2013年4月30日火曜日

新任者のための「商工振興」入門(その5)

1 日本経済の流れ(おさらい)
  1-1 明治から高度成長まで
  1-2 ニクソンショックからバブル崩壊まで
2 商工振興の概説
3 商工振興の具体策(企業誘致編)
4 商工振興の具体策(中小企業対策編)
5 既存施策の限界 ~何が経済を成長させるのか~
6 基本法改正後の商工振興策
7 新しい商工振興策

4 商工振興の具体策(中小企業対策編)


 もう一つの商工振興行政の大きな柱が「中小企業対策」でした。
 「中小企業」とは、中小企業基本法の定義によると、業種によって要件が定められており、製造業(工業)なら資本金が3億円以下か、常時雇用する従業員が300人以下のどちらかであれば中小企業に該当するとされます。
 小売業であれば資本金が5千万円以下、従業者数50人以下のどちらかなら中小企業に該当します。
 もちろん、すべての業種において、法人化していない個人事業主は当然に中小企業になります。 ちなみに、法人税法上は業種に関係なく資本金が1億円以下の事業者は中小企業になりますが、この論稿においては中小企業基本法に従って話を進めます。

 中小企業というと、家族だけとか従業員の少ない零細な企業のイメージがあります。しかし実際には日本全国の企業や事業所の99%は中小企業に該当し、全従業者の7割は中小企業で働いているのです。その意味で、中小企業が日本の経済や雇用を支えているといって過言ではありません。

2013年4月29日月曜日

新任者のための「商工振興」入門(その4)


1 日本経済の流れ(おさらい)
  1-1 明治から高度成長まで
  1-2 ニクソンショックからバブル崩壊まで
2 商工振興の概説
3 商工振興の具体策(企業誘致編)
4 商工振興の具体策(中小企業対策編)
5 既存施策の限界 ~何が経済を成長させるのか~
6 基本法改正後の商工振興策
7 新しい商工振興策

3 商工振興の具体策(企業誘致編)
 第1章では「産業構造の転換」にも触れました。一般的な経済の成長パターンとして、
 第1次産業→第2次産業→第3次産業 へと産業構造のウエイトが移っていくことが知られています。
 日本は明治期に後発国として国際経済にデビューしたので、進んだヨーロッパの制度や技術をそのままそっくり移してくることがキャッチアップに最も効果的でした。
 これは日本国内でも同じ縮図があり、農林水産業が主体の「地方」の産業を高度化するには、「都市」にある工業を地方に移し、雇用と税収を確保しようという考えが、戦後も一貫して地方自治体による商工振興策(工業振興策というべきか)の主流となっています。

 工業が他の産業に比べて優位な点は、
(1)大規模な生産設備が必要で、建設や維持(メンテナンス)など波及効果が大きい。
(2)質の高い、多くの雇用が確保できる。
 の2点です。

2013年4月28日日曜日

新任者のための「商工振興」入門(その3)

1 日本経済の流れ(おさらい)
  1-1 明治から高度成長まで
  1-2 ニクソンショックからバブル崩壊まで
2 商工振興の概説
3 商工振興の具体策(企業誘致編)
4 商工振興の具体策(中小企業対策編)
5 既存施策の限界 ~何が経済を成長させるのか~
6 基本法改正後の商工振興策
7 新しい商工振興策


2 商工振興の概説


 前置きが長くなってしまいました。それでは、この章から主に地方自治体が対象にする中小企業を念頭に置いて、商工振興策を概説してみます。

 行政による商工振興の目的は何か。

事業者や企業による生産(工業)や流通(商業)を活発にして、住民の雇用を確保し、生活を安定させる。また、経済活動で得た利益から税収を確保して社会資本を充実させる。

ということであるのは異論がないでしょう。
 問題なのは、ではどうすればそうすることが実現できるかです。

 本来、経済活動は自由であるはずで、事業者は利益を増大させ事業を拡大させる強い動機を持っているはずです。
 経済学では、経済活動を市場に任せておくと、つまり自由にしておくと、経済や社会全体にとって不利益や非効率になる部分も生じてしまいます。これを「市場の失敗」とよび、自由にしておけない分野、すなわち企業が参入しにくい分野や、国や地方といった行政しか行えない分野について、行政が介入することに合理性があるとされます。

2013年4月27日土曜日

新任者のための「商工振興」入門(その2)

