2011年5月31日火曜日

丸勢水産の「あのりさば焼ほぐし」を食べてみた

 「あのりさばの焼ほぐし」という商品を近所のスーパーで見かけたので購入してみました。
 瓶入りで150g。実勢価格は税込み約400円です。

 鮭のフレークを最初に見たときは、これはアイデア商品だなあと感心したものです。おにぎりやお茶漬けに焼き鮭の身をほぐすのは面倒なので、最初から焼いてほぐしておく。しかも、おそらく捨ててしまうような骨の間の身とかを上手に再利用できる。
 あっというまに色々なメーカーのフレークが出てきました。最初に作ったのは誰なのだろう?

 しかし、サバは初めてでした。
 当然、鮭フレークをイメージして食べてみたのですが、実際にはサバの脂っこいイメージは払拭されており、どちらかというとパサっとした食感のサバフレークになっています。
 味は塩味ですが、風味付けは何と「黒コショウ」が使われており、コショウの香りが強くするという一風変わった商品になっています。
 
 わしは割りと気に入りましたが、味の好き嫌いはそれぞれの好みがあるので軽々にコメントしないことにします。
 しかしながら、「食品添加物無添加」と書かれているのは安心できますし、150gあたりの熱量、脂質、塩分などがきちんと表示されているのも、現代の消費者の最低限のニーズにマッチしていると思います。

  この種の、地元の中小メーカーが開発した地域特産品は、地域おこしだとか地域活性化だとかのかけ声は大きいものの、往々にして、成分表示もロクになく、ま してや成分表もなく、食事制限をしているような消費者のニーズにはまったく応えられていない「作り込みの甘い」商品があふれ返っています。

 当たり前のことですが、新商品を単なるアイデアの実現でなく、企業のメイン商品に育てるためには、マーケティングを踏まえた、きちんとした商品開発が不可欠です。
 その意味でも、このあのりさば焼きほぐしには好感が持てます。

 ■丸勢水産ホームページ http://anorifugu.co.jp/

 丸勢水産は、丸勢水産は三重県産天然「あのりふぐ」を使用したトラフグ加工食品等の開発・販売事業をテーマに、国の農商工連携促進法に基づく事業計画の認定を受けています。
 残念ですが、あのりさば焼きほぐしはホームページに載っていないようです。伊勢志摩地域限定なのかしらん?

2011年5月29日日曜日

評価経済社会 

 経済中心の価値観とか、経済成長至上主義の社会観に見直しが迫られていることは、おそらく何年も、いや、十何年も前から繰り返し言われ続けていることです。

 東日本大震災や福島原発事故など深刻すぎる事態が次々起こっているので、今はよけいに経済中心の社会には行き詰まりを強く実感しますが、地震リスクもずっと昔から日本の宿命だと分かっていたわけだし、原発の危険性にしても、行き過ぎた経済中心社会がいつか限界を向かえるであろうことも、長らく指摘され続けてきたことです。

 この本 経済評価社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている(ダイヤモンド社)で著者の岡田斗司夫さんが主張する、「貨幣経済社会」から「評価経済社会」へのトレンド変化も、その意味では理屈としてよく理解できるのですが、それがいったい、いつ、どのようなきっかけで、社会全体の価値観として共有され、定着するようになるのかはよくわかりません。

 岡田さんの主張はシンプルで理にかなっています。

・人類の価値観を転換させた、農業革命、産業革命に続いて、まさに今、情報革命(A・トフラーの言う「第三の波」)を迎えている。これによって今までの社会システムは大きく変化する。

・現代の日本では「資源やエネルギーは有限である」ことと、「科学技術で社会課題は解決できない」という2つのコンセンサスが成立しつつある。モノがありカネがあっても、豊かにはなれないという考えが主流になっている。

・一方でインターネットの普及によって情報はあふれており、人々は情報の中で多様な価値観の海をさまよっている。現代は「モノ余り、情報余り」がトレンドである。

・今までは貨幣をどれだけ得るかに努力する社会(貨幣経済社会)であった。しかし情報化社会の中では、その人が、他人や社会からどのように評価されるかを競う「評価経済社会」に変化する。

・生きていくためにはもちろんモノもカネも必要である。しかしこれからは自分の価値観が尊重されることが人々にとってカネ以上に大事になる。

・家庭や教育、仕事や社会常識など普遍的な価値があると考えられていた社会システムも、まず自分の「感性」や「やりがい」を中心に置いた上で、それらが必要かどうか、正しいかどうかが判断されることになる。

 注意を要するのは、著者は貨幣経済が終わるとは言っていない点です。
 生きていくうえで経済活動は不可欠です。しかし、それだけでは満足できず、経済的な成功には懐疑的な人々が増えている。ゆえに、今までの経済社会(大量生産型社会)に必要な制度やスキルであった、マスメディアの存在とか、画一的な教育システムなどは成り立たなくなると言っているのです。

 それに代わるものが、悪く言えば砂のように孤立し、自分たちの価値観とネットワークに閉じこもる社会です。そのネットワークはインターネット上に無数に存在し、時として世界的に広がり、しかもお互いが情報を発信しあって影響力を発揮しながら成り立っています。価値観の多様化の究極の姿といえるのかもしれません。

 はんわしが興味を持ったのは次の2点です。

 ひとつは、経済社会(近代社会)の前提となっている近代的な「自我」に対するへの著者の岡田さんの懐疑です。
 近代社会は独立した個人(市民)の存在を前提に成立しています。「個人は自分の価値観をしっかり持っており、その実現のために政治合理的・経済合理的に行動するはずである」という前提です。
 ところが、そのような思想は17世紀の、情報がせいぜい出版物や新聞など限られたメディアで狭い範囲に流通していた時代の産物に過ぎないと岡田さんは言います。

 テレビなどのマスメディアで容易に情報操作され、さらにインターネットで市民が直接情報のやり取りをできる今、世界中には多様な意見、多様な価値観が混じりあい、絡み合っていて、それらを取捨選択して自分だけの価値観(自我)を持つ、などということができるはずはないのです。
 マスメディアが経済社会の中の「常識」を規範にしていたとすれば、ネットによる直接の情報のやり取りの大海では「評価」こそが規範になるのです。

 もうひとつは 著者が評価経済社会で新しい働く場のスタイルとして実践している、FREEex(フリックス)というモデルです。
カフェを例にすれば、普通のカフェはオーナーが店長や開業資金を用意し、店舗や従業員を準備して客から得た利益を店長や従業員に支払います。
 フリックスでは、まずカフェで働きたい店員が集まり、店員の「評価」や「価値観」によって、ふさわしい店長を雇います。その上で客からの利益を分配します。
 つまり、店員にとって労働は義務や報酬の対価でなく「権利」になるのです。お金のために仕事をするのでなく、やりたい仕事をするために自分がお金を出すのです。

 わしも仕事がら、若者や学生、そのサポーターと話をすることがあるのですが、フリックスは10年後の新規起業や働き方の、主流とは言わないまでも一定割合を占めるようになることは、おそらく間違いないでしょう。

 よく言われることですが、革命とか改革などの社会現象は、決して一夜にしてなされるものではありません。 
 しかし、長らく叫ばれてきた経済主義の終焉は、案外すぐそこに近づいているのかもしれません。数年後には確実な、日本政府の財政破綻がおそらく引き金になるでしょう。

2011年5月28日土曜日

三重美少女図鑑のビジネスモデルはヒントになる

 三重美少女図鑑のVol.4(20100年4月23日発行)をショッピングセンターで見かけたので1冊もらってきました。
 そのコーナーではモデルの募集もやっていたらしく、何人かの若い女の子が担当者と熱心に話しこんでいました。

 美少女図鑑は株式会社テクスファーム東京が運営しているフリーペーパーで、ホームページによると
「街に美少女を増やそう」という宣言のもとに作られた、地方都市発、その街それぞれのリアルな写真集
 というコンセプトで編集されているものです。

 その街に住んでいるOLや学生などの普通の女の子がモデルとなり、地元のランドマークとなっている場所 ~商店街であったり、公園であったり~ や街角をロケ地にして、地元の写真家やクリエーターがコーディネートし、撮影するファッション雑誌と説明できるでしょう。

 三重美少女図鑑も上質紙で63ページもあるので、これを何千部何万部と無料配布するには相当の費用がかかるはずです。
 ホームページには
 作品を発表するクリエイタ-達による出資で運営されているのも特徴。その趣旨に賛同し、「撮影地協力」「衣裳協力」などのご協力をして頂ける企業に支えられ年2回(エリアによって異なる)発行しています。
 と説明されています。

 つまるところ、この雑誌を見た読者が、モデルが着ている服がほしい、メイクを担当した美容院に行きたい、あるいはロケ地に行ってみたい、などという購買意欲をそそってくれることによる宣伝効果を期待しているということでしょう。三重美少女図鑑もMINI(自動車)や百五銀行が見開きの広告を出しており、読者層をターゲットにした商品をPRしています。
 
 竹林篤実氏も書くように、美少女図鑑のビジネスモデルは「地域が全国を相手にする」のでも、「東京から全国に向ける」のでもなく、地元が地元に向けて発信する集客力の強いメディアを狙っていることです。このため、美少女図鑑のビジネスモデルは全国に展開できる可能性があります。
 実際に各都道府県には地元の出版会社などがフランチャイジーとなった、ご当地の美少女図鑑が誕生しており、三重県のように「三重美少女図鑑」と「伊勢美少女図鑑」といった同一県内に2つの美少女図鑑が並存している都道府県すらいくつかあります。
 このことは、全国で主要な読者層であるモデルと同じ世代の若い女性や、クリエーター、スポンサーとなる地元企業などに幅広く支持されている証左でしょう。

 話は変わりますが、先日、三重県が公表した「平成23年度県民一万人アンケートの結果速報」では、県行政の各分野における満足意識、不満意識、重要意識を調査したところ、不満足度が最も高いのは昨年に引き続いて「地域商工業」となっています。
 地域商工業への県行政に対する不満足度は、実は23年度だけでなく、昨年も、一昨年も、ここ数年にわたって不動のワーストワンとなっています。
 さまざまな意見や弁明はあるでしょう。しかし、県民が日常生活の中で感じている、街の商店の元気のなさや、景況感の悪さ、買い物やサービスの利便性の低さ、などについて、県当局はほとんどその対策を取っていません。いや、解決を放棄しているというのが正しいでしょうか。解決への意思だけでなく、解決能力も果たして持っているのかどうか疑問に思わざるを得ないところがあります。(なので、地域商工業への不満はちっとも改善されず無視され続けているのです。)

 正直言って、これ以上、県に期待はできないし、県のアクションを待っている間にも地域の疲弊は進み、日常生活で実感できる地域の豊かさは失われてしまうでしょう。経済学で言うところの、これは典型的な「政府の失敗」です。
 この解決のためには、市場経済の持つパワーを活用するしかありません。
 三重美少女図鑑、伊勢美少女図鑑は、その意味で、三重県の地域商業・サービス業の活性化に大きな潜在性を持っています。美少女図鑑を支えている、三重に生まれ、生活していることに誇りを持っているモデルやクリエーター、多くの読者が三重を変えるのです。

