2012年2月28日火曜日

日本公庫のソーシャルビジネス支援

日本政策金融公庫、という現在の名前より、かつて「こくきん」と呼ばれていた国民生活金融公庫の名称の方が今でも浸透しているかもしれません。
 その日本政策金融公庫(略称:日本公庫)は、国民生活事業部門で、現在も小規模事業者と創業者向けの融資を行っています。
 わしは今まで気づかなかったのですが「NPO法人等、ソーシャルビジネス支援」という専用ページが立ち上がっています。(ソーシャルビジネスは、わし的には「コミュニティビジネス」と呼ぶ方がふさわしい気はしますが、一般的にはほとんど区別は意識されていないので、同義とみなしていいと思います。詳しくはこちらを)


 地域の課題を解決するために、地域の資源(地域に住む人材ももちろん、ここでいう地域資源です)を使ってビジネスの手法で行う事業がソーシャルビジネス(コミュニティビジネス)ですが、従来の担い手の中心だったシニア層や主婦層などに加えて、最近では20代~30代の若者にもSB志向が強まっているようです。

 SBやCBにご関心がある方は、ぜひ日本公庫のホームページをご覧ください。
 関連してお勧めするのは、創業期に日本公庫(国民生活事業)を利用した人などの実際の創業事例を紹介しているページ「特色ある創業事例」です。
 金融機関の立場なので、いわゆる「良い話」しか書いてはいないでしょうが、それでもこのような体験談は貴重です。創業・起業を考えている方のケーススタディとしても活用できるのではないでしょうか。

■日本政策金融公庫(国民生活事業)  http://www.jfc.go.jp/k/index.html

2012年2月27日月曜日

偕楽公園の梅が開花 2012

三重県庁近くにある偕楽公園の梅がちらほら咲き始めました。
 今日は大変に寒い日で、風も強く、いわゆる「寒の戻り」のような天候でしたが、それにしても陽の日差しが何となく春の気配を感じさせます。



 ちなみに、昨年も同じ内容の記事を書きましたが、それは1月終わりのことだったので、何と今年は1ケ月も遅かったことになります。(2011年1月25日 津偕楽公園の梅が咲いた) 

 津では、結城神社というところが梅の名所ですので、そこも間もなくにぎわいだすことでしょう。

2012年2月26日日曜日

インターンシップ・バブルの到来!?

****長期インターンやCP関係以外の人は無視してください****

 各紙が先日開催された三重県雇用創造懇話会の様子を伝えています。伊勢新聞(2月25日付け)によれば、
インターンシップを経て「財団法人紀和町ふるさと公社」にIターン就職した松尾早希子さんが、紀宝町の農家で計三カ月半のインターンシップを経験し、大学卒業後に同公社に就職した経験などを発表。
委員からは長期間のインターンシップが重要だとの意見が上がった。また、鈴木知事は「具体的な施策としてインターンシップは重要。いただいた意見を踏まえて今後の事業に生かしたい」と話した。
 とのことです。

 三重県庁に限らず下僚は首長の意向に敏感なので、はんわしのカンではありますが、財政難だと自称しているにもかかわらずどこかから財源をひねり出し、インターンシップ事業を大急ぎで拡充してくる可能性が極めて大きいと思います。
 松尾さんに関しては三重県と地元5市町で構成していた東紀州観光まちづくり公社が行った「東紀州長期インターンシップ事業」のスタートから足掛け5年目の成果です。人材確保や育成には長い時間がかかることの証左でもあります。

 このブログは長期インターンシップに関心がある学生や経営者、
チャレンジプロデューサー(CP)や行政関係者もご覧になっているようなので、仮に三重県で長期インターンシップが事業化される場合の留意点を挙げておきたいと思います。

その1 CPの重要性
 長期インターンシップには、チャレンジする学生、受け入れる経営者、そして両者をコーディネートするCPの存在が欠かせません。
 特にCPは重要です。CPの能力いかんで事業のスキームや成果が全く異なってくるからです。
 しかし、その重要性を多くの行政職員は知らないか、知っていても過小評価しています。
 優秀なCPのための人件費や委託費をケチってはいけません。自前でCPを育成することも必要で、各市町とか、商工会議所や商工会広域連合、大学などの職員をCPやCP補助者に育成する講座が必要です。

その2 何を成果目標にするか
 東紀州は松尾さんや、紀北町にIターンした立花君のような「成果」が出ました(ご本人には失礼な言い方ですが、お許しください。)。
 そもそも長期インターンの成果を何に置くかで制度設計は変わってきます。類似の制度として農林水産業者の後継者確保事業がありますが、これによるUターンやIターンもほとんど生まれていないのが実情なので、現実的にはこの目標は達成困難でしょう。
 インターン先企業などの付加価値(経常利益+人件費+減価償却費)の向上を成果目標とするか、東紀州のように地域やインターン先企業などの「ファン」を作ることとすることもやむを得ないかもしれません。

その3 インターン先をどこにするか
 知事が言うインターン事業が、あくまでも「企業」への「就職」を念頭に置いたものだとすると、学生や若者たちのニーズとミスマッチする可能性が大きいと思います。
 今の若者は就職にやりがいや社会的な意義を求めているので、企業以外に、コミュニティビジネスやNPO、ボランティアといった現場にも魅力を感じているはずで、このルートを断つべきではありません。企業への就職を前提としたインターンなら、結局は就職活動の「亜種」に過ぎず、本質は失われるでしょう。
 わしが嫌な予感を抱くのは、県庁のどの部署がインターン事業を受け持つかによって、インターン派遣の対象は企業だけに限定され、学生の関心も高く、地域課題解決という社会的ニーズも高く、かつ、雇用の受け皿として企業以上に重要となることが確実で、しかも優秀な若手人材が不足している、POという大切なセクターが、インターンの受け入れ先から排除されてしまうかもしれないということです。(県庁幹部の知的水準からすると、この危惧はかなり現実的だと思います。)
 長期インターンの受け入れ対象は企業だけでなく、NPOなどの含めた幅広い事業者とすべきです。

 CPの方は社会的な影響力が強い方も多く、関係先にロビイングするケースも多いことでしょう。フローレンスの駒崎さんも先日の朝日新聞でおっしゃっていましたが、政治へのアクセスとしてロビイングは重要な手段です。わしもそれは否定しません。
 肝心なのは、誰に、何をブリーフィングするかです。
 上記の3点はぜひ参考にしていただき、県内のすべてのセクターが活性化するようにロビイングをお願いします。 

2012年2月25日土曜日

熊野地鶏ラーメンを食べてみた

財団法人紀和町ふるさと公社は、三重県熊野市で特産品の生産と販売を行っている第三セクターです。
 そもそもは世界遺産の熊野古道や丸山千枚田などがありながら、過疎化が進んでいた紀和町(きわちょう)の活性化のために設立された公社でしたが、紀和町が熊野市と合併したことから、現在では旧熊野市も含めたオール熊野市の特産品 ~味噌、丸山千枚田のお米、キジ肉、サンマ醤油、香酸かんきつの「新姫」、梅干しなど~ を幅広く生産・販売しているほか、良質な温泉を有するホテル「瀞流荘」の運営なども行っています。

 さて、ここの職員である松尾さんから、公社の特産品の一つ「熊野地鶏」が使われたラーメンが東京都内のラーメン店で提供されるようになった、という情報をいただきました。
 今日はたまたま東京に行っていたので、昼飯は熊野地鶏ラーメンを食べに行くことにしました。
 
 熊野地鶏ラーメンがある店は ラーメン玄NOMAD なる店で、JR御徒町駅の南口2から徒歩数十秒の商店街にあります。
 こじんまりした店構えですが、熊野地鶏のノボリが立てられ、黒板には一日20食限定熊野地鶏ラーメン830円と書かれています。

 店内はカウンターが数席ほどと、4人座れるテーブル席が2席。ラーメン屋というより、お蕎麦屋さんといったたたずまいです。田舎のラーメン屋は、おそろいの黒いTシャツを着たやたら元気のいい店員たちが大声を張り上げているような知性の感じられない店が多いのですが、ここは都会らしく年配の店員が静かに対応してくれます。

 わしが店内に入った時は、何とBGMにマイルス・デイビスの名曲フラメンコ・スケッチが流れており、ブルージーというか、「枯れた」雰囲気でした。

 さっそく熊野地鶏ラーメンを頼んでみました。

 紀和町ふるさと公社のホームページによると、熊野地鶏は
・ブロイラーの2倍以上の約110日間かけて飼育し、平飼いで1㎡あたり8羽以下のゆったりとした飼育密度で、できるだけストレスを与えないようにのびのびと飼育している。
・餌は、抗生物質の一切入っていない安全な飼料を規則正しく与えている。
・肉色は赤みが強く、肉質は程よい歯ごたえがあり、旨味成分を多く含み鶏肉本来のコクと風味がある。
・脂身に鶏特有の臭みはなく、皆さんに喜んで食べていただける地鶏肉である。
 とのこと。これで美味くないわけがありません。