1 日本経済の流れ(おさらい)
  1-1 明治から高度成長まで
  1-2 ニクソンショックからバブル崩壊まで
 2 商工振興の概説
 3 商工振興の具体策(企業誘致編)
 4 商工振興の具体策(中小企業対策編)
 5 既存施策の限界 ~何が経済を成長させるのか~
 6 基本法改正後の商工振興策
 7 新しい商工振興策

1-2 成長から停滞、バブル崩壊
 やがて日本の高度成長にも陰りが見え始めます。東京オリンピック、新幹線開通、大阪万博など華やかな出来事が続く一方、深刻になる公害や交通渋滞、そして物価の上昇が人々の生活を逼迫し始めたからです。

 同時に、世界経済の大きな環境変化がありました。アメリカがベトナム戦争で疲弊し、ついにはニクソン大統領がドルと金の交換を停止すると発表したからです。「ニクソンショック」と呼ばれたこの出来事により、ドルの価値が急落して相対的に日本は円高になりました。繊維や鉄鋼など日本の主要輸出品は売れ行き不振になり、構造不況業種に転落しました。陶磁器や鋳物など中小企業が担っていた地場産業も、輸出が非常に厳しくなり、廃業の増加などが見られました。
 中東での戦争により原油の供給がひっ迫したこともあって原油価格が上昇し、ますます日本は苦境に陥りました。(オイルショックと呼ばれます。)トイレットペーパーの買い占めが各地で起こり、節電でネオンが消えた真っ暗な夜景など、その頃のニュース映像を記憶している方も多いでしょう。

2013年4月26日金曜日

新任者のための「商工振興」入門(その1)

 春は人事異動の季節です。この4月から新しく市役所や町村役場で産業担当になった方もいらっしゃることでしょう。

 産業振興は、規制行政や給付行政を中心とする一般的な行政分野とは異なり、法による「縛り」があまりなく、裁量が大きい、いわゆる振興行政と呼ばれるジャンルです。
 また、支援制度が複雑で、経済情勢に沿って支援内容も支援対象も刻々と変わっていくために、新任者にはとっつきにくい分野だと思います。

 読みやすい入門書のようなものもあまりなく、熱心な人ほど仕事に行き詰ってしまうことも見られるようなので、「頭の整理」用として、今日から何回かに分けて、ごく簡単に産業振興行政についての概説をしてみたいと思います。(正確性・厳密性は後回しにして、まずはアウトラインをざっくり理解してもらう内容です。)

 ただし、ここで取り上げるのは「産業振興」のうちでも商工業振興に限り、農林水産業は対象にしません。第1次産業は市場競争とは異質の、保護・規制と農林漁村のコミュニティ保全がごちゃ混ぜになった独特の世界であって私には荷が重すぎるからです。

 では、関心のある新任者の方は、軽い気持ちでお読み進めください。

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2013年4月24日水曜日

「尾鷲まるごとヤーヤ便」が受付スタート

 協同組合尾鷲観光物産協会が、「尾鷲まるごとヤーヤ便」の今年度の購入申し込み受け付けを開始しました。
 尾鷲まるごとヤーヤ便とは、三重県尾鷲市の特産である熊野灘の魚やその加工品、農産品、お菓子など、尾鷲の魅力を伝える産品を、それぞれの季節ごとに詰め合わせて、購入を申し込んだ人に年4回届けられる頒布会です。

 今から5年前の平成21年度にスタートし、好評を得て今年で5シーズン目に突入したことになります。
http://owase-kb.jp/ya-yabin.html

2013年4月23日火曜日

鈴鹿サーキットレーシングスクールのこと

NBS Sports より
  レーシングドライバーの佐藤琢磨さんが、アメリカ・カリフォルニア州ロングビーチで開催されたインディカーレース「トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ」で初優勝を果たしたことが報じられています。

 佐藤選手はF1ドライバーとして活躍していましたが、2010年からインディカーに転身。
 今年が4シーズン目で、通算52戦目にしての初勝利だったとのことです。

 わしは恥ずかしながらというべきか、、鈴鹿サーキットでF1レースを見たことが一度もありません。北海道にいるイトコが車マニアなので、「せっかく近くに住んでいるのに、そんな・・・もったいない」と心底悔しそうにわしに言ったことがありました。豚に真珠というべきなのかもしれませんが、実は大多数の三重県民はわしと同様、カーレースなどに興味はないのです。

 しかし、佐藤さんと鈴鹿は因縁浅からぬものがあります。
 わしが三重県庁で産業観光の担当をしていて、某シンクタンクの関係者と一緒に鈴鹿サーキットを取材に行ったときです。

