2011年4月30日土曜日

イオン、ユニクロ、それぞれの新展開

 g.u.(ジーユー)伊勢店が、伊勢市郊外の国道23号沿いに開店しました。
 この場所は最近までユニクロ伊勢店だったところで、ユニクロが新たに近隣地で店舗を移転拡大したために空き店舗になっていたもので、いわば居抜きです。

 昨今の不況下、百貨店、総合スーパー(GMS)をはじめ、外食チェーンや専門量販店も軒並み苦戦している中で、ほぼ一人勝ちだったユニクロも、直近(2011年2月中間連結決算)では、売上高が前年同期比2.9%減の4573億円、営業利益が17.8%減の820億6100万円となり、やや元気を失ってきています。

 その中での、新業態g.u.の出店。はんわしは、既存のユニクロ店との違いをよく知らなかったので、のぞいて来たのですが・・・。

 要するに、ユニクロよりもさらに低価格のカジュアル、肌着、などに特化した店のようです。(今さらながらですが、やはりこのようにしか説明できません。)
 有名な990円ジーンズなど、価格設定はほぼ千円台で、2000円以上のものはほとんどありません。デザインも全体的に若者層を狙っているように感じられ、プレーンな定番商品の割合や、チノパン、ジャケットといった年輩客向けの商品がユニクロより少ない気がしました。

 以前、GAPのシャツを買った時に、品質が今ひとつ(?) ~生地の厚み、風合いとか、縫製とかが何となく~ のように感じたものです。
 しかし、後から聞いた話では、むしろ日本の市販衣類こそが過剰品質なのであって、世界市場を制覇している欧米の巨大衣料チェーンは、安値とデザイン(流行)の2点のみが差別化ポイントで、流行が廃れてしまうまでのワンシーズンさえ着れれば消費者はそれで満足している、ということを聞きました。

 その意味では、g.u.は「世界標準」ということなのでしょう。(g.u.のキャッチフレーズは「ユニクロにできなかったことを。」なので、ファーストリテイリングはg.u.で世界市場のボリュームゾーンに打って出るということなのだろうと思わせてくれます。)
 けれども実際問題として、この価格で、それでもこれだけの品質の衣料品なのですから、個人的には非常に利用価値の高いブランドだと思います。実際に、わしも速乾性のシャツを買いました。

 もう1つの話題は、イオンの新業態、ザ・ビッグ エクストラ(一部の店舗はザ・ビッグ エクスプレス)という激安スーパーです。
 一昨年、津市河芸町に開店したイオン河芸ショッピングセンターが、このたび、ザ・ビッグエクストラ津河芸店にリニューアルしましたが、たまたまここにも立ち寄ることができました。
 オープンセールだったせいもあるのでしょうが、生鮮野菜が単品で数十円から100円ほど。家族連れが多く、買出しよろしく、食品や飲料をカートンごと大量に購入している姿も見かけました。

 この安売り業態も、明らかに大型GMSが行き詰っている中で、安値を差別化要因に現状打開に打って出たものでしょう。
 実際に売り場を歩くと、アイテムごとのバリエーションは相当絞り込まれており、例えば野菜ジュースは伊藤園、デルモンテ、トップバリュの3種類しか見かけませんでしたし、インスタントラーメンもカートン売りでした。

 震災後、消費の動向はどう変化するのか、当事者である商業者・サービス業者には気がかりなことだと思います。
 過剰な自粛ムードは解消されつつあるようですが、何となく世の中が落ち着かない雰囲気ですし、復興財源に増税が検討され、わしのような公務員は賃下げが目前に迫っているので、必要のあるものしか買わない、という財布の紐のかたさは、今しばらく続くのかもしれません。

 これは、将来に対するぼんやりした不安と、原発事故に起因する現代物質社会への懐疑から出発しており、いわば「節約」を消費したいという消費者の倒錯したニーズなので、対処として需要拡大策をとってもますます乖離していくだけです。
 このあたり、ユニクロ、イオンともしばらく苦しい試行錯誤の連続になるような気がします。

2011年4月29日金曜日

熊野古道とかは、もういいです・・・という人への東紀州ガイド

 一般サラリーマンや学生にとっては嬉しいゴールデンウイークが始まります。
 三重県を支えている重要産業である観光・交流産業も大震災をきっかけとした自粛ムードの中で観光客、特に宿泊客が例年に比べ大きく落ち込んでいるようです。これは関係者にとっては気がかりなことかと思いますし、当面はプロモーション、情報発信を素早く、きめ細かく発信して、「GW中はヒマはあるが、どこに行こうかは決めていない」という方々~いうなれば「浮動票」~の取り込みに全力を挙げるべきなのでしょう。

 反対に、観光客サイドから見れば、お気軽、お手軽に観光できる可能性も例年に比べ大きいということです。

 はんわしがオススメするのは、三重県東紀州(三重県南部の、尾鷲市、熊野市、紀北町、御浜町、紀宝町の2市3町からなる地域)です。
 ここは、伊勢神宮と熊野三山(熊野本宮、那智大社、速玉大社)を結ぶ熊野古道伊勢路が、世界遺産になっていることで有名です。熊野三山は正確には和歌山県にあるのですが、生活感覚としては紀伊半島最南部の三重、和歌山、奈良が入り組んだ地域は「熊野」という広域的な文化圏、生活圏を形作っています。(テレビ番組、電話番号、電力会社の管轄なども関西圏と中部圏が入り混じっています。)

 さて、その世界遺産熊野古道ですが、三重県側の「伊勢路」は、中辺路など和歌山県側に比べて、峠に作られた石畳が往時のまま現存している区間が多いことが特徴です。熊野灘と急峻な吉野熊野の山塊にはさまれた東紀州は全国屈指の多雨地帯です。

 旅人の難儀を和らげようと、険しい峠道にあれだけの石畳を築いた先人の努力と、今なお現役を続けている石組みの施工技術の高さは想像を絶するものがあります。
 この感動は、残念ですが、どんな美文でも伝わらないでしょう。熊野古道の現地に足を運ぶしかありません。

 しかしながら、です。
 峠歩きはけっこうシンドイ。この季節汗もかく。
 古道は古道として、ラクチンに東紀州を観光したい方も多いでしょう。
 そのような方に「はんわし的、超お手軽コース」をご紹介します。


 とりあえず自家用車利用で、日帰りを前提に。

■行き
 各地 → 紀勢自動車道 紀勢大内山IC(終点) → 国道42号線 紀北町紀伊長島の道の駅「マンボウ」(荷阪峠を下りきったあたりの、絶妙な場所にある)で休憩→尾鷲市へ

 ・尾鷲市では三重県立熊野古道センターから尾鷲湾の絶景を見てボーっとするものよい。

 尾鷲市 → 国道311号線(国道42号線ではない)で、リアス式海岸に沿って熊野市へ

 ・途中の「波田須」という集落にある徐福宮(徐福神社)は超おすすめです。日本の原風景と言い切れます。
 ・国道311は道が狭くカーブが多いのと、海の景色がめちゃめちゃキレイなのでわき見運転注意。
 ・熊野市内の適当なところで昼飯。ちなみに「サンマ寿司」とか「めはり寿司」が有名。

 ・七里御浜沿いに、これまた世界遺産の獅子岩とか花の巌(はなのいわや)神社がある。

 熊野市 → 国道42号線を和歌山方面に南下
 ・途中、御浜町ピネとか紀宝町ウミガメ公園などの道の駅あり。紀宝町ウミガメ公園ではウミガメにタッチできるかも。ここらに車を止め、七里御浜から熊野灘を見てボーっとする。
 さっきからボーっとしてばっかりだが。


 ・時間に余裕があれば、熊野川の対岸に見える和歌山県新宮市に行き、速玉大社を参拝するのもよい。

■帰り
 基本的に国道42号を、(新宮)→紀宝町→御浜町→熊野市→尾鷲市→紀北町→紀勢自動車道紀勢大内山ICの順で帰る。
 途中、尾鷲市に「夢古道の湯」(三重県立熊野古道センター裏側の高台にある。徒歩3分)、紀北町に「古里温泉」などの温泉施設があるので、ひと風呂浴びるのもよい。
 土産物は、尾鷲市は42号線沿い、尾鷲市民病院の前、マクドナルドとなりの「お魚市場 おとと」。紀北町は、道の駅海山か、道の駅マンボウ(冒頭でも触れました)でどうかと。

 付け足しますが、高速道路は、津IC以南は無料化されています。
 食事どころは、たとえばこちらを参照してください。

 ■ちゃんとしたガイドブックはこちら 東紀州観光まちづくり公社

2011年4月27日水曜日

全国のソフトバンクショップにガイガーカウンターが

 INTERNET Watchその他で、ソフトバンクの孫正義社長のコメントが大きく取り上げられています。

 これによると
 ソフトバンクグループは、福島県の学校に放射線量測定器「ガイガーカウンター」を提供する方針を明らかにした。提供台数や提供時期は未定。また、全国のソフトバンクショップでも放射線量の定点観測を行うという。
 とのことです。

 孫社長は24日、Twitterで「全国のソフトバンクショップで放射線量の定点観測を行う」とツイートしていました。

 しかし、 Twitter上で「本当に必要なのは福島での観測点を増やすこと」という指摘を受け、まずは福島県内の学校優先で配置するようです。

 孫社長は、東北関東大震災の直後、復興支援として100億円を個人で寄付することを表明。
 さらに、10億円の私財を投じて「脱・原発」を掲げる財団法人を設立することも発表しました。
 この財団では太陽光や風力発電といった自然エネルギーの利用について各国の科学者や企業の研究成果を収集・発信し、自然エネルギーの普及に向けた提言などを進める活動を行う予定とのことです。

 ホリエモン亡きあと、かろうじて日本のアントレプレナーシップを体現しているのが孫社長だというのは衆目の一致しているところだと思います。この決断力とスピードには正直、感心させられます。
 太陽光などの自然エネルギー利用も、低炭素社会とか地球温暖化対策などというリアリティーのない話でなく、現実に原発事故による放射能汚染、電力不足が目の前に出現してはじめて具体的に進みだすというのは人間の性(さが)、もっと言えば「業」のようなものでしょう。
 その意味で、今、このような財団を作ることは、良くも悪くも20世紀の尾骶骨を引きずっていた今までの世の中のトレンドが全く変わってしまうかもしれない、国民大衆の潜在的な「気分」というか「空気」をよく読んでいる行動で、この感度もさすがだと思います。

 しかし同時に、ガイガーカウンターはただでさえ品薄であり、本当に必要性に迫られている農業者、漁業者や、輸出製品を作っているメーカーなどは確保に大変な苦労をしているようです。ソフトバンクの行動は善意にせよ、さらなる品薄につながらないでしょうか。
 また、海外に向けた「日本の大部分は安全である」という正確な情報発信とセットにしないと、一企業が全国にガイガーカウンターを配置するという事態そのものが、海外にさらなる風評被害を蔓延させないでしょうか?