 ラーメンはたしかにあっさりしていて、スープには鶏のうまみが濃縮されています。
 わしは三重県人で味覚が関西系なので、東京のラーメンらしくやや醤油っ辛い印象はありましたが、気になるほどではありません。大変おいしくいただけました。

 最近は年齢のせいか、ギトギトに脂っこく異常に熱いラーメンは、ちょっとノーサンキューになってきているのですが、その点、あっさり系の熊野地鶏ラーメンは結構いける感じです。

 みなさまも機会がありましたら是非ご賞味ください。


(関連情報)
御徒町に天然素材ラーメン店「玄 ノマド」 上野経済新聞 

玄Style

2012年2月23日木曜日

デジタル化でミニシアターが窮地に

 先日の中日新聞に、「映画文化の多様性 ピンチ」という特集記事が載っていました。

 映画の上映方式が、従来のフィルム映写機から、映像が映画会社から直接デジタルデータで配給され、それを上映する方式に変更されつつあるからだそうです。

 映画のデジタル化はハリウッド主導で世界に広まりつつあるもので、フィルム方式だと上映する映画館の数だけフィルムを複製しないといけないところ、デジタル式はデータを映画館がダウンロードして入手するため、複製のコストが大幅に安くなるとのことです。

 問題は、ハリウッド規格のデジタル映写機の費用が1000万円以上すること。
 いわゆるミニシアターや名画座のような小規模な映画館は入場者数も減少傾向であり、とても新規の設備投資をする余裕はないのが実情のようです。

 意外なことですが、日本でも完全に主流となっている、複数のスクリーンを持つシネマ・コンプレックスもここ数年、観客動員数は横ばいから微減傾向で、近年は邦画洋画共に大ヒット作に恵まれないこともあって、経営が厳しいところが多いのだそうです。

 このブログで先日書いた、「がんばっぺ フラガール」ですが、これも決してメジャーな作品ではなく、わしが見たのは伊勢市にある進富座という、インデペンデンス系の名画座です。

 正直な話、わしが見た回の観客は3人でした。もちろんわしも含めてです。

 進富座ホームページに水野支配人が書くように、映画界はまさに正念場を迎えており、地方都市にとってかけがえのない文化発信拠点である映画館が存続できるかどうかは、結局は市民の「文化程度」だということなのでしょう。

2012年2月22日水曜日

イオン×NTT西×シャープ=ネットスーパー?

ITmediaプロモバによると、イオンとNTT西日本、シャープ、そしてハーストーリィプラスの4社が、主婦や子どもからシニアまで、幅広い家族構成員の家庭内での生活をサポートするサービスやコンテンツを提供する協業プロジェクトを発表しました。
 具体的には以下のように連携するそうです。(写真はITmediaから引用しました リンクはこちらです)

イオン
 タッチパネルを搭載したタブレット端末(あのGALAPAGOS?)で、生鮮食品から日用品までの買い物ができる独自ユーザーインタフェース(UI)を備えた「イオンネットスーパー」を提供。
 さらに家族向けやシニア向けの専用コンテンツの提供や、情報配信プラットフォームを活用した近隣のイオン店舗のセール情報、暮らしに役立つ情報の配信なども行う。

NTT西日本
 「家まるごとデジタル化構想」の一環として、フレッツ光の利用促進を図る。

シャープ
 クラウドメディアサービス GALAPAGOSのプラットフォームを利用し、ユーザーの新しいライフスタイルを支援する情報やコンテンツを定期的に配信。
 端末は今回のプロジェクト用にカスタマイズし、電子書籍、Eコマース、教育、ヘルスケアなどのサービスを拡大。

ハーストーリィプラス
 女性向けマーケティングのノウハウや女性会員のネットワークなどを生かし、サービスやコンテンツを開発する際の女性の意見の収集や、女性のアイディアを製品へ反映させるためのフィードバックなどを担当。

 そして今日、イオンのネットスーパーの詳細が公表されました。

 GALAPAGOSの専用端末は、主婦にも親しんでもらえるよう、買い物の 注文のほか、誕生日や運動会などの予定に応じた料理のレシピや食材を紹介したり、帰宅した子どもが画面に触れると、親にメールを送信する機能も備えるものだそうです。
 このサービスは、まず関東地方と広島県内で来月からスタートし、順次全国に展開する予定とのこと。

 しかし率直に言って、GALAPAGOSを使っていること自体、何だか先が見えているような気がします。なんでiPadじゃないのか?

 もっともイオンは、ネットスーパーを「専用タブレット端末」だけで行うのではなく、スマートフォンやタブレット型デバイスなどオープ ンなプラットフォームにも対応する計画はあるとのことなので、今回はあくまでも社会実験ということなのでしょうが。

 ネットスーパーはまだまだ創成期で、多くの大手、中小スーパーが参入しているものの、実は多くは利益が上がっていないと聞きます。ビジネスモデルもまだ発展途上ということなのでしょう。
 また、らでぃっしゅぼーやのように既存の宅配事業者が通信プラットフォームと一体化する動きも広まっています。
 結局は大手スーパー×大手通信業者の連合がネットスーパー市場を席巻してしまうのでしょうか。

2012年2月21日火曜日

謎のミキモト真珠研究所

 鳥羽市は港町で、旧市街地はもともと平地が少ないので、家々が山の中腹まで建ち並んでいます。
 その家並みの一番上のほうにミキモト真珠研究所という建物があります。
 市街地から見上げるとものすごく目立つ建物なので、はんわしが子供のころから存在には気がついていましたし、逆に、気になってしかたがなかった建物でした。

 山の上にひっそり立っている「研究所」

 瓦屋根の民家と違って無機的な鉄筋コンクリートの建物であることも、何かミステリアスな雰囲気を漂わせていました。研究所のてっぺんがパカッと開いて、ヘリコプターか何かが飛び出してくるのではないかとか、そんな荒唐無稽な子供らしい空想を拭うことができなかったのです。
 
 その後、成長するにつれてそのような意識は薄れていき、もう相当長い間忘れていたミキモト真珠研究所の名を思い出させてくれるニュースが最近になって2つ、飛び込んできました。

 一つは、真珠研究所が九州大学などと共同で、真珠を作る母貝であるアコヤ貝の発する言葉が分かる「貝リンガル(かいりんがる)」なる翻訳機械を開発したというニュースです。
 アコヤ貝は酸素濃度が低くなったりすると口をあける回数が増える習性があるため、その回数や頻度によって貝がどういう健康状態かを把握し、プランクトンの発生といった貝にとって良くない環境が発生したときに、適切で素早い対応が可能になるというものです。

 もう一つは、アコヤ貝のほぼ全ての遺伝子を、真珠研究所と東京大学などの共同研究チームが特定したというニュースです。
 解読の対象となったのは、同研究所が保存している純国産系統のアコヤ貝で、解読された遺伝子情報からは、国産のアコヤ貝真珠に特有の、輝きの秘密を解明できる可能性があるそうです。

 なるほど、ミキモト真珠研究所はそんな研究を地道にやっていたのか。知らなかった。

 しかし、知らないのも当然で、この研究所は、研究成果を公表するとか、地域住民と触れ合うというようなオープンな態度をあまりとっていなかったのではないでしょうか。
 せっかくこのような素晴らしい成果があることが報道されたのですから、地元の財産として市民が誇りを感じられるようにもっと存在をPRし、地域と触れ合っていただいてはどうかと思います。

(補足)
 インターネットで調べると、ミキモト真珠研究所の研究拠点の所在地は志摩市のようです。
 だとすると、今でも鳥羽の山の上にあるあの研究所は何なのだろう・・・・

2012年2月20日月曜日

エコポイントは家電業界を救えなかった

先日、大手電機メーカー8社の、平成23年4~12月期連結決算が公表されました。
 パナソニックは12年3月期の連結最終(当期)損益が7800億円の赤字見通し。シャープも12年3月期の連結最終赤字が2900億円の見込みで、これは過去最大の赤字。
 ソニーは2200億円の赤字、NECは1000億円の赤字と、軒並み大幅な赤字見通しとなったことは大きな衝撃を持って受け止められました。
 一方、日立は2000億円、東芝は650億円の黒字見通し。これらの企業は産業用機械など重電部門を持っており、海外への輸出が好調だったという理由はあるようですが、それでも大幅な減益です。

 パナソニックなど家電が中心のメーカーが特に不振だった理由は、「薄型テレビの不振」に尽きます。テレビは各メーカーの主力商品であり、長年にわたり業績のけん引役でした。かつては日米貿易摩擦の争点にもなった「貿易立国ニッポン」の代表的商品です。
 しかし、薄型テレビは、半導体や液晶パネルなどの部品さえ調達できれば、組み立てには高度な技術がいらない、いわゆる「コモディティ化」の典型的製品でもあります。このような製品では、部品を世界各地から安く調達し、巨大な工場で大量生産することによってコストを下げ、圧倒的な競争優位に立つことが可能になります。(その代表が韓国のサムスンです。)
 日本メーカーの不振は円高などの要因ももちろんですが、コモディティ化の流れの中で、自社での生産にこだわって国際的な水平分業が遅れたことや、生産設備の大型投資への決断の遅れなどの「日本的組織」に特有の弱みもあったようです。

 それにしても、このような業界の不振を見ると思うのですが、「エコポイント」とは一体なんだったのでしょうか?

