2011年7月31日日曜日

伊勢工業高校が夏の甲子園に出場

 三重県立伊勢工業高校が全国高校野球選手権三重大会を制し、夏の甲子園大会に出場することになりました。

 わしはスポーツが嫌いだし、真夏の炎天下、苦行のように汗まみれ泥まみれで野球をしている姿は暑苦しくてあまり感動は覚えないタチなのではあるが、まあ、地元の高校が晴れの舞台に立つのは素直にうれしいです。

 選手の皆さんは悔いのないように戦ってほしいと思います。
 学校教職員の皆さんも、これで夏休みは吹っ飛ぶことになりますね。体調に十分気を付けて従事していただきますよう。

 伊勢工業高校というと、わしが子供の時分は伊勢の町はずれにあるようなイメージで、まわりは田んぼだけだったのですが、今はすっかり都市化し、住宅が立ち並んでいます。

 今朝散歩がてら学校の前を通ってみたら、
 祝!甲子園出場

 みたいなポスターが校門に張られており、無数の朝日新聞社の小旗(日章旗)が校舎にぐるりと飾り付けられていました。
 なんだかんだ言って一新聞社の副業であることが思い知らされます。

 校舎の中央には大きな垂れ幕も掲げられていました。

 しかしよく見ると、左側にはインターハイに出場すると思われる、陸上競技、バトミントン、レスリングの選手の名前も書かれていて、それなりに(と言うと失敬ですが)スポーツに頑張って成果を出している学校であることがわかります。

 こういう地味なスポーツの選手も、甲子園をきっかけにもっとクローズアップされると良いと思うのですが。


 話は飛躍しますが、三重県ネタです。
 先日、県行財政改革委員会なるものと、県経営戦略会議なるものが相次いで開催され、会議の内容が断片的にニュースで報道されています。

 7月28日に東京で開催された県経営戦略会議では、鈴木知事が冒頭「予定調和のない会議にしたい。『県はいらない』くらいの過激な発言があってもいい」と活発な提案を求めたのに対し、林業家である速水亨座長は「三重県がなくてもいいくらいのことを言えと、知事から挑戦的な言葉をいただいた。予定調和でない会議にしたい」と応じた。と報じられています。(伊勢新聞7月29日付け

 県という組織が現状ならいらないというのは個人的に賛成ですが、問題なのは一言で「県」という時のイメージが広くみんなで共有できているかということです。

 すごく乱暴に言うと、行政職員や政治家、関係者などを除いて、県という組織がどんな仕事をしているところで、どのような仕組みで意思決定されている機関か、財源はどうやって得ているのか、職員は何人いて、給料をいくらもらっているか、などを正確に知っている人は決して多くはありません。
 一般のイメージは、まさに伊勢工業高校のような(あるいは相可高校のような)県立学校を運営していたり、県道を管理している、市町村と国の中間みたいな役所、というところでしょう。
 むしろ「県」と聞くと地方自治体(県庁の組織)というより、「県域」という空間をまずイメージすることが多いような気がします。
 
 県の行財政改革や経営戦略は、納税者である県民の利害に直結する非常に需要な問題ですが、その内容が地方紙で小さく扱われるだけなのも、関係者や専門家と、一般県民の意識が乖離していることを示しているのではないでしょうか。

 「県」がなくなっちゃったら、甲子園大会とかインターハイはどうやって代表を決めるの?というような素朴な疑問に答えていく視点が、この種の議論を盛り上げるには、実は欠かせません。

2011年7月30日土曜日

伊賀焼陶器まつりに行った

 かの中島誠之助さんが、日本のやきもの(陶磁器)の中で一番好きなものは何かと問われたら、伊賀焼と答えるだろう、というようなことを書いていたのを読んだ記憶があります。

 三重県西部の伊賀地域は、古代は「伊賀国」であり、現在の三重県の大部分を占める伊勢国とは別の国を作っていました。これは山々に隔絶されて、独特の地勢と風土、文化を持っていたためだと思われます。
 今では全く想像できませんが、数百万年前、伊賀地域は古琵琶湖とよばれる湖の湖底に位置していたそうです。
 長年にわたって湖底の土には動物や植物の死骸などが有機物として沈殿したため、伊賀で採掘される粘土(木節粘土)を使って焼き物を作ると、生地の中に小さな穴がたくさん空き、耐火性や保温性が優れたものになるのだそうです。このため、伊賀の地では古来から陶器が作られてきました。

 現在は、伊賀市阿山町の丸柱(まるばしら)地区に多くの伊賀焼の窯元が集まっており、伊賀焼陶磁器振興組合の主催によって、例年この時期に窯元が一堂に会して安売りを行う、陶器まつりが阿山町で行われているのです。

 わしは数年前に地場産業振興を担当していたので、そのころは毎年顔を出していたのですが、近ごろは疎遠になってしまっていて、何年振りかで会場のすぱーく阿山に行ってみました。


 すぱーく阿山は屋根付きの大型展示場で、二十軒近くの窯元が、皿、湯呑、徳利、茶碗、急須、花器、ノベルティ、それに伊賀の土の耐火性を生かした土鍋や耐火皿など、さまざまな陶器を出品しています。
 価格はモノにもよりますが、通常より1割~3割くらいは安くなっているように感じました。わしが訪れたこの時間も、多くの陶器ファンが詰めかけていました。

 普段使いの食器類はともかく、伊賀焼の真骨頂は「古伊賀」と呼ばれる、焼き締め(釉薬を使わない)の茶碗、花入れ、水指といった作品です。
 これらの作品は、薪を使い高温の窯で焼成するため、薪の灰が生地の表面でガラス状に溶融して、独特の緑色を帯びた灰釉となります。赤く焦げた陶器の肌と灰釉部分が強烈なコントラストとなっており、しかもこれらは窯の中で変化するため、ワンアンドオンリーの人知を越えた造形となります。

 武骨ともいえる異色の陶器である古伊賀は、戦国時代、侘びさびを重んじる茶道で珍重され、同時に、戦場で命のやり取りをする運命の戦国武将に愛されました。
 今でも日本美術史上、異彩を放っている陶器です。


 伝統工芸士による作品も展示されていました。これらは数万円から数十万円。とても手が出るものではありませんでしたが、炎の芸術には大変魅せられます。一見の価値ありと思います。


 一方、普段使いの伊賀焼の主流である土鍋の機能性をアップさせ、同時に現代的なデザインを取り入れているのが長谷製陶(長谷園)の商品群です。
 かまどさん、ふっくらさんなど、現代人の食の嗜好に合った商品を次々と開発してリリースしており、まさに現代の伊賀焼を代表するメーカーになっています。


 今回の伊賀焼まつりでは東日本大震災のチャリティーとして、各窯元が提供した皿を500円で販売するというイベントをやっていました。一枚買うと、伊賀特産の伊賀米を伊賀焼の土鍋で炊いたおにぎりが1つ付いてきます。皿はいろいろな種類があって目移りするのですが、何枚かを購入しました。
 このほか、会場内では伊賀地域の農産物や加工食品、特産品なども販売しており、軽食コーナーもあります。明日(31日)午後4時まで開催されているので、お近くの方はぜひ行ってみてください。

 ■伊賀焼振興協同組合 イベント案内 http://www.igayaki.or.jp/events/index.html

 ■すぱーく阿山 http://www.mapple.net/aroundthespot/G02400041302_0_0.htm

2011年7月29日金曜日

全国一斉 敬老の日100のありがとう風呂

 9月19日の敬老の日に向けて、全国一斉に100のありがとう風呂を展開しようという企画が、尾鷲市の夢古道の湯(夢古道おわせ)から発表されています。

 100のありがとう風呂とは、「ありがとう」の言葉と感謝のメッセージが書かれた99枚の尾鷲ヒノキ入浴木をお風呂に浮かべるものです。
 しかし、これでは100になりません。まだこれだけでは100のありがとう風呂は未完成です。

 100にするための残りの1ピースは「入浴者の感謝の気持ち」です。
 入浴者(お客様)がありがとう風呂に入って、「自分も誰かにありがとうと伝えたい」という気持ちになり、それを行動に移したとき ~家族に電話したり、友人にメッセージを伝えたり~ 100のありがとう風呂は完成するのです。

 ハートウォーミングな試みだと思います。
 詳しくは、100のありがとうブログ をご覧ください。

 100のありがとう風呂は、家族の記念日があるたびごとに開催されており、5月の母の日には、夢古道おわせの呼びかけに応えた全国各地の入浴施設、温泉施設、スーパー銭湯など52か所で展開された実績があります。

 ぜひ一つでも多くの入浴施設や旅館などに広がって、大きな「ありがとう」の輪が広がると良いと思います。イロハのイの字によく似た姿、浜村淳さんにもぜひ一枚乗ってもらってはどうでしょうか?

2011年7月28日木曜日

円高は悪くない

 70円台が定着した感がある対ドル為替レートですが、世間が大騒ぎするほど悪いことなのでしょうか。
 
 先日、財務省は平成23年6月分の貿易統計速報を発表しました。東日本大震災以来落ち込んでいた輸出が回復し、貿易赤字(輸出額から輸入額を引いた差)が3か月ぶりに黒字になった(差がプラスになった)ことが大きく報じられたのでご記憶の方も多いでしょう。

 統計数字をもとにグラフにするとこうなります。

 基本的に日本は原材料を輸入して加工し、鉄鋼や自動車、家電などの製品にして輸出しているので、輸出額が減ると、やや遅れて輸入額も減るというふうに、両者が連動する傾向があります。そう言われると、なんとなくそんな風に見えてくるでしょ?

