2010年12月31日金曜日

Greatest Love Of All

今年もいよいよあと残りわずかになりました。
 この年になると、何か大きな出来事とか、成功したこと、やり遂げたことよりも、自分も含め、周りの人が病気もせず、事故もなく、無事に一年を過ごせたことのありがたさを強く感じるようになります。

 すべての中で最も偉大な愛は、自分への愛だ

 という、この曲のメッセージをかみしめたいと思います。

 自分を愛することは、社会への無関心だとか、広い世界から目をそらした自己完結だということでは決してなく、まずは人間にとって一番大切な第一歩なのですから。



 ホイットニー・ヒューストンの熱唱で大ヒットしましたが、原曲はジョージ・ベンソンによるもので、モハメド・アリ(日本ではアントニオ猪木と異業種格闘戦を行ったヘビー級ボクサーとしてのほうが名が知られていますが、黒人差別と戦い世界チャンピオンとなったこの人の不屈の人生は、学ぶべきものが多くあります。)に捧げた曲だそうです。

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 今年もご愛読いただきありがとうございました。
 よいお年をお迎えください。

2010年12月30日木曜日

産業「空洞化」はすでに完了済みである

 今日、近鉄名古屋線の霞ヶ浦駅近くの踏み切りで起こった事故で亡くなった方のお一人は、中国から働きに来ていた方のようです。(霞ヶ浦駅は、三重県発で日本を代表するコミュニティビジネスである生活バス四日市の発着地であり、はんわしも取材で何回か下車したことがあり、このあたりが案外通行量が多いことはよく知っています。ご冥福をお祈りしたいと思います。)
 先日は亀山市で起こった交通事故でもフィリピン人労働者が多数犠牲になりました。この二つの例から軽々には断じられないかもしれませんが、三重県内の製造業、特に大量生産型、労働集約型の工場現場を支えているのはこのような外国人労働者であり、その存在は無視しえないほど大きなものになっています。
 また、県内でも南勢志摩地域や東紀州地域の重要産業である漁業や水産加工業の現場でも、若手労働者の多数は外国からの研修生などであることを考え合わせると、今流行の「国内産業空洞化論」は現在進行形なのでなく、すでに過去完了形になっていることがわかります。そして、それは日本にとって悪いことでも、マイナスでもありません。「空洞化」というコトバのネガティブなイメージに引きずられてはいけません。

 国内産業空洞化論は、為替相場が円高になると必ず出てくる議論なのですが、これは本質的な原因ではないでしょう。
 経済がグローバル化しているのは、為替や金融のマーケットだけでなく、労働市場においても同じです。賃金をはじめ土地代、光熱水費、公租公課などの生産コストが高い日本では、いくら企業が努力して生産性を向上させても国際競争では圧倒的に不利な状況には変わりがありません。
 当面、国内のコストが下がらないのなら、安い労働力や生産コストを求めて製造業が海外に出て行くのはある意味必然です。
 それと同時に、労働者は高い賃金を求めて移動してくる(時には国境も越えて!)ので、両者の供給と需要が均衡する交点に達するまで、工場は海外に移転し続け、労働力は国内に入り続けることになります。

 繰り返しますが、これは円高だけのせいではありません。今年一年で1割も円相場が上がったということは、海外の用地や設備を一割引で買えることと同じなので、海外進出を考えていた企業にとっては、むしろ今がお買い得なのであり、進出の決断を早めた要素はあったかもしれませんが。

 逆に、もし仮に、今のような経済状況で円安になれば、海外の資本家や経営者は、高い加工技術を持ちながら利益率が低く、株価も低いような日本の製造業企業をどんどんと片っ端から買収してしまうことでしょう。

 以上を考えると、日本の進むべき道は明らかなように思えます。
 製造業は多品種少量生産型のような高付加価値な産業に進化すること。ただしそのような製造業に雇用吸収力はほとんどないので、雇用の創造はサービス業が担うことになり、規制改革による自由化や、イノベーション(ビジネスモデルの革新)、そしてサービス産業に必要な人材育成が産業政策の中心になるべきこと。
 大きな経済成長は望めなくなるので、低成長を前提とした社会システム(政治、行政、財政、社会保障、などなど)に変わらざるを得ないこと。

 気が付くともう2010年も終わろうとしています。10年後の2020年には、いや、ひょっとすると来年あたりにも、産業空洞化論には終止符が打たれるような社会や産業の大変革が始まるのかもしれません。

2010年12月29日水曜日

中小企業応援全国フォーラムで「種まき権兵衛ラーメン」が



 12月25日に書いた中小企業応援センターの記事にコメントをいただいています。真摯なご意見なのであらためて書く機会がないかなーと思っていたところ、ネタを見つけたので。

 12月16日、東京の銀座ブロッサム中央会館において「中小企業応援全国フォーラム」が開催されました。
 残念ながらはんわしは出席していませんが、このフォーラムでは、全国84の中小企業応援センターのうち、6機関を「優秀中小企業支援機関」として選定するとともに、中小企業応援センターのコーディネーターが支援した全国約750事例のうち、5事例を「優秀支援事例」として選定し、中小企業庁長官表彰を行ったとのことです。
 この5つの優秀支援事例の一つが、我が三重県の、三重県商工会連合会中小企業応援センターの支援事例です。

 三重県の商工会連合会は、県内を5つのブロックに分けて単会の連合組織を作っている独特のスタイルですが、このうち東紀州商工会広域連合が中小企業応援センター事業を活用して「種まき権兵衛ラーメン」の商品化(特産品化)を支援しました。

 種まき権兵衛ラーメンの製造元である有限会社モリタは、紀北町内にある製麺業者で、以前から自社ブランドの生ラーメンとやきそば用生めんを製造し、地元のスーパーなどに卸していました。

 しかし、紀北町がある三重県東紀州地域は過疎化・高齢化が進み、生めんといったような日配商品は先行きが不透明な面があります。そこで、世界遺産熊野古道などの観光客をターゲットとした土産物として新たにラーメンを商品化すべく、めんやスープの改良、ネーミング、パッケージなどを新たにして権兵衛ラーメンが生まれました。
 紀北町商工会広域連合(中小企業応援センター)は、商品コンセプトから試作開発、プロモーションまでを伊藤コーディネーターが中心となって強力に支援し、現在、このラーメンは道の駅マンボウ(三重県内で最も集客力の高い道の駅)での人気商品になっています。

 種まき権兵衛ラーメンについては以前もブログに書いたのでこちらをご覧ください。

 さて、この全国フォーラムの状況は、東紀州商工会広域連合のブログ(日々あれこれ)には詳しく書かれています。これは当事者なので、ある意味で当然かと思います。
 しかし、全国フォーラムの主催者である中小企業基盤整備機構のホームページには、12月29日時点で、このフォーラムの記事そのものがありません。

 感心したのですが、北海道経済産業局は、同じように北海道内の応援センターの支援事例が選定対象になったようで、ちゃんとホームページに記事が掲載されています。(こちら
 しかし、中部経済産業局は(やはりというべきか!)ざっと見る限り、ホームページへの掲載もないようです。

 中小企業への支援は、補助金とか低利融資とか、保証とか、そういうものももちろん大事ですが、本質的に重要なのは、情報提供、マッチング(異業種、同業種、産学連携など)、そして企業とともに伴走するハンズオン支援だと思います。
 その意味で、マンパワーこそが決定的なキーなのであり、その活動は基本的に地味な試行錯誤の積み重ねです。(だからこそ、中小企業がリリースした新商品がヒットすることは支援者にとっても何より嬉しいことなのです。)
 このような地味な仕事を、国が中小企業応援センターとして支援する。
 これは大事なことですし、ありがたいことです。

 しかし、同時に、中部経済産業局のようなところにとっては、そんなことはどうでもいいことのようです。(あるいは中小企業基盤整備機構もそうなのでしょうが)
 小規模事業者の支援になど無関心であることは、全国5例の貴重な表彰の一つが自分の管内の応援センターから出ているにもかかわらず、無視されていることからも明らかです(少なくとも、わざわざホームページに掲載してまで顕彰するべき情報ではないと思っているから事実として広報していないわけでしょうし。)
 率直に思いますが、このような人たちと一緒に、本当に中小企業者、なかんずく小規模事業者の支援などできるのでしょうか。(はんわしが誤解していたらもちろん訂正します。)
 解決策ははっきりしています。国の出先機関は解体すること。商工会議所、商工会などは実力をつけ、中小企業や地域からの信頼を得るに足る支援機関になることです。

2010年12月28日火曜日

アップル特需



 今日の日経新聞が、営業赤字と減産が続きまさに瀕死の状態だった液晶パネル各メーカーが「アップル特需」で息を吹き返した、とうまい表現を使って報じています。
 iPhoneやiPadには高精密な液晶パネルが必要で、日立や東芝といったメーカーの持つ技術はのどから手が出るほど欲しいものだそうです。一時はメーカー同士の統廃合も進んでいた事態は、ひとまず回避されることになるようです。

 考えてみれば、3年前、スマートフォンは開発されたばかりでニュースは流れてきていましたが、日本の携帯会社は携帯独自のコンテンツが使えなくなるスマートフォンは日本の消費者のニーズに合わないと判断し、主力商品としての扱いはされませんでした。
 iPhoneも本命だったNTTドコモでなく、ソフトバンクによって日本にもたらされ、スマートフォン競争にドコモが大きく出遅れた原因となりました。
 そして1年前、iPadの登場がニュースになっていましたが、ここでもiPadのようなタブレット型端末と呼ばれる商品は、携帯と小型パソコンの中間にあって使い勝手が悪く、電子書籍も著作権の問題などでコンテンツが充実しておらず普及は厳しいといわれていました。
 しかし、今、確かに爆発的な普及とは行きませんが、iPadは一定の浸透を見せており、日本のメーカーも続々と類似の後発品で参入して来ています。

 あらためて考えるべきなのは、スマートフォンも、タブレット型端末も、決して政府の「成長戦略」によって育成されてきた商品ではないということです。これはアップルの(もっと言えば、スティーブ・ジョブズの)卓越したアイデアと、そして同社のファブレス戦略・・・自社はイノベーティブな商品の開発と設計、プロモーションを行い、工場は持たず、生産はすべて他のメーカーに委託するやり方・・・の勝利であって、純然たる企業努力であるということです。

 グリーンイノベーションだのライフイノベーションだの、政府が特定の産業分野の特定の業種を成長させることなど社会主義国でもない限り不可能ですし、ましてや今のように人材も資金も世界中を動き回っている環境では、ただ日本だけが成長戦略によって世界に対して優位性を保つことなど不可能なのではないでしょうか。
 政治的な意味合いで、成長戦略が必要であるというなら、それは規制改革や税制改革のようにおカネをかけず、知恵を出す方法で行うことが必要でしょう。1100億円もばら撒いて、本当にもくろみどおりことが進むのでしょうか・・・