 家電エコポイント制度は、平成21年5月から平成23年3月まで実施され、6930億円もの予算が投入されました。

 平成23年6月に政府は「家電エコポイント制度の政策効果等について」なるレポートを公表していますが、これによると、省エネ性能の高い家電の販売が進んだことで約270万t-CO2/年のCO2削減効果があったことなどとならんで、経済活性化の効果が誇らしげに書かれています。

○家電3品目(薄型テレビ、エアコン、冷蔵庫)について、約2.6兆円の販売押し上げ
○予算額の約7倍に及ぶ経済波及効果(約5兆円)の呼び水
○本経済効果により、のべ約32万人・年の雇用を維持・創出

 しかし、現下の家電メーカーの苦境、特にテレビ部門の不振を見ると、エコポイントは需要を先食いしただけで、結果的にメーカー各社の生産調整のタイミングを遅らせた罪深い制度ではなかったかと思わざるを得ません。

 国や地方による補助金は一種の劇薬であって、短期的に効果は生み出しますが、本来なら市場メカニズムによって均衡が図られる需給関係や、民間によって担われていたであろう投資や消費を阻害する副作用があります。
 産業政策や経済政策というと国民やマスコミの受けもいいのですが、実はほとんど効果はなく、破産寸前の国が取るべき政策ではまったくないことは銘記すべきです。

2012年2月19日日曜日

やさしくなりたいのビデオクリップが最高

たまたまMTVだか何だかを見ていたら、ロックアーティストの斉藤和義さんの「やさしくなりたい」のビデオクリップが流れていました。(Youtubeには短縮バージョンがありました こちらを)

 マニアの方ならよくご承知のように、これはビートルズのパロディ(というより、ビートルズの「なりきり」)であり、1966年6月30日から7月2日の3日間、日本武道館で行われたビートルズ日本公演の様子をまんまコピーしたものです。

 このコピー(なりきり)は実によくできています。

 衣装、髪型、楽器(エピフォンカジノとか)、VOXのアンプのようなイクイップメントはもちろん、司会者(実際はE.H.エリック氏)の紹介、ファンに向かって手を振ったり、ボーカルマイクの位置を直したりといった、ビートルズメンバーのちょっとした仕草までほぼ完全にコピーされています。
 ドラマー(リンゴ・スター)がほぼ一貫して不機嫌そうな仏頂面で演奏していることまで忠実に再現しています。

 コンサートは3日間で計5回行われました。このうち7月1日昼の部の映像が、その日の夜、日本テレビで特別番組として放映されました。この画像を繰り返し繰り返し徹底的に見てディテールまで完全復元したものでしょう。ライティングとか画質まで当時のテレビそっくりです。 
 そのマニア魂と、本当にやってしまう悪乗りぶりには敬服します。きっと斉藤さんにとって最高に面白い仕事だったのではないかと思います。

 ちょっと自慢なのですが、わしはビートルズ日本公演の時のパンフレットを持っています。
 もっとも、本物ではありませんが。

 高校生の時、たまたまビートルズのLPレコードを買った時に、レコード会社のキャンペーンで日本公演のパンフレット復刻版をオマケにくれたのです。

 今見返すと、「三丁目の夕日」的な1960年代の匂いがプンプンしています。
 エメロン石鹸とか、テスコギターとか、東芝オデオンレコードなどの広告が並び、実際は自分はまったく記憶がない幼児の頃のことなのですが、何だか懐かしく思えるのです。

2012年2月18日土曜日

検定「お伊勢さん」に合格!

私事ながら。

 昨年12月に受験した、伊勢のご当地検定である「検定お伊勢さん」の 上級 神宮・遷宮編 に無事合格することができました。本日、主催者である伊勢商工会議所から通知文書が届きました。

 100点満点で70点以上が合格ラインのところ、わしは74点だったらしいので、ぎりぎり紙一重の合格です。
 これは神仏の御加護、なかんずく、伊勢大神宮の御神徳のおかげに違いありません。

 しかしまあ、はっきり言って、これに受かったからといって何か得になるわけではありません。
 しかし、たまたま人生の今現在をここ伊勢で過ごしており、悠久の歴史を持つ伊勢神宮のそばで暮らしている中で、あまりにも故郷についての知識がないことに反省を感じることが多い日々でした。

 それは、伊勢神宮が間もなく20年に一度の一大イベントであるご遷宮を迎えるというタイミングであったり、伊勢でまちおこしや地域産業の活性化に取り組んでいる人々に接して、そのメンバーと自分とではあまりに知識や実践に差があることに気付いたというせいでもあります。

 伊勢の多くの経営者や地域おこしのキーパーソンが異口同音に言うことは、価値観が複雑化・多様化し、従来の経済成長の意義そのものが揺らいでいる今こそ、伊勢では何か新しいことができるはずだし、新しい何かに取り組まなくてはいけないということです。
 「新しいことと」とは、伊勢に代表される日本的な価値観(辺境的な民族主義ではなく、世界に普遍的な)に根差した革新(イノベーション)とも呼ぶべきものです。

 伊勢発のイノベーションは神宮と切っても切り離せないものになることでしょう。
 その意味で、行政が関われる分野は(特に県のような広域的な自治体が関われることは)きわめて限られてきます。民が主役にならざるを得ないし、そこに関わる一市民としてのちょっとしたパスポートが、この検定お伊勢さんの合格によって得られたような気持になっています。

おそろしい「ブラック県庁」のおはなし

異様な怒号に、一瞬、皆の手が止まりました。
 ごく些細なミスをした職員が、アホ!、アホ!、オマエは何もわかっとらん、バカモン、オマエは何も知らん、アホか! などと聞くに堪えない言葉で面罵されています。一切の弁明は許されず、フロアー中に響きわたる恫喝まがいの怒声が延々と続きます。
 周りはいたたまれず、無関心を装ったり、仕事を再開したりするほかありません。
 皆、魚のように無表情です。

 最近は行政職員に対する暴力(物理的な有形力行使だけでなく、恫喝や強要ももちろん含まれます)は警察もきちんと取り締まるようになってくれているので、このような状況なら誰かが110番通報してもおかしくなかったでしょう。
 しかし、今、怒鳴っているこの人は県の幹部職員で、某地方紙にもパワハラまがいの行状が実名で記事になったことがあるという、県庁内では知らない人の方が少ない有名人です。

 あくまで個人的な感想ですが(なので、異論や異見はあると思いますが)、この人のパワハラのせいで職場には何とも言えない「いやーな雰囲気」が漂っています。

 思っていることが言えない。
 言いたいことがが口に出せない。
 どうしたら怒鳴られないで済むかをまず考えてしまう。
 上司の理屈に県民を無理やり合わせる方法に悩む

 ということに神経を擦り減らしている毎日です。世にいうブラック企業とは、きっとこんな感じなのでしょう。なので、ブラック県庁と自称すべきでしょうか。
 
 実は行政の職場こそ、自由に意見が言え、フラットに意見を戦わせ、新しいものをみんなの知恵で生み出していくというクリエイティブな職場環境が重要です。しかし事実は正反対なのは残念なことです。

 さきほど、「異論や異見はあると思う」と書きました。一部には、もちろん現状がパワハラ「まがい」だとは認めつつも、「民間企業はもっと厳しい。上司から叱責されることなど毎日だ。」とか、「今のところあの人のせいで(鬱病のような)病人が出たわけではない。」と言う人もいます。
 しかしこれはおかしいと思うのです。
 仮に病人が出てしまったら、もうこれは立派な刑事事件であって、失われた心の健康には取り返しがつきません。犠牲者が出るまでは対応しないというのは、まさに「人柱行政」です。

 民間企業は行政よりずっと厳しいという声は、パワハラに限らず、セクハラやサービス残業、顧客からの無理難題、といったさまざまな場面で官民を比較する時によく出てくる批判です。ただ、だからといって労働者の職場環境や労働法を守らなくていいという話にはなりません。民間職場はもっとパワハラがあるから行政も我慢しろ、ではないのです。企業だろうと役所だろうと、間違っていることを許してはいけないのです。

 企業でもそうでしょうが、役所でも実際にはいくつものチェックがあり、内部の不正や暴走は止められるような制度になっています。
 しかし実際には、チェック機関たるパワハラ上司の上司とか、直属の部下たちもあきらめムードで無関心なので(というか、「上下のチェック機関」そのものもパワハラの被害を受けているので)、事態は野放図なまま改善されません。

 ちょうど今、わしの目の前に(財)反差別・人権研究所みえの「反差別・人権研究所みえ通信」があるのですが、いくらこのような組織ががんばっていても、当の県庁が人権に鈍感な風潮のブラック県庁である以上、世の中からなかなか差別はなくならないのだろうなあ、と暗い気持ちになってしまうのでした。