 しかし、今年3月。
 輸出は震災の影響で大きく落ち込みましたが、輸入は高止まりしています。
 これは原発事故の影響なので原油や液化天然ガスなどのエネルギー輸入が増えたことと、現在、これらの資源の国際価格がべらぼうに高騰していることの相乗作用だと思われます。

 中国やインドなどの新興国が経済成長するに伴って、資源は国際争奪戦になってきており、投機マネーも流入して異常な高値になっています。しかも、この傾向は当分の間続きそうです。
 かといって資源のない日本は輸入を止めるわけにはいきません。工業製品の原材料は減らすことができても、日常生活の「基礎代謝」としてのエネルギーはほとんど増減しないからです。

 この状況を和らげているのが円高です。
 もし自動車メーカーのような輸出企業が望むように円が85円だの90円だのになれば、たちまち光熱費のアップにつながります。
 輸出産業が円高で利益を失えば、工場はますます海外に流出し、街には失業者があふれ、自殺者も増大するなどと危惧する向きもあるでしょう。
 しかし事態は逆で、このエネルギー非常時に円安になれば、電気代やガス代が払えずに熱中症で死亡する人や凍死する人が続出するでしょう。

 もちろん、実際にはエネルギーは先物取引なので現時点の為替レートが直接反映する仕組みではありません。しかし、円高が一方的な悪で、全面的に否定されるものではありません。物事には両面があるのです。

 円高のニュースになると、テレビには自動車のメーカーや、その下請けの町工場が映され、1円円高になると何百億円もの利益が吹っ飛んでしまう・・・政府は何とかしろ!などと報じられます。
 でも、これはヘンです。
 衣類、化粧品、アクセサリー、食料品、酒類、薬品などの輸入品を扱う事業者は、まさに円高差益を受けているからです。1ドル78円。はっきり言ってウハウハのはずです。
 ここに焦点が当たらないのは不思議な気がします。消費者にとっては歓迎すべき明るいニュースなのに。
 もっと言えば、脱工業化が遅れ、いまだに発展途上国型の産業構造である日本が生まれ変わる、そのプロローグになるかもしれないのに。

2011年7月27日水曜日

世界遺産で儲けよう

 静岡、山梨両県は、ユネスコ世界遺産登録を目指している「富士山」の推薦書案を文部科学省(文化庁)に提出しました。
 これを受けて文化庁では平成25年の登録を目指す手続きに入るとのことです。

 富士山は数年前にも世界遺産の自然遺産登録を目指しましたが、国内選考で落選し断念していました。

 富士登山に行った方はよくお分かりだと思いますが、富士山には夏場、全国各地から登山のバスツアーが組まれ、一日何千人もの登山客が詰め掛け、登山道も山小屋もパンク状態です。
 6合目から上では落石事故は恒常的ですし、高山の登山に慣れておらず体調不良になる人も続出します。
 登山道は空き缶やお菓子の包み紙、吸い殻などが散乱しており、10年くらい前までは一部の山小屋のトイレは自然流下式処理で垂れ流しに近いものでした。
 山小屋は古くは戦前から営業を続けているため既得権化しており、一年の稼ぎを夏場の数十日間で回収するのに無理な登山客の受け入れをしたり、国有地の不法占用トラブルが消えては現れするような状態で、富士山世界遺産化の最大のアンタッチャブルといわれていました。
 
 その後、多くの心ある方々や団体の働きかけがあって、登山道の清掃や整備、山小屋と行政の協力体制の構築などはあったようですが、仮に自然を世界遺産とするなら、たとえばアメリカのホイットニー山のように一日に受け入れる登山客を制限するといった根本的な保護策をとるべきなのに、多くの観光産業が成り立っている富士山でそれは到底不可能でした。

 かくして自然遺産としての世界遺産は無理。
 それならばと、今度は浅間信仰や富士講などの山岳信仰と、古来から多くの詩歌、絵画に取り上げられてきたという芸術の観点から「文化遺産」での登録を目指すことに方向転換したのです。

 なぜか。
 もちろん儲かるからです。
 世界遺産になれば特需が生まれ、今以上に全世界から登山客が押し寄せるでしょう。

 自然遺産となるための困難な課題を正面から解決せず、安易な新しい道に乗り換えるというのは、良くも悪くも日本人の融通無碍さ、節操のなさをよく表していると思います。

 権利関係や利害関係が入り組んだ市街地を再開発するのではなく、郊外の農地や里山を潰して工場やショッピングセンターを建てる精神構造。
 医者が足りないなら医者を養成するのでなく、「認定看護師」を作ってしまう精神構造。
 増税して今現在の国民が負担するのでなく、国債発行で負担を子孫につけまわす精神構造。

 これらと全く同一の精神がここにはあります。
 
 文化庁には、こういった日本人の精神文化も含めて「日本一の山、富士山」を世界遺産に導いてほしいものです。

2011年7月26日火曜日

なぜ地方公務員はパッとしないのか

 伊勢新聞7月25日付けの「こちら報道部」は笑えます。
 公務員の再OB任雇用制 ― トラブル抱える現場も  というタイトルで、三重県庁が導入した定年退職者の再任雇用について、ある出先事務所に再任用されたOB職員が傍若無人に振る舞い、その上司も同僚も、見て見ぬふりをしているというものです。
 はんわしは(幸いにもというか)こんな人、全然知りませんし心当たりもありません。しかし容易に目に浮かぶ光景ではあります。

 ■伊勢新聞 こちら報道部 http://www.isenp.co.jp/houdou/houdou.htm

 
公務員は、試験に合格していったん採用されてしまえば、それは就職というよりも公務員という身分を入手したのと同じなので、刑事事件のような桁外れな不良行為でも引き起こさない限り、たとえ知事、市町村長といえども職員をクビにすることはできません。

 しかも、公務員にはその能力を測定するモノサシも、測定する制度もそもそも存在しないので、
古賀茂明氏も言うように、とにかく毎日毎日残業して一分一秒でも長く職場にいる人を「優秀」とみなさざるを得ない実態(慣習というべきか?)があります。
 もちろん、これは本当に「ただ残業している」というだけで、忙しいとか、業務能力が高いとか、労働生産性が高いとかとは全く関係がありません。

 伊勢新聞のこの報道は有意義だと個人的には思いますが、公務員の側にとっては、この種の報道とか、「役人も民間企業並みにもっと働け」みたいな批判や非難は、実はそれほど心に響きません。
 はっきり言えば痛くもかゆくもありません。

 なぜなら、役所は民間企業ではできないことをやるためにあるのであって、もともとペイするような仕事はほとんどないからです。生活保護や河川・道路の維持、義務教育、公衆衛生、税の徴収といった仕事は、いくら逆立ちしても儲かるはずがないからです。
 そもそも企業とは立ち位置が違うので、民間はもっと働いているなどと言われてもどうしようもないのです。

 そして、もう一つ。
 より本質的なのは、繰り返しますが、公務労働を評価するモノサシがないことです。
 このOBのように権力志向が異常に強くて声が大きい人か、長時間労働・休日出勤を厭わない人は評価され、コツコツ真面目に仕事をこなし、きちんと定時に帰る人はパッとしないのです。
(無駄な残業をしないので結果的に納税者に貢献しているにもかかわらず!)

 このブログは大学からのアクセスも多いので、経営学や労働経済学を研究している人も多分いらっしゃるかと思います。
 どうすれば公務労働の良し悪しが評価でき、公務員の適正な勤務評価ができるのか、ぜひ考えていただけないでしょうか?

2011年7月25日月曜日

日本では考えられない事故?

 7月23日に中国浙江省で発生した高速鉄道事故は、死者が35名、負傷者が200名以上という大惨事になりました。
 中国という国は良くも悪くも人治主義であり、この高速鉄道も実は様々な問題や矛盾があったことがこれから次第に明らかになってくることでしょう。
 同時に、共産党政府による隠ぺい体質も露骨にあらわれてくるはずです。(すでに現場では、当局が高架から落下した車両をばらばらに分解し、地面に掘った穴に埋めるという証拠隠滅工作が始まっているようです。)
 この両者のせめぎあいが、どこまで国内で社会問題となるかが注目されます。中国民主化の物差しにもなるでしょう。

 しかし一方で気になるのは、日本の鉄道関係者の多くが「日本の新幹線では、このような事故は考えられない。」と断言していることです。

 確かに新幹線にはすべて自動列車制御装置(ATC)がついており、運行状況はすべて中央監視されているので、列車同士の位置は正確に把握されており、中国のような「追突」はありえない(しかも後発の列車が先行の列車に追突されるなどというバカげたことは決してない)ことになっています。
 それはその通りなのでしょう。

 けれど、「日本では起こり得ない」、「日本では考えられない」というセリフは、原子力発電所の安全論争でも、いわゆる推進派の人々が必ず口にしていた言葉です。
 起こりえないはずのことが起こる。
 これが現実の怖さ、偶然の恐ろしさです。どのような事象にしろ発生の確率をゼロにすることは絶対に不可能なのですから。