2011年5月27日金曜日

オープントップの「スカイバス伊勢・鳥羽」が7月から運行開始

 伊勢志摩経済新聞によると、今年7月16日から、伊勢・鳥羽地区においてオープントップ(屋根のない)型の観光バス スカイバス伊勢・鳥羽 の運行がスタートするそうです。

 目的地である観光地で楽しむ旅行商品、いわゆる「着地型旅行」企画の一環であり、夏季シーズンの伊勢志摩を訪れる観光客や伊勢神宮を参拝する客らに対して、新たな旅の楽しみ方を提案するもので、「オープントップバス」による旅行企画は東海地区では初めてとのことです。

 運行は、JTB中部、三重交通(株)、(株)日の丸リムジン及び(株)観光販売システムズの4社が構成する「スカイバス伊勢・鳥羽まちづくり実行委員会」が行い、乗車券は観光販売システムズ・美し国ステーション(伊勢市宇治今在家、TEL 0596-24-3501)とJTBの店舗で販売されます。

運行するのは、「鳥羽号」と「伊勢号」の2コース。
●鳥羽号
 9時:鳥羽バスセンター(鳥羽市鳥羽)を出発、9時50分~10時10分の間に伊勢神宮内宮に到着
 16時:伊勢神宮内宮前を出発、16時50分~17時10分に鳥羽バスセンターに到着
●伊勢号
 10時30分、11時30分、12時30分、13時30 分、14時30分に伊勢神宮内宮を出発し、猿田彦神社前、外宮前、宇治山田駅、神宮徴古館を巡り、内宮に戻るコース

 料金は、当日券大人1,500円、こども750円。

 バスには、スカイバスコンシェルジュとよばれる語り部が同乗し、観光案内のほか地域の文化や習慣などを説明して乗客を楽しませるそうです。

 













 バスはドイツ・ネオプラン社製のスペースライナーという稼動幌付きのバス(写真参照)で、乗客定員は48名。雨天時には雨がっぱが貸し出されます。

 はんわし的には、伊勢市宇治から志摩市をつなぐ県道伊勢磯部線(通称「伊勢道路」)の緑の木々のトンネルが続く道とか、朝熊岳からの絶景が楽しめる伊勢志摩スカイラインなんかもコースに加えてほしいと思ったりもしますが、いずれにしろ低迷が危惧される伊勢・鳥羽・志摩の観光の大きな目玉になりそうです。

 しかし、雨以前の問題として、7月なので直射日光に当たっていると猛烈に暑いのではないでしょうか?(女性には日焼けも気になるでしょうし・・・)

 ■スカイバスに関するお問い合わせ・予約申込先
   JTB各店舗、または観光販売システムズ・美し国ステーションTEL 052-589-0200

2011年5月26日木曜日

世界初 ミカンの収穫時期がわかる手袋!

 作業用ゴム手袋や保冷剤の製造でトップシェアを持つ、三重県松阪市の三重化学工業株式会社が、世界初?のユニークな農作業用手袋を開発したそうです。(三重県あぐり(農業)ニュース 5月16日付け
 三重県中央農業改良普及センターと共同開発したもので、果実の収穫に使用するゴム手袋の親指の付け根部分に、カラーチャート(色見本)が貼り付けられているというものです。

 どういうことかというと、ミカンや柿などは産地で複数の農家が共同出荷をしています。
 つまり、Aさん、Bさん、Cさんなど多数の農家がそれぞれの畑で収穫したミカンを、「はんわしミカン」など産地名をつけて出荷しています。

 このとき、どのような色合いまで熟した時に収穫して出荷するかは、それぞれの農家が判断しており、熟度にバラツキが起こるケースがあったとのことです。
 また、ベテランの農家は果実の微妙な色合いを見分けることができますが、農繁期には多くのアルバイトを雇うため、初心者にも収穫期を見分けられるよう、果実の色づきを、親指部分のカラーチャートと比較することで、判断を容易にするのだそうです。

 カラーチャートには極早生ミカン用、早生ミカン用、次郎柿用の三種類がありますが、三重化学工業ではチャートの微妙な色合いを手袋に印刷するのに、印刷会社などと8ヶ月にわたって研究と試作を繰り返したそうです。

 必要は発明の母、とはよく言われることですが、このようなニッチな製品でも、農家の作業効率のアップにつながるのでしょう。

 「ニッチトップ戦略」はマーケティング戦略の一つの定石パターンです。しかし、そもそもどうやってそのニッチな分野を見つけるか、そしてそのニーズを技術的に実現していくか、さらに製品としての市場性があるか、などの多くのハードルを越えていかなくてはいけません。

 この手袋は、中小企業の創意工夫と機動力が製品化に生かされた好例のような気がします。三重化学工業のビジネスの成功を祈らずにおられません。

 ●写真は三重県あぐり(農業)ニュースから転載しました。

2011年5月25日水曜日

航空写真の楽しみ

 昔、もう20年近く前、わしが高校で事務職員をしていたときのことです。
 校長先生と何かの世間話していて、普段どんな本を読んでいるか、というような話題になったときでした。先生は確かに「そうやなあ、ボクが好きなのは地図帳やなあ」と言ったのでした。先生は社会科、それも地理の先生なのでした。

 地図を見ていると、あちこちに高い山があったり、深い谷があったり、道もないようなとんでもない奥地に集落や人家があったり、入り組んだ湾があったり、いくつもの発見があって見飽きることがないのだ、と。
 変わった地名とか、今はなくなった線路や道路の跡を地図の上で辿るのも面白いのだ、と。
 
 これは、わしも非常に共感できます。
 ちなみに、先生に答えたわしの好きな本は「時刻表。日本交通公社の。」というものでした。(廣済堂のはどうも苦手なのです。)

 そんな会話が懐かしく思い出されるホームページを発見してしまいました。
 知っている方はとっくに知っているかもしれませんが、わしは最低1時間は画面にかじりつけます。

 それは、国土交通省国土計画局参事官室が提供している GISホームページへようこそ というところです。
 ここは、国交省が持っているさまざまな地図情報、位置情報を無料で提供している巨大データベースとも言うべきところですが、わしがハマっているのが「航空写真画像情報所在検索・案内システム」というものです。
 国や全国の自治体が保有している航空写真(空中写真)が集められており、地図や地名で検索して航空写真を見ることができます。

  撮影年数も、終戦直後の1947年、日本を占領していた米軍が撮影した白黒のものから、2008年くらいのつい最近のものまで、10~15年おきくらいにストックされているので、山林が開発されたり、道路ができたり、海が埋め立てられたりと、激しく地形が変化し、都市化していく様子がよくわかります。
 特に昭和20年代から30年代の前半、高度成長期を迎える以前の日本は、山々の奥地まで開墾されて田や畑になっているのがよくわかりますし、道路にはクルマの影もほとんど写っていません。

 サンプルを。昭和30年ごろの鳥羽市です。(拡大できます)


 次に、平成20年9月撮影のもの。


 実際にはかなり大きい写真ですので、撮影時の倍率や解像度にもよりますが、家は一軒一軒はっきりわかります。自分の家を探してみるのもいいかもしれませんよ。(ちなみにわしの実家も両方の写真に写っています。)
 また、全国の有名な観光地の変遷とか、都会の町並みなども時代を追って見ていくことができます。
 おすすめです。

2011年5月24日火曜日

公務員給与削減はいいことだらけだ

 政府は国家公務員の給与の5~10%の削減を打ち出し、このたび連合系の労働組合この方針に合意したとのことです。
 また、三重県では県職員の人件費削減で60億円の財源を生み出し、被災地支援や防災対策に充てると公約して当選した鈴木英敬知事が、自身の給与をカットすると同時に、幹部以上の職員給与を2年間で総額十数億円削減する方針を固め、関係条例案を6月議会に提出すると報じられています。

 中日新聞(5月17日付け)によると、
 給与削減の対象は知事、副知事、教育長ら特別職のほか部長、次長ら課長級以上の職員。
 鈴木英敬知事は自身の月額給与30%、ボーナス50%を削減する方針を既に打ち出しており、全国の知事で最低の年収となる。
 副知事は15%、教育長らその他の特別職と部長級は10%、次長級と課長級は8%をそれぞれ月給か らカットする。
 削減時期は今年7月から2012年度末まで。
 とのことです。

 公務員の給与をカットすると、消費が減少し、結果的に地域経済を弱くするという説があります。(特に、地方に行けば行くほど高給取りのサラリーマンが役所、銀行、農協くらいしかいなくなるので、彼らが財布の紐を引き締めたら回りまわって地域経済が疲弊するというのは、田舎ではそれなりに説得力があります。)
 しかし、給与を減らしても経済は悪化しません。
 と言うより、(マクロ的には)給料を上げても経済は良くならないというのが正しいでしょうか。

 なぜなら、今の一番の問題は、カネがない(給与が低い)ということでなく、カネを使わない、ということだからです。
 年金は破綻しそうだし、景気も一向によくならないし、将来が何となく不安なので、多くの国民が、もらった給料も年金もあまり使わずに貯金してしまうため、消費や設備投資にカネが回らないことが、端的に言えば今の不景気の最大の原因です。
 人々はカネは持っているのです。納得できる使い道さえあれば気前よく賢く消費してしまいます。
 たとえば赤十字社や中央募金会による大震災への義捐金には、短期間でたちまち2343億円ものおカネが集まるのです。決してカネを持っていないのではありません。

 なので、公務員の給与を削減しても景気には影響はないのです。良くもならないかわりに悪くもなりません。これは断言できます。
 
 経済学的に最も有効だと(はんわしが)思うのは、河村たかし名古屋市長が主張する「減税」です。これは世界の常識なのですが。
 市民税を減税しても、実際に市民一人ひとりに直すと年間数百円くらいの額が安くなるだけと言われます。確かにそうですが、総額何億円もの財源をカットすることで、肥大化し、ムダが蓄積した非効率な行政の仕事がいやおうなく削減されます。
 日本経済の国際競争力が危ぶまれているのも、人件費、公租公課費などの異常な高コストが原因の一つなので、行政セクターのスリム化はそれへの有効な対策になります。

 三重県も、幹部の給与を10%カットだ8%カットだと小さなことを言わず、50%カット、つまり半減したらよいのです。イヤなら辞めてもらってかまいませんが、実際は給与が半分になっても、公務員のようなおいしい仕事を辞める人はそういません。今の仕事にしがみ続ける幹部がほとんどなので、人件費はその気になればすぐに半分にできます。
 仮に辞めるとしても、幹部(だいたいが50歳以上の人)2人が辞めれば、その人件費相当額で20歳代の若者が3人は雇えます
 若年者の雇用条件の改善になり、失業率は低下します。安定した収入を得ることで、家庭を持ち、子どもを育てようという意欲も高まるでしょう。
 そして県の組織も若返り、革新を志向する生き生きとした行政機関に生まれ変わることでしょう。三重県は率先して取り組むべきです。

 今、三重県南部などの地域経済は本当に疲弊しています。明日の仕事がない労働者、来月の給料が払えない経営者が数多くいます。
 もちろん、年金問題の解決や原発事故への対処など国民が感じている将来への不安を取り除くことは一番大切です。
 しかし、まだまだ公務員の給与は高い。この是正なくして、今の日本社会の矛盾は何一つ解決できないでしょう。