2012年2月17日金曜日

限界集落は実は消滅していない

 限界集落の真実 -過疎の村は消えるか?(山下祐介著 ちくま新書)を読了しました。

 65歳以上の高齢者が定住者の過半数を占める集落を指すとされる「限界集落」というコトバは1990年代に提唱された概念のようですが、一般的に知られるようになったのはここ10年ほどだと思います。

 2007年に公表された「国土形成計画策定のための集落の状況に関する現況把握調査」では、過去7年の間に全国の過疎地域で191か所もの集落が消滅したとされており、これがマスコミにもセンセーショナルに取り上げられて、一気に広まったということのようです。(わしも、限界集落なる言葉を聞いたのが確か平成19年か、そのあたりだったと記憶します。)

 しかし、この本の著者である山下さんによれば、消滅の原因の多くは、ダムや道路などの公共工事による集団移転であったり、自然災害による集団離村などであり、高齢化のために共同生活が困難になって消滅したという事例は現実にはほとんどないということです。

 では、実際に限界集落と呼ばれる地域の実情はどんなものか。青森県や高知県など全国各地の事例が丹念なルポルタージュで紹介されます。
 住民は極めて減少してしまっても、「消滅」に至る事例はやはり少ないこと。しかしながら、残った数少ない住民も高齢化しており、あと何年かで「消滅」は顕在化するであろうことも紹介されます。

 興味深かったのは、一言で田舎とか集落とか十把ひとくくりにされる過疎地域ですが、全国を見渡せばその成り立ちや集落の様式、生活様式は実に多様であり、ある意味で都市部よりも強靭な社会構造であることが立証されていることです。
 また、限界集落では、確かに定住人口は減少していても、家がそこにある限り(親がそこに住んでいる限り)、意外に近くに住んでいる子や孫が頻繁に親の面倒を見に訪れたり、定期的に帰省してきたりと、必ずしも村の活力自体が低下しているとは言えない。それは、家族という概念が、単に「同居している血族」ではなくて、より広く、緩やかに連結している関係であるためであり、潜在的な人口に着目すべきだという指摘にも説得力を感じました。

 余談ですが、田舎にいる親の面倒は見なければいけない、しかし仕事や家族のために住まいは都市部でなければならない、という限界集落出身者は非常に多く、そのニーズが田舎と都市の中心に位置する「郊外型の住宅団地」が地方都市でも次々に開発される理由である、という山下さんの話には納得します。

 結論の部分で、山下さんは、高度成長期までの日本が「成長モード」、バブル以降が「競争モード」と呼ぶべき世の中であったとすれば、近年は「衰退モード」ともいうべき、妙な諦観が社会を覆っていると書きます。
 日本各地の集落は、その多くが実は有史以来ずっと人が住み続けてきた地域であり、生産と生活がクロスオーバーする場として長らく存続してきました。しかし、「衰退モード」の考え方が、限界集落は消えても仕方がない、田舎は効率が悪いのだから住民は都市に移住すべきだ、という極論につながっているというのです。
 では、これをどう克服すべきか。詳しくはぜひ本書をお読みください。

 全体を通して特別に新味のある話は出てきませんので、行政の職員や専門家には少し物足りないかもしれませんが、現状を知るには手がかりになる一冊だと思います。

2012年2月16日木曜日

まごころtea(ティー)ハンドジェルが輸出されたそうな

 読売新聞(YOMIURI ONLINE 2月14日付け)によると、三重県多気町にある三重県立相可高校の生徒と、同町にある万協製薬(株)が共同で開発した「まごころtea(ティー)ハンドジェル」が台湾に輸出されたそうです。

 日本の化粧品を台湾に仲介している業者から、昨年、万協製薬に「塗っても、ベタベタしないジェル化粧品はないか」との問い合わせがあり、同社が「ま ごころteaハンドジェル」を勧めたところ、業者も気に入って出荷を決定したとのこと。
 3024個を台湾に送ったそうです。(これが多いのか少ないのかは正直よくわかりませんが。)

 この「ま ごころteaハンドジェル」は、先日三重県が開催した地域思いビジネス発表会において、最優秀賞である「地域思いビジネス共感大賞」に輝いた商品でもあります。
 地元多気町の特産品であるお茶のエキスを使い、相可高校生産経済科の生徒たちが商品化のアイデアやパッケージなどを考えて、万協製薬のノウハウと設備を活用して製品となったものです。

 なかなかよくできた仕組みで、関係者の熱意や努力には敬服します。
 しかし、心のどこかでしょせんは「女子高生によるアイデア商品」ではないかという気持ちや、「地域思いビジネスと言っても所詮は亜流のビジネスでは」という疑念を完全に払しょくできない向きもきっといらっしゃったことでしょう。

 しかし、今回の台湾への輸出は、確かな品質が専門家の目からも認められたということになると思います。
 また、品質と同じくらい、いや、それ以上に、商品にまつわるストーリー(モノガタリ)が消費者の共感を得ることの重要性を教えてくれる好事例だと思います。
 これを成功例にして、地域発の地域思いビジネスが、ますます多くの場所で、多くのアイテムやサービスを生み出し、ビジネス的にも成功することを願わずにはおられません。

 余談ですが、万協製薬は「多くの人に使ってもらえるよう」(記事による)、当初は50グラム入り980円で販売していたものを580円に値下げしたそうです。このあたりの商品戦略はさすがです。

2012年2月15日水曜日

東紀州のスイーツ!!

 東紀州観光まちづくり公社が、東紀州地域(三重県南部の、尾鷲市、熊野市、紀北町、御浜町、紀宝町の2市3町からなる地域)にある和菓子や洋菓子のお店を紹介する 東紀州のスイーツ を発行しました。

 東紀州の食べ物というと、何と言っても目の前の熊野灘で獲れる新鮮な魚介類がまず浮かびます。
 しかし、そのような豊かな食生活は「舌が肥えている住人」を生み出したようで、お菓子に関しても大変おいしい店が多くあります。

 掲載されているのは以下のお店です。

尾鷲市
・ささき洋菓子店
・開進堂 (かいしんどう)
・福助堂 (ふくすけどう)
・和菓舗 若木屋 (わかほ わかぎや)
・朝日饅頭本舗 (あさひまんじゅうほんぽ)
・かし熊
・喫茶セルフ
・ピーターパン
・錦花堂 (きんかどう)
・みのや製菓舗

熊野市
・MORI no BAUM (もりのばうむ)
・志ら玉 (しらたま)
・お菓子のいえ ナガシマ
・ケーキハウス スギヤ
・フレイズ福進堂 (ふれいずふくしんどう)
・小島(こじま)
・山本屋製菓(やまもとやせいか)
・もんいまぁじゅ
・うぶた堂
・ケーキ夢工房 菓子の樹

紀北町
・卵卵ふわぁ~む (らんらんふわぁ~む)
・とらや
・Mon petit coco (もん・ぷてぃ・ここ)
・エトワール菊屋
・菊屋製菓(きくやせいか)

御浜町
・さぎりの里
・パン工房つくんこ

紀宝町
・道の駅紀宝町ウミガメ公園
・ガーデンブレッド
・パンとケーキの店 ミュール

 あれ、あの店がない・・・・・などと感じる向きもいるでしょうが、まずはひととおり有名どころは網羅されているように思います。
 東紀州にお出かけの際はぜひチェックしてみてください。

 東紀州のスイーツは道の駅などで配布されているほか、東紀州観光まちづくり公社のホームページからもダウンロードできます。(ただし、不具合があるようで、一部がうまく表示されませんでした。)

2012年2月14日火曜日

三重のすごい中小企業(製造業編)

このブログはマスコミの方もよくご覧になっているようで、三重県内の面白い中小企業、すごい中小企業を知らないかと聞かれることがあります。
 三重県の産業構造は、他の府県に比べて全産業に占める割合のうち第2次産業、特に製造業の比率が高いことが特徴です。(たとえば、百五経済研究所の「三重県経済のあらまし2007」参照)

 しかし、その多くはいわゆる下請け型の中小企業であり、規模のメリットを生かして品質の高いものを低コストで大量生産するスタイルの工場がほとんどと言っていいと思います。
 もちろん、下請けが簡単なこととか単純なこととかではまったくありません。高い生産技術と生産管理を有し、日々研鑽しているたまものであり、名実ともに地域経済を支えていることは言い添えます。また、日本の製造業の大きな特徴の一つは大企業と中小企業の下請け・系列関係なので、三重県の企業もその例外ではないというだけのことです。

 冒頭の話に戻ると、実際に、三重県内には製造業の事業所が約5000か所弱もあるので、「面白い」「すごい」中小企業もたくさんあるのですが、一つの参考になるサイトを見つけました。

 2月29日から3月2日にかけて、東京ビッグサイトで「エネテックジャパン 量産試作加工展」が開催されますが、そこに財団法人三重県産業支援センターが三重県ブースを出展します。
 そのブースでは三重県内の製造業中小企業23社が展示を行いますが、製造業ポータルサイトの大手IPROS(イプロス)にその出展社が一覧で掲載されています。


 わしの知る限り、そのすべてが三重県を代表する「ものづくり中小企業」のひとつひとつであることは間違いありません。高い開発力とソリューション能力を有し、下請けにとどまらず大企業のパートナーの地位を確立している企業。小さくとも自社開発した製品で一定のマーケットシェアを持っているニッチトップ企業などなど。
 エネテックジャパンに出展するアイテム以外に、簡単な会社概要は誰でも読めるようになっていますし、イプロスに登録すれば会社案内やカタログも無料でダウンロードできるようなので、ご関心がある向きはぜひ活用いただいてはいかがでしょうか?