 中国は「パクリ天国」でロクな研究開発がなく、科学技術のレベルも、応用のレベルも、日本に比べてずっと低いと思われがちです。しかし、中国の技術レベルについてはいろいろな議論があって、すでに多くの技術分野で日本とは遜色がなくなっているという意見の方も少なからずいます。
 その真偽は置くとしても、科学技術が国家国境を越えた普遍的なものならば、事故が起こる可能性も(もちろん程度の差はあれ)国境を超えるということにならないでしょうか。

 わしは、科学技術不信なのかもしれません。

 しかし、科学技術では解決できない社会問題が山積している現在、実は日本国民も「絶対安全神話」に対して漠然とした不安を抱いている人が(案外)ものすごく多いのではないでしょうか。

2011年7月24日日曜日

地上波アナログ放送が今日正午で終了

 本日の正午をもって、昭和28年の放送開始以来、60年近く続いてきた「アナログ電波方式」によるテレビ放送が、東北地方の一部を除いて終了しました。
 
 これはあらためて考えると何か歴史的なイベントのような気がします。特に、放送の終了が深夜0時、というのならともかく、真っ昼間に終了し、しかも終了後は一斉にブルーバック画面になるというのですから、話のタネにこの目で目撃しておくことにしました。

 午前11時50分ごろテレビの前に陣取りました。すでにNHKをはじめ、民放の何局かでも歴史的な瞬間を伝えようとアナログのテレビを置いて、カウントダウンしたりしています。

 はんわしはとりあえずNHKを見てみることにしました。


 11時59分、女性アナウンサーが最後の告知をします。
 とうとうアナログ放送ともお別れです。間もなくブルー画面になってしまうのでしょう。ありがとう、地上波アナログ放送! VHF!そしてUHF!

 しかし、あれ?
 12時になるとお昼のニュースが始まってしまいました・・・。
 何事も起らなかったのです。


 よく考えたらわしの家はケーブルテレビを使っているので、このような家庭だとアナログ波がデジタル放送で見られる加工がされているようなのです。画面右上の「デジアナ変換」というのがそういうことなのだそうです。
 んで結局、今でもわしの家のテレビは、アナログチャンネルが全部映っています。


 ただ、テレビ愛知だけはこのような画面になっていました。

 三重県は、よく中部か近畿かという議論になるように、県東側の伊勢湾沿岸地域は名古屋圏、反対に西側に当たる伊賀地域や熊野地域は関西圏であり、これはその地の住民が日ごろ見ているテレビ局で一層顕著になります。

 すなわち、伊賀の人はほとんどが大阪のテレビを見ているため、県域エリア制の原則によってケーブルテレビ局がデジタル化を進めると、伊賀のCATVユーザーは三重県にあるという理由だけでMBSやABC、YTVといった局が見られなってしまいます。
 これはあまりに生活実感から遠く、杓子定規な規定であって、伊賀の人々からも懸念が出ていたため、伊賀地域のCATV局は大阪の4局を区域外再送信するということで決着しました。(しかし、テレビ大阪、KBS京都などは地デジ化によって見られなくなるようですが。)

 このようなことは伊勢湾岸の伊勢市でも同じで、テレビ東京系のテレビ愛知を見ている視聴者は意外に多く、しかし県内には同じ系列の三重テレビがあるため、地デジ化によりCATVの放送が打ち切られてしまうことに不満の声が上がっていました。

 そのためか、今回、伊勢市のCATVでは「当分の間の暫定措置」とはしながらも、テレビ愛知を地域外再送信することになったようです。
 現在時刻、我が家のテレビは、CATVでは今まで映らなかったテレビ愛知のデジタル放送も見られるようになっています。

 電波や放送という技術的側面からは、明らかにテレビ局の県域別免許制度は不合理なものです。これは故田中角栄氏が郵政相の時に創設した制度で、彼はこの「電波利権」によって全国のテレビ局を影響下に置き、自らの政治力強化に利用したと言われています。

 テレビ放送の内容はくだらないし、その影響力もネットの台頭によって縮小していくのでしょうが、それでもまだまだテレビ局の権力は絶大です。CATVにおける地域外再送信は、たとえば徳島県でも揉めているように、しばらくは住民の関心事となりそうです。

2011年7月23日土曜日

参宮線の終点 鳥羽駅へ

 明治44年(1911年)7月21日、参宮線の多気~鳥羽間が全通しました。今年はその100周年に当たります。

 数年前に亡くなった祖父は全通の当時、鳥羽町立鳥羽尋常小学校の児童で、子供たちをはじめ町民の多くが、当時は鳥羽の町はずれであった新しい鳥羽駅までつめかけ、煙を吐きながらやってくる記念の汽車に、日の丸の小旗を振って万歳した、という話をよくしていたことが思い出されます。

 さて、伊勢参宮鉄道が参宮線開通100年を記念したイベントを伊勢シティプラザで行っていたのですが、そこで展示されていた資料を見ると、私鉄である(当時の)参宮鉄道よって宮川駅までは明治26年に開通していたものの、おそらく大河である宮川の架橋工事の資金がなかったか、技術的に困難だったかの理由で、宮川を越えて現伊勢市駅まで開通したのが明治30年。

 鳥羽まで延伸したのはさらにその14年後ということになります。
 ここまで工事が伸びたのは、この間、日露戦争の影響などで全国の幹線鉄道が国有化されたことも影響しているのではないかと思います。


 今日は久しぶりに天気も回復し、長らく伊勢市駅以南の参宮線に乗る機会もなかったので、ぶらっと列車に乗ってみることにしました。

 伊勢市駅から快速みえに乗ると、デイタイムは次の五十鈴川駅は通過して、二見浦駅に停車。
 さらに次の松下駅、二見浦シーサイド駅も通過し、終点の鳥羽駅に着きます。所要時間は約20分です。

 現在のJR東海鳥羽駅は、建設されてから30年ほどになると思います。
 これもわしははっきり記憶しているのですが、わしが小学5年生の冬に旧鳥羽駅舎は失火で全焼してしまい、その後の数年間はプレハブの仮駅舎で、今の鉄筋コンクリート2階建ての駅舎は、隣接する近鉄鳥羽駅の改造に合わせて再建されたものだからです。

 鳥羽駅の裏手には日和山(ひよりやま)という小山があります。その昔、鳥羽が廻船の風待ち港として繁栄していたころ、船乗りが天候を見るのにこの山に登っていたそうで、戦前から鳥羽の観光名所として鉄骨で組まれたタワー状の観光エレベーターがありました。
 このエレベーターも類焼してしまい、廃業、解体。駅舎も駅前広場も新しく作り直されて、木造駅だったころのわしが子供の時分のイメージとは全く変わってしまいました。

 何より、本当に乗降客が減っています。昔は列車はほぼ満員で、ホームは人であふれていました。
 三重県では大部分の都市は国鉄と近鉄が並走しており、近鉄のほうがダイヤが便利で、名古屋や大阪、京都への直通列車もあるので、市民も大部分は昔からおもに近鉄を使っていました。
 今でも近鉄駅のほうがJRよりも人ははるかに多く、土産物店などもにぎわっていますが、それでも鉄道客自体が大きく減少している印象は否めません。
 参宮線は100年の間に、近鉄に抜かれて脇役となり、さらに交通の主役自体が自動車に移って、今まさに岐路に立たされているといったところでしょうか。


 そういえば、この日も快速みえは5分遅れで鳥羽駅に到着しました。
 わしの乗った次の列車も、やはり5分遅れていました。
 よく日本の公共交通機関は時間が正確無比だといわれますが、その神話はJR東海のローカル区間に関して言えば、もはや事実ではまったくなく、数分から10分程度の遅れは恒常的になっています。
 鉄道マンとして運行ダイヤを厳守するというプライドもJRの職員からはうかがえません。このモラル退廃も100年間で大きく変わったことの一つでしょう。

2011年7月22日金曜日

伊賀市と桑名市で創業塾が開かれます

 三重県の伊賀市商工会桑名商工会議所が、それぞれ創業志望者を対象にビジネスプラン作成や事業のノウハウを伝授する、創業塾を実施するようです。

■伊賀市商工会 女性創業塾
 開催日:8月27日、9月3日、9月10日の毎週土曜日3日間
    各日共に午前9時30分~午後4時30分
 場 所:ゆめテクノ伊賀(伊賀市ゆめが丘1-3-3)
 対 象:女性の方で、創業をお考えの方、創業して間もない方、創業に関心のある方
 定 員:20名(先着順、定員になり次第締切)
 受講料:5,000円
 問い合わせ先・申し込み先 TEL: 0595-45-2210
 http://www.shokokai.or.jp/24/2421610000/index.htm#sin35

■桑名商工会議所 創業塾
 開催日:9月4日(日)、11日(日)、18日(日)の3日間
    各日共に午前9時30分~午後4時30分(初日は参加者交流会のため17:30まで)
 場 所:桑名商工会議所会議室(桑名市桑栄町1-1 サンファーレ南館2F) 
 対 象:創業に関心のある方、創業プランのある方、創業後間もない方
 定 員:30名(先着順、定員になり次第締切)
 受講料:5,000円
 問い合わせ先・申し込み先 TEL: 0594-22-5155
 http://www.kuwana.ne.jp/chamber/keiei/sougyo/index.html