2013年4月22日月曜日

今週末、2軒の古民家が公開されます

 東紀州(三重県南部の、尾鷲市、熊野市、紀北町、御浜町、紀宝町の2市3町からなる地域)の観光情報などを提供しているポータルサイト くまどこ によると、三重県熊野市の中心部、木本町の本町通りにある「旧栃尾邸」の一般見学会が4月26日(金)~27日(土)の二日間、熊野市役所主催で実施されるとのことです。
 見学時間は10時~12時、14時~16時で、入場は無料です。(リンクはこちら
 
 旧栃尾邸は土蔵造りともいうべき土壁の重厚な外観と犬矢来が特長的な商家です。長らく空き家となっていたものを熊野市が購入し、将来はカフェ等に活用するため近々改装される予定だそうで、旧来からの生活様式が残る改装前の内部の様子を公開するものだそうです。

 旧栃尾邸がある本町通りはいわゆる「熊野古道」に続く街道であり、尾鷲方面からは七里御浜が臨める絶景が有名な松本峠(おそらくほとんどの人が、この峠からの写真やポスターを見たことが一度はあるはずです)を越えて辿り着きます。


2013年4月21日日曜日

「キリンフリー」はモノガタリを失ったのではないか?

 キリンフリーのテレビコマーシャルを見ていて、あれ?と思いました。
 キリンフリーとは、いわゆるノンアルコールビールと呼ばれるビールテイスト飲料ですが、このジャンルでは後発商品であったにもかかわらず、2009年の発売直後から異例の大ヒットとなって話題となったビールです。

 話題となった大きな要素の一つは、キリンフリーの企画、マーケティング、商品化を担当したのが女性社員であり、しかも彼女はキリンには途中入社し、当時若干25歳の若手社員であったことでした。
 
 ノンアルコールビールの先行商品は多数市場に出ていましたが、現実には製造工程の制約から微量のアルコールを含んでおり、正確には「低アルコールビール」に過ぎませんでした。
 この当時、飲酒運転による悲惨な事故が世間をにぎわせており、ドライバーには急速に危機感が広まっていたことから、飲んだ後も運転できるビールには潜在的な市場が生まれていました。
 また、この女性社員は、妊娠中の女性の間にも食事や気分転換にビールを楽しみたいという声があることをリサーチしていました。そこで、キリンでは新しく開発したアルコールを生成しない製法により、世界初のアルコール0.00%のビールテイスト飲料を製品化したのでした。
 このサクセスストーリーは、商品の大ヒットと相まって、さまざまなメディアに取り上げられました。

2013年4月19日金曜日

折り返し 鈴木県政

 読売新聞の三重版に数日前から連載されていた「折り返し 鈴木県政」という企画記事を面白く読みました。
 三重県知事に鈴木英敬氏(38)が就任して、この4月21日で丸2年を迎えます。当選当時は全国最年少の知事として注目され、若さを前面に出して公約に掲げた政策を矢継ぎ早に実行し、見るべき成果も挙げた一方で、最大公約の一つであった震災がれきの受け入れは、焼却処理を行うべき市・町から協力を得られずに実現不可能。そのほか多くの分野でも停滞が続いています。
 読売新聞の記事は、2年間の鈴木県政について県議会議員や県内の財界、労働界の代表、大学教授から意見を聞いたものです。(読売オンラインからも読むことができます。リンクはこちら

 それぞれの立場から毀誉褒貶はあるものの、興味深いのはほぼ全員が「マスコミへの露出や県庁の外での活動には積極的だが、県庁内での職員との対話が不足している」という認識を持っていることです。

2013年4月18日木曜日

小規模企業活性化法案が閣議決定

*マニアックな内容なので、商工振興関係者以外は無視してください*

 平成25年4月16日、小規模企業活性化法案(小規模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法等の一部を改正する等の法律案)が閣議決定されました。
 昨年の夏から、経済産業省(中小企業庁)では中小企業政策審議会に「ちいさな企業」未来部会なるものを設け、主に個人事業主や小規模・零細規模の企業を対象とした活性化策を議論していました。(わしも、昨年5月に豊田市で開催された地方会議を見に行ってきました。リンクはこちら

