2012年4月30日月曜日

史上最悪のバス事故と「市場の失敗」

4月28日土曜日の夜は、わしの大好きな「ローカル路線バスの旅」(TV東京系)が放映されました。レギュラーコンビの田川陽介さん、蛭子能収さんと、ゲストのいとうまい子さんの三人が、四国は香川県の高松駅前から三重県伊勢市の伊勢神宮内宮前までを、路線バスだけに乗り継いで旅するもの。
今回は特にわしの地元が目的地であることもあって2時間楽しめましたし、そのことを書こうと思っていたのですが、その矢先、4月29日には群馬県内の関越自動車道で、金沢から東京ディズニーランドを目指していた大型観光バスが道路の側壁に激突し、乗客7名がお亡くなりになるという大惨事が起こってしまいました。
警視庁によると、高速道路で起きた単独事故としては最悪の犠牲者数であるとのことで、わしも浮ついた気持ちがなくなってしまいました。被害に遭われた方には心からお見舞い申し上げたいと思います。

さて、今回事故を起こした観光バスは、いわゆる「ツアーバス」というもので、一般的な高速夜行バスが「路線バス」であって、バス会社が不特定多数の乗客を相手に、決まったルートを決まったダイヤ運行しているのとは違い、旅行会社が日程やルートを企画して参加者を募り、バスの運行はバス会社に委託するという方式で実施されたものです。
以前はバスやタクシーへの新規参入は非常に厳しい規制があったのですが、社会の声の強まりによって平成12年度に規制緩和が行われ、ツアーバスへの新規参入が容易になったという経緯があります。
路線バスの会社は一般的にその地域での名門企業(大企業)が多いのに対して、ツアーバスは新たなビジネスチャンスともくろんだ、比較的小規模な旅行会社やバス会社・レンタカー会社の参入が多く、多様で安価なツアーがたくさん提供されるようになって消費者の利便性が向上した一方で、小規模企業ゆえに運転手の確保がままならず、十分や休息が与えられないまま長時間運転に従事し、その結果、重大な事故を起こしてしまう事例も多発しています。

いかなる産業活動であっても、新規参入が多く、新陳代謝が活発でないと成長はありません。価格やサービスの健全な競争も生まれず、新たなサービス創造も起らないため、その産業分野全体が停滞してしまいます。なので、一般的に考えるとツアーバス分野における規制緩和も経済厚生を高めるものだと評価できます。

問題なのは、新規参入が増える一方で、競争に敗れた事業者の退出は進まず、供給過多による過当競争が起こっていることです。経済学の基本では、自由競争が起こると需要と供給は必ず一点のバランスで均衡するはずですが、実際にはいったん新規参入すると、設備投資や雇用が生じているので、なかなか事業を止めることはできません。売り上げを確保するために価格を安くして(時には採算割れのダンピング競争までやって)操業を継続する持久戦の構えになります。このことが結果的に事故の遠因となります。

今回のような事故が起こると、必ず「監督官庁がしっかり業者を監督していなかった」から起こった「人災」だという声が起こります。法律上は国などに監督責任があるのは確かでしょうが、現実的には何百何千とある全国のバス事業者の日常業務を役人が管理監督することなど不可能です。なので、マスコミなどによる建前的なバッシングが本格化すると、行政は規制を強化することで事態を収拾しようとします。
事業者には必ず国の外郭団体の講習を修了した監督責任者を置かせる、とか、事故や倒産に備えた法定準備金の上限額を引き上げる、とか、営業日報の保存期限を倍に延長する、とかの事務作業が増え、場合によっては国の需給計画で供給不足が生じるまで新規参入や事業拡大は禁止する、などという「行政指導」が行われたりします。
このことが、必ずしも全体の経済厚生を高めないというのは、もう繰り返しません。

事故は不幸なことですし、過酷な労働実態も労働者の生活を収奪するものです。許されることではありません。しかし、いちいち国の責任を問い、国が規制に乗り出さざるを得ないような状況を作ることは、国民全体の利益にはなりません。ツアーバスも大多数の事業者は適正に活動しているのであって、いたずらに阻害することになっては逆効果です。
情緒的になることなく、冷静に、まずは事業者自身が「民の力」で自主的・自律的に対処できる方法を探し、実行すべきです。

国の役割ももちろんあります。
ツアーバスのようなサービス業は、コンテンツが目に見えず、生産と消費が同時に行われるため、消費者は実際にそのサービスを受けてみないと質の良し悪しが分かりません。
その不安を打ち消すためには、サービス業者の「評価指標」を国などが公平中立な立場で示し、その評価結果を(評価そのものは行政がやる必要はなく、評価項目や評価方法さえ客観的に決めれば、評価は民間でやればよい)公表する仕組みを作るのです。
質の低い事業者の退出を促す仕組みは行政主導でしかできないことであり、消費者を保護し、サービス産業を発展させる意味でも大事なのではないかと思います。

2012年4月27日金曜日

日本ではなぜ小売業の人気が低いのか

今日の朝刊各紙には、大手スーパー イオン の全面広告が入っていました。

4月12日、イオンは2012年2月期連結決算を発表しましたが、これによると売上高は前期比2.1%増の5兆2061億円、営業利益は13.5%増の1956億円となって、営業利益は過去最高となったとのことです。

今回の広告も、そのこと(小売業売上日本一)を強調しており、それにあやかったキャンペーンが紹介されています。

もっとも、この決算は、ライバルであるセブン&アイ・ホールディングスの売上高(4兆7800億円)は大きく上回っているものの、純利益はイオン667億円に対して、セブンアンドアイは1298億円となっており、収益力には依然大きな差があることも報じられています。(msn産経ニュース 4月12日付け

ところで、先日のブログでイノベーションのきっかけとしての「ビジネス・インサイト」のことを書きましたが、岩波新書の「ビジネス・インサイト」(これは本当に名著。産業振興関係者は必読。)の著者である石井淳蔵流通科学大学長が、プレジデント・オンラインの連載“実践ビジネススクール”の中で、「小売業はなぜ米国で人気が高く日本では低いのか」という興味深いテーマを掘り下げています。(リンクはこちら

昨年10月、中内学園リテール科学研究所により開催された、小売りの産業化をテーマにしたシンポジウムにまつわる内容なのですが、このシンポジウムのパネラーはセブン&アイ名誉会長の伊藤雅俊氏、イオン名誉会長の岡田卓也氏、ライフ創業者で現会長の清水信次氏、アークス(北海道)社長の横山清氏という、まさに錚々たる顔ぶれです。

小売業は日本経済全体に占める割合が販売高で(対GDP比)5%強、全就業者に占める就業者数も12%にのぼり、今や日本の主力産業といえます。しかし、パネラー4氏には「わが国小売業は、これだけの存在感を持ちながら、社会からそれにふさわしい評価や共感が得られているか」という問題意識があったそうです。
アメリカのフォーチュン誌が毎年公表する「もっとも働きたい企業100」では、今年のベスト10に小売企業が3社入っています。100社では18社がランクインしているなど、アメリカでは小売業の人気は高いのです。
一方、日本では日経新聞の2011年就職企業人気ランキングでの上位10社のうち8社が保険や銀行等金融機関。小売業は08年のランキングにまでさかのぼって、やっと75位に伊勢丹が1社入るだけで、若者の不人気が日米で際立っているのです。

この差はどこから生まれるのかという考察は大変面白いので、ぜひコラムをお読みいただきたいのですが、日本のスーパーの多店舗展開マネジメント力や生鮮品の鮮度管理技術、多頻度小ロットのロジスティック、きめ細かく親身なサービスは、まさに日本人の繊細さや真面目さに由来した「日本の小売業に独自の強み」なだけに、製造業に代わる主力産業として海外で成長していくためにも、優秀な若い人材が小売業にもっと目を向けてもらいたいと思います。

三重県は江戸時代、近江商人と並ぶ「伊勢商人」を輩出した流通の地であり、商人のDNAが色濃い土地柄です。
イオンの前身の一つは、岡田会長が社長を務めた四日市市の岡田屋呉服店であり、三重県はいわば創業の地なのです。

このご縁を生かして、大学生や創業希望者がイオンで就業体験し、就職したりスピンオフしたりするような、現代の伊勢商人を育成する仕組みが三重県内で展開できないものでしょうか?

(参考)
なぜ小売業はダメなのか(2009年10月10日)

2011年版中小企業白書に「尾鷲市」が (2011年7月8日)

2012年4月26日木曜日

高速道路 海山~尾鷲間を走ってみた

1月17日付けのブログ「高速道路「海山~尾鷲北」間が3月開通! 」でも書いたように、今年3月20日、紀勢自動車道の海山IC(三重県紀北町)と尾鷲北IC(三重県尾鷲市)の間、6.1kmの区間が開通し供用を開始しました。
紀勢自動車道の現在の終点は紀勢大内山ICであり、本来ならそこから終点である尾鷲北ICにつながるのですが、今回はその途中区間が暫定供用されたものです。

先のブログでは
しかしながら、尾鷲北ICは、以南の幹線である国道42号からやや離れた場所にあるため、ICから下車後、アクセス道路を通って市街地に出るには、所要時間は現状とほぼ変わりはないと思われます。
と書きました。

そして、先日、初めてこの区間を実際にクルマで走る機会がありました。走りながら写真を撮るわけにもいかないので、どんな感じなのかはこちらの動画を参考にしてください。



2車線の対面通行であり、かつ、この区間のほとんどはトンネルなのですが、実際に走ってみると広々していて、非常に快適にドライブできることに正直言って驚きました。

これまで海山地区と尾鷲市は国道42号の「馬越峠」で結ばれていましたが、けっこう険しい道で、急カーブが連続する勾配のきつい坂道です。
それが高速道路だとほとんどフラットなうえにきついカーブもありません。(もちろんICの入口は360度のぐるっとまわる曲線ですが。)

実際に尾鷲市で何人かの知り合いの方に聞いたところ、やはり最初は所要時間は国道とあまり変わらないだろうと思っていたものの、実際に走るとあまりに運転がラクなので、もう国道の馬越峠は走る気にならない、という声がほとんどでした。

この区間は、小泉内閣時の道路公団改革で新しくできた「新直轄区間」として建設されているので、通行料は無料です。
ゴールデンウイークには東紀州(三重県南部の、尾鷲市、熊野市、紀北町、御浜町、紀宝町の2市3町からなる地域)や南紀にある熊野古道、熊野三山(熊野四山)や温泉を訪れる方も多いことでしょう。
ぜひ高速道路を活用されてみてはいかがでしょうか。ドライブが好きな方は、国道42号と走り比べてみるのも面白いと思います。区間が短いし、なにより無料なので、交通の変遷が実感できるのではないでしょうか。

(関連リンク)
熊野古道とかは、もういいです・・・という人への東紀州ガイド (2011年4月29日)

ジャンクションぐるぐる (2012年4月23日)

2012年4月25日水曜日

起業支援の補助金は有効か?