2010年12月27日月曜日

ゆるきゃらと地域広報戦略



 中日新聞などが、三重県紀北町の観光協会が公募・決定していた紀北町のゆるきゃらの名前をきーほくんと名づけ、先日、町内で開催されたイベントでお披露目されたことを報じています。(12月27日付け リンクはこちら

 ゆるきゃらは、もう百花繚乱どころか千花繚乱くらい、全国各地で噴出し、飽和し、臨界点に達しています。

 ゆるきゃらで全国に打って出るほどのPR効果を目指すことは、圧倒的な差別化要因がなければ(キャラクターが死ぬほど可愛いとか、超有名人がデザインしたとか、全身にダイヤモンドをまとっているとか・・・がなければ)もはや難しいことのように思えます。
 もう、ゆるきゃらなど、地元がやりたいからやっている、何となくバスに乗り遅れたくないという気持ちがある、という以外に合理的な理由はないように思いますが、それはさておき。

 驚くべきことに、紀北町をPRするために作ったというこの、きーほくんなるキャラクターの名前のお披露目も、一部新聞では報道され、一部ブログでは記事になっていますが、紀北町役場のホームページにも、いや、それどころか生みの親であるはずの紀北町観光協会のサイトにも「マスコットキャラクターが決まった」というほかに情報はありません。(イラストは観光協会のサイトから転載しました。)
 記念すべきデビューの場となった三重きいながしま港市のサイトにも、きーほくんは一切、まったく出てこないのです。

 もう繰り返すのもうんざりするのですが、いったい、この戦略性のカケラもない地元PRというのは何なのでしょうか。
 何の意味があって、何を考えて、プレスリリースと、ホームページ戦略を切り離しているのでしょうか?
 いや、そもそも、これらをコラボしてPRの相乗効果を高めようと、一度でも真剣に考えたのでしょうか。
 はんわしには、そのようには全く思えないのですが。

 きーほくんに罪はありません。(アタマのかぶりものもよく見るとマンボウだったりして、なかなかカワイイのですが。)
 しかし、このようないい加減な「情報発信戦略」に紀北町民以外の住民が支払った税金が一円たりとも使われていないことを願うばかりです。

2010年12月26日日曜日

科学は誰のものか?・・・統治からガバナンスへの流れ



 2010年は、後世からは大変な猛暑の年として記憶されることでしょうが、はんわしの個人的な感想で言えば、「科学技術への関心が高まった」・・・事業仕分け、日本が絶対的に優位を保っていると信じられてきた、科学技術を生かした先端的な工業製品(携帯電話端末、薄型テレビ、電気自動車など)の苦戦、ノーベル賞、「はやぶさ」のような華々しい成果など、科学技術への不安と期待が入り混じった・・・一年だったような気がします。
 今年は例年になく、科学技術とは何か、いったい何の役に立つのか、といったテーマの本の出版も多かったような気がします。

 この本 科学は誰のものか 社会の側から問い直す(平川秀幸著 NHK出版生活人新書)もそういった一冊です。

 かつては明るい未来を約束していたはずの科学技術は、今や、遺伝子治療、原子力発電、環境破壊など、その発展によって逆に新たにもたらされることとなってしまった混乱や不安、困難、矛盾が次々と生んでいます。
 著者はこれを「科学なしでは解けないが、科学だけでは解けない問題」とうまく表現します。

 科学者にとって「科学は万能ではない」ことは自明ですが、世の権力は、科学技術はある種の価値中立的な真理として、未知の技術に不安を抱く無知で無学な大衆を上から教え導くという態度を取り続けてきました。 
 しかしもはやこのような「上から目線」によって国民の科学技術への理解を図るのは限界があると著者は主張します。科学技術と社会の関係は「統治からガバナンスへ」変わっていくことが必要だと言うのです。
 「統治」とは権力者、すなわち政府による上からのコントロールであるのに対し、「ガバナンス」とは、政府も社会における多様なセクターの一つであり、このほかに、市民、企業、NPOなどのさまざまなセクターが対等の関係で水平的につながりながら、情報と知恵を共有して物事に対処していくことです。科学技術のガバナンスとして、科学者と市民とのアクセスも、政府や科学者からの一方通行ではなく、コンセンサス会議、市民陪審、シナリオワークショップなどの参加型テクノロジーアセスメントを提案します。
 これは、科学技術についてはもちろん、たとえば、地域産業振興や、中小企業振興など当事者や専門家のみで進められがちな政策分野全般にとって重要なことだと思います。

 ところで、この本の中で、はんわしが最も強い印象を受けたのは、著者が提起する「一人ひとりの心がけで世の中は変わるか?」ということです。

 往々にして、一般市民は、自分たちにとって大切である環境問題や、貧困問題など大きな社会問題の解決について、「この問題は市民一人ひとりが真剣に考え、向かい合っていかなくてはいけない」という安易な結論に流されがちです。
 しかし、本当に一人ひとりが心がけて行動すれば解決するのでしょうか。
 そもそもそんなことが可能なのでしょうか?

 著者の平川さんは、
・科学技術についても、「科学では答えられない問題、答えてはいけない問題」への答えを出すのは「自分たち自身」であるということが、現代の科学の実像であり、自分たちの力がその舵取りにかかわることが必要とされる一番の理由である。

・しかし、その時に問題となるのは、どのようにかかわればいいかと言うこと。何かしたい、何かしなくちゃと思うけれど、何をしたらいいのか、何ができるのか、次の一歩がなかなか踏み出せない。

・医薬品の南北問題や欧州の遺伝仕組み代え作物の例では、状況を変えたのは科学や政治の変化だけでなくそれを促した環境NGOや農家団体、消費者世論と言う市民社会のパワーの台頭があった。

・しかし市民活動と縁の薄い日本人から見ると、どこか手の届かない遠い世界の話のように思える。実際、日本人は何か社会状況を変えるとき「一人ひとりの心がけが大事」という結論を言いやすい。

・ところが、欧米ではそうでなく、一人ひとりのレベルを超えて、地域で、国レベルで、そして国際的に、変化を起こすことを手伝いましょう。という呼びかけがなされる。

 と書きます。
 実例として、元アメリカ副大統領のゴア氏が提唱した「不都合な真実」でも、日本公開版では、日本以外の地域での公開版に含まれていたゴア氏の重要なメッセージの一つが、明らかに、何らかの意図によって削除されていた、という非常に興味深い指摘をします。
 
 詳しくはぜひ本書をお読みください。大変に奥深い思慮を呼び覚ましてくれる一冊です。

2010年12月25日土曜日

やっぱり復活した「中小企業応援センター」の後継事業



 以前このブログでも書いた、先般の事業仕分けによって事業廃止と判定された中小企業応援センター事業(経営力向上・事業承継等先進的支援体制構築事業)ですが、昨日公表された経済産業省の平成23年度当初予算案によると、「中小企業支援ネットワーク強化事業」なる名称の事業としてまたまた復活しています。

 ジョブカード事業をはじめ、事業仕分けでは廃止や縮小判定となった事業が、後に省庁による折衝で復活する事業は続出しており、「中小企業支援ネットワーク強化事業」も概算要求額が39億6千万円と、廃止前の中小企業応援センター事業の予算額40億2千万円と規模的にもほぼ同じという、露骨なゾンビ事業だと言えそうです。

 中小企業応援センター事業についておさらいすると、
1.事業の目的は、
 中小企業の日常的な経営支援に取り組む支援機関等(はんわし注;商工会議所とか商工会などのことを指します)の経営支援能力を補完・強化するため、その後方支援機関として中小企業応援支援センターを整備し、中小企業の高度・専門的な課題に対して、これら支援機関を通じた支援等を行うこと。
2.事業の内容は、
 中小企業の支援についての専門的な知見を有している者をコーディネーターとして中小企業応援センターに配置し、高度・専門的な課題に対応するため、
 (1) 中小企業支援機関への専門家派遣
 (2) ビジネスセミナー・ビジネスマッチングの開催
 (3) その他中小企業からの相談への対応
を行うことです。
 
 現在、中小企業応援センターは全国に84ヶ所設立されており、三重県のように県内に2つの応援センターがある都道府県も多くあります。

 事業仕分けにおいては
・商工会議所において行っている事業との大きな重複が認められる。
・商工会議所、商工会など既に中小企業をサポートする窓口がある。
・全国的にまんべんなく事業を行うことに意義はない。商工会議所、財団(はんわし注;●●県中小企業支援センターといったたぐいの外郭団体のこと)、地方銀行、信用組合に対する支援になっているのではないのか。
 など、しごくもっともな指摘がありました。また、
・もともと地銀、税理士、商工会議所の本業にあたるところで、政府は地域力連携拠点を作れば十分で、専門家の費用は受益者が払うべきである。
 という指摘もありました。
 これは、中小企業応援センターによる「中小企業支援機関への専門家派遣」が無料で行われていることを指しています。(ややこしいのですが、中小企業応援センターは中小企業と直接相対するのでなく、間に商工会議所などを通しているので、専門家の無料派遣も商工会議所などを経由して行うことになっています。)

 このように事業仕分けではほぼ全否定された中小企業応援センターですが、23年度予定の「中小企業支援ネットワーク強化事業」とやらも、事業の内容は、
・中小企業が抱える経営課題への支援体制を強化するため、経済産業局が中心となって専門家を派遣すること等により、中小企業の経営相談に対応する各地域の支援機関の連携の強化、支援能力の向上を図る。
 というものですので、若干の変更点はあるものの、ほぼ前例を踏襲した、つまりは事業仕分けの指摘を軽視ないし無視したスキームと言えるでしょう。さすが官僚主導国家ニッポンです。
 
 ただ、このようなゾンビが現れるのは、たしかに無料の専門家派遣が、経営の厳しい中小企業にとってありがたいものであるという事実があるからです。実際に、応援センターを利用した中小企業や、間に入った商工会議所の経営指導員からは感謝の声を聞きますし、専門家として派遣される側の中小企業診断士や経営コンサルタントからも、中小企業は負担がないので、自分たちの出番が多くなって(つまり、応援センターによってコンサルの仕事が増えて)、ありがたいという声も聞きます。

 しかし、これは中小企業を甘やかすことにならないでしょうか。
 商工会議所は会員企業や地元の企業なら原則無料でサービスが受けられるはずで、経営指導員が高度専門的な相談に対応できるよう資質を高めるのは当然のことです。
 専門家も、タダだから派遣を受けるような中小企業に行って、果たして真剣に話を聞いてもらっているのでしょうか。身銭を切って聞く価値もない、そんな安売り投売りのコンサルタント扱いで本当に満足なのでしょうか?