2011年4月26日火曜日

はぁ~っ・・・(嘆息) ※4月30日内容修正

<追記>
 4月28日、尾鷲市役所のホームページに
  パンフレット「尾鷲よいとこ定食の店」ができました!
 という記事が掲載されています。
 尾鷲市内の、鬼瓦、ごしま、江戸ッ子、豆狸(まめだ)、わかちゃん、ロリエ、葉っぱがシェフjomon、あけぼの鮨、おふくろ、もりば、レストラン三紀、橋本屋、シェ・ママン、尾鷲シーサイドビューの14店、いずれも錚々たる名店が紹介されています。リンクはこちら

(注)4月30日に内容を修正しました。


 先日、中日新聞に「尾鷲よいとこ定食の店」なるPR冊子が発行されたという記事が載っていました。
 この冊子は、尾鷲市が「魅力ある魚のまち」を観光客らにPRしようと、地元で獲れた魚介を素材にした料理を提供している飲食店を紹介するものだそうです。A6版、20ページで、煮魚、刺身、寿司などの和食、フランス料理など14店舗が掲載され、自慢の料理のカラー写真や調理担当者の人柄やこだわりなども紹介されているとのこと。

 尾鷲をはじめ、三重県東紀州地域は豊かな自然があり、その風土に育まれた農産物、水産物が豊富で、実に美味です。わしは決してグルメでもなんでもないですが、ちょっとした定食屋でも旨くて安いところが多いのは体験的に知っています。それでもまだまだ知らない店があることでしょう。この種のガイドブックには興味が湧きます。

 新聞記事は続きます。「裏表紙はスタンプ用紙になっており、来年三月までにガイドブックに掲載されたうち三店舗以上で飲食すると、尾鷲ヒノキ製の箸がプレゼントされる特典もついている。」
 なるほど。これはイイ。

 さっそくインターネットでチェックだ。
 Yahoo!で「尾鷲よいとこ定食の店」と検索すると、何とトップ表示されるのは伊勢市の出版社が出している雑誌の目次です。それらしい項目はリストアップされてきません。
 グーグルでググって見ます。やはり同じ結果(検索エンジンが共通しているので当然ですが)。尾鷲市のホームページも、尾鷲観光物産協会も、東紀州観光まちづくり公社も、また、東紀州最大の民間ポータルサイトであるくまどこも、まったく上位に検索されません。
 
 ああ、何度同じ落胆を繰り返せばいいのでしょう。

 驚くべきことに、「尾鷲よいとこ定食の店」はインターネットに流れていないのです!
 行政や公的団体のだれも、この冊子の記事をネットにアップしていないのです。もちろんSEOもやっていないのです。
 もしこのPR冊子が欲しい市外の人は、まちかどHOTセンターに電話して問い合わせるしかないのです。
 電話したら折り返し郵送しますとか言われ、住所氏名を名乗った後、何日かしてから冊子が届くのでしょう。(下手をすると郵送料もかかるかも。)

 尾鷲に行きたいと思っている潜在的な観光客や、新聞記事を見て関心を持った人のうち、いったい何パーセントがそんな悠長なことをするでしょうか?
 (市民の税金を使って)この程度のプロモーションで観光客が増えると本気で考えていたら、もうこれは「お大事に」としか言いようがありません。

 もちろん、尾鷲まるごとヤーヤ便のように、マスコミでのPRと、ネットでのプロモーションがうまくコラボしている事例もあります。
 なので、尾鷲市を馬鹿にしたり、努力を全否定するものではありません。

 しかし、僭越な言い方を許してもらえるならば、本気で観光をやっている、伊勢、鳥羽、志摩のやり方を、もうちょっと勉強したほうがいいでしょう。
 例えば伊勢市役所と尾鷲市役所で職員の人事交流を1年間だけでもやってはいけないのかしらん。

2011年4月25日月曜日

岐阜柳ヶ瀬にドンキホーテができたらしい

 岐阜市最大の商店街である柳ヶ瀬(やながせ)に大型ディスカウントストアのドン・キホーテがオープンするというニュースが報じられました。かつて名鉄メルサファッション館があったこのビルは、メルサ退店後およそ1年8カ月にわたり空きビルだったそうです。
 岐阜新聞Webによれば、ドン・キホーテ柳ヶ瀬店は、売り場面積は約2600平方メートル。食料品、日用品、衣類、雑貨、ブランド品、家電製品など約6万アイテムを取り扱い、地元雇用はパート100人とのこと。4階から上にも各種テナントが入居するそうで、地元ではドン・キホーテが核店舗となり、買い物客が柳ヶ瀬商店街へ回遊する相乗効果を期待する声が強いようです。

 一方で、三重県名張市では土地区画整理事業で整備された地区内にある市有地に、岡山県に本拠を持つディスカウントスーパー「ラ・ムー」などを運営する大黒天物産株式会社を誘致したことが報じられています。
 伊賀の地元紙Youによれば、土地は市から大黒天物産に年間賃貸借料は3120 万円(月額260万円)、期間30年で貸し出されるもの。出店予定なのは24時間営業のディスカウントスーパー「ラ・ムー名張店」とテナント店で、スーパー部分は1階建て、延床面積2642・70平方メート ル。テナント部分も1階建てで延床面積は828・55平方メートル。駐車台数は157台分あり、事業費総額は約3億4400万円。平成24年年4月の開業を目指すとのことです。
 
 この案件が報告された名張市議会では、議員から「市内にスーパーがいっぱいあるのに、他の店はどうなるのか。」等の質問があり、これに対して市当局は「商業マーケットは飽和状態。一定の競合は避けられず、いろんな影響は少なからずあると思う。」と名張市の激しい出店競争を認めたうえで、「厳しい社会状況の中、(土地を)放置しておくのも看過できな い。」とし、市は名張商工会議所にもこの件を説明し、「もろ手をあげての賛成ではないが、理解いただいた。」と答弁しています。

 関西と東海のちょうど中間にある名張市(三重県伊賀地域)は、地元三重のイオン、名古屋系のアピタ、関西系のオークワの三大スーパーが割拠しているほか、大型専門店、パチンコ店なども東西の店舗が折衷している非常に特異な地域です。
 ここにさらに新顔が殴りこんでくるわけですが、金利負担などの関係でこれ以上土地を遊ばせておけない市の事情もあって、相乗効果を狙う岐阜市とは違った局面になっているようです。

 かつてあった大店法は大店立地法になり、名実ともに、行政による小売業の利害調整(商業調整)は姿を消しました。
 そのためか、既存業者との競合が生じない製造業(工場)の誘致には盛んに取り組むのに、地元の利害調整が複雑な大型小売店舗やサービス施設は、多くの地元雇用を生み出すにもかかわらず、行政は関与に消極的なことが多いようです。
 このことは、地元小売業のあるべき姿、ひいては地域住民に必要な流通機能や商業政策のグランドデザインを、ほとんどの市町村は持っていないという現実も垣間見させてくれます。 
 

2011年4月24日日曜日

伊勢うどんと「トゥルーマン・ショー」

 伊勢うどんを食べに、JR伊勢市駅近くの商店街にある山口屋に行ってきました。
 三重県の人が常日頃から松阪牛や伊勢海老を食しているわけでは ないことは当然なのですが、伊勢市民は日常、伊勢うどんを結構食べているのではないかと思います。(伊勢市内はもちろん、鳥羽市、玉城町、度会町といった伊勢に隣接する地域の食品スーパーでは、麺類のコーナーに「茹で伊勢うどん」と「伊勢うどんのタレ」があるのは常識です。)

 山口屋は伊勢うどんの専門店の老舗で、わしが子供の頃から、この場所に、この店構えで、営業していたことを記憶しています。


 店内は、これまた、わしが幼少の頃から寸毫も違わない、昔ながらのうどん屋さんといったたたずまいです。
 今風に言えば「レトロ」ですが、要はほとんど設備投資していないとも言えます。
 ちなみに店員さんもレトロな昔のお嬢さんでした。伊勢弁が土着の独特のアクセントで、わしのようなよそ者にはとても真似できません。


 ご承知の方も多いでしょうが、伊勢うどんは讃岐うどんのように強いコシがある麺ではなく、極太でモチモチしたうどんです。
 これはおそらく、古来から多くの参宮客が押し寄せる伊勢という土地柄で、短時間で多数に提供するため、あらかじめ茹でておいて、おつゆもいちいち出し汁をかけるのでなく、たまり醤油をタレとしてかけ、薬味も刻み葱だけの、「ファストフード」だったからではないかと思います。
 
 最近は伊勢うどんのタレもカツオや昆布のダシを聞かせているものがほとんどなのですが、昔は本当にたまり醤油だけだったようです。(讃岐うどんでも、通の人は麺のまま、もしくは生醤油だけで食するようですが。)
 ここ山口屋も、比較的昔風の、醤油の味が強いタレがかかっています。
 このように、お店によって麺も、タレも微妙に違うので、食べ歩くのもひょっとすると楽しいかもしれません。わしもヒマだったらやってみようかと思います。


 それにしても、山口屋の近辺の商店街は、ほぼ壊滅状態といっていいと思います。日曜の昼下がりにもかかわらず開いている店は数軒しかなく、歩いている人はほとんど、もしくは全くいません。
 昔、ジム・キャリーが主演した「トゥルーマン・ショー」という映画がありましたが、人っ子一人いない駅前商店街を歩いているとそんな感慨に襲われます。あるいは20kmくらい先で発電所の事故でもあったのではないか・・・などとも。

 中心市街地商店街はどこも苦戦しています。これはすべてが商店主の責任ばかりではありませんが、何事でもそうであるように、商店主(土地所有者)が固定メンバーであり、新規参入がないという状況では活力が起こりようがありません。

 伊勢市駅前も旧ジャスコ跡地は空き地のまま、旧三交デパートは空きビルのままで、核となる集客施設もないので、ますますエネルギーが拡散してゆきます。
 次回の遷宮に向けてホテルを建設するなどの計画は動いているようですが、商店街にも新規参入を増やす施策が必要です。

 これには市のリーダーシップが重要です。
 伊勢市に限らず多くの中心市街地では高度成長期のまま固定資産税の評価額が高止まりしており、テナント賃料も経済実態による収益還元価格とはかけ離れて高価になっており、このことが新規参入を阻んでいる要因の1つになっています。
 都市のスプロール化をくい止め、コンパクトシティとするため、水道法の応需義務のような野放図な郊外開発を容認する条項を廃止し、固定資産税の評価額を実勢価格にあわせて大幅に引き下げ、中心市街地に設備投資する場合のみ上下水道などの公共インフラを整備する「中心市街地再生特区」を伊勢市から提案してはどうでしょうか?
 