 これまでも、国によって中小企業対策は十分講じられてきています。ほとんどあらゆる経営課題に対応する、あらゆる支援手段が講じられ、むしろ「過保護」とさえ言える状況でした。
 しかし、一口に中小企業といっても、個人事業主、パパママカンパニーもあれば、従業員が100人以上もいるような大企業に近い中堅企業もあって多様です。
 ともすれば国の支援策は「成長志向」「拡大志向」が強い一定レベル以上の企業がメインターゲットとなっていました。成長を志向しない、むしろ生業に近く、地域貢献や顧客貢献を第一としているような日本の大多数の中小企業は支援の恩恵を受けにくい状態でした。

2013年4月17日水曜日

伊勢神宮本を読む(その2)犬の伊勢参り

現在、伊勢神宮の境内に、犬を連れて入ることは禁止されています。

 理由は定かでなく、わしは何となく鳴き声や糞で神聖な雰囲気が壊されるためかなあ、くらいに思っていたのですが、この本 仁科邦男著 犬の伊勢参り(平凡社新書) によると、伊勢神宮と犬の確執は1000年以上にわたって連綿と続いているものだそうです。

 現代とは違って、日本で最も尊い神様をお祀りする場所での禁忌が非常に厳格に守られた時代です。犬が神域で死んでいたり、お産をしたりすることは、神様が忌み嫌う「死の穢れ」や「血の穢れ」であり、絶対にあってはならないことでした。これらを招きかねない犬はけがれた動物として神域に近づけないことが重要だったのです。

 しかしその一方で、たとえば内宮近くにあるおかげ横丁内の「おかげ座」には、伊勢参宮をしたという犬の人形が展示されています。飼い主を書いた木札を首から下げ、参宮の道中であることを示す白布と柄杓が括り付けられた柴犬の姿は、愛らしくもありますが、禁忌であるはずの伊勢神宮に、どうして堂々と犬がやって来ていたのでしょうか。そもそも、犬が自分の意思で伊勢参宮に来ることなどありえたのでしょうか?

 この本によれば、伊勢参宮が広く民衆に浸透した江戸時代には「神徳を慕って犬が伊勢神宮に参拝した」ことがしばしば見られ、記録に書き留められていたという事実があります。

2013年4月16日火曜日

伊勢神宮本を読む(その1)伊勢神宮と天皇の謎


伊勢神宮のご遷宮が近づいてきて、市内の書店にはたくさんの伊勢神宮関連本が並んでいます。それらを全部読むのはもちろん不可能なのですが、適当に面白そうだと思って選んだ2冊を二日に分けてご紹介します。(読んだら実際に面白かったので)

 伊勢神宮でも市街地から離れ、周りが自然に囲まれている内宮(皇大神宮)は、特に神聖で荘厳な印象を受けます。詣でると本当にすがすがしい気分になれる場所です。

 しかし、よく知られているように、内宮の宇治橋前広場や、宇治橋を渡って右側の広々とした参道は、明治の末期から大正になってから整備されたもので、それ以前は民家が密集していました。それが伊勢神宮の雰囲気にはそぐわないものとして撤去されてできたものなのです。
 このように、伊勢神宮には荘厳に見せる装置とも呼ぶべきメカニズムが内在されています。

 これは本殿(正宮)についても言えることです。
 「常若」の思想を体現するものとして、正宮は古来そのままの建築様式を今に伝えていると思われがちです。
 しかし長い我が祖国の歴史において、古代中国思想(陰陽思想)や仏教思想は日本の思想に大きな影響を与えており、伊勢神宮もこの影響を免れることはできませんでした。
 また、公知の事実として、室町時代には戦乱や財政難により120年以上にわたり遷宮は廃絶して実施されず、その間に旧社は老朽化で倒壊してしまっています。本当に今の正宮が7世紀の古代のままの様式を伝えているものかというと、どうも疑わしいようです。

 では、社殿はどのような変遷をたどってきたのか。そのことを、史実や資料をベースに、著者の知見と推理も交えて説明したのがこの本 武澤修一著 伊勢神宮と天皇の謎(文春新書)です。


2013年4月15日月曜日

高速道路で紀伊長島まで走ってみた

 先日、この3月24日に紀勢大内山IC~紀伊長島IC区間が開通した、紀勢自動車道を走ってきました。
 それまでの終点だった紀勢大内山ICから10.3kmの距離に過ぎませんが、ここは旧伊勢国と旧紀伊国を分かつ、急峻な荷坂峠(にざかとうげ)で隔てられた区間です。
 ここを走る唯一の道路である国道42号は 津・松阪方面から走ってくると荷坂トンネルを過ぎてから急な下り坂が延々と続き、しかも急カーブも連続するため、事故が多い「魔の区間」であり、多雨地帯でもあるため長雨が続くと頻繁に通行止めとなるという難所でした。
 高速道路では、長さ3kmにもなる新しいトンネル(紀勢荷坂トンネル)が掘られ、難所「荷坂峠」をやすやすと走破できることになりました。

