れが進んで視聴者が高齢化していることや、広告業界のコスト削減、そして、そもそも歌謡界(J-POPなどと呼ばれる大衆流行歌のクリエイターたち)の創造力や影響力が低下している現状があって、CMソングもお手軽なリバイバルヒットを使う傾向になるのでしょう。

 さて、最近渋谷のHMVが閉店したニュースが報じられていました。音楽を聴くのに若者の間ではインターネットや携帯電話からのダウンロードを使うのが一般的で、CDの購入客が減少し回復の兆しがなく、それと同時に、ヒット曲もクリエイター側のマーケティングによって細かくセグメントされ、広い多くのファン層に支持されるようなヒットが生まれなくなってきていることに原因がある、と報じられました。

 このことは、(繰り返しになりますが)クリエイター側の創造力、影響力が低下してきていることと密接に関連があると思います。しかし、より重要なのは、再販価格維持制度によって「保護」されているCD業界のビジネスモデルが通用しなくなり、アーティストとファンが中抜きで直結されるモデルが広まってきたせいもあるでしょう。
 新聞やテレビなどのマスコミが伝える報道に、そのような分析があまり見られなかったように思うのは、CD業界と同じく新聞は再販制度によって、テレビは県別免許制度によって、それぞれ国家権力の庇護におかれ、競争を排除している馴れ合い業界であるという共通点があるためでしょう。

2010年9月3日金曜日

南伊勢町の漁火食品が自己破産申請



 中日新聞によると、帝国データバンク津支店の情報として、三重県南伊勢町にある水産加工食品の販売業 漁火食品 が9月1日付けで事業を停止し、自己破産申請の準備に入ったとのことです。

 負債総額は親会社と合わせて約6億7600万円。平成15年には約8億円あった売り上げが、不況などにより6億8千万円にまで落ちん込んだ影響によるとのこと。

 漁火食品の干物や海産珍味は、伊勢志摩の主要駅や土産物店、ドライブインなどで広く販売されていただけに、この報道には驚きました。

 三重県は、自動車や電機関係の製造業が集積する北勢部は比較的経済活動が好調なのに対し、南伊勢町を含む伊勢志摩地域は、観光業、建設業、農業や漁業などが主力産業であり、経済活動も低迷にあえいでいます。俗に言う三重県の南北問題です。

 このため、県では、県南部の産業振興のテーマとして、地域で採れる農林水産物や観光資源などの、いわゆる「地域資源」を活用した商品開発などを進め、産業化を目指しています。

 このような地域資源活用は、数年前に国が地域資源活用促進法を制定し、バックアップを始めた頃から全国に普及するようになりました。三重県も積極的に中小企業向けの支援を行っており、いくつかの成功例も生まれています。

 しかし、現実には地域資源を活用した商品は、誰でも思いつくような、果実を使ったジャムやジュースなどの加工食品、伝統的な工法を使った日用品や雑貨品など、表現は悪いのですが、全国どこでも似たり寄ったりのものが多く、よほど突出した特徴がないと、なかなか販路が拡大せず、産業化につながらない例がほとんどです。

 これは、マーケティングの不足が原因です。
 地域資源資源活用促進法は、あくまで地域資源を活用した商品化という「供給者の論理」に立った法律です。地域で隠れた資源や無名の資源を発掘し、有効活用しようということに眼目があります。それゆえ、開発する側は消費者のニーズを軽視した、独りよがりの商品開発・サービス開発に陥りがちです。

 準大手ともいえる漁火食品の行き詰まりは、万人受けするスタンダードな地域資源活用商品のメーカーでさえ経営が難しいことの証左でもあります。
 このことは、産業振興の関係者すべてが、もう一度、深く心すべきことではないでしょうか。

2010年9月2日木曜日

万引きには皆、悩んでいる



 警察庁が、万引き犯罪について、被害者が届出するに当たっての負担を軽減するため、万引き被害届の様式を「穴埋め式」などに簡素化するそうです。
 
 防犯泥棒大百科も言うように、万引きは刑法上の窃盗罪に当たり、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられる立派な犯罪です。

 警察は犯罪件数などの統計を発表していますが、これはあくまで警察が認知した(つまり通報があった)件数であって氷山の一角です。見つからないままの事件を含めたら膨大な数の万引きが日々発生しているはずです。

 小売業・サービス業などの経営者や店長さんに聞くと、万引きによる(と思われる)被害は決して少なくなく、仮に現場を押さえたとしても警察に届けるのは後々のことも考えると躊躇してしまったり、犯人に逆ギレされたりして、被害者であるはずの店側の方がストレスがたまることが多いそうです。

 もちろん、青少年の健全育成面や治安維持の面からも問題ですが、最近は高齢者の万引きも激増しているそうです。平成21年は約15万件の万引きが認知され、10万5千人が摘発されましたが、年齢別では14~19歳までの若年者と、65歳以上の高齢者で半数を占めているという、一種「異常な」事態になっています。