2010年12月24日金曜日

電動アシスト自転車はなかなか良い



 これが普通なのか、普通でないのかはよくわかりませんが、はんわし、生まれて初めて電動アシスト付き自転車というものに乗りました
 津市内への出張に片道15分ほどの距離を走ったのですが、登り坂も本当にスイスイと走れるのでびっくりしました。

 あと、このトシになると辛くなる、いったん赤信号で停まって、青になったからスタートにグイッと漕ぎ出す、あの最初の一踏みもサクッと軽かったのでありがたかったです。
 今日も津市は風が強くて寒かったのですが、ちょっとしたサイクリング気分でした。

 電動自転車って年配の人が乗るものかと思っていましたが、バッテリーの重量があるせいか、普通の自転車よりはかなりずっしりしているので取り扱いに力が必要です。むしろ中年向きかもしれません。

 職場の自転車はママチャリ型ですが、パパチャリ型のもうちょっとスマートなデザインのものがあったら買ってしまうかも・・・しれない。

 今年はエコカー補助金だのエコカー減税だのが盛んでしたが、冷静に考えれば当然なように、自動車はいくら「エコ」だったとしてもガソリンは消費しますし、排気ガスは出ます。そもそも車を工場で作るのに相当のエネルギーを使っているので、本質的にエコな乗り物であるはずがありません。

 もしもエコカー補助が本当に「エコ」を目的にしているなら(はんわしは地球温暖化も、その犯人がCO2であるという説のどちらにも懐疑的ですが)、大型車でなく軽自動車だけを補助すべきですし、もっと言えば、自動車でなく自転車に補助すべきだったのです。

2010年12月23日木曜日

さかなクンで思い出した尾鷲漁港のアカメ



 今日、天皇陛下が、田沢湖で70年ぶりに生存が確認されたというクニマスのことをコメントされていて、そのお言葉の中に「さかなクンの活躍」なんかが出てきたりして驚いたはんわしでした。(毎日新聞のwebに全文が載っています)

 それに比べるとほぼ100分の一くらいの小さなスケールの話ではありますが、ちょうど一週間前の12月17日に三重県尾鷲市の尾鷲漁港にアカメという魚が水揚げされたことがちょっとしたニュース(ローカルな)になりました。

 アカメは、名前の通り目が赤いことが特長のスズキ目(もく)の大型肉食魚で、体長が1m近くになることもあるそうです。
 主に西日本の太平洋沿岸に生息しており、高知県あたりではよく見つかるそうですが、尾鷲で水揚げされたのは10年ぶりくらいらしく、何しろ三重県で見つかるのは非常に珍しいことだそうです。

 このアカメですが、尾鷲市長であり、尾鷲漁港を毎朝ウオッチして「三日に一魚」というブログを書いている岩田昭人さんが購入したという後日談を中日新聞が報じています。(12月19日付け リンクはこちら

 もちろん、岩田市長のブログにもこのことは書かれています。この写真は三日に一魚から転載させていただきました。

 天皇陛下のお言葉で思い出した小ネタでした。


 

2010年12月22日水曜日

大学で学ぶ意味



 結論から言うと、大学での勉強は社会に出てからも非常に役に立ちます。
 大学で学ぶことは役立たない、という説を唱える人もいますが、その人は自分が学生の頃あまり勉強していなくて、学ぶことの極限というか、ギリギリまで頭を絞って絞って絞りぬいた経験がないので、自分の狭い常識の中で軽々しくそう言っているだけです。学生は真に受けてはいけません。

 もう一つ、学問の限界と勉強という行為の限界を見間違えている人もよくそういう説を唱えています。
 例えば経済学であれば、デフレはいいことか悪いことか、円高はいいことか悪いことか、大規模な財政出動はどうか、経済学者によって意見が正反対に分かれます。
 これは経済学という社会科学の限界であって、答えが出ないから経済学という学問は無意味で、したがって経済学を勉強することも無益だ、と決め付けてはいけません。

 では、大学だけで勉強していて良いか、というと(ややこしいのですが)これはそうではありません。
 研究者になるとか、資格取得や就職だけが目的ならそのような学び方でもいいのでしょうが、知識をより深く身に着けるのは体で覚えること、つまり、体験と学習をセットにすることが有効なのです。
 これは、自転車の乗り方をいくら本で読んでも、何度か転んでバランスをカラダで体得しないと現実には乗れない、と喩えたらいいでしょうか。

 ふた昔前、はんわしが学生の頃には、実体験の方法はアルバイトくらいしかありませんでした。そこで嫌な上司とか、陰気な同僚とか、文句ばっかり言ってくる馬鹿なお客とかをあしらっているうちに社会の厳しさとか、学問の大切さに気づく(トラブルになってはじめて、民法や刑法を勉強しておいてよかった、とよく思った)しかなかったのです。
 ただし、それは能率の悪い実践方法でした。運よく周りにいい大人がいるとか、よほど自分が前向きでしっかりしているかでないと学問と目先のバイト労働が結びつくことは難しかったのです。

 しかし、今は違います。就職氷河期の再来が言われていて、今の学生には同情しますが、学問と社会の結びつき、実践的な体得にとって、今はツールがしっかりと用意され、大学も、世の中も、学生が社会に出ることを応援しているからです。

 その一つは間違いなく、インターンシップです。アルバイトではなく、経営者が学生と伴走してくれ、インターンを全般的にサポートしてくれるチューター(コーディネーター)もいてくれます。
 あとは、学生本人のヤル気だけです。
 お金は社会人になればいつでも稼げるのですから、学べる環境が身近にあり(つまり現役の学生のうちに)、しかも時間はアホほどあり余っているうちに、一度体験してみるは決して悪いことではありません。

 さて、三重県東紀州地域(紀伊半島南東部にある三重県紀北町、尾鷲市、熊野市、御浜町、紀宝町の2市3町の地域)は、過疎化、高齢化が進み、地域の活性化が急務になっています。
 地域の活性化とは、スローガンとか精神論ではなく、住民がその地で豊かに生活し続けるようにできることです。これには経済的な活性化、すなわちカネが稼げる地域にすることが不可欠です。

 では、どうやったら東紀州地域でカネが稼げるようになるのか。
 地域活性化、地域おこし、過疎問題、などなどを勉強している学生は多いことでしょう。
 地域経済、中小企業論を学んでいる学生も多いはずです。
 その知識を応用できる機会があるのです。ここであなたの学びが真価を発揮するのです。社会の役に立つのです。
 それが、岐阜に拠点を置くNPO法人G-netの「東紀州地域留学」です。

 大学で学ぶ意味はなんだろう・・・
 そのように真面目に悩んでいる学生の皆さんにこそ、ぜひご参加いただきたいと思います。

 NPO法人 G-net 東紀州魅力発信地域留学のご案内(リンクはこちら

2010年12月21日火曜日

伊勢神宮の参宮客が過去最大の860万人に



 今年の伊勢神宮の参拝客が12月19日現在で、統計を取り始めた明治29年以降で過去最大の860万人を記録したそうです。

 高速道路の無料化実験が始まった直後の夏頃から、「今年は例年になく参宮客が非常に多い」という感想は関係者からよく耳にしました。早くも秋頃には、今年は過去最大の900万人を越えるのではないか、という報道もされていました。

 パワースポットブームだというのも確かなのでしょうし、若い女性の参宮客が増えている要因はそこにあるのでしょうが、パワースポット自体もブームはすでに数年前からであり、最大の増加原因はやはり伊勢自動車道(津インター以南の区間)の無料化だと考えざるを得ません。

 実際に、外宮と内宮を結んで伊勢市内を縦貫している県道(通称御木本道路)の近くに住んでいるはんわしにとっては、夏以降、土・日・祝日は伊勢西インターから内宮までの約2kmほどの区間の渋滞は恒常的になっていますし、カーナビの発達のせいか細い裏道でも他府県ナンバーの車をよく見かけるようになりました。

 交通渋滞は大きな社会的損失であって、環境にも悪いし、車が進まないドライバーや、家の近くの通行すらままならない地元住民の「イライラの総和」はすさまじい負のエネルギーになると思います。
 しかし、仮に参宮客の増加が土産物代や食事代、宿泊料など地元に経済効果を生むことが何らかの形で実証できれば、これは伊勢にとってたいへんに成功した実験結果なのではないでしょうか。
 その意味でも無料化実験はやりっぱなしでなく、ぜひ何らかの科学的な方法で成果を検証してほしいと思います。

 ところで、高速道路無料化やパワースポットブームは新規の参宮客の開拓だったわけですが、900万人近い参宮客の中にはリピーターも少なからず含まれているでしょう。多数のリピーターが生まれたのはなぜだったのでしょうか。

 それは、もてなしの心とか、細かい接客ノウハウの蓄積が大きな要因だったのではないかという気がします。

 伊勢にはテーマパークとしてのおはらい町、おかげ横丁といった質の高い集客装置があります。しかし、そのほかにも地元の有志が、外宮でのゆかたで千人参りとか、物産展である「伊勢楽市」の定期開催、伊勢市駅前での観光案内ボランティアなど、さまざまなイベントやサービスに次々と取り組んでいます。
 もちろん、これらは完全な無料奉仕というわけでなく、経済的なリターンを期待して取り組むわけですが、それにしても参宮客が全国から押し寄せる古来からの一大観光地であった伊勢の町に、そのようなもてなし精神とか、接客ノウハウが脈々と続いているのは確かなのではないかと思います。非常に地味な取り組みではありますが、このようなものがジワジワとリピーターづくりに貢献した、という気がします。

 このようなノウハウは、観光地としての「強み」そのものですし、これから国内の観光・旅行市場が縮小していく中で、海外からの誘客を目指す意味でも、他の国際的な観光地との差別化をはかっていく意味でも、重要なキーなのではないかと思います。

2010年12月20日月曜日

Twitterを活用したマーケティングセミナー



 はんわしもツイッターのアカウントは一応持っているのですが、フォローするのが大変で、現実には全く使っていません。一時、オバマ大統領もツイートしているということが話題になりましたが、あれは時間の使い方を自分でコントロールできる政治家とか経営者とか自営業者だからできるのであって、サラリーマンのようにデスクに拘束されている人間には普通ムリです。

 というわけで、ツイッター自体に縁が薄いはんわしですが、時々社会現象として垣間見られる、フォローワーによるものすごく早い情報伝達には大きな存在感を感じずにはおれません。これをビジネスに応用するアイデアもさまざまなものが次々と現れています。

 マーケティングはその典型的な一つで、TwitterやFacebookなどのソーシャルネットを活用したマーケティングは最近マスコミにもよく登場します。
 大手企業もテレビや雑誌といった従来のマス広告を減らし、ソーシャルネットに着目したマーケティングに切り替える動きが出ていますが、いうまでもなく、これは広告費といった資本力よりも、アイデアや行動力が強みを発揮できる世界なので、中小企業にとってはむしろチャンスです。