■IPROS三重県特集 https://www.ipros.jp/feature/original/100588/?secure=true  

■エネテックジャパン http://www.ptexpo.jp/

2012年2月13日月曜日

そよ風の贈り物

 ホイットニー・ヒューストンさんが亡くなりました。
 
 初めて彼女の歌を聞いたのは、NHKの海外情報番組だったと思います。
 雑誌セブンティーン(もちろんアメリカの)でモデルをつとめた美貌を持ち、人気歌手だったという母親からレッスンを受けた抜群の歌唱力を持つ本格派女性歌手がデビューし、若干22歳で大人気になっているというニュースだったと思います。

 その後、ベストヒットUSAで彼女の Saving all my love for you を知り、さっそくLPレコード(古い!)を黎紅堂で借りてきたのでした。

 ダビングしたテープは何百回も聞いたので擦り切れてしまい、就職してかなり早い時期にCDを買い直したことも懐かしい思い出です。

 わしが見るところ、デビューアルバムのWhitney Houston(邦題「そよ風の贈り物」)が彼女にとって最高の作品であり、残念ながら、その後何枚か出たアルバムもこの作品ほどの輝きはなかったような気がします。

 90年代に入るとブラックミュージックはヒップホップが全盛となり、ホイットニーのように朗々と歌うボーカルは次第にチャートの主流から外れていきます。
 映画ボディ・ガードのヒットはあったものの、不幸な結婚生活もあって、アルコール依存や薬物依存の噂は絶えず、ついに完全復活は果たせないまま生涯を終えることになりました。

 以前このブログで Greatest Love of All を取り上げたことがありましたが、これだけでなく、このアルバムは本当に名曲ぞろいです。
 必ず彼女の名は歴史に永遠に輝くでしょう。
 ありがとう。そして安らかに。

2012年2月12日日曜日

良い方向に変化させよう

昨日、三重県尾鷲市にある県立熊野古道センター周辺で開催された東紀州ご当地グルメ大会が大盛況だったようです。
 東紀州(三重県南部の、尾鷲市、熊野市、紀北町、御浜町、紀宝町の2市3町からなる地域)からは9メニューがエントリーされたほか、県内各地のB級グルメも数軒出展し、東紀州の物産展も併催されるなどけっこう大がかりなイベントだったようで、新聞報道では6千人の集客があったそうなので、関係者にとってはうれしい悲鳴だったことでしょう。

 わしは建国記念の日イベントに出かけたため、東紀州ご当地グルメ大会には行けませんでした。なので少し残念に思っていたのですが、Facebookなどをみると、たくさん人が来てハッピーだったという話以上に、イベント開始早々で多くの店が飲食チケットが品切れ状態になってしまったとか、駐車場が満車なうえに誘導も悪くてイライラしたとか、熊野古道センター周辺ばかりか中心市街地の飲食店も満員で入れなかったとか、どうも良くない評判も少なくないことがわかります。

 イベントは一過性ですので、とにかく無事にけが人もなく、食中毒もなく、大きなトラブルなく終了させることで主催者の頭はいっぱいでしょうし、目先のことに奔走せざるを得ないのは無理もないでしょう。
 しかし、後日きっと反省会は開かれるでしょうから、良くない評判も十分に聞き取って、次回への教訓にしてほしいと思います。

 先日このブログで告知した紀北町のB級グルメイベント「紀北ラブめし決定戦」には、、実際にわしも現地に行ったのですが、11時過ぎにはすでにチケットが完売しており、まったくラブめしにありつけないという目にあいました。(なので、告知はしながらレビューができませんでした)
 これは予想以上に来場者が多かったといううれしい誤算ではありますが、わしに「ひょっとしたら来月の東紀州ご当地グルメ大会も同じような感じなのでは・・・?」と疑念を抱かせるに十分でしたし、どうやら本当にそうなってしまったのです。

 イベントの集客予想というのは非常に難しい世界だそうで、当日の天気、交通状況、他の類似のイベントの有無、同じ地域内の他の行事の有無、PRの方法とその手ごたえ、などによって、専門家でも大きく外れることがよくあるそうです。
 しかし、高速道路の全通が1年後に迫る東紀州において、イベントの悪評は影響が大きいことは再認識する必要があると思います。
 当然ですが、集客のスケールが今以上に大きくなります。地域外からもどんどん人がやってきます。その中で、今までのイベントノウハウの積み重ねがどれだけ応用できるものか。
 また、平成25年の伊勢神宮遷宮を控えて、伊勢志摩と南紀を結ぶ観光商品の開発や、観光キャンペーンの導入が進むことでしょう。その状況で、伊勢志摩から東紀州にお客を送り出して、受け入れ態勢は本当に大丈夫なのか、みたいな変な感じにならないとも限りません。

2012年2月11日土曜日

建国記念の日 伊勢奉祝の集いに行ってみた

 今日はある方から誘われて、伊勢市の伊勢シティプラザで開催された、「第46回建国記念の日 伊勢奉祝の集い」に参加してきました。

 わしは自分では政治的には右でも左でもないと思っており、この手の建国記念奉祝会のようなものにも今まで参加したことは全くありませんでした。
 わしが子供の時分には、建国記念の日を祝う民族系の集会と、これに反対する革新系の集会の様子などがよくニュースでも報道されていましたが、最近はほとんどやらなくなってしまったような気がします。

 そのことに数年前から関心があったし、そんなこんなで参加してみることにしたのです。しかし、もちろん、この奉祝の集い自体は純粋に建国記念の日を奉祝するイベントで、政治的、宗教的な目的ではありません。会場には多くの市民や経済人が集まっていました。

 メインは元衆議院議員で弁護士の西村真悟氏の「祖国の復興」と題された講演でした。
 西村氏は「たかじんのそこまで言って委員会」などテレビの時事バラエティー番組にもよく出演されており、民族派の政治家・論客として知られています。今日も西村節が炸裂という感じで、自説を1時間半にわたって熱く訴えておられました。

 あくまで一般市民向けの講演だということもあってか、
・天皇制こそが日本民族の伝統的な国家スタイルであり、それを維持強化することが未来の国民への義務である。
・しかし、太平洋戦争の敗戦によって押し付けられた日本国憲法が、ゆゆしきことに日本の伝統的精神をゆがめている。国民は直ちにこの憲法を無効として、明治憲法の精神に立ち返るべきである。
・諸外国に対しても毅然とした態度をとることが必要で、核武装についても避けずに議論すべきである。
・西郷隆盛は、政治の提要は「文を興し、武を振るい、農を励ます」の3つであると説いた。この言葉を国民は思い起こすべきである。
 といったような内容で、特別に新味がある話ではありませんでした。

 西村氏の説については国民の間にもさまざまな議論があり、軽々に論じることはできません。しかしいくつかの問題提起は、政治的な立場を超えて、重要な視点だと感じました。

 一つ目は、東日本大震災の被災者の冷静な行動です。よく言われるように、諸外国では混乱に乗じた略奪や暴動が必ず起こりますが、日本では起こりませんでした。この精神性には文化的・歴史的な強い背景があることは確かだと思います。
 また、人命救助や復興活動に活躍した自衛隊が違憲状態のまま放置されていることも、日本社会に特有のエモーションであって、何らかの政治的な整理をつけるべきなのも確かである気がします。
 二つ目は、これから目指すべき国家のあるべき姿が、国民の間で明確になっていないということです。西村氏はそれを天皇制に求めるわけですが、すでに経済大国となり、国民の価値観も多様化している現在、国民で共有できる目標は何なのか(そもそも、全国民での共有など可能なのか)という大本の議論は重要だと思います。

 このような気づきの場を与えてくれた、この集いの主催者である伊勢奉祝委員会には感謝したいと思います。

 ただ少し気になったのは、西村氏はおそらく聴衆の受けを狙ってのサービス精神からでしょうが、講演が少しく「脱線」しがちだったことです。このような言説は、日本人の仲間内では許されるのかもしれませんが、国際的な議論や交渉の場では通用しないでしょう。国を憂い、天下国家を論じるなら、それにふさわしい品位は保つべきではないかと思いました。

 日本もこのままの景況が続くと、重商主義的な対外保護政策を望む声が高まったり、国内のものづくりを守るために日本も武器兵器の製造や輸出をするべきだ、といった主張が出てくることは考えられます。 
 その際に求められるのは冷静な議論であるということは再確認しておきたいと思います。