 不確実で不透明な時代だからこそ、果敢にビジネスにチャレンジする起業家のアントレプレナーシップは重要です。
 起業家が尊敬され、個人事業やスモールビジネスが地域の経済の活力源となっている。そんな三重県であり続けていてほしいものです。

 しかし、こういう有意義な事業はユーチューブとかに動画をアップしたらいっそう波及効果があると思うのですが。

2011年7月21日木曜日

藻谷浩介さん「地域再生」を語る

 ベストセラー「デフレの正体」の著者で、日本政策投資銀行参事役の藻谷浩介さんが地域再生に関する著書を近々刊行するようです。(学芸文芸社のホームページより)



 このインタビューにもあるように、太平洋戦争後の半世紀は、人口が倍増した「人口ボーナス」の時代でした。これから先、百年をかけて人口が半分に減ると思われるこの時代に、果たしてどうやってそうしたやり方の「手仕舞い(てじまい)」をしていくのかが大きな問題です。「どこに住んで、どこで働いて、どう暮らしていくのが幸せで楽しいのか」を問われる時代になってきたのです。

 その中で、コンパクトシティを基礎にした中心市街地を地域再生の核として、産業も、ライフスタイルも、新しく構築していくことが必要です。今までの考え方や社会基盤が全否定されるわけでは決してありませんが、相当ドラスチックな自己改革が必要になるはずです。

 三重県でも今後、中小企業の振興方針なるものを検討し、策定することになっているのですが、もはや破たんが確実な20世紀型「輸出立国モデル」を生き延びさせるための製造業を中心とした振興方針では時代に通用しないものになるでしょう。

 生活を続けるために必要な小売業や医療・介護・福祉産業、生活をより豊かに送るための生活サービス業、金融業、不動産業、さらには生み出した付加価値を価格転嫁することで生産性を向上させる多品種変量生産型のものづくり、などの振興策が不可欠ですし、現に県民が必要とし、望んでいるものだと思います。

2011年7月20日水曜日

デンソーなど7社、価格カルテルの疑い

 各紙が報じたところでは、7月20日、公正取引委員会が大手自動車部品メーカーのデンソー(愛知県刈谷市)や三菱電機(東京都千代田区)など7社の本社や営業所など計20カ所を、独占取引法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査したとのことです。

 各社は遅くとも2003年ごろから、大手自動車メーカー向けに出荷していた、エンジンを始動させるスターター、オルタネーター(発電機)、ラジエーター、ワイパーシステムの4種の部品について、それぞれが請け負っていた車種向けの製品を、モデルチェンジ後も受注できるように事前の話し合いで価格調整(価格カルテル)していた疑いがあるそうです。

 自動車部品の価格カルテルについては、日本の公取委とアメリカの司法当局が、昨年2月に両国で同時に調査を開始していて、デンソーの米国法人など日系3社がアメリカ連邦捜査局(FBI)の捜査を受けた経緯があったそうで、今回も米当局の動きが注目されているそうです。

 公取委といえば、6月には携帯ゲーム大手のDeNA(ディー・エヌ・エー)に対して、特定のソーシャルゲーム提供事業者がライバル企業のGREE(グリー)を通じてゲームを提供した場合は、DeNAのモバゲータウンのウェブサイトに掲載しないようにすることで、GREEを通じたゲーム提供をしないよう圧力をかけていたことが独禁法に違反するとして、排除命令措置を行いました。

 また、つい1週間前には、紀州産南高梅の購入を巡り、和歌山県内の梅干し加工業者が、梅の生産農家からの買い付け価格を横並びにするカルテルを結んでいた疑いが強まったとして、独禁法違反の疑いで加工業者など十数か所を立ち入り検査したことも記憶に新しいところです。

 一般的に、産業振興と行政の関わりは、補助金や融資、技術開発支援のような「振興行政」に注目されがちですが、産業が活性化するためには市場が公正に運営され、公平な取引環境のもとで競争が行われるという「環境整備」が実は最も重要です。

 日本はアメリカなどに比べてこの意識が低く、公取委も振興行政の推進役である経済産業省や企業に遠慮して独禁法の運用が甘いことが長年指摘され続けてきました。
 ここ10年ほどは、独禁法の規制が強化されるなど、市場の公正な運営という公取委の重要性も再認識されています。
 経済のグローバル化が進む中、日本の市場の公正性、透明性の確保は世界的にも重要です。公取委にはしっかりとした取り締まりと、優越的な地位を濫用した事業者に対する適正な処罰を期待したいと思います。

 特に地方自治体の場合、多額納税者であり雇用確保先でもある企業に対しては目こぼししがち(それが言い過ぎなら、「目こぼししているとの誤解を受けがち」)です。
 その意味でも市場の公正な番人は国(公取委)にふさわしい役目であって、国はこのような業務にこそ専念すべきであり、成長戦略だの中小企業振興だのは民間や地方自治体に任せるべきであることも付記しておきます。 

2011年7月19日火曜日

桑名商工会議所が補助金獲得セミナーを開催

 今日は三重県下で台風が猛威を振るいました。しかし、どうやら最接近するのは明日の午前中らしいので、皆さんご注意を怠りなきよう。

 また、なでしこジャパンと称する日本代表チームがFIFA女子ワールドカップで金メダルに輝き、久しぶりの明るいニュースに全国が沸いています。

 それにしても、世界一になるとは、出発前、どれだけのマスコミや関係者が予想していたでしょうか。勝てば官軍、なでしこのメンバーはヒロインに祭り上げられ、これから様々な美談が洪水的にマスコミから垂れ流されることでしょう。

 しかし、わが三重県の女子プロサッカーチーム(伊賀フットボールクラブ くノ一)が決して県民に浸透しているわけでも、親会社から支援を打ち切られるなど恵まれた練習環境でもなかったことが図らずも示しているように、逆説的ですが、まわりからさほど期待もされず、冷ややかな境遇であったからこそ日本代表は選手や関係者が奮起したと考えられなくもありません。

 企業や行政の支援を潤沢に受けているうちにハングリー精神を失って三流になってしまうというのはよくあることですし、わしの仕事に関係する産業振興でいえば、成長分野などと言って特定の業種を振興したり、特定の企業や企業グループに補助金を注ぎ込むことはかえって行政依存を生み、競争力を失ってしまうこともよくあることです。
 周囲のサポートも重要ですが、女子サッカー関係者の自主的・自律的な努力の継続がやはり最も大事なのだと思いますし、今回の名誉ある優勝はその証左だったような気がします。

 前置きが長くなりました。

 桑名商工会議所が、製造業などモノづくり中小企業を対象に「ものづくり関連補助金活用セミナー」を開催します。

 補助金は依存症になる危険があるので、使わないに越したことはないというのがわしの持論ではありますが、そうは言っても、リスクの高い研究開発や、投資回収に時間がかかる事業などに関しては、やはり補助金は一定の推進エンジンにはなります。

 補助金には補助要件というハードルがあり、審査という難関もあります。
 どのようなスケジュールで取り組み、どんな準備をすればいいのか、どのように申請書を書けば審査員の理解を得やすいか、というテクニックは確かに存在していて、これを勉強するのは受験勉強と同じでそれなりの意味はあることです。
(ただし、繰り返しですが、あくまで受験テクニックであって、重要なのは研究開発の内容であり、ビジネスとしての実現可能性であることはもちろんです。)

 今回、桑名商工会議所が、このようなかゆいところに手が届くセミナーの機会を設けたことは意義深いことだと思います。
 チラシには桑名商工会議所管内(旧桑名市エリア)の企業に限ると書いてはいないようなので、桑名市でも旧長島町と多度町エリアの桑名三川商工会管内とか、桑名市外の企業でも参加できるのかしらん?

■桑名商工会議所 http://www.kuwana.ne.jp/chamber/

2011年7月18日月曜日

卵卵(らんらん)ふわぁーむのカステラ

 週末の紀北町での夜なべ談義の帰り、国道42号沿いにある三重県東紀州最大の道の駅である「道の駅まんぼう」に寄ってみました。

 ここには、地元紀北町紀伊長島区(旧紀伊長島町)の特産品である干物やサンマ寿司、かまぼこ、カラスミなどの水産加工品や、みそ、しょうゆ、お菓子、パン、サラダドレッシングやジャム、漬物、さらにはTシャツ、尾鷲ヒノキの木工品、アクセサリー、陶器など、その数1000アイテム以上の商品が陳列されています。
 この時も多くの観光客が押し寄せており、商品を選んでレジにたどり着くまで一苦労だったほどです。

 はんわしも最近は東紀州を訪れる機会が激減しているので、たまのチャンスにはなるべく新商品を「大人買い」するようにしています。
 この日は、卵卵ふわぁ~む(ファームの意味か?)のかすてらを発見。早速購入しました。 


 卵卵ふわぁ~むは昨年2月、紀北町の大手養鶏事業者の直営店としてオープンし、新鮮な卵を使ったスイーツを製造、販売しているそうです。


 道の駅まんぼうで売っていたのは、カステラ一本サイズ(1050円)と、一切れにカットされたカステラ(1個300円)の2種類。一本サイズのほうは価格的にもボリューム的にも一見客には躊躇されるので、一切れサイズがあるのは正直言ってありがたいです。
 味は、自慢の卵の味と風味が濃厚。全体的にしっとりというか、どっしりとしており、身がギュッと詰まった感じで結構食べごたえがあります。
 ホームページを見ると、他にもいろいろなスイーツがあるようなので、今度はお店に立ち寄ってみようかと思います。