 このたび、財団法人三重県産業支援センターでは、「Twitterを活用したマーケティングセミナー」を実施します。
 同センターの告知によると
“特に三重県内の事業者ではソーシャルネットへの取り組みが早く、全国から注目を集めています。”とのことなので、三重県で開催されることには意義があるのかもしれません。

・対 象  中小企業・小規模事業者の経営者、後継者、管理職等
・開催日時 平成23年1月18日(火) 13:30~16:40
・場 所  津市 三重県総合文化センター 生涯学習棟4F 中研修室
・受講料  無料
・定 員  50名(先着順)
・内 容
 13:30~13:40 開会挨拶
 13:40~14:30 Twitter、Facebookを活用したマーケティング
             (有)ザ・ワン 専務取締役 横地 宣重氏
 14:35~15:25 宿泊、観光業に活かすソーシャルネット
             (有)ビジネスホテルビーエル 代表 佐野 康治氏
 15:35~16:25 ソーシャルネットを活かした地域おこし
             (有)クニツサイクル 代表 林 正佳氏
 16:25~16:40 質疑応答

 講師のプロフィール詳細はこちらを(三重県産業支援センターホームページ

 何だかエキサイティングな感じがします。ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

 もう一つ付けたし。
 行政において政策の決定権を持っている50歳代の幹部職員は、インターネットですら怪しいのに、ブログだのツイッターだのになると完全にちんぷんかんぷんで、これがどれほど革命的なビジネスツールかを理解できていません。重要性を理解させるには、定員50名に限りなく近い、できればそれ以上の多数の参加者が押し寄せてくれることが必要です。
 三重県は、ソフトピアジャパンなどが中心となりスマートフォンのアプリ開発が新産業として勃興している岐阜県などに比べ、ICT産業振興政策が完全に出遅れています。
 その誤りを正し、遅れを挽回するためにもたくさんのICT関係者の御加勢(ご参加)をいただけると幸いです。

2010年12月19日日曜日

年末恒例きいながしま港市



 朝、下り方面の紀勢自動車道がえらく混雑していたので、まさかとは思うけど、これ全部、紀北町に向かっているのじゃないよなぁ、と願いつつ、紀伊長島漁港に到着。
 ここでは昨日から12月28日までの11日間、年末きいながしま港市が開催されています。


 おせち料理などに欠かせない、ブリ、伊勢えび、マグロなどの鮮魚類や、アジ、サバ、サンマ、タチウオなど、さまざまな魚のひもの、東紀州の郷土料理であるサンマ寿司や押し寿司などの露店が所狭しと立ち並んでいます。値段も間違いなく年末大特価であり、かなりお得な買い物ができること請け合いです。
 地元紀伊長島の住人はもちろん、県外からの多くの買い物客が押し寄せていました。


 目玉だったのは、港に入ってきた漁船の水槽から、買い物客の目の前でクレーンで水揚げしたばかりのブリを、その場で即売するというもの。飛ぶように売れていきました。


 もうひとつ、おまけと言うか何と言うかですが、たまたまマンボウが運悪くこの漁船の網にかかってしまったらしく、水槽から引き上げられたマンボウの解体即売会が急遽始まりました。
 威勢のいいお兄ちゃんが出刃でどんどんと捌いていきます。
 いやしくもマンボウは紀北町の魚、町魚なのですが、そのわりに紀北町民はこの愛らしい魚を保護するとかでなく、解体して食ってしまうのです! 


 会場の一角で、紀北町のご当地バーガーであるつみなアジ・バーガーを発見。購入してみました。
 中身はアジ(魚の)のミンチカツで、ハンバーガーでもなく、ミンチカツバーガーでもない、白身魚のあっさりした(と言うか、パサッとした)食感です。決しておいしくないわけではありませんが、これは正直言って好き嫌いが分かれると思います。ご当地バーガーハンターの皆さんには欠かせない一品だと思いますが。


 昨年も同じようなことを書いた気がしますが、紀北町紀伊長島地区で最大の観光スポットである道の駅マンボウには、このきいながしま港市のアナウンスや看板がありません(少なくとも誰もが目に付く場所には)。
 事前に港市の情報を知っていればいいのでしょうが、たまたま国道42号線で紀北町を通りがかった人は、漁港の入り口あたりにノボリとか看板があるなあ、と気づいても、すぐにさっと入って行けるという雰囲気ではありません。会場の紀伊長島漁港も国道42号線から1kmほど市街地に入ったところなので国道から会場が見通せるわけでもなく、何の予備知識もないと、港市って果たしてどんなイベントなのかがわかりません。これはもう少し何とかしたほうがいいのではないでしょうか。

2010年12月18日土曜日

シャープ亀山工場、スマートフォン向け液晶製造ラインを新設

マニアックな内容なので地方行政関係者以外の方は読み飛ばしてください

 各紙が報じていますが、シャープが亀山第1工場に、アップルのiPhone用などの中小型液晶パネルの生産設備を新設するそうです。投資額は1000億円で、その大半はアップル社が出資するとのこと。
 シャープ亀山工場は、平成16年から稼動し、世界の亀山モデル「アクオス」の製造拠点として有名です。
 しかし、液晶パネルの価格低下などにより、昨年にはテレビ用大型液晶パネルの生産設備を中国のメーカーに売却しており、建物だけが未利用で残っている状態だったそうです。その意味では、シャープにとっても、地元三重県、亀山市にとっても干天の慈雨のような吉報であると言えるでしょう。

 アップルはiPoneやiPadなどのヒット商品を連発していますが、自社は工場を持っておらず、生産はすべて他社に委託しているという典型的なファブレスメーカーです。
 毎日新聞も報じるように、シャープはガラパゴスなどの自社商品とバッティングしている立場であり、アップルとはいわば宿敵の関係にあります。しかし、シャープにとっても部材供給先を確保して、液晶パネルの世界シェアを一気に高めることができるという思惑があり、日本製の高品質・高解像度の中小型液晶を求めていたアップルの狙いと一致したようです。
  
 以前にもこのブログで書いていますが、シャープ亀山工場は建設にあたって三重県が90億円の企業誘致補助金を支払ったことでも有名です。(これは当時としては破格の巨額補助金であり、これ以降、全国の道府県の補助金相場が跳ね上がったと言われています。)
 これは、成長潜在性が高く、下請けや素材部門など関連する企業も多いような産業分野の企業を三重県に誘致することで、県内に関連企業の一大集積地を作り上げ、産業を活性化しようという狙いがあったものです。
 シャープに関しては、この戦略によって確かに大きな効果がありました。平成18年12月に三重県が発表した試算では、シャープとその協力企業、関連企業の計40社による総雇用者数は10月時点で約7200人、17年度の県の法人2税収入は60億3千万円であり、対前年比の1.8倍になったとのことです。

 しかし、これには多くの批判的な意見(*)もあり、実際にその後の新興諸国のキャッチアップなどにより、シャープも基幹技術を国内工場内でブラックボックス化するのでなく、海外メーカーも含めたオープンイノベーション路線への転換を余儀なくされていました。さらに、サブプライムローン問題を契機にした世界同時不況によって亀山工場も第1工場を事実上閉鎖を余儀なくされていました。(補助金のうち6億4千万円は県へ返還を決定) 

 このような一連の流れは、国際競争の激しい製造業分野でのマネージメントの難しさを浮き彫りしにしていると強く感じます。軽々に言えることでもありませんが、シャープのように高い技術があれば、行政の補助金などなくても純粋な経済行為として大型投資も発生することは証明されました。
 変化の激しい国際経済の動きを察知し、どの分野の産業がこれから成長するのかを行政が予見して、特定の企業に補助金を出して工場を誘致することが、果たしてグローバル競争に勝ち抜くことにつながるのか、そしてその地域を本当に豊かにすることにつながるのか、その疑問はますます深まっていきます。

(参考)三重県の中小企業政策に関する論点整理
 http://hanwashi.blogspot.com/2009/08/blog-post_29.html

*参考文献
 佐無田 光「三重県・四日市の産業構造と産業政策~企業頂点型地域イノベーションシステムの検証~」金沢大学経済論集, 42: 119-155(PDF

 みずほ総合研究所 みずほリポート2010年10月13日「製造業誘致の地方雇用創出に対する有効性は低下したのか」(PDF

<平成23年6月6日 追記>
 6月2日、シャープは亀山第2工場も大型液晶テレビの生産は止め、スマートフォン用などの小型液晶生産に切り替えると発表しました。
 ■亀山モデルの終わり http://hanwashi.blogspot.com/2011/06/blog-post.html

2010年12月17日金曜日

大阪都とか、中京都とか、その前に



 東京23区、たとえば皇居のある千代田区とか、銀座のある中央区とか、は地方自治法上「特別区」と呼ばれる地方公共団体です。

 太平洋戦争中、物資や人員が欠乏する中で首都の行政を簡素化するために、それまでの東京市は廃止され、東京都となって、その中に特別区が設けられました。
 23区と聞くと、いかにも都会的な印象を受けますが、特別区は全国どこにある「市」よりも、実は不完全で半端な自治体です。区長や区議会議員は区民が直接選挙で選びますが、ごみ収集や消防といった、本来なら市町村が行うべき行政事務の権限はありません。23区内では、これらの業務は東京都が直轄でやっており、その意味では特別区と東京都はセットになっており、東京都以外の、道府県と市町村の関係とははなはだ異なっています。
(ちなみに、横浜市や大阪市、名古屋市などの政令指定都市にも何々区、というのがありますが、これは特別区ではなく、横浜や大阪という「市」が大きすぎるので、区というエリアに分け、区役所という名の出張所を置いているに過ぎません。特別区とは全く別のものです。)

 さて、大阪府の橋下知事や、名古屋市の河村市長が、府県と政令指定都市が並存しているのは無駄な二重行政だとして、大阪府と大阪市を合体した、あるいは愛知県と名古屋市を合体した「大阪都」、「中京都」構想なるものを提唱しています。

 これは、確かにもっともな面があり、図書館、体育館、文化ホール、病院、大学、賃貸住宅などを府県と政令市がそれぞれ別々に持っていることは珍しくないし、道路や公園、河川などの公物管理も別々にやっているのでコストがかさむ部分は確かにあります。
 これを一本化しても、住民にとっては大した変化はないし、経費は削減され、事務が簡素化される可能性はむしろ高いといえます。

 その昔、イギリスの鉄の女サッチャー首相も、英国病といわれた不景気とインフレ、高失業率を解消するのに、国営企業の民営化などと並んで、地方行政機関のリストラを断行しました。イギリスは民主主義の本場で、現状に到るまでに長い歴史的な経緯があったはずですが、破産寸前の国家財政を立て直すためにはやむを得ない措置と考えたのです。

 ひるがえって、今の日本を考えると、当時のイギリスとよく似た部分が生まれています。経済は好転せず、失業率も高く、世の中全体を閉塞感が覆っています。
 公務員は勝ち組で、リストラの心配もなく非効率な仕事で支出を垂れ流し、それを監視すべき主権者である国民やマスコミも、追求の声は少数派で大多数は無気力です。

 このような現状を変えるのに、そして実際問題としては900兆円にも迫ろうという国地方の財政赤字を縮減するためにも、行政のリストラは避けられないのではないかと思います。
 
 政令市は「都」という組織に再編することに可能性の一つがありますが、それでは三重県のように大都市もない、地方の県ではどういう方策があるのでしょうか。
 その一つは、地道ではありますが、わかのわからない外郭団体の原則廃止を断行することだと思います。
 外郭団体というとOBの天下りが問題にされがちですが、現実には現役公務員が多数出向しており、実質的な社内失業者(庁内失業者と言うべきか)の雇用確保と、関連事業の予算確保の隠れ蓑になっているという、より根深く本質的な問題があります。
 民主党政権が公約であった国家公務員の人件費2割削減を実行できなかったように、外郭団体など雇用と賃金が絡む問題は公務員利権そのものであって、アンタッチャブルとして放置されてきました。
 都構想の前に、まずはそれにメスを入れるのが必要かもしれません。

*補足*
 庁内失業者と書きましたが、言うまでもなく、現在外郭団体に出向している公務員個人を非難しているのではありません。職員の適正な勤務評価や能力活用ができず、年功序列、終身雇用を墨守している結果、多くの地方自治体の人事は硬直化しており庁内ミスマッチが生じているという意味です。誤解なきよう。

2010年12月16日木曜日

また条例作るの?