2011年5月23日月曜日

トヨタが次世代自動車向けのSNSを

 トヨタ自動車が自動車向けのソーシャルネットワークシステム(SNS)である「トヨタフレンド」を構築すると公表しました。
 アメリカのクラウドコンピューティング大手のセールスフォース・ドットコムとのタイアップで、事業はトヨタ関連のIT会社であるトヨタメディアサー ビス株式会社が行うそうです。

 セールスフォースのホームページによれば
・「トヨタフレンド」は、人とクルマ、販売店、メーカーを繋ぐソーシャルネットワークサービスで、カーライフに必要な様々な商品・サービス情報などをお客様に提供。
 例えば、EV(電気自動車)及びPHV(プラグインハイブリッド車)の電池残量が少ない場合、充電を促す情報をあたかもクルマの「つぶやき」としてお客様に発信する。
・さらに、「トヨタフレンド」はお客様が指定するプライベートなソーシャルネットワークであり ながら、ツイッターやフェイスブックなど外部のSNSとも連携し、家族や友人 とのコミュニケーションツールとして利用できる。
・セールスフォースのマーク・ベニオフCEOは「トヨタは、クルマ業界を未来へ先導している。ソーシャル、モバイル、 オープンな技術により、トヨタはお客様にどのように付加価値を届けるか、お客様とコラボレートしていくか、業界に変革を起こすでしょう。弊社がこの変革に 関われることはとても楽しみだ。」と述べた。
・また、トヨタの豊田社長は「ソーシャルネットワークサービスによってコミュニケーションの 手法は劇的に変化しており、こうした流れに対応しクルマも変化していくことが重要である。今回 の提携は、私が常々述べている『もっといいクルマ』をつくるためのチャレンジでもある。」と 述べた。
 とのことです。

 ■セールスフォース http://www.salesforce.com/jp/

 ちょうど、はんわしは今、岡田斗司夫氏の「評価経済社会」という本を興味深く読んでいるところですが、まさに今回のトヨタフレンドの話がこの本の内容とあまりにもぴったりなので、驚き、かつ感心しているところです。

 詳しいブックレビューは後日書きますが、岡田さんの説では、現代はモノや科学によって人々が幸せを感じることができなくなったフェーズになっており、代わって、他人との「共感」とか自分の「価値観」などを何よりも尊重し、重視する人々が主流になりつつあるそうです。

 その具体的なツールがツイッターやフェイスブックなどのSNSです。
 いまやSNSでつながっていないということは、バイアスがかかっているマスメディアからの情報しか持たない、「圧倒的な情報弱者」であることは、実際のSNSのユーザーなら容易にご理解いただけるでしょう。

 このような時代、重要なのは貨幣(カネ)を得ることではなく、他人からの評価を得ることです。自分の価値観が他人から評価され、共感されることが、カネを得る以上の満足をもたらし、その仕組みが新しいビジネスを生み出す。これを岡田氏は「評価経済社会」と命名します。

 その評価経済社会で生き残る一つの方法が、SNSの囲い込み(トヨタフレンドのような)です。
 トヨタ車のオーナーという一定のシンパシーを共有しつつ、さまざまな情報や評価がやり取りでき、しかもそれを当のトヨタが得ることができるのですから、トヨタはそれによって更なるクルマの進化やサービスの向上、ビジネスモデルの変革に生かしていくことができるからです。

 さすがにトヨタはすごいと思います。
 もはやトヨタはモノづくりメーカーではない。それを超えたサービスビジネスに脱皮しているのです。 

2011年5月22日日曜日

結果的にこれは休日分散実験になるのでは

 自動車メーカーの業界団体である日本自動車工業会が、夏場に予想される電力供給不安への対策として、今年7月から9月にかけて、工場などで木曜日と金曜日を一斉休業とし、その代わりに電力需要が少ない土曜日と日曜日に操業する、いわゆる輪番操業を行うことを正式決定しました。
 これに付随して、自動車メーカーに部品を供給している部品メーカーも、多くが足並みをそろえて木曜日と金曜日を休日にすることになりそうです。自動車産業は幾重にも下請けメーカーがあるので、全国で相当多くの製造業企業に影響が出るでしょう。
 最も大きな問題なのは、従業員のやりくり、特に小さな子どもがいる女性社員などにどう対処するかです。企業の労務管理担当者にとっては頭の痛い問題だと思います。

 ここで思い起こされるのが、昨年、全国各地で行われた「休日分散化実験」のことです。
 観光業は極端に地域差が大きく、正月やゴールデンウイーク、お盆といった30日くらいの間に年間総数の何割もの利用客が集中します。
 一週間のうちでも金曜日や土曜日に集中しており、業務の効率化や、渋滞などの緩和のため、利用客数を平準化させてはどうかということが長らく問題になっていました。
 また、観光庁という政府の機関が国民意識を調査したところでは、ゴールデンウィークの分散化について、「賛成」もしくは「どちらかといえば賛成」と答えた人が49.7%にのぼりました。約半数の人が賛成と答えています。その理由で最も多かったのは、「道路や交通機関の混雑緩和に期待するから」というもので、約9割の人があげています。

 そこで、政府が全国何ヶ所かで実験地域を定め、学校を集中的に休みにするなどの実験を行いました。
 たとえば亀山市では、市立の中学校、小学校、幼稚園を平成22年4月30日から5月5日まで7連休にしました。子どもの休みに合わせて親もまとめて休暇を取るきっかけになれば・・・というもくろみだったのでしょう。

 しかし、結果的に、この取り組みは不評でした。
 実験後、観光庁が行った追跡調査では休暇分散化の取り組みを「良かった」と評価した保護者は33.1%にとどまったのです。
 本社が業務をしているのに支店だけ休めない。顧客からの注文があるので休めない。など、実験区域だけの都合はなかなか聞き入れられない、言い出せないということのようです。

 しかし、今回の日本自動車工業会の輪番操業は、結果的にそのような実験を(3ヶ月間は)再現することになります。
 自動車関連企業の休日に合わせて学校や役所も木・金を休みにしたら、それなら旅行でも行ってみようという家庭もきっと出てくるのではないでしょうか。
 ぜひ、このタイミングにあわせて、国内観光の活性化に関係者は取り組むべきです。
 
 休日分散化実験の反省では、連休化と分散化も大事だが「有給休暇の取得促進」を進めるべきである、というような総括が一般的です。(たとえば、第33回愛知自治研集会での妙高市役所職員労働組合による「休日分散化政策に見る「休日のあり方」について考える」など。これは一読の価値あり。)

 確かに有給休暇取得数を各先進国で比較すると日本の取得率がダントツで低いのですが、これは日本の労働法が、休暇の取得が労働者の希望により行われることになっており、業務に支障があるほかは雇用主は休暇を(希望通りの日に)与えなければならないという規定になっているからです。
 このような規定だと、仕事に支障が出る、同僚に迷惑がかかる、など労働者が遠慮し、自主規制してしまいます。反対に、企業が労働者に休暇取得計画を作らせ、この日から何日間は休みなさい、と命令する方式に変えたほうが、心理的に楽に休みが取れ、取得は進みます。現実に、ヨーロッパなどでは労働法がそうなっているケースが多いそうです。

2011年5月21日土曜日

伊勢湾フェリーに乗って鳥羽から伊良湖岬へ

 先日、鳥羽伊良湖航路活性化協議会が開催されたニュースが報じられていました。
 この協議会は、三重県鳥羽市と愛知県田原市(伊良湖岬)を結ぶ伊勢湾フェリーの利用促進を目的に、三重、愛知両県や鳥羽、田原両市、その他の関係機関から構成されており、乗客の誘致などに取り組んでいるとのことです。
 協議会の席上では、伊勢湾フェリー株式会社から乗客数について、平成22年度の総旅客数は385,545人で前年度比9.2%増となったものの、平成23年のゴールデンウイーク(4月29日~5月8日)の総旅客数は前年より2.7%減の29,063人にとどまったとのこと。
 写真コンテストの実施や、小中学校の遠足でフェリーを利用した場合の助成などの対策は講じているようですが、まだまだ予断は許さない状況のようです。

 ところで、はんわしは先日、伊勢湾フェリーに乗る機会がありましたので、まだ乗ったことがない方のためにちょっとPRしたいと思います。
 伊勢湾フェリーの鳥羽市の乗り場(鳥羽ターミナル)は、鳥羽水族館の隣にあり、国道42号線から海側に入ったすぐのところにあります。JR・近鉄鳥羽駅からだと徒歩20分ほどです。
 自動車のほかに、バイクや自転車も乗船OK。もちろん、クルマなしで人だけが乗船することも可能です。
 クルマの場合は出航20分前までに乗船手続きを済ませなければいけません。(車検証要)

 ■伊勢湾フェリー ホームページ http://www.isewanferry.co.jp/index.html

 船は約2300トン。もちろん自家用車や大型車が50台以上も載せられるのですから大きな船なのは当たり前ですが、意外に感動します。
 わしが乗った伊勢丸はわりと新しい船らしく、客室の内部も広々してきれいでした。
 普通の日なら揺れは気になりません。津と中部国際空港のセントレアラインなどに比べても、圧倒的に揺れは少ないです。
 ただし、伊勢湾口は直接太平洋に面しているので、少々海が荒れている日は船に弱い人はきついかもしれません。(台風などの荒天日は欠航になる。)

 出航するとすぐに、ミキモト真珠島や鳥羽マリンターミナルを望むことができます。
 運がいいと、ミキモト真珠島で海女さんが実演ショーをやっているのが見えたりします。観光客相手とはいえ、本当に海に潜るのですから海女さんも大変な商売です。

 出航して15分ほどで、わしにとって見慣れた鳥羽の街が航跡のかなたに遠ざかっていきます。
 背後の高い山が、伊勢志摩地域の名峰 朝熊岳です。(以前にもブログに書きました。)

 伊勢湾には、4つの有人の離島があります。坂手(さかて)島、答志(とうし)島、菅(すが)島、神(かみ)島で、すべて三重県鳥羽市に所属します。
 神島はピラミダルな孤島で、遠くからでも非常に目立ちます。鳥羽から定期船で40分以上かかるこの島の人口は約500名。平地がないため山の中腹にまで家が建ち並んでいるのがよく見えます。
 三島由紀夫の小説「潮騒」のモデルになった島として有名ですが、実際に行くのはなかなか大変です。(ホントに行ってみたい方はこちらを)

 出航して約40分、神島を過ぎると太平洋が開け、伊勢湾内にくらべて荒々しい波を感じます。
 また、名古屋港に向かう外洋航路の大型船の行き来が急に多くなります。何万トンもありそうなコンテナ船とか自動車運搬船の間を抜けて進んでいくのはスリリングです。
 そういえば、船にはブレーキってないんだ・・・
 
 鳥羽から55分で伊良湖に到着します。
 伊良湖のフェリー乗り場近くには道の駅「クリスタルポルト」があって、渥美半等特産のメロンやトマト、海産物、お菓子などがたくさん売られています。
 また、灯台を通って恋路ケ浜を周遊できる遊歩道もあり、ウォーキングやデートスポットになっているようです。
 鳥羽が水族館や真珠島などの施設型観光地で自然の海岸がまったくないのに比べ、伊良湖は自然豊かなので、やはり両市がタイアップして相乗効果で観光客の集客に取り組むことは必要でしょう。