 まずは、今までの幹線であった一般道(国道42号)を使って、大紀町大内山から紀北町紀伊長島区に向かいました。わしにとっては慣れた道ですが、確かに通行量は激減しており、見たところ高速道路開通前の1/3から1/4くらいの印象です。ほとんどがトラックやバン、もしくは地元の方のクルマと思われ、観光バスや他府県ナンバーのクルマは高速に流れたためか、ほとんど見かけません。

2013年4月14日日曜日

「よそ者、若者、ばか者」論は卒業しよう

 わしは今、地域振興とか6次産業振興の仕事には直接携わっていないので、数年前に比べ関連するセミナーや交流会に出席したり、本やレポートを読む機会はすっかり減ってしまいました。

 その当時一緒に勉強した方々は、それぞれ企業やNPOのリーダーとなり、あるいは地域の第一線で活躍しておられます。わしが年をとったのと同じように、その方々も「若い人材」を育て、活動や事業を次世代にバトンパスしていく必要性は感じておられることでしょう。

 そんな視点で回りを見渡してみると、これらの成長していく民間のリーダーたちに比べて、1センチも変わっていないのは、国や自治体、あるいはこれらと一体化しているコンサル、専門家たちであることに気づきます。

 国や自治体にとって地域振興「支援」や、地域産業振興「支援」は、自分たちの仕事そのものです。いわば食い扶持であり、地域が実際に振興しようがしまいが、成果があろうがなかろうが、支援をしていること、そのため予算を消化していることこそが重要なのであって、もし本当に地域が「振興」して自立してしまったら自分たちはお払い箱になるので、それだけは何としてもツライのが本音なのです。

 そういった思想は、~おそろしいことですが~、自尊し自立しなければいけないはずの地域住民にも広まっています。なんだかんだ言って、最後は国や自治体が何とかしてくれると思っています。これは都会、田舎に関係なく、都会でも高齢者の介護や児童保育などの課題においては、行政頼みかつ官尊民卑的要求が噴出し、役所に「陳情」する姿が頻繁に報道されています。

2013年4月13日土曜日

はんわしが好きな伊勢の桜(その3)

 今年は天候が不順というのか、3月末に暖かい日が続いて、はんわしの身近な桜は一気に開花を始めました。しかし4月には入ると一転、寒い日が続いたり週末は荒天になったりして、ほとんど花見をしないうちにシーズンが終わってしまいました。
 そこで2013年の「はんわしの好きな伊勢の桜」は、今日登ってきて、これから満開を迎えそうだった伊勢朝熊岳の山頂の桜を紹介します。


 朝熊岳(あさまだけ。朝熊山とも)についてはこのブログで何度もご紹介しています。
 伊勢志摩地方では最高峰の555メートルという標高を有し、山容が秀麗なことや伊勢神宮の鬼門に当たると言われることから、山上には一説に弘法大師が開祖とも伝えられる金剛証寺があり、古来から霊峰と崇められてきました。
 ふもとの朝熊町の登山口からは1時間弱で登ることができ、頂上には雨の神様である八大竜王が祭られた神社があり、広場のようになっています。
 ここに、何本かの桜が植えられており、登山者の憩いのスペースになっているのです。
(ちなみに、この頂上とは伊勢志摩スカイラインで行ける山上公園とはまったく別で、地図上の頂上に当たり国土地理院の三角点がある場所です。)

2013年4月12日金曜日

ネット解禁はウェブコンサルの福音となるか

 インターネットを利用した選挙運動を解禁する公職選挙法改正案が今日(4月12日)衆議院の本会議で可決されました。法案はこのあと参議院へ回され、4月中にも成立する見込みであり、今年夏の参議院選挙から適用されることになるそうです。

 現在、インターネットを使った選挙運動(=特定の候補への投票を促す運動)は、これまで公職選挙法で禁じられている「文書図画を無制限に配ること」に該当し、違反するものと解釈されていました。このため、ホームページを開設したりツイッターでツイートしている政治家は現在も多くいるのですが、選挙が告示(公示)されてから投票日の先日までの、いわゆる選挙期間中は、ホームページの内容更新やツイートは行ってはいけませんでした。