 三重県が、現在、三重県観光振興条例(仮称)の考え方(素案)に対するパブリックコメントを行っています。
 三重県は古来から伊勢神宮への参宮客が全国から押し寄せていたので、必然的に観光業が有力な産業になっていました。
 なので、これをますます発展させ、たくさんの観光客に訪れてもらい、建前は三重県の自然や景観、食を楽しんでもらい、ホンネでは県内でお金をたくさん使ってもらうために、県が旗を振って観光を「振興」することも決して悪いことではないのかもしれません。

 しかし、考えてみれば重要な産業はなにも観光だけではありません。
 日本を支えているのは、外貨を獲得して国と富ませている製造業であり、市民生活に不可欠なエネルギー産業です。運輸業も小売業も、農林水産業も、なければないで困るでしょう。
 観光の振興条例を作る勢いだと、これらの産業にもいちいち振興条例を作れという声が目立ちたがりな人々から出かねないので、個別産業の振興条例が雨後のタケノコのように次々と生まれ、それによって行政の縦割りとセクト主義、それから派生する恐るべき非効率と政策の硬直化が進むことでしょう。

 それはさておき。
 はんわしも公務員の端くれなので、仮に自分が振興条例を作れ、と命令された立場なら、せめてたくさんのパブリックコメントをいただき、「条例を作るにあたって、こんなにたくさんの県民から意見をもらいました。それはつまり世間での議論が活発だった証拠であって、自分は世のため人のためになる立派な仕事をしました!」というエクスキューズが欲しくなります。一つでも多くのコメントが(しかもできれば建設的なコメントが)欲しいというのがうそ偽りのない心境です。

 みなさまももしお時間があれば頭の体操がわりに条例素案を見ていただいてはどうでしょうか。できればコメントもしていただけるとありがたいのではないかと思います。

 はんわしが気づいたのは次のような点ですが、みなさまはどうお考えになるでしょうか。

・そもそも論だが、観光は本当に「振興」しなくてはいけないのか?
 以前このブログに書いた気もしますが、ある町の商店街振興の仕事をしていた時、近くにある観光地にあやかって、地元住民向けの最寄品店や食料品店が多い業態から、観光客向けの土産物店への業態転換を提案したことがあります。しかし「観光業など虚業である」と反発する商店主さんが意外に多かった事実があります。観光など、町が騒がしくなり、軽薄な観光客がゴミを落としていくだけのものではないか、という声にどう応えるのでしょうか。

・観光業を21世紀の成長産業とするなら、それなりの産業政策的アプローチが必要では?
 現在の県の観光政策はプロモーションのみで、観光サービスの高度化や高付加価値化への支援施策は皆無です。海外からの誘客も、この素案では方向性がハッキリしません。これでは後発の観光地にキャッチアップされるのも時間の問題でしょう。

・県境を越えた広域的なプロモーションが必要
 東紀州が典型的ですが、熊野と呼ばれる地域は三重、和歌山、奈良にまたがっており、県境に意味はありません。北勢地域も第二名神や伊勢湾岸道の開通によって、観光客の動線は数年前に比べ激変しています。三重県だけ、とか、伊勢志摩だけ伊賀だけ、という狭いくくりでなく、「伊勢志摩と渥美半島」とか、「伊賀と湖南地域」といった観光客のニーズや実態にあった誘客戦略が必要です。

 

2010年12月15日水曜日

だめだこりゃ



 日曜日、本棚を整理していたら、いかりや長介著「だめだこりゃ」(新潮文庫)が出てきました。

 平成16年5月の11刷ですから購入したのもそのころだったのでしょうが、なぜかまったく記憶がありません。
 ちなみに、いかりやさんはこの年の3月に亡くなっていますので、そのためもあって読んでみようと思って買ったまま本棚で眠っていたのかもしれません。

 はんわしの世代にとって、ドリフターズはまさにスーパースターでした。
 月曜日に学校へ行くと、おとといの土曜日の夜に放映されていた8時だよ全員集合のカトちゃんのギャグを真似している友達が必ずいました。当時は小学生、特に男子はほぼ全員見ていたのではないでしょうか。

 そのように、完全にコメディアン集団というイメージが強いドリフターズですが、いうまでもなく彼らは本来、音楽バンドであり、ハナ肇とクレイジーキャッツのようなコミックバンドの超進化形として純粋なコントだけ、ギャグだけをやる集団に変質したのです。

 昭和41年にビートルズが日本武道館での公演のため来日した時も、ドリフターズは前座として曲を演奏しています。

 いかりや長介さんは、カントリー&ウエスタンのベーシストから出発し、のちにドリフターズに加入。リーダーとしてドリフターズをコミックバンドに方針転換し、8時だよ全員集合の大ヒットによって芸能界の第一線に躍り出ました。晩年は俳優として新たな境地を開きました。

 子供の時は考えも付かなかったことで、中年になった今になって初めて思うことですが、どのような組織であれリーダーとして人の上に立ち、メンバーを引っ張っていくのは大変な気苦労が必要です。

 ましてや、8時だよ全員集合という、多数の観衆の前でライブでコントを演じ、しかもそれを生放送するというハイテンションな番組を16年間も続けるというのは並大抵の努力ではなったはずです。ドリフのコントは、ほとんどのネタをいかりやさんが作り、入念にリハーサルを繰り返して本番に臨んだものでした。

 この本にも、毎週毎週ネタを考えるのがどれほどの苦しみだったかが繰り返し書かれています。思い通りにならない怒りをメンバーやスタッフにぶつけ、叱責している姿はきっと悪鬼の形相であったろう・・・と。

 興味深いのは、ミュージシャンとしてもコメディアンとしても(いかりやさんの表現では)一流ではなかったドリフターズが、練り上げられた話芸を持つ落語家や漫才師と伍していくには、テレビというメディアの特性を生かすことが必要だ、と気が付いたことが重要だったと自己分析している点です。

 落語家の話芸はまさに一つの芸術で完成されたものですが、移り気なテレビの視聴者はいかにすごい芸であってもすぐに飽きてしまいます。

 そのためには、たとえ芸は二流でも常に新鮮なネタを考え、身体を使って画面中を動き回り、飛び跳ねれば、そこにドリフの勝機があると見抜いたのです。いかりやさん自身が書くように、そういったテレビの特性(タレントの消耗が早い特性)に、まだテレビ放送が始まってまもなくの日本では、テレビ局のスタッフ自身も、もちろん芸人も気が付いていなかったのです。

 ドリフが活動を停止し、いかりやさんの活動の中心が俳優業に移ると、今までドリフのメンバーやテレビ局のスタッフに頼られてばかりだった自分が、逆に映画監督や脚本家、先輩の俳優に頼ってもよい立場に変わっていることに気が付きます。

 そして、人に頼れることが、いかに安心できることか、ラクなことかを実感した、という記述も繰り返しこの本に出てきます。キングオブコメディアンの彼にしてもそうなのです。

 ほかにも、終戦直後、米軍キャンプで演奏した話や、ドリフ結成のいきさつ、荒井注、高木ブー、加藤茶といったメンバーの逸話なども豊富に出てきます。
 リーダー論としても、戦後の芸能史としても楽しめる本です。みなさまもぜひご一読を。

2010年12月14日火曜日

起業志望者が増えているらしい



 ここ数日、何人かの商工会議所の経営指導員とお話しする機会がありました。
 その中で「創業塾」の話になり、みなさん異口同音に、この1~2年、体感的には創業希望者が増えているように思う、とおっしゃっていました。
 実際に、以前このブログでも取り上げた三重県北勢商工会広域連合を始め、県内の創業塾事業は非常に盛況のようで、多くはキャンセル待ちが出ていた状況です。

 創業や起業についてはタイムリーな統計が少なく、特に地域別の動向がわかるのは日本政策金融公庫の創業融資統計くらいしかないと思うのですが、それも今はんわしの手元になく、三重県の創業希望者がどれくらい増えており、実際に開業に到った件数はどれくらいか、それがどういう動向なのか、はんわしもよくはわかりません。

 まず真っ先に考えられるのは、景気の低迷と企業の業績不振によって、本来ならバリバリ活躍するはずの中堅社員にも先行き不透明感が強まっており、自分でビジネスを興そうと考える人が増えているのではないか、ということです。
 また、女性についても、一度結婚や出産で正社員を退職すると、同じ条件で、つまり常勤の正規雇用で再雇用されるということは現在の日本では極めて難しく、パートや期限付き雇用しかないのが現状なので、それならいっそのこと自分で起業しよう、と考える方が多いのかもしれません。

 そのような創業希望者を下支えしていたのが、商工会議所や商工会が国の財政支援を受けて行っていた「創業塾」です。
 残念ながら事業仕分けにより創業塾は、運営コストが高いとか、起業者支援は税制面の優遇などのメリットで十分である、などの理由により来年度から廃止となる方向です。
 閉塞した日本の経済状況を打破するのはアントレプレナーシップ(起業家精神) ~小賢しい役人がいくら「緊急経済対策」をバラ撒いても効果はたかが知れています~ であって、起業家精神の裾野を広げていく意味で、創業塾には一定の効果があったと思います。

 反面、全国一律で受講料が5000円であるなど、講座の内容に比べて自己負担が非常に少なく、受講生の本気度が疑わしいケースが散見されたり、主催者である商工会議所、商工会が講座の運営をコンサル会社に丸投げしている例、さらに、せっかく塾によって地域の創業希望者が一堂に会しているのに主催者が受講生の動向を把握しておらず、ネットワーク作りやフォローアップが不十分である、などの問題点が多いことも事実と思います。

 これらを改善して、受講料も適正化(値上げ)し、その上で来年度も意欲の高い商工会議所、商工会によって創業塾事業が継続されることを願いたいと思います。

2010年12月13日月曜日

ベストセラー「みかんのむきかた」って何だ?