 ■卵卵ふわぁーむ http://www.kakizen.jp/031/01/

2011年7月17日日曜日

東紀州長期インターンシップ「夜なべ談義」に参加

 東紀州長期インターンシップ事業は、平成20年度の事業スタートから足かけ3年が経過しました。この間、1ヶ月間から1年間まで、長期インターンを行った大学生の数は20名近くにのぼります。 
 その同窓会というわけでもないのですが、昨夜はインターンOBや、現在行っている学生、受け入れた経営者、サポーター、行政関係者などを交えた夜なべ談義が行われました。

 東紀州長期インターンシップには、課題も少なくありません。
 現在は県の事業として行われており、インターン生の受け入れに必要なPRとか、人材マッチング、インターンのフォローなどの一部は補助金でまかなわれています。これをどのように、自主自立的な事業として、持続可能にしていくかがまず大きな問題です。
 東紀州で自分磨きのインターンをやりたい!と希望する大学生は決して少なくないのに、彼ら彼女らを受け入れて、その能力を自分のビジネスに活用しようという若手経営者がなかなか見つからない問題もあります。(東紀州が都市部から離れているので、長期インターン生を受け入れるためには住居の手当てや通勤方法、日常生活上のアドバイスの必要性など、不利な条件であることは事実ですが。)

 一方で、インターンOBからは2名が実際に東紀州で生活(就職)を始めています。また、経営者とタイアップした新企画作りや映像プロモーションなども動きも生まれています。これらはこれらで正しく評価し、その上で、さらにどう横展開していくかのアイデアも必要です。

 このように、年上の人は年上の人で、OBや学生は若者同士で、いろいろと話は尽きず、たちまち夜9時になってしまいました。


 たまたまこの日は紀北町海山区太白地区の花火大会だったらしく、その対岸にあたる、夜なべ談義の会場である紀北町紀伊長島区古里の海岸から、はるか遠くの洋上、真っ暗な夜空に色とりどりに花火が開くのがよく見えました。(Youtubeに2008年の太白地区の花火の様子がアップされています。)

  談義はこのあと日付を越えても続きました。


 これは今朝の古里海岸。早朝なので海水浴客はいません。台風が近づいているせいか波もやや高いように見受けました。

 また今日から、各人がそれぞれのポジションで、それぞれの目標に向かってしかし、「東紀州を若者チャレンジの聖地にする」という理念は共有して走り出します。

2011年7月15日金曜日

津大門のコミュニティレストラン「オープラス」に行ってみた

 先日から、津市の中心市街地 大門商店街に引っ越してリニューアルオープンしたO+(オープラス)に行ってみました。

 オープラスは、料理自慢の一般市民などが日替わりでランチを提供しているという、いわゆる「日替わりシェフ」方式のコミュニティレストランです。

 場所は、レトロな外観を残す大門オーデンビルの1階にあります。(地図はこちら


 この日は「チキンとトマトのガレット」がメイン料理で、豆入りスープ、ホタテ貝のフライ、サラダ、塩豆腐のオリーブ添え、そして最後にデザートが付くという内容で、800円(税込み)。

 サラリーマンにとってやや高めのランチとなりますが、手作り感一杯で、しかもボリュームも満点なので、たまの贅沢にはぴったりだと思います。

 特に、フランスでは一般的な家庭料理らしいガレットとか、まるでチーズのような味がする塩豆腐など、普段はあまり食べる機会がない料理なので、このような思わぬメニューとの出会いも楽しめるかもしれません。


 ちょうど12時過ぎだったので店内はほぼ満員です。
 ランチの数は限定で、少ないシェフだと20食限定という日もあるようなので、気になるメニューがあれば予約しておくほうがいいかもしれません。

 店内はJAビル近くにあった旧オープラスに比べて広く、明るくなっており、以前のように満席で店に入れないという事態はなさそうです。

 驚いたことに、偶然、三重県内で創業支援などに従事する傍ら、大学でアントレプレナー論なども講義している、経営コンサルタントの武田秀一さんと、津市役所の方が食事しているのに出会いました。津って狭い・・・

 武田先生とは何ヶ月ぶりかでお会いしたので、最近の取り組み状況や、三重県内での起業者の状況など、興味深いお話を聞くことができました。
 何だかいろいろ面白いことも考えておられるようです。

 意外な人に出会えるかもしれない、新しくなったオープラスを、みなさまもぜひ訪れてみてください。

 ■コミュニティレストラン O+ http://oneday-tsu.seesaa.net/ 

アドバイス  メニューは日替わりなので、ホームページで事前にチェックすることをおすすめします。
        専用駐車場は(たぶん)ありません。土日は休業。平日も品切れ次第終了です。

2011年7月14日木曜日

365日感動演出型温浴施設セミナー!

 このブログでは何度も取り上げている、三重県尾鷲市にある夢古道おわせの店長、伊東将司さんによるセミナーが東京で開催されます。

 尾鷲市は三重県南部、リアス式海岸で熊野灘に面し、背後は急峻な大台ケ原山系が迫る、まさに海と山に挟まれた街。
 年間の降雨量が3000ミリ(日本平均の倍。屋久島に次いで第二位!)という多雨地域であり、産出される木材は尾鷲ヒノキとして知られ、日本有数の漁港を有し海の幸にも恵まれています。

 高度成長期になると、中部電力の三田火力発電所の誘致に成功し、紀伊半島南部で唯一の発電基地としても栄えました。
 しかし、林業、漁業が長期低迷し、火力発電所も老朽化して第一線を退く事態となって、尾鷲市は新たに世界遺産である熊野古道などの地域資源を活用した産業活性化に取り組むようになります。

 その主力が海洋深層水であり、尾鷲市は平成18年に海底からの取水施設「アクアステーション」を建設。
 市内に飲料メーカー等を誘致して清涼飲料水や食塩の生産が始まったほか、観光拠点としてレストラン施設「夢古道おわせ」を建設しました。平成19年のことです。
 翌年には、海洋深層水の保湿機能や保温機能を生かした温浴施設(お風呂)も夢古道おわせに併設され、伊東将司さんが店長に就任しました。

 これ以後、夢古道おわせは快進撃を開始します。

 地元尾鷲の食材を使って主婦グループが週替わりでメニューを提供する、おかあちゃんのランチバイキングが、グッドプラクティスとして「農商工連携88選」に選ばれます。

 さらに、尾鷲ヒノキの間伐材を使った「尾鷲ヒノキ入浴木」の商品化と、それを使った「ありがとう風呂」がイベント化されました。
 この入浴木を使ったイベントは、「世界遺産風呂」として全国各地のスーパー銭湯や温泉施設などでも続々と展開される大ヒット企画となっています。

 これらの立役者である伊東店長が、365日感動演出型温浴施設! 感動ストーリーを生む店づくり徹底紹介セミナーと題して講演を行うのです。
 三重から参加するのは距離的に制約もあるでしょうが、地域おこし、地域産業活性化に関心があり、実践している多くの方に聞いていただければと思います。

 リンクはこちら http://yumekodo.jp/seminor/

2011年7月13日水曜日

日本の製造業が衰退するのは受け入れざるを得ない

 トヨタは子会社であるトヨタ車体、関東自動車工業の2社を来年1月に完全子会社化することなどを中心とした国内生産体制の再編を発表しました。

 トヨタグループの生産子会社は、これまでトヨタ車の世界展開のために、主に個々の車両ごとの開発や生産を中心にトヨタと連携・協業してきました。しかし、今後は、トヨタ車体はミニバン、商用車、SUV(フレーム付)など、関東自動車はグローバルで競争力のあるコンパクト車両といった、各子会社社がこれまで得意としてきた車種を中心に、企画・開発・生産を一貫して主体的に担当していくやり方に改まるそうです。

 豊田章男社長は先月、電力不足や円高などの状況を踏まえて「日本でのものづくりが、ちょっと限界を超えたと思う」という危機感を表明し、大きな衝撃をもって報道されました。
 今回の生産体制の再編成については、「日本でのものづくりを守り、国際競争力を高める方法を検討してきた。製造業を取り巻く環境は厳しいが、自分たちでやれることは自分たちでやる」と説明しているとのことです。(レスポンスより)
 
 産業には栄枯盛衰があります。これは絶対的な真理であって、いかなる例外も存在しません。
 自動車は経済成長下の大衆消費社会に「どんぴしゃり」マッチした魅惑的な製品であって、自動車製造業は、高い研究開発力と生産技術が求められ、関連する裾野も広い一大産業です。
 しかし、それゆえに、韓国、中国、インドなども自動車大国化による工業力の強化を国家目標にしており、いずれキャッチアップされることは時間の問題です。
 個人的にはトヨタの努力には敬服するし、応援したい気持ちで一杯ですが、巨大なグローバル企業とは言え、一民間企業では手に負えない厳しい事態に直面することは現実的に起こりうることでしょう。これは覚悟しておくことが必要です。

 最も問題なのは、そのようにカタストロフィが来ることはわかっていながら、何ら抜本的な改革に取り組めない、行政、経済界、労働界、教育界、国民の姿勢です。

 少子高齢化が進んで人口オーナスがやってくることは20年近く前からわかっていました。
 社会保険や医療保険制度が破綻確実なことが声高に叫ばれるようになってからもう何年もたちます。
 労働者派遣の問題、農業問題、医療問題、介護福祉問題、教育問題・・・・
 いずれ近いうちに制度が限界を迎え、ニッチもサッチも行かなくなることがわかっていながら、我々は何も動こうとしません

 何となく、どこかの誰かが、何とかしてくれそうな気がしています。

 ものづくりのDNAとか何とか言って、工業高校を存続させ、企業に補助金をばら撒き、エコカー減税やエコカー補助金のようなポピュリズムを続けていれば、もう一度ものづくり王国「日本」が再来しそうな夢想に浸っているばかりです。

2011年7月11日月曜日

伊勢市が取り組むという「セーフコミュニティ」って?