2012年2月9日木曜日

越境EC応援ポータル

2月8日付けの日経MJに、経済産業省が海外向けEC(電子商取引)で中小企業を後押し という記事が載っています。
 越境EC応援ポータルサイトなるホームページを開設し、海外向けECで成功した中小企業の事例や、海外でのトラブル対処に関する情報などを掲載。サイト紹介も兼ねたセミナーを仙台市と大阪市で開催するとのことです。



 ポータルサイトが取り上げている成功例は、

有限会社瑞穂(広島県)
、広島県の特産品である「熊野筆」(はんわし注:三重県の熊野市とは全く別)の製造販売メーカー。化粧筆、水彩画筆等の小売りを2003年から開始し、2008年からは海外向けモールJshoppersを通じて海外にもネットでの販売を開始。海外向け売上は毎年倍増している。

株式会社ストラップヤネクスト(神奈川県)
 携帯電話ストラップを企画・販売する企業で、ネット販売中心にすることで2003年頃から急速に売り上げを伸ばした。当初から海外向け販売も行っており、自社サイトのほか、欧米、中国、インドネシアの海外モールサイトへ出品し、売上が年間数億円に達している。

 などです。

 しかしこれらの成功事例について、このポータルサイトが分析する「成功の秘訣」は、「商品の魅力を伝えるための動画の活用」とか、「ユーザーのクチコミの広がり活用」、「ブログ」などといった、すべて一昔前のテクニックです。
 残念ながらこれは到底信じられないことです。当然ですが何かこれ以外の本質的な成功の理由 ~ホームページそのもののセンスの良さや見やすさとか、画像表示の軽さとか、問い合わせへの迅速で丁寧なレスポンスとか~ が、きっと別にあるのでしょう。
 しかしいずれにしろ、経産省が行った越境EC関連の調査報告など参考になるコンテンツはたくさんあるので、関心がある方はご覧になってはいかがでしょうか。

 それにしても、日本という国のおもしろさは、数年前までは中小企業の海外展開は国内雇用を空洞化させるなどといって否定的だったものが、いったんブームになると猫も杓子も海外展開一色に染まってしまうことです。
 経産省の産業政策はこの20年間、ことごとく失敗の連続なので、にわか海外ブームもこれから多数の失敗事例・撤退事例が現れると一気にしぼんでしまうとわしは見ています。しかしながら情報をよく吟味したうえで、経営者が決意と覚悟を持って臨む海外進出はぜひとも成功してほしいと願いますし、情報提供や調査結果の提供などは国の重要な役割です。
 ただ、3年以上も前にアリババや楽天が中小企業の海外展開可能性に注目し、支援サービスを始めていたことを思い起こせば、これから海外販売に取り取り組もうとする中小企業が後れを取っているのは明らかです。旧倍の情報収集とマーケティングとサービス充実が必要不可欠になるでしょう。

2012年2月8日水曜日

歌謡曲から「昭和」を読む

 歌謡曲の作詞家として数多くの名曲を生み出し、現在は小説家やテレビのコメンテーターなどとして活躍している、なかにし礼さんによる昭和歌謡史です。(NHK出版新書)

 わしのような40歳代(1960年代生まれ)は、子どもの頃のテレビは歌番組の全盛期であり、男女の情愛を描いた歌詞の内容などよくわからないまま、いろいろな歌謡曲を口ずさみ、自然にアタマに刷り込まれていった世代でもあります。
 なので、本書に出てくる、特に昭和45年以降の歌手やヒット曲の多くは、ほぼリアルタイムで体験しているので懐かしく、面白く、一気に読了することができます。

 なかにしさんの定義によれば、歌謡曲とは「ヒット(流行)を狙って売り出される商業的な歌曲」の総称です。

 したがって、「いかに素晴らしい名曲でもヒットしなければ何の価値もなく、自分はひたすらどうすればヒットするかだけを考えて作詞してきた」のであり、
 「歌謡曲は流行が目的なので、日本民謡や西洋民謡・西洋古典音楽・ジャズなどのごった煮(融合)であって、‘演歌’とか‘ニューミュージック’とか、はては‘軍歌’などといったジャンル分けには意味がない」のです。
 そして、全国民が等しく口ずさむ共通プラットフォームとしての歌謡曲は昭和の終焉とともに使命を終えており、平成の今、もはや歌謡曲は存在しないのだ、と結論付けます。
 文化論として興味深く示唆に富む考察です。

 特に、はんわしにとって興味深かったのは、なかにしさんが現場から観察した「ヒットを生む仕組み」の変遷についてです。
 先ほど「軍歌」は歌謡曲であるというなかにしさんの言説に触れましたが、軍歌は国民の戦意を鼓舞するために、ヒット(=全国民に膾炙すること)が宿命づけられています。
 当時一流の作家(作曲家・作詞家)が楽曲を提供し、一流の歌手が歌う。これゆえに軍歌は「軍国歌謡曲」と呼ぶべきものであって、実は「ヒット曲を生み出すための定石」が戦時中のこの時代に成立します。

 戦後、この手法はレコード会社の専属作家制度に引き継がれ、美空ひばりさんや石原裕次郎さんのような大スターを多く生み出しました。しかし、次第に専属制度は硬直化し、クリエイティブな歌謡曲作品が生み出されなくなってきます。
 代わって昭和30年代に台頭してきたのが音楽出版社制度です。作家はフリーになり、自由に作った楽曲を音楽出版社が認めると、その企画をレコード会社に持ち込んでレコード化するものです。テレビ放送が本格化したことも重なって、フリー作家・出版社・レコード会社のトライアングルにより歌謡曲は全盛期を迎えます。坂本九さん、ザ・ピーナッツといった歌手たちの登場です。
 やがて、GSブームや、フォークソングの流行、ニューミュージック、J-POPなど新しいスタイルは次々出てきますが、これらはすべて出版社制度の延長であり、アバンギャルドをウリにした歌謡曲に過ぎないというのがなかにしさんの見立てです。

 しかし、平成に至ってとうとう歌謡曲は終焉を迎えます。
 CDの登場という技術革新と、マスから個への社会の変質です。このあたり非常にエキサイティングな分析が続きますので、ぜひ本書を読みください。

 余談ですが、「スター誕生」とか「君こそスターだ」などの一世を風靡したオーディション番組も、成り立ちが種明かしされています。
 なるほど、世間ってこういうことだったのか、なんて再発見したのでした。 

(補足)
 軍歌・軍国歌謡曲については、山中恒さんによる「ボクラ少国民と戦争応援歌」という非常に優れたエッセイが朝日新聞社から出ています。こちらもおすすめです。

2012年2月7日火曜日

Candy Japanが面白い

わしのきわめて貧しい海外体験でも、日本のコンビニやスーパーで売っているスナック菓子とか駄菓子が現地のそれに比べて、いかにおいしく、見た目も美しく、清潔か、という全般的な品質の良さは再認識せざるを得ませんでした。
 これは外国から日本に来た観光客や留学生なども異口同音に言うことで、「おっとっと」とか、「ポッキー」とかのスナック菓子にハマっているという外国人は多いようです。

 このようなことは普段なかなか気が付きませんが、日本のキャンディー(もちろん飴の)に注目し、月2回定期的に日本から海外の個人消費者向けに輸出(頒布)をしている Candy Japan なる面白いビジネスがあります。

 GIGAZINEによると、このサービスを始めたのはフィンランド出身のBemmu Sepponenさん。ビジネスモデルはインターネットで購入希望者を募り、月額24ドル(約1800円)を払うと、月2回、日本のキャンディの詰め合わせが送られてくるという、個人輸出に毛の生えたような非常にシンプルなものです。
 しかし、半年で3万6000ドル(約276万円)、純利益を6000ドル(約46万円)も稼ぎ出したということです。



 リンクはこちら 
 → 日本のキャンディを月2回発送する「Candy Japan」が利益を上げるまで

 日本でも国内市場の成熟化が進んでいます。中小企業も海外進出を考えるべきだというのは一理ありますが、何も大がかりなものではなく、成熟市場で通用している優れた日本のアイテムを海外の消費者に売るというマイクロビジネスも、十分に成立する可能性があるということではないでしょうか。

■Candy Japan ホームページ(英語) http://www.candyjapan.com/

2012年2月6日月曜日

フランチャイズもありだと思う

行政の「商工政策」という立場からは、中小企業がロイヤリティを払うことと引き換えに、商標やノウハウ、ネットワークを使って新しい事業展開に取り組む、いわゆる「フランチャイズ」(正確にはこれを「フランチャイジー」と呼びますが。)に対しては、実はあまり積極的ではありません。

 これは、フランチャイズの本部(フランチャイザー)から、新規事業に必要なノウハウなどはすべて提供してもらえるので、あとはフ ランチャイジーの努力によって顧客を開拓し、商売を軌道に乗せていくだけだという、極端に言えば「簡単なビジネス」だと思われているフシがあるからです。
 実際に、公的支援制度の中核である「経営革新支援制度」においても、フランチャイズ方式は「すでに相当程度普及している販売やサービス提供 の方式である」とか、「自らの企画立案による、独自性のある取り組みではない」と判断されてしまい、ほとんどの場合は承認を受けることが難しいようです。

 しかし、フランチャイジーとなってビジネスを興すことは本当にそんなに簡単なのでしょうか?