 世の中には、いろいろな話があるなあ・・・というおはなし。

 日経トレンディネット(12月8日付け)によると、小学館が11月に出版したあらたしい みかんのむきかたという本が大好評で在庫切れとなっているとのことです。
 みかんの皮アートを趣味とする岡田好弘さんという方が、小学館の編集部に話を持ち込んだのが出版のきっかけとのこと。
 映像を見れば一目瞭然なのですが、球形であるミカンから剥き取った皮で、切り紙のように動物の形を作るというものです。



 これは驚きです。ものすごいアイデアだと思います。
 地域産業活性化の現場では、よくイノベーションの重要性、とか、地域に固有の資源を見直して活用しよう、みたいなかけ声はよくかかるのですが、

 アートに行ってしまう

 というのはスゴくないでしょうか。

 よくわからないのですが、地域に固有の資源ながら、いまひとつブレークしない志摩のあおさとか、菰野町のマコモとか、そんなので折り紙を作っているとかいう酔狂なアーティストはどこかに埋もれていないでしょうか?
 あと、みかんで有名な東紀州でみかんのむきかたコンテストをやってみるとか。

 ■小学館 みかんのむきかた http://www.shogakukan.co.jp/pr/mikan/

2010年12月12日日曜日

あらためて鳥羽港湾センターを訪れてみる



 鳥羽市の鳥羽港湾センターが来年3月で閉鎖されることとなったため、それに先立って「温故知新・ありがとう港湾センター展」なるイベントを開催していると聞いて、のぞいてくることにしました。

 鳥羽港湾センターは、近鉄・JR鳥羽駅から徒歩で5分ほどの佐田浜(さだはま)港と呼ばれるエリアにあり、鳥羽駅と坂手島、答志島、菅島、神島の離島を結ぶ鳥羽市営定期船と、鳥羽湾めぐりの観光遊覧船の発着拠点になっています。


 1970年、大阪万博で湧く関西地方と伊勢志摩を結ぶ近鉄鳥羽線、志摩線が開通し、大阪難波と賢島間に直通特急が走るようになりました。これを機に鳥羽市は一大観光地として大きく飛躍することになりますが、その海の玄関口として同年6月に新築オープンした施設です。

 はんわしも子供の頃、よくここへ遊びに来ていました。オープン間もない、まだ新築と言ってよいほどの頃だったと思います。幼い頃には祖父の日課だった散歩にお供して。小学生時代もは、港湾センターの隣にある鳥羽海上保安部の突堤で魚釣りをしていたという、個人的に思い出深い場所でもあります。
 子供心にも斬新で近未来的なデザインの建物だなー、と感じていましたし、市営定期船や遊覧船のほかに、鳥羽と伊良湖を結ぶ水中翼船や、蒲郡を結ぶホーバークラフトの航路もあって、休みの日などは乗船客でごった返していた記憶があります。

 しかし、報道によれば
「同センターによると、開業から39年間がたって施設が老朽化。さらに市営定期船の利用者数や観光客などの減少から4年前、テナントの大型食堂が撤退し、経営状況が悪化した。」
「さらに、現在入居している市営定期船事務所が近くに建設されるマリンターミナルへ移転を決めるなどしたため、経営再建や施設再構築のめどがたたなくなった。」
 とのことで、
「会社を自主的に解散して市へ土地・建物を移譲し、新たな海の玄関口を構想する鳥羽マリンタウン21整備事業の中で再構築する方向で検討が進んでいる。ただし、関係団体などの交渉が難航すれば自己破産もありうるとしている。」
 ということです。(ブログ「自己破産と民事再生情報」から転載させていただきました。)


 鳥羽といえば、同じく伊良湖との間を結ぶ伊勢湾フェリーが、高速道路無料化などによる業績不振により航路を9月で廃止し、会社を清算する方針だったものが、三重県、愛知県、鳥羽市、田原市による財政支援措置によって航路が存続することが決まったという出来事がありました。

 その時は、関東や静岡方面と伊勢志摩を結ぶルートになっている伊勢湾ファリーがなくなると、観光産業に打撃があるからだろう、くらいに思っていたのですが、鳥羽市は三重県と共に総事業費が183億円にものぼる港湾整備事業であるマリンタウン21計画に取り組んでおり、もし仮に鳥羽の港湾から主要路線である伊勢湾ファリーを失ってしまえば、事業遂行の前提にも大きな狂いが生じてくるために、何としてでも航路を存続させる必要があったのではなかったか、などと今になって勝手に想像してみるのでした。
(伊勢湾フェリーは、マリンタウンが整備される佐田浜港地区ではなく、1kmほど離れた中之郷港地区にあるので、計画には直接の関係はないのかもしれませんが。)


 それにしても、伊賀市役所の存続問題のときもそう感じたのですが、なぜ日本の鉄筋コンクリートのビルは、たった40年で「老朽化」してしまうほどに貧弱なのでしょうか。実際に建物をつぶさに見ると、塩害の影響でもあるのか、古さが目に付くのは確かですが、改装で対応できないものかどうかはよくわかりませんでした。

2010年12月10日金曜日

今が正念場の中小企業ICT化促進



 2008年版中小企業白書にもあるように、中小企業のICT化は大企業に比べて進んでいません。

 ウインドウズ95の登場により、パソコンやインターネットの利用が個人や小規模企業でも本格的に見られるようになってから15年余り。
 今や、電子メールとか、ワープロや表計算ソフト、データベースソフトをビジネスで使うことは常識になっているように考えがちです。
 しかし、たとえばインターネット活用にしても、大企業の普及率が99%以上なのに対し、中小企業は86%ほどにとどまっており、信じがたいことですが14%の中小企業はビジネスの「常識レベル」にすら達していないことになります。

 ICT化は、単に業務プロセスを合理化したり、コストを削減するだけにとどまらず、情報の蓄積と分析によるマーケティングや経営戦略構築、情報の共有化による社内意思決定の高度化や迅速化、など、企業活動の付加価値自体を高めていくことにつながります。
 これから、市場の成熟化 ~単に商圏人口が減少、もしくは少子高齢化するだけでなく、それらの現象が進むにつれて消費の中身が変質していく(=成熟化していく)ことです~ や、競争のグローバル化が進むと、企業にとっていかに付加価値の高いサービスを提供するかがますます重要になります。
 そのために、ICT化をあらためて見直し、導入を図っていく必要があると思います。

 さて、日本政策金融公庫総合研究所が刊行している日本政策金融公庫論集の11月号に、興味深い論文が載っていました。

 ●「クラウド」と「モバイル」による中小企業におけるICT活用促進の可能性(日本政策金融公庫総合研究所主席研究員 竹内 英二) PDFはこちら

 これによると、
・中小企業でICTの利活用が進んでいないのは、資金制約の問題よりも、ICTの知識が乏しいので使いこなせない、あるいはICT投資の効果に疑問をもっているためである。
・リテラシーが低くてもICTを活用でき、ICT投資の費用対効果を高めるという点で、今後期待されるのが「クラウドコンピューティング」と、携帯電話に代表される「モバイル」である。
 とのことで、クラウドとモバイルの活用による、中小企業のICT利活用の成功例がいくつか紹介されています。

 成功例を3つの類型に整理すると、
1 売り上げの増大
   インターネットショップ(EC)、E-マーケットプレイス、携帯電話を使った販促
2 ブランドロイヤルティの形成
   顧客サポート、顧客とのコミュニケーション、インターナルマーケティング
3 コストダウン
   業務の自動化、ムダの削減
 となっており、それぞれ中小企業、特に零細な規模の企業による興味深い取り組み事例、活用事例が紹介されています。経営者の方、産業支援関係者にはぜひご一読をお勧めします。

 論文の結論部分では、中小企業経営者にICTが経営の役に立つことを理解してもらうためには、ベンダーだけではなく、行政など公的な機関が中心になって活用事例を紹介していくことが重要である、とか、セミナーなどにおいてもICTの普及促進などのネーミングでなく、コスト削減をテーマとしたセミナーの中で、ICTが有効なツールであることをアピールする、といったような工夫が必要である、などの提言もあって、はんわし的にも非常に参考になりました。

2010年12月9日木曜日

三重県起業家交流会




 アナウンスです。(残念ながら、はんわしは行けないのですが・・・)

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 三重県のご当地ブログ ミエワン を主催している株式会社アイエリアが、三重県で起業した方、これから起業を目指す方が集まる三重県起業家交流会を開催します。
 三重県各地の商工会議所で開催されている創業塾の卒業生 の方はもちろん、既に起業されてご活躍されている方々、将来的に起業・開業を目指している方などが、交流を通して情報交換や新しいビジネスのキッカケにし ていただくイベントです。

【日時】 12月11日(土)14:00~16:30
【場所】 鈴鹿商工会議所(三重県鈴鹿市飯野寺家町816)
【服装】 自由
【費用】 200円(交流会費用)
【主催】 株式会社アイエリア(三重県委託事業)
【共催】 鈴鹿商工会議所
【後援】 津市商工会議所、桑名商工会議所、四日市商工会議所、北勢商工会広域連合

第1部 基調講演 ~出会うことによって起業は加速する~
      経営コンサルタントとして各地でご活躍中の武田秀一氏を講師に迎え、
      起業に最も必要と言っても過言ではない「出会い」についてお話頂きます。

第2部 プレゼンテーション大会 -希望者による3分プレゼン-
      10名程度を目安に、現在の活動や将来のビジョン等々を、
      2分間のプレゼンという形式で発表していただきます。
      参加を希望される方はお申し込みの際に合わせてご連絡ください。

第3部 名刺大交換会 -名刺持参必須!立食交流会-
     立食形式で約1時間、名刺交換かいを開催します。
     集まった人同士で交流したり、展示されている活動紹介・作品を見たり、
      三重県内で進んでいる様々な起業活動の情報を吸収できます。

その他 三重県起業家・展示ブース
      現在活動している、また準備中の活動紹介・商品展示ができるブースを用意。
      60cm×45cmまでの展示スペースをご希望の方にご提供します。-----------------------------------------------------------------------------------------------