 しかしながら、三重、愛知両県で高速道路の整備が進み、なかんずく今現在無料化が行われている中では、人口が少ない鳥羽と伊良湖を結んでいるのでは採算ベースではフェリーの経営はやはり苦しいであろうと想像されます。

 会社も色々頑張っているので、せいぜい利用したいとは思うのですが。

2011年5月20日金曜日

「津みやげ」求めて

 嫁さんが実家に帰省するにあたり、手土産くらい持たせたいと津で何かふさわしいお土産がないか考えていました。

 伊勢なら文句なく土産は赤福です。

 桑名なら時雨蛤とか、四日市なら永餅とか、だいたいの町にはご当地の定番というものがあるのですが、津の場合は・・・
 普通に考えると「平治煎餅」です。

 その昔、津の阿漕(あこぎ)という漁村に平治という親孝行な男がしました。病気の母親に「ヤガラ」という魚がいい薬になると聞いた平治は、伊勢神宮の神饌(供え物)の漁場であり一般には禁猟区域であった阿漕浦でヤガラを密漁してしまいます。
 名前を書いた笠を浜に忘れていったことが動かぬ証拠となった平治は、あわれにも掟を破った罰として生きたまま簀巻きにされ、海に投げ込まれて処刑されたとのことです。

 後年、平治の霊を慰めるための塚が作られたものの、むごいこと、ひどいこと、横紙破りをすることは「阿漕(アコギ)なことをする」と言われるようになってしまったとのことです。
 津が今でもパッとしないのは平治の祟りかもしれません。

 脱線しましたが、その平治の笠をかたどったのが、津の銘菓「平治煎餅」です。

 しかし、これは言ってみれば津にとって常識的なみやげなので、何か面白いものがないかとイオン津店(津サティ)の中にある浅田屋に行って見ました。
 ここは家族写真で有名な津出身の写真家 浅田政志さんが監修しているアンテナショップで、有名無名、さまざまな津の特産品や隠れた名産品、面白アイテムがたくさんあるという場所です。

 ひどく暇そうな店員さんに「津のみやげって何かいいのないですか?」と聞くと、「そりゃー平治煎餅でしょう」という返事。
 ほかに何かないか、安くて、軽くて、かさばらないもので、と一緒に探してもらい、見つけたのが平治煎餅本店が作っている「ゴーちゃん煎餅」です。

 NHKの大河ドラマ 江(ごう)~姫たちの戦国~ のミエミエのあやかり商品ですが、350円と激安なのと、高齢者はきっとNHKを見ているであろうから喜んでくれるだろうということでまずゲット。

 続いて、津ステーションビル チャムのおみやげコーナーでおばちゃんに聞いてみると、やはり「それはやっぱり平治煎餅ですよ」とまったく同じことを言います。
 ほかに何かない?と聞くと、いろいろ教えてくれたのですが予算が折り合わず、結局「今一番人気」とおばちゃんが断言する、地上の星 なるお菓子を購入しました。これって本当に津の名物なのでしょうか?

 津市以外の方には知られていませんが、実は津にはうなぎという名物もあります。聞いたところでは、たしか人口当たりのうなぎ屋の数が全国で一番多い都市だったと思います。

 実際、街角のいたるところにうなぎ屋があり、蒲焼の香ばしい真っ白な煙をもうもうと換気扇から吐き出しているのをよく目にします。(おそらくめちゃめちゃ近所迷惑だとは思いますが。)

 しかし、土産物という視点から見ると、あまりうなぎの関連商品がないような気がします。浜松の「うなぎパイ」以上の決定版うなぎ商品の開発を、津市の食品メーカーには期待したいものです。

2011年5月19日木曜日

知的財産権制度はイノベーションに貢献しない

 M・ボルドリン、D・レヴァインの共著である
<反>知的独占 特許と著作権の経済学
(NTT出版)
をつっかえつっかえ、飛ばし飛ばし読了しました。

 知的財産権制度というと難しいように聞こえますが、要するに特許権や著作権などとよばれるもののことです。
 研究者が一所懸命に研究を続け、世間の役に立つような発明をしたとします。その発明は知識として研究室に囲い込んでおくのではなく、実社会で応用され、産業技術や製品となって、はじめて社会が恩恵をこうむること(社会に貢献すること)ができます。
 
 そこで、発明の内容を広く公開すると同時に、他人が無断で勝手に盗用できないよう規制して発明者の権利を守り、さらにその発明を応用する場合は発明者に対価を支払うというルールを整えることで、発明という「知的な財産」が広く社会で活用できるようにした制度です。

 これは芸術作品の創作でも同じで、画家や写真家、作曲家などのクリエーターは、自分の作品について著作権を有しており、素晴らしい作品を広く人々が楽しめるよう著作物の使用についてのルールを定め、勝手に海賊版が作られないように著作権を保護し、他人が使用する場合は対価(印税のようなもの)を得られるという制度があります。

 ポイントになるのは、
その1 発明や創作をした人は、知的財産権によって独占的に権利を有することを認める。
その2 しかし、知的財産権は社会で活用されてこそ意義があるので、知的財産権者の許諾などの手続きを踏めば誰でも利用できるようにし、活用をスムーズにする。
その3 しかし無限定に公開すると盗用されてしまい、発明や創作に対する意欲が失われてしまうので、知的財産権者には、発明や著作の対価を得る権利が認められる。
 の3つです。つまり、「社会での活用」と「発明者・創作者の保護」のバランスをうまくとることで、「産業や文化の発展」を目指すものです。

 しかし、この本はその通説に疑問を投げかけます。

 知的財産権を発明者・創作者に独占させることは、発明や創作の意欲(インセンティブ)を高めているというのは本当か?

 知的財産権などなくても人間の発明や創作に対する意欲を止めることなどできないのではないか?

 むしろ、知的財産権があることで既得権者が後発者の研究や創作を邪魔して、結果的に産業や文化の発展はむしろ阻害されているのではないか?

 この本が実例としてあげるのは、18世紀イギリスで産業革命の主役となった「蒸気機関」の発明です。ワットが発明したというのが俗説で、彼は他の発明家たちより早く特許を取得したにすぎません。
 その結果、ワットは競争相手である発明者たちを次々と法的に追い込んでいき、利益を独占します。蒸気機関の馬力が驚異的にアップを始めたのは、ワットの特許期間が終了し、誰もが自由に改良できるようになった1830年ごろのことでした。特許権はむしろイノベーション(革新)を阻害していたのです。

 反対に、特許が認められにくかった分野であったために業界全体が大きく発展した例が20世紀のソフトウエア産業です。今では特許権侵害の訴訟合戦をしているアメリカのソフトウエア企業も、ソフトに対する特許権が法的に認められる1981年までは完全な自由競争でした。
 グラフィカル・ユーザー・インターフェイス、アイコン、フォント、検索アルゴリズムなどなど現代のコンピュータ社会を支えている技術は多くが1981年以前のもので、誰もが自由に改良できることでソフトウエア産業は驚異的に発展したし、現在でもリナックスのような著作権フリーのソフトが大きな存在感を示しているのです。

 現在のように知的財産権が肥大化(猫も杓子も)したのは、著者によると、発明者・著作者よりも経営者や弁護士など知的財産権の周辺にいるビジネス勢力が強大化したからです。
 アメリカ政府ののプロパテント政策と、アメリカ企業の特許戦略は今やグローバルスタンダードになってしまっています。技術力が高い日本の製造業がことごとく海外市場でシェアを失うのも、知的財産戦略がアメリカ企業に比べて劣っているからというのが定説です。

 エイズの特効薬も実は安価に製造できるのに、莫大な特許料が上乗せされるため途上国の患者は買うことができないという現象は社会正義に反しています。
 このように、ちっともイノベーションを促進せず、まわりの応援団がよりたくさん儲かるだけの知的財産権など、大胆に規制緩和~国による関与の廃止など~するか、知的財産権制度そのものを廃止してしまえ、というのが、極端なようですが著者の主張です。

 はんわしの知識では、いいとも悪いとも何ともいえない大胆な提案ではありますが、デジタル時代となり、情報のコピー費用が限りなくタダに近づく中で、産業革命期に確立した知的財産権もさまざまな行き詰まりを見せていることは確かだと思います。本としては大変面白かったです。

2011年5月18日水曜日

本気の「地域ぐるみビジネス」講座

 東海地域におけるコミュニティビジネス支援団体の草分けであるNPO法人起業支援ネットが、最近、三重事務所を開設しました。
 場所は、NTV系のテレビドラマ「高校生レストラン」で一躍全国区となった、県立相可高校がある三重県多気町(たきちょう)です。

 この町で、「農山村版!地域ぐるみビジネス講座」 ~ワタシらしさとココらしさをビジネスに~が開講されるそうです。

 起業支援ネットのブログ(事務局便り)から転載すると・・・
★こんな人におすすめ!
・コミュニティビジネスを準備中または展開中の方
・地域資源を発見し、地域の人びとを巻き込み、ビジネスを模索中の方
・これからの農山村に可能性を感じ、移住や仕事おこしを考えている方

★講座の特徴
・[仲間] 連続5回(合計9日間)の講座で、毎回講師や仲間、ゲストとの交流会あり!
・[自分] 自分を知り意思を固め、理念を立て人に伝えるための言葉にする!
・[視野] 農山村の資源の図り方・都市のニーズの捉え方など分析力を身につける!
・[行動] 設計したビジネスプランに対し、何らかのアクションをおこす!

★プログラム
第1回:コミュニティビジネス概論/事例研究「えがおつなげて」
    5Pのビジネスモデル/農村の資源Ⅰ/理念形成
第2回:フィールドワーク@和歌山県北山村
    「地域まるごとビジネスをめぐる旅」
第3回:農村の資源Ⅱ/都市のニーズ/5Pのビジネスモデル
第4回:5Pのビジネスモデル/チャレンジ企画書策定
第5回:チャレンジ成果発表会/深化版5P発表会とアドバイザー講評日程

 上記のほか、日程や講師、参加費などはブログをご覧ください。(リンクはこちら

 多気町は、地域産業振興上、とても興味深い場所です。この地で開催されるコミュニティビジネス講座はきっと意義あるものになるでしょう。

 長らく農業の町というイメージだった多気町は、町役場が工場誘致に成功したシャープが平成7年に操業を開始すると、おりからの液晶ブームもあって一気に「工業の街」へと印象が一新されました。
 最盛期には3000人以上の従業員がおり、それらを当て込んだ飲食店やアパート、店舗などが道路沿いに林立し、すっかり都会に変貌してしまった感がありました。(もっとも、その後にシャープ亀山工場ができて、液晶生産の主力はそちらに移ってしまったのですが)

 同時に、古代から水銀の採掘で繁栄した歴史を持つ多気町は、平成の大合併で一体となった旧勢和村地域も含め、住民による地域おこし活動や、コミュニティビジネスが盛んだったという地域特性も持っていました。
 あじさいの植栽やビオトープの整備などでまちおこしに取り組んでいる立梅用水や、主婦グループによる農村レストランとして有名なせいわの里まめや、農業公園の全国的な先駆けである五桂池ふるさと村(今は、まごの店の所在地としても有名です。)、そして、相可高校。などなど。

 今となっては、住民が中心となって地域に根ざした活動をしている、後者の地域ビジネス群は、まばゆい輝きを放って多気町の名を高めています
 地域産業振興に従事する人たちにとって、銘記すべきことのように思います。