 三重県伊勢市の鈴木健一市長が、WHO(世界保健機関)の関連機関による認証制度「セーフコミュニティ」の認証取得を目指すと発表しました。
 セーフコミュニティは現在世界で約150ヶ所が認証取得していますが、日本国内では京都府亀岡市、青森県十和田市、神奈川県厚木市などが認証されているとのことで、仮に伊勢市が取得すれば三重県初なのはもちろん、東海地域でも始めてのケースとなるそうです。

 しかし、セーフコミュニティとは何なのでしょうか?

 京都府のホームページによれば
・セーフコミュニティとは、事故・けがは偶然の結果ではなく、予防できるという理念のもと、行政はもちろん、地域住民、NPO、関係民間団体など、多くの主体の協働により、住民全てが健やかで元気に暮らすことができるまちづくりを進める内容。
・これはスウェーデンの地方都市で始まった住民の手で安心・安全な社会をつくろうという運動で、これが体系化されたもの。
・「みんなが事故・犯罪・怪我なく、安心して暮らしていくにはどうすべきか。」を地域住民が考え、力を合わせてその原因を取り除いていこうとするもの。
 ということだそうです。

 このうち、「事故やけがは偶然の結果ではなく、予防できるという理念」とか、「行政と地域住民など多くの主体の協働」というのは重要なキーワードらしく、日本国内のセーフコミュニティの先進地域のホームページには、ほとんどこの説明が書かれています。

 では、実際にどのようなことをするのかというと
1.地域の実情を科学の目でチェック(事故や怪我のデータを把握・分析・評価)
2.既存の様々な取組を1つに結集。そしてみんなで進める。
 の2つになるようです。

 1のデータの分析とは、様々なデータや記録から、地域で発生した事故やケガ(交通事故、家庭内の事故、火災、中毒、犯罪、暴力、自殺など)が「いつ」「どこで」「どのように」発生したのかを調べ、その原因を究明し、それを取り除くことです。
 2の様々な取り組みの結集とは、「子どもの安全」なら学校、教育委員会、PTA、住民ボランティアなどが、「交通安全」なら警察、交通安全協会、地域グループなどが、それぞれの立場で行動しています。これら多様な主体を連携させ、全体最適を図るという意味のようです。

 セーフコミュニティは「WHOセーフコミュニティ協働センター」による認証が必要であり、そのためには以下の6つの基準をクリアーする必要があります。
1.性別、必要となるすべての年齢層、環境及び状況をカバーする長期的かつ持続可能なプログラムを持つこと。
2.ハイリスクグループや環境を対象とするプログラム及び被害を受けやすい弱者グループのための安全を促進するプログラムを持つこと。
3.外傷の頻度と原因を記録するプログラムを持つこと。
4.地域のセーフティープロモーションに責任を持つ横断的な推進体制を構築し、住民との協働に基く活動基盤を持つこと。
5.プログラム、プロセス、変化の諸効果をアセスメントする、評価手段をもつこと。
6.国内的、国際的なセーフコミュニティネットワークに参加していること。

 これらを具体的にひとつひとつクリアーしていくのは大変そうです。費用も時間もかかるでしょう。
 しかし、京都府立医科大学内に事務局がある日本セーフティプロモーション学会(JSSP)も書くように、
・既に取り組まれている高齢者の転倒を防止するための「健康づくり体操」、市民の皆さんの手で子どもを守る「子ども110番のいえ」や「地域安全見守り隊」、地域を災害から守る「自主防災組織活動」などは、セーフコミュニティにつながる取組です。
 というのは確かにその通りでしょう。
 すでに市民によるリソースはあるので、それをどう戦略的に再構築していくかにかかっていると思います。

 鈴木市長はセーフコミュニティに取り組む意義について「市民にとっても、国際観光都市の市にとっても有意義。具体的にしたいとの思いがすごくある。」(毎日新聞より)と述べたそうですが、平成25年の伊勢神宮遷宮を控え、国際的な観光プロモーションのためにも安全の国際規格が求められているのかもしれません。

2011年7月10日日曜日

商店街イベントは「持続可能性」が問題

 先日の七夕の夜、津市の大門商店街に行ってみました。
 この日は、津地域ではすっかり有名になって盛り上がっている「つ七夕祭り」が開催されていたので、のぞきに行ってみたのです。

 あいにくの雨天、しかも相当に蒸し暑いコンディションでしたが、普段のほとんど人通りがない大門商店街を知っている者には、まるで別天地、別世界のような大変な人出に改めて驚かされました。
 おそらく関係者の手作りと思われる小さなイベントも多数同時開催されており、忙しそうにスタッフをしていた津青年会議所のメンバーも何人か見かけました。
 テレビの取材も多く来ていたようで、開催に尽力された商店街や市民活動の関係者の皆さんには敬意を表したいと思います。

 しかし、このように成功したからこそ、次の課題もはっきり見えてきます。すなわち、イベントはあくまでも「一過性」のものであって、毎日がこのような賑わいでなくても、常に一定の人出はある、いうなれば「持続可能性」を実現するためにはどうしたらいいかです。

 これはかなり古くから、しかも全国の中心市街地商店街に共通した課題であって、処方箋も、ある程度は目星がついています。テナントミックスの問題、個店の魅力開拓の問題、安全や安心の維持の問題、駐車場や交通アクセスなどインフラの問題、などなど。
 消費者のライフスタイルや嗜好が成熟化し、多様化している現在、それに対応し、消費者満足度を高めるような商店街側の努力が今以上に必要なことはもちろんです。
 同時に、津市のような地方都市は自動車依存コミュニティなので、クルマによるアクセス確保も非常に重要な問題です。

 そして、これらを根本的に解決するには、まちづくりの基本理念としての「コンパクトシティ」の推進と、新規出店の促進や廃業・退店のルール化、さらに道路占用許可など行政手続きの簡素化といった、既得権益にとらわれない商店街活性化策が必要だというのも、最大公約数的には関係者のコンセンサスになっていると思います。

 問題なのは、このように既存のシステムを「創造的に破壊」し、新しく合理的な社会システムを新たに構築していく作業が、我々日本人にとって一番苦手な行為であるということです。
 極端な言い方ですが、まっさらな土地に新しく工場を作り、サプライチェーンの範囲で完結するような、物質相手の「ものづくり」は日本人が最も得意とするところでした。その成功が今日の繁栄に大きく寄与していることは間違いありません。
 しかし、コツコツと利害関係者と議論を重ね、小異はあっても大同につき、知恵も出しカネも出し、長い時間をかけて街全体を新しく作り変えていくということ、つまり人相手に細かい利害調整を積み重ねていくことは、残念ながら(ある意味で、ものづくりと似ているようでありながら)、成功例がはるかに少数です。

 議論するために必要な膨大な時間や手間ひま、エネルギーを惜しんで、郊外にバイパス道路を作る、ショッピングセンターを作る、住宅団地も開発する。これが大量生産型社会の主流のやり方でした。
 そのことが結果的に地域を果てしなく拡散させ、無秩序な農地転用を生み出し、コミュニティの弱体化にもつながっています。もうこのやり方が「持続可能」であるとはとても思えません。
 
 エネルギー不足が叫ばれている今ほど、地域を再生させるイノベーションが求められる時はありません。イベントを成功させたパワーを、まちづくりに昇華させる試みにぜひ期待したいと思います。

2011年7月8日金曜日

2011年版中小企業白書に「尾鷲市」が

 7月1日、経済産業省(中小企業庁)が2011年版中小企業白書をホームページで公開しました。
 福島原発事故対応のまずさ、幹部職員のインサイダー取引疑惑など、「三流官庁」に転落したなどと報じられている同省ですが、この白書のようにデータを精緻に分析し、現状把握と対応の提案をする能力はさすがだと思わざるを得ません。

 昨年6月に中小企業憲章が閣議決定され、事実上の憲章後初めての中小企業白書となるためか、第2部で「経済社会を支える中小企業」という章立てを行い、「東日本大震災でも、中小企業は、我が国の産業のサプライチェーンを担い、地域住民の生活を支えるなど、中小企業の重要性が改めて認識されることとなった。」として、日本の経済、社会を支える中小企業の位置付けを、統計データなどを使って詳しく説明しています。
 
 以前、このブログで、三重県経済は自動車や家電といった輸出型製造業が主役となっており、稼動のバロメーターである製造品出荷額は増加する傾向にあるものの、一方で県民の日常生活を支えている小売業・生活関連サービス業などの中小企業数は減少傾向にあり、消費のバロメーターとも言える小売販売額は伸びが低いということを書きました。