AGARA紀伊民報が、起業を目指して和歌山県内に移住する青年が増えていることを受けて、和歌山県が移住者の起業を支援する補助金を新設したと報じています。(4月25日付け

この記事によれば、この補助金は、
・県外から移住推進12市町(田辺市(旧田辺市街地除く)、白浜町(日置川地域)、すさみ町、新宮市(熊野川地域)、那智勝浦町(色川地域)、古座川町、串本町など)の支援で移住する50歳未満の個人で、10年以上定住する意志がある人が補助対象
・また、U、Iターンは問わないが、今年4月1日以降の移住者であること。
・農林水産物や伝統文化、自然環境などの地域資源を生かした起業に最大100万円を支援する。 また、農林水産業で県の要件を満たして独立経営する移住者に最大50万円を補助する制度も設けた。
・8月末まで計画を公募しており、審査で最大10件を選ぶ。
とのことです。

和歌山県では田舎暮らしを支援する県の事業が始まった2006年度以降、自治体の窓口を通じた移住者は254世帯470人にのぼっており、11年度は最多の65世帯109人で、昨夏の台風被害後も問い合わせは多いとのこと。
年代別では30代が最も多く3割を占め、20代も1割いるそうですが、移住の課題となるのが「仕事」と「住居」で、就職先が少なく、青年層は起業資金も限られることが補助金制度設立の理由のようです。

さて、では実際に起業した人のニーズや意識はどうなのでしょうか。
経済産業省中小企業庁が毎年公表している中小企業白書の2011年版は、我が国における起業の実態を特集していますが、この中で起業者を対象に実施した、起業した動機や起業した形態などのアンケートが掲載されています。起業時の課題については下のグラフのようになっています。


これによると、各課題の中で、実際に資金調達(左端)を挙げる割合が最も高いことがわかります。
しかも、これは「創業時の課題」(赤ドットで着色部分)であって、「創業後の課題」(黄色ドットで着色部分)では、大きく後退していることがわかります。(中小企業白書の該当部分へのリンクはこちら

したがって、和歌山県のこの補助制度もニーズに応えているのは確かです。一般的に創業時の資金はなるべく自己資金を多くするということが定石なので、預貯金や親類縁者などからの借り入れなどに加えて補助金が100万円あれば、開業は楽になるでしょう。

しかし、気を付けなければならないのは、創業後の運転資金の確保のほうです。
原材料の仕入れや人件費の支払いなどの日々の事業に必要となる現金のことです。
起業を果たし、事業が順調に軌道に乗ってきた時、あるいは売掛金の回収が何らかの理由で遅れた時等に十分な運転資金がないと、経営は行き詰ってしまいます。多くの起業支援者が指摘するように、運転資金の重要性を自覚せず、十分な準備もしていない起業者は決して少なくないのです。

和歌山県統計年鑑(平成23年刊行)によると、 和歌山県の2009年度の人口は100万5710人(国勢調査推計人口)。うち、転入者が22470人。転出者が30099人となっています。転出超過傾向の中で100人程度のU・Iターン者は貴重とも考えられ、総額1000万円の補助金で起業を支援することも意味がなくはないのかもしれません。
スタートアップの時だけのバラマキにならないよう、県には事業継続のためのフォローと運転資金のための融資や投資の制度充実をぜひ忘れずにお願いしたいと思います。

2012年4月24日火曜日

モクモクというイノベーション

次回、4月26日放映予定の「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)で 伊賀の里モクモク手づくりファーム が取り上げられるようです。(リンクはこちら
わしは仕事柄、「三重県のスゴい中小企業を教えてほしい」とか「三重県でユニークな取り組みをしている企業を教えてくれ」と聞かれることがあるのですが、三重県でもっともすばらしい企業は、間違いなく、このモクモクだと思います。

モクモクは伊賀市で養豚の農業生産法人として1983年、JAを脱サラした木村修社長と吉田修専務が中心となって創業し、1987年からは豚肉のほかハム、ソーセージの生産も開始。
1995年には観光農園である「モクモク手づくりファーム」をオープンし、現在は牛や豚の飼育、米、地ビールなどの生産や、農業体験のプログラムを実施し、伊賀のモクモクファームを中心として、直営レストランを三重県内や近県で6店舗運営し、直売店も3店舗あり、モクモクファームへの入場者は年間50万人、従業員は約700人、年商は48億円にものぼっています。

農業でありながら、このように大きく成長したこと自体が特筆すべきことですが、モクモクの真骨頂は、まさにここが日本における6次産業ビジネスの草分けであり、新たなビジネスモデルとマーケットを創造したイノベーターであるという点にあります。

「イノベーション」とは経営や事業の革新という意味で、新しい商品やサービスの開発とか、新しい商品の製造方法やサービスの提供方法の開発などによって、人々の生活や消費のスタイルを変えてしまうことです。
イノベーションの実例としてよくたとえられるのはソニーのウォークマンです。
これは再生専用の小型カセットテーププレーヤーに過ぎませんが、場所を選ばずに自分の好きな音楽を楽しめるようになったことで、人々が音楽を楽しむスタイルを変え、音楽シーンも個人の多様な嗜好に合わせたジャンルの細分化へと変化しました。
そして、この流れは絶対に元へは戻りません。まさに、新しい製品によって社会を変えたのです。

注意すべき点は、イノベーションは新商品や新技術の開発といった技術革新とイコールではないということです。
ウォークマンも技術的にはすでに確立していたカセットテープレコーダーの応用であり、研究開発要素もなくはなかったでしょうが、革新的であったのは個人用ステレオというコンセプトであって、技術革新はあくまで副次的なものでした。

これと同じ意味で、モクモクは「低農薬や持続可能性を重視した、生産者と消費者のお互いの顔が見える農畜産物や食品」という新商品、「農業体験、生産体験」という新サービスを、「消費者がレクリエーションや観光として楽しむ」という新しい方法で提供して、その結果、「意識が高く、商品価値がわかる消費者」という新しい市場を開拓した、まさにイノベーションなのです。


現在の日本経済の閉塞状況を打破するのは、このような革新(イノベーション)であることは大方のコンセンサスになっていますが、問題なのは、ではどうすればイノベーションは生まれるのかということです。

商品、サービス、生産方法や提供方法、マーケット、原材料などを新しく組み合わせることで今までにないビジネスモデルを生み出すことがイノベーションの本質である以上、「ものづくり基盤技術の高度化」だの、「地域資源の再発見と棚卸し」だのがイノベーションの十分条件ではないのは明らかです。
むしろ、既存の要素を(もちろん、新しい要素の場合もあるでしょうが)新しく組み合わせることに気が付く「暗黙知」(ビジネス・インサイト)が重要なのであり、暗黙知を持つ人材がいることこそが決定的に重要であることはほぼ間違いないことでしょう。

「カンブリア宮殿」では、木村社長や吉田専務が、どうして6次産業というビジネスインサイトを持ち得たのかに注目したいと思います。(彼らのようなイノベーターが学校教育のような方法で育成できるのか、それとも天才以外はイノベーターになり得ないのか、という問題意識もあります。)

同時に、モクモクのようなサービス業は、製造業に比べて国際競争がなく、生産性も低いと言われています。日本で大成功しているモクモクが、たとえば果たして海外展開を志向しているのか、という点も個人的には興味があります。

■伊賀の里モクモク手づくりファーム http://www.moku-moku.com/

●モクモクについては多くの調査研究や視察のレポートが公表されています。ネット上でも多数見つけることができますが、たとえば「ミッションマネジメント(NPOの経営)」「よかネット」などが参考になります。

2012年4月23日月曜日

ジャンクションぐるぐる

週末、荒天の中、関西方面へクルマで出かけていました。
カーナビを持っていないので、慣れない場所の高速道路には乗りたくなかったのだけれどそうもいかず、某ジャンクションで高速道路を乗り換え、インターチェンジで降り、自宅からわずか3時間足らずで目的地についてしまう利便性には今さらながら感謝せずにはおられません。

たまたまこの付近は、先日大きく報道されていた、 国土交通省が建設を凍結していたものの、東日本大震災によりバックアップ機能の必要性が再認識されたとして建設再開が決定した「新名神高速道路」のごく近くです。

高速道路ではないものの、既存の幹線国道も自動車専用道路として事実上高速道路化しており、弧を描いて複雑に絡まりあうジャンクションが、田園地帯のど真ん中の空高く、オブジェのようにそそり立って連なっています。
下から見上げると、空中を走る道路の長く続く巨大な鉄骨、そしてそれらを支えるおびただしい数のコンクリート製の橋脚。
ジャンクションの総延長はわずか数キロ程度でしょうが、この区間のすべての鉄の量と、すべてのコンクリートの量がどれほど大量なのか、想像することさえ難しいほどです。

新名神で建設が再開されるのは、大津-城陽間と八幡-高槻間で、計35.8km。総事業費は6800億円とのことなので、建設費は1メートル当たり約1900万円という計算です。

今、わが国は国内総生産の2倍にも達しようという財政赤字を抱えています。このような国難ともいえる状況において、さらに巨額の投資をすることは、 いくら大災害に備えるとはいっても差し迫った緊急性もないように思えなくもありません。

この是非はしばらく措くとして、気にかかることは将来にわたる道路の維持管理費用です。

路面の補修代、道路保安施設(信号機、表示板、照明、通信ケーブル、ガードレールなど)の維持管理費、電気代、人件費、事故対応に備えた警察や消防などの間接的な経費、などを積算すれば、おそらく建設費に匹敵するほどの膨大な額に上るでしょう。

ましてや、鉄筋コンクリートの構造物が永久に持つなどということは全くなく、通行量の増加や高速化、積載量の増加などによって、設計当初の予想以上に傷みが早く進み、補修費用も巨額になることは、首都高速道路などでも顕在化し、隠れた時限爆弾状態になっています。

電力は脱原発が叫ばれるようになり、良し悪しはともかく、自然エネルギーの利活用が現実的な目標として社会に共有されるようになりました。
しかし、わしが雨のさ中のドライブで実感したような自動車の利便性のためか、脱自動車の声は(おそらく昭和40年代から提唱されつつも)ほとんど社会のコンセンサスを得られません。

日本が将来にわたって進む道は明らかで、公共交通機関を復権させることによって道路の総需要を現状の水準かそれ以下にし、これ以上の公共投資とクルマの燃料エネルギーの消費を抑えることです。
これが止まるのは、道路の維持管理が困難になり、穴や崩落によって通行不能の道路が続出する近い将来(おそらく地方では10年後ぐらいか)でのハードランディングしかないのかもしれません。

2012年4月22日日曜日

尾鷲まるごとヤーヤ便が受け付け開始!