2011年5月17日火曜日

TPPは先送り、成長戦略は見直すそうな

 政府は今日(5月17日)、東北関東大震災後の重要政策の工程表となる「政策推進指針」を閣議決定しました。この中で、6月に予定していたTPP(環太平洋連携協定)への交渉参加の判断時期を先送りすることや、「新成長戦略」は内容を見直し、年内にあらためて具体像を示す方針などが公表されたそうです。

 TPPが最良の形ではないにせよ、自由貿易の中でしか生き残ることができない日本が問題を先送りするのは、反対している人々にとっては天佑かもしれませんが、カタストロフィは間違いなくやってくるのです。それを子孫に押し付けているだけです。

 新成長戦略については、以前にもこのブログで、多くの識者が「国が成長する経済活動の分野を定め、それに集中投資する成長戦略というスタイルには有益性がない」ことを指摘しているという内容のことを書きました。
 読者の皆さん、ぜひお時間があれば、政府の成長戦略というものがどんなものか、実際に見てみてください。

 平成22年6月に菅内閣が閣議決定した「新成長戦略~元気な日本復活のシナリオ~」なるものは、7つの「成長分野」と、21の「国家戦略プロジェクト」からなっており、その頃を思い起こせば「低成長」と「デフレ」が喫緊の社会的課題だったこともあって、「名目成長率3%、実質成長率2%を上回る成長」、「2011年度中には消費者物価上昇率をプラスに」、「早期に失業率を3%台に低下させる」の3つを目標に設定しています。(そして、結果的には、その1つも達成できていません。)

 よく言われる、福島原発の事故による原子力発電への依存を見直すうんぬんというのは、7つの成長分野の一つである「グリーン・イノベーション」の中に、原子力発電への着実な取り組み、という表現があるほか、経済成長著しいアジア市場にパッケージ型のインフラを輸出しよう、というプロジェクトに原発を想定していたということのようです。

 しかし、よく読むと、新成長戦略は原発一本槍ではまったくなく、再生可能な太陽光や風力といった自然エネルギーを活用するとか、ライフスタイルを変えていく、というような記述もちゃんとあるのです。
 このことは、案外バランスが取れているとも取れるし、うがった見方をすれば(多分こちらが原因なのでしょうが)全方位に配慮した官僚の作文であって、結局は何の優先順位もない、という風にも解釈できます。

 現実問題として、国内で原発が新設、拡張される可能性は限りなくゼロだし、メルトダウンを起こした日本の原発システムを輸入しようという国もないでしょうから、事実上原子力発電のフェーズは、これ以上発展が望めない「退却戦」に入ったと見るべきなのでしょう。

 しかし、再生可能エネルギーもどうなのか・・・。
 繰り返しますが、新成長戦略にはその部分にも十分な記述がなされているのです。これを今さらどう見直すのか。あるいは見直した戦略に実効性が本当にあるのか。疑問はどんどん出てきます。

 もちろん、どんな社会にもおっちょこちょいはいるので、新成長戦略で自然エネルギーが重視されれば、「今度は自然エネルギーが成長分野なので、この部分に補助金や助成金をつぎ込んで経済を活性化させよう」などと言い出す地方自治体の職員が出てきたりはするでしょう。
 しかし、これはバブルです。今回の震災は数多くの教訓を我々に与えてくれていますが、経済環境の変化が早いだけでなく、天災という忘れた頃にやってくる伏兵もある。
 こんな不確定、不確実な中で、リスクが負えない人(政府、自治体。それに政治家も?)が企業や民間セクターに安易に指針めいたものを出してはいけない=もちろん、住民の側がそれを信用してもいけない、ということなのではないでしょうか。

 ■新成長戦略(首相官邸ホームページ) http://www.kantei.go.jp/jp/sinseichousenryaku/
   この中の、「新成長戦略のポイント」というパワポ資料で十分です。

2011年5月16日月曜日

落し物には気をつけよう

 電車に乗り遅れそうだったので、大急ぎで切符を買って、飛び乗りました。
 やれやれ。
 座席に腰掛け、流れる車窓を見ながら、ふと財布を確かめてみると、あるはずのプリペイドカードがない。
 しまった! 駅の自販機のところに置き忘れたんだ。と思ったけど後の祭り。残金がまだ5千円くらいあったのに・・・。 
 しかし、そんな時に限って、どうしても時間に間に合わせなくてはいけない用事だったので、気もそぞろなまま用事を済ませ、数時間後、駅に戻って駅員に問い合わせると、 「ここは駅長のいない小さな駅なので、遺失物(忘れ物、落し物)は、駅長がいるA駅に送っています。」とのこと。

 翌日、電車に乗ってA駅に行くと、忘れ物係の駅員さんから名前、住所、忘れた時の状況を聞かれ「確かにプリペイドカードを預かっています」との答え。
 でもほっとしたのもつかの間。「1日以上たった忘れ物は警察署に届けてしまっているので、警察署に取りに行ってください。警察署に行く前には電話してから行ったほうがいいですよ。」とのことです。

 警察に電話して、翌日、遺失物の窓口へ。
 同じように名前、住所、電話番号、その時の事情を聞かれ、警察官は多分信用してくれたのでしょう。これですね、と奥からカードを出してきました。「あっ、これですこれ。ありがとうございました。」という言葉を遮られ、意外なことを言われました。

 これを拾ってくれた人が、駅に届けた時に遺失物調書を書いています。
 拾い主は
 A 落とし主が見つかった時の落とし主からのお礼も、保管期間が終了した後の所有権も放棄する
 B 落とし主からのお礼はいらないが、保管期間が終了した後の所有権はほしい
 C 落とし主からのお礼はほしいし、保管期間が終了した後の所有権もほしい
 のうち、Cにマルをしています。
 なので、拾い主のこの人のこの番号に電話して、お礼をしてください。金額は話し合いなので警察からはとやかく言えませんが、まあ、これこれの額が相場でしょうなあ。

 そこで、拾い主に電話。全然知らない人にややこしい要件で電話するのって気が重くないか?
 何で私の電話番号を知っているの、とかいぶかしがられないか心配しながらかけてみると、最初は驚いた様子でしたが「そうは書きましたが、お礼なんていいですよ」とのこと。
 拾っていただいたお礼を言って、丁重に電話を切りました。

 落としてから決着するまで3日間。時間休をとって、バス代も電車代もかかっての回収です。
 それにしても駅でも警察でも、実際に行って係員と話をするまで、警察署に送ってしまったことも、落とし主がお礼を希望している(というところにマルをしている)ということは教えてくれませんでした。予想外のことばかりだったし、挙句の果ては拾ってくれた恩人とはいえ、見も知らぬ人に電話までしなくてはいけませんでした。
 これだったらいっそのことあきらめて探さなかったほうが、精神的にはずっと楽だったろうなあ。


 これは、先日、知り合いからはんわしが聞いた話です。
 落としたのが携帯電話とか運転免許証だったらもっと大変だったよ、と慰めたのですが。

 落し物にはお互い気をつけましょう。(今日は小ネタでした。) 

2011年5月15日日曜日

なぜ経営革新できないのか

 先日の三重県経営品質協議会の月例会(会員向けの勉強会)は、経営品質向上活動の第一人者である岡本正耿氏が講師でした。
 タイトルは、「なぜ経営革新ができないのか?」という、マネジメントに関心がある方々にとっては最も根源的な、ストレートなテーマでした。

 ちなみに、ここで言う経営革新とは、中小企業新事業活動促進法に規定される中小企業の新事業展開を支援する経営革新(計画の知事承認)制度のことではなく、純粋に一般的な、新しい市場への進出やビジネスモデル展開、新商品やサービスといった「新しい取り組み」という意味です。
 国内の人口は年々減少していき、同時に高齢化が進んで消費の質や嗜好も変わっていきます。このような「市場の成熟化」と、グローバル競争の進展によって、従来型のビジネスモデルには限界が見えていることは多くの経営者が気づいていることでしょう。
(ちなみに、経営とは営利企業の事業活動だけでなく、非営利企業、行政組織のマネジメントも含むことはもちろんです。)

 経営者は、その業界で一定年数ビジネスを経験しており、自分たちの弱みや強み、業界全体の動向もある程度は分かっているはずです。したがって進むべき方法もぼんやりとにしろ見えているケースが多いはずです。
 しかし、経営革新という行動にはなかなか移せない。
 わかっているけど動けない。
 これはなぜでしょうか。

 岡本氏はいくつかの理由があるといいます。
 1つは、「まだ時期尚早だ」とか「もう少し様子を見てから」というようなマイナスの理由、つまり、取り組まない、やらない理由はいくらでも列挙できることです。
 これへの対応は簡単で、
 それでは経営革新に取り組む時期が早いというなら、いつならいいのか。
 取り組める人材がいないというなら、ではいつになったらその人材は育つ見込みがあるのか。
 現在の業務が忙しすぎて余裕がないというなら、今革新に取り組むことで業務はむしろ楽になるのではないか。
 などと一つ一つ厳密に考えていけば、ネガティブな理由はほとんどが根拠のないものであることがわかるといいます。

 もう1つは、経営革新とは、全社でミッションを共有する必要があり、そのために社内コミュニケーションを徹底的に図っていく必要があるが、「コミュニケーション」とは理解ではなく納得のことであり、これに費やす話し合いのエネルギーが膨大なため、ついついその手間から逃げてしまうことにあるということです。
 こちらは厄介な問題です。

 経営者が情報を独占して「依らしむべし」の態度であれば、従業員は情報の非対称性によって経営者と同じ目線で考えることができません。
 命令や強制ではモチベーションが低下してしまい、面従腹背となるだけです。
 結局、いかに社内のコミュニケーションを強化していくのか、月並みですが、経営革新に取り組めるか否かは、そのことに尽きるような気がします。
 そしてそれは同時に、経営者の人間的な器の大きさや、誠実さ、教養など、人的な魅力も重要なファクターだということを表しているのではないでしょうか。

 話は戻りますが、経営革新に取り組めないマイナス理由の一つに必ず上げられるのが、すでにこのプロジェクトには何年も取り組んでおり今さら後戻りできない、とか、すでに多額の予算をつぎ込んでおり今やめればすべて損失になってしまう、「だからやめるわけにはいかない」というサンクコストの問題です。
 民間企業や非営利企業でも同じ問題はあるでしょうが、特に行政機関の場合、「行政の継続性」という美名により、明らかに効果がない施策も予算を取り続けることが使命のようになっているサンクコストが実に多く存在します。
 これも終局的にはコミュニケーションによって解決できるのでしょうが、確かにその手間やエネルギーを考えると気が遠くなってしまいます。特に政治的な問題が絡むとよけいややこしくなるし・・・
 と、こういうマイナス思考がよくないのだろうけれど。

 それにしても、三重県経営品質協議会はこのような月例会を始め、実に役立つ有益な事業をしているのに、今ひとつ知名度が低く、マスコミにも取り上げられる機会が少ないのが残念です。

 ■三重県経営品質協議会 http://www.miequality.net/
  

2011年5月14日土曜日

伊勢のチンチン電車 線路跡をたどるハイキング

 伊勢のチンチン電車こと、三重交通神都線は、とうの昔、昭和36年に廃止されてしまっているので、はんわしは見たことも、もちろん乗ったこともありません。

 しかし年配の市民とっては、チンチン電車は古き良き時代の伊勢を思い起こさせるノスタルジアと一体になったものなのか、いまだに神都線の写真集資料集が発行されたりしています。
 