2011年4月23日土曜日

偶然に出合った「西村記念館」

 熊野は奥深いなぁ・・・とあらためて認識させられる出来事があったので、今日はそれを。

 先日、和歌山県新宮市に行く機会がありました。
 短時間の滞在だったのですが、せっかくなので、ついでにどこか観光していこうと丹鶴城(新宮城)跡に行った帰り。
 たまたま帰り道が道路工事中だったため、よくわからんままに町の中をぶらぶら歩いていたら、一軒のものすごくレトロな洋館を見かけました。



 最初はレストランかなにかかと思って近寄っていくと、西村記念館とあり、重要文化財、入場料100円とあったので、ついでに入ってみることにしました。まったくの成り行き、偶然です。



 しかし、この建物がすごかった。

 ここは、文化学院(戦前に創立された専門学校で、ヨーロッパの芸術や服飾などを教育した)の創立者であり、当地新宮市出身の西村伊作なる人物の邸宅で、西村自らが設計し、大正3年に建築されたものとのこと。
 管理人の方がいろいろ説明してくれたのですが、和洋折衷の建物で、インテリア、家具、照明、窓ガラスなどどれもこれも素晴らしい!
 今から100年近くも前の建物にしては非常に斬新で、まさに大正期のモダニズムを体現しているような印象を受けます。居間兼食堂は家族がくつろげるようにとレイアウトにも気を配ったようで、西村家のライフスタイルそのものも当時の日本、新宮ではかなり先進的だったのではないでしょうか。 




 こういった贅沢な建築を見ていると、古来から熊野川の水運により吉野・熊野の材木が集積され、市が立ち、全国各地に送り出した港町でもあった新宮は、また建築文化もたいへんに発達した町であったようです。

 残念ながらかなり老朽化しており、特に2階は雨漏りなどで相当痛んでいます。
 しかし、今現在、これだけ奇抜なデザインで、贅を凝らした建物を、果たして日本の大工や建具職人は同じように建てることができるでしょうか。

 熊野速玉大社にも程近い場所なので、建築マニアの方は熊野詣のついでにでも立ち寄ってはどうでしょうか。ぜひおすすめします。

 ■西村記念館を守り伝える会 http://www.geocities.jp/nishimurakinenkan/

 ■新宮市ホームページ(新宮市内文学散歩)http://www.city.shingu.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=18807
 

2011年4月22日金曜日

とうとう高速道路無料化が取りやめに・・・

 NHKによると、政府は今日22日、東北関東大震災の復興に向けた今年度の第1次補正予算の財源を確保するため、現在、全国の高速道路37路線50区間で実施している無料化社会実験と、ETC搭載の普通車に対する土日祝の料金上限1000円を、6月をめどに取りやめることを決定したそうです。
 これらの措置により3500億円の財源が確保さ れる見込みとのことです。(リンクはこちら

 三重県内では、伊勢自動車道の津ICから伊勢IC(終点)までと、紀勢自動車道の勢和多気ICから紀勢大内山IC(終点)の2区間で無料化社会実験が行われています。

 昨年の6月28日から開始されたこの無料化実験では、実験対象区間には有為な通行量の増加が見られ、日本有数の観光地である伊勢志摩や、世界遺産熊野古道などがある東紀州への観光客も増加するなどの現象が見られています。

 反面、これらの地区では週末の交通渋滞が恒常的になったり、並行する一般国道では通行量の減少が見られ、既存のロードサイド店の売り上げに悪影響を与えているなどの副作用も生み出しました。

 以前のブログでも書いたように、民主党のマニュフェストに明記された目玉公約であり、同時に相当な費用がかかっている実験でもあります。結果は十分に調査を行い、功罪を吟味してほしいと思います。

 同時に、観光地としてやっとブレークしてきたかに見える東紀州は、無料化社会実験の中止により少なくない影響が出てくることでしょう。早く次なる誘客戦略を立てる必要がありそうです。

 ■紀勢自動車道「無料化」でどこへ行こうか・・・(2010年6月20日付け

 ■伊勢自動車道・紀勢自動車道 無料化の一日目は(2010年6月29日付け

 ■高速道路無料化実験の影響はホントのところどうか?(2011年1月17日付け

2011年4月20日水曜日

貿易黒字の8割減少とはどういうことか

 夕刊各紙が、3月の貿易黒字が8割減少したと大きく報じています。
 財務省が今日発表した貿易統計によれば、3月の輸出額は5兆8660億円で、前年同月比で2.2%の減。
 一方、輸入額は5兆6695億円で、11.9%の増となり、差し引きの貿易黒字は1965億円となって、黒字幅は対前月比で78.9%減の大幅減少となりました。貿易黒字の伸びが前年同月を下回ったのは16カ月ぶりとのことです。(繰り返しますが、貿易そのものが赤字になったのではありません。)

 これは言うまでもなく、東北関東大震 災の影響です。自動車や半導体産業などを中心にサプライチェーン(部品供給)が途絶し、被災地だけでなく全国の工場に影響が広がり、輸出量が減少したためです。また、輸入額の増加は原油価格の高騰が主因のようです。
 いわゆる輸出型製造業は、トヨタやホンダなど自動車主要メーカーの生産がようやっと再開されるなど停滞は続いており、4月もいっそう輸出が落ち込むのは間違いないと思われます。

 これは暗いニュースのようですが、今回は震災という特殊要因なので、「輸出の低迷が長期化すれば、震災からの回復に向けた日 本経済の足かせになる恐れがある。」(毎日新聞)とか、「日本経済は原材料を輸入し製品を輸出して稼ぐのが基本的構図なだけに、貿易黒字の縮小は景気の下押し圧力になる。」(産経新聞)などは、確かにもっともなのですが、今しばらく注視が必要です。日本だけの事情だけでなく、輸出相手国の景気状況も大きく影響することにも留意が必要です。

 海外貿易に関するモノサシには、モノの輸出・輸入の収支である「貿易収支」と、日本の会社や個人が外国に貯金している利子や、投資している株式の配当などの収支である「所得収支」があります。

 日本は貿易立国だと言われているので、こつこつと額に汗してモノを作り、輸出して儲けていると思ってしまいがちです。

 しかし、時事ドットコムの記事にあるように、財務省が2月8日発表した2010年の国際収支速報によると、貿易収支の黒字は約8兆円なのに対し、利子・配当といった不労所得である所得収支の黒字は、何と11兆6414億円もあって、2兆円以上も多くなっています。

 つまり、日本は超金持ち国なのであって、クルマやテレビやデジカメを輸出しまくって、稼ぎまくったカネを海外に投資し、今やそのリターンのほうが本業の稼ぎを上回っている状態です。
 月給よりも多い額をアパート経営で稼いでいるサラリーマン大家みたいなものです。

 逆に言えば、不労所得である所得収支の推移も貿易収支と同様に注視すべきなのです。
 前出の国際収支速報では、11兆円もある所得収支の黒字ですが、これは円高や海外金利の低下の影響で3年連続で減少しています。

 仮に貿易収支の回復が遅れ、所得収支の黒字額もどんどん減少を続けていくようなら、日本の経済もちょっと危ないな、ということになってくると思います。
 

2011年4月19日火曜日

甘えの構造・・・

 言論プラットフォーム「アゴラ」に岩瀬大輔さんが投稿している「甘えの構造」が面白いです。ご一読ください。
 私たちは結局、自分たちで自分たちの利害調整ができず、今はまだモノが言えない子どもたちにツケを回しているだけなのでしょう。
http://agora-web.jp/archives/1305632.html

2011年4月18日月曜日

モノづくりの危機

 お金を借りている方と、貸している方。つまり、債務者と債権者ではどちらが強いのか?
 法的にはもちろん、返済の義務を負っている債務者のほうが、債権者に対して立場が弱いことになります。
 しかし、実社会では必ずしもそうではありません。

 債権者は、借りたほうがお金を返してくれるのは当然だと思っています。
 けれど、債務者にとって返せないものは返せないので、どうしても返済できない場合が出てくる。あるいは策を弄してわざと返済しない輩も出てくる。
 すると、いっぺんに立場は逆転します。消費貸借の権利などはバーチャルな概念に過ぎず、契約書などしょせんは紙切れです。返せないと開き直った債務者ほど強いものはありません。「無一文」であることは貸し倒れた債権者と同じなのですから。

 なので、ひところよく流行していた、日本はアメリカに対して債権を持っている(アメリカの債券を大量に買っている)ので、アメリカが日本に無理な要求をしてきたら、債券を売ってしまったらよい。あるいは売ってしまうぞと脅せば交渉上有利になる、という理屈も必ずしも正しくないことになります。
 世界経済の重要な(そして比較的誠実な)パートナーであるアメリカの借金返済をムリに迫ったり、債権を他人に譲渡してしまったりするようなことになれば、アメリカの信頼を裏切り、対立は決定的になって、きっと他の部分で意趣返しされるであろうことは確実だからです。債権者はちっとも強くないのです。