三重県尾鷲市は険峻な紀伊山地の山塊が背後に迫り、眼前にはリアス式の海岸線によって熊野灘に面しています。
台風シーズンになると、紀伊半島最南端の潮岬と共に、尾鷲港は必ず中継されるほどの「台風銀座」でもあります。
 
山と海に挟まれている地形から雨が非常に降りやすい土地であり、年間雨量は約4000ミリにもなります。日本の平均的な年間雨量は1800ミリくらいだったはずなので、4000ミリというのは屋久島に匹敵する驚異的な雨量です。
 
しかしこのような特異な地勢、気象は、同時に農業、林業、水産業にとって大変恵まれた環境でもあります。多雨で温暖なため、「尾鷲ヒノキ」に代表されるように林業が盛んですし、尾鷲港は全国有数の水揚高を誇ります。
 
このような尾鷲の農林水産品、それらの加工食品などを全国の消費者に届けようという企画が、尾鷲まるごとヤーヤ便です。
 
いわゆる「頒布会」というスタイルで、年間代金25800円を事業実施主体である尾鷲観光物産協会に振り込むと、年4回、1回あたり6450円相当の海の幸、山の幸が申込者に宅配される、というものです。(送料、消費税は込み)
 
内容は季節によって、つまり各回ごとに異なりますが、わしが以前会員だったときは、魚の干物とか尾鷲特産の生節、あぶりといった水産加工品、鷲の尾せんべいなど尾鷲のお菓子(けっこう素朴なもの)、野菜、果物、漬物なんかで、もちろん刺身のような鮮魚類もあります。(その場合はちゃんとクール便で届きますので衛生面も万全です。)

このような尾鷲まるごとヤーヤ便の今年度の会員募集がこのたび始まりました。
25800円は決して安い代金ではないので、関心がある方はぜひホームページをご覧になり、資料を請求してみてはいかがでしょうか。
個人的にはおススメします。
 
正直申し上げると、わしは今は会員ではありません。しかし、その理由はヤーヤ便に不満があったわけではなく、わしの自宅の近くでも尾鷲の産品を取り扱う土産物店やスーパーが増えてきたためで、最近はそちらで購入しているからです。
ヤーヤ便は尾鷲のたくさんの商品のお試し的な意味もあるので、気に入ったものがあれば直接購入するスタイルに切り替えたらいいのだと思っています。
 
■尾鷲市役所ホームページ 新着情報(平成24年度 まちおこし通販「尾鷲まるごとヤーヤ便」 申込受付を開始しました!) リンクはこちら
 
■尾鷲観光物産協会 尾鷲まるごとヤーヤ便  リンクはこちら
 
 
蛇足ですが
それにしても、尾鷲観光物産協会のトップページ更新されていないのはなぜなのだろう? 
TVショッピングで、本当は売りたいのか売りたくないのかよくわからないセールスをしているトーカ堂の北さんという有名な人がいますが、尾鷲市観光物産協会のこの姿勢はそういう高等戦術では絶対にないと思います。

2012年4月21日土曜日

ドラマボタンが日本で初めて三重県で設置へ

なーんてことになったら面白いのですが。

よくヨーロッパや北米、南米諸国の「度を越えた」素人いじり番組やナンセンス番組が日本でも紹介されていますが、ああいうユーモアを認めるセンスも、許す度量の広さも、良い悪いは別にして日本にはないでしょう。(もし日本でやるならたぶん2次元のアニメなんかでの企画になるでしょう)

三重県も映像を使った魅力発信を行うとかいうのなら、国内でしか通用しないようなちまちましたコンテンツではなく、これぐらいどーんと世界に通用するインパクトのあることやって欲しいものです。PR手法が単に従来路線の延長線上にとどまっていては、特にインバウンドの国際的な集客競争には勝ち抜けないでしょう。


リンク RocketNews24(2012年4月13日付け)
  ベルギーに設置された「ドラマボタン」が世界で爆発的な人気を博す!

2012年4月20日金曜日

「乐酷天」が5月末で閉鎖へ

楽天が中国で展開しているインターネットショッピングモール「楽酷天(ラクテン)」のサービスが5月末で停止されることが明らかになりました。
「楽酷天」は中国のインターネット検索サービス最大手である「百度(バイドゥ)」との合弁により、2010年10月に開設されたもので、数千以上の加盟店を集めたものの、 中国ではネットショップモールとしては後発で、中国国内で約8割のシェアを持つ「淘宝網(タオバオ)」などに比べて知名度が上がらず、業績を抜本的に改革するのは困難と判断されたものです。


実は楽天が中国で苦戦しており、撤退するのではないかとの風聞は、昨年暮れには一部のサイトで報じられていました。
レコードチャイナの2011年11月21日付けの記事によれば、楽酷天の現状が望ましくないことは事実であり、中国のネットリサーチ企業の報告書によると、楽酷天はネット小売市場売り上げランキングのトップ10から漏れた、とのことでした。(リンクはこちら

わしは、2010年に名古屋で開催された楽天カンファレンスに参加する機会があり、三木谷代表自身が登壇したセミナーで、中国進出について直接話を聞いたので、今回の撤退のニュースは特に感慨深いものがあります。

中国は経済成長率の鈍化がみられ、インフレ懸念が広まるなど不安材料を抱えているのは事実ですが、消費のマーケットはやはり巨大であり、電子商取引市場においても、2010年の統計ではインターネットで購買を経験したユーザ数は1.61億人(!)。
購買総額は、対前年比109.2%増の5,231億元(約6.8兆円)になっており、中国全体の消費市場の占有率も2009年が2%、2010年が3.3%に達するなど中国EC市場全体が大きく膨らんでいます。(Wangji 中国EC市場規模について

日本にとって海外の成長の機会を取り込むことは重要であり、日本の付加価値の高い商品を販売するネットショップは有効な手段だと思われています。
しかし、小売業はそれぞれの国の消費志向や商習慣などの違い、物流基盤の整備度合いに大きく左右されるので、日本では盤石の地位を確立している楽天も、中国では超過当競争の前に力尽きてしまったということなのでしょうか。
(なお、ショッピングモールはサービス停止するものの、「旅之窓」「快楽e行」などの現地旅行予約サイトや、北京での開発子会社によるシステム開発業務などは今後も継続されるとのことです)

<関連リンク>
中小企業基盤整備機構  中国ネットショッピング市場の現状と中小企業の進出方法

2012年4月19日木曜日

熊野三山か、熊野四山か

三重県熊野市には、日本最古の神社とされ、世界遺産にも指定されている花の窟(はなのいわや)神社があります。
先日、熊野市の河上市長が、紀伊山地の霊場を指す呼称として広く認知されている「熊野三山」に、この花の窟神社を加えて「熊野四山」とする提案をしたことが報じられていました。(たとえば4月17日付け中日新聞 リンクはこちら
 
熊野三山とは熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の3つを指しており、日本を代表する熊野の霊場として崇敬を集めています。
 
しかしながらこれらはいずれも和歌山県内にあり、観光面で捉える限りメリットはもっぱら和歌山県側が享受しており、三重県としてはこれに匹敵する観光資源がほしいところという切実な状況があります。
 
 熊野市長の「熊野四山」構想はこれに一石を投じるものですが、中日新聞の記事によると「(熊野市は)三山との連携で誘客を図る狙いで「由緒正しさでは花の窟も負けない」と真剣だ。」などと、熊野市当局を揶揄するようなニュアンスも読み取れ、地元ではまさに微妙な提案と受け取られているようです。

花の窟神社はイザナミノミコトが落命した場所として日本書紀にも出てくる非常に由緒のある霊場です。熊野灘が眼前に広がる七里御浜に面した巨岩そのものがご神体とされ、日本古来からの自然信仰の形をとどめているものと言われています。
しかし、古来より社殿は設けられていないため、実際に行ってみるとやたら大きい岩盤がどどーんとあるだけという、ある意味拍子抜けの観光地ではあります。
(ただ、雰囲気は荘厳で、畏敬心が心の底から沸き起こってくるような不思議な感慨に打たれるスピリチュアルな場所であることは間違いありません。)

この時期に熊野四山構想が提唱されたのは、花の窟神社の境内に「お綱茶屋」なる休憩・物産販売施設が新築され、4月20日にオープンするというタイミングに合わせたものと思われます。
しかし、すでに存在している花窟神社ホームページには、熊野四山はもちろん、新設されたお綱茶屋に関する記事もない・・・それどころか平成18年から更新されてもいない・・・状態で、「熊野四山」をネット上で検索しても例の新聞記事くらいしかヒットしません。
 
熊野市を含む三重県東紀州(三重県南部の、尾鷲市、熊野市、紀北町、御浜町、紀宝町の2市3町からなる地域)は、非常に情報発信が下手な地域でたいへんソンをしていると常々思います。
今回も例によって例のごとく、せっかくのインパクトある「四山構想」も、メディアミックスを意識したPR戦略が不在ゆえにネット上では完全に無視されているというお寒い状態です。
繰り返しますが、花の窟神社は素晴らしい場所で、地元によるお綱茶屋の盛り上がりも期待できるだけに残念でなりません。
 