 近鉄宇治山田駅が主催した、今日の「お伊勢さんを結ぶ懐かしい路面電車の線路跡をたどる」というハイキングも、そのような一部の強いマニアに支持される企画に違いありません。

 今日は久しぶりの晴天。風も5月らしく爽やかだったし、何より自由エントリーで無料なので、参加してみることにしました。

 宇治山田駅でガイドブックと地図、そして今日、外宮前の公園で開かれている物産展「伊勢楽市」のチラシをもらい、スタート。

 宇治山田駅から旧本町(外宮前)停留所跡を経て、伊勢市役所の前を通り、錦水橋、前田、倉田山と廃線伝いに旧停留所跡をハイキングします。

 何しろ50年以上前に線路は撤去されているので、当時の面影はまったくなく、廃線敷は道路や宅地になってしまっています。
 しかしなにせ、住み慣れた街でも用事はクルマか自転車で足すので、「歩く」という機会はほとんどありません。あらためて、この道にはこんなに傾斜があったのかとか、こんな店ができたのか、なんていう発見があったりします。
 まったく変貌したのは楠部のあたりでしょう。農村地帯だったこのあたりも高速道路のインターチェンジができ、それを中心に大型スーパー、量販店、コンビニ、アパートが建ち並んでいます。よく言えば都市化でしょうし、悪く言えばファスト風土化でしょうか。
 国道はクルマがひっきりなしに走っており、ほとんど人影がない歩道を100メートル歩く間に、数え切れないほどのクルマに追い抜かれます。
 月読宮、宇治(猿田彦神社)、と歩き、スタートから70分ほどで内宮前に到着しました。

 実は、宇治山田駅をスタートした時は、同じように地図を持った数十人の人々と同じように歩き出したのですが、距離が長い(約8キロほど?)せいか、それとも国道23号線沿いで殺風景な旧線路跡よりも、木々の中を気持ちよく歩け、神宮美術館や神宮徴古館などもある御幸道路沿いに歩く人もいたと思われるため、内宮に着いた時はほんの数人だけになっていました。

 電車の終点だった内宮前の停留所跡は、ほぼ同じ位置でバス停として使われています。
 しかし、そのバスも、交通機関としての主役の座を自家用車に奪われて久しくなっています。人口が減少し、省エネが喫緊の課題になってくるであろうここ何年かで、交通機関に再び大きなイノベーションが起こるのかもしれません。


 それにしてもおはらい町、おかげ横丁は午前11時ごろだったにもかかわらずすごい人出でした。
 お店をのぞくと最近はここでも中国人観光客が多いのか、銀聯(ユニオン・ペイ)のクレジットカードが使えるというノボリを出している店も見かけます。


 五十鈴川から望む鼓ケ岳は美しい新緑に覆われていました。はや、夏の気配です。
  

2011年5月12日木曜日

そう言えばメタンハイドレートはどうなった?

 三重県尾鷲市の尾鷲三田(みた)火力発電所は、中部電力が浜岡原発を運転停止することになったため、予想される電力不足への対応措置として、運転の再開を視野に入れていると報道されています。
 中日新聞(5月8日付け)によると、
・三田火力発電所は1964年に1、2号機が運転開始。漁業や林業に代わる尾鷲の基幹産業となったが、最近は原油高や発電効率の悪さから運転の抑制が続い た。
・2号機は2004年に廃止、1号機も08年に停止した。現在は87年に運転開始した3号機が電力不足時だけ稼働しているが、昨年度は年間1割しか運転 されなかった。
・ 浜岡原発がすべて停止した場合、計361・7万キロワットの電力が失われる。三田火力のフル稼働には1号機のメンテナンスが必要だが、2つの発電機で最大87万5000キロワットを確保 できる。
 とのことです。

 地元尾鷲市の岩田市長は7日、同紙の取材に対して「(三田火力の)稼働率が上がれば、発電所内で使用する水道使用料や、原油を積んだタンカーの入港料など、市への収入が増え、経済効果が期待できる」と話したとのことです。これは偽らざる心境でしょう。

 しかし、ここで思い出すのは、メタンハイドレート(Methane hydrate)です。
 メタンハイドレートとは、メタンをを中心に、周囲を水分子が囲んだ形でできている物質のことで、こ の構造を維持するためには、低温で高圧である必要があり、日本では本州、四国、九州といった西日本地方の南側の南海トラフに最大の推定埋蔵域を持っています。

 日本全体の資源量は天然ガス換算で7.35兆m³(日本で消費される天然ガスの約96年分)と推計されており、実は日本近海は世界有数のメタンハイドレート埋蔵量を誇っているそうなのです。
 実際、わしが尾鷲にいる間も、深海調査船が熊野灘沖の埋蔵量を調査したことがあったと記憶しています。

 もっとも、現実的に考えると、水深数百メートル~2000メートルもある海底から、さらに数百メートル地下に埋蔵されているわけで、掘削には相当の技術的な困難が予想されます。
 高圧で圧縮されており、見た目はシャーベット状のものをどう掘削し、運搬するのか。
 北海の石油掘削基地からの原油流出事故のように、荒天などで事故が起こった場合、日本有数の漁業地帯である紀伊半島への深刻な影響も心配です。

 しかしながら、幸か不幸か、今のようにエネルギー問題に関心が高い時こそ、正確な埋蔵量の測定や、掘削可能性の検討などを行うべきタイミングのような気がします。
 そのさい、尾鷲市を中心とした港湾インフラや高速道路も最大限活用できるようなプランも、ぜひ構想してもらいたいと思います。

(参考リンク)
■森羅万象学校 メタンハイドレート
 http://www.sinra.jp/2003-03-03/ochiai/lecture-1/pub-web/ochiai-1.html

2011年5月11日水曜日

TPPで日本はどうなる!?

 TPPでどうなる日本?というタイトルに釣られて季刊地域なる雑誌を購入してしまいました。
 「現代農業」の別冊のようなので、だいたいの内容は想像できましたが、期待?に違わず、TPPなんかに参加したら農業は壊滅するし日本も滅びる・・・という否定論、悲観論のカタマリ。読後、お腹がいっぱいになる一冊でした。

 巻頭から、農業者によるTPP加盟絶対反対のアジテーション演説のような論文が続き、その次は、前原前外相による(TPPに加盟しないと)「1.5%を守るために98.5%が犠牲になる」という有名な発言など、民主党の政治家や財界人の発言が検証され、その政治的変節や拝金主義が批判されます。

 数ページめくって、やっと「TPPとは何か」についての制度説明になりますが、何とたったの2ページ分しかありません。これだけでも相当に主観的な(というか、はっきり言って「偏向した」)編集方針が見てとれます。


 ただ、よく読むと、同じ農業者であっても、野菜や果物など鮮度が優先される作物を作っている農業者は比較的TPPに前向きなのに対して、コメなどの穀物とか粗糖の農業者は危機感が非常に大きいことがわかります。
 また、農地を集約化して大規模に米を生産している農業法人経営者も、農業は水路の維持管理など生産活動の基盤がボランタリー(はんわし注:地域農家による共同体というくらいの意味かと思います)に支えられており、小規模零細な兼業農家もそれはそれで存在意義があるのだ、というような意見もあって、勉強になるのは事実です。

 しかしもっとも勉強になるのは、TPP反対論者の典型的な思考パターンが何度も何度も、暗記できるほど繰り返し出てくることです。
 すなわち、
1 TPPは加盟国は対象となるあらゆる品目の関税撤廃、市場開放が求められており、事実上、アメリカ合衆国による市場支配を進めることが真の目的である。

2 日本はすでに平均的な関税は低く、これ以上市場を開放したら農業は完全に崩壊するし、地域の中小企業も今以上の苦境になる。

3 食料が自給できず、外国からの輸入に依存するなど独立国家としてあるまじき姿である。

4 小泉構造改革により解雇規制が緩和され、輸出型製造業を中心に大企業は大きな利益をあげた。しかし経営者は儲けを国内に投資せず内部留保を溜め込んでおり、これが「実感なき景気回復」の原因となっている。

5 このような大企業をTPPによって振興しても日本に恩恵はない。むしろ疲弊した地域農林業や中小企業を支援し、自立型・循環型の地域経済を作り上げることが必要である。
 というロジックです。

 わしとしては、この考え方にもある程度の共感は覚えます。(もっとも前提となっている部分は大いに疑問ですが・・・)
 人間にとって食い物は最も重要な消費財だし、自国で自国民の食料が自給できればそれに越したことはありません。
 しかしその一方で、前にも書いたように、農業生産の前提となる石油、ガス、化学肥料、飼料、プラスチックなどの資材は、大部分を輸入に頼っています。輸出はいいが輸入はだめなどという自国中心主義(重商主義とも言う)を各国が主張しだしたら世界経済は大混乱です。

 行き過ぎた資本主義とか、個人の欲望を無限に肯定する物質主義は確かに反省すべきですし自制が必要です。
 けれども、インターネットにより情報は全世界を瞬時に飛び回り、モノも、人も、カネも、自由に国境を越え、ダイナミックに動き回っている。そんな世界に我々はいるのです。

 一部の理想主義者が主張するように、「グローバル競争はやめて、コミュニティの身の丈にあった暮らしをしよう」などということが、この1年2年、いや、5年10年のスパンで実現可能なのでしょうか。
 今の生活水準を、パソコンも携帯も、ウォシュレットもコンビニもなかった30年前の水準に戻すことすら、もう我々には絶対に不可能です。だとすれば、理想は理想として、現実的なソフトランディングの手法を考え、実行しなくてはいけません。
 TPPが決して最良ではないにしろ、自由貿易の推進以外に資源のない日本が生きていく方法はないのです。

 ■TPPは農業よりサービス業が問題 (2010年11月9日) 

2011年5月10日火曜日

省エネに効果アリ?「赤外線反射顔料」

 菅首相は今日(10日)、東電福島第一原発の事故を受けて、今後のエネルギー政策について、「従来の計画を白紙に戻して議論する。」と表明しました。
 2030年の総発電量のうち、原子力で50%をまかなうとしていたエネルギー基本計画(PDFによる概要版はこちら)を見直して、太陽光、風力、バイオマスといった再生可能エネルギーを推進すると共に、省エネ社会の実現を目指すとのことです。
 
 現代の豊かな生活は電気エネルギーによって支えられていると言っても過言ではありません。
 それを十分な前提としても、これほど影響の大きい事故が起これば、今後新たに国内で原発が新設されるということは非常に考えにくい状況であり、やむを得ない決断だったとも解釈できます。

 はんわしは猛烈な「暑がり」なので、ムシムシする梅雨の時期や暑さが本格化する夏にかけてエアコンは必需品です。これがなかったら全身アセモだらけになって、思考も活動もパフォーマンスは大幅低下するでしょう。しかし、今は電気エネルギー危機、非常時とも言える事態です。
 考えたくはないことですが、冷房の社会的なセーブも要請されることでしょう。ほんと、考えたくないことですが。