 三重県庁の幹部職員は、製造業に比べて小売業、サービス業は知恵も技術もない格下の産業であり、商店主は経営革新の努力もろくにせずに現状維持を行政に求めてくるばかりなので、どんどん潰れてしまってもかまわない、という考えの人が多く、実際に県における工業関係の施策に比べて商業振興策は微々たるものです。

 しかし、さすがに中小企業白書はそのような(愚かな)考えではなく、商店街などの地域商業には、生活必需品の提供という供給面だけでなく、地域の活力やにぎわいの創出、コミュニティの維持などの役割と機能があることも正確に把握しており、その維持・強化の必要性を説いています。

 興味深いのは、「中小小売店による小売販売額が高い/低い地域」というコラムの中で、人口10万人以下の都市雇用圏39の中で、小売販売額のうち就業者数が50人以下の事業所の販売額割合が高い都市雇用圏と低い都市雇用圏を示していることです。
 サンプルの全国39事例のうち、従業者数50人以下の事業所の販売割合が最も高いとされているのは、なんと「尾鷲都市雇用圏(尾鷲市と紀北町)」です。

 小規模な商店などの販売額が高い理由として
・尾鷲都市雇用圏では、内陸は山林が広がっているため、平地が広がる海岸に沿って人口が分布し、国道42号線とJR 紀勢本線が併走している。JR 紀勢本線の駅も9駅と多く、小売販売額も、尾鷲駅と紀伊長島駅を両端としてこの線上に分散している。

・尾鷲都市雇用圏では、人口が分散していることもあり、大規模店舗が出店しにくく、結果的に従業者数50人以下の事業所の販売割合が高い。

・人口と小売販売額の地区ごとの相関係数を見ると、尾鷲都市雇用圏では0.77、(反対に、小売販売額のうち就業者数が50人以下の事業所の販売額割合が全国で最も低い)五條都市雇用圏では0.50と、尾鷲都市雇用圏の方が五條都市雇用圏に比べて、人口が多い地区ほど小売販売額が高く、人口が少ない地区ほど小売販売額が低い傾向が強い。これは、尾鷲都市雇用圏の居住者の方が五條都市雇用圏の居住者よりも居住地の近隣で買い物を行うことができている割合が高いと考えることができる。
 と分析しています。

 白書はさらに、
・「日本の市区町村別将来推計人口(2006年12月)」によると、2030年の人口は、尾鷲都市雇用圏で2007年の4.3万人から2.6万人に大幅に減少し、65歳以上人口の割合は、尾鷲都市雇用圏で2005年の32%から2030年には47%へ上昇することが予想されている。

・人口減少による地域需要の収縮と、高齢者による近隣での買い物行動が予想されるため、中小小売業は、地域住民の需要を一層確実に取り込んでいくことが今後の発展の鍵となる。

・このような状況は、両都市雇用圏に限ったものではなく、他の地域においても、人口動態、インフラ整備等の地域状況も踏まえて、今後の中小小売業の在り方を考えていくことが重要である。
 と続けます。

 結論としては平凡で、ある意味わかりきったことですが、やはり来るべき厳しい状況に対応できるのは、果敢な企業家精神を持った地元の経営者以外にはいません。
 尾鷲に限らず、三重県内の小売業者、サービス業者による新事業展開や新市場開拓、ビジネスモデル創造を期待したいと思います。

 ■2011年版中小企業白書
  http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/index.html

2011年7月7日木曜日

ベトナムってどんな国?

 猪谷さんからのメールで、ベトナム女性マーケット体験ツアーなる、女性向け商材を持っている業者を対象にしたツアーを教えてもらいました。
 このツアーに先立って、海外進出コンサルティング会社の株式会社フォーバル主催によるセミナー「変貌するベトナムマーケット・・・成長のカギは女性マーケット!」も開催されるようです。

 ベトナムは、過去10年間の平均経済成長率が約7.3%という、今の日本の停滞ぶりからはちょっと想像もつかない高度成長国です。特にここ数年は、賃金の高騰傾向が強い中国に代わって、賃金が安く、能力の高い若い労働者が多く確保できるベトナムが日本の製造業などの新たな進出先になってきていることもよく耳にします。

 しかし、それではベトナムの人口は何人で、平均所得はいくらくらいかと言うと、実はよくわからないという方も多いと思います。(何を隠そうはんわしもそうです)

 そこで勉強になるのが、フォーバルのホームページにある「ベトナムってどんな国?」というコラムです。経済成長に伴ってベトナム国民の消費意欲・購買意欲はめざましく旺盛になってきており、中でも若い女性によるファッション関連や化粧品関連の商品への関心は非常に高まってきているということです。

 日本は長年にわたり自動車や家電製品が輸出品目の花形でした。しかし、メイド・イン・ジャパンは高機能・高品質の代名詞でありながら、適正な価格転嫁ができず、韓国メーカーなどの追い上げで価格競争は激化し、メーカーは利益が出ない体質になってしまっていると聞きます。

 その意味では、高品質であり、かつ、日本発信のファッションやライフスタイルと一体化して売り込め、安値競争に陥りにくい、服飾、化粧品、生活雑貨などの商品は、大きく強みが発揮できる可能性を秘めています。しかも特にファッションや生活雑貨などの分野は、比較的参入が容易なので地場の中小企業でもこれから進出できるチャンスが大きいように思います。 

2011年7月6日水曜日

APSフィルムが販売終了に

 富士フイルム株式会社が、APSフィルムを在庫がなくなり次第販売終了すると発表しました。ついに来るべきものが来たということでしょうか。

 GIGAZINEなどによれば、APSフィルムは1996年に販売が開始されました。
 従来の35mmフィルムに比べてひと回り小さなサイズになったことに加え、撮影時の日付けや時間、シャッター速度やISO感度などのデータをフィルムに記録することができることが大きな特徴です。現像やプリントの時にデータが活用でき、焼き増しや写真の管理もたいへんやりやすくなりました。
 APS(アドバンスド・フォト・システム)の名前どおり、「進化した写真システム」として、35mmフィルムに代わり、主役になるものと思われていました。

 しかし、その先進性は、デジタルカメラという「破壊的なイノベーション」によってたちまち駆逐されることになってしまいます。
 96年当時、20万画素程度のおもちゃに過ぎなかったデジカメは、その後、高画質化、小型化がめざましく進み、価格も大幅に低下。
 2001年には国内出荷台数においてデジカメが従来型の光学式カメラを追い抜きます。

 APSは富士フイルム、コダック、キャノン、ミノルタ、ニコンによって共同開発され、いわば満を持してリリースされた商品でしたが、ミノルタ(コニカミノルタ)、コダック、ニコンは早々とAPSから撤退。富士フイルムとコダックが、APSフィルムのみの生産を続けている状態でした。


 この破壊的イノベーションは、同じことが自動車(ガソリンエンジン車と電気自動車)や、コンピュータ(パソコンとタブレット端末)などの業界でも起こりつつあります。

 作り手の論理が優先されるとロクな商品は生まれませんが、顧客のニーズをきちんと聞いて商品開発しても、その商品は既存の顧客が持つ思考の枠から決してはみ出すことがありません。
 その間に、ローテク、おもちゃだと思われ、まともにライバル視されていなかったような技術が商品化され、まったく新しい市場を開拓し、たちまち爆発的に席巻して、従来の主力製品を一気に陳腐化させてしまう。
 このことを恐ろしいことと見るか、チャンスに満ちたダイナミックな状況と見るかは立場によって違うでしょう。

2011年7月5日火曜日

200人の債権者を思う

 7月1日に書いた、三重県紀宝町のユタカ商会が自己破産申請準備に入ったという記事が、この2~3日間、アクセスのトップになっています。
 同社は水産加工業者としては三重県有数の業績を誇っていたそうで、ブログにも引用した帝国データバンクの記事によると、債権者は200人、負債総額は60億円にのぼるようです。

 先日の記事では、地域資源活用ビジネスのトップランナーとしての同社が破綻に追い込まれたのは残念だと書きました。それはもちろん本心ですが、同時に、おそらく心ならずも債権者になってしまった方々の心情にも思いを馳せざるを得ません。

 ユタカ商会ほどの「大手」になれば、納入業者の中には自社に少々不利な条件であっても、今までの付き合いや、今後の取引拡大を考えて、無理を承知で原材料や商品を納めていたところもあったかもしれません。
 そのような事業者にとっては、支払期日が遅れれば(というより、支払いを受けることがそもそも不能になってしまったら)、たちまち資金繰りに行き詰る可能性もあります。

 個人的な話になりますが、はんわしも昔の仕事上の先輩にカネを貸していて、その人に自己破産され、貸していた金の大半を失ったという苦い経験があります。
 これは、そういう立場になった人でなければ絶対にわからないことでしょう。信頼していた人に裏切られたという驚き。とまどい。自分にとっては決して小額ではないおカネを失ってしまうこと。そのような状況に追い込まれた自分の馬鹿さ加減と、世間への恥ずかしさ。

 自己破産が認められるかどうかは裁判所での審尋を経て決定されますが、ここに集められた債権者たちは決して強者ではありません。
 敗者であり弱者なのです。
 破産した人の勝ち逃げを認める法律の不条理さに泣かされる人々です。