 これは、技術の優位性にも当てはまります。
 日本のコア技術が非常に優位で、特定のこの部品、特定のこの技術がなければ工作機械も、自動車も、パソコンもできないとします。(と言うか、現実にそのような例が多数あるわけですが。)
 これは世界の製造業の首根っこを押さえているという意味では大きなアドバンテージですが、多くの部品や技術がすり合わせられ、組み立てられて初めて完成する複雑なモノづくりの過程では、優位性を濫用すると、水面下で日本以外からの部品の調達、日本以外からの技術の導入が画策されることにつながります。
 つまり、優位性をどう戦略的に活用するかが大きな問題なのであって、なんだか成り行きで優位性を持ってしまったということでは、本当の強さには(実のところ)つながっていません。

 週刊エコノミスト(4月26日号)によると、震災によるサプライチェーンマネジメントの寸断は、海外メーカーにあらためて日本の技術優位性、日本製品への依存度の高さを再認識させる結果となっているとのことです。
 そして、日本に過度に依存していることの危険性を実感した海外メーカーは、恐るべきことに代替製品、代替技術を日本以外の国々に求める動きを活発化させているとのことです。

 阪神大震災でハブ港の機能を喪失した神戸港は、復旧に要した2年の間に韓国の釜山港などに地位をを奪われ、貨物取扱量が震災以前の水準まで回復することはついにありませんでした。
 日本の半導体、自動車部品、化学素材なども生産の本格復旧に半年から1年を要すると言われており、この間は新興国などのメーカーにとって草刈場となる可能性も指摘されています。

 復旧でなく、復興だと言われますが、決して元に戻らないのは、日本のモノづくり神話ではないか。そんな危惧がじわじわと、静かに広がっています。

2011年4月17日日曜日

従来型観光に新しい発想と取り組みを!

 東北関東大震災の影響は観光業界にも広がっているようです。(例えば「NAVERまとめ」4月7日の記事参照) 

 この週末の鳥羽も、鳥羽水族館、ミキモト真珠島、鳥羽湾巡りの観光船など、主だった観光地の人出は例年に比べるとやや少ないような印象を受けました。
 福島原発での放射能漏れの問題はなかなか解決の見通しが立ちません。社会全体の雰囲気の中では、旅行や遠出といっても何となく気分的に重苦しいものがありますし、風評被害とか、過度の自粛はよくないという批判はあっても、やはりこのゴールデンウイークに関東や東北に観光に行く人や遠出をしようという人は多くはない が現実だと思います。

 しかし、現状に甘んじるわけにはいきません。あえて災いを福に転じるためには、別の視点で現状を切り開くしかありません。
 観光の場合は、迂遠なようではありますが、インバウンド、つまり海外からの誘客しか進むべき方向性はないと考えます。

 日本は少子高齢化が進んでいき、人口が減ってゆきます。海外からの移民を受け入れて人口を維持する方法もあるのでしょうが、外国人に閉鎖的であるという日本人の気質が、これから20~30年で変わるとも思えません。
 国内マーケットが縮小するのであれば、海外という新しいマーケットに打って出るしかありません。車やテレビといった工業製品がそうであったように、旅行、観光という商品の質を高め、それと同時に生産性を向上させて、利益がたくさん取れるような、足腰の強い産業に変えていく必要があります。

 これは、長年、観光をはじめ日本のサービス業に関して一貫して指摘されてきたことですが、何だかんだ言って国内に1億人以上のマーケットがあり、当座は現状でしのぐことができたため、従来型のビジネスモデルでも生き延びることが可能だったに過ぎません。
 遅かれ早かれ変革は迫られていた。つまり海外からの誘客を大きな柱にするべきであった。そのダメ押しが、震災の影響という形で顕在化したと理解すべきなのではないでしょうか。

 鳥羽に関しては、幸いにもライバルとなる他の国内の観光地に比べていくつかのアドバンテージがあります。
 一つはNPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンターの活動などを通じて、ハンディキャップを持った観光客について、受け入れ態勢の構築やサービス提供のノウハウなどに一定の蓄積があること。
 鳥羽商工会議所などが経済成長が著しい中国からの観光客誘致に数年前から取り組んでおり、ある程度の実績も生まれてきていること、などです。
 さらに、ヘルスツーリズムのような高付加価値型の観光商品や、体験型の観光商品などが鳥羽を中心に提案され、実践され、関係者間で実績や情報の共有が進んでいることも挙げられるかもしれません。

 しかし、今後ますます観光地としての価値を高めていくには、観光客=消費者の日常生活の質(QOL)を向上させるための、予防医学、療養、美容などのジャンルでの科学的な根拠のある観光商品の開発や、観光施設のハード整備、観光に従事する人々のトレーニングなどのソフト対策が三位一体で必要になってくることでしょう。

 21世紀の成長分野である「観光」「交流」といった産業を、三重県で官と民が協力してどれだけ本腰を入れて取り組み、改革し、イノベーションを起こすことができるのか。
 スタートはなるべく速いほうがいいでしょう。
 
 まずは伊勢・鳥羽・志摩は安全な観光地であることを海外の旅行会社やお客さんに対して、3市長が外国語で記者会見・情報発信することは必須です。また、高付加価値型観光に対応できる高度な観光人材の育成にも、外国人スタッフの活用や養成も含めて、急いで取り組むべきだと思います。

2011年4月16日土曜日

尾鷲市の天満荘に行ってみた

 尾鷲の中心市街地からクルマで5分ほど。天満浦という地区に天満荘(てんまそう)があります。
 ここは元々、中部電力株式会社が保養所だったか迎賓施設だったかの目的で建てられたという、木造の建物です。
 その後、中部電力は尾鷲三田火力発電所での事業を縮小したためもあって、この天満荘の建物を手放すことになりました。
 そこで、地元でまちおこし活動を行っているNPO法人天満浦百人会が建物の譲渡を受け、昨年の5月からカフェとしてオープンさせ、昼食やスイーツの提供を行っています。(以前のブログはこちら


 実は、ブログでは紹介したものの、天満荘カフェの営業が、金、土、日、月の午前10時から午後4時までということなどもあって、なかなか足を運ぶ機会に恵まれませんでした。
 このたび、やっと、カフェに行くことができました。
 天満荘は黒潮が沖を流れる温暖の地、尾鷲でも最も早く開花する桜の木があったりして、地元では桜の名所として知られています。
 残念ながらもう葉桜になってしまっていましたが、ドウダンツツジは満開を迎えており、あたりにはウグイスの鳴き声も盛んに聞こえ、春が盛りになってきたことが実感できます。


 1200円の昼食も提供していますが、はんわしはシフォンケーキとコーヒーのセットを注文しました。
 これで600円です。


 天満荘のスタッフの方(妙齢の女性お二人)が親切に天満荘の説明や、特製だというケーキ類や天満浦地区の特産である夏みかんのジュースなどのメニューを説明してくれます。
 伊勢から来ましたというと、「それはそれは、わざわざ遠くから」と言ってくれたので、何だか、2年前まで尾鷲に住んでいましたとは言い出せなくなってしまったのでしたが・・・

 冒頭に書いたように、天満荘は尾鷲の中心地からクルマで5分ほど。
 国道42号線の坂場交差点(三重県尾鷲庁舎の角)を海側(東側)に曲がり、JR紀勢本線のガードをくぐってひたすらまっすぐ進みます。
 尾鷲漁港を過ぎ、海沿いの道になるとカーブが多くなり、特に道が防波堤のゲートを横切って山側の坂を上っていくあたりから極端に幅が細く、見通しが悪くなります。
 この区間が、尾鷲に慣れていない観光客には運転に苦労する部分かもしれません。
 しかし、非常に眺めがよく、天満荘のたたずまいもよく、スタッフも感じがいいので、のんびりした時間を過ごすには良いところだと思います。おすすめです。

 ■尾鷲・天満浦百人会 カフェ天満荘ホームページ
  http://www.tenmaura.info/

2011年4月15日金曜日

ミエワン女性起業塾とか

 商工会や商工会議所が行ってきた創業塾の事業が事業仕分けによって廃止となり、いわゆる「起業支援業界」にとっては寂しい春になっています。まあ、そんな業界があるかどうかは知らないけど。

 経済発展の本源はイノベーション(革新)だというのは定説になっていますが、では、どうすればイノベーションが起こるのかについては諸説あって議論が分かれています。
 もちろん、そもそもイノベーションをどう定義するか ~技術革新や技術進歩という側面を強調するか、ビジネスモデルの創新、さらには社会システムの変革までも見据える本質的な意味と捉えるか~ によっても結論は異なってくることでしょう。

 しかし、ほぼコンセンサスが得られているのは、「競争の促進」がイノベーションの創出と相関があるということです。
 ビジネスに多くの人が常に新規参入する。
 もちろん、ビジネスが不成功に終わり、市場から退出する人も決して少なくはないため、一種の「多産多死」状態とはなるのですが、結果的にこういった激しい生存競争が個別のビジネスを活性化させ、市場を活発化させて、ひいては将来につながる大きな革新を生み出していきます。

 商工会や会議所の創業塾がそのための特別の答えではなかったにしろ、国策としての創業・起業促進がいったんストップされた以上、これに代わる民間や地方自治体の知恵と努力がいっそう求められてくるのは間違いありません。

 前置きが長くなりましたが、三重県のご当地ブログ ミエワンを運営している株式会社アイエリアが、女性起業塾-私は、好きを、仕事にする-を開催しますのでご紹介しましょう。

 起業や創業、事業拡大を考えている女性を対象に、5月28日(土)を皮切りに全5回の講座によって、起業に必要なビジネスプランの作成方法や資金調達(融資を受けるための)方法、プレゼンテーションなどを学ぶものです。

 会場は近鉄四日市駅から徒歩5分のじばさん三重
 参加料は5千円で、定員は80名です。詳しくは下記を参照してください。


 ■ミエワン2011初夏 女性起業塾  http://women.ai-area.com/

 福島原発問題は完全にデッドロックに乗り上げ、我が祖国日本が沈没してしまう危機が今そこに迫っているような恐怖感と苛立ちを覚える方が、はんわしも含めて多いことでしょう。