 現実にはフランチャイズ契約はピンからキリまで様々なものがあって、自己資金も少なく、ごく簡単に起業できるものも確かにあると聞きます。
 しかし反対に、一流のフランチャイズ本部から認められるには、受け手であるフランテャイジーも一流でなくてはなりません。自分たちの努力と経営実績が認められたからこそ望ましいパートナーとフランチャイズ契約ができ、それがさらに大きな飛躍につながったという事例も少なくありません。

 たとえば、四日市市を本拠として全国にビジネスホテルを展開している(株)グリーンズ
 三重県内の主要都市ではグリーンホテル、シティホテルなどの業態ですが、全国ではコンフォートホテル、クオリティホテルなどの名称で展開しています。
 これはアメリカのグローバルホテルグループ「チョイスホテルズ」とのフランチャイズ契約によるものです。
 聞くところでは、外資系ホテルの日本進出は、高級ホテルの「ヒルトン」や、シティホテルの「ホリデーイン」などはフランチャイズ展開が先行していましたが、ビジネスホテルに関してはなかなか成功例がありませんでした。
 そこで日本進出を強く希望押していたチョイス側が、東海地域で着実な事業実績を持っていたグリーンズに興味を持ち、その実力が認められて日本でのコンフォートホテルの運営をフランチャイジーとしてグリーンズが行うことになったという経緯だそうです。
 これは、いわば業務提携型の戦略的なフランチャイズと呼べると思います。

 また、フランチャイジー専門としてユニークなビジネス展開をしている(株)コイサンズ
 宅配ピザ、レストラン、喫茶店、居酒屋などの外食分野に特化し、さまざまなフランチャイズのフランチャイジーとして三重県と近県を中心に多くの飲食店を運営しています。
  一見「何でも屋」のように誤解されそうですが、外食に共通する多様な経営ノウハウがコイサンズ本部には集中しているはずで、フランチャイズ契約の活用に よって(考えようによっては)県内でも最強の外食複合事業体に成長しています。これも戦略的なフランチャイズと呼べるでしょう。

 このような業務提携型、あるいは戦略的なフランチャイジーも確かにあり、その活用によって意欲的に事業展開に取り組み、業績が拡大している中小企業があることは十分認識が必要だと思います。

■グリーンズホテルズ オフィシャルサイト  http://www.greens.co.jp/

■コイサンズ 公式サイト  http://www.koisans.co.jp/

■ザ・フランチャイズ(フランチャイズ契約についての情報が充実)  http://frn.jfa-fc.or.jp/

2012年2月5日日曜日

伊勢市伝統工芸シンポジウムに行ってみた

伊勢市などが主催する「伊勢市伝統工芸振興シンポジウム」が皇学館大学で開催されたので行ってきました。
 伊勢市は言うまでもなく伊勢神宮の門前町として発展してきた経緯があり、神事に使われる神具や、神職が使用する浅沓、和紙などの道具類、参宮客の土産物として用いられた玩具、神棚、一刀彫、根付、生活用品であった漆器などのさまざまな伝統工芸品がある街でもあります。
 しかし、神具など特殊な用途の物はともかく、時代の流れと共に多くは産業としては衰退し、小規模な家族経営や個人の職人・作家といった人たちが技術を今に伝えています。

 一方で、伊勢神宮が20年に一度建て替えられる「式年遷宮」においては、神様に奉納される、神宝や装束もすべて新しく作り変えられますが、これらは古来からの材料と古来からの製法が厳守され、20年前のものと全く同じコピーが作られるという、きわめてユニークなやり方が今に伝えられています。
 神宝、装束とも、遷宮のための調製に従事するのは現時点で最高の技術を伝承している一流の職人たちです。中には人間国宝のような方々も多数従事しており、必ずしも神宝すべてが伊勢の地で調製されているのではありませんが、オールジャパン級の伝統工芸の粋が伊勢には集まっているわけです。


 会場の皇学館大学では、神具、木彫り、家具、陶芸、染織、さらに掛け軸、笛、玩具、根付、伊勢春慶など伊勢の伝統工芸品の展示も行われており、素晴らしい技術の数々を目の当たりにすることができました。


 シンポジウムは、奈良国立博物館学芸部長の西山厚氏による「美術工芸の伝承と再生」と題した基調講演があり、それに続いて、伝統工芸の作家、その売り手などの立場から5人のパネリストによるパネルディスカッションがありました。鈴木健一伊勢市長もパネリストの一人として参加していました。


 伝統工芸品産業の活性化は、古くて新しいテーマです。消費者の生活様式が完全に変化しているので、芸術作品というレベルとは別に、産業として生き残ろうとすれば、消費者に受け入れられる洗練された製品を作って提供すること、さらに、消費者の潜在的なニーズを掘り起こし、伝統工芸の手法を応用した新しい製品を作って提供すること、の2つしか方法はありません。
 パネリストの作家の方も、技術を守り伝えていくことは当然だが、作家は常に新しいことにチャレンジし少しでも前に進まなくてはならない、という趣旨のことを言っておられました。

 問題は、むしろ、マーケティングとかプロモーションの部分だと思います。売り手の代表としておかげ横丁の運営会社の方が出ておられましたが、その方が言うには、工芸品の売り上げは世間で思われているよりずっと多いもので、消費者にやずらぎを与えるような魅力的な伝統工芸品は、まだまだ販路拡大の余地があるとのことです。

 以前、わしも三重県の地場産品・伝統工芸品とネットショップ大手とのマッチングを画策したものの、結局果たせなかったという残念な経験があります。岐阜県が数年前から取り組んでいるように、ネットを使って海外のマーケットに魅力をアピールし、販路を拡大していくという試みが、伊勢でも参考になるのではないかと思います。

2012年2月4日土曜日

がんばっぺ フラガール!

 伊勢市にある名画座(と言ってよいと思います)の進富座で「がんばっぺ フラガール!」を見てきました。
 
 戦後復興を石炭の採掘によって支えた鉱山は、エネルギーの石油転換が進むと次々閉山を余儀なくされます。福島県いわき市にあった常磐炭鉱もその一つでした。
 鉱山の街であったいわきにとって、それに代わる新しい産業を生みだすことは急務でした。熟慮の末に石炭会社が下した決断は、石炭とは全く違うレジャー産業での生き残りでした。そして「常磐ハワイアンセンター」(現スパリゾートハワイアンズ)をオープンさせます。
 その実話は映画「フラガール」で有名になりましたが、この「がんばっぺ フラガール!」は、東日本大震災で被災し営業不能となったスパリゾートハワイアンズの経営者・従業員と、ダンスを披露する場を失ったダンサーたちが営業再開に向けて奮闘する姿を描いたドキュメンタリー映画です。

 映画の中では、スパリゾートハワイアンズ総支配人の下山田さん(地震にあったのは支配人に就任してわずか3か月後だったそうです)と、ダンスチームのサブリーダーを務める大森梨江さんの二人に焦点が絞られ、それぞれの活動の様子を日を追って記録していきます。
 特に大森さんは、ご実家が福島第一原発から2kmの双葉町出身で、家族は千葉に仮住まい。スパリゾートハワイアンズにとっては創設以来の試みとなるフラガールの全国巡業の忙しいスケジュールの合間、防護服を着て実家に一時帰宅する様子も生々しく描かれています。

 わしは知らなかったのですが、一時帰宅する住民の方々が来ている防護服(タイベック)やマスク、ゴーグルなどはすべて住民が自分で買いそろえなくてはならないそうです。こんなのは行政機関とか東電が無料で支給してくれるものだと何となく思っていたので、ちょっとショックでした。
 推測ですが、被災者にとって生きるか死ぬかの瀬戸際である補償交渉なんかも、行政や東電はきっと万事こんな調子なのでしょう。やりきれません。

 大森さんたちに許された自宅滞在時間は2時間。4月に避難命令が出てから4か月ぶりに帰宅すると、雑草は生え放題、余震で室内はめちゃめちゃで、変わり果てた故郷の姿に絶句している姿が何とも痛々しく感じました。
 それでもステージでは笑顔を絶やさず、観客に元気を与え続けている姿勢には敬服せざるを得ません。素晴らしい方です。
 サイドストーリーとして、避難時に生き別れになったペットとの再会とか、フラガールに隠れがちですが、ファイヤーナイフダンスを踊る男性ダンサーの話なども出てきて、非常に考えさせられる映画です。
 最後のシーンの、昨年10月のスパリゾートハワイアンズの営業再開。そして700名もの観客に見守られながらのフラガールの震災後初めてのステージの様子は涙ものです。