 ユタカ商会の債権者にもきっとそのような人たちが多くいることでしょう。しかも、取引先の事業者の場合は売掛金のような商取引(商行為)なので、従業員の給与債権や、担保を取っている銀行などに比べ、ますます回収は難しくなります。

 本来なら、東紀州の「大型倒産案件」として三重県が紀宝町で取引先企業の緊急経営相談会を行っても不思議ではない話だと思います。
 残念ながら、津から東紀州の紀宝町はあまりに遠いし、反対に紀宝町のニュースもまったく入ってこないので、現場がどのような状況なのかはよくわからないのですが。

2011年7月4日月曜日

三岐鉄道も今年で開業80周年

 三岐鉄道の三岐線(近鉄富田・JR富田~西藤原 計27.6km)が今年で開業80周年を迎えるとのことです。

 同社のホームページによれば、昭和初期、鈴鹿山脈北部にある藤原岳からセメント原料となる良質な石灰岩が産出されることに注目したセメント会社が、原料と製品の運搬のために鉄道敷設を計画したのが経緯であり、1929(昭和4)年8月27日に起工、1931(昭和6)年6月に富田 ~ 東藤原間23.1kmが開通し、同年7月23日から旅客運送を開始したとのことです。


 今年は三重県内の鉄道にとって記念すべき年のようで、現在このブログのバナーにしているJR東海参宮線も、今年で全通100周年。

 また、「伊勢参宮鉄道」によると、近鉄山田線(旧参宮急行電鉄)全通80周年(宇治山田駅開業80周年)であり、さらに昭和36年に廃止された伊勢市内のチンチン電車である三重交通神都線の廃止50周年にも当たるようです。


 三岐鉄道に話を戻すと、同社は標準軌(1067mm)の三岐線と共に、全国的にも珍しいナローゲージ(762mm)の北勢線(西桑名~阿下喜)も運行しています。  さらに、近鉄も四日市市内でナローゲージの内部線八王子線を運行させており、三重県北部は現役で活躍する貴重な鉄道遺産が集積しているという大きな地域特性を有しています。

 これは実は凄いことで、まさしく全国に誇れることなのですが、残念ながら住民にはこの素晴らしさがあまり認識されておらず、貴重な鉄道資源を広域で連携して活用しようという動きが・・・例えばナローゲージ博覧会とか、記念年を迎える路線の共通祈念乗車券の発売とかが・・・見られない(少なくとも目立った大きな動きとして)ことは残念な気がします。

2011年7月3日日曜日

ビッグアーティストのCM的価値

 ボーっとテレビを見ていたら、栄養ドリンク「エスカップ」のCMに歌手の浜崎あゆみさんが出ていたので驚きました。

 「ベルリン天使の詩」みたいに、銀座の和光らしきビルの屋上から人々を見下ろしているという絵で、なかなか美しく良く作られていると感じます。ひょっとしてファイト一発系のドリンクからエスカップに乗り換える人も出てくるかもしれません。

 しかし、はんわしが古い人間なのでしょうが、若い女性ファンからはカリスマと仰がれ、レコード大賞を3年連続して受賞するなど輝かしい経歴を持っているトップアーティストが、よりによって(失礼)「栄養ドリンク」のCMに出るというのが、事務所的にどういう戦略なのかがよく呑み込めません。

 発売元のエスエス製薬のホームページによると

・「エスカップ」を『ぐいっと』飲んで、明日を前向きに『ぐいっと』生きるーそんな人たちを「エスカップ」はこれからも応援したいと願っています。

・新ブランドメッセージ「ぐいっと。エスカップ」と合わせて新たに制作したTV-CMでは、このメッセージを伝えるために、強い表現力が魅力のアーティスト・浜崎あゆみさんを起用しました。

 とのことで、メッセージ性はきちんと計算されているようなのですが。

 このような衝撃というか違和感は、20年位前にロックのトップアーティストだった渡辺美里さんが、生命保険のCMに出ていたのを見て以来でしょうか。
 もともとロックミュージックは社会への反逆、異議申し立て、若者のプロテストというサブカルチャーとして発展してきたものです。アーティストは不良であり、社会や権威に対して斜に構えているのが当然でした。
 しかし、それが単なる若者風俗を超えて「ビジネス」として成長してくると、レコード会社や芸能事務所、テレビ局などとロックアーティストは直接対決しなくなり、パンクのように反社会的に定向進化した一部を除き、流行歌の一つのジャンルになってしまいました。

 その中でも当時、まだバブルの名残りのある時代、「テレビに出ない」という比較的硬派なロックスターだった渡辺美里さんが、生命保険という「市民的」なリスクヘッジ、すなわち、リスクを分散するビジネスのCMに出たということは、実は日本のロック音楽史上、最大の画期であったとわしは思っています。

 もう音楽に対してはそのころの情熱も関心もなくなってしまったのだけれど、このエスカップのCMも「3・11以後の日本」を象徴する出来事なのではないか、と密かに思ったのでした。

2011年7月2日土曜日

近鉄が「新型観光特急」を投入へ

 近畿日本鉄道は、平成25年に行われる伊勢神宮式年遷宮に合わせて、大阪・名古屋~伊勢志摩の路線に「新型観光特急」を新造し、平成25年春から運行を開始すると発表しました。
 伊勢志摩路線には専用特急車両として23000系伊勢志摩ライナーが平成6年に投入されていますが、それ以来約20年ぶりの新型専用車両となります。


 同社のホームページによると、新型観光特急は、「アーバンライナー」、「伊勢志摩ライナー」などの近鉄の代表的特急車両の開発に携わってきた山内陸平氏がデザインを担当。約37億円を投資して6両編成×2編成の計12両を新造するとのことです。

 私鉄では初となる全座席3列ハイグレードシートとし、先頭の1号車と6号車は展望車両に、3号車は近鉄伝統の2階建てカフェテリア車両、さらに4号車は洋風・和風の個室を備えたグループ席専用車両とすることがこの特急の特長となっています。

 また、専属のアテンダント(接客係)が乗車し、軽食や飲料の販売、おしぼりの配布、乗車記念品の配布などのきめ細かなサービスを行うとのことです。
 そのためか、現在、近鉄の特急には必要となっている一般特急料金のほかに、新型観光車両料金(仮称)を別途追加徴収する予定のようです。

 20年に一度の歴史的かつ国民的行事である遷宮が近づき、伊勢志摩地域ではこの1~2年でさまざまな観光投資が活発化してくることでしょう。

 今回の新型特急も、「近鉄沿線の最重要観光拠点である伊勢志摩地域の活性化を推進する切り札として、今までにない「鉄道の旅」を提供し、乗ること自体が楽しみとなるような列車を投入する」ということが狙いだそうで、このような高付加価値化はクルマとの差別化路線としては正しいと思います。

 十数年前まで、近鉄特急では乗車時にアテンダントからおしぼり(紙製でない本当の蒸しタオル)が配布されるなどいろいろな意味で優越した列車でした。
 それがビジネス客や通勤通学客の特急利用増加により、特急の増発、停車駅の増加などと併せて、旧来型の過剰サービスとみなされたおしぼりや車内販売は廃止されたという経緯があります。
 しかし長引く景気低迷で、近鉄は特急の運行数削減など再度、運行形態を大きく見直しています。今回の新型観光特急の投入は、低迷している伊勢志摩の近鉄特急の利用数回復につながるかどうかが注目されます。

2011年7月1日金曜日

紀宝町のユタカ商会が自己破産申請へ

 各紙が報じているように、三重県紀宝町に工場を持つ有限会社ユタカ商会(本社 和歌山県新宮市)が6月28日付けで自己破産申請の準備に入ったとのことです。
 
 帝国データバンクによると

・同社は平成8年創業。シラスやちりめん、シラスはんぺん、サンマ丸干しなどの水産食料品の製造業者で、三重県内でトップクラスの業容を誇り、平成20年7月期には年売上高約27億9000万円を計上。

・その後、東京や大阪、和歌山などに廻鮮にぎりや「海宝」、郷土料理店「熊野路」などの飲食店を約20店舗展開するなど飲食事業にも進出。平成22年7月期の年売上高は約52億4200万円まで伸ばしていた。

・しかし、積極的な店舗展開などに伴う借入負担が増大し、資金繰りは悪化。平成22年年秋には、主力得意先が水産事業から撤退したこ とにより、同社から水産物取引の実質的な金融支援を受けていたため資金繰りが一段とひっ迫。

・飲食店部門の強化を図ることなどで業容の維持を図っ たが、今年5月には同社の売掛債権に対して大口債権者が仮差押え手続きを行ったことで信用不安が拡大し、今回の事態となった。

 とのことです。

 はんわし、ユタカ商会は何度かお邪魔したこともあって、水産加工だけでなく、ポン酢などの調味料の製造や、インターネット販売進出、レストランの展開など、次々と事業を大きくしていく姿を目の当たりにしていました。
 紀州・熊野の素晴らしい地域資源を、ただ素材として売るだけでなく、付加価値を付けた商品にし、それを都会へ積極的に販売していく姿勢には敬服していました。
 また、紀宝町内の国道42号沿いにある道の駅ウミガメ公園などには、ユタカ商会のちりめんや寿司、干物などがバラエティ豊かに品揃えされていました。

 負債は債権者約200名に対して約60億円という見込みのようですが、地域資源ビジネスのトップランナーであった同社が力尽きたのは、大変残念に思えます。