 しかし、一方で、省エネの意識があらゆる場面で高まることは、新たなビジネスチャンスや技術革新のきっかけになることでしょう。
 四日市市にある顔料(水や溶媒に溶けない有色微粒子状の物で、塗膜又は成型物に美しい色彩を与える)メーカーである川村化学株式会社が製造している赤外線反射顔料も、そのような可能性に満ちています。

 同社のホームページによれば、物質が太陽光に当たると暖かくなるのは、可視光線と赤外線が物質内に吸収されると熱に変換される性質があるからだそうです。
 一般的な黒色顔料は、他の色と比べて光をより多く吸収するために高温になりやすいのですが、同社の開発した「赤外線反射顔料」は
・可視光線領域で光の反射率が低い
・赤外線領域で光の反射が高い
 という2つの性質を併せ持っているため、黒色顔料でありながら温度上昇が少ないという特徴があります。
 このため、太陽光によって着色物の温度が上昇し熱劣化を引き起こしてしまうような材料、クールダウンを目的とする用途、人が触れて“熱い”という不快感を覚える場所への使用などが期待できるとのことです。
 詳しくは、川村化学ホームページの「機能材料」の商品INDEXをご覧ください。

 このような製品や技術へのニーズは今後ますます高まってくることでしょう。そういった工夫により省エネが進み、結果的に電気需要の総量が抑制されれば、災い転じて福となることにつながるのかもしれません。
 

2011年5月9日月曜日

「高校生レストラン」とコミュニティビジネス

 テレビドラマ「高校生レストラン」の舞台である「まごの店」は、三重県立相可高校食物調理科の実習施設として地元の多気町が建設した施設です。
 インターネット情報にもよく書かれていますが、ここは学校が休みの日、原則として土曜日・日曜日の昼間しか営業していないため大混雑しており、行列の途中で料理がソールドアウトしてしまうことも時々起こります。
 テレビドラマによってますます評判が広まり、お店は繁盛するであろうことは喜ばしいのですが、お客さんが捌ききれなくなる可能性も高まってきます。

 そこで紹介したいのが、相可高校のOBを中心に設立された株式会社相可フードネット「せんぱいの店」です。
  
 三重県が今年2月に発行したコミュニティビジネス事例集 三重のCB によれば

・相可高校時代に「まごの店」で経験を積んだ生徒たちは、ほとんどが料理関係の職に就く。そのOBたちが「腕前を発揮できるような会社がほしい」「地元で開業したいとき研修できるような会社があれば」という考えで設立されたのが株式会社相可フードネット「せんぱいの店」である。

・「せんぱいの店」は多気町のショッピングセンター内にあり、約30種類の料理が店頭に並ぶ。人気のメニューである惣菜の数々の原材料は、地元の農業生産者団体から調達したもので、コシヒカリ、タマゴ、豆腐は100%多気町産。市場に出せない規格外の野菜なども適正価格で仕入れている。


・平成21年度は売り上げ6千万円。22年度は5700万円と安定しているように見えるが、原材料費が売り上げの4割を占め、経営的にはまだまだ苦しい状況である。しかし、最近、地域の業者と弁当・惣菜販売契約が成立し、経営は安定する見込み。


 とのことです。

 まごの店、そしてせんぱいの店の設立に深く関わっている、いわば仕掛け人であるのは多気町役場職員である岸川さんです。(ドラマでは伊藤英明さん演じる’相河町役場’の岸野のモデル)
 彼は言います。
 地域にあるものを活用し、ないものを探さない。補助金は途中で消えるから、ビジネスの手法を取り入れ事業の継続を図ることが大切だ。

 これはまさに、地域資源活用型のコミュニティビジネス ~すなわち、地域の課題をビジネスの手法で解決する事業活動~ の本質を言い当てていると思います。

 ■せんぱいの店(食べログ) http://r.tabelog.com/mie/A2401/A240103/24002267/
  (場所は、多気クリスタルタウンショッピングセンター内)

2011年5月8日日曜日

尾鷲三田火力発電所が運転再開か?

*マニアックな内容なので法律に関心がない方は無視してください*

 菅直人首相は4月6日、中部電力に対して、現在運転中の4、5号機を含む浜岡原発の全面停止を要請しました。
 これについては、英断か、それとも拙速か、賛否両論があるでしょう。
 しかしここで気になるのは、首相には原子力発電所を停止させる法的な権限がなく、従って、今回の要請は法的根拠がない「事実行為」であるということです。
 
 電力会社を規制する法律は「電気事業法」です。
 これによると、一般住民に対して電力を供給する電気事業を行うには経済産業大臣の許可が必要とされています(同法第3条)が、発電所が防災上危険である、などの理由による取消事由はないようです。
 ただ、同法第40条には「経済産業大臣は、事業用電気工作物が(略)技術基準に適合していないと認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、そ の技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限するこ とができる。 」という技術基準適合命令という規定があります。
 これによれば、命令権者は経済産業大臣ということになります。

 また、原子力発電所を規制する法律は「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」というものです。
 原子力発電所の設置には経済産業大臣の許可が必要とされ(第23条)、大臣は、「原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質、核燃料物質によつて汚染された物又は原子炉による災害の防止上支障がないものであること。」などいくつかの条件に適合しなければ許可をしてはいけません。(第24条)
 また、経済産業大臣は設置許可の取消や、施設の使用停止命令を行える権限を有していますが、今回の浜岡のように「設置場所で大地震が起こる可能性がある」などの理由では、措置の対象にならないように読めます。

 そう考えてくると、菅首相(内閣総理大臣)が要請したことを強いて法的に位置づけるとすると、行政手続法上の行政指導にあたるのではないかと思われます。
 行政手続法第2条第1項第6号によれば、行政指導とは「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。」とあります。
 ここでいう「処分」とは、公権力の行使に当たる行為のことですから、要請はドンピシャこの行政指導の要件に当てはまる気がします。(ただ、総理大臣の所掌事務とは何かという議論はあると思いますが。)

 行政指導は、法的権限を振りかざすことを嫌う日本人のエモーションに合致したため、いわば「ソフトな」行政手法として肯定的に捉える立場もあります。
 しかし、行政の民間に対する優越的な地位を背景に、ごり押し、無理強いする例も後を絶たないため、行政手続法では
・行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならない とか、
・行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない
 などの規定がわざわざ設けられています。(同法第32条~第36条)

 最も問題なのは、国権の最高責任者が要請(行政指導)したことによって、政府が、防災上の危険があるから原発を止める、というギリギリの判断を民間企業である中部電力に委ねてしまっていることです。
 これは卑怯ではないでしょうか。ダメならダメと、きちんと法に則って処分、または命令すべきです。

 福島原発問題の対応のまずさが国際的な不信を買っているようですが、今回のような「大岡裁き」は、義理人情に厚い日本人や中国人にはともかく、「適正な法手続き(デュープロセス)」を重視する欧米諸国のますますの不信を買ってしまわないのでしょうか?


 そうそう、中日新聞(5月7日付け)によれば、中部電力は浜岡原発の停止に対応するため、休止していた尾鷲三田火力発電所などの再稼働を検討していることを明らかにしたそうです。中電としてはやむを得ないでしょう。
 ただ、これによってCO2排出量25%削減という鳩山前首相の対外公約も、事実上、反故になったわけです。

2011年5月7日土曜日

「高校生レストラン」第1回目が放映されました

 都会の人にはなかなかわからないでしょうが、三重県のような地方にとって、全国ネットのゴールデンタイムに「ご当地ドラマ」が放映されることは、地元にある種の浮かれ騒ぎを引き起こします。

 日本テレビ系列で土曜夜9時から始まった「高校生レストラン」は、三重県多気町に実在している三重県立相可(おうか)高校の食物調理科と、その実習施設であるレストランまごの店を題材にしたドラマです。その第1回目が今夜放送されました。

 地元の人間からすると、ストーリーは実話を大きくデフォルメしており、面白おかしく描かれていますが、はんわしが当初予想していた大映テレビ的な展開ではまったくなく、熱い先生と真面目な生徒の葛藤みたいな構成だったので、これはこれでまさに現代の青春ドラマなのだろうなあ、と思いました。

 相可高校の食物調理科、なかんずく顧問の村林先生(ドラマで松岡昌宏さん演じる村木先生のモデル)は三重県内の食を使ったまちおこし活動や、企業による新商品開発とのタイアップなど多方面で活躍しています。
 実際、これほどの精力的な活動はなかなか真似のできないことです。その意味で相可高校の存在は貴重だし、ますますこの種の連携構築が進んで、地元の食文化や食品関連産業が活性化すればいいなあと思います。(写真は相可高校のある多気町の醸造メーカー河武酒造とタイアップしたお醤油です。スーパーの棚に並んでいました。)


 最後に浮かれ騒ぎの実例を。
 伊勢市内の書店で見かけたキャンペーンプロモーションです。村林先生の著書「高校生レストラン、本日も満席」と、「高校生レストラン、行列の理由」(共に伊勢新聞社刊)がドドーンと並べられていました。本日も満席のほうは、わしも読んだことありますが結構面白かったです。


 伊勢新聞社は、何とこの2冊の本の専用ホームページまで作ってしまっています。この売らんかな精神はあっぱれ。ぜひ見てやってください。(リンクはこちら
 

2011年5月6日金曜日

四日市コンビナート夜景クルーズ募集再開!

 震災の影響で参加者の募集が一時取りやめられていた四日市コンビナート夜景クルーズですが、四日市観光協会のホームページによると、5月1日からツアー参加の予約申し込みが開始されているようです。(リンクはこちら

 四日市の石油化学コンビナートは全国でも有数の規模を誇り、俗に「川上産業」と呼ばれる石油や樹脂などの、総ての製造業の基となるエネルギー源や素材を生産している一大製造拠点です。
 宮城県や千葉県などのコンビナートが被災し、経済復興の観点からも四日市の立場は重要度を増しています。その状況の中で、危険物を扱っており設備も広大で複雑なため、もともと一般公開は想定していないコンビナートを観光資源とすることには、不確定要素も多かったであろうことは容易に想像できます。
 いずれにしても、今シーズンのクルーズ実現のために尽力された関係者には感謝したいと思います。

 昨年の四日市コンビナート夜景クルーズのテストツアーについては、はんわしも参加することができ、その状況はこのブログにも書いています。
 天候はあいにくでしたが、会場から眺める夜景は非常に幻想的で、不思議な感覚にとらわれました。機会があればぜひ多くの方にご参加いただきたいと願っています。

 ■四日市コンビナート夜景クルーズに行ってみた(2010年6月26日)

 たまたま本屋をのぞくと、「工場見学」とか、「すごい製造業の現場紹介」みたいなテーマのムック本を、何種類も見かけることができます。


 一番新しいのは、昭文社の 大人も楽しめる「工場見学」ガイド という本です。この書店には京阪神版と東海北陸版の2種類が置かれていました。(昭文社ホームページはこちら

 はんわし個人としては、成熟した経済が第二次産業から第三次産業に比重を移していくのは不可避だと思っていますが、そうは言っても日本の優れた生産加工技術は世界をリードしており、これからも工業が重要な地位を占め続けることは間違いありません。
 なかなか一般消費者の目に触れることがない工業の現場が、この種のガイドブックなり、四日市コンビナートクルーズのような産業観光により、多くの人に知られるのは大切なことだし、有意義なことだと思います。