■花窟神社 はなのいわや  http://www.hananoiwaya.jp/  (近年更新なし)
 
■花の窟活性化地域協議会  http://hananoiwaya.com/ (お綱茶屋情報はこちらを) 
 
ヤフー地図はこちら  http://yahoo.jp/k-f8te 
 
<4月21日追記>
 花の窟神社の祭神を間違って表記していましたので訂正しました。匿名様、コメント有難うございました。

2012年4月18日水曜日

三重県立図書館で創業・経営応援フェア

三重県立図書館と日本政策金融公庫(国民生活事業)および三重県産業支援センターによる連携事業として、平成24年4月28日(土)~5月12日(土)までの間、三重県立図書館において「みえの創業・経営応援フェア」が開催されます。
この種のビジネスセミナーを公立図書館が中心となって行うのは、全国的にも珍しいことです。 
 
フェアの最終日である5月12日には「創業・経営応援セミナー」が開催され、武田経営研究所の武田秀一さんによる「あなたの起業が成功しない七つの理由」と題した講演や、日本政策金融公庫による創業融資制度などの説明も行われるそうです。
 
創業や起業に興味がある方、現在計画中の方、創業直後~5年程度の方が対象とのことであり、三重県内では貴重な機会と思いますので、ぜひ多くの方に参加いただきたいと思います。

三重県の創業についてですが、平成13年から18年にかけての三重県の開業率は3.5%、廃業率は4.9%であり、全国平均(開業率4.4%、廃業率5.7%)に比べて、開業率、廃業率ともに、やや低いことが特徴となっています。(出典:立法と調査 2008.4 No.279 「企業の開業率・廃業率の動向と事業承継問題」) 
 
わしが思うに、これは人口集積地での開業が多い小売店や飲食店、企業向けサービスなどの業種の創業が三重県では相対的に低いことや、三重県は人口分布が比較的均一であり、大幅な人口減少もなくマーケットが均質化していることなどが理由ではないでしょうか。

では「率」でなく、具体的な「実数」ではどうでしょうか。
最近公表された平成21年経済センサスによれば、平成21年7月1日現在の三重県内の民営事業所数は85217。
(民営事業所数とは単独事務所、本店、支店などの総計であり、株式会社の数など経営体の実数ではありません。)
このうち、平成18年10月1日から平成21年7月1日までの間に新設された事業所は5,250。
これに対し、廃業した事業所は12,381。
なんと新設の倍以上にのぼっています。(詳細なデータは三重県HPを参照してください。リンクはこちら)

地域経済の活力維持のためには、多くの事業者が競い合い、連携しあって、顧客や消費者に対し、多種多様で良質なサービスを提供することが何より重要です。
三重県などの行政機関が創業や起業を支援するのも、この新陳代謝を促進するためですが、それと同時に起業家自身の生きがいややりがいをビジネスを通じて実現することで、自己の能力が活用でき、働きやすい、生き生きした地域づくりにつながるプラスの面も重要視されるようになってきています。

廃業事業所数の多さが示すように、起業・創業は多産多死なのが現実で、経営は生き残りをかけた激しい戦いの連続でしょう。
しかし、そのリスクを少しでも低減するために「みえの創業・経営応援フェア」のような催しは、必ず有益になるはずです。
 
■三重県立図書館  http://www.library.pref.mie.lg.jp/

2012年4月17日火曜日

「伊賀忍者特殊軍団・阿修羅」の正体は(笑)

三重県伊賀市と名張市は、戦国時代の伊賀忍者を輩出した地として有名です。
忍者は間諜や謀略活動にもっぱら従事し、特殊工作技術を持つ下級武士・郷士だったようですが、江戸時代になって社会が安定すると次第に活躍の場を失い、半ば伝説として記録が残されているのみで、実際には黒づくめの忍者服とか、水雲、手裏剣などの武具は後世の創作だという説もあるようです。(何しろ隠密活動のプロなのですから公式な記録が残っておらず、史学的な実像は全然わかっていないのが本当のところだとか。)

最近ではもっぱら伊賀地域を売り出す観光資源として活用されており、4月15日にはアメリカ合衆国ワシントンでの「日米桜寄贈100周年事業」に参加している 伊賀忍者特殊軍団・阿修羅 が、同会場で忍術パフォーマンスを披露し、計2回の公演に約2000人の観衆を集めたことが報じられていました。

毎日新聞の毎日JP(4月16日付け)によれば
・桜祭りは、ホワイトハウス近くのペンシルベニア通りで開催。屋外会場は観光客でごった返した。
・阿修羅のメンバーは武器を手に、 激しい動きの殺陣を披露。司会の合図で、「MIE!」「IGA!」の掛け声が一斉に響き渡り、盛り上がったという。
・体験コーナーも特設され、約3000人が手裏剣打にチャレンジ。(伊賀上野観光協会の企画兼施設係長である)森本係長は「あまりにも人が多く、写真撮影に苦労しました。大変な盛り上がりで、幅広い年代にPRできた」と成果を伝えてきた。
と、大成功の様子を伝えています。

日本の武道と忍者とがミックスされたような、いかにもアメリカ人が好きそうな、ショーアップされたさぞかし迫力あるパフォーマンス集団かと思っていたのですが・・・
Youtubeを見る限り、「大道芸」に近い雰囲気です。
庶民的というのか、チープというのか。しかし、確かに観客には大ウケなのです。

こうやってまたアメリカ人にNINJAのイメージが刷り込まれていくのでしょう。これは伊賀にとって、そして三重県にとって、良いことなのでしょうか? それとも・・・



■伊賀忍者特殊軍団・阿修羅 http://www.k3.dion.ne.jp/~ashura/

■伊賀上野観光協会 http://www.igaueno.net/

2012年4月16日月曜日

河村こうじ屋で「塩麹」に開眼

先日、三重県紀北町の河村こうじ屋を訪問してきました。

紀北町には三重県内で最大の集客数を誇る道の駅である「道の駅まんぼう」がありますが、ここでも最近は同社の塩麹がヒット商品になっているようで、その様子もうかがうことができました。

河村社長の話では、塩麹は2年ほど前からテレビ番組や雑誌などで取り上げられるようになり静かなブームだったそうです。
しかし河村さんはこのことを知ると、特に食の分野での健康志向、自然志向が強い今、これは大ブームになると直感し、自社でも商品化に着手したとのことでした。
結果的にこれは当たり、他のメーカーとの激しい競合もあるようですが、河村こうじ屋の塩麹は一定の存在感を示しています。

河村さんの話によると
・こうじ(塩麹)そのものは美味しいものではない。そうではなく、素材のうまみを引き出す調味料と理解してほしい。
・大豆に塩と麹を混ぜたものが「味噌」である。味噌は麹が大豆のうまみを引き出したもの。
・肉や魚や野菜もこれと同じことで、塩麹を使って料理すれば、素材のうまみを引き出すことができる。

ということで、これには大変説得力を感じました。

というわけで、帰宅して早速実験。
Getしたのはビン入り180gのもので、価格は500円です。
この塩麹には、東紀州長期インターンシップ事業で同社にインターンしていた大学生が製作したという「塩麹簡単ガイドブック」というレシピ集が付いており、いろいろな料理の作り方を知ることができます。
一つ目はキュウリの塩麹漬けで、小口切りにしたキュウリに麹をまぶすだけのホントに超簡単なもの。
二つ目は鶏肉の塩麹漬け焼きで、これも簡単。
鶏肉はこのレシピと異なって半日(数時間)漬け込んだだけでしたが、塩味はちょうど良い案配でした。むしろ丸一日漬けていたら塩辛くなっていたと思うので、このあたりは好みに応じて試行錯誤とマイナーチェンジが必要かもしれません。
 
紀北町のある東紀州は海の幸、山の幸が豊富で、いろいろおいしい食べ物があるのですが、地域に密着した醸造業も数多くあります。みなさまもぜひこれらのアイテムを探してみてください。
 
■通販はこちら楽天「熊野水軍」

2012年4月15日日曜日

奉納プロジェクトは他地域でも応用可能では

**********三重県東紀州地域向けの内容なので、関係ない人は無視してください**********

先週の伊勢神宮外宮せんぐう館オープンのブログで書きそびれたのですが、この日は伊勢商工会議所による外宮奉納プロジェクトも行われていました。
たまたま、わしは7日の午前8時ごろに外宮に参拝(というか、天気が良かったので朝の散歩)に行っていたのですが、ちょうどその時に神楽殿付近で、プロジェクトの御一行が神事を行っているところを見かけたのです。(写真)

荘厳な雰囲気で、会議所の皆さんや経営者の方々には知っている顔もちらほらお見かけしました。

伊勢商工会議所のブログによると、
「4月7日早朝から食と産業の神様である外宮さんに、県内外の生産者の方々34社が正直を誓うと共に、丹精込めてつくった逸品95品目が奉納されました。」
とのことであり、これらの奉納品は、4月7日と8日にかけて、外宮北御門広場で開催された外宮奉納市という物産展でも販売されていました。(リンクはこちら



 販売という面からみると、伊勢神宮を絡めたこのプロジェクトは非常に有効なものではないかと思います。
もちろん、顧客をどうセグメントし、どこにターゲットを絞ったアプローチに当たるのかは、奉納したそれぞれの企業や商品によっても違ってくるでしょうが、やはり「伊勢神宮」のブランドは全国区なので、伊勢としてはこのありがたいブランドを最大に活用して神恩に報いるというのは、伊勢ならではであって他地域には決して真似できないことだからです。