 くわしくはこちらをご覧ください。

 http://www.ai-area.com/kigyoka2010/



2010年12月8日水曜日

地方都市からの強力発信「尾鷲おさかな満喫ツアー」



 尾鷲観光物産協会のブログ「やさほらえ日記」にもあるように、尾鷲市の岩田昭人市長が、観光客を自ら市内の魚にまつわる観光名所を案内する「尾鷲おさかな満喫ツアー」が行われたそうです。
 これは、尾鷲の地域特産品を詰め合わせた頒布会である 尾鷲まるごとヤーヤ便 の購入者を対象にした特別企画で、抽選で選ばれた愛知県や岐阜県からの頒布会員4名が、日本の原風景が残る美しい漁村である須賀利(すがり)町や、世界遺産に認定されている熊野古道の馬越峠(まごせとうげ)、尾鷲の魚市場などを岩田市長の案内で訪問し、尾鷲の自然と魚を満喫したとのことです。

 岩田市長は言うまでもなく、三日に一魚 というブログを、実際にはほぼ毎日のように発信しているアルファブロガーとして有名です。
 尾鷲市長に就任して以来、自ら広告塔となって尾鷲まるごとヤーヤ便のチラシに登場したり、プロモーション活動を行っています。
 はんわしは、正直なところ市政全般についての市長の手腕はよく知りませんが、こと地域産品のセールスに関しては、自らマグロの解体ショーを実演してしまう志摩市の大口市長と並んで、実に立派にリーダーシップを発揮していると思います。

 市町村レベルでは、産業政策(商工政策)は大きく2つの路線があります。
 一つは企業誘致です。一見、設備投資や雇用が増えるため有効な政策に思えますが、製造業自体が新興諸国とのグローバル競争にさらされており、巨額の費用とマンパワーを使って誘致した企業が、いとも簡単に工場を閉鎖したり、海外に移転していくことも珍しくなくなっています。
 もう一つは、いわゆる特産品開発です。地域資源活用、6次産業化、農商工連携など、多くの切り口があり、これも全国レベルの産地間競争状態になっています。
 そこで勝ち抜くには、強力な差別化要因を持つ商品力が必要なのはもちろんですが、地元のバックアップ体制も重要であり、一例として三重県が導入した三重ブランドや、南伊勢町が取り組んでいる南伊勢ブランドのように、県や町や商品を認定し、県や町を上げてプロモーションしていく、という手法もよく取られるようになっています。

 しかし、南伊勢ブランドは、その理想とは裏腹にホームページを見ても実に控えめなPRであり、まるで熱意が伝わってきません。町長も、役場も、顔が見えないのです。
 尾鷲まるごとやーや便も、発足した昨年はそのような消極的な印象があり、実ははんわしはそれが不満で今年から購入をやめました。
 ところが、岩田市長になってから息を吹きかえし、市長自らの顔の見えるプロモーションになっています。これによって尾鷲のファンは確実に増えることでしょう。

 小さな市や町こそ、地域産業振興には知恵と工夫が必要です。
 そのためには、市長や町長の顔が見えるプロモーションが大切だと思います。隠れて出てこない市長さんや町長さんは、いったい何を恥ずかしがっておられるのだろう・・・?


 

2010年12月7日火曜日

高度経済成長は復活できる



 この本を読んで、県庁の大先輩から聞いた話を思い出しました。
 昭和45年頃まで、県庁は職員の数も少なく、仕事もほぼ定時に終わるようなのんびりした職場だった。
 それが、職員数が増え、予算も増え、仕事も忙しくなったのは昭和47年、田中角栄の日本列島改造論が出てきた頃だった、と。

 当時の県庁は、今以上に国の出先機関の色合いが濃かったようですが、このころちょうど、県独自の施策を行うため庁内に企画部門ができました。公害が深刻であったため、環境部門も新設されました。さらに、国の積極財政により道路建設や区画整理などが大々的に行われるようになり、土木部門の予算が毎年何割も増加し、その業務をこなすために土木技師も大幅増員されることになったそうです。

 今から見ると夢物語にしか思えない、県組織のこのような急膨張、つまり「均衡ある国土の発展」という理想こそが、実は日本の高度経済成長を殺した真犯人だというのがこの本「高度経済成長は復活できる」(増田悦佐著 文春新書)の主張です。

 
 経済は投資効率に従って、ある意味で力学的な必然によって動くので、投資はもっとも利益が出る(効率がいい)産業やインフラに投入すべきですし、労働力はもっとも賃金が高く、雇用が不足している場所に集まります。
 太平洋戦争の敗戦で焦土と化した日本は、このようにカネとモノが、大都市部(なかんずく東京)に集中して投資されたことが、奇跡といわれた日本経済の高度成長の、本当の原因だったというのが著者の主張です。

 この集中投資は、戦後の一種の神話である「自民党政権や官僚による産業政策がうまくいった」からではなく、農業から工業へ産業構造が変化する中、農村で余った多くの若い労働力が都会へ移り住み、生産性の高い工業に従事したことが原因です。
 その結果、労働者の給料が増えて消費も増加し、ますます商品が求められ、ますます増産の必要が生じ、ますます農村から都会へヒトが移り、という成長の循環を生んでいました。

 著者によると、これを断ち切ったのが、田中角栄による列島改造論でした。
 田中は、カネもヒトも、会社も、大学も、病院も、もっといえば、華やかな賑わいも、便利で近代的な生活も、大都会ばかりに集中している。これが都会の過密と田舎の過疎の原因であって、人為的にカネ、ヒトを田舎へ分散させ、地域格差を是正することによって国土の均等ある発展が図れる、と考えました。

 ではどう実行するか。
 都会の人は強者だが、田舎の人は弱者である。
 弱者は政治が(国が)救わないといけない。
 
 というテーゼを立てたのです。
 そしてその弱者の論理を政治の中枢に押し上げていきます。

 その代表的なものが道路特別会計です。ガソリンを買えば自動的に課税される打ち出の小槌のような財源によって、全国各地にトンネルを掘り、橋を架け、道路を造りました。
 もう一つが食糧管理会計です。米を農民から政府が買い付けるとき、買い値は高く、消費者への売値は安く設定したため、農家は米を増産して米は余るようになり、しかも食管会計は大赤字になります。
 さらに、投資が全国に分散したため(有名なむつ小川原開発とか、苫小牧東開発のような天文学的な開発投資が各地で行われました。)、本来なら生産効率が高いはずの東京のパフォーマンスが低下し、かといって各地の田舎に作られた巨大港湾や高速道路、飛行場、工業団地などは閑古鳥が鳴いて生産性の向上には寄与せず、結果的に日本の経済成長は昭和50年頃から低迷を始め、高度成長は終焉します。

 問題は深刻です。どうすれば日本はふたたび経済成長できるのでしょうか。
 著者の見解は明快で、「政治によって作られた弱者」を保護する政策はやめ、投資を東京に集中し、都会で働きたい人はどんどん都会に出て行けるよう、価値観も制度も転換すればよいのだ、ということです。投資効率の悪い田舎や、衰退産業へのバラマキは一切やめ、皆が都会に集まって住めばいいのです。

 この著者の言っていることは(田舎の人間にとって見ると)結構ムチャクチャというか、すぐにはハイそうですかとは答えられない気はします。着眼点はあくまで経済成長の復活ですので、田舎には田舎の伝統や文化がある、という視点はあえて無視されています。

 しかし、全く一切のタブーを排して考えると、今のように国が借金して地方に財源を配り続けることはそう長く続きそうにないし、理念や理想はともかくとして、全国均一の住民サービスを、~インフラとか、年金のような社会保障も含めて~ 今後も継続していくことは、将来の子や孫を生まれながらにして借金まみれにするのと同じ行為です。

 著者を批判し、無視することは簡単ですが、日本の停滞がこれだけ長引く中、今までなら禁じ手だと一蹴されていたものでも、一応は考慮に入れ、真剣に考えてみる必要が出てくるのかもしれません。(武器禁輸三原則の見直しなども、同じような時代思潮(トレンド)から生まれてきたもののような気がします。)

2010年12月6日月曜日

せんとくんの経済効果は225億円



 奈良県が、平城遷都1300年祭の上半期の経済効果を公表しました。

 今年1月から9月までの、メイン会場である平城宮跡への観光客数が334万人。
 観光施設や、特別拝観を実施している神社仏閣などへの来場者数は524万人。
 合計850万人あまりの経済効果は、967億円にものぼるとのことです。

 興味深いのは、法体の少年姿でありながら頭部からシカの角が生えている外観があまりに異様であり、「かわいくない」、「癒されない」、「仏教を冒涜している」などと前評判はさんざんだった公式キャラクター「せんとくん」の経済効果です。
 
 メディア露出の状況が、新聞・雑誌等への掲載件数3580件。広告換算額は62億8169万円。

 テレビ放送件数は410件で、放送時間が32時間40分10秒。この広告換算額が162億2190万円であり、合計で何と225億円もの広告効果があったとのことです。

 せんとくんについては、広告効果のほかに関連グッズのライセンス料も48億円あったそうなので、いい意味で予想を大きく裏切る孝行息子に出世した感があります。

 仏教界の一部がせんとくんに対抗してリリースした「まんとくん」は完全に蹴落とされ、今や見る影もありません。今から思えば、これもせんとくんを盛り上げるための出来レースだったのではないかとさえ邪推してしまうほどです。

 公式キャラクターは通称「ゆるきゃら」とも呼ばれ、一説には170億円もの経済効果を生み出したといわれる滋賀県彦根市のひこにゃんがあまりにも有名ですが、県とか市が地域の命運をかけて世に出すゆるきゃらも100億円台の戦いになってきたのでしょうか。

 津市のゴーちゃんは、さて、孝行娘になれるやら、なれないやら。

2010年12月5日日曜日

江姫が住んだという伊勢上野城に行ってみた

 NHK大河ドラマのロケ地が、人気にあやかって地域おこしに取り組むのが例年の恒例行事のようになったのは何年位前からでしょうか?
 おそらく、こういったご当地ブームと期を一にして、ドラマの終了時にその回に登場した舞台やロケ地の簡単な紹介やアクセスガイドが放映されるようになったのは、緒方直人が主演した信長のころからだったような気がするのですが・・・
 今年の大河ドラマ「龍馬伝」も人気が沸騰し、高知や長崎はいつになく多くの観光客を呼び込んだようですが、早くも2011年度の大河ドラマ「江(ごう)~姫たちの戦国~」を当て込んで、津市が動き出しています。
 
 現在の津市の中心街から伊勢湾沿いに約10km北上した場所、現在は津市に合併した旧河芸町(かわげちょう)に、上野という町があります。(三重県には忍者で有名な伊賀にも上野という土地があり、紛らわしいので伊勢上野と呼ばれたりもします。)