2011年5月5日木曜日

記憶は風化し、新たな伝説にすり替わる

 神戸を中心とする阪神地域は、人口集中地域を抱える「一大消費基地」であった。このため、阪神大震災は日本の工業生産活動への影響は軽微で、回復も早かった。
 一方、東北地域は農業、水産業、工業の「一大生産基地」である。したがって全国の生産活動に与えている影響は阪神の比でなく、回復にも時間がかかる。

 このような驚くべき言説が一部、巷間に流れているようです。
 平成7年1月に起こった阪神大震災は死者約6500人、企業の被災など経済的損失は約10兆円。
 これに対して、今回の東北関東大震災は死者1万人以上、経済的損失は16兆円といわれています。しかもこの経済的損失には福島原発の事故関連分は含まれていないので、今後数字はさらに大きくなるだろうと考えられています。
 単純に比較すれば、確かに今回の震災のほうが深刻なのですが、まず実態として、今回は地震と津波のダブルパンチであり、地震と、それによる火災の被害が大きかった阪神の例との比較は難しいものがあります。
 しかも、今回の震災は少なくとも東北4県、北関東3県に大きな被害があり、エリアの広さも単純に比較できません。

 人口密集度は、それは確かに阪神地域のほうが大きかったと思いますが、同時に神戸は神戸製鋼、住友ゴム工業、川崎製鉄など、基幹産業であった重化学工業が被災し、川下産業の生産ストップや、被災した企業の生産拠点の県外移転なども見られました。
 また、日本最大の生産規模を誇っていたケミカルシューズなどの地場産業がほぼ壊滅したことも記憶に刻まれているところです。
 阪神は消費の拠点であったと共に、工業都市として、また、それら工業製品を輸出する拠点港湾としても重要な地位を占めていました。

 では、今回の東北震災が、「東北が日本の生産基地である」という誤解を招いたのはなぜでしょうか。
 それは、製造業企業の選択と集中が進み、「モノは最もコストの安い場所で作る」という経済合理的な思想が浸透して、サプライチェーンが伸びきったためです。
 東北の各県が産業構造を「高度化」しようと、自動車や半導体などの製造業を熱心に誘致したのは事実かと思いますが、それは東北がたまたま低コストだったと進出企業が判断したという結果に過ぎません。
 
 実は、阪神大震災のときにも、製造拠点の行き過ぎた「選択と集中」を課題として指摘した議論はありました。(たとえば、日本福祉大学 遠州尋美氏による「阪神大震災と神戸経済」 リンクはこちら

 遠州氏によると、
 トヨタ本社工場、マツダ本社工場、本田技研熊本製作所および浜松製作所、三菱自動車水島工場、同岡崎工場など、下請け部品メーカーの被災や物流施設の麻痺によって、被災地以外の工場も一時操業停止に追い込まれたが、・・・(略)・・・、影響は広く海外にまで及んだ。
 このように被害が広域化したのは、機能の集中に一因がある。個別企業でみれば、合理化集約化によって、製品目ごとに特定の工場に集中するようになり、また伝統的な下請け支配システムから部品調達も特定の系列部品メーカーに限定されていた。そのため、地震によって部品供給業者が操業停止に追い込まれると、代替部品の調達に支障をきたしたのである。
 一方、生産能力に直接被害がなかった場合でも、部品の積み出しが神戸港に集中していたため海外に部品を送ることができず、海外進出工場の生産を停止せざるを得なかったのである。

 とあります。
 そして「それゆえ、この震災の経験は、部品生産を含めた海外への生産移管を加速するとともに、港湾・流通機能の分散化への要求を強めることになろう。」と結論付けます。

 まさに、今回と同じような問題は15年前に萌芽していたのです。
 阪神は消費地だったが、東北は生産地である?
 んなアホな・・・

2011年5月3日火曜日

HRIが高速道路無料化の三重県内企業への影響を調査

 高速道路の休日上限1000円制や、無料化社会実験の影響について、きちんとした政策評価がないまま制度が見直されようとしています。
 民主党はマニフェストで掲げた公約として実施したものの、震災対策の財源捻出という理由でこれらの制度は廃止されようとしており、いつものことながら「なし崩し」「定見なし」で幕引きされようとしています。

 そんななか、百五経済研究所「新名神高速道路・高速道路無料化社会実験等の三重県内企業への影響アンケート調査報告書」を発表しました。
 今年1月から2月にかけて三重県内に本社がある企業に対しアンケート調査を行ったもので、465社から回答があったとのことです。

 質問項目は大きく以下の4つです。
・新名神高速道路開通の事業活動への影響
・三重県内の高速道路無料化社会実験の事業活動への影響
・ETC休日特別割引(休日上限1,000 円)の事業活動への影響

・地域の活性化につながったと思うか

 アンケート対象となった企業は、業種、所在地区とも様々であり、それぞれ反応は違っているようですが、総じて言うと

・“新名神高速道路開通が地域の活性化につながったと思うか”を尋ねた結果では、「どちらかというと思う」をあわせて4分の3が“活性化につながったと思う”と回答している(75.2%)。

・高速道路無料化社会実験については約6割(64.3%)が、ETC休日特別割引については約7割(69.0%)が“活性化につながったと思う”と回答している。
 などの興味深い結果が出ています。

 詳しくはぜひ、百五経済研究所のホームページ(http://www.hri105.co.jp/index.html)をご覧ください。

 産業振興や地域活性化において国がやるべきこと。
 それは、細々とした補助金のバラマキや、短期間で根本的な見直しが迫られるような「成長戦略」の提示ではありません。
 法人税などの減税、規制改革、そして産業インフラの整備などにより、企業の事業活動のパフォーマンスを上げる環境整備を行うこと。これらには複雑に絡む既得権者の「利害調整」が必要で、これこそ国がやるべきこと、国にしかできないことです。
 その意味では、渋滞や、フェリー航路とか鉄道との競合などの副作用はあるにしろ、高速道路の整備促進や料金の低減は非常によいことだったと思うのですが。

2011年5月2日月曜日

平成20年度の県民所得が初の全都道府県マイナス

 内閣府が4月26日に公表した平成20年度(2008年度)の県民経済計算によると、各都道府県の1人当たり所得は平均で291万円となり、前年度に比べて 6.0%減少したそうです。全都道府県でマイナスとなったのは、昭和45年の調査開始以来、初めてのこと。

 特筆すべきなのは、全都道府県で減少率が最も大きかったのは三重県で、283万円(前年度比12.2%の減少)。ついで愛知県323万円(同じく10.8%の減少)でした。
 両県に共通するのは、自動車や家電など、輸出型の製造業が産業の中心であることです。
 中部地方は全国的に景気が低迷する中でも我が世の春を謳歌していました。しかし同年9月に起こった、いわゆるリーマン・ショックにより景気が急激に悪化し、特に輸出産業の割合が高い両県ではその影響が大きかったものと思われます。(たとえば日経新聞の記事参照)

 ちなみに、「一人当たり県民所得」とは、県民所得を総人口で割って求めた数値であり、県民個人の給与所得や事業所得だけでなく、企業所得なども含まれるため、個人の所得・生活水準を示すものではありません。(一般的に、企業の立地が多い地域ほど高くなる傾向があります。たとえば、1人当たり県民所得の実額の1位は東京都で415万円。最下位は沖縄県の203万円です。では沖縄は貧しいのかといえば決してそうではありません。)

 しかし、地域経済の実力や動向を示すバロメーターでもあるので、軽視すべき数字でもありません。このことには留意が必要です。

 三重県は全国レベルで見ると、比較的県民所得が高い部類の県となっていました。

 この理由は前述のように、三重県には輸出型の製造業が多く立地しているほか、企業の新規進出も盛んであったことです。

 製造品の出荷額と県民所得に一定の相関関係があるのは、たとえば三重県庁が公表している「県勢要覧」のグラフを見ても明らかです。

 もうひとつ、三重県がわりとうまくいっていたのは、上昇した所得が、比較的県内で消費されていたと思われることです。


 同じく「県勢要覧」から引用したグラフを見ると、商業統計調査による年間商品販売額は平成14年度調査時から上昇傾向となっており、県民所得や製造品出荷額と相関関係があるように見えます。

 もっとも、小売業の従事者数、事業所数とも減少傾向なので、商店街のパパママストアの閉店が進み、売り上げの多くを大型店が占めていること。また、その大型店でもコスト削減のため雇用の抑制が進んでいることが推測されます。
(正確には売り場面積の推移を見るともっと明らかになるでしょう。)



 さて、問題はここからです。
 一般的に考えて、県民所得の減少率が「全国一悪い」というのは、決して名誉なことではないのは間違いありません。何らかの課題があり、それへの対処が必要なのでしょう。
 はんわしの考えるところ、やはり輸出型製造業への集中が裏目に出たということかと思います。選択と集中は、いい時はものすごくいいのですが、悪い時はとことん悪くなる。つまり、三重県はハイリターン・ハイリスクの産業構造になってしまっていたのです。

 地方行政においては、いかなる分野においても急激に変化が起こることは必ずしも好ましいものではありません。外国の景気(需要)によってジェットコースターのように激しく浮き沈みする地域経済も、健全とは言えないのではないでしょうか。
 やはり、雇用吸収力が高いサービス業に産業構造を変えていくべきだと思います。また、資源の少ない日本では人材(人財)こそが競争力の源泉です。外国に投資されている日本の資金を有効に運用するため、知識集約型産業としての国際金融業も、もっと重視されてしかるべきだとも思います。 

 幸か不幸か、モノづくり信仰が支配して金融の役割をいたずらに軽視し、蔑視する風潮が県政にも見られました。このようなメンタリティをどう「21世紀化」させていくかは大きな問題です。

2011年5月1日日曜日

はんわし「伊勢うどん」紀行(その2)

 先日、うっかり「伊勢うどん食べ歩き」とか書いたら、昼飯の時に何だか伊勢うどんを食べなくてはいけないような変なプレッシャーが自分自身にかかってきました。
 ちょうどゴールデンウィークでネタもないので、この休み中に訪れた2軒を紹介します。

その1 ちとせ
 おそらく15年位前に一度行ったきり、久しぶりに入りました。もうその時のことは全然覚えていないのですが、雰囲気的にはほとんど変わっていないような気もします。

 ここはスタンダードな伊勢うどんで、麺はモチモチ、タレは「たまり醤油」っぽく、からめです。
 近鉄宇治山田駅から徒歩5分のところ。この日も伊勢神宮外宮に向かう途中の観光客が目立ちました。もちろん、地元の人からも愛されているお店のようです。

その2 福野屋
 勢田川沿いにあって、かつて伊勢の台所と呼ばれた蔵の町、河崎にあります。
 かなり近代的な店構えで店内も広々しています。ちなみにこの店の隣には、創業時期は伊勢市内でも指折りの古さを持ち、現在はスーパー銭湯のような近代的なお風呂屋さんになっている「旭湯」があります。

 はんわし的には、福野屋さんの伊勢うどんはけっこう好みです。麺は山口屋やちとせと対照的でコシがあり噛み応えがあります。タレも量が多く濃いめのおつゆ風で、醤油っからさはありません。
 ここはいわゆる観光ルートからは外れているせいか、お客さんも地元の人ばかりでした。町中にもかかわらず駐車場があるのも、地元客のニーズに(地方都市ほどクルマ社会であるという点で)合っているように思いました。