よく言われるように、北海道、青森、長野(信州)、鹿児島、沖縄などは道県域全体が「ブランド」に成り得ますが、一般的な県名は、多くの消費者にとっては具体的なイメージがわかないものであるため、「三重県ブランド」とか「岐阜県ブランド」とか「滋賀県ブランド」の県ブランドは、正直なところ、ほとんどがパッとしていません 。
むしろ、三重県なら、伊勢志摩、伊賀、岐阜県なら飛騨、滋賀県なら琵琶湖とか彦根、といった「地域」のほうが ~正確では決してないかもしれないにせよ~ 消費者には具体的なイメージがつかみやすいようです。
なので、実際に売り上げにつなげようとすれば、県域レベルよりは狭く、一市町村よりは広い、大くくりな「地域」のブランドを発信したほうが良いのではないかという気がします。

たとえば三重県東紀州をイメージすれば、「東紀州」という名称がわかりにくいということは前から言われています。むしろ「熊野」というイメージを前面に押し出す方がインパクトは強いでしょう。
熊野というと、おのずと熊野三山、熊野古道などにつながりやすく、ある種の具体的な(繰り返しますが、それが正確かどうかは別問題として)イメージが消費者の頭には浮かびます。

これをさらに具体化し、固定化するにはどうすればよいか。
その一つの可能性は、地域に固有の神社仏閣に奉納する、という手法ではないでしょうか。
東紀州でも、 紀北町商工会などは伊勢神宮への奉納をすでに積極的に行っています。熊野市以南は文化圏が異なるので、より信仰が密接な熊野三山への奉納が有効かもしれません。
それと並行して、たとえば尾鷲市なら尾鷲神社、熊野市なら産田神社(サンマ寿司の神様!)とか花の巌神社、徐福の宮など、地域の産土神ともいうべき固有の神社へも奉納するのです。
そして、そのことをPRするとともに、「サンマ寿司の神様である産田神社に奉納した商品です」みたいな商品アピールを行うのです。

熊野という神秘的な雰囲気を地域ブランドに最大活用するのには、神様・仏様とのタイアップは有効だと思います。それぞれに歴史的、文化的な言われもあるでしょうから、そのあたりも再調査し、うまく活用できれば最高です。
ただし、この手法は、信教の自由との兼ね合いもあるので行政が前面には出にくいプロモーションです。民間主導の方式に関心がある東紀州の方は、一度わしと情報交換しませんか?

2012年4月14日土曜日

日東電工亀山事業所で日系ブラジル人が労組

三重県亀山市にある日東電工亀山事業所で働く日系ブラジル人ら約80名が、4月10日に労働組合を結成したそうです。外国人労働者による組合結成は三重県内では初とのことであり、各紙が報じています。
組合員は6月更新の期間労働者ですが、契約の更新を繰り返して計20年になる人もいるとのことです。
組合では今後同社と団体交渉し、契約を打ち切られた労働者の雇用継続や、日系労働者の正社員への登用、賃上げなどを要求していくとのことです。

製造業について争点になっていた労働者派遣法については、先月末、国会で改正が成立し、公布後6か月以内に施行されることになりました。
改正労働者派遣法では
・雇用契約期間が30日以内の短期派遣の禁止
・違法派遣があった場合には、派遣先の企業が労働者に直接雇用の契約を申し込んだものとみなして社員になる道を開く「みなし雇用制度」を法施行3年後までに導入
・同一グループ企業内への派遣割合を8割以下に規制
・派遣会社に対し、派遣料金と派遣社員の賃金の差額の比率(マージン率)のネット等での公開を義務づけ
などがポイントとなっています。

民主党は野党時代から、製造業への労働者派遣と、仕事がある時だけ雇用契約を結ぶ登録型派遣を原則として禁止するという公約を掲げていました。しかし、経済界からの強い要請を受けてこれらは改正案からは削除され、盛り込まれませんでした。

今回の日東電工の労働組合は、会社に直接雇用される期間労働者であり、派遣労働者とは異なりますが、派遣労働への(派遣先企業から見た)規制が強まれば、結局は、より雇用条件が不安定な期間雇用が増えるだけという見方もあります。
エコカー減税の復活などもあって、今春から自動車などの工場は生産活動が活発化すると見られ、短期的な雇用も増加するものと予想されます。
日本の特に輸出型の製造業はコスト競争が厳しく、正社員の大量の雇い入れは現実的に難しい状況です。その意味で、非正規であってもさしあたりの雇用があるのは総論としてはもちろん良いことだとは思いますが、労働法が順守され、適正な労働条件であるべきなのは当然のことです。
今回の労働者派遣法の改正が、地域の短期雇用にどのような影響を及ぼすのかには注目していかなければなりません。

一方で、亀山市の外国人登録者数は平成21年末現在で約2600人。総人口に占める割合は約5%にもなっています。(広報かめやま 平成22年10月16日号による)
三重県全体でも、製造業が盛んな北勢地域を中心に約5万人の外国人が生活しており、多文化の共生は地域にとって重要な問題になっています。
この意味からも、外国人の労働問題については関心を持っていく必要があると思います。

2012年4月13日金曜日

「神の庭」の使い方


日本で最もアクティブな商工会と言われている、紀北町商工会が立ち上げた 神の庭 Garden Of God というホームページを見ました。

三重県紀北町は茫洋たる熊野灘と険しい紀伊山地に挟まれた自然豊かな土地。
その自然風土や地場産業、生活する人々の魅力を再発見するショートムービーを作り、地域産品の販売促進や観光交流の促進にも活用しようとする目的で、中小企業庁の委託事業である平成23年度小規模事業者地域力活用新事業∞全国展開プロジェクトを活用して実施されたものです。

映像を活用した地域おこしや産業活性化は、全国ですでに実にさまざまな取り組み事例があります。なので、正直言って特段の新規性はなく、映像のどの部分で他地域と差別化できるのか、まさにコンテンツの中身が勝負になっていると言えます。
映像の美しさや説得性、メッセージ性については、専門的なテクニック論よりも、見た人の感性のほうが重要だと思いますが、率直にわしの感想を書けば、映像的には大変すばらしい作品群だと思います。ぜひ皆様にもご覧いただきたいと思います。(リンクは最下段にあります)

構成は紀北町商工会の会員である地域の小規模事業者を紹介した20分程度の映像作品と、それを3分程度にダイジェストしたショート版の映像作品です。
内容としては、地場産業や飲食店、民宿の経営者、ショップオーナーの人となりや、紀北町のある三重県東紀州の雄大な自然や、漁村・山村の独特な生活様式と密接に関連している農産品、加工品の紹介がされています。

ただ、映像は美しいのですが、この神の庭のホームページ自体に、このサイトの趣旨や作った経緯、内容などの説明がないので、これだけ見ても目的や趣旨はほとんどわかりません。つまり、ショートムービーの単なるアーカイブとしての機能しかないのです。

問題は、このホームページやムービーを具体的にどう活用してくのかということだと思います。
この映像はYouTubeにもアップされていますが、紹介されているお店が自分のホームページを持っていない(=したがって、せっかく自社を紹介している映像があるのに、それを使えない)ところがあったり、細かい話をすれば、ホームページの雰囲気と映像の雰囲気がマッチしていない、などのような印象のところも散見されます。

各自のホームページでの活用については、これから紀北町商工会でも専門家を派遣したりしてフォローしていくということでしたが、ただでも人手が足りずホームページを更新する時間が取れない小規模事業者が、かっちりとホームページを管理していくことができるのかとか、やはり何年か後には映像のコンテンツ自体も陳腐化すると思いますので、その時のリニューアルをどうするか、という問題は積み残しているようにも思います。

■神の庭 Garden Of God http://kaminoniwa.com/#!/index.html

余談ですが、4月14日(土)~15日(日)には津市と四日市市で紀北町の物産展が同時開催されるようです。詳しくは紀北町観光協会のサイトをご覧ください。(リンクはこちら

2012年4月12日木曜日

次世代ネットに日本は乗り遅れるのか?

次世代ネット「IPv6」移行 日本は乗り遅れるのか という記事が今日の日本経済新聞に載っていました。
IPv6(アイピーブイ6)とはインターネットでデータをやり取りする際の通信規格の次世代版といわれるもの(v6=バージョン6)のことです。
現在のIPはv4(バージョン4)であり、1977年に創設されたものです。これは3ケタの4組の数字で構成されていますが約43億個の組み合わせが限界であり、爆発的なインターネットの普及によって、昨年2月時点で未割り当てのアドレスはすでになくなってしまっています。
IPv6は「約43億の4乗」個というアドレス設定が可能で、事実上ほぼ無限であり、今後のますますの普及にも十分対応することができます。
さらに、携帯電話、冷蔵庫、テレビや自動車など様々な身の回りの製品・設備に個別のアドレスを設定すれば、外出先から携帯電話で炊飯器のスイッチを入れたりビデオの録画予約をしたりできるようになるとのことです。
日経新聞の記事の趣旨は、このように世界では趨勢になりつつあるIPv6について、国内プロバイダの最大手であるNTT東日本とNTT西日本が「IPv6」を採用しながら、この方式のアドレスを通信網の内部専用にしているため、グーグル、米フェイスブックなどの主要ウェブサイトが採用するIPv6方式のサイトに接続できなくなるというものです。
グーグルなどは、NTT東西に対して大部分の利用者が外部のネットをIPv6で利用できる環境を整えるよう要請してきましたが、NTT東西ではが一気に全利用者の環境を整えるのは難しいとして、あらかじめIPv6アドレスでの外部ネット接続を遮断することにしたとのこと。これは6月から実施されるそうです。
日本の産業構造を、製造業からICT産業や、金融業、専門サービス業、医療福祉業といった付加価値の高い知識集約的な産業中心へと転換させる必要があるのは、大多数の識者のコンセンサスかと思います。
国や自治体による産業政策も、意味のあまりない企業誘致や研究開発支援、意味のまったくない経済危機対策などではなく、このような新産業のプラットフォーム整備を中心に投資すべきだと思います。国レベルでは総務省が研究会を実施したりしていますが、問題なのは、特に自治体レベルでは、IPv6問題の緊急性が理解できている役人がほとんどいないということです。

2012年4月11日水曜日

三重県内の「買い物弱者」への取り組み事例

 はんわしも最近まで気づかなかったのですが、三重県ホームページに、深刻な社会問題であり、喫緊の対策が必要な「買い物弱者」(買い物難民)に対して、企業やNPOなどが民間活力によって対応している事例がいくつか紹介されています。
 地域商業活性化NAVI→リンクはこちら