 奇妙なのは、政府、電力会社、原子力安全委員会など問題の解決を迫られている側(権力を持っている側と言い換えてもいいでしょう)が中年から初老の男性たちばかりであること。そして彼らが成すすべもなく右往左往している異様な光景です。

 この閉塞した社会をブレークスルーできるのは、女性の力ではないかと深く思い至らざるを得ません。それは日本以外の先進諸国、新興諸国ではもはや常識なのですから。
 ぜひこの起業塾にご参加いただき、ビジネスにチャレンジしてイノベーションを起こしてほしいと願います。 

 また、直前のアナウンスにはなってしまいますが、明日4月16日には、津市の三重県文化会館で「創業・経営応援セミナー」も開催されるようです。(詳しくはこちらを 三重県立図書館のホームページ

2011年4月14日木曜日

「農業は成長産業」のまやかし

 ここ数年、産業としての農業の将来性に注目が集まっています。ギャル農業なんていうのも以前ブログに書いたことがあります。
 意地悪い言い方をすれば、農業への注目は輸出型製造業が牽引する伝統的な日本の経済成長パターンが停滞すると、かならず思い起こされ、復活して唱えられるスローガンです。

 農業はまだ成長する余地がある。

 日本の低い食料自給率を高めるためにも農業が重要だ。

 そして、農業停滞の原因は生産性の低さであり、その理由は米農家に代表されるように耕作面積が小さい零細な兼業農家が厚く保護されており、新規参入、特に企業による農業への参入が規制されて競争が制限されているためだと現状分析され、農地の利活用の規制を緩和し、自動車産業など製造業の生産ノウハウを導入すれば、農業は立派な成長産業になる、という論旨が多いようです。

 実は、はんわし的には、これは当たっていると思います。
 従事する人のコスト(時間とか人件費)に比べて生産できる価値が少ないものは産業として自立していくことができません。天候や地形や、水利など自然環境に左右される農業は、製造業と単純に比較することはムリですが、それにしても農業だけを国際的に比較しても日本農業の生産性の低さは際立っており、株式会社の参入促進など何らかのテコ入れは必要だと思うからです。

 しかし、その考え方に大きな疑問を投げかけるのが、本書 さよならニッポン農業(神門善久著 NHK生活人新書)です。
 神門さんによると、日本農業が衰退している最大の理由は、農地転用の無秩序化だとのことです。
 日本の農地制度は、農地の所有を原則として農家(農業に従事する人)にしか認めていません。宅地など他の用途に転用する際も、農業者で構成する独立機関の農業委員会による許可制としました。
 これは、戦前の不在地主制度の復活を阻止するには有益でしたが、高度成長期となり産業構造が農業中心から工業、商業中心に移ってくると、農地として利用するよりも工場やショッピングセンターなどに転貸され、転売されるニーズが強まってきます。そして、それらへの転用は、農業をやり続けているのとは比較にならないほど莫大な転売利益を農業者にもたらすようになります。

 農村のコミュニティが弱体化し、農家同士のつながりが薄くなったことや、なによりも「自由」と「勝手気まま」を履き違えた戦後の民主主義の風潮が事態をさらに悪化させます。
 農家による勝手気ままな農地転用(もちろん、農家にそうさせる不動産業者にも責任はあります)や農地の売買は、農業委員会にも黙認され、行政も手がつけられない状態になります。
 その結果、そもそも日本には農地がどこに、どれだけの面積あって、誰が耕作している、というごく基礎的なデータすら不完全だという、先進国ではおよそ考えられない異常な事態になっています。
 
 耕作に適している、なだらかで、まとまっており、日当りが良く、水はけもよく、道路環境も良い農地は、すなわちそれと同時に、宅地にも、商業施設にも、病院にも、工場にも適している土地ということになります。
 耕作適地が虫食い的に宅地に転用されると、元々狭く、たくさんの用途の土地が入り組んでいる日本の農業環境では効率的に農作業を行うことがいっそう難しくなります。
 さらに、農家個別保障制度による大規模化の阻害や、地方分権に名を借りた農地転用基準の有名無実化が追い討ちとなって、美辞麗句とはうらはらに、日本農業は瀕死の状態にあります。

 では、どうすればいいのか。
 神門さんは、まず取り組むべきなのは、農地基本台帳を整備し、どこにどんな農地があり、所有者は誰で、耕作者は誰かを徹底的に洗い出す「平成の太閤検地」ともいえる作業だといいます。現在のズサンな現状把握では、それを基にしている限り、いかなる農業政策も無意味だからです。
 検地と並行して、今どこでどいいう転用計画があるか、いつ、どんな理由で転用を許可したかを徹底して情報公開し、違法な転用の歯止めにするべきだとも説きます。
 また、今までの農業政策は、まず、「どんな人が農業にふさわしいか」を政府が決め、ふさわしい人(農家)に補助金を払っているやり方です。しかし、これからは「どういう農地の利用がふさわしいか」を決めて、誰であっても最もふさわしい農地利用(農業)をしてくれる人を支援する仕組みに変えていく必要があるとのことです。

 このほかにもいろいろ興味深い話や提案があって、非常に面白く読めます。ブームに踊らされない、農業に対する冷静な視線を持つことが重要だと気づかされます。

 同時に、日本人の悲しい習性、 ~土地に対する猛烈な執着であったり、他人への無関心、自分さえ良ければいいという利己主義などなど~ が、有史以来まちがいなく最も古い「職業」である農業に染み付き、抜きがたく表裏一体となっていることも思い知らされます。
 ともすれば小手先の的外れな農業振興アプローチが蔓延していますが、実は最も本質的なドロドロした農地利権には、農民も、行政も、政治も、マスコミも、学者も、誰も手がつけられず、見て見ぬフリをしているという悲しい日本の姿も再認識させられざるを得ません。

2011年4月13日水曜日

イオンの宅配サービス「とどくんです」

 イオンが「とどくんです。」なる宅配サービスを三重県と岐阜県の全エリアで開始したことが報じられています。(たとえば中日新聞 4月13日付け
 すでにネットスーパーやってるのに、と思ったのですが、現在のイオンネットスーパーは、インターネット上で購入したい商品を選ぶとそれが宅配されるというもの。
 とどくんですのほうは、ネットが使えない高齢者にも配慮して、電話やファクシミリでも注文ができるというところが目新しいようです。

 ただし、利用には事前登録が必要で、1回の注文は1200円以上から。
 電話、FAXによる注文は、翌日の14時~20時に配達。ネット注文の場合は、注文当日または翌日の14時~20時に配達。
 また、配送料金は315円ですが、電話・FAX注文の場合には、買い物代行手数料105円と代引き手数料105円が別途必要ということなので、決して高齢者のサイフにも優しいという訳ではなさそうです。
 
 少子化、過疎化は都市部、郡部のへだてなく日本全国で進行しています。消費者の高齢化も進み、イオンの典型的な戦略であった郊外型GMS出店が、戦略的に大きな曲がり角に来ているのも明らかです。
 その対策の一つが「まいばすけっと」のような小型食品スーパーの展開でしょうし、人口密度の低い地域での宅配サービスということになるのでしょう。これはまさに、高齢化=市場の成熟化に対応した新しいビジネスモデルだと思います。

 問題なのは、大手スーパーが本格的に宅配サービスに参入することで、地元の中小スーパーが地域密着型の戦略として取り組んできた宅配サービスが駆逐されたり、地域で奮闘している数少ない小売店が淘汰されてしまうことです。

 小売業やサービス業は、その地域の消費文化のバロメーターともいえます。資本主義社会である以上、新規参入と競争、そして敗者の淘汰はやむを得ない部分はありますが、画一的なサービスだけが生き残ることも正直、いかがなものかと考えさせられます。

 地元の中小小売店やサービス業者が連携し、新しいビジネスモデルを創造することが求められますし、製造業の分野では進んでいる産学連携など大学や研究機関の知見も生かせる方法が提案されるべきではないでしょうか。

2011年4月12日火曜日

30年前のIBMのCMを思い出す

 カール・セーガン博士が監修し、自ら出演もした「コスモス」というテレビ番組のことを思い出しました。
 はんわしが高校生のときですから、驚くべきことに今から30年も前のことです。

 コーネル大学教授で世界的に著名な天文学者であったセーガン博士は、地球外生命 ~つまり早い話が宇宙人のような~ の存在も、科学的に考えれば可能性は否定できないということを主張していたと思います。
 宇宙は無限に広く、無限の星ぼしがあって、地球と全く同じような空気の構成、温度、湿度、日照の星すらきっといくつもあるはずで、そこには人類が誕生したのと同じようなメカニズムが働いているはずだ。だから人間だけが唯一の生命体でないことは、論理だてて考えれば当然の帰結である。というような内容だったと思います。
 
 そして、コスモスについて、もう一つ印象が強いのが、この番組のスポンサーだったIBMのCMです。
 IBMがアメリカを、そして世界を代表するコンピュータの企業であることは田舎の少年も知っていました。コンピュータ産業、情報処理の世界的企業という近未来的で都会的な感じが、壮大なコスモスの番組内容にいかにもマッチしているなあ、と思ったものです。

 その忘れられないIBMのCMの一つが、和算の数学書をテーマに、数字の単位を次々と紹介していくというものです。覚えておられる方もきっといることと思います。

 一、十、百、千、万、億、兆

 これくらいはまだわかります。
 ここから先。兆の上の単位になると、日常生活ではほとんどなじみのない、それこそ「天文学的」な数字になってきます。

 一兆の一万倍は、京(けい)
 その一万倍は、垓(がい)
 さらにその一万倍は(じょ)漢字がパソコンにありません

 さらにさらに、穰 溝 澗 正 載 極 恒河沙 阿僧祇 那由他 不可思議 無量大数
 と続くそうです。
 実はこれ、もう思い出せなかったのでインターネットで調べたのですが。

 この辺になると、実際には10の1億乗とか、そんな表記になるのでしょう。ただ、古代の数学者も限りなく大きな数字が理論的には存在することは知っていて、このような単位を考案したのだと思います。先人の想像力というか、知力には敬服せざるを得ません。