 今回の公職選挙法の改正では、これを一部解禁し、政治家はもちろん、有権者も、ホームページ(ブログ、動画サイトを含む)や、ツイッター、フェイスブックといったいわゆるSNSを利用して、有権者に対して投票の呼び掛けが行えるようになります。

2013年4月10日水曜日

マックスバリュ中部の本社が松阪から移転

 マックスバリュ中部は、今年3月からマックスバリュ中京を吸収合併し、「新生」マックスバリュ中部と銘打って営業していましたが、昨日、取締役会において定款の一部変更と本店の名古屋市への移転を決議し、5月の株主総会に付議することになったと公表しました。

 マックスバリュ中部は、1999年、三重県資本の中堅スーパーであったフレックスとアコレ、そしてウェルマートの3社が合併して誕生したもので、もともとジャスコ(現イオン)とは一定のつながりがあったものの独立系のスーパーでした。後になって正式に株式がイオンに取得され、イオングループ傘下に入っていたものです。
 社長は長らく元フレックスの中西社長が務めておられました。

 この中西社長は、フレックスがその前身の青果店(八百久 ヤオキューと発音)から総合食品スーパーへと大きく経営革新した時に陣頭指揮した中心人物で、その経営の才が買われてマックスバリュ中部でも社長を務めたのだと聞いたことがあります。また、永六輔氏による聞き書き「商人」(岩波新書)にも、伊勢商人(松阪商人)の意気を継ぐ人物として取り上げられているという経営者でもあります。
 そして、マックスバリュ中部の本社(本店)もフレックス本社があった三重県松阪市が踏襲されたのでした。

2013年4月9日火曜日

サッチャー元英首相が死去

わしはもちろん、サッチャー首相を直接知っているわけではありませんが、あの人の顔とか名前とかを見聞きすると、学生の頃を思い出します。
 そのころ、まったく関心はなかったものの指定履修で不本意ながら登録した、経済学の講義の経済原論Ⅱ(マクロ経済学)が「レーガノミクスとサッチャリズム」というテーマで、内容が難解で全く理解できなかったという苦い思い出があるからです。
 
 今から思うと、サッチャーさんの改革は、経済原理に忠実だったと言えると思います。教科書で習うような需要と供給の一致とかパレート適格とかは、利潤と欲望を極大化させるという、企業や個人の「合理的な」行動に準拠しています。あくまで市場による自由な経済活動が基礎になっています。
 しかし、それはそれで競争が行き過ぎたり、逆に談合して不正な競争をしでかしたりと不都合が生まれるので、「中立的な」政府が市場に介入し、税金を召し上げる代わりに財政支出によって福祉や失業対策や特定産業の保護・育成を行い、金融政策によって物価をコントロールして、結果的に社会的な最適分配を確保することが必要だ、という考え方が政治や経済学の主流になりました。

 ところが、サッチャーさんはそれを再び覆したのです。
 「市場が失敗するのと同じように、政府も失敗するのだ。」という当たり前の理屈で。


2013年4月8日月曜日

流行に乗り「ヘルシアコーヒー」を飲んでみた

花王が新発売した ヘルシアコーヒー をスーパーで見かけたので購入してみました。

 この缶コーヒーは、体脂肪を燃やしやすくするという特定保健用食品「ヘルシア」シリーズ(緑茶など)のコーヒー版です。
 従来のヘルシア緑茶などは、茶カテキン(お茶に含まれるポリフェノール)の効能をうたっていましたが、ヘルシアコーヒーのほうはコーヒークロロゲン酸なるポリフェノールの抗酸化作用に着目したものです。
 飲用によって脂肪の燃焼率が増加し、お腹の脂肪が減少する効果が認められたということです。

 花王のホームページによると、コーヒークロロゲン酸は、焙煎する前のコーヒー豆に多く含まれているものの、焙煎の過程で著しく減少してしまう難点がありました。そこで花王では、焙煎を科学して、「ナノトラップ製法」という独自の方式を開発。
 その結果、焙煎で失われがちだったコーヒークロロゲン酸を一般のコーヒーの約2倍に高め、雑味の原因ともなる「酸化成分」を約1/50に低減することに成功し、焙煎コーヒー本来のおいしさを維持しながらも、コーヒークロロゲン酸の効能をいかすことができるようになったとのこと。