 わしも含め、西日本に住んでいる人間は、正直な話、東日本大震災の衝撃は薄れつつある人が多いと思います。しかし、まだまだ復興には時間がかかりそうです。
 個人でできることには限りがありますが、せめて風評に陥ることなく、東北への旅行や、産品の購入などで支援すべきだということを再認識しました。

 がんばっぺ フラガール!は伊勢進富座で2月9日まで上映されています。

■伊勢進富座ホームページ  http://www.h5.dion.ne.jp/~shintomi/

■がんばっぺフラガール!公式ホームページ  http://ganbappe.j-cqn.co.jp/index.html

2012年2月3日金曜日

国籍不問・通年採用という「採用イノベーション」

 ユニクロを展開するファーストリテイリングが、新しい新卒者採用の制度を発表しました。

 4月の一括定期採用を廃止して通年採用とし、学生の国籍は不問で留学生でもエントリー可能。
 さらに、大学1年生や2年生でも事実上の内々定を得ることが可能となる制度だそうです。
 学生には、内定までには必ずユニクロの店舗でインターンシップを行うことが義務付けられ、お互いが仕事の内容や適正・能力を見きわめたうえで最終的に採用の可否が決められるとのことです。

 ユニクロは日本のアパレル製造小売り分野ではいち早くグローバル展開を進めており、一昨年前に社内の重要会議を英語で行うことに決定したことも記憶に新しいところです。

 今、日本の国内市場が「縮小」しているという理由で海外での市場開拓を目指す企業が増えています。海外展開における重要なファクターは間違いなく「人材」であり、ユニクロ並みに徹底的に今のやり方を変えて、優秀な人材を確保する作戦に打って出ないと、海外ビジネスの成功など到底おぼつかないということなのでしょう。

 多くの識者が、中小企業が今から取り組む海外展開はほとんどが失敗すると厳しい指摘をしています。これは、まず「製品やサービス」といった商品ありきで、それをどういう仕組みで提供して、どういうやり方で資金回収するのかというビジネスモデルや、どう経営資源を投入するのかというロジスティック思考が弱いという、日本の組織の(悪い意味での)伝統によるものだと考えられています。
 人材はその最たるもので、グローバル展開に必要な人材をヘッドハンティングするのか、自前で育てるのか、自前で育てるのだとしたらどうやって、いつまでに、どこまでのレベルを育成するのかのビジョンをはっきり持っている中小企業は非常に少ないのではないかと思います。

 終身雇用、年功序列、企業別労働組合という日本的労働慣行の基礎となっていたのは「新卒者の一括定期採用」というシステムです。ユニクロのやり方は、これを破壊しつくすものであって、その先には今まで日本社会が体験してこなかった全く新しい地平が開けていることでしょう。
 しかし今の日本に必要なのは、既存のフレームを変えていく(というより、新しいフレームを構築していく)というイノベーションなので、この意味では「採用イノベーション」とでもいうべきものになるのかもしれません。

 余談ですが、日本の主要大学の入学時期が9月になり、卒業時期が8月となると、仮に多くの企業が4月採用を続けるとしたら、その間の空白(ギャップターム)に学生の国民年金とかの負担はどうなるのでしょうか?
 学生はその半年間収入がないので、親の持ち出しになるのも大変だと思うのですが。

2012年2月2日木曜日

CSRは21世紀最強の経営戦略

 今日はCSRをテーマにしたセミナーに参加してきました。非常に有意義でしたのでレビューします。

 御承知のようにCSRとは、コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティの頭文字をとったもので、「企業の社会的責任」と訳されています。
 企業は、単に利益を追求するだけの存在ではなく、寄付やボランティア活動といった社会活動や社会課題の解決といった「社会的な責任」を果たすことも期待されるようになってきています。
 これは日本だけでなく、世界的にコンセンサスを得ているムーブメントであり、環境や持続可能性がキーワードとなり、価値観の変革が求められている中で、現在の停滞した社会状況や経済状況を打開する大きなヒントになるものと考えられています。

 今日のセミナーは日本で唯一のCSR季刊誌であるオルタナの編集長 森摂氏。
 その知見と経験から、CSRに関してよくある4つの誤解や、CSRに立脚した企業経営の3つのメリットをわかりやすく解説していただきました。

 ちなみに4つの誤解とは
・当社はすでに多くの雇用をし、納税もしているのでCSRなど不要だ。
・当社は本業そのものがCSRであって、これ以上のCSRは必要ない。
・当社は本業に余裕がないのでCSRなどに予算はさけない。
・CSRは大企業の問題であって中小企業には関係ない。
 というもの。これがすべて誤解であることを実例も引用しながら説明していただきました。

 また、CSR経営の3つのメリットとは、従業員満足の向上(社員が元気になる)、顧客満足度(顧客が喜びリピーターになる)、社会満足度(社会から信頼される)のこと。
 このあたりは、先日のブログにも書いた「経営品質向上活動」にもつながる思想があると感じます。

 そのうえで、森さんは「CSRは21世紀最強の経営戦略である」と説きます。
 特に今の日本に求められているのはコスト勝負の労働集約型の産業でなく、対人サービスや高度で専門的な知識や技術を使った高付加価値型の産業です。
 これらでは社内でのミッション共有と、社員のモチベーションアップが大きな差別化要因になります。社会に貢献し、社会から必要とされている企業や組織で働いているということが社員のプライドを高め、さらなるモチベーションアップにつながり、ビジネスにも好影響を与えるということです。
 非常に重要な着眼点だと思います。

 ただ惜しむらくは、今日のセミナーは入門編でかみくだいたお話が中心だったので、「中小企業がCSRに取り組みたいと思った時、だれが相談相手となって、支援したり伴走者役を務めるべきか?」とか、「行政によるCSR支援はどこまで必要か?(あまりに行政が介入すると、かつてNPO創成期に見られたように行政がNPOを別働隊として利用しようとしてくる)」といった実務的な話題まで発展しなかったのが少し残念でした。

 余談ですが、三重県は実は日本におけるCSR先進地でもあります。サスティビナリティ志向を培う検定試験である「CSR検定」の会場は国内で3カ所。東京、大阪、そしてもう一カ所が三重県松阪市なのです。(リンク NPO法人Mブリッジ CSR推進チーム

2012年2月1日水曜日

尾鷲市の須賀利巡航船が廃止へ

 三重県尾鷲市の尾鷲港と、同市の飛び地である須賀利(すがり)町を結んでいる第三セクターの定期巡航船航路が、今年9月いっぱいで廃止される見込みであることが各紙に報じられています。

 読売新聞(読売オンライン)によると
 須賀利地区は人口298人で、65歳以上の高齢者が70・5%。1982年に紀北町を経由する県道が開通するまでは、市中心部からは尾鷲港からの巡航船が唯一 の交通手段だった。
 自家用車の普及と過疎化で巡航船の利用者は減り続け、昨 年の1日当たりの乗客は11人と、97年の4分の1に激減、赤字経営が続いている。
 巡航船の代わりにバスを運行することの賛否を町内の全153世帯に確認したところ、賛成98世帯、反対48世帯となり、同地区は1月31日、巡航船を廃止してバスを運行するよう市に要望する方針を固めた。
 とのことです。

 記事にもあるように須賀利は長らく「陸の孤島」であったがゆえに、古き良き昭和の漁村の風景が今も色濃く残っており、朝日新聞社が選定した「にほんの里100選」に選ばれているほか、貴重な自然環境である須賀利大池が国の天然記念物に答申されるなど、その魅力が静かなブームになっています。

 しかし巡航船は一日4往復(日曜日は運休)であり、観光客は利用しずらいほか、荒天による欠航や、船自体の老朽化もあって、航路の存続についてはかなり以前から厳しいものがあると考えられていました。

 地元の区長さんも「ずっと、巡航船とともに暮らしてきたので、個人的には廃止は寂しいが、致し方ない」と話しており、まさに苦渋の決断だったことがうかがえます。

 三重県内では、平成12年に南伊勢町(旧南勢町)の五カ所湾内の五カ所浦、迫間浦、礫浦、相賀浦などの集落を結ぶ巡航船航路が、やはり利用者の減少によって廃止されています。

 時代の流れとはいえ、やはり一抹の寂しさを感じざるを得ません。
 地域外の人にとって、須賀利の巡航船に乗る機会はなかなかないとは思いますが、道路が整備されて国道42号の分岐点からは30分ほどで行くことができますので、須賀利にぜひ一度訪れてみていただくことをおすすめします。できれば、土産物の一つでも買ってもらえれば、地域を支援することにもつながるはずです。

■“風待湊”須賀利に巡航船で出かけませんか?(熊野古道伊勢路友の会 情報誌 平成20年7月15日 第24号)
 http://higashikishu.org/pdf/isetomo20-7-15.pdf
 なお、このブログ左上に張り付けた写真は、この情報誌から転載させていただきました。

■須賀利大池を国天然記念物指定に答申(2011年11月19日)
 http://hanwashi.blogspot.com/2011/11/blog-post_19.html