 取り上げられているのは

コミュニティうきさと「みんなの店」×マックスバリュ中部(松阪市)

尾鷲市ふれあいバス×主婦の店(尾鷲市)

NPO法人 地域在宅生活支援ネットゆいの里×マックスバリュ佐那具店、ジップドラッグ東洋阿山店(伊賀市)

カトーレンタカー×長島スタンプ会(桑名市)

の4例です。

わしが知っている限り、このほかにもJA伊勢による南伊勢町内での買い物バス運行(以前このブログでも書きました)や、皇学館大学生による紀北町内での移動販売「まおちゃんのおつかい便」などがあります。
きっとそれ以外にも、地域に密着した商売を展開しているスーパーや商店、NPOなどによって、多くの取り組みがあることでしょう。

このブログは大学生の方もよく見ていただいているようで、地域振興や地域活性化を勉強している方からご質問をいただくこともあります。もちろん、大学での勉強は重要ですが、より理解を深め、自分の考えを研ぎだすには、これらで紹介されているような実際の取り組みを見てみる、体験してみることは大変有意義だと思います。
地域商工政策に関して、行政が取り組めることには限界があります。逆に、買い物弱者のような地域課題を、地域の資源を使ってビジネスの手法で解決するコミュニティビジネスこそが、現状を改善する最も現実的な手法だと思います。
幸いにも三重県では、コミュニティビジネスの起業を支援するプラットフォームはかなり充実しているので、みなさんの身の回りに買い物弱者のような社会課題があれば、それを解決するケーススタディをぜひ実践的に学び取っていただきたいと思います。

2012年4月10日火曜日

三重県にU・Iターン就職した人の体験記

 株式会社アーリーバード みえU・Iターン就職研究会編による みえU・Iターン就職体験記 21人のキセキ(三恵社) が刊行されたので早速読んでみました。

三重県出身で、進学や就職のために故郷を離れていたものの、三重に戻って再就職することになった(Uターン)例や、もともと三重県出身ではなかったものの、縁があって三重に就職することになった(Iターン)例が21人分。実名による体験記としてつづられています。

いわゆるハウツー本ではなく、かねてからの独立志向を実現するためとか、親を介護する必要が生じたため、子どもを豊かな生活環境の中で育てたいため、などのU・Iターンを決意するに至った個人的な発意や理由とか、実際に就職活動して苦労した点、U・Iターンしてみて悪かったこと、良かったことなどが主な内容なので、三重県へのU・Iターンを考えている方々の背中を押すような立ち位置にある本かと思います。

ユニークなのは、体験記が「何歳でU・Iターンしたか」という、年齢別でまとめられていることです。早い人は20代前半で早々とUターンしていますし、遅い人は60代、仕事をリタイヤしてからのUターンという人もいます。この本の監修者である三田泰久さんも書くように、転職にあっては35歳という年齢が一種のメルクマールなので、35歳以前か、以後かによって、動機づけや職探しの方法は変わってくるのでしょう。このあたりは大変に参考になります。
また、「(三重県への)Uターン就職成功のための秘訣は、精神的な豊かさに価値が見いだせるかどうかと、給料でなく可処分所得で考えられるかどうかである」というようなコメントは非常に示唆に富みます。

気になる点としては、手記を寄せている21名がすべて男性である(らしい)ことと、U・Iターン先が三重県南部の伊勢志摩や東紀州である例が多いことでしょう。三重県は南北格差があるので、大都市圏に近く交通の便も良い北部と、その逆の南部とでは再就職の難しさも別レベルということかもしれません。
また、U・Iターン先がこの本の出版元である(株)アーリーバードだという人の手記が5人分もあって、やや偏っている気がするのは否めません。(これも、同社が社是としてU・Iターンを積極的に受け入れているためであるという説明は付されていますが。)

しかし、三重県が運営している就職ポータルサイトの おしごと三重 などとは別に、このような基本的なU・Iターンの心構えなどを教えてくれる本はおそらく三重県にはなかったと思うので、大変参考になると思います。地域産業振興に関心がある方にはご一読をおすすめします。

日本経済は大きな激動期を迎えています。これから三重県でも確実に起こるであろうことの一つは、大量生産型の製造業企業の海外展開が進み、多くの雇用を支えてきた生産部門は縮小が本格化することです。
この本で紹介されているのは、グローバル化による摩擦的失業の例ではありませんが、これによるU・Iターン希望者は今後増加するはずです。
なので、今、地域の雇用対策として必要なのは、U・Iターンのための情報のプラットフォームを強化し、つっこんだ相談にも対応できるエキスパートを数多く県内に配置することです。
残念ながら、行政による就職支援は新規学卒未就業者対策や中小企業の新卒者対策に重点が置かれていますが、この比重をU・Iターンも含めた摩擦的失業者の再就職支援策に修正していく必要があるでしょう。

■株式会社アーリーバード http://www.ebird.co.jp/index.html

みえU・Iターン就職体験記 21人のキセキは、書店のほか、(株)アーリーバードに直接申し込んで購入することもできます。また、アマゾンでも購入できるようです。

2012年4月9日月曜日

はんわしが好きな伊勢の桜(その2)

その2は、伊勢市横輪町の 横輪桜(よこわさくら) を紹介します。
先週末の土日でさくら祭りが行われており、その様子をのぞいてきたのでレビューしたいと思います。
以前のブログにも書きましたが、横輪町は伊勢市の市街地から車で走ること約30分。周りをぐるっと山に囲まれた集落で、かつて平家の子孫が住んでいたという言い伝えにも信憑性が感じられる自然環境です。(最近は、NHKテレビの大河ドラマ「平清盛」にあやかってキャンペーンも行われており、そこそこ観光客も来ているようです。)

ここに、ヤマザクラの変異種とも言われ、発見以来150年、当地横輪町で大切に伝えられてきた「横輪桜」という品種があるのです。(参照 伊勢志摩きらり千選ホームページ 横輪の桜

全国の山間地と同様、横輪町も過疎化、高齢化が進んでおり、何とかこの横輪桜を生かして振興ができないかと、地元の有志が10年近く前から横輪桜の植樹や特産品化に取り組んできたそうです。
平成18年には、その拠点として 郷の恵 風輪 という施設も完成し、農産物や加工食品、土産物の販売、さらに特産の横輪芋を使ったうどんなどの提供も行っています。
平成22年には横輪町の取り組みが、農林水産省の美の里づくりコンクールにおいて農村振興局長賞を受賞しています。


写真は伊勢うどんに横輪芋のとろろがたっぷりのったうどんです。(一杯550円)


残念ながらこの日はまだ2分咲きくらいでしたが、横輪桜のソメイヨシノの3倍あるという大きな花と濃いピンク色の花が楽しめました。つぼみもさくらんぼと見まごうほど大きいのにはびっくりです。


宮山と呼ばれる集落の裏山にある展望台に上れば、横輪町の集落が箱庭のように見下ろせます。桜が満開になれば、桃源郷ならぬ「桜源郷」状態になることでしょう。



実際には今週末あたりが一番見頃のようですので、もしまだ見ていない方は訪れていただいてはどうでしょうか。
横輪の集落は谷あいにあって道が狭いので、車でお越しの方は徐行と、スタッフの指示に従って決められた場所への駐車を厳守してください。 (横輪桜は道沿いや公園などに植えられているので、観覧は無料です。また、一部のお宅では庭を開放してくれています。)

ヤフー地図はこちら

2012年4月8日日曜日

はんわしが好きな伊勢の桜(その1)

今年はわりと寒い冬で、伊勢も桜の開花がやっと最近始まりました。
ここ数年ではかなり遅い方の部類になると思います。

伊勢で最も有名な桜の名所と言えば、地元の市民に聞けば九割がたは 宮川堤の桜 と答えることと思います。
宮川は三重県と奈良県の境、大台ケ原を源流として伊勢湾に注いでいる一級河川で、上流~中流部は豊かな自然が残されていることから、国交省が毎年発表する水質調査で常に上位にランクされている清流でもあります。
伊勢市は宮川流域としては最下流に当たりますが、伊勢神宮領(神域)と俗地域との結界として、宮川は宗教的にも歴史的にも重要な位置づけにありました。
江戸時代になると社会が安定し、一般庶民の伊勢参宮が定着します。はるばる歩いてきた旅人にとって、宮川の渡し船に乗ると、いよいよ伊勢に着いたことを実感できる場所でもあったのでしょう。


今日はおだやかに晴れた暖かい日であったせいか、昼過ぎの宮川河川敷はかなりの人出でした。
先日の雨で河川敷の臨時駐車場がぬかるんでしまったらしく、押し寄せる花見客のクルマを交通整理する警備員の皆さんが汗をかいて誘導していました。「今日は今シーズンで一番の人出だと思う」とのことでした。(行き方は るるぶドットコム を参照してください)


宮川堤の桜は、これはこれで素晴らしい眺めなのですが、はんわしがお薦めするスポットは、伊勢神宮外宮(げくう)から内宮(ないくう)に向かって徒歩10分ほどの場所にある、旧豊宮崎文庫のオヤネザクラというものです。


伊勢神宮は内宮、外宮とも、文書や記録を整理・保存し、それを使って神職が研究や調査などを行った、今でいう図書館のような施設が古くから成立していました。
このうち、外宮の図書館に当たるのが豊宮崎文庫で、江戸時代初期に、外宮の神職で国学者としても知られる出口延佳(度会延佳)らが設立したものです。
豊宮崎文庫では貴重な資料が多く収集されており、和学・漢学などの講義も行なわれ、貝原益軒など、ここを訪れた有名な学者も多数に上るそうです。


その後、明治維新の神宮改革によって、内宮と外宮の文庫は統合され、移転しました。
わしが子供のころ、跡地には伊勢市立図書館が建っており、豊宮崎文庫跡は、裏手に門と土塀と何十本かの桜の木だけがかろうじて名残として残っている、さびしい状態でした。
市立図書館の建物はその後、伊勢郷土資料館となって近年まで利用されていましたが、昨年、老朽化のために取り壊され更地になっているので、このように広々とした光景を見たのはわしにとって初めてのことです。