 能書きはともかく、飲んでみることにします。

2013年4月7日日曜日

伊勢で路面電車型バスが運行されるらしい

 三重県内のバス会社大手である三重交通が、今年夏、伊勢市内で路面電車型バスの運行を行うことを発表しました。

 これは、今年行われる伊勢神宮の式年遷宮(7世紀頃から今に続く、20年に一度、伊勢神宮の神殿や鳥居、神宝装束などをすべて新しく造り替える行事)に合わせたもので、伊勢神宮を訪れる参拝者の思い出となるべく、「懐かしさ」と「新鮮さ」をコンセプトとし、かつて伊勢市内を走っていた路面電車「神都線(しんとせん)」をモデルとしたバスを製造し、「神都バス」と命名して7月から運行する計画だそうです。

三重交通「神都バス」外観(同社のホームページより)

2013年4月6日土曜日

「尾鷲よいとこ定食の店」パンフレットが完成

http://www.city.owase.lg.jp/cmsfiles/contents/0000007/7672/yoitoko_teisyoku_panf.pdf
 平成25年度版の「尾鷲よいとこ定食の店」パンフレットが完成し、尾鷲市役所や尾鷲観光物産協会、三重県立熊野古道センターなどで無料配布されているほか、尾鷲市役所ホームページでもPDF版が公開されています。(リンクはこちら

 尾鷲市は背後に急峻な大台山地が迫り、眼前には熊野灘を臨む、山と海に囲まれた土地です。
 海岸線は入り組んだリアス式海岸で、暖かい黒潮と冷たい親潮が沖合いを流れ、暖流の魚も寒流の魚も集まることから、日本屈指の好漁場として古来から漁業が盛んでした。
  有名なのはカツオ、ブリ、タイなどですが、ほかにもアジやサバ、マンボウなど多種多様な近海魚、珍しい深海魚、テナガエビ、ガスエビ、オニエビなどの多彩なエビも食通の間では有名です。

 このような尾鷲で水揚げされた、新鮮な魚を主食材とした料理を提供している店を「尾鷲よいとこ定食の店」として紹介しているのがこのパンフレットで、18軒の食事処や居酒屋などが、和食、中華、イタリアンなどの趣向を凝らした、地魚が楽しめるメニューが紹介されています。

2013年4月5日金曜日

肝心なことは書けない、「くまモンの秘密」

 熊本県のPRキャラクター、つまり‘ゆるキャラ’である「くまモン」の人気ぶりを、四日市近鉄百貨店で開催されていた九州物産展で目の当たりにしたはんわしですが、熊本県は今年2月、くまモンを商標などを利用した食品、農産物、文具、衣料といった関連商品の平成24年一年間の売上高が、293億6200万円になったと発表しました。
 これは対前年比の11.5倍(!)という驚異的な伸びであり、くまモンの人気が巨大な経済効果をもたらしたことが客観的にも証明された形となりました。

 そんな中、書店で平積みされているこの本 くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ(幻冬舎新書)を見つけ、何か参考になることでもないかと軽い気持ちで購入し、読んでみました。

 しかし、結論から言うと、本書の内容はいまひとつです。
 くまモンが関西を中心にキャンペーン活動を~ゲリラ的に神出鬼没して~始め、次第に広く認知されるようになり、熊本県営業本部長への就任、数々の大手企業とタイアップした商品開発、さらには、2011年ゆるキャラグランプリ第1位の獲得など、押しも押されもせぬ人気者へと変化していく過程がドキュメンタリー風に書かれているのですが、全体に冗長で、くまモンのプロデュースに関する肝心なことは、意識的にか無意識的にかぼやされているように思えるからです。

2013年4月4日木曜日

大変そうな?春

 わしが普段の出勤で使っている近鉄塩浜駅は工業地帯のど真ん中にあって、朝夕のラッシュ時はともかく日中は閑散としています。
 今日、その一角にテーブルと筆記用具が置かれていました。
 駅の近くには幾つかの高校や専門学校もあって、その学生や父兄たちのための特設の臨時定期券購入コーナーのようなのでした。
 こんな光景を見ると、春だなあ、新しい年度が始まるのだなあと実感します。

 これはまあ、若者たちの夢がある光景かもしれませんが、わしが勤め帰り、出していた冬物を取りに立ち寄った、ショッピングセンターの中にあるクリーニング取次ぎ店では、少々厳しい春の光景を見てしまいました。