 個人的に不思議なのは、はんわしも産業支援の端くれの仕事をしていますが、県にしても外郭団体の産業支援センターのようなところでも、商店主向けの「防犯講座」などをやれば、ニーズは少なくないと思うのですが、こういう企画は決して実施しないのです。

 売り方のスキルを磨いたり、魅力的な商品開発をするという、いわばパイを大きくすることが産業支援の王道なのはその通りですが、これだけ犯罪が多くなってくると、これ以上被害に遭わないとか、万一被害にあったときはどう対処するか、などのような支援策も必要だと思うのですが。

 余談ですが、警察庁と警視庁の違いを知っていますか? 
 警察庁は、財務省とか、総務省とかと同じ霞ヶ関の中央官庁です。警察行政の企画立案や、法律を作ったり、予算を獲得したりする仕事をしている、いわば全国の都道府県警察の元締め的な役所です。
 警視庁は、三重県なら三重県警察本部、大阪府なら大阪府警察本部、などと呼ばれるのですが、東京都については東京都警察本部ではなく、明治時代以来の「警視庁」という名称が使われます。つまり、「東京都警」です。なので、警察庁と警視庁は密接な関連があるとはいえ、全然別の組織です。


2010年9月1日水曜日

トホホな「経済対策の基本方針について」



 円高は冷静に考えるとメリットも大きいはずなのに、やれ自動車だ家電だ、輸出型の産業が今にも壊滅しそうにマスコミが宣伝するのはなぜなのでしょうか?

 一つには、生産活動によって生み出される新たな価値(GDPですね)を作り出している、そのかなりの部分が、このような輸出型の産業の付加価値だからです。
 経済産業省の資料では、日本のGDPの伸びの36%だかは、自動車や半導体などたった4つの業種が占めています。世の中にいったいどれぐらい多くの業種があるものなのか想像もできませんが、これら森羅万象の産業がタバになっても、トヨタやパナソニックといった輸出型の大企業群、そしてそれに連なる下請け企業群には勝てないのです。(このような巨大産業ゆえに、マスコミを操作できる面も見逃せません。)

 もう一つは、過去の景気回復のパターンを見ていると、まずは輸出型の産業の業績が回復し、それに次いで設備投資や建設などの内需型の産業が好調になって、その結果、経済全体が底上げされる傾向があるからです。
 リーマンショックのあと、ここ1年ほどで製造業は生産がかなり回復してきており、このまま好況を維持・拡大していくことが望ましいのに、ここで円高になって景気が腰折れすると、また元の木阿弥に戻ってしまう可能性が出てきます。これは避けたい。
 
 というわけで、ここに来て菅内閣も何らかの追加経済対策を行わなくてはいけないという危機感が出てきたようで、8月30日には「経済対策の基本方針について」という、これから政府としてどうするかについての考え方を公表しています。

 しかし、これがトホホです。

 まず、最大の目標はデフレ脱却のようなのですが、デフレはここ数年間ずっと継続しており、円高とかの最近の出来事が原因とは思えません。
 金利もこれ以上にないくらい低いし、起業や設備投資するには最適な環境であるにもかかわらず、世の中の先行きが不透明だとか、リスクを背負いたくないという消極的な考えの国民が大部分なので、新しいビジネスや産業が生まれない(=停滞している)ことに最大の原因があるのです。

 なので、エコポイントを延長しても、それは結局、国の借金を増やすだけだし、新卒者の就職を支援したとしても、今のように大学3年で内定を出してしまうような企業ばっかりであれば、それは学生も就職が決まった途端、勉強しなくなります。そりゃ、大学生もアホばっかりになるでしょう。企業の青田買いを規制しないと、いくら「支援」してもインセンティブがないのですから。

 そうやって見ていくと、ピントはずれな「基本方針」のオンパレードで、これは間違い探しゲームとして楽しめますから、ひまつぶしにぜひその目で「経済対策の基本方針について」をご覧になっていただくことをオススメします。(リンクはこちら。PDFです。)

 それにしても、国の官僚の削減とか、国会の目も届かず地元住民の意見も反映されない、ムダの元凶のような出先機関(中部経済産業局とか、東海農政局とか)の廃止はいつ実現するのでしょうか?
 官僚だけが悪者ではないのは百も承知だし、中には的外れな官僚たたきも多いのですが、具体的に国をスリムにし、自分たちのことは住民自身が決める(そしてリスクも負う)ようにしなければ、社会はますます行き詰ってしまいます。
 そう考えると、官僚に操られているっぽい菅首相より、ダーティーでアナーキーな小沢サンのほうが何だか滅茶苦茶にぶっ壊してくれて、カタストロフィを迎えそうで、かえって期待できるのではないか・・・などと思ってしまいます。