ここのオヤネザクラとは、伊勢志摩きらり千選のホームページによると
・豊宮崎文庫の主唱者であった、出口延佳の屋上に生えたサクラを旧豊宮崎文庫に移植したことから「オヤネザクラ」の名称がついた。一方では、外宮の屋上に生えたサクラという説もある。
・オヤネサクラはヤマザクラの新品種として昭和三年発表された。その後絶滅したと思われていたが昭和53年、四株のオヤネザクラが確認され、現在旧豊宮崎文庫内に二株の原木が健在です。市指定天然記念物とされています。
とのことです。

伊勢神宮外宮にご参拝のおりは、昨日オープンした「せんぐう館」とともに、ほんの少し足を延ばして、旧豊宮崎文庫跡の桜もご覧になってみてください。

■ 地図はこちらを

2012年4月7日土曜日

今日、外宮にオープンした「せんぐう館」に行ってみた

伊勢神宮 外宮(げくう)に、本日、せんぐう館がオープンしたので早速行ってみました。
伊勢神宮では20年に一度、社殿や神宝などをすべて新しく作り替え、神様に新しいお社に引っ越していただく「式年遷宮(しきねんせんぐう)」という神事が行われます。
天変地異や戦乱などで一時的な中断はあったものの、基本的には伊勢神宮の創建(飛鳥時代)以来連綿と続いているものです。

来年、平成25年には通算62回目の遷宮が斎行される予定であり、それを記念して、式年遷宮について参詣者により理解を深めてもらうため、また、外宮参拝時の憩いの場として、おととしから建設が行われており、今日、オープンしたものです。


朝8時半ごろ、すでに伊勢神宮マニアと思われる方々が入り口付近に並び始めていました。
オープン記念式典の関係者やマスコミと思われる人々の姿も目に付きました。


せんぐう館があるのは、伊勢神宮の外宮(げくう)です。
外宮は、内宮(ないくう)の祭神である天照大神に、食事などを提供する神である豊受大神がまつられています。
衣食住をつかさどることから、稲作の神、さらに広く農林水産業、そして商工業も含む産業全般をお守りくださる神様として信仰が集まった歴史を持っています。
現在の伊勢市中心部(古くは山田と呼ばれた地域)は外宮の門前町として発展してきたものであり、外宮、そしてこのせんぐう館も、JR・近鉄伊勢市駅から徒歩10分ほどの交通至便の地にあります。





せんぐう館は勾玉池という池のほとりに立っており、外宮の本殿をイメージした切妻型の大きな屋根が特徴的です。
残念ながら内部は撮影禁止なのでご紹介はできませんが、館内は7つの展示室があり、伊勢神宮の由緒や、式年遷宮の意義、さらには何年にもわたるいくつもの神事から構成されている遷宮の一連の流れや内容が映像や展示物によってわかりやすく紹介されています。

圧巻なのは、マスコミにもよく取り上げられている、実物大の外宮本殿のカットアウト模型です。(展示室5)
伊勢神宮の本殿(正殿)は唯一神明造と呼ばれる総ヒノキ、高床式で茅葺きの建物ですが、一般の参詣者は通常、立ち入ることはおろか近づくこともできません。(一般客が参拝する拝殿は、3重の垣に囲まれた正殿のはるか手前の場所です。)
なので、カットアウトにしろ、高さ12mもあるお社には圧倒的な迫力があります。 神様が住まうのにふさわしい重厚感というのでしょうか。これはぜひ見ていただきたいと思います。


しかし、はんわしが特におススメしたいのは、神宝とよばれる、神様にささげられる各種の宝物の製作や、社殿の建築にまつわる、伝統工芸作家や宮大工たちの素晴らしい技術と知恵が紹介されている展示の部分です。
神殿も神宝も、20年ごとにすべて新調されるため、伊勢神宮には国宝になるような「古いもの」はありません。
しかし、神殿も神宝も、基本的に昔と同じ材料を使い、昔の製法によって20年前と全く同じもの ~一種の「コピー」とも考えられます~ が現代の作り手たちによって調製され、建築されます。
その姿は、遺伝子のように昔とまったく同じ姿を伝えているわけですが、もちろんそのためには材木となる森林や、様々な製造技術も同じように伝えられていなくては成り立ちません。
この「システム」が62回も続いているというのは、よく考えてみるとたいへん偉大なことで、日本が世界に誇れる文化だと思います。

見学自体はさささっと回ると30分くらいで見ることができますが、展示物を一つ一つ丁寧に見ていくと2~3時間は楽しめるのではないでしょうか。
あまり宗教臭くないので、その点も気軽に入ることができると思います。
なお、わしが思うに、せんぐう館を見学すれば。神宮徴古館に行く必要はありません。コンセプトが重複しているし、神宮徴古館の展示はマニアックで分かりにくいためです。
せんぐう館の入館料は大人300円。子供100円。営業は午前9時~午後4時30分で、不定休だとのことです。

■せんぐう館ホームページ http://www.sengukan.jp/

2012年4月5日木曜日

若者の本当の敵は

今週初めは各地で入社式が行われたようです。
官公庁や大企業では、首長や社長が新人に訓示を行って、その趣旨が新聞などに報じられています。
しかし、そのほとんどは常識的というか、~もちろん、晴れの入社式なので、アナーキーな訓示などあり得ないわけではありますが~ 既存の社会フレームからはみ出さない内容のものばかりで、良くも悪くも日本的組織のリーダーシップのなさ、厳しく言えばリーダーたちの価値観やインテリジェンスをあやまたず示しているといえそうです。

このブログも官公庁や企業からのアクセスが少なくないのですが、社会に出ればはんわしとて新人社員とて対等な社会人であり、フレッシュパーソンに贈るにふさわしい、現代日本の真実に近いと思われるメッセージを探していました。

そして、探し出しました。
ゴムホース大學です。
一部のハイレベルな人には陳腐なサイトかもしれません。 すでに社会の常識かもしれないからです。少なくとも既存の社会常識と入れ替わるのは、そう遠い先ではないような気がします。

しかし、この 新社会人に贈る言葉『ノンワーキングリッチとグローバル人材の間で』 は非常によく書けて(僭越ながら)おり、わしが25年近く公務員をやって得た一定の結論めいたものに大変近く大いに親近感を得る内容です。
はんわしの評論家気取りにたどり着いたすべての若いみなさんに、この記事をささげます。
ぜひお読みください。(リンクはこちら

できたらこんなことを自分の言葉で書きたかった。忸怩たる思いを抱きつつ。

2012年4月4日水曜日

原油価格高騰でインフレ基調に転換か

紀南新聞Onlineを時々チェックしています。
三重県南部の熊野市、南牟婁郡(御浜町、紀宝町)と、和歌山県新宮市周辺を主なエリアとしたローカル紙ですが、ネット配信が充実しており、身の丈目線のニュースが手軽に読めるのは本当にありがたいです。

さてその紀南新聞Onlineの4月5日付け(本当です!)の記事は
原油高騰、多方面に影響か 長期化すれば電気、ガス価格にも
というものでした。

「イラン情勢などにより原油価格が高値で推移、ガソリン高騰を引き起こしている。新宮市内ではガソリン価格が1リットルあたり160円前後で推移。状況改善の見通しは立っておらず、原油問題は今後、影響を多方面に拡大させる可能性をはらむ。」との問題提起に続いて、関西電力新宮営業所、新宮ガス、農業者、漁業者、運輸業者、クリーニング業者などへの取材記事が書かれており、いずれも深刻な見通しが語られています。(リンクはこちら

 実際、店頭でのレギュラーガソリン価格は全国的に急上昇しています。
各紙がイランへの経済制裁のほか、先進主要各国の金融緩和政策でカネ余りとなっており、 だぶついた資金が原油相場に流入して価格が高止まりしているとみられることや、このまま原油の高値が継続すれば産業・民政全般への影響が深刻となるだろう と報じています。(たとえば、4月4日付け msn産経ニュース イチから分かる ガソリン高騰)


紀南新聞に話を戻すと、漁船の燃料に関しては勝浦漁協によるコメントとして「国の支援事業である水産庁のセーフティネット構築事業により、燃油高騰の際に補てん金が交付されるため、2008年の重油高騰に伴う漁船全国一斉休業のような混乱は生じないと推測される。」と報じていますが、運輸業界などでは国による補てん措置を求める声も上がっているようであり、今後紆余曲折がありそうです。

しかし不思議なのは、原油高騰という国難に対して、かろうじて緩衝剤的役割を果たしている自国の通貨高を、超々円高などと蔑称し、為替が自国通貨安になることを待望している驚くべき経営者が少なくないことです。
もちろん、多数の従業員とその家族を抱えている経営者の責任は重大で、そのご苦労は常人の推察できるものではないと思います。
しかしながら、輸出型製造業という自分の会社のことばかり考え、自社さえ儲かればよい、自分の属する業界さえ栄えればよいという姿勢は、いかにも古臭い価値観と、視野の狭さを感じさせます。

日本はモノづくり偏重から脱却し、知識集約的な金融業やサービス業といった産業に構造転換しなければ衰退をとどめることはできません。このピンチを奇貨として、新しい産業の姿を自分の言葉で語る経営者は現れないのでしょうか?