2013年4月3日水曜日

尾鷲全国化計画に注目すべし

 株式会社シゴトヒトが運営している求人サイト、日本仕事百貨夢古道おわせ の求人が掲載されています。

 夢古道おわせは、株式会社熊野古道おわせが運営している、古民家レストラン(地産地消バイキング)、尾鷲の特産品の販売施設、温浴施設(海洋深層水を使ったお風呂)の複合施設です。
 世界遺産に登録されている熊野古道を訪れる観光客やハイキング客向けの観光施設として、また、地元尾鷲市民が憩う交流施設としていつも賑わっています。

 ただし、もちろん日本仕事百貨に掲載されているくらいですから、全国どこにでもあるありふれた「観光施設」「物産販売施設」とは少々違っていて個性があります。
 外見上は、箱モノ(建物・施設)としての夢古道おわせは、尾鷲市などの行政が税金で整備したものであり、株式会社熊野古道おわせはその運営を受託している民間企業にすぎません。
 しかしわしが見るところ、地元企業経営者有志による出資によって会社が設立された経緯と言い、尾鷲の活性化を前面に押し出した様々な仕掛け、試み、アイデアの具現化を連発し続ける熱意と言い、凡百の類似施設を寄せ付けない、圧倒的なフロントランナーです。

 もしあなたが、尾鷲市、東紀州、もっと広く三重県や和歌山県の出身者でなかったとしても、地域活性化に関心があり、机上の理論だけでなく、それを現実に実践したいと考えているなら、そしてもっと率直に言えば、やりがいのある、刺激のある、振幅の多い人生を送りたいなら、迷わず日本仕事百貨のこのページにジャンプすることを強くお薦めします。

2013年4月2日火曜日

紀和町ふるさと公社が改名

 熊野市紀和町(旧南牟婁郡紀和町)の特産品生産と販売を目的に活動している、財団法人紀和町ふるさと公社が、この4月1日で一般財団法人熊野市ふるさと振興公社に組織変更されました。

http://www.kumano-furusato.com/

財団法人が一般財団法人になったというのは、「公益法人改革」といわれるものの一環です。
 財団法人や社団法人といった公益法人は、国や県などの主務官庁が認可して設立される特殊な法人組織であり、民間企業では担えないような、公益的な事業を行うことが想定されています。
 しかし、認可の基準が不明朗であり、一説には1万以上にも及ぶとされたほど数多くの公益法人が乱立しました。しかも、そのうち少なくない団体は、お役所仕事の非効率な運営に終始して赤字を垂れ流したり、運営費を行政支援に頼るかわりに役所のOBを受け入れる、いわゆる「天下り団体」として、社会に寄生する存在に成り果てていました。
 これらを改善するために、公益法人を一般財団・社団法人と、公益財団・社団法人に分け、より団体の実情に即した活動が行いやすいような法制度が整えられたのでした。


 紀和町ふるさと公社は、過疎にあえぐ旧紀和町の産業振興、地域振興が目的で設立され、現在は熊野地鶏や香酸かんきつ「新姫(にいひめ)」、味噌などの食品製造や、宿泊施設・温泉施設の運営、レストランの運営など多角的な事業を行っていました。
 新しい組織に衣替えし、さらなる発展を期待したいと思います。
 
■熊野市ふるさと振興公社  http://www.kumano-furusato.com/index.html


<平成25年4月3日補足>
 内容を修正しました。

2013年4月1日月曜日

武雄市図書館は、吉と出るか凶と出るか

毎日新聞より
 佐賀県武雄市の図書館がリニューアルオープンしかことが各紙に報じられています。
 樋渡啓祐市長の肝いりで改装されたこの図書館は、本やCD、DVDなどのレンタル大手、TSUTAYAを運営しているカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理者となって運営されます。7億5千万円だというリニューアル費用も市の負担は約4億5千万円、残りはCCCが負担しているそうです。

 市立図書館が、営利企業を指定管理者にして運営されることはもはや珍しいことではありません。しかし、武雄市においては、通常なら管理者を公平に決めるために行われる入札やコンペといった競争的な選考方式でなく、市長が任意(独断)でCCCを管理者に決定した過程や、利用者が図書の貸し出しを受けると会員カード(Tポイントカード)にポイントが貯まり、それが買い物に使える(=換金できる)などのサービスが、公的機関の範疇を逸脱するものとして一部から批判を受けていました。さらに、図書館の利用者情報がCCCに提供されることが、個人情報保護の観点から問題だとの指摘もあります。