 ここは東海道の桑名から伊勢神宮を結ぶ参宮街道沿いにあり、目の前には伊勢湾が広がり、陸海の交通の要所といってよい場所です。こに、大河ドラマの主役となる江姫(ごうひめ)が、幼少期の数年間、住んでいたという記録があるそうです。
 彼女の数奇な運命についてはぜひこちらをご覧いただきたいのですが、生まれてまもなく父親(浅井長政)が敗死。その後、母親(お市の方)に従って三姉妹で、伊勢上野、津、北の庄、と転居し、後に徳川二代将軍となる徳川秀忠と結婚。三代将軍となる徳川家光を生み、栄華のうちに死去、というまさに波乱万丈の生涯です。

 はんわしも、河芸町付近は当然ながら数え切れないほど通っていますが、国道23号線や近鉄名古屋線から良く見える小高い丘が伊勢上野城跡だとは、実は今日まで良く知りませんでした。来年はブームになる可能性もあるので、その前にちょっと押さえておこうというわけで、初めて行ってみることにしたのです。
 

 近鉄だと豊津上野駅(普通列車のみ停車)から徒歩15分ほど。ちょっとしたハイキング気分でサクサクと山道を登っていけます。丘の上はうっそうとした林と竹林になっており、そこを抜けて二の丸、本丸の跡まで来ると、一体はすっかり公園となっており、往時の面影を想像することはまったく困難です。
 天守閣の跡には立派な3階建ての展望台が立っており、眼下に参宮街道の町並みと、伊勢湾が望めます。この日は天気が良かったので、遠く鈴鹿山脈から鳥羽の離島まで、そして対岸の知多半島も良く眺められ、いつまでもここで景色を見ていられるような絶景の場所でした。



 展望台は2階が資料室になっており、城跡のジオラマや古文書などが展示されています。職員の方が二人いて、伊勢上野城のことや、江姫のこと、さらには織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑の人となりを、まるで知り合いか親戚のおじさんのことでも語るように、くわしく、生き生きとガイドしてくれます。無料なので、ぜひ立ち寄りたいポイントです。江姫のゆるキャラであるゴーちゃんのグッズも販売しています。はんわしも、タダで熱心にガイドしてもらったので、手ぶらで帰っては悪いと思い、ゴーちゃんコースター(コップに敷くやつ)を買いました。300円なり。
 

 30分ほど城跡を散策し、説明を聞き、もと来た近鉄の駅のほうへ下っていこうとしたら、林の中に自動小銃やら拳銃を持った怪しい人影が見えました。
 一瞬ドキリとしましたが、どうも中学生くらいの数人がモデルガンでサバイバルゲームをやっているようなのです。

 観光地として売り込もうという津市や津商工会議所の熱意とは別に、実際問題として城跡にはほとんど観光客はいないので、こういうゲームをやるにはぴったりの場所でしょう。意外にもその一人が「こんにちわー」と挨拶してきました。
 「物騒なもんを持っとるなあ」と声をかけたら、「ハイ。でも、安全に気をつけてやっています!」と、これまた礼儀正しくハキハキ答えてくれました。
 戦国の世から400年たった今、2010年。
 何て平和なニッポン。

レッ津ゴー! 津市観光協会 江ゆかりの地をめぐる旅
  http://www.tsukanko.jp/go_special/

<平成23年1月16日追記>
 観光会社が「江姫ゆかりの地」周遊バスの運行を始めました。リンクはこちら

2010年12月3日金曜日

社会的企業 どう育てる?



 今日(12月3日付け)の中日新聞朝刊に、社会的企業どう育てる という記事が載っていました。
 社会的企業とはソーシャルビジネスとも呼ばれ、教育、貧困、国際問題、環境保全などのような社会的な課題を解決するための事業を、ビジネスの手法で行おうとするものです。
 ちなみに、よく似た言葉に「コミュニティビジネス」がありますが、これはソーシャルビジネスとほぼ同義ながら、より身近な地域課題の解決を目指す、身の丈のビジネスという点が若干違います。

 さて、中日新聞の記事は、岐阜県のNPO法人による、廃屋だった宿泊施設を改造して、観光客に田舎暮らしを体験してもらうとともに、地域で若者が暮らせるような就業先を作ることを目的としたビジネスや、東京のフェアトレードで仕入れた宝石などを使ったジュエリー製作会社の事例が紹介されています。

 ここまでであれば、最近ブームになってきているソーシャルビジネスの入門編で終わりなのですが、この記事はソーシャルビジネスを起業した人(起業家)が、開業資金や運転資金に苦労したり、理念に共鳴してビジネスに従事してくれる、実務能力を持った人材が不足していたり、という現場の苦労を伝えている点に新鮮味があります。

 資金面については、いわゆるNPOバンクであるコミュニティ・ユース・バンク・momo(モモ)の融資により、人材不足については社会人ボランティア集団のプロボノの支援により、それぞれ課題を克服し、現在はほぼ順調にビジネスが展開していることが書かれています。

 ソーシャルビジネス、コミュニティビジネスとも、啓発の時期はすでにピークを越えた観があり、実際の起業家や、起業志望者をどうサポートしていくかという問題が課題のステージに入っています。

 この記事が書くように、政府が70億円もの予算を社会的企業の振興につけるのは、確かにありがたいといえばありがたいこと(社会的企業の意義や存在感を政府も軽視できなくなってきたこと)には違いありませんが、このような「産業政策」は、下手をすると結局は行政に依存し、保護してもらわないと成り立たない産業に堕落させてしまう可能性もあります。
 なので、スタートアップの時期はともかく、原則として民間の資金や、民間のノウハウを活用すべきで(つまり、社会的企業だと過保護にするのでなく普通の企業のように)、民間の自律的な支援体制を作り、強化することこそが必要です。

 さて、そのコミュニティ・ユース・バンク・momoが、12月1日から融資申し込みの受付を開始しています。
 「わたしたちの子や孫がこのまちでずっと暮らしていけるように」。そんな想いが込められたわたしたち(市民)のお金を、同じ想いをもつ東海3県の事業に届けていきたいと思います。
 という理念で、融資を希望する事業者を来年1月30日(日)まで公募しています。

 融資額は500万円まで。貸出金利は年2.5%。最長3年の毎月返済で、連帯保証人が必要です。融資に当たっては審査がありますが、そのポイントは
  ・地域性(地域の問題を解決する事業)
  ・市民性(市民参加を促進する事業)
  ・独自性(他に先駆けて挑戦する事業)
  ・継続性(融資実行後も継続する事業)
  ・成長性(人や組織が成長する事業)
  ・発展性(他のモデルとなる事業)
  ・浸透性(人びとの暮らしに浸透する事業)
 という諸点とのこと。

 くわしくは、momoのホームページをご覧ください。

■コミュニティ・ユース・バンク・momo http://www.momobank.net/

2010年12月2日木曜日

Googleダンス?



 三重県熊野市で木箱・折箱の製造販売を行っている上古代折箱店(ここは雑誌「伊勢人」編集部が選んだ三重の隠れブランド25選にも選ばれています)のブログ「熊野の木箱職人」にあったのですが、ヤフーやグーグルといった検索エンジンの上位に表示されていたサイトが、なぜか突然にランクアウトし、全く表示されなくなるか、トップページでなく中層のページが表示されるというアクシデントに見舞われることがあるようです。

 ちなみに、熊野の木箱職人さんの場合は、お店を紹介しているトップページでなく、検索結果にブログしか表示されない状態になってしまいました。

 これは、ネットショップにとって致命的ともいえる大変に怖い状態です。
 幸い現在は回復しているようです。(ヤフーで「木箱」と検索してみてください。)

 この現象をグーグル・ダンス(Google Dance)と呼ぶそうです。
 はんわしも知りませんでした。
グーグルは検索結果を、月末から翌月5日くらいにかけて更新しており、その時期に検索すると検索結果がいつもと違う時があるそうです。つまり、いつもなら5位くらいに来ているサイトが、なぜか50位に表示されるなどのようにです。
 この揺らぎがグーグルダンスと呼ばれるものです。
 そして、これは、純粋にグーグルのサーバーの問題であるため、サイト管理者には手の施しようがなく、元に戻るまでほおっておくしかないという困ったシロモノだそうです。

 三重県産業支援センターの水谷ITコーディネーターによると、「対策の一つとしてGoogleウェブマスタツールを使い、サイトマップ登録をすると少しは効果があるでしょう。」とのこと。All Aboutで解説されているので、興味のある方はぜひお読みください。

 ■間違いだらけの検索エンジン登録 http://allabout.co.jp/gm/gc/296818/2/

 

2010年12月1日水曜日

MIJPからお知らせ



 今日は先々週に、購入の申し込みをしておいたテレビが届いた、という連絡があり、帰宅後トンボ帰りで電器店へ。
 早速部屋に運びこんで組み立てたり、接続したり、エコポイントの申請書を書いていたりするうちに11時近くになってしまいました。

 というわけで、今日もまた業務連絡です。

 NPO法人メイド・イン・ジャパン・プロジェクトの富田事務局長からメーリングリストが届いていました。
 関心がありそうな方に周知して欲しいとのことだったので、地域の産業振興に関心がある方(もちろん工場誘致とかの20世紀的な振興方法ではなく、真に地域と産業のWin-Winの振興を考えている方)は、ぜひお読みください。

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【無料セミナー情報】
12月4日・5日・8日・12日・19日初心者にわかりやすく売れる!
商品開発プロデューサー養成講座!

地域活性化に興味がある方!
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農業者と知り合いたい方!
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海外へ商品展開したい方!
そして、商品開発のプロデューサー的視点を見につけたい方!
そんな皆様に向けてNPO法人メイド・イン・ジャパン・プロジェクトは農商工連携等人材育成事業採択事業を開催します。農商工連携とは、農業・漁業・林業と商工業がマッチングして新しい商品を開発し売るための国の事業です。

今回のセミナーでは、食品等を含めた商品開発に必要なプロデューサー的視点を得るために学ぶ、考える、実践的なセミナーです。
※プロデューサー的視点とは、商品の開発から、販売、アフターフォローまでを見据えた考え方と定義しています。
※単発での参加も可能です。

この視点のない商品開発は作ったけれども売れないし、売るところもない、ということが起こります。みなさんの周りにもいませんか?作ったけど、売り先がなくてねえ、という人。そんな方にも来ていただきたいセミナーです。
詳しくはこちら!
http://mijp.jp/archives/2139
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 以上です。
 はんわし個人としては、農商工連携は非常に可能性が高いとは思います。
 しかし、以前このブログでも書いたように、正直言って農商工連携でリリースされる商品は全国どこも似たり寄ったりで、全国市場や海外市場でどれだけ独自性をアピールできるかというと非常に心もとないものがあります。
 一言で言えばマーケティングが不足しているからです。

 ものつくりや手仕事の世界において、マーチャンダイジングとかマーケティングの重要性を一貫して提唱しているMIJPだからこそ、この講座は大変期待できるのではないかと思います。