(注)レギュラーガソリン店頭価格の推移のグラフは、msn産経ニュースから転載しました。

2012年4月3日火曜日

韓流好きはわずか11.0%

岐阜県大垣市にある共立総合研究所が、昨年11月に実施した「韓流消費に関するアンケート」の結果を公表しています。
大垣共立銀行を訪れた主婦776人から回答を得たものであり、年齢層は30代から50代が中心。その居住地はほとんどが地元岐阜県と愛知県という属性です。

依然として低迷傾向が強い個人消費ですが、その中で一人気を吐いている感がある「韓流」が、いったいいかほどの実力を持っているのかは、地域産業振興に従事する人々にとっては非常に興味深いものでしょう。
前にもこのブログで書きましたが、共立総研は凡百の地方銀行系シンクタンクと一味違って、完全な興味本位というか、バッドチューニングなリサーチを次々発表している、非常にユニークでクリエイティブな研究所です。

さて、今回の「韓流消費に関するアンケート」は以下のような質問項目になっています。

1.韓流への関心の実態
(1)好きな韓流スターの有無
(2)韓流ドラマを見る頻度
(3)韓国旅行の経験・関心
2.韓流についての自己評価
(1)あなたは自分を韓流好きと思うか
(2)「韓流」に興味を持った時期
3.韓国製の製品購入に対する意識

実はわしはまったく韓流なるブームには関心がなく、したがって知識もほとんどありません。
しかしながら、さすがに「冬のソナタ」は何回か見た(1~2回見ただけでストーリーについていけなくなった)ことはあるし、韓国の流行歌手や俳優の日本人ファン向けのプロモーションが「韓国政府によってソフト産業振興という国家戦略として取り組まれている」などと言われると、携帯電話で抜かれ、薄型テレビで抜かれ、たぶんもうすぐ自動車でも抜かれるであろう日本が、独壇場的に世界に誇っていたサブカルチャーの分野まで韓国に敗れ去ってしまうのかという気持ちも湧いてきて、いったいどれぐらい日本の消費者に訴求しているのかには強い興味を持ちました。

詳しくは共立総研のホームページをご覧いただきたいのですが、要点を書くと

・自分自身を「韓流好きと思うか」との質問に対し、「韓流好きと思う」は11.0%、「どちらかと言えば韓流好きと思う」が17.1%に過ぎず、「韓流好きとは思わない」が71.9%。
・韓国ドラマをどれくらいの頻度で見るか尋ねたところ、「あまり見ない」の回答率が最も高く37.9%。
・「韓流ブームによって、韓国製の製品購入意識が変わったか」と尋ねたところ、「変わった」の回答率は15.2%、「変わらない」が84.8% 。
・韓国製の製品を購入することに抵抗があるかないか、品目別に尋ねたところ、「全く抵抗はない」、「あまり抵抗はない」を合わせた回答率が50%を超えたのは「衣料品」のみ。
・携帯電話、パソコン、テレビ、白物家電、季節家電、自動車の6 商品は韓国製品を購入することに「全く抵抗はない」、「あまり抵抗はない」を合わせた回答率は20%未満。韓国製品を購入することに対する抵抗は依然小さくない。

ということで、俗にいう韓流ブームもそれほど大きなものではない(もちろん、それでも1割以上の人が好きと答えているのは大したものだと思いますが)こと、韓国製品についても世界で一番厳しいと言われる日本の消費者にはまだまだ認知はされていないこと、が見て取れます。

ここから得られる結論の一つは、日本人自身によるメイド・イン・ジャパンへの強い信頼です。これが過信、盲信になってはいけませんが、日本の経済状況をそれほど卑下する必要もないはずです。
もう一つは、そのことから導ける仮説として、仮に貿易の自由化が進み、輸入品がたくさん入ってくることがあったとしても、日本の消費者はきちんと目利きができ、ブームに踊らされたり、安いという理由だけで買ったりはしないだろうということです。
この堅実さは ~今回のアンケート調査が日本一ドケチと言われる愛岐県民が対象であったことを措くとしても~ 案外信じられるのではないでしょうか。

■共立総合研究所 http://www.okb-kri.jp/

2012年4月2日月曜日

津市の物産WEBショップ ついーと がオープン

三重県津市の特産品を販売するインターネットショップ 津市物産SHOPついーと が4月1日オープンしました。
ついーとは、「お土産や贈答品として津市が誇る特産品を集めた専門店」で、「こだわり五箇条」と題されたコンセプトに賛同した生産者による厳選された出店が特徴のようです。
また、津市で暮らす人、津市から離れて暮らす方、日本全国どこにいても、津市の空気と味を楽しんでもらえるよう、津市NPOサポートセンターが各店舗と協力して運営しているとのことで、NPOの運営するネットショップモールというのもユニークな点だと思います。

ちなみに、こだわり五箇条とは
1 地元三重・津の最高の生産者ネットワーク
2 最適提供の心がけ
3 商品の発送は生産者自身で行い、作る心を伝える
4 生産者を明確にする
5 地域の心を大切に
というもの。

非常にいいコンセプトには思えますが、文言がやや抽象的なのと、たとえば2の「最適提供」とはどういう意味なのか?とか、1と4、3と5の違いが分かりにくいなど、もう少し練ったほうがよかったのではないかと思えなくもありません。少なくとも、わし的には、これを見てただちに購買意欲が掻き立てられるというほどのアピールはありませんでした。

 それはさておき。

  ご覧のようにホームページはすっきりしたレイアウトで、生産者の顔写真が多く使われ、確かに生産者の意欲とか意気込みが伝わってきます。消費者にとっても安心感があります。

現時点で18の生産者(企業)が、151アイテムを出品しています。

ただ、やはりこの種の地域特産品のサイトにありがちな、トータルコンセプトのない、なんでもありな品揃え感なのは否めません。

決定的に優位性が感じられるのは、今やB級グルメとして全国区になりつつある「津ぎょうざ」と、やや差が付いた次点として、イ草表を使った雪駄の「安濃津ばき」くらいで、あとは正直、一見すると津市以外にもあるような、お菓子とか農産物とか醸造食品とかです。
津市が大好きな津マニアとか、日本一短い地名愛好会の会員とかは別として、どのように津市の産品としての差別化要因をアピールできるかが鍵のような気がします。

津市は、平治煎餅のほかに、決定版になるようなご当地みやげが少なく、わしも帰省の際に何を買っていくかで悩みぬいた経験があります。(ブログはこちら

津市の産品と言えば、これ! というようなアイテムを発信するプラットフォームに、ぜひついーと が大化けしてほしいものだと思います。

2012年4月1日日曜日

Googleのself-driving-car(自動運転車)

「次世代自動車」の話題となると、世間一般で喧しいのは、どれだけ省エネルギーか、つまり動力源は何で、燃費はどれだけいいかというただ一点のポイントです。
ハイブリッド車で日本勢が一時期リードしていたものの、電気自動車や、クリーンディーゼル、高燃費ガソリンエンジンなども頭角を現してきており、まさに混戦状態になりつつあります。(ただし、世界の趨勢としては電気自動車の優越性が明確になってきつつあるようですが。)

しかし一方で、自動車にとって最大の問題は交通事故です。最悪期を脱しているとはいうものの今なお年間1万人以上の死者を出しており、交通事故の撲滅は国民的な悲願です。
また、高齢者や心身障がい者など、運転が難しい人々が気軽に使える自動車も必要性は高まってくることでしょう。
実はこのような「誰が乗っても事故が起こらない自動車」こそが究極の次世代自動車と言えるのではないでしょうか。

そんな中で、Googleが開発に取り組んでいるself-driving-car(自動運転車)の様子がYoutubeにアップされているのを見ました。
トヨタのプリウスを改造した自動車らしく、屋根の上にレーダー装置と思われる高速で回転する大きな装置が積んであるのが目を引きますが、それ以外に外観は大きな違いはありません。


このビデオに出てくる運転者は視力障害があり、ハンドルやアクセル、ブレーキなどに一切触れることなく、目的地を告げると自動的に車が走り出す様子が移されています。素直に、見ていて驚いてしまいます。
自動運転が、少なくとも技術的には完成に近づいていることは間違いないようです。

もっとも、 これが実用化されるにはまだ数々のハードルがあるでしょう。
容易に想像できるのは、視力障がい者を想定していないであろう現行の道路交通法などの各種法規制の問題です。標識が見えない、信号の色がわからない人にどうやって運転免許を交付するのか。一般の人も守るべき交通ルールとどう整合するのか、もし仮に事故が起こってしまったらどう対処するのか、などの検討課題は山積みです。

自動運転車のコストも、実際に社会に普及する上では大きなポイントです。車両価格だけでなく、車検などはどうするのか、自動車保険はどうするのか、そもそも自動車の耐久性はどれくらいなのか。こちらも問題は山積しています。
  
しかしながら、近い将来、これらの課題はひとつひとつ解決されていくことでしょう。技術革新が今までできないと思ってた所作を可能にする。その可能性が生まれてきたことで、人間が新しい活動やステージに対して抱く期待とか夢とかといったものは、一種の不可逆性を帯びているからです。つまり、「欲求に火が付いて」しまったのであり、これらは加速こそすれ退歩するとは考えられません。

同時に、イノベーションの本質に思いを致さざるを得ません。
イノベーションは技術革新ではありません。
技術革新は必要条件ではありますが十分条件ではないのです。
それは異なった要素の「新しい結合」であり、世の中になかった商品やサービス、市場、生産方法、価値観を新しく生み出すことです。1を10000にすることではなくて、ゼロを1にすることです。

自動運転車という次世代自動車のイノベーションには、プリウスというベース車の技術、GPSを使った情報処理の技術などが不可欠ですが、それと同様に、法規制、他の交通手段との調和といった、世の中にとっての新しい受け入れ態勢が非常に重要なのです。

薄型テレビが大画面競争から価格競争に移り、日本の家電メーカーは苦境に陥っています。挽回のために差別化できるテレビとして「スマートTV」が新商品として投入されましたが、放送と通信が分離したまま張り合っている日本では、テレビとネットの融合という新しいビジネスモデルは生まれないまま、やはり外国勢に席巻されてしまいました。

今年の家電ショーでは、この競争はすでにスマートテレビからスマートハウスに焦点が移っており、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電をテレビからコントロールできる、家電と住宅の融合というイノベーションの競争に突入しているそうです。(たとえば、ダイヤモンドオンラインの記事参照)

ここでも、ICTや家電の技術に加えて、核家族化や少子高齢化、省エネ、健康志向といったライフスタイルの変化を読み取った、たくさんの要素の結合が必要になります。
技術の高度化やコスト削減といった次元の話ではなくなっているのです。
当たり前のことですが、技術から入る製品化ではなく、市場やニーズから入る製品化、つまりマーケットインの重要性を、今一度再認識する必要があるのではないでしょうか。
これはひとり、メーカーの研究開発担当者だけでなく、日常生活を営み、社会を支えている市民にとっても大切なことだと思います。

Googleの自動運転カーほぼ完成、最初のドライバーを乗せて手ぶら走行中のムービー公開(GigaZine 2012年03月29日)