 もうお気づきかもしれません。
 福島第一原発の事故は国際原子力事象評価尺度で最悪のレベル7となり、63万テラベクレルの放射性物質を放出していたことが明らかとなりました。
 この63万テラという単位が、63京にあたるそうなのです。

 人生は長いようで短い。
 高校生のときぼんやり見ていたCMの中のと、今、ここで、こんな状況の中で再びまみえることになったのです。

2011年4月11日月曜日

AKさんが日本最年少の知事に

 昨日の、全国の知事選挙のうち民・自が直接ガチンコ対決するものの一つが三重県知事選だったとのことで、マスコミにはけっこう大きく扱われていました。
 ちなみに、残り二つのガチンコ対決、東京都知事選と、北海道知事選(だったか?)は、早々と現職が当確になり、三重県は伯仲した戦いで、深夜まで勝敗の決着がもつれたようです。

 結果は、日本で最も若い知事となるらしい、元経済産業省の官僚だった鈴木英敬さん(以下、AKさんと略します。)が僅差で当選され、三重県知事に就任されます。
 現県政の8年間は、全くの停滞だったと後世からは評されるのかもしれません。とにかく改革先進県というイメージは全くなくなりました。それが県民の選択だったとしても、そろそろ皆がシンドク思ってきていたのは事実だと思います。
 AKさんの手腕は未知数ですが、多くのマスコミが報じるように、「若さ」と「未経験」が現状をブレークスルーできるかもしれないという可能性に、(投票した県民のうち半数は)賭けたわけです。
 それがドンピシャに的中するか、ハズれるか、わからないけど、とにかく三重県という船はそっちのほうへ出帆しました。

 AKさんは県職員の総人件費の2割削減を公約していたので、職員には受けが良くないと思われているかもしれませんが、わしの周りに限って言えば、必ずしもそうではありません。
 誰がどう考えても、人件費が県の税収を上回っているというのは組織として異常だし、納税者の理解を得られるものではありません。そりゃ、給料が高いに越したことはないけど、県民あっての県職員だということは、現場に近い職員ほど骨身に沁みてわかっているわけですから。

 以前もこのブログに書いたように、問題の本質は職員が年功序列の右肩上がり賃金システムになっており、しかも、県職員には昇任試験も何もなく、人事部局の恣意的な(少なくとも不透明な)判断で昇格していくことです。
 これを見直し、公平なシステムにすることに、少なくとも若手の職員で反対する人はいないと思います。

 AKさんがマニュフェストで宣言した政策をいかに着実に実行していくのか、実行していけるのか。ポイントはそこに移ってくることと思います。

2011年4月10日日曜日

春めいてきたので朝熊岳登山

 朝熊岳(あさまだけ。朝熊山とも)は標高555m。全国的に見れば決して高い山ではありません。
 しかし、伊勢志摩地域においては、それでも最高の標高を持ち、かつ、どこからでも秀麗な山容が望めることから、古来より地元の信仰を集めていたようです。

 山頂近くには、一説には6世紀に開山され、弘法大師ともゆかりが深いという金剛証寺(こんごうしょうじ)という大きなお寺があります。
  また、山頂では平安時代中期に流行した末法思想(釈迦が亡くなってから2000年が経つと世界の終末が近くなり、乱れた世の中になるという思想)の影響のためか、全国の霊峰に埋められたという経筒が多数発掘されています。
 この朝熊岳が天に近く、神仏とのアクセスが容易な場所として霊的な地位を有していたことがわかります。(ちなみに、朝熊岳で見つかったこれらの経筒は国宝に指定されています。)

 金剛証寺は伊勢神宮の鬼門を守る寺として崇敬を集めており、江戸時代には伊勢神宮の参宮客のほとんどが朝熊岳にも足を伸ばし、金剛証寺に参拝したそうです。
 そのため、当時の登山道(岳道 「たけみち」と発音)がいくつも現存しており、現在でも市民にとって約1時間で登れる手軽なハイキングコースとして親しまれており、岳道は活用されています。


 はんわしが今日歩いたのは、伊勢市朝熊町が登り口の朝熊岳道です。
 道に沿って、約100メートルごとに里程標である町石があり、道中の安全を祈るお地蔵様が祀られています。


 登山口から約1時間で金剛証寺に到着。
 このお寺については、伊勢市観光協会ホームページや、伊勢志摩スカイラインのホームページに詳しいのでこちらをご参照ください。

 しかし、冒頭に書いたように、この山は伊勢志摩地域の人々にとっては霊場であり、観光地であるとともに、家族親族が亡くなった時の塔婆供養をする寺としての認識が非常に強烈です。
 塔婆供養という、この土着的な宗教行事については、ブログ珍寺大道場が詳しく紹介しているので、こちらをご覧ください。(珍寺大道場 朝熊山/三重県伊勢市

 
 はんわし的に興味を惹いたのはこの阿弥陀仏像です。
 元々は伊勢古市の寂照寺にあったものだそうですが、明治時代、廃仏毀釈が最もドラスチックに実行された伊勢において、何かよんどころない事情があったのでしょう、尾張国(現在の愛知県)のお寺に売られてしまったものだそうです。
 それが縁あって再び伊勢に戻ってくることになり、今はここ金剛証寺に安置されているとのこと。


 金剛証寺からさらに歩いて15分ほど、朝熊岳の頂上には八大竜王を祀った神社があります。
 境内には国土地理院の三角点があり、付近一帯には伊勢志摩地区一円に電波を送るためのNHKや民放の巨大なテレビ塔が建っています。
 ここから見下ろすと、伊勢市街地はもちろん、北は津、四日市、桑名方面、南は鳥羽、海上に点在する島々を伝って渥美半島や知多半島も望めます。
 山の上は気温が低いせいか、伊勢市内では満開の桜もまだつぼみでした。

2011年4月9日土曜日

需要対策から供給対策へ

 日経BPムック 2011年版新しい経済の教科書 に収録されている、池上彰氏と斎藤誠氏(一橋大学大学院教授)のスペシャル対談は非常に興味深いものでした。ぜひ地域産業振興に携わる方々にもご一読いただきたいと思います。

 この対談のポイントを、わしなりにまとめてみました。

・「失われた10年」を含め、これまでの日本のマクロ経済政策は、金融と財政面から呼び水を作って需給ギャップを埋めていくという発想だった。(つまり)需要をどう盛り立てるかという政策であった。

・しかし今回の震災のように生産設備や社会資本、人的資本などが壊滅的被害を受けた場合は、広い意味での生産ストックと人的資本という供給側を再構築していくしか復興の道はない。

・供給面を回復させるためには、需要創出のためにやっていた景気対策的な支出をスクラップすることも考えるべき。国民も、需要喚起のための補助金や助成金はもういらないと言うべき。

・被災地を元通りに戻す「復旧」でなく、コンパクトシティーの考え方などを加味した「復興」を目指すべき。そのためには東北に政治・行政機能を置き、道州制など新しい行政の考え方を実践することが必要。

・復興には莫大な費用がかかるが、供給側の再構築は将来いろいろな価値を生み出す。これは国民による投資と考えるべきで、基本的には増税による負担が最も適切である。

 斉藤さんの専門的な発言を池上さんがわかりやすく噛み砕いてくれるので、読みやすくなっている気がします。その良い例が、需要喚起策から供給増加策への経済政策の転換についての池上さんのコメントです。

 これまでは作っても売れなかった。でもこれからは作ったら作っただけニーズがある、という状況に変わるわけですね。

 この言葉の中には、おそらくこれから将来何年間かのヒントが凝縮されているように感じます。

 東北関東大震災は原発問題も含めてまだ進行途中であり、いつ収束するのか、どのような形で決着するのかもまだ見通しは立ちません。

 しかし、少なくともこれから数年間、日本経済において供給側(生産側)の生産性向上が最も大きな課題となることは確実です。
 先端的な経済学者の説は、1年遅れくらいで地方行政の現場にも浸透してくることが多いので、現在地方自治体の間で、需要喚起策として不必要なまでに激化している「地域ブランド化」の地域間競争などが見直される動きもここ1~2年で顕著になってくることでしょう。

 一方で、良い悪いの価値判断はしばらく置くとして、製品や商品のブランド力が最も発揮できるのは、被爆していないという「安全」「安心」面の担保や、安定的・継続的な供給ができるかという、いわば生産活動の原点がきちんと押さえられているかという点になってくるのではないでしょうか。

2011年4月8日金曜日

黒ニンニク×こんにゃく=?

三重県明和町にある あざふるさと に行きました。
 ここは、三重県立斎宮(さいくう)歴史博物館に隣接した駐車場の一角にあって、三重県商工会松阪広域連合が運営する、松阪・多気地域の特産品を販売しているアンテナショップです。


 ここで見つけたのが、有限会社上野屋が開発・製造している 黒にんにゃくです。
 黒ニンニクのパウダーを練り込んだこんにゃくなのですが、開発にあたっては三重大学付属病院の栄養管理指導室や、三重大学教育学部も参画しており、一種の「産学連携」商品となっています。
 わしも専門的なことはよくわかりませんが、一袋(300円)の内容量100gについて、塩分相当量は1.8g、食物繊維量が2.9gであり、肉の代わりとしてダイエット料理の材料に適しているそうです。



 中身はこんな感じで、薄切りされた状態でパックに入っています。これと別に調理の時に使う焼肉のタレも同封されています。
 ほんのりニンニク臭がしますが、気になるほどではありません。色は真っ黒です。


 野菜炒めに入れてみるとこんな感じに仕上がります。キクラゲみたく黒っぽく見えるのが黒にんにゃくです。
 味や食感としては完全にこんにゃくなので、さすがに肉と間違えるということはありません。好みにもよると思いますが、こんにゃくの水っぽさが気になる向きは事前に下味をしっかりつけておくほうがいいかもしれません。
 
 中小の食品メーカー、特にこんにゃくのような日配商品のメーカーの場合、商圏の人口も減っていく中、新商品の開発や新たな販路の拡大を考えないと将来像が描きにくい状況にあります。
 この上野屋はホームページを見る限り、田舎の小さなこんにゃくメーカーといった印象です。しかし、黒にんにゃくのような画期的な商品開発にチャレンジしているのは好感が持てます。
 三重県も上野屋が活用したメディカルバレープロジェクトのように、中小企業の商品の高付加価値化を支援しており、ほかにもさまざまな支援策があります。
 ぜひ少しでも多くの経営者に、チャレンジしていただきたいと思います。

 話をあざふるさとに戻すと、店長さんの話では、これからの季節イチオシなのは、明和町内にある旭酒造株式会社がアイスクリームメーカーとコラボして商品化したという伊勢旭大吟醸あいすなるアイテムらしいです。
 残念ながらこの日はクルマだったので慎重を期して口にはしなかったのですが、次回はぜひ購入してみたいと思います。

 

2011年4月7日木曜日

商店街は昭和のノスタルジーか?

 商店街が寂れ、シャッター通りになっているのは全国に共通して見られる現象で、特に三重県内だけがひどいという訳では決してありません。

 しかし、三重県の産業構造は(おおざっぱに言って)製造業のウエイトが高く、相対的に所得が高い人が多い反面、稼いだ金の使い道があまりなく・・・すなわち、三重県の各都市にはジャスコ(現イオン)と大型量販店くらいしかなく・・・持ち家率や自家用車の所有率が高い一方、買回り品(高級品)の買い物客の多くが名古屋圏、大阪圏に流出しているという特異な消費形態が特徴となっている県です。

 県民はこつこつモノを作って小金を貯め、それを都会に落としに行っているという、消費に関してはたいへん「足腰の弱い」構造になっています。

 そのような中で、商店街の再生は三重県にとって重要ではあるものの、必然的に、困難な、息の長い取り組みとなります。
 
 さて、三重県が三重のがんばる商店街取組事例集という冊子を発行しました。北は桑名市から南は熊野市まで、11の中心市街地商店街が取り組んだ特販市や、イベントの事例が紹介されています。


 非常に興味深い取組も多いのですが、特筆すべきなのは、この冊子のあとがきです。

 商店街は昭和のノスタルジーの世界のものなのでしょうか?  
 私たち一人ひとりは何歳まで、自家用車の恩恵に浴することができるでしょう?

 ご高齢の方も幼い子どもたちも、安心して歩いて買い物ができる商店街は、人に優しい究極のユニバーサルデザインを実現しているのではないでしょうか?

 この問いかけは重要です。

 このたびの震災で、地域住民が支えあっているコミュニティが、ソーシャルキャピタルとしてきわめて重要であることが再認識されています。

 ともすると、「商店主の既得権を守っているだけ」という色メガネで見られがちであり、県職員の中にも商店街振興は無意味だといった愚かしく無知な意見を吐く者さえ出ている始末で、危機的ともいえる商店街振興行政ですが、意欲のある企業家による新規参入や新しいチャレンジは、生活支援(つまり、地方行政そのものです!)の一環として、今後とも積極的に支援していくべきだと思います。
 そして、地域で頑張っている頼もしい商店主たちが、三重県にはこれほど多くいるのです。

2011年4月6日水曜日

明るい春と、暗いニュース

 津偕楽公園の桜が満開に近くなっています。
 ここはわしの職場から徒歩2分なので、昼ごはんを食べた後の腹ごなしの散歩にいい場所です。


 元々は津藤堂藩の殿様の御狩場の一部だったそうで、普段は昼間にもかかわらずほとんど人がいない、静かな環境というか、寂れているというか、微妙な公園なのですが、桜とツツジだけはここの名物らしく、例年この季節には仮設の茶店が建ち並び、たこ焼きだのヨーヨー釣りだのの露天も並びます。

 
 昔、紀勢本線を走ったという蒸気機関車のD51も展示されています。
 ここの道路を挟んで向かいにあった喫茶店寄歓舎は昨年廃業してしまいましたが・・・
 
 日差しも強く、陽気に誘われて人出もかなりあって春爛漫という感じでした。
 その一方で、それとは裏腹にわしにとっては暗いニュースも耳に入ってきます。

 一つは、日テレ系の人気番組ザ・鉄腕ダッシュでおなじみのDASH村が、今後の農作業や撮影の続行がほぼ不可能な状況になっているという一部の報道です。
 これはDASH村が、正確な位置は公表されてはいないものの、さまざまな間接証拠により、福島第一原発の半径30km圏内の屋内退避区域内にあることが確実視されているためです。
 さいわい、地元出演者の皆さんや動物たちは無事だそうなのですが、番組の継続自体、危ぶまれている状況のようです。
 ■NEWSポストセブン http://www.news-postseven.com/archives/20110401_16342.html

 もう一つは、菅政権が国家公務員の人件費を5%削減する方針を固めた、という報道です。
 国家公務員の給与は民間企業に比べても高すぎるという根強い批判があり、民主党も先の総選挙でのマニュフェストでは国家公務員人件費の2割削減を掲げていました。
 しかし、労働組合の巻き返しなどにより削減の動きは事実上、頓挫しており、今回、東北関東大震災の復旧費用の捻出という大義名分もあって、削減が一気に進む見通しになったとのことです。
 この動きはいずれ地方公務員にも波及してくるでしょう。
 地方自治体にとっても財源の捻出は不可避ですし、日本全体が自粛ムードの中、地方公務員が6月にボーナスをもらっていい状況かというと、そうでもない空気なのは確実だからです。
 ボーナスが出ない、もしくは大幅減額だと、わしもローンの返済が厳しいのですが・・・

2011年4月5日火曜日

鳥羽マリンターミナルへ行ってみた

 今月1日、鳥羽市の佐田浜港に新しく鳥羽マリンターミナルが竣工し、営業を開始しました。

  鳥羽市には人が生活する4つの離島がありますが、本土とこれらの島々を結ぶ鳥羽市営定期船と、鳥羽湾の観光遊覧船が発着する旅客ターミナルです。
 3月ま では、昭和45年に竣工した鳥羽港湾センターが利用されていましたが、建物老朽化等により閉鎖が決まったことと、三重県が平成6年から工事を続けてきた鳥羽マリンタウン 21事業による防波堤や護岸などの埋め立て工事が完成したことにより、市が新たにこの場所にマリンターミナルを建設したものです。



 横から見ると「つ」の字にも見える建物は、真珠のネックレスをイメージして設計されたそうです。
 鉄骨2階建てで、延床面積1345平方メートル。1階は定期船などの切符売り場と待合室や土産物店があり、2階は喫茶コーナーと展望ラウンジになっています。ラウンジからは鳥羽湾が一望でき、遠くには伊良湖岬も望めて、コーヒーで一服するにはなかなかいい場所です。
 ただし建設費用は4億円。県のマリンタウン21事業の工事費が125億円だそうなので、合計130億円あまりのウルトラ高コストの建物ということになります。(ちなみにコーヒーは350円です)


 それにしても、いつもこの種の公共建築を見ると思うのですが、旧鳥羽小学校校舎とか近鉄宇治山田駅舎のように、はるか昔の昭和初期の建築物に比べて、現代の建築はいかにも貧相で貧弱です。
 これは建築が粗悪だという意味ではありません。外観のスマートさや使い勝手、耐震性や省エネ性は格段に向上しているのでしょう。
 しかし、昔の建物はファサードの意匠もオンリーワンで個性的ですし、窓枠やドア、建具、水周りなどすべてがオリジナルで匠の技と手間が感じられます。
 それに比べ現代の建築は、部材は規格化され、手すりも壁も床材も工場で作られた工業製品。それを大工さんが現場で組み合わせているだけです。鳥羽市をはじめ尽力された関係者には悪いのですが、この鳥羽マリンターミナルが50年後の将来も使われているとは、はんわしには到底思えません。


 
 平成6年当時まだ鳥羽市民だったはんわしの記憶では、鳥羽マリンタウン21は一種の副都心構想で、海上旅客運輸の一大拠点を中心にフィシャーマンズワーフのような集客施設を作り、果ては1万トン級の大型外洋客船も着岸できるようにして、国内外の観光客を誘致しようといったような、壮大というかバブリーというか、荒唐無稽とも言える大風呂敷であり、共産党の市議会議員などは大反対していました。

 結果的に大型客船が接岸できる桟橋は作られることなく、この鳥羽マリンターミナルも市営定期船クラスの中型船用の桟橋が5つほどあるものの、使われているのは2つしかないように見受けられます。
 鳥羽市は鳥羽商工会議所などの尽力もあって、中国からの観光客誘致にいち早く取り組んでいます。平成25年には20年に一度しかない伊勢神宮のご遷宮も控えています。
 このマリンターミナルがフル活用され、国際観光都市鳥羽市の面目躍如となるか、しばし注視したいと思います。
 
 ■鳥羽市観光協会 http://www.toba.gr.jp/


<追記> 
神島に行ってきました。
        2011年8月18日 神島ノート

2011年4月4日月曜日

な、なんとJR津駅に吉野家が

 今日は三重県グローバルビジネス人材育成事業(通称Mie-OJT)の開講式が行われ、四日市市のじばさん三重まで行ってきました。

 この事業は厚生労働省による緊急雇用対策事業を財源として、新卒未就業者や若年求職者を対象に三重県内の主に製造業の中小企業で活躍できる人材を育成する事業です。

 経済グローバル化の進展によって中小企業といえども海外マーケットを強く意識せざるを得ない状況が生まれています。
 今まで、行政による製造業の人材育成というと、どうしても「ものづくりの現場」である生産工程の人材育成が中心でした。しかし実際には、製品や技術は顧客や取引先に知られ、アピールすることで初めて取引は生まれ、ビジネスになります。
 その意味で、技術力の高い製造業企業にとって、営業や販路開拓が担えるプロモーション人材こそが特に重要なのであり、ICTや外国語のスキルを身につけたプロモーション人材を育成することで、若者の就業・就職を促進すると共に、これらの人材を受け入れることにより中小企業の海外展開を支援しようということが狙いです。

 今回、受講が決定したメンバーは20名。6ヶ月間の期間雇用となり、前半の3ヶ月はビジネスマナーやキャリア形成、Web作成研修、ビジネス英語、知的財産権などの座学研修を行います。7月からの3ヶ月は実際に三重県内の中小企業でのOJT(インターンシップ研修)を行います。
 スーツをパリッと着こなし、目を輝かせている受講生の皆さんを目の当たりにすると、いかに自分が惰性で日々を送り、仕事への情熱を失いかけているかに気づかされます。
 非常に厳しい経済雇用情勢が続いていますし、この6ヶ月の研修は決して生易しいものではありません。
 しかし、受講生の皆さんにはぜひこのチャンスを生かしていただき、三重県の経済活性化の一翼を担っていただきたいと思います。

 ■三重県グローバルビジネス人材育成事業ホームページ
  http://www.y-miekoyou.jp/
 
 さて、夕方津駅に帰ってきたら、先月だったかに営業終了した汽笛亭(立ち食い蕎麦屋)の跡スペースが吉野家に改装される工事が行われており、例のオレンジ色の看板が掲げられていました。


 わしは牛丼が好きなので大歓迎なのですが、津駅で採算は取れるのかな、とか、これがきかっけで津駅周辺の飲食店の価格破壊が促進され、零細なお店はますます経営が苦しくなってしまうのではないか、などと考えてしまうのでした。

2011年4月3日日曜日

現場に解は・・・ない

 経済学者の山口義行氏(立教大教授)による 経済再生は「現場」から始まる(中公新書) を読み返してみました。
 この本、やはり名著には違いないと思います。

 出版されたのは平成16年。金融機関の不良債権処理が大きな社会問題になっており、失われた10年とか市場原理主義という言葉が広まっていました。
 生産性が低い非効率な産業や企業は市場から退場させ、生産性の高い企業の支援や、ベンチャー起業の促進などによって経済を再生させようという議論が有力だった一方で、大企業を中心にした工場をコストの安い海外に移転させる動きが、日本の製造業の強さの源泉である「現場力」を弱体化させ、日本経済の空洞化を招くということも指摘されていました。

 思い起こすと、県庁の産業振興のセクションでも、この二つの価値観がぶつかり合っていました。
 中小企業基本法に改正によって、それまでは「弱者」と規定されていた中小企業は、180度打って変わって、新法では「中小企業こそ経済活性化の主役」と定義されます。
 行政の産業政策も、やる気と能力のある中小企業を積極的に支援しようというスタンスに変わって来た、その混乱が顕在化していた時期でもあったからです。
 産業振興の現場では、行政による産業振興策など不要であるという論も有力でした。日本の産業インフラはすでに一定のレベルに達しており、あとは主役である企業の自主的、自立的な努力によって産業は活性化されるべきというものです。

 しかし、山口氏は、この議論は地方自治体の産業政策には通用しないと説きます。
 地方自治体は地域再生という課題を担っており、市場原理に任せた結果、地域経済が疲弊し、住民が失業する事態を目の当たりにした時、何らかの施策を講じないわけにはいかないからです。
 ではどうすべきか。

 山口氏は大阪産業創造館の事例を引き合いに、行政(職員)はまず企業の現場を回って、「御用聞き」からスタートすべきだと言います。
 その中で企業が必要としているニーズを把握すること。
 それと同時に、大企業を頂点とした下請けのピラミッド構造とは別に、「横請け」とでもいうべき中小企業の新たなネットワークを創造し、企業が持っている製品や技術、サービスを、それらを必要としている別の企業に結びつけ、そのネットワークによって新たなビジネスチャンスを作り出していこう、と主張するのです。

 平成16年当時のはんわし。この主張に目からうろこが落ちる思いでした。
 「解は現場にある」というキャッチフレーズも新鮮でした。早速実践して、小さいながらも経営者から感謝され、手ごたえを感じたことも多くありました。

 しかし、あれから7年。地域経済や地域産業を取り巻く環境はさらに変貌を遂げています。
 製造業の海外流出を止めることはもはや絶対にできません。クリステンセンのイノベーションのジレンマではありませんが、自治体が顧客である中小企業の声を聞き、それを反映した産業政策をいっそう精緻に構築し、実行したとしても、「破壊的なイノベーション」が登場すればオセロゲームのようにたちまち状況は一変してしまうのです。

 地域経済のグローバル化、人口減少や高齢化・多様化による国内市場の成熟化、経済のサービス化、財政赤字、デフレ、円高などなど、予想もしえない環境変化の中で、中小企業のビジネスモデルそのもの、地域の産業構造そのものが大きく地殻変動することが日常のように起こっています。

 解は現場にはない。
 いや、正確には、「現場にある解」とは、現場の常識を決して超えられないものです。
 本当の大きなトレンド変化は、現場でも見えないところから、予想もしない形で急に沸き起こってくる。
 今読み返してみて、この本から再び貴重な示唆が得られたと共に、時代は進む中、認識を新たにしたのでした。

2011年4月2日土曜日

「語れる」商品ってイイ

 久しぶりに伊勢神宮内宮前のおはらい町をのぞいて来ました。
 土曜日のせいと、境内の桜もちらほら花をつけて春めいてきたせいで人出はかなりあるように思いました。
 しかしそれでも、関係者に聞くと例年よりはやや少なめに感じるとのことです。
 震災の影響なのでしょうか。
 
 さて、人でごった返すおはらい町の一角で、伊勢くすり本舗萬金丹(まんきんたん)の露店を出しています。


 萬金丹とは江戸時代から伊勢で製造されている生薬です。
 お伊勢参りに全国からやってくる参宮客にとって、軽くてかさばらず、しかも貴重な価値があった医薬品とか、化粧品などは伊勢土産として珍重されてきました。


 その中でも萬金丹は代表的なもので、主に胃腸薬として服用されたほか、丸薬を粉末にして虫歯に使ったり、傷に塗ったりもしたことがあったようです。
 原料は阿仙薬、桂皮、丁子といった生薬なので、独特の ~わかりやすくたとえれば正露丸とか仁丹のような~ においがします。


 現在の萬金丹は医薬品ではなく指定医薬部外品という扱いになるので薬効をPRすることはできませんが、伊勢くすり本舗は昔ながらの製法で作っているそうです。食べ過ぎ飲みすぎの時などには服用すると清涼感を感じて、不快な気分は和らぐ気がします。
 写真は75粒入りで、一袋500円です。

 ■伊勢くすり本舗 http://www.mankintan.net/

 もうひとつ、これはおかげ横丁で露店販売していたものです。
 和歌山県有田市を今朝4時に出発して伊勢にやってきたという株式会社早和果樹園が販売していたみかんジュース「味一しぼり」と、みかんジュレです。両方で900円くらいでした。

 はんわしは紀伊半島南部の三重県東紀州地域の産業振興にかかわっていたので、和歌山県と同じように特産品であるみかんの農家や加工メーカーにも何人か知り合いがいます。

 過疎や高齢化に悩む東紀州でも、地域資源であるみかんや水産物などを使った商品開発は盛んですが、みかん系に関して言えば、残念ながらマーチャンダイジング力、すなわち新商品の企画やマーケティング、開発、品揃えの豊富さ、販売力など、ほとんどの面で和歌山は三重を上回っています。

 この会社も数多くのアイテム ~ジュースは3500円の高級品から、1200円のものまで三種類、ジュレなど加工品も3種類~ を作っており、店頭にずらっと並んでいるとオレンジ色の華やかな印象を与えます。

 店員さんも、これからは農家も栽培だけでなく消費者のニーズに応じた商品化に取り組まなくてはならないこと、これを「6次産業化」と呼ぶこと、有田みかんの上級ブランド品である味一みかんの特徴、それを使ったジュースの糖度について・・・はんわしがふとたずねた質問に熱く答え、説明してくれます。
 なるほど、そんなに熱いストーリー(モノガタリ)があるなら買ってみようかという気になります。

 こういう語れる商品って、なんだかいいと思います。
 これらの地域資源活用アイテム、そしてその開発や生産に携わっている熱い人々に出会うと、一日トクした気分になります。

2011年4月1日金曜日

海外の取引先から被曝していない証明を求められたら?

 海外の顧客から、納品する時に製品が放射線に汚染されていない証明書を添付してほしい、という要求があり、どうしたらいいか困っている、という相談が中小企業から寄せられています。
 海外の報道機関では津波で東北地方沿岸の町々が被災した様子や、福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故の様子が繰り返し繰り返し報道されているようで、日本全土が壊滅、もしくは放射線で激しく汚染されているという風聞、誤解が相当に広がっているそうです。

 JETRO(日本貿易振興機構)のホームページには、緊急特集:東北地方太平洋沖地震の国際ビジネスへの影響というコーナーが設けられています。
 その中の「日本から輸出される物品の放射線検査について」という記事が参考になります。

 これによると
 日本からの輸入物品に対し、放射線検査をする動きが各国で出てきている。このため、輸出前に日本国内で検査をしておきたいという相談が寄せられている。現時点で確認できた検査機関は以下のとおり。ただし、「非被曝証明」ではなく、測定値を出してもらうことになる。
 とのことで、財団法人日本分析センターなどの検査機関がいくつかリンクされています。

 しかし、日本全国でこれだけわずかな検査機関しかないので、実際には大企業も含め、多数の企業から検査依頼が殺到しているであろうことは容易に想像できます。
 このような場合、貿易証明業務を取り扱っている商工会議所が、客観的な事実に基づいた自己宣誓文に対する「サイン証明」がある程度の代替措置になるケースがあるようです。
 サイン証明とは、
 まず海外に輸出しようとする企業が「放射線測定を実施する各検査機関の測定結果」あるいは「検査対象となっている県内で生産されたものではないことを示す客観的な事実」を示した宣誓文を作成し、肉筆で自署する。
 その上で、商工会議所が、その署名が商工会議所に登録されているものと同一であることを証明する。
 というものです。

 つまり、企業の作成した宣誓文に商工会議所が添え書きをすることで信用力を高めるものであり、「輸出品が放射能に汚染されていないこと」を証明するものではありません。
 なので、先方の海外顧客が本当にこのサイン証明で納得するかどうかは事前の確認が不可欠になると思います。
 また、商工会議所がサイン証明するのは、あらかじめ輸出企業として商工会議所に登録している企業ですので、登録していない企業はまず会議所への登録手続きが必要になります。

 ■JETROホームページ http://www.jetro.go.jp/indexj.html

 ■日本商工会議所 非放射能汚染に関する証明への対応について
  http://www.jcci.or.jp/region/tohokukantodaisinsai/2011/0328150527.html